「改めまして、日暮空です」
「高町恭弥だ」
とりあえず名乗っておいた。礼儀って重要だよね。
「じゃ、行きますよ」
「いつでも来い!」
俺は宣言してから木刀を振る。
―シュンッ
「なっ」
―ガンッ
「お?」
俺が振った木刀が受け止められてしまった。四割くらい本気なのに・・・・・・。
「お前、今何をした?」
恭也さんが驚きの顔で問いかけてくる。
「何って、木刀をただ振っただけですよ?」
俺はシレっと答える。
「ただ振っただけで、木刀が見えなくなる訳がないだろうっ」
「え?」
できないの?
「不思議そうな顔をするな!」
俺は見学人の高町たちの方を見る。
「「「(゜д゜)」」」
東雲までも唖然としていた。んー、どうも師匠に鍛えられたから感覚がおかしくなってるなあ。
「まあ、いいじゃないですか。続きを殺りましょう」
「最後の言葉に不安を感じるが・・・いいだろう、こちらも本気で行く!」
「メタな発言は禁止ですよ」
俺は恭也さんの攻撃を軽口を叩きながら防ぐ。
「ならば!」
恭也さんは二本の木刀で一気に攻めてくる。俺は木刀は一本しかないので、防ぎつつも躱していく。
「やるな」
「いやあ、恭也さんも強いですよ」
「俺の攻撃を軽く捌ききってる奴がよく言う」
それから何十もの攻撃を捌き、たまに反撃をする。それを何度か繰り返した。
「はあはあはあ」
「何をそんなに興奮してるんですか?」
「っ、誰がっ」
息も途切れ途切れなのに睨み返す元気はあるらしい。若いって素晴らしいねっ。
「君は疲れていないのかい?」
士郎さんが問いかけてくる。その顔がなんとも不思議そうだったので俺は
「全く(⌒▽⌒)」
爽やかな笑顔で答えた。
「「「「「・・・・・・」」」」」
士郎さんだけではなく、その場にいた全員(恭也さん、高町、竜馬、東雲まで)も唖然としていた。
当然だろう、大学生がすごく息を切らしてるのに中学生の俺が平然としているのだから。
「恭也さん」
「なんだ?」
「ここは一つ、次の一撃で終わらせません?」
持久戦で勝っても嬉しくないので、俺はそう提案した。
「・・・・・・いいだろう」
「じゃあ、恭也さんは最終奥義でもなんでも使ってください」
「っ、気づいてたのか?」
「そりゃあ、剣術が受け継がれてるって言ったら何かかんかはあるでしょう」
それにさっきの打ち合いだって所々で技っぽいのが出てたもん、名前は言ってなかったけど。
「・・・・・・わかった。では、行くぞ!神速!」
「おおっ」
俺は感嘆の声を上げた。恭也さんがものすごく速くなったからだ。でも、
―カンッ
「「な!?」」
俺はその速さから放たれる攻撃を防いだ。それに恭也さんだけでなく、士郎さんも驚きの声を上げる。
「じゃ、次はこっちから行きますよ」
俺は居合の構えを取る。
「くっ」
恭也さんは驚きながらも距離を取る。だが、遅い!
「適当な横一文字!」
特に技名はなかったので、適当に付けたw
「ぐっ」
恭也さんはそれを防ぐが、そのまま吹き飛ばされる。受け止めた木刀は二本とも折れてしまった。
「そこまで!」
そこで士郎さんが終わりの合図を出す。ハッ、やりすぎた!
「この勝負、君の勝ちだ」
「どうも」
「それにしても驚いた。その体力といい、腕力といい、何より神速を破るとは」
「いやあ、美少女にいいところを見せようとしたら火事場の馬鹿力が出ちゃいました(ゝω・)テヘペロ」
「空君、君は一体何者だい?」
「俺はただの美少女もしくは美女好きな中学生ですよ」
「・・・・・・まあ、今は何も聞かないでおくよ」
「ハッハッハッ」
とりあえず笑って誤魔化した。
「すごいよ空!恭也さんに勝っちゃうなんて!」
見学してた三人が近寄ってきた。竜馬は何故か興奮していた。
「美少女に無様な姿は見せられないからな」
「ねえ、藍莉ちゃん、日暮君って魔法使ってないよね?」ボソッ
「そうですねぇ、反応は出てなかったですけど」ボソッ
なにやら美少女が密談している。
「日暮、俺の完敗だ」
「いやあ(^^ゞ」
「お前は一体何者だ?その歳でその強さ、尋常じゃないぞ」
「まあ、いろいろあったんです、いろいろと・・・・・・」
俺は昔の記憶を呼び起こして、遠い目をする。
「・・・・・・よくわからんが、苦労したのはわかった」
「助かります」
「そういえば」
そこで東雲がその場の全員に聞こえるように口を開いた。
「恭也さんが負けたということは日暮さんはなのはさんをお嫁にもらうんですか?」
「えぇええっ!?」
「だってそういう勝負じゃなかったでした?」
「そうだったの?」
「くっ、俺が負けたばかりにっ」
「空君、次は僕と勝負しようか」
東雲は面白そうに、竜馬は首を傾げ、恭也さんは悔しがっている。士郎さん、あなた笑顔が怖いです。
助けてください高町さん。
「だ、だって、まだ、会ったばかりで、お互いのこともよく知らないし・・・・・・」
顔を真っ赤にして両手の人差し指をくるくる回していた。ダメだ、これは。
「しののめえー」
「日暮さん、頑張ってください(^_^)」
素敵な笑顔で言われました。意外に小悪魔属性なんですね・・・・・・。仕方ない!
「ほ、ほら、士郎さん、こういうのはやっぱりお互いの気持ちって大事だと思うんですよ、ですよね!?」
「・・・まあ、そうだね」
「だから、俺が良くても高町がヤダって言うと思うんですよ」
俺がチラリと高町を見ると、士郎さんも目を向ける。そこには独り言を繰り返す高町の姿が。
「ほら、高町だってあんなに悩んでる!」
「・・・・・・」
だから、この話はもう終わりでお願いします!
「まあ、なのはにその気がないんじゃ仕方ないな」
「ですよね!」
よかった。ふと東雲を見るとものすごい笑いを堪えている。
「・・・・・・」
これが美少女じゃなかったら、卑劣な嫌がらせをしたものを。
「さて、そろそろ遅くなるから今日は解散しようか」
「そうですね」
「もう外も暗いし」
というわけで解散になった。
ちなみに高町にはちゃんと、約束はなくなったと説明しておいた。その時複雑な顔をしてたけど、まあ、いいだろう。