魔女と剣士と少女たち   作:sakuya-syu

8 / 24
EP08 人と秘密と

 どーも、空です。いきなりですが、ただいま、放課後の学校の廊下ですずかとアリシアに挟まれています。おそらくは昨日の件。

 

1. 逃げる

2. 二人を抱き寄せる

3. 仕方なく捕まる

 

 どうしよう?

「空君、お願いだから私に付いて来てもらえるかな?」

「もう、なんで逃げるの、ソラ」

 3だ!不安げに見つめてくるすずかと、不満気に頬を膨らませるアリシア。美少女にそんな態度を取られたら、もう大人しく付いていくしかないだろう。

「あいよ、どこへなりとも」

 俺は二人のあとについて行った。

 

 

 

 それからすずかの迎えの車に乗って、連れてこられたのは月村邸。なんて豪華なんだ!

「どうぞ」

 メイドさんのファリンさんが屋敷のドアを開けてくれる。そして、そのまま屋敷の一室に案内された。

「いらっしゃい、アリシアちゃん、日暮君」

 部屋の中にいたのはすずかのお姉さんともう一人のメイドさん、あと恭也さんだった。

 恭也さん、そんなに睨まないでください。

「こんちわ、すずかに誘惑されて来ました」

「そんなことしてないから!」

「すずか、あなた、そんなことを・・・・・・」

「ご、誤解だよお姉ちゃん!もう!空君も変なこと言わないでよ!」

 俺の言葉に、乗ってくるお姉さん。いい腕持ってんじゃねえか。

「それで、なんで俺は呼ばれたんでしょう?」

「・・・・・・・・・」

―ギュウ

「すずか無言で腕つねらないで、謝るから」

 謝ると、手を放してくれるすずか。器がでかいね。

「長くなるかもしれないから、座ってちょうだい。ファリン皆にお茶を」

「かしこまりました」

 お姉さんに促されて座る俺。その隣にアリシアが座る。すずかはお姉さんの隣で向かい合わせに座っている状態だ。

「恭也さんは座らないんですか?」

「俺はいい。それと、後で覚悟しろよ」

「え?恭也さん、まさかそっちの趣味が?」

「なっ、何を馬鹿なことを!」

「そ、そうなの恭也?」

 またしても乗ってくれるお姉さん。俺、この人と気が合いそう。

「そんなわけあるか!」

「じゃあ、お願いしますお姉さん」

「スルーするな!」

「恭也、大人気ないわよ」

「ぐっ」

 おお、お姉さんの一言で恭也さんが下がった。

「まずは自己紹介からね。私は月村忍よ。呼び方は任せるわ。すずかの姉で、恭也の恋人よ。あなたのことはすずかや恭也から聞いているわ」

「どーも、じゃあ、しのっちと呼びます。それは良い事ですかね?」

「空君!?」

「ふふっ、じゃあ私は空君と呼ぶわ。それと、聞いたことだけどそれは秘密よ」

 しのっちは、やっぱり忍さんと呼ぼう、人差し指を口に当てる。うん、妖艶だ!

「それで、忍さん、どうして俺を呼んだんですか?」

「あらしのっちはやめちゃうの?気に入ったのに」

「あなたの綺麗さにはしのっちは合いません」

「あら、嬉しいこと言ってくれるのね」

「女性にはつい本音が出ちゃうんですよ」

「あらあら」

 俺と忍さんが笑い合う。

「「・・・・・・・・・」」

 すずかとアリシアに無言で睨まれました。

「すいません、本題をお願いします」

「そうね。まず、昨日の件だけど、改めてお礼を言うわ。すずかを助けてくれてありがとう」

 忍さんは笑顔から真顔になると頭を下げた。

「いえいえ、美少女を助けるのが俺の生きがいですから」

「ふふふっ、本当に面白い子ね」

 顔を上げた忍さんは笑って言った。

「よく言われます」

「お茶をお持ちしました」

 ファリンさんがお茶を持ってきて、テーブルの上に置く。

「じゃあ、ここからが本題だけど」

 ようやく本題か。長かったな、って俺のせいかw

「昨日、あの誘拐犯から私たちのことは聞いた?」

「いいえ、すずかが言って欲しくないみたいだったので、言う前に殴り倒しました。てか、すずかから聞いてなかったんですか?」

「聞いてたわよ。でも、あなたの口から確認したかったのよ」

「そうですか」

「ええ。それと、昨日の件だけど、あれは私たちが原因なの。そのせいであなたたちを巻き込んでしまったわ、ごめんなさい」

「それはいいですよ、皆無事だったんだし」

「ありがとう」

「それで原因っていうのは?」

 アリシアが問う。忍さんは紅茶を一口飲んで答えた。

「それは私たちの体質のことなの」

「体質?」

「ええ、あなたちって吸血鬼って信じる?」

「っ」

「「・・・・・・・・・」」

 すずかはビクッと体をこわばらせ、俺とアリシアは無言で忍さんを見る。ここでその話をするということはつまり、

 

 

「私とすずかは吸血鬼なの」

 

 

 ですよねー。

「・・・・・・・・・」

「どうしてそれを俺らに?」

 なにも言えなくなっているアリシアに変わり俺が問う。

「昨日巻き込んでしまったから、あなたたちには知る権利がある。そして私には月村家当主として教える義務があるのよ」

「なるほど。それで、俺らはどうすれば?」

「あなたたちには二つの選択肢があるわ。一つ目はこの秘密を口外しないと誓うこと、二つ目は私たちが吸血鬼だという記憶を消すこと」

 忍さんがその選択肢を言うと、すずかは恐る恐るといった怯えた目でこちらを見てくる。

「忍さんたちは記憶を消せるんですか?」

「・・・・・・ええ」

「そうですか。それと一つ聞いていいですか?」

「なにかしら?」

 忍さんは強ばった顔で答える。

「忍さんたちの言う吸血鬼って、どんなものなんですか?」

「私たちは人の血を吸わないと長く生きることができないの。あとは人間より力が強いのと、記憶を操作したり人を操ったりする能力もあるわ」

「へえー。コウモリにはなれないんですか?」

「こ、コウモリ?私たちは変身はできないわ」

「影に入ったりも?」

「・・・・・・空君?あなた、何が言いたいの?」

「いやあ、俺の知ってる吸血鬼には程遠いなと」

「空君、あなたが知ってるのは本の中のことでしょう?」

「違いますよ、本物の吸血鬼ですよ」

「っ、・・・・・・あなた、吸血鬼に知り合いがいるの?」

 俺の言葉に忍さんだけでなく、その場にいる全員が驚いた。

「いますよ。あと、忍さんたちが吸血鬼っぽいものだってことは最初に会った時から気づいてました」

「え?」

「それは、本当?」

 すずかはさらに驚いた顔でこちらを見て、忍さんは本当かどうか聞いてくる。

「ええ、ちなみにメイドさん二人が機械だってことも」

「っ」

「えぇええ!?」

 それにはノエルさんとファリンさんがすごく驚いていた。

「別に俺はこのことは誰にも言いませんよ。な、アリシア」

「え?う、うん!」

「それは誓ってくれると取っていいのかしら?」

「はい、それに、どちらにしても俺の記憶は消せないと思います」

「・・・・・・それはどういうことかしら?」

「体質です」

「あなたも人間ではないの?」

「俺は人間ですよ。それで、誓いって何をすればいいですか?」

「・・・・・・簡単よ。ここで今のことは誰にも言わないと誓ってくれればいいわ」

 忍さんは俺の発言に何も言ってはこなかった。

「それだけ?」

 あまりの簡単さにアリシアが首を傾げる。

「ええ」

「じゃ、じゃあ、私はこの秘密を誰にも言わないと誓います」

「ありがとう、アリシアちゃん」

「じゃあ、次は俺ですね。俺はこのことを誰にも言わないと誓います。そして、何かあればあなたたちを守ると約束します」

「っ」

「いいの?そんなことを」

「最後のは約束です。あなたたちが俺を裏切らないなら、俺はあなたたちを守りますよ」

「あ、ありがとう、二人とも」

 すずかは泣きながら俺とアリシアにお礼を言ってきた。

「いいよ、お礼なんて、私たち友達でしょ」

「うん!うん!」

 泣いているすずかをアリシアが慰める。うん、いい絵だな。

「空君も、ありがとう」

 泣き止んで目に涙を溜めたまま、お礼を言われた。

「グハッ」

 俺は99999のダメージを受けた。

「そ、空君!?」

「すずか、可愛すぎるぞコンチクショー」

 俺は床に手を付いたまま呟いた。

「ふえ!?」

 俺の言葉に顔を真っ赤にするすずか。

「あらあら。空君、なんだったらすずかをもらう?私たちの伴侶は秘密を知った人じゃないとなれないの。あなたにはその資格があるけど」

「是非!」

 忍さんの言葉に俺は即答した。

「えぇええええ!?」

「あらあら」

 すずかは驚き、忍さんは面白そうに微笑む。

「ま、冗談だ」

「―――っ!/////」

 すずかは俺をポカポカと叩いてくる。力が強いので地味に痛い。

「すずか」

 すずかの手を受け止めながら、俺は真顔で言う。

「な、なに?」

 突然のことで戸惑うすずか。

「アリシアもこのことを知らなかったってことはアリサたちも知らないのか?」

「え?・・・・・・う、うん」

「そうか。あいつらには話しておけよ」

「で、でも!」

「お前ももう分かってんだろ?アリシアがそうだったように、アイツ等に言っても今までと変わらないさ」

「・・・・・・」

「別にすぐじゃなくていい。すずかの決心がついたら話せよ」

「・・・・・・うん、私、頑張るね」

「その意気だ」

「その時は」

 すずかが俺の服の袖を掴む。

「ん?」

「その時は空君も一緒にいてくれる?」

 涙目+上目遣い

「グハッ、ま、まかせろ」

 倒れるのを我慢して親指を立てて拳を出す。

「これはホントに・・・・・・」

 忍さんが後ろで何か言ってるがそれどころじゃなかった。

「むうー」

 アリシアは頬を膨らませてこちらを見ている。

「これはアリシアちゃんも?ふふっ、ホント面白くなってきたわ」

 忍さんに目で助けを求めてもぼそっと何か言ったことしか聞こえなかった。

 

 

 

サイド:忍

 

「いいのか忍」

「何が?」

 三人の様子を見ていると恭也が話しかけてくる。

「日暮のことだ。あいつには謎が多すぎる」

「そうね、でも」

 私はすずかとアリシアに寄られて困っている空君を見て言った。

「その方が面白いじゃない」

 笑いながら言った私を見て恭也はため息をついていた。

 

 




すずかとアリシアのフラグが立ちました。あんまりない組み合わせかな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。