「ふあー」
すずかの家に行った数日後、俺は学校に歩いて登校していた。
「あ、ソラ!」
歩いていると前方でアリシアが大きく手を振っていた。その隣にはテスタロッサもいる。
「よう、アリシア、テスタロッサ」
「おはよう、ソラ」
「おはよう?」
アリシアとテスタロッサに挨拶したらテスタロッサに首を傾げられた。
「どうした?」
「えっと、姉さんのこと名前で呼んでるんだね」
「ああ、そう呼んでいいって言われてな」
「そっか、私もフェイトでいいよ?」
「じゃあ俺も空でいいぞ」
「うん」
「むぅ」
「どうした、アリシア」
「なんでもない」
「ま、待ってよ姉さん」
ムスっと歩いていくアリシア。それを俺とフェイトが追いかける。
「?」
取り残された俺は何故先に行くのかわからなかった。
―キーンコーンカーンコーン
昼休み。生憎授業シーンはカット。特に面白くないし。
今は屋上でいつものメンバーで弁当を食べている。屋上に来るときにクラスの男子どもに追いかけられたが、問題ない(`・ω・´)。
「最近思うんだけど」
弁当を食べているとアリサが口を開いた。
「どうしたの?アリサちゃん」
それに高町が首を傾げる。
「ここ最近、すずかとアリシアって空の隣に座るわよね」
―ビクッ
両隣にいるすずかとアリシアの体が一瞬はねた。
「そ、そんなことはないよ?」
「そ、そうだよ」
「それに最近、二人が空の近くにいるのよね」
「そ、そそそうかな?」
「あ、アリサのき、気のせいじゃないのかな?」
「じー」
「うっ」
「うぅ」
アリサが二人を見つめると、二人は縮こまってしまった。
「(つ´∀`)つ マァマァいいじゃないか。俺は美少女に挟まれて役得だし」
「ムッ」
「むぅ」
そう言うとアリサと高町がむすっとしていた、なんで?
「そういうことですか」
「?」
それを見た東雲がニヤニヤと笑い、東雲を見てフェイトが首を傾げていた。
「空、たまにグヘッ」
竜馬が何か言おうとしていたが、隣にいた東雲の顔面裏拳によって沈黙した。
「日暮さん、どうですか?すずかさんとアリシアさんに挟まれて」
「両手に花やな」
「東雲、八神、言わなくてもわかるだろ?ちょーうれしい」
「う、嬉しいだなんて」
「えへへ」
「「・・・・・・・・・」」
正直な感想を言うとすずかとアリシアが照れて、アリサと高町の視線が鋭くなった。ヒィッ!
「そ、そりゃ、すずかやアリシアみたいな可愛い子に挟まれて嬉しくないわけがないだろ?」
「・・・・・・・・・」
名前を言った瞬間、高町の目がさらに鋭くなった。
「日暮君、いつからすずかちゃんとアリシアちゃんを名前で呼ぶようになったんや?」
「ん?先週だな」
「なんで、うちらのことは苗字呼びなん?」
「なんでって勝手に名前で呼ばれるのは嫌だろう?」
「日暮さんは律儀なんですねぇ」
「まあな、でも、日暮君が転校してきてから結構一緒に過ごしてるんやし、そろそろ名前で呼んでもええんやない?」
「まあ八神がそれでいいなら」
「じゃあ、うちのことははやてって呼んでな。ウチは空くんって呼ばせてもらうわ」
「おう」
「では、私も藍莉でいいですよ。私は空さんと呼びます」
「ああ」
「わ、私も!なのはって呼んで!私も空くんって呼ぶから!」
「お、おぅ」
最後のなのはの勢いに戸惑う俺だった。
―キーンコーンカーンコーン
「あ、チャイムだ!急いで戻らないと!」
フェイトの声で皆、教室へと戻っていった。
放課後。俺はアリシアたちと帰ったあと(アリサとすずかは車)、家で着替えてからもう一度外に出る。まあ、夕飯の買い物だ。
「今日は何にするかなー」
「あれ?空くんやん」
「ん、おお、はやてか」
スーパーでの買い物中、声に振り向くとはやてがいた。
「さっそく、名前で呼んでくれてるんやね」
「そりゃあ、呼んでいいって言われたからな」
「空くんも買い物?」
「ああ、今日の夕飯を何にしようか迷っててな」
「空くん、料理するん?」
「まあな」
「へえー、お母さんは作らへんの?」
「うち両親いないんだよね」
「え!?ご、ごめん!」
「何が?」
「何がって、踏み入ったこと聞いてもうて」
「ああ、そういうことか。はやて、お前は誤解をしてる」
「ご、誤解?」
「ああ、確かに俺は孤児で拾われた身だが」
「ちょっと待ってい」
「なんだ?」
「空くん、孤児やったんか?」
「まあ、それはいいんだよ」
「・・・・・・・・・」
「拾った里親がいるんだが、今、どっか行ってるんだ」
「どっかって、仕事か旅行かなにかか?」
「いや、文字どうりどこにいるかわからん」
「いや!それ行方不明やないか!」
「大丈夫だ、あの人はそのへんで野垂れ死ぬような人じゃないから」
「そういう問題とちゃうやろ!」
「まあまあ、とにかく大丈夫なんだよ」
「そ、そうなんか。じゃあ、今空くんは一人で暮らしてるん?」
「そうなるな」
「そうなんか」
「そうなんよ」
「もしよかったらうちに来えへん?」
「なんで?」
「一人で食べるより、みんなで食べたほうがええやろ?」
「もう慣れたからなー」
「そんな寂しいこと言わんと――「我が主ー」ん?」
「ん?」
はやての話の途中で声が聞こえた。あれ?どっかで聞いたことあるような?
「我が主!」
「アインス、どうしたん?」
「・・・・・・・・・」
現れたのは綺麗な銀髪が腰まで伸びた赤目の女性だった。
「どうしたではありません。いきなりいなくなって心配したんですよ」
「ゴメンな、友達とおうてん」
「友達ですか?」
銀髪の女性が俺を見る。
「?どこかでお会いしましたか?」
「ッ、いや」
「空くんどないしたん?いつもならそれはナンパですかとか言いそうなのに」
「なんでもない。はやて、悪いけど今日は帰るわ」
「え?なんでや?」
「用事ができた、じゃあ、また明日な」
俺は急いでその場を離れた。
サイド:アインス
私は我が主はやてと近所のスーパーに夕飯の買い出しに来た。買い物の途中で主はやてがいなくなり、私は慌てて探した。
そして主はやてを見つけると、声をかけた。
「我が主ー」
私は彼女の元に駆け寄る。
「我が主!」
「アインス、どうしたん?」
「どうしたではありません。いきなりいなくなって心配したんですよ」
「ゴメンな、友達とおうてん」
「友達ですか?」
私は主はやてが見た方を見る。そこには一人のこちらを見て驚いている少年がいた。そして私は、その少年を見た瞬間、懐かしいような感じがした。
「?どこかでお会いしましたか?」
「ッ、いや」
少年は一瞬辛そうな表情をしたがすぐに戻った。
「空くんどないしたん?いつもならそれはナンパですかとか言いそうなのに」
「なんでもない。はやて、悪いけど今日は帰るわ」
「え?なんでや?」
「用事ができた、じゃあ、また明日な」
そう言って、スーパーから走って出て行った。
「何やったんや?」
「・・・・・・主はやて」
「なんや?」
「彼を追ってもよろしいでしょうか?」
気がついたら私はそんなことを言っていた。
「なんで?空くんがどうかしたん?」
「彼を見るとすごく懐かしい気持ちになるのです。それに」
それに、それだけではなく、悲しいような切ない気持ちになる。
「・・・・・・ええよ、行ってきい」
「いいんですか?」
「アインスがそう言うなら、よっぽどの事なんやろ?」
「すみません、ありがとうございます」
私は少年を追った。
サイドアウト
「はあ」
スーパーから出た俺は夕飯を作る気になれず、コンビニで弁当を買った。思い出すのはさっきの銀髪の女性。
「はあ」
まさか、ここで会うなんて。俺は家へと歩き出す。
「待ってくれ!」
声に振り向くとさっきの女性がいた。
「ッ」
俺のことは覚えてないんだろう、何故、来たんだ。
「君と話がしたいんだ」
「・・・・・・・・・」
俺たちは近くの公園に行った。
公園のベンチに座って近くの自販機で買ったジュースを女性に渡す。
「あ、ありがとう」
俺は彼女の隣に座り、ジュースを飲んだ。
「・・・・・・それで、話ってなんですか?」
「あ、ああ。まず、君の名前を聞かせてくれないか?」
「・・・・・・日暮空です」
「日暮空、・・・・・・私とどこかで会ったことはないか?」
「またですか?ないですよ」
「本当か?本当に会ったことはないか?」
「・・・・・・どうかしたんですか?」
何故か何度も聞かれる。もしかして記憶が残ってるのか?
「君を見ると、すごく懐かしい気持ちになるんだ」
「・・・・・・・・・」
「それと同時に、切なくもなる」
ああ、記憶はないが感じ取ってはいるのか。
「えっと、アインスさん、でしたっけ?」
「あ、ああ。さんはいらない、君にはそのまま呼んで欲しい、敬語もいらない」
「・・・・・・アインス、今、幸せか?」
「?ああ、幸せだよ」
「・・・・・・そうか、それは、よかった」
本当に。
「・・・・・・泣いているのか?」
「?」
目に手を当てる。当てた手は濡れていた。俺は、泣いているのか。
「す、すまない、私が何か泣かせるようなことを言ってしまったのかっ」
アインスは俺が涙を流しているのを見て慌てふためいた。
「大丈夫だ、アインスは何も悪くない」
悪いのは俺だ。
「・・・・・・・・・」
アインスはそんな俺を無言で抱きしめる。
「何してるんだ?」
「い、いや、こうしないといけないと思ったんだ」
「・・・・・・・・・」
ああ、何もかもが懐かしい。もし、アインスが昔のことを思い出したのなら、その時は俺を恨むだろうか、それとも、泣いてしまうだろうか。
俺はそんなことを考えながらしばらくアインスの胸で泣いていた。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
アインスフラグ?そのうち主人公の過去編も書きたいと思います。誤字脱字ございましたら指摘お願いします。