光る星に口付けを。   作:夜月 黒隴

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第十二話-月明かり。

「こんばんは。」

 

糸口に声をかける一人の人物。

日が沈んできて、そろそろ夜になろうとしている時間帯に、夜のお決まりの挨拶をかける人物がいた。無論、それが誰だかは糸口本人が一番知っている。

 

「なんだ、こんな時間に。」

 

「ちょっと会いたくて。」

 

不思議な意味を込めたかの様な言葉を発する彼女は、にへっと笑うと、ゆったりと糸口に近づき歩き始めた。

2人の影が夕焼けに照らし出され、近づいていく。ひとつの影は微動だにせず、じっと様子を伺い、もうひとつは歩いている。ふたつの影が近づいてくる中、それをじっと見つめるもうふたつの影がそこにあった。

 

「やっぱりあの二人、デキてんじゃん…!」

 

「しー!マキさん、気づかれますよ…!」

 

その正体は結月ゆかりと、弦巻マキ。

どうやら、二人の関係性が気になり、連絡を受けた結月ゆかりは弦巻マキと集合し、2人の様子を見つめていたようだ。

その様子に気づいていない紲星あかりは、()()()()()()を掴むと、

 

「ねえ、一緒に帰らない?」

 

と言う。だが、糸口は恐らく否定するであろう。彼は彼なりの事情がある。それも断然承知の上で、紲星あかりは誘ったのだ。

 

「糸口君、チャンスですよ…!」

 

結月ゆかりは遠くで応援をしている。コソコソ隠れながら2人の恋愛事情を見るのも悪くないと悟った結月ゆかりは、これから毎日見続けてみよう、と思った。

が、しかし。

 

 

 

▪️

 

 

 

「なんで、こうなってるんですか…。」

 

「さあ…ゆかりんのせいじゃない…?」

 

「お二人方です。」

 

結局最初からバレバレだったのである。

二人はコソコソと隠れていたつもりだったのだが、生憎弦巻マキの髪の色が黄色なのもあり、それが目立ってしまった様だ。バレてしまった時に彼女は、あー、結んでおけば良かった〜、と言っていた。

今、こうして()()()()()()()にいるのは紲星あかりが提案した。どうやら、二人はまだここの店のパンケーキを食べたことがないらしく、そもそも部活や趣味などで時間が取れずじまいにあることが多い。そのため、こういった雰囲気の場所に来るとソワソワしてしまうのも仕方の無いことなのかもしれない。

 

「これがウワサのパンケーキですか〜。」

 

「みてみてゆかりん!美味しそうー!!」

 

二人はパンケーキを見て、子供みたくはしゃいでいる。先輩たちのそういった所も可愛い、と思う紲星あかりはふいに糸口の方を見る。糸口はそっぽを向き、窓どうしの自分と睨めっこをしている。

 

「マキさんマキさん!はい、あーん。」

 

「あーん。」

 

結月ゆかりから受け取ったパンケーキを弦巻マキは口にする。味を噛み締めながらモグモグと食べる弦巻マキには、とても愛嬌があり、もうひとつの部活の活動中の時と正反対の表情をしていた。そういえば、と結月ゆかりは呟くと、糸口の方を見る。糸口は結月ゆかりに顔を向け、結月ゆかりが言霊を造るまで待ち待機していた。

 

「糸口君とあかりちゃんって、どういう関係なんですか?」

 

にやにやとしながら二人はの事情を聞くと、紲星あかりはボッと煙を上げ、顔を夕焼け色に染めた。

 

「ただの友達です。」

 

冷静に答える糸口に対し、何かを()()してしまっている様子の彼女。それを見逃さなかった弦巻マキはすかさずに問い詰める。

 

「付き合っているんじゃないの?」

 

「違います。そんな関係じゃないです。」

 

へぇ〜、と関心をあげる弦巻マキだったが、未だに疑っている結月ゆかりは、本当に?本当に?と何度も問いつめる。その度、糸口ははい、と答えるしかない中、紲星あかりはずっとその状態だった。

 

 

 

▪️

 

 

 

月光に照らされた道を歩く二人。そのシルエットは家の塀に映し出され、隣を歩いているため、ひとつに重なっていた。

特になんの会話もない。今日のカフェの感想や、あの二人についての話題もない。ただただ夜道を無言で切り裂く二人はいつもの十字路に着き、その場に立ち止まった。

 

「じゃあね。霧夜君。」

 

「…ああ、また明日な。」

 

別れを告げ、それぞれの家へと向かって歩を進める。街灯が所々にあり、その度、彼の影がシルエットとなり、再び消える。その繰り返し。糸口は無言でただただ歩き、家に向かって歩いていく。

一方で紲星あかりは、ゆっくりと歩き、俯きながら歩いている。

 

「はぁ〜…何も喋れなかった…。」

 

ため息を着き一言呟くと、顔を上げ、頑張るぞ、と意気込み、走り出した。彼女の銀色にたなびく髪がゆらゆらと揺れ、それは月明かりによって、さらに銀色を増し輝いていた。




んーーーおわりーーーー!!!!(?)
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