光る星に口付けを。   作:夜月 黒隴

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あかりちゃんはかわいい


第一話-紲星あかり

目が覚める。俺も今日から高校生になる。中学の頃は友達を数人しか作らず、その友達は皆、別々の高校に向かった。正確にはもう一人、この学校に来る予定だったのだが、まあここまで言えば察せるだろう。まあそんな友達のことはさておき、早速学校の準備でもするか。

中学と同じ通り、朝食はパン。焼いてる間に学校の支度をする。けれど、今日は入学式。普段登校する時間より、ゆっくり学校に向かうことが出来る。少しゆっくりして行こう。

気がつけば8時半手前。早めに学校に着いていて損は無いので、早速向かうことにしよう。俺は鞄を持ち、玄関に行き靴を履く。玄関の戸を開け、家を後にする。

季節はもちろん春。ほんのりとした温かみを感じながら、桜満開の道を歩く。こういうのもなかなか良いものだ。とても今更になるのだが、この時間が暇なので少し自己紹介。俺は「糸口 霧夜(いとぐち きりや)」。静かに平凡と暮らす学生だ。少し体育は苦手だが、それ以外は大抵得意分野。まあこんなものだろうか。もうすぐ例の交差点。漫画とかだと、ここで左右どちらから人が走ってくるとかいうテンプレがあるが、そんなもの、実際にはほぼないだろう。

「きゃぁっ!?」

まさかのテンプレに出会ってしまった。けれど、幸いぶつかる事は無かった。ぶつかりそうになっただけだ。よく見ると自分の学校と同じ制服を着ている。もしかしてこの人も俺と同じ1年生なのか。

『大丈夫ですか?怪我ありませんでした?』

とりあえず相手の身の確認をする。ぶつかってはいないが、一応だ。

『は、はい…。こちらは大丈夫です…貴方は大丈夫でしたか?』

『はい、僕は大丈夫です。えーと…その…。』

相手は少しきょとんとしていたが、俺と同じ事を考えたのだろう。

「あ、まさか…「天下(あまのした)高等学校」の人…だったりしますか?」

『まあ、そうですね。貴方も一年生ですか?』

「はい。」

やはりか。まあ制服が似てるし、この時間帯にあの学校に向かうとなれば、一年生であることは確かであろう。

「私、「紲星 灯(きずな あかり)」って言います。よろしくお願いします!」

『僕は「糸口 霧夜」。よろしく。』

取り敢えずお互いに自己紹介をする。まあこれは基本中の基本だから当然のことではあるが。

俺と彼女はお互いに話し合いつつ学校に向かうことになった。あまり女性と話すのは得意ではないのだが、彼女と話すのは苦ではない。むしろ楽しいぐらいだ。

くだらないことを駄弁りながら歩いていると、あっという間に学校についた。俺たちはそのままこの学校の講堂へと向かい、彼女とは別れ、指定された席に座る。やはり皆そわそわしているのだろう。辺りをキョロキョロと見渡している。俺は少し気になり、彼女の方に視線を向ける。どうやら彼女はもう周りの人と馴染めているようだ。前後左右の人と笑顔で会話している。それが彼女の取得なのかもしれないな。

 

──────────────

 

校長の話が長かった。ひたすらに長い。40…いや、下手すれば1時間はずっと話していた。どれだけ話せば気が済むんだ。周りの人もぐでっとしている。さ、明日からここで通うんだ。少し校舎を見て回ることにしよう。俺は颯爽と講堂を後にする。さて、この学校は学年ごとに校舎が分かれているらしい。わざわざ分ける必要もないと思うのだが。一年生はA館の4階。ひたすら登るのがしんどい。日頃運動しない俺にとってはかなり辛いものだ。

4階にあがってきた。見た感じ、A~J組まであるようだ。どんだけ多いんだよ、ここの受験者。さて、他も見て回ろうか。

「糸口君ー!」

俺の名前を呼ぶ声が後から聞こえる。俺は自己紹介をとある人のみにしかしていない。と言うことは、だ。

「やっと見つけたー…。探したんだから。」

『いやいや、何故僕を探すのですか?』

「糸口君真面目そうだから、校舎内見回ってるかなーって思ってさ。私も見て回りたいし、どうせならって思って!」

『結構です。』

「え」

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

即答だった。必死に校舎内を駆け回り、やっと見つけた人に校舎を見て回らないかと誘い、尋常じゃない速度で断られたのは生きてきてこれが初めてだった。

ちえっ…と…なんで?」

『あんまり他人と地域巡りとか好きじゃないので。』

「じゃあ私が勝手について行ってもいい?」

『…はい?』

「私は糸口君に着いていくだけ。一緒に行くんじゃなくて私は着いていくだけ。どう?」

『……そこまで一緒に行きたいんですか。』

「うん。」

『…ならいいですよ。そこまで一緒に行きたいなら行きましょ。』

「やったー!」

こうして私と糸口君は、お昼すぎぐらいまで校舎内を回ることになった(した)。




いちわおしまいまたかくよ
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