IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語   作:滝温泉

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こんにちは、最近色々と忙しくなってきている滝温泉こといずみです。一話~の修正、頑張ってます。でも時間がかかるかかからないかはわかりません。これでも今年から受験生なので、でも目の前の娯楽に手を伸ばして気がつけば更新しています。

今回は閑話後編です、次回からは再び原作本編ですね、原作いつになるかわからないですけど。原作六巻て日常編的なのが多いんですよね、どうしましょうか。まあそんなことより

それでは本編スタート!




六十八話 閑話:俺とヤクザ娘 後編

~東京都上野原~

 

 

「しっかり捕まってろよ!」

 

「は、はい……!」

 

「おい待て!そいつを渡せ!」

 

現在俺はひょんなことから誘拐されたヤクザ娘、宝丞アリサ少女を家に帰すためにライドベンダーに乗って石川県金沢市に向かっている。

 

当然誘拐した他のヤクザのおっさん、もといやっさんたちは俺たちを追いかけてくる。だが向こうは車、こちらはバイクなのだ、そう簡単には追い付けない。

 

「にしても、金沢市までとなるとライドベンダーだけじゃエネルギー不足だな……」

 

セルメダルはいくつかあるが恐らく足りない。もし俺が金沢市に一度でも行ったことがあればテレポートかコネクトで行けただろう。俺がウィザードライバーを所持していたのなら一度ラボに帰り、簡単な交通手段を見つけれただろう。だがそれはIFの話し、たら、ればは簡単には起こらない。

 

「だったら一度変えなきゃな」

 

「え?」

 

「なんでもない、ちょっと加速するぞ!」

 

エンジンをかけ、他の車の隙間を通り抜けてやっさんの車から離れる。取り合えずは距離を取るか隠れるのが一番。

 

「ちっ、おい!他の奴等集めろ!せっかくの人質を逃がすなよ!」

 

「「おうっ!」」

 

どうやら、更に人数が増えるらしい。ライドベンダーなら全力を出せばこんな奴等全員撒けるだろう。かといってスピードを出しすぎれば少女は降り下ろされてしまう。

 

「……!」

 

少女は俺の体にしがみついて降り下ろされないので精一杯、やはりこれ以上スピードを上げるわけにはいかない。

 

「しばらくはこのままか……宝丞、落ちるなよ!」

 

「あ、あたりまえよ!これくらいなんともないわ……!」

 

いや、腕が震えてるし時々涙声なんだけどな。

 

 

~山梨県笹子峠~

 

「ちっ!しつこいな本当に!」

 

「いやだったらとっととそのガキ置いてけ!」

 

「俺らは青森から山口、最後まで追いかけるぜ!」

 

「中途半端だなおい!」

 

せめて北海道から鹿児島くらい言えないのか。そういえばさっきと車や人が違うな。ガソリンが無くなって次の奴に交代しながら追いかせているのか、だとしたら凄い根性だな。

 

「おい」

 

「な、なによ……」

 

最初の威勢はどこえやら、完全に涙目である。

 

「一旦隠れるぞ、そろそろこのバイクも使えない」

 

「じゃ、じゃあどうするのよ」

 

「だから隠れてから考える。お前も腕が限界だろ?震えてるのがわかるぞ」

 

「だ、だれが____」

 

パンッ!

 

「きゃっ!?」

 

「おいおい、人質打つ気かよ!」

 

後ろを確認すると一つの車窓から身を乗り出して銃口をこちらに向ける男がいた。後ろから狙ったら宝丞に当たるんだぞ!

 

「お、おい。打つのはやべえよ、人質に当たったらどうすんだよ」

 

「なぁに、別に殺すわけじゃねえんだから心配ねえって、傷物にはなっちまうかもしれねえがな!」

 

「ひっ……!?」

 

……なるほど、そう来たか。

 

「……沈めておくか」

 

「え……?」

 

「大丈夫だ。お前は俺が家まで送ってやる。安心してればいい」

 

俺は金沢市に向かいながら、ライドベンダーを人気の少ない山の方へ走らせた。

 

 

 

 

~山梨県駒ヶ岳梺~

 

ライドベンダーを止めて、俺と少女は人気の無い少し町から離れた奥に進んだ。エネルギーの切れたライドベンダーは自販機に戻った。

 

「ね、ねえ、大丈夫なの?」

 

「ああ、もうすぐあいつらが来るからな。宝丞はあの小屋の中で隠れてろ」

 

「ちょっと待って!それじゃ貴方は!?」

 

「俺は大丈夫だ。早く行け」

 

「でも「そこまでだぜ、お二人さん」!」

 

声の聞こえる俺たちの後ろからは拳銃を持ったヤクザたちが三十人ほど近づいて来ていた。

 

「ちっ、結構早かったな」

 

「まあな。それより、早くそのガキを渡してもらおうか、死にたくはねえだろ?」

 

一人の男が俺に拳銃を向けた。ニヤニヤして勝ち誇った顔をしている。それも全員が、気持ち悪い……。

 

「宝丞、急いで小屋まで走れ。いいな」

 

「で、でも貴方は」

 

「大丈夫だって言ったろ?こいつらはなんとかするから、早く行け、いいな?」

 

宝丞はコクリと頷くと俺から離れて小屋へと走っていく。当然、ヤクザたちが追いかけようとするが俺が道を塞ぐ。

 

「……なんのつもりだ?」

 

「宝丞は俺が送り届けるって決めた。だから渡さない。お前たちみたいな奴等には尚更な」

 

「……そうかい、なら死ねや!」

 

バンッ!と俺に向けて弾丸が飛んでくる。だが俺には、当たらない。

俺は弾丸を避け、拳銃を持った男の鳩尾を殴った。男は泡を吹きながら倒れる。

 

「なっ!」

 

「遅いな、その程度の拳銃じゃ俺には当たらないぞ」

 

「くそがあ!」

 

今度は別の男が発砲する。だが俺はこれも避け、今度は拳銃を手から奪い、男を殴りつけて気絶させた。

 

「チャキ……」

 

俺が奪った拳銃を男たちに向けると全員が後退する。

 

「ば、ばかな……なんで当たらない!?」

 

「別に拳銃ぐらい避けるのは簡単だろ?空手やボクサーでさえできるぞ、一流ならライフルだって可能だ」

 

動体視力と反射神経。この二つが高い人間なら拳銃は軽く避けることができる。身体能力の高い俺なら尚更簡単だ。

 

「まあ、また撃たれると避けるのも面倒だし……」

 

「さっさと沈めておくか」

 

「はっ?ぐはっ!」

 

拳銃を一番出前にいた男の顔面に向けて投げつけて一人を倒す。これで残り二十八人。

 

「おらっ、よっ!」

 

「「うあっ!」」

 

次に男たちの中心に入り込み、ハイキックと回し蹴りを顔、太股に叩き込む、狙うなら骨の少ない急所。これで残り二十六人。さらに投げつけた拳銃を回収、拳銃を持っているのは残り三人。

 

「てめえ!?」

 

「声に出すのは撃ってからにしろよ!」

 

発砲しようとした男とその隣の男の拳銃に弾丸を放ち、拳銃は宙を舞い飛んでいく。

 

「くそっ!」

 

「一人なら簡単に避けれるぞ、あと学習しろ」

 

「がっ!?」

 

一人が俺に発砲してきたが斜め横から、それもまた声を出して撃ってきたから簡単に避けることができる。そのまま打ってきた男の拳銃を叩き落としたあと、後ろに回り込み手刀を首に当てる。これで残り二十五人。

 

「さあ、ここからが本番だ。かかってこいよ」

 

 

「すごい……」

 

宝丞アリサは、小屋の窓の隙間から亜久斗たちの戦闘を眺めていた。

 

亜久斗はまず拳銃を持った男たちを気絶させたあと、一人ずつ確実に倒していっていた。心臓を強く掌打することで一時呼吸停止にさせ、太股を蹴ることで立てなくする。向かって来た者は足をずらすだけでかわして転ばせ、そのまま蹴り飛ばす。圧倒的に不利な状況だが完全に亜久斗のワンサイドゲームだった。

 

「(カッコいい……)」

 

アリサはその戦いに魅了されていた。故に気づかなかった、後ろから近づく男に。

 

「きゃっ!?」

 

「へっ、油断したな!このまま連れてくぜ!」

 

アリサは抵抗し、足をばたつかせるが相手は大人の男で自分よりも力は強い。

 

「大人しくしろっ!」

 

「あっ……」

 

アリサは男に殴られ、気絶させられる。男は気絶したのを確認するとそのまま小屋から連れ去っていく。

 

「(助けて……夜霧……)」

 

 

 

 

「ぐべらっ!」

 

「さて、これで片付いたな……ん?」

 

亜久斗はこの場にいる男が全員倒れているのを確認した後、ふと違和感に気づいた。

 

「おかしい…二…十…十六…二十三…!一人足りない、まさか!」

 

亜久斗は人数が二十九人、一人だけいないことに気づいた。周りを確認すると奥に男が車に乗り込むのを確認した。後部座席にはアリサがもたれるようにしている。

 

「くそっ!待て!」

 

「!」

 

男は亜久斗に気づくとすぐにエンジンをかけて逃走した。残ったのは亜久斗と倒れている男たちのみ。

 

「くそっ!どうする……!」

 

ライドベンダーは使えない、男たちの車に乗り込む手段もあるが恐らく追い付けないだろう、それに自分はバイク免許しか持ってない。

 

「……ちっ、しょうがない」

 

亜久斗はポケットから赤いメモリを取りだした。もしもの時のために、敵が来ても対処することが出来るために持ってきていた物だ。

 

Accel!

 

メモリを鳴らすとベルトにバイクのスロットルを模したアクセルドライバーが転送される。

 

「ISは指定区域でしか使うのは駄目なんだが、今回は緊急事態だ。それにISは使ってないしな」

 

殆ど言い訳にしか聞こえない。

 

「変身!」

 

Accel!

 

メモリをアクセルドライバーの上部中央のモノスロットルに装着し、ドライバーの右グリップ部・パワースロットルを捻る。

 

そして亜久斗は赤の基本カラーに頭部には鋭利な形状となった「A」の文字、オンロードバイクをモチーフとし、フルフェイス・ヘルメットのマスクと背中、脚に車輪が装着されたライダー。仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「急がないとな……!」

 

四つん這いのような体勢となり、アクセル・バイクフォームに変形させる。そして亜久斗は去っていった男を追いかけた。

 

 

 

 

ここは普段は渋滞ばかりの高速道路、だがこの日に限っては走る車は影もなかった。

 

「へへっ、ここまで来れば大丈夫だろ」

 

男はバックミラーで横たわる宝丞の姿を確認した。だが、その後ろに目を向けた瞬間、余裕は驚愕に変わる。

 

「ゆ、幽霊!?」

 

「おい、宝丞を返せ!」

 

男の車の後ろからは、誰も乗っていないのに走り、更に喋りかけてくる赤いバイクがもの凄い速さでこちらへ向かって来ていた。

 

「ひっ、ひいぃ!」

 

男は慌ててアクセルを踏み、スピードを上げる。だが、後ろから近づいてくるバイクを振りきることは出来なかった。

 

「とっとと止まれ!」

 

もちろんこのバイクはアクセルに変身した亜久斗だ。アクセル・バイクフォームは最高速度九百二十キロを出すことが可能なのだ。

 

バイクは回り込むようにして追い越し、ブレーキをかけた。男も爆発を避けるため慌ててブレーキをかける。

 

「さて、鬼ごっこはおしまいだな」

 

亜久斗はバイクフォームから通常形態に戻す。そしてゆっくり、一歩ずつ男に近づいた。

 

「た、助けてくれ!俺がっ、俺が悪かった!」

 

男は腰をつき、後ずさりしながら命ごいをする。だが亜久斗はエンジンブレードを構えて更に近づいた。

 

「俺はお前を許す気はない、誘拐、少女への発砲をしたんだからな」

 

「ひっ!」

 

亜久斗はエンジンブレードを大きく降りかぶった。

 

「さあ、絶望がお前のゴールだ!」

 

そしてそのまま、エンジンブレードを男の横顔面に降り下ろした。男は失神して白目を向いている。

 

「……ふぅ」

 

変身を解除した亜久斗は車の中にいる宝丞を外に出した。

 

「さあ、帰るぞ」

 

 

 

 

 

 

それから亜久斗は警察に男たちをつき出した後、電話を使いラボにいるモモタロスたちからセルメダルを転送してもらい、ライドベンダーで宝丞を家まで送り届けた。

 

「ほら、後は自分で行けよ?」

 

「わ、わかってるわよ……夜霧」

 

「ん?」

 

「……ありがとね」

 

チュッ

 

「……え?」

 

亜久斗の頬に柔らかい唇が触れ、リップ音が鳴った。亜久斗は何をされたのか理解した、キスだ。

 

「か、勘違いしないことね!こ、これは…そう、お礼よ!助けてくれたお礼!それじゃあね!」

 

宝丞はそれだけ言うと、家に向かって走っていった。

 

「ワォ……帰るか。まだ寮は開いてるよな」

 

亜久斗は頬の感触を確かめると、再びライドベンダーを走らせた。結局、時間こそは間に合ったものの、不機嫌になった楯無を宥めるのに時間を取ることになるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、会えるかしら……?」

 

騒がしい家の中で、ふと呟いた少女の頬は赤くなっていた。次に会うのは、早いかもしれないし、遅いかもしれない。または会えないことだってある。だが、少女の胸は会いたいという思いでいっぱいになっていた。

 

「ふふ、私を惚れさせた罪は重いわよ、夜霧?」

 

 

 

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