南極に行きたいと呟いたら、優しいお兄さんが送ってくれました   作:タイト

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そして南極へ

夏熱い。暑いじゃなくて熱い。まるで蒸し焼き鍋の中に放り込まれてがっちり蓋を固定された後、強火でじっくり蒸されているような感じだ。

 

「あー…暑い…今すぐ南極に行きたい…南極に行って涼みたい…」

 

それくらい暑い。炎天下とはまさにこの事で、透き通った色の濃い青空が憎々しい。天を輝く太陽は憎々しいを通り越して殺意を覚えるレベルだった。全身を伝う汗が非常に不快で、下から熱せられたアスファルトが歩くことを躊躇させる。

 

何故こんな猛暑日に外に出なければいけないのか。それもこれも学校が悪い。俺の学校は進学校という訳でもないのに、2年から夏休み強化合宿などという存在理由が一つも分からないものが開催されるのだ。

 

二泊三日の日程はすべて終わり、今は帰りだ。スケジュールの関係で真昼間からの帰路である。死ぬ。

 

しかも合宿中はスマフォ類は一切禁止だし。お陰でFGOの連続ログインボーナスも俺の血管も切れちまったよ。

 

そういえば、FGOのカルデアの舞台も確か南極だっけ?あらゆる国家の権利が届かない場所だからとかなんとか、理由があった気がするが。

 

それにしても南極か。先ほどはあまりにも暑いから口走ってしまったが、いくらどんな理由があるからって南極はやっぱりねえよな。何度だっけ、南極…確かマイナス80は超えるんだったか?

 

やっぱり一番はクーラーの効いた自室ってことか。合宿先は山の上で、クーラーはあったとはいえ大部屋で大人数、さらにやたら古い機種で冷える速度も遅いのなんのって…いやぁ、長い三日間だった。家に帰るのが久しぶりな錯覚さえするぜ。

 

やっと家に帰れる。そう思うと自然にスキップを…いやごめん嘘だ。この状況でスキップなんざやったら暑さでとろけて死ぬ。

 

あまりの暑さに視線を下ろして歩いていると、ふと、目の前の地面に影が下りた。どうやら俺の目の前に誰か来たようだ。

 

「…?」

「やあ」

 

怪訝に思って視線を上にあげると、一人の男が立っていた。このクソ暑い中、分厚そうな白いマントを着こなしている優男だ。白い髪の毛に白いローブ、そして手には杖を持っていた。

 

「…マーリン?」

 

俺はそんな姿に見覚えがあった。マーリンシステムの要、FGO内で人権とも呼ばれている男だ。

 

どうしてそんなキャラのコスプレをした男が俺の目の前にいるのだろう。突然の出来事に俺は目をぱちくりとさせる。

 

「そう、みんなのアイドルにしてみんなの人権、マーリンお兄さんさ。君とははじめましてかな、具田立花君」

「えっと…」

 

具田立花とは俺がFGOでやっているネームだ。ちなみに主人公は女。マシュと女主人公の絡みが至高なので女主人公にしている。男主人公は適当に邪ンヌとイチャイチャしていればいいと思う。

 

それにしても何故俺のFGOのネームを知っているのだろう?答えに窮していると、マーリンと名乗る変態コスプレイヤーはにっこりと笑顔を浮かべた。

 

「先ほど、南極に行きたいだとか話しているのを小耳にはさんでね。だったら優しいマーリンお兄さんがその願い、かなえてあげようかと」

「は?…何かのイベントですか?えっと、たぶん人違いなんじゃ…」

「いやいや、人違いなんかじゃないよ…さて、本人たっての希望だしね。早速行ってもらおうかな!」

「え、え?…ええええええ!?」

 

マーリン(?)が杖を振りかざした瞬間、風がぶわりと俺の足元に巻き上がったかと思うと無数の花びらが舞い上がり、俺の身体が浮き上がった。

 

「ちょ、な、なにこれぇ!?」

「勿論私の魔法さ!もしあっちの私に会えたらよろしく伝えといてね!」

「いやあっちってどっち!?っていうか、もしかしてあんた、本物のマーリン…!?」

 

答えはにっこりと浮かべるイケメンスマイルだった。風は暴風の様に俺の身体を吹き飛ばし、息が碌にできず、目も開けられない状態がしばらく続いたのち、俺は耐えきれずに意識を消滅させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けたら、そこは南極でした。

 

 

「ふぉーう!」

「…なぁに、これぇ…」

 

ついでにカルデアにいました。ついでにフォウ君に懐かれてて、さらに俺の髪の毛の色はオレンジ色でした。

 

声も可愛い感じに変わっていて、胸があってちんこはありませんでした。

 

「…ふっ…ふっざけんなああああああ!」

 

その日、俺の叫び声は南極を震わせた。

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