IS 楽しむことは忘れない 転生者の物語   作:滝温泉

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「お前楽して助かる命はないって言ったな、タダで助かる命もないんだよ!」
                            アンク


八十二話 雑誌

「やっほー、織斑くん。篠ノ之さん」

 

翌日の二時限目終了後の休み時間、一年一組の教室に現れたのは二年の黛薫子先輩だった。呼ばれた一夏と箒が黛先輩に寄っていった。

 

「なんだと思うあれ?」

 

「恐らく……雑誌関係だと思うぞ」

 

「「雑誌?」」

 

リュウヤとシゲルが首をかしげながら俺の隣に立った。丁度一夏たちが見える方を向きながら。

 

「ISの専用機持ちって言うのはその大半が国家代表か候補生に絞られている。だからモデルやアイドルのようにタレント的な事をすることがあるんだ」

 

「へー、じゃああの黛先輩はその出版社の知り合いとかか?」

 

「ああ、そんなとこだな。あの人の姉黛渚子(まゆずみなぎさこ)さんが『インフィニット・ストライプス』の副編集長を務めているからな」

 

「なるほどなるほど、じゃあ今一夏たちはその許可を解任している最中ってことだな」

 

「可能性の話だからな」

 

そのときに鈴が教室に入って来た。話に割って入ると一夏の首を引っ張って自分の携帯電話の画面を見せている。

 

「……あの様子だと鈴もやったことあんのかな?」

 

「たぶんそうだろな。あ、次の授業内容確認してかないと」

 

「亜久斗も自分の席に着けよ」

 

「ここ俺の席なんだが?」

 

「わかってるって、ただボケて見ただけだぜ」

 

リュウヤたちが席に着いた丁度休み時間終了を告げるチャイムが鳴り響いた。黛先輩は自分の教室に、一夏と箒は自分の席に戻るが鈴だけは気づかず画面を見せるのに夢中に……織斑先生の拳骨が炸裂して頭を押さえながら教室に戻っていった。

 

「さて、今日は近接格闘における効果的な回避方法と距離の取り方についての理論講習を始める」

 

そしていつも通りの授業が始まった。織斑先生の行動に慣れてしまった俺はおかしいのだろうか?……いやまだ大丈夫な筈だ。

 

 

 

 

四時限目が終わり俺たちは食堂での食事を行っていた。ちなみに俺のメニューはレバニラ炒めとコロッケのセット、箸が進むな。隣にはリュウヤとシャルが座っている。

 

その途中でシャルがおもむろに口を開いた。

 

「そういえば一夏、二時限目の後黛先輩と何話してたの?」

 

「ん?ああ、雑誌の独占インタビューだってさ、でも俺と箒って芸能関係ほとんど疎いからよくわかんねえや」

 

「おっ、予感的中」

 

箸をビシッと一夏に向けるリュウヤ、汚いなおい。あ、使ってない箸ならいいか。

 

「予感的中ってなんだよ?」

 

「亜久斗が言ってたんだよ、雑誌関係だろうなって」

 

それを今言ってどうする。

 

「そういやみんなモデルとかしたことあるのか?鈴やセシリアはしたことあるらしいけど」

 

「ええ、イギリスでは少し有名だったものですから」

 

一夏の台詞に少し誇らしげなセシリア、それに箒が横からむすっと睨んでいる。

 

「僕はやったことは、ないかな。色々と忙しかったし」

 

「私もだな、軍人たるものそんな邪な物に参加する必要はないからな」

 

……この二人の場合過去の事もあるからな。シャルは存在自体隠蔽されていちようなものだし、ラウラはそれ以前だろうからな。というか一夏わかって言っているの……な訳ないな。

 

「ふーん。ん?雑誌ってメディア関係なんだろ?結局は有名な奴が載る訳じゃん?」

 

「そういうものなのか?ってそれがどうしたんだシゲル」

 

シゲルの突然の呟きに聞き返す一夏。

 

「いや……それなら亜久斗はやった事あんのかなあって……」

 

「ご馳走さまでした」

 

ガシィッ

 

「……どうしたんだ二人とも、腕を掴まれてたらお盆を返しに行けないだろう?」

 

俺が席から立ち上がろうとすると隣に座っていたシゲルとシャルが俺の腕を行かせまいと掴んで来た。

 

馬鹿な……なんだこの力は、お盆を持っているとはいえ俺が動けないだと!?

 

「いやいや、もうちょっと話してからにしようぜ。俺たち親友だろ?片付けなら一緒でもいいじゃないか」

 

だったらそのニヤニヤした笑顔を止めろ。

 

「そ、そうそう。それにほら、亜久斗が聞かれてるんだから答えないと」

 

悪いなシャル、これはどうやっても譲れないんだよ。

 

「あ、そういえば鈴の写真は携帯に____」

 

「携帯ゲットォー!」

 

「待てメイア!お前いつの間に俺の側に移動していたんだ!?」

 

一瞬のうちに俺の携帯、ケータッチが奪われてしまった。くっ、こんなことならデータを移入しておくんじゃなかった……!

 

「「「「………おお」」」」

 

「ほ、本当にこれが亜久斗なのか?」

 

「いや、これは……」

 

「「「「別人にしか見えない……」」」」

 

「くっ!」

 

俺の携帯のデータフォルダに写っていた写真。そこには俺が中学二年の時にメグ姉同伴で雑記出版社に連れていかれたついでで撮影されたモノ。そこにはドレスアップされたメグ姉と俺の姿、しかも俺の姿はハンフリー・ボガードばりのソフト帽にブラックウィンドスケールベスト、縦しまのシャツ。そしてスラックスという正に左翔太郎スタイル、おまけに左手にはマグナム。………思い出すだけでも死ねる!

 

「亜久斗が雑誌の経験をあると思ってたけど…まさかこの服装とは思わなかったぜ」

 

「す、すごく似合っているな……。この銃は本物か?」

 

「つーか亜久斗もノリノリじゃないか」

 

「うっ……」

 

くそっ、メグ姉の性だ!何がこれから社長をやっていくのには絶対に通らないといけない道なのよだ!しかもこの服装を選んだのは俺自身………畜生!

 

「………亜久斗」

 

肩を震わせている俺に手を置いてきたのはリュウヤだった。さっきのような笑った顔ではなく慰めの混じった顔で俺を見つめてくる。

 

「大丈夫だ、厨二病を日本人の中学生が体験するのは仕方ない事だからさ。恥ずかしがんなって」

 

「レディファイツ!」

 

バシッ!

 

物凄くムカついたので裏拳を鳩尾に喰らわせた。と思ったらいつの間にか横から割って入って来たデネブに防がれていた。

 

「亜久斗、こんなところで喧嘩はよくないぞ。食事中だ」

 

「ッ……ああ、悪い。すまなかったなリュウヤ」

 

「い、いや俺もかける言葉が悪かったしな。別に気にすんなって」

 

チョイチョイ

 

「ん?」

 

俺がリュウヤに謝ると今度は肩をそのデネブにつつかれた。

 

「まあ元気だせよ、俺の天ぷらを分けてやるから」

 

俺のお盆の皿にさつま芋の天ぷらを載せるデネブ、その手は親指がグッと立てられていた。

 

「唸れ俺の両腕!」

 

「「グアッ!」」

 

瞬間的にラリアットを喰らわせた俺は悪くないと思う。お盆?ちゃんと置いてからやったから傷ひとつないぞ、ちなみに天ぷらはしっかりいただいた。




コスプレで仮面ライダーの格好する人っていますよね。あれが自作って思うと作り方が知りたくなります、中学一年のときに何かの会場で地獄兄弟を生で見たことがあります。
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