※バスは四列縦隊の四十四人乗りです。
※今回で指揮官の隣を獲得した
※今回から後書きに話に出たキャラを書きます。
夏の早朝、蝉の鳴き声が響く中、指揮官は外にいた。すでに数台のバスには基地の少女達が乗っており中にはまだ眠たそうな者もいれば今から行くのが楽しみな者もいる。
そんな中、指揮官は送迎バスの運転手の一人一人に挨拶をしていた。彼は今対面している五十代の人物に頭を下げていた。
「本日はよろしくお願いします。」
「残暑の中御苦労様です。中は冷房が効いていますので快適な旅を楽しんでください。」
お互い軽く挨拶を交わし、指揮官は各号車の入り口にいる少女達のところに行き点呼の確認をした。
「閣下、各号車の点呼が完了しました。」
指揮官に声をかけた少女、ロンドンは和やかに言った。各号車には重巡、戦艦、空母の内一人を点呼係を頼ませている。つい先程他の号車からは全員乗ってるのを報告して今話しかけてるロンドンが最後だった。
「分かった、外は暑いからお前も早く中に入れ」
「了解しました」
労いの言葉をかけると
「では乗るか」
そう言って先日クジで決めた一号車に乗った。
少女たちはバスの中で盛り上がっていた。普段見ない景色を眺める者、これから向かう場所について話し合う者など少女達の反応は様々であった。
そんな中、指揮官の隣席になった
「グラーフ、随分と嬉しそうだな。」
指揮官から声を掛けられた
「そうだな、
「難しいな、
「我は
「そうか。今回の旅行で存分に堪能すれば幸いだ」
彼女と会話をし続けていると指揮官は
「眠いのか? なら我の膝を貸そう。日頃から
しかしグラーフの提案に指揮官は拒否した。
「有難いお誘いだが遠慮する」
「分かった」
グラーフは窓の方に顔を向けて窓の外の風景を見続けた。
そして指揮官は眠りに就いた。
指揮官が寝て数分経つと一人の少女、【ロイヤル】のネルソンがカメラを持って指揮官の方に歩いた。
「まったくロドニーったら、私に指揮官の寝顔を撮ってきてほしいってこれ《カメラ》を押しつけながら言って…」
「さっさと撮って終わろう」
溜息をつきながらもネルソンは車内の通路側で写真を撮ろうとする。乗ってる
「先ずは試し撮りね。その後は好きなように撮ろ」
通路側で斜めの位置に立ちカメラの高さはなるべく水面にして撮った。
「どれどれ…まぁ、及第点ね」
撮った画像を確認するとちゃんとした位置で撮れていたので今度は別の
(意外と良い感じに撮れてる…って私のバカ‼︎
途中で悶々とした様子になったネルソンだが徐々に気持ちを落ち着かせると写真を撮るのに再開した。
(とりあえず
指揮官は軍帽を
指揮官が寝てるのを良いことにまた彼の元に来る少女がいた。最近新しく
「ふっふー、えい」
すると彼女は寝ている指揮官に抱きつき服の匂いを嗅嗅いだ。
「〜〜♪ 良い匂い」
そう言いながらもフォックスハウンドは尻尾を振りながら指揮官の服に顔で頬ずりをした。その様子に一号車の
「フォックスハウンド、そこまでにしてもらおう」
ヨークタウン級航空母艦二番艦、エンタープライズはフォックスハウンドを引き離した。
「エンタープライズさん、
「気持ちは理解できるが指揮官が寝ている。あまり迷惑は掛けないでほしい」
「はーい。」
エンタープライズの言葉でフォックスハウンドはしょぼんとした表情で自分の席に戻るのを確認すると
「まったく、折角の基地全員総出の外出だ。指揮官には苦労をかけたくない」
ちなみにエンタープライズの座席は
(しかし指揮官の隣ではないとはいえ近くになると、緊張するな)
普段から執務室で篭りっぱなしだが艦隊運営はかなり気を遣ってる
(偶にでいいが
エンタープライズは
(瑞鶴たちとは今は競いあう
ふと隣座席の
「こうやって平和に過ごすのも悪くない…か」
エンタープライズは窓に顔を向けてそう呟いた。
場所は変わって三号車、縦二列目の二十二番目のアークロイヤルは悶絶していた。自分の周りが駆逐艦だらけになってることに興奮していた。
(なんだあの睦月たんの可愛い顔は!? 窓の光景を無邪気な瞳で見るなんて…私に向けてくれないか!?)
アークロイヤルは窓の方に顔を向けてる睦月を見て思わず手を出しそうになったが後ろにいる戦艦が注意した。
「アークロイヤルさん、駆逐艦に手を出してはいけません。自重ください」
その戦艦はネルソン級戦艦のロドニーであった。彼女がアークロイヤルの後ろになった時に指揮官に呼ばれてあることを言われた。
『アークロイヤルを見張っとけ』
同じ《ロイヤル》として
「し、しかしだなロドニー、駆逐たんは可愛いぞ」
アークロイヤルは焦った表情を浮かべて言うが、ロドニーはニコッと笑った。
「ええ、そうですね。ですが栄光あるロイヤルネイビーとしての振る舞いをしてください」
窘めるような言い方をするロドニーに近くにいるロイヤル陣営は感心した様子だが、アークロイヤルは威圧的に聞こえた。
「わ、分かった」
そうして目的地に到着するまでアークロイヤルは駆逐艦に触れることは無く、悶々としていた。
後日指揮官の写真は指揮官の知らぬ間に明石が購買で売り捌いていた。