とある艦隊の日常   作:クレイモア

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ある朝、基地の艦船少女達は大講堂に召集された。放送で指揮官は大講堂に来てほしい、と言っただけで彼女達は理由が分からないまま大講堂に集まってきた。
※夏バテにより投稿が遅くなりました
※一部訂正しました。


夏の休暇 準備編

朝九時頃、大講堂に基地の艦船少女達が集まっていた。

「指揮官から全員に話があるって放送で聞いてたけどなんだろ〜」

【ロイヤル】のレパルスは片肘を立てながら少し寝惚けた様子で言った。明るく活発な彼女はこの基地の古参組の一人であり指揮官とは長い付き合いであるため彼の人となりは理解している。然し理由を告げず突然招集されるのに彼女は疑問を抱いた。

「私達を全員此処に来るように聞かれましたけど…指揮官様は何の報告をされるでしょう、レパルスさん。」

「最近は特に『向こう(セイレーン)』の動きも無いからねー。思いつく事が無いよ。姉さんはどう思うの?」

レパルスは姉である姉妹艦のレナウンに話を振るが、首を横に振った

「いえ、レパルスの言う通り。最近は『彼方(あちら)』の活動はまだ見られません。我々に何か御報告かもしれません。」

実直なレナウンも分からないと言ってるので結局分からずじまいだった。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、【ユニオン】の軽空母ロングアイランドは上半身を机に向けて倒していた。

「指揮官さん、遅い〜」

机に突っ伏した状態で気だるげな声で言った。

「こんな朝から私達を呼ぶなんて…早く部屋に戻ってゲームの続きがしたい〜」

ロングアイランドはそのままの体制で足を前後に揺らしながら言った。しかし周りの呆れた様子ではなかった。普段は部屋に引き篭もりの彼女が大講堂に姿を見せるのに同じユニオン陣営も驚いた様子だった。

「あの…ロングアイランドちゃん、そんなこと言っても指揮官様の指示には従いますよね。」

ヨークタウン型空母のヨークタウンがぼそりと呟くが近くにいたネバダ級戦艦ネバダが反応した。

「まじで⁉︎…いやーロングアイランドが部屋に出る時もあるんだな。」

ネバダは揶揄(からか)ように言うがロングアイランドの反応は変わらない様子だった。

「指揮官さんはロングアイランドさんに色々してもらってるしー指揮官さんの言う事ぐらいなら聞いてあげるのー。」

「へえー意外だな。まあ確かに少年(指揮官)には感謝してるよ。あたしらに色々気遣ってるしな。ただ、一人でやってるのが心配だけどな…」

ネバダの発言に近くで聞いていた同じ陣営とロングアイランドも頭を頷いた。艦船少女という立場上、普通の人間とは違う生活を強いられると思われたがこの基地の指揮官は自分達の要望に応えてくれており世話になってる者が多い。しかし誰にも頼らずやってるので一部の者は心配している。ネバダは近くにいるヨークタウンの方に首を向けた。

「なあヨークタウン、あんた確か勘が鋭いよな? 今から指揮官が何を話すのか予想してくれないか?」

「わ、私ですか。 分かりました。」

急に自分に話を振られたヨークタウンは少し動揺したがネバダの頼みをあっさり了承した。

(今はもう夏の時期…『セイレーン(向こう)』の動きは無い…となると…)

「おそらく…何か(もよお)し何かの報告と思います。」

指揮官の性格を考えてみると確かに可能性としてはありえるが本人の口から言わない限りはまだ確定ではない。そう思ってヨークタウンは言った。

ヨークタウンの発言にネバダは顎に手をやった。

「催しねぇ…どんな催しか分かるのか?」

「いえ、まだ今のところは。 すいません、御力になれなくて。」

ヨークタウンは席を立って身体ごとネバダに向けて暗い表情のまま綺麗な動作でお辞儀を返すとネバダは慌てた様子で手を横に向けたまま左右に振った。

「いやいや、いいよ。 あたしが話を言い出したし(むし)ろこっちが申し訳ないよ。」

「姉さん、あまり自分を卑下しないでくれ。姉さんの勘が鋭いし当たってると思うよ。」

「ありがとう、エンタープライズちゃん。」

ネバダは謝罪し、姉妹であるエンタープライズが(なだ)お陰でヨークタウンの表情は明るくなった。 ヨークタウンは控えめな性格で優しいが自分が役に立たないと思うと落ち込んでしまうので言葉選びには注意しないといけないのがこの基地の暗黙の了解となっていた。

「それにしても遅いなー少年」

 

 

 

 

 

 

少女(かのじょ)達が集まって十分後、大講堂の出入り口の扉が開ける音がすると全員が顔をそちらに向けた。入ってきた人物は指揮官とベルファストで全員の視線を浴びながらも教壇のところまで歩いた。ベルファストは左斜め後ろに距離を開けながら歩いて何やら四角い箱のような物と髪を両手で抱えて持っていた。

「朝早くから此処に全員が集まってすまない」

開口一番に指揮官は会釈(お辞儀の一つ)をした。視線を浴びながらの会釈だが気にせずに数秒の間続けると顔を上げた。

「実は少し長準備で遅れてしまった。今から順に話すが、何か質問する事があるなら挙手をしてくれ。」

すると【ユニオン】のヨークタウンが手を挙げた。

「ヨークタウン、何だ?」

「指揮官様、何かの催しか報告でしょうか? 最近は鏡面海域の情報が出ていません。」

ヨークタウンの発言に指揮官は少し驚いた。

(勘が鋭いな…まあ察しがつくと言えるか)

内心そう呟きながらも指揮官は言い続けた。

「その通りだ。最近本部(司令部)からの評価が高く、そのお陰でビーチに行かれるようになった。」

艦戦少女達が騒つくが指揮官が両手を二回大きく叩くと場が静かになった。

「皆は常日頃(つねひごろ)任務や訓練、遠征などで頑張っているから存分に羽を伸ばしてくれ。明後日(あさって)の早朝に出発するので各自時間厳守だ。」

言い終わると大歓声が沸き起こっていた。まさか旅行に行けるとは思えなかった彼女達は指揮官の気遣いに嬉しくて中には涙を(こぼ)者もいた。

「静かに。それと今から色々説明するから大人しくしてくれ。ベルファスト、それを教壇の机に置いてくれ。」

「御意」

指揮官に会釈(えしゃく)して教壇の机の上に箱を置き、指揮官にホッチキスで留めてた書類を渡した。上の面が丸い穴が開いている箱に誰もが不思議に思った。




その後少女たちはくじ引きで指揮官の隣を狙おうと盛り上がっていたのであった…
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