IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語   作:滝温泉

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みなさんこんにちは、滝温泉こといずみです。指摘やら感想やらで感想欄が増え、評価も貰えました、嬉しいです。
今回はシャルロットと亜久斗のデート回。もちろん他のキャラも出ますよ。

それでは本編スタート!



七十三話 日曜Wデートショッピング午前十時

日曜日の晴れ、駅前のモニュメントには一人の乙女がいた。

 

「(髪、変じゃないかな?もう一回見ておこうかな)」

 

約束の四十五分前にはすでに到着していたシャルロットは、そわそわと一夏を待ちながら十二回目になる前髪チエックを始める。

 

取り出した手鏡は輪島塗の二つ折りで、先日インターネット通販で直感的に購入したものだった。描かれているのは満月とススキが丘で、今の秋の季節にはぴったりである。

 

「ん……(なんか決まらないなぁ……)」

 

前髪を右に左にちょんちょんいじりながら、シャルロットは小さくうなり声をあげる。

 

先程から髪をいじってはいじり直すシャルロット。だが実際は気になるほどの差はないのだが、なぜだか今日はそんな気分のシャルロットなのだ。やはり、好きな男の子には百パーセントの自分を見てもらいたい。そう願うのは至極当然のことである。

 

「(でも、さすがに早く来すぎたかなぁ)」

 

手鏡をしまったシャルロットは、右手首の腕時計を確認する。約束の時間まではまだ四十分以上あった。

 

「(ふぅ……。気合い入りすぎたかな。ちょっとリラックスしよっと)」

 

にこっと笑顔の練習をするシャルロット。だがしかし、運の悪いことに、その笑みの先には見るからに『遊び人』といった風体の男が二人いた。その二人はシャルロットを見ると近づいて来た。

 

「ねえねえ、カーノジョっ♪」

 

「今日ヒマ?今ヒマ?どっか行こうよ~」

 

この場に日本人の四十年代以降男性がいたならば、十人中九人はこう思うだろう。

 

古い。

 

ナンパの世代が古い。古過ぎる。お前たちはいつの時代の不良だ、ヤンキーだ。いくら今の時代、容姿のいい男性が女性から多く愛される時代だとはいえ、ナンパにカーノジョっはない。はっきりいってダサイ。そう思うだろう。

 

閑話休題

 

「約束がありますから」

 

「えー?いいじゃん、いいじゃーん、遊びに行こうよ」

 

「俺、車向こうに駐めてあるからさぁ。どっかパーッと行こうよ!フランス車のいいところいっぱい教えてあげるからさ!」

 

フランスの____というところで、ぴくりとシャルロットが反応した。

 

「日本の公道で燃費の悪いフランス車ですか。ふぅん」

 

拒絶百パーセント、作り笑顔マックスのシャルロットが吐いた毒に、二人の男が若干たじろぐ。

 

「(あーあ、やんなっちゃうなぁ……。せっかくの亜久斗とのデートなのに……)」

 

男たちをどういう風に撃つかを想像して、五回ほど虐殺のイメージをする。そんなシャルロットの表情を『脈アリ』に見えたらしい男のひとりが、その肩に手を置こうと伸ばした。

 

「はいストップ」

 

「いでででででっ!?」

 

その手がシャルロットの肩に触れる瞬間、横から男の手首を捕まれ、関節を決められた。シャルロットが声の方を見ると、そこには自身の思い人、亜久斗がそこにいた。

 

「まったく、人の連れを何汚そうとしてんだ?香水の匂いきつすぎたぞ。それに勝手なボディタッチは今時猥褻(わいせつ)罪で捕まるんだぞ?」

 

「な、な、ななっ……!?」

 

「亜久斗っ!」

 

颯爽と現れた亜久斗は、悪の魔の手から自分を守ってくれた!

 

……というのはまあ、多少言い過ぎかもしれないが、シャルロットの瞳には亜久斗の横顔がキラキラと光って見えたのだから仕方ない。

 

「お、おい!何だよお前!離し___!」

 

「げふっ!」

 

「あがっ!」

 

混乱しながら相方を助けようとして男は亜久斗に殴りかかる。が、その拳が顔に届く前に関節を決めていた男を離して地面に蹴りつけ、殴りかかって来た男を一本背負いで地面に叩き付けた。

 

「俺か?まあ簡単にいうならこの娘の騎士(ナイト)だ。他人のお姫様にちょっかいだすなよ軽男」

 

亜久斗は叩き付けた男の顔を立ったまま除き混み、軽く睨み付けながらそういった。

 

「(す、凄い!王子様みたい!)」

 

その様子を、ぼーっと見とれるシャルロットだった。

 

 

 

 

「女性に対する強引な勧誘は条例違反だ。ほら、とっとと歩け!」

 

「いっ、いたたたたたた!痛いって!?」

 

「なんで腕じゃなくて襟を掴むんだよあんた!?」

 

「俺に質問するな!」

 

そう言われてチャラ男A&Bは赤いスーツを着た警部らしき男に駅内の派出所へと連行されていく。

 

「(照井竜にしか見えない……)」

 

その様子を俺は少し見つめていた。

 

「悪いなシャル。俺が遅れた性で不愉快な思いしただろ?」

 

「う、ううん。まだ時間前だし……。それに助けてくれてありがと。亜久斗が来てくれたから全然不愉快な思いなんてしてないよ?」

 

「そうか、ありがとなシャル」

 

なんて健気なんだろうかシャルは、約束よりも三十分も前とはいえ女子を待たせてしまったと言うのに。

 

「じゃあ行くか。ショッピング」

 

「うん♪」

 

俺たちは駅舎のショッピングモールへと歩き出した。

 

「なあ、シャル。その服よく似合ってるな」

 

「そ、そう?ありがと。亜久斗の服もよく似合ってるよ」

 

「ありがとな。……手でも繋ぐか?」

 

「え!いいの!?」

 

軽い冗談のつもりでそう言うと、シャルはこっちを見て大きな声でいった。

 

「あ、ああ。構わないけど……。声がちょっと大きい」

 

「あっ、ごめん……」

 

シャルが大きな声を出したことで、周りから見られて注目されてしまった。日曜日の駅舎というのは、平日休日問わず人が多い。

 

「じゃあ、繋ぐか」

 

「うん、それじゃあ……失礼します」

 

そんな畏まらなくても……。

 

「♪」

 

まあ、こんな上機嫌で俺の手を握ってくれてるのにそれを言うのは野暮だな。にしても、男女が二人でショッピングか。デートみたいだな」

 

「え!?あ、う、うん。そうだよね、デートだよね!」

 

……まさかの声に出ていたパターンかよ。やっちゃったよ。恥ずかしすぎるぞ俺。

 

「ま、まあ。とりあえず、どこからまわる?」

 

「え、え、えっと、あそこ!」

 

わたわたと慌てるシャルが見もせず指を指したのは、まさかの女性用下着売り場だった。

 

「……いや、さすがにあそこは俺が入ったらマズイだろう」

 

「え?……ご、ごめん!間違い!違うの!違うから!」

 

「あ、ああ、わかった」

 

さすがにこの事態にはシャルだけでなく俺も顔が赤くなってしまう。俺はちらりと下着売り場の方を見る、すると、そこには見知った顔があった。

 

「ん?」

 

「ど、どうしたの?亜久斗」

 

「いや、ちょっとな……。おーい、一夏ー!」

 

下着売り場のコーナーには、私服姿の一夏と、赤みがかかった茶毛の髪の女子ともう一人、だがそのもう一人は影になっていてよく見えない。

 

「え?……おお!亜久斗、シャルロット、どうしたんだ?」

 

「え!?」

 

「やあ一夏。両手に花だね」

 

「よ、一夏。誰だその子、もしかして彼女か?」

 

「か、かのっ!?」

 

俺とシャルが多少にやつきながらそういうと、赤茶毛の髪の女子は顔を赤める。一夏も少し顔を赤くして否定する。

 

「違う違う、この子は俺の親友の妹。五反田蘭だ」

 

「ど、どうも、五反田蘭です。こんにちは、それとこっちが……」

 

赤茶毛の髪の女子は五反田蘭というらしい、一夏は否定しているが恐らく脈アリの女子なんだろう。顔の赤らみが引いていない。

 

「つい最近に私と同じ聖マリアンヌ女学園に転入してきた宝丞アリサちゃんです」

 

………え?

 

「ひ、久しぶりね、夜霧。宝丞アリサよ」

 

そこには、可の一件でヤクザたちから助けた時に知り合った少女。宝丞アリサがいた。

 

「え…宝丞?なんでこんなところにいるんだ?お前の家って金沢じゃ……」

 

「そ、そうよ。でも前のこともあってこっちに転入してきたのよ。お父様もいい機会だって言ってたしね」

 

「そうだったのか……」

 

「え?何々?アリサちゃんと知り合いだったんですか?」

 

「え?この子亜久斗と知り合いだったのか?」

 

「ああ、まあ前にちょっと……な。まあ夜霧亜久斗だよろしく、それでこっちが俺のクラスメイトのシャル。フランスの代表候補生だ」

 

「シャルロット・デュノアです。よろしく、蘭ちゃん、アリサちゃん」

 

俺の隣にいるシャルが二人に挨拶する。にこっと少女純度百パーセントの笑みが眩しい。

 

「で、蘭は来年IS学園受けるんだってさ。俺たちの後輩になる予定なんだよな」

 

「は、はい!そうです!ぜひご教授のほどよろしくお願いします!」

 

五反田はびしっと九十度のおじきをしてわずかに顔を上げる。

 

「宝丞はどこの高校受けるんだ?やっぱりIS学園か?」

 

「そ、そうね。まだそこまで考えてないけど、IS学園に入ろうかしら。私が受かったら、ご、ご教授…頼むわよ」

 

「はは、わかったよ」

 

最後の方が顔を赤らめながらうつむいて言うので妙に可愛らしい。これがギャップ萌えなのか……。

 

「むぅ……」

 

「そうだ。あのチケットまだいけたはず。蘭、ケータイ持ってる?」

 

「は、はひっ!」

 

声が裏返っているぞ、五反田よ。一夏と五反田は取り出したケータイをダイレクト接続に切り替え、チケットデータの転送を行う。

 

「これって……」

 

「今月行われる『キャノンボール・ファスト』の特別指定席。見たいだろ?」

 

「あっ、はい!ぜひぜひ!」

 

ああ、そういえば今回のキャノンボール・ファストも学園祭と同じように一人一枚チケットが渡せるんだっけな。だったら今回はイマジン'sの誰かにでも……。

 

「………」ジー

 

「………」

 

……視線を感じる。主に俺の前にいる宝丞から、キラキラとした目で俺を見ないでほしい。

 

「宝丞、よかったら『キャノンボール・ファスト』の特別指定席のチケット、いるか?」

 

俺がそう言うと宝丞はキラキラとした目でジーっと見るのを止め、こほんと一息つく。

 

「ま、まあ。別に私はどちらでもいいのだけれど、夜霧がそこまでいうのなら行ってあげるわよ」

 

「そうか、じゃあ携帯持ってるか?」

 

「それぐらい持ってるわよ」

 

俺と宝丞はお互いに携帯を取り出して、さっき一夏と五反田がやっていたようにダイレクト接続に切り替えてチケットを転送する。ついでに番号交換もしたが。

 

「よし、完了」

 

「あ、あの!今日一緒にまわってもいいですか!?」

 

「うん」

 

「夜霧!私も一緒にまわってあげるわよ!べ、別に私が行きたいとかじゃないのよ、ただ付き添ってあげようと思っただけなのよ!本当なんだから!」

 

「ああ、別にいいぞ、シャルもいいか?(ツンデレか……)」

 

「うん、別に構わないよ(ツンデレだね)」

 

「じゃ、みんなで色々見て回るか!」

 

一夏ののんきな声に女子一同はこくんと頷き、一夏の右に五反田、俺の左右にシャルと宝丞が並んだ。

 

これってダブルデート?それともトリプル?

 

 

 

 

ここはショッピングモール内の時計店。その中で俺とシャル、宝丞は一夏とは少し離れた所に飾ってある時計を見ていた。買い物の途中で一夏の誕生日プレゼントをこの場で買うことになり、更には俺の腕時計も買うことになった。

 

「なあ、アナログ時計とデジタル時計。どっちがいいと思う?」

 

「う~ん、やっぱりアナログがいいと思うよ。デジタル時計は日の光で見えにくくなると思うし、アリサちゃんはどう思う?」

 

「え、えっと、私もアナログ時計でいいと思うわ。た、例えば、これとかどうかしら?」

 

そう言って宝丞が手に取ったのはゴールドと黒っぽいバイオレットを基準とした金属製の腕時計だった。時計の所々に黒紫のラインが入っておりΧの模様の金属が四つほど取り付けられている。

 

この時計を見るとカイザを思い出す。Φとは違うΧをモチーフとしたデサインには一時期心引かれたも。

 

「確かにカッコいいな。ありがとな二人とも、選んでくれて。元はシャルの買い物の付き添いだったのに」

 

「う、ううん。いいよ、僕はもう服とか買ってもらっちゃったし」

 

「わ、私もネックレス買ってもらったし、お礼に選んであげただけよ……」

 

「はは、ありがとな」

 

それから一夏の腕時計も探し、会計してもらった所で十二時となり、俺たちは近くの店で昼食を取ることにした。

 

 

 

 




入りきらなかったのでもう少しデート回は続きます。人数増えてデートと呼べるかわかりませんが(笑)

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