最近簪の影が薄くなってきてしまった。なんとか絡ませないといけませんね。そして今回で夏休み編は終了します!前回も同じこといった気がしますが気にせずにお送り致します。
それでは本編スタート!
「で、結局これはどういうゲームなんですか?」
デネブは初めてやるゲームに興味津々なようだ。これがアニメなら目の中に星が見えるだろう。
「このカラー粘土で何かを作って当てていくゲームよ。質問とかしていいわけ」
「え?それでは、作る人間の技量に左右されるのではなくて?」
「そんなことないわよ。むしろ逆。上手く作りすぎると、すぐに正解されてポイント入んないから。適度にわからないくらいがいいわけ」
「ということは、下手すぎると不利なのでは……」
「いや、質問次第なんだよ。答えに当たりをつけて、質問で埋めていけば大丈夫だ。どっちかっていうと、造形どうこうよりどういう質問をするかがこのゲームの鍵だぞ」
「へー。面白い物作るなぁドイツは」
「そ、そうだろう!わかっているな亜久斗!」
自分の国を褒められて照れながら嬉しそうにするラウラ。そしてゲームは経験者である鈴と一夏は最初は説明役に回るということで始まった。
こねこねこねこね……。
……何を作ろう?簡単過ぎるとポイントが入らないし難し過ぎてもだめ、か。まあ無難な物でいいか。
「できたっ」
「それじゃ、スタートね」
シャルロットからサイコロを降り、ゲームが開始される。
「えーと、一、二、三、と」
「あ、宝石を得ましたわ」
「私は……質問マスか。よし、ではラウラの粘土に質問するぞ」
「受けてたとう」
「ちなみに回答は『はい』『いいえ』『わからない』よ、『いいえ』を出されるまで質問できるから、最初は大分類で始めるとお得ね」
鈴の説明を聞きながらふむふむと箒がうなずく、そして再びラウラの粘土を見る。が、その粘土は『ゴゴゴゴ……』と静かな威圧を放っているような円錐状のなにかで、検討が付きにくい。実際、ラウラ以外の全員が『あれはなんだ?』と気になっていた。
というか早くも技量レベルから抜け出している。もはやこれは心理ゲームだ。この状態になったら相手が何を作るのか接点を探して行かなければならない。……以外と侮れないな、バルバロッサ。
「それは地上にあるものか?」
「うむ」
「よし……。では、それは人間より大きいか?」
「そうだ」
俺にはあれがピラミッドに見える。人間より大きな円錐状の物はそれくらいのはず。
「それは都会にあるものか?」
「どちらとも言えないな。あると言えばあるがないと言えばない」
「人間の作ったものか?」
「ノーだ」
「はい、質問終了。箒はこのまま回答もできるけど、する?」
「う、うむ。そうだな。外しても失点はないようだし、答えよう」
人間の作ったものではない、とすると俺のピラミッドではありえない。ならばなんだ?考えろ、ラウラに関係していそうなもの。ドイツにあるものと考えよう、そしてドイツの自然で有名なものを思い出すんだ……。
「じゃ、答えをどうぞ」
「油田だ!」
「違う」
何故油田?人よりも巨大な自然物で地上にあるのに、何故?
そんなこんなでゲームは進み、中盤を過ぎる。
「そろそろ正解しないと、当てられた人も得点入らないわよ」
ちなみにシャルロットの作った馬はすぐに当てられた。すぐに当てられたために本人には得点は入らなかった。箒の作ったのは『井戸』殆どわからなかったがシャルロットの質問が上手かったこともあり、ベストタイミングで正解している。
そして正解されていないのは俺とデネブ、そしてセシリアとラウラであった。ラウラは謎の円錐物体、セシリアはアメーバのように薄っぺらいぐにゃぐにゃしたものだった。そして何故か二人は誇らしげである。ちなみにデネブは皿の上に乗った何かだと言うことはわかっている。
「そ、それは食べ物?」
「ちがいますわ」
「それはビルより小さいのか?」
「いや、巨大だ」
「……ラーメン?」
「いや、少し惜しいな」
そして俺がラウラに質問をする番となった。
「さあこい」
何故か誇らしげに腕を組み、自信満々なラウラ。
「……それはたくさん存在してるものかか?」
「ああ」
「それは全て同じ形をしているのか?」
「違う、別のものもあるな」
この時点で質問タイムは終了。さて考えろ、ここは形に固定していては外れるだろう。取り合えず頭の中で整理するんだ。
・地上にある。
・人よりもビルよりも大きい。
・都会にも田舎にも存在していて全てが同じ形ではない。
・人が作ったものではない。
・数多く存在されている。
うん。わからん。……ん?待てよ?人が人工物ではなくて巨大。たくさん存在しているもの……あっ!
「山だっ!」
「正解だ。さすが私の嫁だな」
「「「………山あ!?」」」
よし、正解だ!形に囚われていたら解くことができなかっただろうな。
「いやいや待て待て!こんなに山は尖ってないだろ!」
「むっ……。失礼なことを言うやつだな。エベレストなどはこんな感じだろう」
「それならエベレストに限定しねーとわかんねーって!」
「エベレスト以外にもこういう山はある。現に亜久斗にはわかったぞ」
「な、なんでわかったの?」
「形からよりも質問の回答から考えたら山だと思った」
「そ、それじゃあラウラと亜久斗は得点ね。それで、セシリアのは?」
「あら。誰もわからないのかしら?」
すまない、それは俺にもわからない。
「我が祖国、イギリスですわ!」
「「「…………」」」
………まさか『国』そのものを粘土でつくるとは思わなかった。
「まったく、みなさんの不勉強には驚きますわ。一日一回世界地図を見ることをおすすめします」
恐らく全員が「イギリスの形を知らないわけじゃねーよ!」と言いたいだろうが、ここまで自信満々に言うセシリアには言いづらかった。
「ま、まあセシリアは答えられなかったから減点ね次はデネブ」
全員がデネブの作った粘土を見る、皿の上にに載った何かだとしかわからない。対して鈴と一夏はわかっているようだ。
「これは冷やし中華だ」
……何故に冷やし中華?
「この冷やし中華は俺が一夏の家で初めて作って食べた思い出の一品なんだ、だから粘土をこねるとき、これが一番最初に思い付いたんだ」
「なるほど、だから冷やし中華を作ったのか。でも一夏はわかるとして何故に鈴もわかったんだ?」
「そりゃわかるわよ。あたしの家は中華料理店ですもの」
そういえばそうだった。
「まあ、大体のルールはわかったでしょ!じゃ、次からあたしと一夏も入って全員でやるわよ」
それから八人での第二戦目が始まった。
「わかった、カマボコだ」
「ちがうわよ!しっつれーね、あんたは」
「ラウラのそれ、人……?」
「違う。なぜわからん。完璧な造形だぞ」
「今度こそわかったぞ、セシリアのはトマトだな?」
「箒さん、これがトマトに見えますの?」
「あ、デネブのはカラスか」
「そうだ、良くできているだろ?」
わいわいと騒ぎつつ、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。そして時刻が四時を過ぎたところで、唐突に予想外の人物がやってきた。
「なんだ、賑やかだと思ったらお前たつか」
織斑先生でした。私服姿は白いワイシャツにジーパンという行動的な人柄を表しているそれで、服の下では黒いタンクトップが豊満な胸を窮屈そうに押し込めていた。
「千冬姉、おかえり」
「千冬さん、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
すぐさま一夏は立ち上がって、織斑先生の側に行き、カバンを受け取った。
「昼は食べた?まだなら何か作るけど、リクエストある?」
「バカ、何時だと思っている。さすがに食べたぞ」
「そっか。あ、お茶でもいれようか?熱いのと冷たいの、どっちがいい?」
「そうだな。外から戻ったばかりだし、冷たいものでも____」
と、そこまで言ってから織斑先生は箒たちの羨ましそうな視線に気がついた。
「……いや、いい。すぐにまた出る。仕事だ」
「え?そうなんだ。朝に作ったコーヒーゼリー、そろそろ食べれるのに」
「また今度もらうさ、では、着替えてくる」
「あ、千冬さんのスーツなら別のを部屋に畳んで置いてありますので、秋物とかもバッグで置いてありますので」
「わかった」
織斑先生はリビングから出ていく。
「一夏、千冬さんは今日はいらないみたいだし、みんなで食べよう」
「え?でも千冬姉の分は……」
「また作ればいいさ。それに、俺たちは今日おもてなしも対してしてないし、それくらいならいいだろ」
「そ、そうね!気が利くじゃないデネブ!」
「え、でも鈴。お前コーヒー嫌いだろ?それにコーヒーゼリーは前にいらないって……」
「好きになったのよ!そ、それにせっかくのデネブの好意だし、貰わないと悪いじゃない!」
「そ、そうだな、私もコーヒーゼリーはそれなりに好きで……な、それに折角の好意なのだし、私が味見をしてやろう!」
「え?」
「そうですわね!折角ですしわたくしも、あ、味見をしてさしあげましょう!」
ちゃっかりデネブをダシにして一夏のコーヒーゼリーを食べようとする箒、鈴、セシリアの三人。当然俺たちもいただくことにした。
「なんだ、揉め事か?この家にいる限りは仲良くしろ」
そこへリビングのドアが開き、織斑先生が戻ってきた。スーツ姿がよく決まっていて格好いい、綺麗という言葉が似合うだろう。
そして織斑先生はテキパキと出かける用意をして二分足らずで玄関へ通じるドアに向かう。
「一夏、デネブ。今日は帰れないから、後は好きにしろ。ただし女子は泊まるんじゃないぞ。布団がないからな」
そう言って織斑先生はリビングから出ていった。
「緊急の仕事なのか?うーん。それじゃあ、まあ、仕方ないか」
そこへデネブがコーヒーゼリーを持ってきてテーブルに置き、全員の前に並べた。
「これは俺と一夏で作った自信作だ。千冬さん好みに作ったから、ミルクやシロップはお好みでどうぞ」
そして全員がそれぞれに必要な分を手にして、ゆっくりと食べ始める。
「ふむ、これはなかなか」
「あんたたちって男のくせにデザート作りもうまいわけ?」
「いや、デザートはデネブの方が上手だぜ。キャンディーとか自分で作っちゃうし」
「一夏も料理が上手いじゃないか」
「なんか一夏とデネブって得意分野が似てるんだな」
「ふむ、教官は毎日手料理を味わっていたわけか。羨ましいな」
「そんな大したもんじゃないって。ああ、そういやみんな何時までいる?夜までいるんなら、夕飯の食材を買ってこないと____」
「なら、夜は私が作ってやろう!何、昼とゼリーのお礼だ」
「そうね!あたしの腕前も披露してあげちゃおうかしらね」
「じゃ、じゃあ僕も作り側で参加しようかな?」
「無論、私も加わろう。軍ではローテーションで食事係があったからな、期待しろ」
「わたくしも腕によりをかけますわ!期待なさってくださいまし!」
それから買い物を終え、女子の料理を堪能してまた少し駄弁った後、みんなは帰っていった。
「じゃあ俺もそろそろ帰るよ」
「ああ、またな亜久斗。次はIS学園で」
「ああ、またな二人とも」
俺が家を出るとデネブがジュースを買ってくると言って付いてきた。俺たちは立ち止まり誰も周りにいないことを確認した。
「ほらデネブ、これを渡しておく」
「これは……」
「もし俺のいない所で、一夏が危険な目にあった時のために、それを渡しておく。デメリットなんて無いように作ったから、後は任せた」
「ああ、任せろ!一夏は俺が守るぞ」
デネブは自分の胸をドンッと叩いた。
次回、学園祭編スタート。
感想、評価待っております。それと登場させたいライダーにオリキャラも募集しています。