※投稿前にタイトルを変更しました。詳細は活動報告書でご確認ください。
ベルファストは教壇にある巨大なホワイトボードに紙を貼り、落ちないように角に磁石を紙の上に付けた。まだ数枚近くあるのでベルファストはテキパキ動き、その間に指揮官は説明をした。
「先ずはバスの指定席を決める。ベルファストが持ってきた箱の中に小さく折りたたんだ紙があるから一人ずつ取ってきてほしい。クジ引きみたいな感じだ。順番はランダムで呼ぶから呼ばれた者から来るように。」
「指揮官、質問だけどいいかしら?」
挙手をしたのは最近新しくできた【ヴィシア】のダンケルクだった。
「構わない。それで質問とは何だ」
「えっと、指揮官はバスに乗るのかしら?」
「そうだ。今はまだバスの指定席は決めてないから一番最初に引くつもりだ。お前達の人数でも全員乗れるようにバスは数台手配してる。場合によっては俺と相席の可能性もありえる。あと引き直しは禁止だ」
「指揮官、ありがとう」
指揮官の説明で色々分かったダンケルクは微笑んで感謝の言葉を述べた。まだ新しく入ってきたばかりのアイリス、ヴィシア陣営はまだ指揮官とはあまり話したことはないが他の陣営からは話を色々聞いていた。目つきが悪いが真面目な人格者でいつも些細なことに気を遣っている。指揮官として有能だが基地が大所帯になった現在は業務内容が多く日頃忙しい日々を送ってるのであまりコミュニケーションを取らないと聞いていた。
(でも真面目だし期待できるわ)
内心そう感じてダンケルクは指揮官に手を振った。
しかしダンケルクを含む【アイリス】、【ヴィシア】は気付かなかった。少女達の雰囲気が変わったことに。
こうして少女達の水面下で起きるクジ引きという名の戦いが始まった。対して指揮官は周りの雰囲気が変わるのに気付いたが敢えて気付かないフリをした。
(取り敢えず適当に引くか…)
箱穴に手を入れて紙切れを一つ取った。予め紙は数センチ程の大きさを何回も折り畳まれた状態にし、クジを引く際はベルファストが間近で記号と番号が記入済みの紙が箱の中で開かれているのかの監視するため不正行為の対策をしている。また不正行為をした者は強制で決められるか順番が後になると説明したので釘を刺した。
(A-22、一号車の真ん中か)
クジの中身を見てベルファストに渡し、彼女はホワイトボードの枠に名前を書いた。
少女達はホワイトボードに書かれてる指揮官の隣の席を取ろうと頑張った。しかし指揮官は気にせず箱の下敷きになっていた物を引き抜いた。それは数枚程の紙をホッチキスで留めており一枚一枚丁寧に各陣営の少女達の名前が記載されていた。
「では呼ぶぞ。先ずは…」
少女達が次々とクジを引く中、ある者によって場の雰囲気が変わった。その者は赤城だった。彼女はクジを引いたがまたクジを引こうと腕を伸ばそうとしたがその腕は指揮官に掴まれた。
「赤城、説明を聞いてなかったか? 不正行為と見なすぞ」
冷たく言う指揮官に赤城は指揮官の方に顔を向けるとにっこりと微笑んだ。
まだクジを引かず席に座ってた同じ【重桜】の一航戦の加賀、二航戦の蒼龍と蒼龍が赤城の方に行き宥めようと動き、同じ【重桜】の高雄、【ユニオン】のサウスダコタ、【ロイヤル】のフッドなど基地の主力兼精鋭組数名が
(これはやばい〜。赤城さんご愁傷様〜)
ロングアイランドは心の中で合掌した。そして指揮官と付き合いの長い古参組も指揮官の性格を知っているのでこの後どうなるのかを悟った。
「エンタープライズ、来てくれ」
突然に自分を指名されたエンタープライズは周りの視線に緊張しながら指揮官の元に駆けつけた。
「赤城、一つ提案がある。条件さえ飲めばまた引くチャンスをやる」
その言葉に赤城は反応した。
「条件とは何ですか?」
「エンタープライズと一対一で勝負し、勝ったらまた引かせてやる。負けた場合は潔く最初に引いたクジの番号にする。異論は無いな。」
「承りました」
赤城はこの条件を飲んだ。過程はどうであれエンタープライズを叩きのめす機会がきた、と嬉しい様子だった。
(これで指揮官様と相席…うふふふ)
口元を隠して赤城は笑い、指揮官はエンタープライズの方に振り向いた。
「エンタープライズも構わないか? 嫌なら他の者に任せるつもりだ」
「分かった。私に任せてくれ」
彼女は指揮官の方に顔を向けず言った。彼の期待に応えたいのと同時に困らせた赤城を徹底的に懲らしめる気持ちがあったので
指揮官はコホンと軽く咳払いしベルファストの方に目を向けた。ベルファストは彼の視線を感じコクリと頷いた。
「ではご主人様、クジ引きは一時中断し別の事を進めます。戻られましたら再びクジ引きを再開します」
「分かった、二人共、行くぞ。他は席に戻れ」
ベルファストに任せ、指揮官は二人を連れて大講堂を退室した。
一方大講堂ではベルファストが教壇の上で小さく息を吐いた。
「今から皆様方には向こうで行う催しでご主人様が考案されたものについて説明します」
ベルファストの説明に周りの艦船少女達はざわつく中、【鉄血】の駆逐艦
「ベルファストさん、この人数で出来ることですか?」
「はい、ビーチバレーをします」
ベルファストは一旦喋るのをやめて後ろに振り向き、ホワイトボードの空いてる箇所に大きく書いた。
・十点マッチ制
・同じ艦種同士のトーナメント制(駆逐艦は十六組まで)
・参加人数は駆逐は三〜四人、軽巡二〜三人、重巡と戦艦と空母は二人まで(潜水艦は数が少ないため対象外)
・希望がある場合、混合戦も追加する
大まかなルールを書き終えると、また質問する人物がいた。
「ベルファストさん、最後の行がよく分かりませんが…これはどういう意味でしょうか?」
質問した人物は【
「こちらに関しては他の艦種と試合が出来るようになっております。注意すべきは同じ艦種同士の同じチーム且つしか組めないことです。こちらも参加人数は上から三行目を御参考になってください」
「それと優勝されたチームの方々はご主人様に一つだけお願いを聞けると仰られました。今から用紙を持ってきますので参加される方は記入し明日までに執務室に提出してください。これで説明は以上になりますが何か質問をされる方はいらっしゃいますか?」
誰も質問しないのでベルファストは用紙を持ってくるため一時退室した。
場所は変わって基地の一階にある廊下、指揮官と彼の後ろにエンタープライズと赤城が並んで歩いていた。
演習の結果エンタープライズの勝利となった。普段から好敵手である瑞鶴や他の陣営の空母などと日々切磋琢磨、委託や新人の引率などをしてるエンタープライズとそうでない赤城の差は歴然であった。二人を連れて大講堂に戻ろうとする最中にベルファストに会った。彼女は積み重ねた紙束を運んでいるので指揮官は察して声を掛けた。ベルファストは彼の呼び掛けに首だけ振り向くと指揮官と後ろでいがみ合う二人の姿を確認し、指揮官達に近づいた。
「ご主人様、お疲れ様です。こちらは今から用紙を大講堂に運んでいる最中です」
「そうか、御苦労」
敢えて後ろの二人を無視して大講堂まで歩いた。中に入室すると少女達は話し合っており中には他の陣営と話している者もいた。そんな中一人の少女が指揮官に声を掛けると伝染するかのように少女達は指揮官の方に目線を向けた。
とりあえず赤城とエンタープライズの二人には適当な席に座らせるように言って残った指揮官とベルファスト教壇に立った。
「皆に二つ言い忘れた事がある。一つはビーチバレーの艦種だが巡洋戦艦、航空戦艦は戦艦枠、軽空母と装甲空母は空母枠だ。他はそのままだから忘れないようにしろ。二つは混戦だがこれは数を限らせて十六組にする。参加するメンバーは今日の夕食後執務室で書類を配る。優勝した
「では再びクジ引きを再開する。名前を呼ばれた者は前に来るように。」
胸ポケットに
まだクジを引かずバスの指揮官の相席を狙う者、ビーチバレーで誰と手を組むか悩む者、優勝したら何をお願いするか考える者など大講堂は賑やかだった。
指揮官とキャッキャウフフをしようとする少女達…狼ですね。
ここの指揮官は祭り事を盛り上げるのが得意です。
※補足です。原作の『その他』に該当する砲戦のテラーとエレパスは戦艦枠、明石とヴェスタルは駆逐枠。
※ベルファストは話の中では監視役兼違反行為防止役。