『IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語』をお気に入りに登録してくれている方々、感想を書いてくれている方、本当にありがとうございます。作者からのお願いなのですが出来れば評価が欲しいです。これからも頑張って行きますのでよろしくお願いします。
それでは本編スタート!
「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思ってなかったでしょうけど」
一夏に専用機が与えられることになった数時間後の休み時間(昼休みともいう)。授業が終わって早速一夏の席にオルコットさんがやってきて、腰に手を当ててそう言った。結果としては丁度そこにいた俺も話に混ぜられてしまい、昼飯を食べに行くのを邪魔されたんだがな。
律儀にさん付けをするのは止めた方がいいんだろうか、一夏なんてもはや呼び捨てを通り越して名前呼びだしな。……別にいいだろう、そういうことにしておこう。
「まあ?一応勝負は見えていますけど?さすがにフェアではありませんものね」
「?なんで?」
「あら、ご存じないのね。いいですわ、庶民であるあなたたちに教えて差し上げましょう。このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」
「「へー」」
「……馬鹿にしてますの?」
こいつは俺の自己紹介を聞いていなかったのだろうか。自分でも庶民とは程遠い自覚しているのに、朝に寝坊したらキバットバットlll世やらフードロイドたちが起こしにきてくれるんだぞ?ライダー好きにはたまらない特権だろう。まあそれ以前に社長だしな。
「いや、すげーなと思っただけだけど。どうすげーのかはわからないが」
「それを一般的に馬鹿にしていると言うのでしょう!?」
バン!と両手で机を叩くオルコット、その性で一夏のノートが机から落ちた。拾っておこう。
「おいオルコット、落ち着けサプリメントをやるから。イライラするのならカルシウムを取った方がいいぞ」
「余計なおせわですわ!」
余計怒らせたようだ。どうやら相当ご立腹の様子。
「……こほん。さっき授業でも言っていたでしょう。世界でISは四百六十七機。つまり、その中でも専用機を持つものは全人類六十億超の中でもエリート中のエリートなのですわ」
「だとしたら、俺たちもそのエリートなんだろうな。よかったな一夏、エリートの仲間入りだぞ」
「何故あなたたちのような男が!?」
「さっき自分で言っていただろう。簡単に言えば専用機を持っている人類がエリート、つまり政府から専用機が貰えるこいつはエリートということになる。違うか?」
「っ!で、ですが。貴方は専用機を持っていないのでしょう?」
「話聞いてたか?俺も専用機くらいは持っているぞ、ほら」
俺はベルト型の待機状態の専用機をオルコットに見せてやる。勿論ウィザードライバーではなく、れっきとした専用機をな。
「ふ、ふん。まあ。どちらにしてもこのクラスの代表にふさわしいのはこのわたくし、セシリア・オルコットであるということをお忘れなく」
ぱさっと自分の髪を手で払って綺麗に回れ右をして、オルコットは俺たちのもとを去っていった。結局何がしたかったのか。
一夏はオルコットが去っていくと、箒のもとへと向かっていった。
「箒」
「………」
「篠ノ之さん。飯食いに行こうぜ」
先程の一件ですっかり浮いてしまった箒をフォローしているのだろうか。
「他に誰か一緒に行かないか?」
「はいはいはいっ!」
「行くよー。ちょっと待ってー」
「お弁当作ってきてるけど行きます!」
……一夏よ。さすがに浮いたばかりの状態の箒にそんなにたくさんの人と食事にいかせるのは無理があると思うぞ。
「……私は、いい」
ほらな。
「まあそう言うな。ほら、立て立て。行くぞ」
「お、おいっ。私は行かないと____う、腕を組むなっ!」
箒の腕を自分の腕と組ませて無理矢理立たせる一夏、箒は顔を赤くして照れているせいで嫌がっているのかわからない。
「なんだよ歩きたくないのか?おんぶしてやろうか?」
「なっ……!」
一体いきなり何を言っているのだろうかこいつは、本当に。女子高校生に向かって気軽におんぶしてやろうか?なんて言える奴を見たのは初めてだ。
「は、離せっ!」
「学食についたらな」
「い、今離せ!ええいっ____」
そこからの箒の行動は速かった。掴んでいた一夏の肘を中心に曲げ、そのまま床に投げ飛ばした。喰らった一夏は痛っという声と共に背中から倒れていた。
「腕あげたなぁ」
随分と平気そうだなぁ。
「ふ、ふん。お前が弱くなったのではないか?こんなものは剣術のおまけだ」
古武術をおまけ扱いしているのはお前くらいだろうな。にしても、中々の技だったな。
「え、えーと……」
「私たちやっぱり……」
「え、遠慮しておくね……」
一夏のお陰で集まった女子たちがさーっと退散していった。一夏は体を起こしに、体についた埃をぱんぱんと払っている。対して箒は自分は悪くないと言いたげに腕を組んでそっぽを向いていた。
「箒」
「な、名前で呼ぶなと____」
「飯食いに行くぞ」
がしっと、今度は男らしく箒の手を掴む一夏。
「お、おいっ。いい加減に____」
「黙って俺についてこい」
「む、むぅ……」
どうでもいいが、俺ってさっきから空気になってないか?
◆
はい、そんなわけで学食到着。昼休みということなので物凄く混んではいるが、なんとか座れそうだ。
「箒なんでもいいよな。何でも食うよなお前」
「一夏……さすがにそれは女子に失礼じゃないか?」
「そ、そうだぞ。私にも好みがある」
「ふーん」
流すな。
「あ、日替わり三枚買ったからこれでいいよな。鯖の塩焼き定食だってよ」
「話を聞いているのかお前は!」
十中八九、聞いていないな。ちなみに俺は鯖は味噌煮派だ。
「聞いてねえよ。俺がさっきまでどんなに緩和に接してやってると思ってんだ馬鹿」
女子の腕を強引に組ませて学食まで連れて行こうとする姿はちっとも緩和には見えなかったがな。
「お前、友達できなかったらどうすんだよ。高校生活暗いとつまんないだろ」
それはごもっともだ。
「わ、私は別に。……頼んだ覚えはない!」
それもごもっともだ。
「俺も頼まれた覚えはねえよ。あ、おばちゃん、日替わり三つで。食券ここでいいんですよね?」
いつの間にか俺の昼飯まで決められているな。俺は味噌煮派なのに。
「いいか?頼まれたからって俺はこんなこと、普通はしないぞ?箒だからしてるんだぞ」
「うわっ、格好いい台詞」
思わず口に出てしまった。
「な、なんだそれは……」
「なんだもなにもあるか。おばさんたちには世話になったし、幼馴染みで同門なんだ。これくらいのお節介はやらせろ」
「そ、そうか……。その、ありが___」
「はい、日替わり二つお待ち」
……空気読めよ、おばちゃん。
「ありがとう、おばちゃん。おお、うまそうだ」
「うまそうじゃないよ、うまいんだよ」
「そ、それは楽しみだな。なあ、二人とも?」
「ああ。箒、テーブルどっか空いてないか?」
「………」
「箒?」
あーあ。また不機嫌になっちゃったよ。俺は重苦しい空気でしか食事できないのか……?
「……向こうが空いている」
一夏の手を振り払い、自分の分の日替わり定食を手にした箒はすたすたと空いている席に向かう。
「……ドンマイ」
「……何であいつ怒ってんだ?」
知るか。
◇
「そういやさあ」
「……なんだ」
「どうした?」
一夏は鯖の身をほぐしながら話をする。それを箒は味噌汁を、俺は豆腐を口にしながら聞く。
「二人とも、ISのこと教えてくれないか?このままじゃ来週の勝負で何も出来ずに負けそうだ」
「くだらない挑発に乗るからだ。馬鹿め」
「そこまで言う必要はないだろう?にしても、確かにISの知識が全体的に足りない一夏にはきついかもな」
「亜久斗はISについて詳しいのか?だったら教えてほしいんだが」
「まあ、父さんと母さんの仕事がIS関連だからな。まあ別に教えるのは_____」
「ねえ、君たちって噂のコでしょ?」
俺がいいかけている途中で、隣から女子の声で阻まれた。見ると、赤色のリボンをしているので三年生のようだ。
「はあ、たぶん」
「多分じゃないだろうな。絶対」
俺たちが返事をすると、その先輩は見事に自然な動きで一夏の隣の席に座った。
「代表候補生のコと勝負するって聞いたけど、ほんと?」
「はい、そうですけど」
「でも君、素人だよね?IS稼働時間はいくつくらい?」
「いくつって……二十分くらいだと思いますけど」
「俺は試験を受けれなかったから、一夏とは違うだろうな」
嘘は言っていない。実際は結構前からISは動かしていたし、仮面ライダーに至っては一日三回は変身していた。ここで本当のことを言うと、色々と厄介なことになるので、こういう言葉を使わせてもらった。
嘘は言ってない。だって一夏とは稼働時間が全然違うから。
「それじゃあ無理よ。ISって稼働時間がものをいうの。その対戦相手、代表候補生なんでしょ?だったら軽く三百時間はやってるわよ」
三百÷二十四=約十二日分ほど。一日四時間稼働していたとして七十五日。悪いな、俺の方が多い。
「でさ、私が教えてあげよっか?ISについて」
一夏に身を寄せてくる先輩。一夏としてはありがたい話なのだが俺はそうでもない。別に教えてもらわなくても殆どわかりきっているし、何より実戦訓練が会った場合、俺の動きを不信に思うだろうからな。できれば断りたい。
「結構です。私が教えることになっていますので」
そんなとき、食事をしていた箒がそのままそんなことを言い出した。ん?お前が教えることになってたっけ?
「あなたも一年でしょ?私の方がうまく教えられると思うなぁ」
「……私は、篠ノ之束の妹ですから」
さっき自分で私と姉は違うと言ってなかったか?これでは虎の衣を借りる狐だな。
「篠ノ之って_____ええ!?」
「ですので、結構です」
まあ、これで先輩が諦めてくれるのなら俺としてはラッキーなんだが、なんかな……。
「そ、そう。それなら仕方ないわね……」
先輩は驚き、たじろぎながら軽く引いた感じで行ってしまった。一夏はそんな箒をじーっと見ている。
「なんだ?」
「なんだって……いや、教えてくれるのか?」
「そう言っている」
大丈夫だろうか?
「今日の放課後」
「ん?」
「剣道場に来い。一度、腕がなまってないか見てやる」
「いや、俺はISのことを____」
「見てやる」
「……わかったよ」
同じ言葉を繰り返し、異論を認めんとする箒。一夏はその姿に折れた。
「一夏」
「ん?」
「もし、どうしても必要だったら俺の部屋に来い。ISのことを理論だが教えてやる」
「……そうする」
案の定、放課後の食事後に一夏は俺の部屋にISのことを教えてくれといいに来た。
最後の方にしか主人公のセリフがない件について……。