IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語   作:滝温泉

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六話 食堂&教室にて

 

「なあ」

 

「「…………」」

 

「なあって、いつまで怒ってるんだよ」

 

「……怒ってなどいない」

 

「顔が不機嫌そうじゃん」

 

「生まれつきだ」

 

「………」

 

俺は今、食堂で食事をとっている。ちなみに注文したのは肉うどんと野菜の天ぷら。IS学園の学食は今まで通ってきた学校の給食なんかよりも旨く、食べた十人中十人が旨いと言えるほどだ。

 

この雰囲気さえなければだが。

 

俺は食堂にIS学園の一年生。女子全員が集まっている中、一夏に箒と共に朝食取っている。だがこの二人、朝出会った時からずっとこの調子なのだ、一夏は箒に声をかけて会話を広げようとしているが箒は不機嫌な顔で食事を取っている。

 

「箒、これうまいな」

 

「………」

 

……はあ、しょうがない。そんな顔で食事を取られたらこっちの料理の味が悪くなる。

 

「あのな箒、食事は一期一回、毎回毎回大事にしろ。そんな不機嫌そうな顔で食べてても、味なんてわからないぞ」

 

「……私は怒ってなどいない」

 

……駄目だ。俺が天の道を往き、総てを司る男の名言を使っても対して効果がなかったようだ。というか、今更だが何故箒は不機嫌なんだろうか。

 

「おい、一夏」

 

「ん?」

 

「何故箒不機嫌なんだ、原因を知っているか?」

 

「………」

 

原因はこいつか……。絶対昨日、一夏と箒の間に何かがあったな。だが俺と一夏が別れてから今日までの間に会う時間は恐らく無かった筈だ、ならばこの二人は同室だったのだろうか。そしてその時に何かがあったというのが自然だな。まあ後で聞けばいいか。

 

「ねえねえ、彼らが噂の男子だって~」

 

「なんでも千冬様の弟らしいわよ」

 

「えー、姉弟揃ってIS操縦者なの?ならやっぱり彼も強いのかな?」

 

「ならもう一人の男子はどうなんだろ?」

 

そしてこの問題の次がこれだ。周りでは女子が一定の距離を保ちつつ俺たちを遠回しに見ている。言わば『私達興味津々ですよ。でもがっつきませんよ』という感じ、視線に包囲されながらの食事というのはいささか良いものでは無いがここで全員に注意するのもきついからこの視線は無視でいいだろう。

 

「だから箒____」

 

「な、名前で呼ぶなっ」

 

「篠ノ之さん」

 

「………」

 

なんなんだろうか。一夏が名前で呼んだら呼ぶなといい、名字で呼んだらまた不機嫌な顔になった箒。女子というのはやっぱりよくわからないものだ。

 

「お、織斑君、隣いいかなっ?夜霧君もっ」

 

「へ?ああ、別にいいけど」

 

「俺も構わないぞ」

 

声のした方にはトレーを持った女子が三名、そして俺たちが了承するとその子たちは安堵の息を漏らし、後ろの女子は小さくガッツポーズをした。そして周囲からはざわめきが聞こえる。

 

「ああ~っ、私も早く声をかけておけばよかった……」

 

「まだよ、まだ二日目。大丈夫、まだ焦る段階じゃないわ」

 

「昨日のうちに部屋に押しかけた子もいるって話だよー」

 

「なんですって!?」

 

そういえば、昨日合計でおよそ四十人ほど部屋に自己紹介をしに来ていたな。中でも二年生の人が一番多かった気がするが、寮官注意されなかったのか。おまけに……いや、これはよしておこうか。

 

その女子三人は、予め座る席を決めていたかのように非常にスムーズに席に着いた。一夏の隣に一人、俺を挟むように二人座った。これで六人掛けのテーブルの席全てが埋まることとなったわけだ。

 

「うわっ、織斑君って朝すっごい食べるんだー」

 

「夜霧君も、お、男の子だねっ」

 

「俺は夜少なめに取るタイプだから、朝取らないと色々きついんだよ」

 

「確かに夜は消費するカロリーが少ないから、朝は多め、夜は少なめが体型維持などにはちょうどいいかもな。あくまで適度にだが」

 

「「「た、体型……」」」

 

「ていうか、女子って朝それだけしか食べないで平気なのか?」

 

三人のトレーに乗せられたメニューは、飲み物一杯にパンが一枚、おかずが一皿だけ、男から見たら明らかに少ないようにしか見えない。

 

「わ、私たちは、ねえ?」

 

「う、うん。平気かなっ?」

 

「お菓子よく食べるしー」

 

間食はほどほどにしろよ。

 

「……織斑、私は先に行くぞ」

 

「ん?ああ。また後でな」

 

箒は席を立って食堂からさっさと行ってしまった。一夏の呼び方が名字になっていたな、本当に何故不機嫌なんだろうか。

 

「織斑君って篠ノ之さんと仲がいいの?」

 

「お、同じ部屋だって聞いたけど……」

 

あ、やっぱり同じ部屋だったのか。なら恐らくだが、俺の予想も当たっている筈だ、中身は知らないがな。

 

「ああ、まあ幼馴染みだし」

 

周りからは「幼馴染み」という単語に反応して『え!?』という声が聞こえてきた。

 

「え、それじゃあ____」

 

と、一夏の隣の女子(名前は知らん、自己紹介の時聞いていなかったからな)が質問しようとしところで、突然手を叩く音が食堂に響く。そこには俺たちの担任、織斑先生の姿が。

 

「いつまで食べている!食事は迅速に効率よく取れ!遅刻者はグラウンドを十周させるぞ!」

 

そして織斑先生の声が食堂内に響いた後、他の女子全員が慌てて食事の続きに戻った。なんせこのIS学園、グラウンドが一周五キロある、ここで走り続ければマラソンが余裕でクリアできるだろう。

 

まあ俺は食事を既に食べ終わっていたので、先にトレーと皿を片付け、教室に向かった。

 

 

 

 

「…………」

 

二時間目が終わった時点で、一夏はグロッキー状態、俺は暇になっていた。といっても、それはISの基本を既に知り終えていたからであるから、半年もすればまたわからないところが出てくるのだろうが。

 

でも一応授業は聞いている。ノートとかはしっかり取らないといけないしな。

 

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られているので、操縦者の全身を特殊なバリアエネルギーで包んでいます。また、生体機能も補助する役割があり____」

 

駄目だ。いい加減暇を通り越して退屈になってきた。ここは何か別のことを考えて授業を過ごそう。

 

 

 

 

「ねえねえ、織斑君さあ!」

 

「はいはーい、質問しつもーん!」

 

「今日のお昼ヒマ?放課後ヒマ?夜ヒマ?」

 

さて、あれから俺の脳内での「第二百二十一回、昭和対平成ライダー!」も終了して休み時間となった。そして現在俺と一夏はクラスの女子の半数以上に質問攻めをされている。まあできる限りは答えているがな。

 

ちなみに、昭和対平成でV3対カブトを想像していた。クロックアップの瞬間にV3バリアーを張ることが出来れば勝てるだろうが牽制を入れたら攻撃できるのでカブトの勝ちという判断になった。

 

「千冬お姉様って自宅ではどんな感じなの!?」

 

「え。案外だらしな____」

 

パアンッ!

 

「休み時間は終わりだ。散れ」

 

いつの間にか一夏の背後にいた織斑先生の出席簿によって織斑は自分の机に頭を沈めることとなった。なんと言おうとしていたのだろうか、一夏よ。

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」

 

「へ?」

 

「予備機がない。だから少し待て。学園で専用機を用意するのだそうだ」

 

「???」

 

あ、こいつわかってないな。首をかしげているからわかる。

 

「せ、専用機!?一年の、この時期に!?」

 

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」

 

「ああ~。いいなぁ……。私も早く専用機欲しいなぁ」

 

「織斑。わかっていないようだな。教科書六ページ。音読しろ」

 

「え、えーと……『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS二百六十七機、その全てのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これは完全にブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。しかし博士はコアを一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引することはアラスカ条約第七項に抵触し、全ての状況下で禁止されています』……」

 

「つまりそういうことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

 

「な、なんとなく……」

 

ここでわからない人のため、簡単に説明しよう。つまり話をまとめると、

 

・ISは世界中で四百六十七機しか存在しない。

 

・コアは開発者である篠ノ之束博士以外製作不可能であり、本人がこれ以上作らないために増えることもない。

 

・一夏が男性操縦者ということなので政府の人たちから実験台としてISが渡されることとなった。

 

ということだ。ちなみに篠ノ之博士というのは俺が昔助けた人のことだ。※詳しくは一話を読んでくれ。

 

にしても、俺は束さんからコアを渡されたんだが、登録してある四百六十七個の内の一つなのだろうか?非常に気になる。

 

「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか……?」

 

「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

 

さらりととんでもない爆弾投下したなこの担任。個人情報保護法案というのを知らないのかあんたは、そんなことを言ったら……。

 

「ええええーっ!す、すごい!このクラス有名人の身内が二人もいる!」

 

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!?やっぱり天才なの!?」

 

「篠ノ之さんも天才だったりする!?今度ISの操縦教えてよっ」

 

こうなるに決まっているじゃないか。たたでさえ噂や事件に興味津々なお年頃な女子の前で言ったらその中心となる人物へと人は群がっていくものだ。現に、クラスの女子のほとんどが箒の元にわらわらと集まっている。例えるならインペラーのファイナルベントのように。※知らない人はwikiで調べてみよう!

 

「あの人は関係ない!」

 

突然の大声、全員が何が起こったかわからないような表情になった。

 

「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」

 

そう言うと、箒は女子から顔を背けるように窓の外に顔を向けた。女子は盛り上がったところに冷水を浴びさせられた気分のようで、それぞれ困惑や不快を顔にして席に戻った。

 

箒は束さんを嫌っているようだ。簪のような天災の姉と自分を比べられたコンプレツクスなのだろうか、はたまた別の何かなのか?

 

「さて、授業を始めるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

いや、織斑先生。こうなった原因は貴女だろう、何故何事もなかったかのように始められるんだ。

 

「」

 

「」

 

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