時刻は深夜。キラキラとネオン輝く街に
「本当にここであってる?」
「えぇ。入っていくのは確認しましたから。恐らくですが、もう少しで出てくるかと」
「そう。それならいいけど」
客引きと思しき派手なメイクの女や、スーツを着た男がそこらを忙しなく歩き回り、未成年ではないかと疑うほど幼い顔立ちの少女達が道路を駆け抜ける。うっすらアルコールの臭いが漂うそこは、まさしく歓楽街だった。その歓楽街から少し外れた路地を行くと、そこにはファッションホテルが立ち並ぶ。
その1つからカップルが出てきたのを認めた澪美は、その姿をインスタントカメラに収めた。
「なっ、なに!?」
「どうも、風間センセ?」
「は!?なに!?」
慌てふためき、逃げ出そうとする2人の前ににこやかな笑みを浮かべたセバスが立ちはだかる。
「セバス、女はいい。…あんた、中学生でしょ?今日は見逃してあげるから、もうこんなことやめな」
「っ…、見逃してくれるの?本当に?」
「本当。私は嘘はつかない」
キッパリと言い切る澪美を見、中学生のその少女はその場から走り出した。少女に釣られ男ー風間ーも走り出そうとするが、セバスに再度阻まれ顔を真っ青に染め上げる。震える口が言葉を紡ぎ出す。
「さ、さいとう…ミカエリ先生…どうしてここに…」
「どうもこうも。先生がイケナイコトしてるみたいだったから。あぁ、そうそう…津畑綾女が死んでホッとしてた?」
「な、なんのことだか、俺は…」
「あれ?可笑しいな。あの子が中学生の時、買ってたんでしょう?あの子も言ってたよ。高校に入ってから、ヤバい奴とやってたのがわかった、って」
「き、聞いてたのか…!!」
ファッションホテルを少し通り過ぎた路地には街灯が少なく、人通りも全くといっていいほどなくなっていた。そんな場所に追い詰められた風間は、暗くても良くわかるほど顔色が悪く、体を小刻みに震わせていた。
「先生って、ロリコン?」
「ち、ちがう!俺は…!あ、あいつが誘ってきたんだ!!あいつから!だから!」
「だから?それでも良識ある大人なら拒否するのが常識だよね。爽やかな笑顔の裏では中学生を買う人気教師…なんて、世間の格好の的になるんでしょうね。あ、これ差し上げます」
それを想像したのか更に顔を青ざめさせた風間に向かって、先程撮った写真をピンッと飛ばす。キャッチしそこね、アワアワと手足をばたつかせる姿に知らず、嘲笑を浮かべる。
「私、誰にも言うつもりはありませんから」
「ま、待て!そうだ斎藤、お前はどうなんだ!?こんな時間にこんな所で、ミカエリ先生と2人。可笑しいのはお前も一緒だろう!?バラされて困るのは、お前も同じはずだ!!」
普段の爽やかな姿が掻き消えるほどに顔を真っ赤にして激昂し、唾を飛ばして吠える風間に、また1つ嘲笑が浮かぶ。
「残念ながら。ご存知ないようなのでお教えしておきますが、私は、澪美の
「は…?」
「そういうこと。先生?自分が女子中学生を買っていたからって、誰もがそうだなんて思わないでくださいね。最低な人間だから、他の人も最低だと思いたい気持ちはわかりますけど。それではまた明日、学校で」
冷ややかな言葉と初めて知った事実に崩れ落ちる姿を見届けると、澪美とセバスは暗闇へと消えていった。