今回はタッグマッチ戦当日、そして何話かに分けていこうと思います。そして、オリキャラの出番もあります。何話目にになるかわかりませんが……。
それでは本編スタート!
「それでは、開会の挨拶を更識楯無生徒会長からしていただきます」
あれから数日、いよいよ専用機持ちタッグマッチトーナメント当日となった。現在話しているのは同じ生徒会の虚さん、彼女は社交辞令と必要な事だけ言い述べると司会用のマイクスタンドから一歩下がった。
「ふあー……ねむねむ……」
「しっ。のほほんさん、教頭先生が睨んでる」
「この話で最後だから頑張って!」
「ういー、がんばるよー……ォ」
「………大丈夫なのか?」
虚さんと同じ生徒会メンバーである俺たちはその後ろで一列に整列していた。その中で布仏さんだけが眠そうに目を擦り、首を何度もコックリと動かしている。
そして彼女を挟んでいる位置にいる一夏とデネブが彼女を起こそうと必死なんだが……目が覚める気配は欠片もないだろうな。
「どうも、皆さん。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試合内容は生徒の皆さんにとってとても勉強になると思います。しっかりと見ていてください」
よどみなく澄んだ声で開会の言葉を述べるのは楯無、彼女を見ているとやはりどうしてもレナ先輩と重なってしまう。
過去の生徒会長は全員同じ性格だとか……ないよな?
「まあそれはそれとして!今日は生徒全員に楽しんでもらうために、生徒会である企画を考えました。名付けて『優勝ペア予想応援・ 食券争奪戦!』」
ぱんっ、と『博徒』の文字が書かれた扇子を開き先程とは間逆の勢いでとんでもないモノを追加した楯無。お前は普通に行事を過ごすことはできないのか。
「ってかそれ賭けじゃないですか!」
「織斑くん、安心しなさい」
「え?」
「根回しはすでに終わっているから」
華やかな笑顔を浮かべながらグッとサムズアップを向けてくる楯無、周りをよく見ると教師陣は誰も反対しておらず、織斑先生が頭を痛そうにしているだけ、眠そうにしていた布仏さんも、彼女を起こそうとしていたデネブもいつの間にかサムズアップをしていた。
無駄にいい顔で。
というか俺は聞いていないんだが?そして布仏さんよ、先程の眠気はどこにいった。
「それにこれは賭けではありません。あくまで応援です。自分の食券を使ってそのレベルを示すだけです。そして優勝ペアを当てたら配当されるだけです」
「そ、それを賭けって言うんです!」
どうやらこいつも俺同様聞かされていない一員らしい。
「おりむー、全然生徒会にこないから~。私たちだけで多数決とってすすめましたぁ」
「くっ……。そりゃ確かに最近は行ってねえ…!デネブ、お前はどっちに票を入れたんだ?」
「…………」
「…………」
「…………」
「……すまん、賛成に入れた」
「ウゾダドンドコドーン!」
一夏!?まさかショックでオンドゥル語を!?
「ちなみにぃ、夜るんは会長が『亜久斗くんは最近忙しいから多分反対だと思うし、呼ぶのも悪いからそっとしておきましょう』って言ってたから多数決には参加できなかったんだよ~」
………なるほど、俺が行かなかった二日間のうちに済ませていたとはな、そして情報をまったく漏らさないとは…恐ろしいな。
「では、対戦表を発表します!」
大型の空中投影ディスプレイが楯無の後ろに現れ、トーナメントの対戦表が表示された。
『第一試合 織斑一夏&更識簪 VS 篠ノ之箒&更識楯無』
◇
「はぁ……俺はあの先輩苦手だ、同じ性格のようなんだがな、何が違うんだ……」
俺はあの開会式の後、試合時間までの時間潰しに廊下等を徘徊していた。前回の時に起こった襲撃が無いとは言えない、いや、今回も恐らくあるだろうな、前回同様に。
それを見据えて俺は今回、フードロイドを見渡しのいい場所に設置しておいた。俺だけの行動範囲では敵を見つけられない可能性が高い、そこでバガミールの機能を監視カメラ代わりにしている。
そしてついさっき携帯から鳴った着心音。だがそれはバガミールからの通報ではなく実にどうでもいい内容だった。
『夜霧くんへ
ちょっとダリルちゃんのとこ行ってくるね、試合まで時間はだいぶあるからそれまでには戻るから。
ちょっと話してくるだけよ、相手からの情報収集になる「かも」しれないし』
これがメールの内容、差出人は俺のペアことレナ先輩である。
そしてこのメールの胡散臭さである。絶対に情報収集なんてする気ゼロだろう、何よりあんたら同級生なのに情報収集そこまでいるのか?そして「」をつけるな、ばれたいのばれたくないのかどっちなんだあんたは。
「試合まであと三十分と少し、どうするか…………!」
一夏たちの試合までの時間を確認した時、着心音がポケットの中で響いた。今度は当たり、当たってほしくは無かったがな。
『不審人物発見!』
『場所!アリーナ外部!』
俺の足はその場所へと向いた。携帯に写し出された画像は、前回の襲撃の首謀者ゴウラだった。
◆
「おやおや、よく俺がここに来たことがわかったな」
「まあ、監視カメラがあったからな。……何をしに来た、ゴウラ」
アリーナ外部、そこで俺はゴウラと対峙している。ゴウラは見たところ何も所持していないが、恐らくは懐にでも改造ディエンドライバーを隠している筈だ。俺も腰にオーズドライバーを装着している。
「監視カメラね……まあいいだろう。どうせ何も変わりはしない」
「どうかな、悪いがここから先には行かせない。……部下も彷徨いてる様子もないしな」
仕掛けたバガミール型の監視カメラは八台。そいつらは現在ゴウラの付近を彷徨かせている、携帯に通報がこないのならこいつの部下はここにはいないということだ。
「確かに、部下はここにはいない。だが今回は前回の襲撃で頑張った君たちにご褒美をあげようと思ってな」
「こいつらの最初の実戦相手をしてもらうという、な」
CAMEN LIDE
「_________っ!」
ゴウラは改造ディエンドライバーに紫色のカードを挿し込んだ。刹那、周りを光が包み込む。
そして光は止み、ゴウラの前には見に覚えのある二機が佇んでいた。
「これがかつて、俺の最高傑作。アガレスとストラスだ。ライダー全てのパワーとテクニック、そして怪人たちの憎しみと闘争本能を改造ディエンドライバーによりミックスしている」
そこには、闇を表す黒、血のようにドス黒い赤、紫に光る機体を持った兵士がいた。
黄金に輝くバイザー型のライン・アイ、三メートル程ありそうな巨体に赤血色と紫をベースにしたカラーに筋肉を模したような剛腕、まるで怒り狂う巨人のような姿をした機体、アガレス。その腕は垂れるような形になりながら強く握られている。
同じく黄金に輝くバイザー型のライン・アイ、こちらはアガレスのような巨大さは無いがそれでも二メートルはある。漆黒と紫をベースにしたカラー、その右腕はランスのようなライトセイバーになっており、身体中に浮き出ているラインが全てそこを通るようになっている。冷静に獲物仕留める狩人ような姿の機体ストラス。その体は空中に浮いている。
「もっとも、これは試作品。だが以前より格段にパワーアップしているぞ。そして____」
ゴウラはポケットへ手を突っ込むと中からカードを取り出し、ディエンドライバーを足元に向けて構えた。
「!?そのカードは!」
「ククッ……」
ATACK LIDE ILLUSION
「________!馬鹿なっ、そんなことが……!」
ゴウラが挿し込んだカードはイリュージョン。そしてその能力は分身を作ること。
俺の目の前で、アガレスとストラスは合計で十二体にまで分身した。
「改造ディエンドライバー用の使い捨てのカードだよ、本物とは違って、倒さないかぎりこの世に居続けるがね」
「ちィっ!変身っ!」
タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ・タトバ・タ・ト・バ!
十二体の機体が俺の方を見た事に危険を感じ、オースキャナーをオーカテドルにスキャンさせ仮面ライダーオーズへと変身する。メダジャリバーを構えるがアガレス、ストラスたちは一向に俺に攻撃してくる気配がない。
「そう身構えなくてもいい、君にこいつら全てを相手にさせる訳ではない。そんなことをしてもデータはとれん」
「………だったらどうするつまりだ?一体ずつ戦わせるとでも言うのか?」
「そんなことはしない。データは多い方がいいのだから……な」
「まさか!」
ゴウラはディエンドライバーを上空に一発、開会の相図のように撃った。
______pp
その瞬間、十体のアガレスとストラスが二組ずつで散らばっていった。
「お前……まさか、数を増やしたのは!」
「ああ、他のライダーたちと戦わせるためだ。一応、専用機持ちとやらの実力もためしたかったしな。今日はタッグマッチだそうじゃないか、二対二なら丁度いい。もっとも」
「君は一人で、だがな」
ゴウラは姿を消し、俺の前に残ったアガレスとストラスは囲むように移動する。お互い腕は下にだらんと垂れているがそのライン・アイは標的を確認したように輝いていた。
『敵ライダー・オーズ。条規にそってすみやかに戦闘を開始する』
「……やるしかないってことか。二対一だからって簡単に勝てると思うなよ!」
みんなはそれぞれで対応する筈、だったら俺はこいつらを倒す!
次回から戦闘へ、そして補足ですが改造ディエンドライバーのCAMEN LIDEは仕様です。