『堕天使』
聖書の神の被造物でありながら強い欲や嫉妬など様々な理由によって天界を追放された天使。時に悪魔と同一視されることもある。
有名な堕天使には『見張る者』のアザゼル、シェムハザなどが挙げられる。
「マジで実在してたのかよ……。」
「へえ、知識はそこそこあったのね。まあ、人間のことなんてどうでもいいのだけれど。恨むならその身に『神器』を埋め込んだ神を恨んで頂戴ね。」
そう言い捨てて彼女は去っていった。
そうか、神は居たのか。って出血量やばいなこれ。うん、完全に致死量だな。
死ぬのか……。死にたくないなぁ。まだまだ行きたい場所はあるし、松田や元浜とはバカなやりとりをしたい。
そして父さんや母さんに親孝行もできないまま死ぬのはなぁ。
あ、意識が朦朧としてきた。
…でも、そうだな。堕天使や神が実在するのなら、一度だけ、一度だけでも。
―――ドラゴンに会ってみたかったなぁ。
「へえ、呼ばれてみたら面白いことになっているじゃないの。」
「どうせ死ぬのなら、私が拾ってあげるわ。あなたの命、私のために燃やしなさい。」
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ピピピピピッ
目覚ましの甲高い音が眠っていた俺を起こす。
「……また、あの夢か。」
ここ最近毎晩いきなり告白され、いきなり殺されたあの日の夢を見る。
堕天使によって俺が殺される夢。
堕天使が夢に現れるのは良いが、自分が殺される夢を毎晩見るのは精神衛生上よろしくない。
さて、どうしたものか……。
「起きなさい!イッセー!」
っとやばい、速く行かないとどやされる。
「わかったー、今行く!」
と、母さんに返事をして身支度を済ませる。
……最近の朝は本当に憂鬱だ。
「行ってきまーす。」
そう言って俺は学校に向かった。
だが、正直に言おう。
行きたくないっ!!!
というのもここ最近の俺の体調がおかしいのだ。
昼は太陽の光が肌に突き刺すように痛く、特に朝の陽ざしを浴びることは苦痛だった。
対して夜はというと身体能力が大幅に上がり、フルマラソンも簡単にこなせるようになっていた。
体力がないわけではないけど、それにしてもおかしい。
吸血鬼か何かにでもなったかと考えたが日の光に弱いとはいえ浴びることはできるし吸血衝動なんてものも起こらなかったため大丈夫だろうと放置することにした。
いや、これ以上は調べようがないとうのが正しいか?
っと、そうこうしている間に学校に到着した。
『私立駒王学園』
数年前まで女子校だったのが少子化などの影響により共学になった学園だ。
三年で男女比が二対八、俺たち二年は三対七の割合だ。
となると必然的に女子の発言力が強くなる。
俺は学校から近く、数少ない友人が受験すると聞いたので受験したのだが……
「おのれ木場めえ……あんなに女子にチヤホヤされおって……。」
「全くだ、おかげで俺たちはモテない街道まっしぐらだ。呪ってやる……。」
このような
「イッセー!貴様、俺たちのことを友人と書いてバカと読まなかったか!?」
「全くもって心外だ!」
「いや、女子が多いからハーレム作れるという理由で志望校を選んだ奴らをバカと呼ばずになんと呼べと……。」
そう、この
そのスケベ根性で難関だった試験もクリアしたのだからパソコンもエロが絡むと上達するとはよく言ったものだ。
だが当然ハーレムなどできるはずもなく一部のイケメンのみがモテるという厳しい現実を目の当たりにしていた。
「……で、今度は何があった?」
「「木場が女子たちにチヤホヤされていたので呪いの念を送っていた。」」
「いつにもまして陰湿だな、おい。」
「しょうがないだルォ!?」
「あんなイケメンがいるから俺たちはモテないんだ!イケメン死すべし!」
「多分うちの学校にイケメンがいなかったらうちの女生徒は他校に目をつけるんだと思うけど……。」
などと言葉を交わしているうちに俺は沈んでいた気分がましになってきた。
こういうやり取りができる二人には本当に感謝の念しかない。
……あ。言い過ぎたのか二人が沈んでいる。
「あー、分かった。今日の放課後DVD鑑賞に付き合うから機嫌なおせ。な?」
「心の友よ!」
「よし、ならば今回こそイッセーの性癖を見つけてやる!」
……いや、俺も男だから興味がないわけじゃないぞ。
枯れているわけじゃないからな!?
このとき、俺は気づいていなかった。……透き通るような碧眼が、俺を捉えていたことを。
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午後十時、視聴を重ねるうちに所謂賢者モードになり「なぜ俺たちは彼女が出来ないのだろうか?」と真剣に悩み始めた二人を慰めたあと、俺は帰路についていた。
元浜が女子に体育館裏に呼び出されてかつあげされたと聞いたときには危うく俺も泣きそうになった。
さて、今現在俺は家に帰ろうとしているのだが最近の体調のせいか目は完全に冴えており、力が満ち溢れている。
五感も強化されたのか気付いたことがあった。
男だ。目の前にいるスーツを着た男が俺に対してなにかを向けていた。
所謂敵意や殺気というものなのだろうか。五感が鋭くなるとどうやらそういったものも感じ取ることができるようになるらしい。
「まさか、このような地方都市で貴様のような存在に会うとはな。」
それを聞いた瞬間、俺は上がった身体能力でとっさに逃げ出した。
走る。
走る…。
走る……!
気が付けば、夢の中に出てきあの公園にたどり着いた。
「逃がすとおもうか?全く、下級な存在はこれだから困る。」
男は夢の少女と同じく
「堕天使!?」
「ほう、今更気付いたのか。ふむ、その困惑している状況を察するに貴様は『はぐれ』のようだが、どうなんだ?」
『はぐれ』?何か意味がありそうだけど情報が不足しすぎている。どうする?
「ふむ、主の気配も仲間の気配も無し。魔法陣を展開して逃げるそぶりも見せないとなるとやはり『はぐれ』か。ならば殺しても構わんだろう。」
主?魔法陣?
……ダメだ。言葉の意味は分かるけどそれが何を指しているのかがわからない。
その時、男の手に光が集まり槍が形成された。
あの時の槍!?ヤバい!
と思った時には既に槍が腹を貫いていた。
グサッ
激痛が走る。貫かれた時の衝撃だろう。
ゴプァ
口から大量の血が出た。あの時と比べたらましだがかなりの量だ。
ジュワッ
焼けるような痛みを感じた。内側から焦がしているのか?
何にしても……
「あ………あ、ああああああああ!!!」
とんでもない苦痛だった。
「痛かろう?何せ光はお前たちにとって猛毒だからな。しかし、思いのほか頑丈だ。どれ、もう少し光の力を強めるか。」
うそだろ?まだ強くなるのかよ。
―――ふざけるな。
夢と現実が混ざっている気もするけど、あの時、死んでいたかもしれない命なんだ。
拾った命を俺は無駄にしたくない。
それに伝説の存在が目の前にいるんだ。
だったら俺の、憧れの『龍』もいるかもしれないんだ。
だから!
「―――死んで、たまるかぁぁぁああああああ!!!」
『Boost!』
他の作者の方々の作品を見て一話3000字くらいが目安かなと思ったのですが難しいですね。
読了、ありがとうございました!