ようこそ適当主義者のいる教室へ   作:キルルトン

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お気に入りが1000件を超えました。正直、ここまで喜ばれるとは思っていなかったのでとても嬉しいです。
それと、未定だったヒロインを決めました。


テスト勉強

「鈴音ちゃんの料理、おいしかったね!」

「まあ、確かにうまかったな」

 堀北が帰ったあと、俺と明日香は明日香が持ってきたテレビゲームで遊んでいる。

 ゲームのタイトルはハンター・ウォッチ。世界で480万以上売れている人気シリーズ。そのテレビゲーム版らしい。

 

「明日香。おまえ、生徒会長とどういう関係なんだ?」

「なになに、いきなりなんだ?そんな事より早く尻尾、斬ってくれよ」

 俺の質問を無視して今俺たちが討伐しているオレンジ色のドラゴンのような風貌のモンスターの尻尾、切断を催促する。

 

「4月の終わり頃、銭湯に誘ったの覚えているな」

「うん。覚えているよ」

「銭湯にあったサウナで偶々、生徒会長に会ったんだ。これだけならただの偶然だ。だが、あの会長は名乗ってもない俺の名前を知っていたし、俺が銭湯に来ることも知っていた」

「なるほどね〜」

「極め付けは、お前が堀北のことを鈴音と呼んでいたことだ」

「…………てへっ」

 明日香が自分の頭をコツンと叩いてチロっと舌を出してごまかした……って誤魔化せるか!!

 

「そういうのいらないから、さっさと答えろ」

「わかっわかった。……信じないかも知んないけど、あたし1年の頃生徒会に居たんだよね」

「………おまえ、軽音じゃん」

 信じる以前に確か、部活動と生徒会活動って同時にしたらダメだったよな。

 

「2年に上がる直前に軽音の生徒の1人が退学になっちゃって。人数足りなくて、廃部寸前だったんだよ」

 なるほど、それで軽音にいる友達に入ってくれって頼まれた感じか……でも

 

「普通そこまでするか?」

 部活動説明会の時に明日香は生徒会に入ることを決めた……にも関わらず、1年程度で軽音に移った。たとえ友達の頼みでも受けるだろうか。

 

「あはは……そーだね。まぁ、あたしにもちょっと責任あるし……」

 そう言って明日香は顔を落とした。初めて見るな……明日香のこんな顔

 

「愚痴りたいなら、はけ口になるぞ」

「流石に後輩に弱音は吐きたくないな〜。その代わり、頼み事聞いてからない?」

「内容による」

「生徒会に入って」

「………どういう話の流れでそうなるのかとかそもそも、俺が生徒会に入れるのか、とかそういうのはあえて無視して言うぞ。俺の素性とキャラクターを知って言ってるのか?」

 この学校が俺をどう見ているのか、実際は知らないが俺はこう思う。問題児、しかもかなりの。そんな奴が生徒会に入れるのか?絶対に無いだろ。

 

「うん。それで返事は?」

「もちろん嫌だ。誰が好き好んであんな面倒くさそうなの」

「………だよね〜。うんうん、ちょっと輝が生徒会やっているところとか見て見たいな〜って思ったけど。やっぱダメか、ざんねんざんねん。それじゃあそろそろゲームに集中しよっか」

「あ、もう狩り終わったけど」

「えっ!」

 驚いてテレビ画面を見る明日香はグッタリと倒れているモンスターを呆然と見ていた。そしてすぐに、クエスト クリアが表示された。

 

「あー!あたし、まだ剥ぎ取ってない〜!!輝、なんで教えてくれなかったの?」

「ゲームに集中していなかった。明日香が悪い」

「むー。こうなったら、もう一回狩りに行くよ」

「それより本当にもう帰ったら」

 時計を見ると23時をとうに回っていた。帰るどころかもう寝る支度を済ませていてもおかしくない時間だ。

 

「大丈夫、大丈夫。今日はここに泊まるから」

 そう言って、明日香は持ってきた荷物から寝間着やら毛布などを出してきた。

 そうか、そうか。本当に泊まる気なのかこの人。

 

「泊めるわけないだろ。今すぐ、帰れ」

「やーだよ〜」

 俺の文句を無視して明日香は寝間着を持って浴室のある方へ向かった。

 

「おい。どこへ行く気だ?」

「お風呂。一緒に入る?」

「いや、いい」

 俺が断りを入れると明日香はあっさり引き下がり、浴室に入っていった。

 そして、明日香の宣言通り俺は夜の3時まで狩りに付き合わされた。

 

 

 

 

 

 

 堀北の要望に従い、今日から真面目に授業を受けることになってしまった。お陰様で俺は目にクマを作って、眠気を感じながら教室に入り席に着いた。

「おはよう」

「おはよう。どうしたんだ?おまえが朝から教室に来るなんて」

 ひどい言いようだな綾小路。まぁ、昨日も1限しか受けてないし仕方がないか。

 

「なに、簡潔に説明するとおまえと同じ目にあっただけだ」

「それは……お気の毒に」

 そのまま、綾小路とたわいも無い会話をしていると俺を教室に連れて来させた元凶……堀北が教室に入ってきた。

 

「ちゃんと来ていて何よりよ」

「本当は一日中部屋で寝て居たかったんだが、約束は守ることにしているからな」

「良い心がけね」

「すごいな。正直、新道を連れて来るのは無理だと思っていたんだが」

「………………」

「……堀北?」

「………………」

「おい、堀北」

「なに?」

「綾小路が呼んでるぞ」

「そう」

 短くそう言うと、堀北は鞄から小説を読み始めた。おいおい、完全無視かよ。

 

「何したんだ、いったい?」

「いや、それが   

 綾小路の説明によると須藤、池、山内ら3人を勉強会に誘って見るも簡単に撃沈。その為、今度は櫛田に3人の説得を依頼した。その時に櫛田から自分も勉強会に参加させてもらうよう要求されたらしい。

 そして、結果は大成功。3人は勉強会に参加する事となった。

 しかし何故か堀北は櫛田の参加を猛反対しているらしく今もそのことに関してご立腹のようだ。

 

「なんつーか、何で櫛田を参加させたくないんだろうな」

「オレが知りたいぐらいだ」

 綾小路が俺に言っているようでその言葉は堀北に向けられていた。当然、堀北は無視を貫いている。

 でもまあ、綾小路の選択は間違ってないんだよな。早く、集めたいのなら時間をかけて根気よく誘い続けるよりよっぽど楽だし、簡単だ。

 そのまま、堀北は綾小路を無視し続けた。綾小路もまた無視をしようと堀北に背中を向けるとコンパスを取り出す音を聞かさせるから綾小路は無視ができないという理不尽さ。綾小路よ、強く生きろ。

 1日の全授業が終わり、放課後がやって来た。

 

「勉強会に参加すべき人は、ちゃんと集まったの?」

 今日1日、無視していた綾小路に対してついに堀北は口を開いた。

 

「……櫛田が集めてくれたから、参加するんじゃないか」

「櫛田さんが、ね。彼女には勉強会に参加しないようにちゃんと伝えた?」

 「伝えた」と答える綾小路に、堀北は納得したらしく図書館に行くよう促していた。

 精々、崩壊しないように頑張れよう。

 

 

 

 

 

 

 

 空気が重い。居心地が悪いし居た堪れない、はっきり言って帰りたい。何でこんなに不機嫌なんだ。

「ねぇ……何があったの、輝、鈴音ちゃん」

「「別に」」

 

 絶対に怒ってるよね。なんでだろう。輝はあたしが勝手に合鍵を作ったからだと思うけど、鈴音ちゃんのは本当にわかんないな。あたしがついた時には既に不機嫌だったし。

「出来たぞ〜」

「見せなさい」

 鈴音ちゃんが持ってきた、プリントを終わらした輝。それに目を通すと鈴音ちゃんの顔がいっそう険しくなった。

 

「新道くん、ふざけてるの?」

「なんのことだ?俺は普通に書いているぞ」

「これのどこが?」

 そう言い、輝が渡したプリントをテーブルに叩きつけた。何を書いたかきになったので、ちょっとプリントに顔を覗かせるとそこには答えを書く欄にいくつか点が記されている……ていうか、これ……

 

「点字……だよね」

「正解。堀北、解んなかった」

「点字なのは解ってたわ。そうじゃなく、なんで解答欄に点字を書いたか聞いているの」

「あれ、点字で答えたらダメって、言ってたっけ」

 その一言を聞いて、鈴音ちゃんは射殺すような目で輝を睨んだ。わかるよ、常識っていうか暗黙の了解みたいな感じだもんね。それを知った上で無視しているからタチが悪いもんね。

 

「まさかとは思うけど、小テストの時も同じように」

「イグザクトリー」

 輝の回答に鈴音ちゃんは頭を悩ますでもなく呆れ返るわけでもなく、ただ深い溜息を吐いた。

 これでこの勉強会も御開きかな……

 いっときの静寂の中、鈴音ちゃんのスマホが鳴った。

 

 内容を確認すると鈴音ちゃんは血相を変えて出していた勉強道具をしまい。

「………悪いけど、勉強会はこれで終わりにするわ。それじゃ」

 と言い残し、そそくさと出て行った。

 あん感じは、友達じゃ無いよね……彼氏?……それとも……お兄さんとか……どれもピンとこないなぁ。

 

「それじゃあ、明日香。今から堀北の後をつけるから、合鍵置いて、昨日持ってきた荷物まとめてさっさと出て行け」

「あ。あたしも、気になるから後つけるよ」

 輝の後を追って行くと輝はエレベーターの前でじっとしていた。エレベーターは6階の表示から5、4としたへと降っていく。そして、1階まで降りた。

 1階ってことはロビーだから、他学年の人の可能性が高いな。

 

「階段で降りるぞ」

「時間的にそうなるよね」

 

 

 

 

 

 

 階段を降り、ロビーに着くとそこは既に無人であった。どうやらロビー内で会うのでは無く外で会うらしい。まだ、同学年の奴とロビーで会うって可能性は残ってたけど、それも無くなっていよいよ先輩の誰かになったな。

 

「輝、今更だけど鈴音ちゃんが先輩の寮の方へ行ったとしたらどうする?」

「2年なら、お前を送っただけだと言えばいい。3年なら諦める」

 まあ、俺の部屋から直で向かうってことは既に寮の前にでもいんだろうけど。

 そして、ロビーにいないということは、人に見られたく無い可能性が高い。それなら、森の中か。寮の……

 

「居ないね〜。先輩の寮に行ったのかなぁ?」

「裏手だ」

 監視カメラも無く、人気も無い。密会するなら妥当な場所だ。明日香にじっとしているよう指示し裏手の角からこっそり顔を覗かすとそこに居たのは

 

「ここコンクリだぞ。兄妹だからってやっていいことと悪いことがあるだろ」

 綾小路と俺が現在、最もムカついている相手、生徒会長こと堀北 学だった。

 その後、何故か攻撃目標を綾小路に変え生徒会長は強烈な裏拳を放った。それを綾小路は半身にしのけぞるようにして避ける。その後すぐに、急所を狙った鋭い蹴りが、綾小路を襲うがそれをギリギリでかわす。今度は綾小路の服の襟を掴んで地面に叩きつけようとするが、それも片手で流した。

 防戦一方だが、それは綾小路が反撃していないだけでしかいない。あれだけ完璧に防ぐとかいよいよ持って何者なんだよ綾小路は。

 そして、生徒会長は少し綾小路から距離を取り構え直した。

 

 それを見ていた俺は

「いいね、いいね。それじゃあ、今度は綾小路の反撃行ってみようか」

 ケータイ片手に、撮影を楽しんでいた。

 

「何をしているんだ、新道」

「何って、監視カメラが無いことをいい事に邪魔な妹に暴力を振るおうとしたところで邪魔者が入り。そいつ諸共、亡き者にしようとした現場を面白半分に撮影してまーす」

 ケータイのカメラ越しに生徒会長を見て答える。わぁ、表情全く変えねえ。もっと慌てふためいて欲しかったのに

 

「この件を学校へ報告する気か?」

「うーん、どうしよっかな〜。これを報告しても、アンタが停学もしくは退学になって、クラスポイントが大幅に減るだけだし。そんな事しても俺得しないし、得するのはA以下の3年の人達だけだし。ほんと、どうしよっかな〜」

「回りくどい言い方をするな。はっきりと言ったらどうだ」

「回りくどい?何のことか、さっぱりだな〜」

「……なるほど。思ったより、用心深いようだな」

 そりゃあ〜、普通に強請って逆に脅迫されたとか言われたくないしな。

 

「では、取り引きをしよう」

「へー、その内容ってなに?」

「簡単な話だ。今この場で100万ポイントを払おう。かわりにオマエはこの場でその端末にある映像を削除しろ」

「500万払うって言ってた時も驚いたけど、まだ100万払えるとか……アンタいったいいくら持ってんの?」

「さぁな。それでどうするんだ、飲むか?」

「ああ。それでいい」

 こんな映像で100万手に入るんだし良しとしよう。

 そして、生徒会長から100万ポイントもらい。生徒会長の目の前で映像を消してみせた。

 この場でやる事が無くなった俺は未だ呆然とている綾小路と堀北を尻目にその場を去った。

 

 事のついでに俺は明日香を寮まで送っていた……というのは冗談でちゃんとした理由があった。

「それじゃあ、明日香。お前の方で撮っていた映像、こっちに送ってくれ」

 そう、あの場で映像を記録していたのは俺だけじゃない。明日香にも撮らせて、その上で俺だけが出て来れば生徒会長もあの場に明日香がいたとは思わないだろう。

 それに生徒会長との取り引き内容は『俺のケータイで撮った映像の削除』これなら明日香の方で撮った映像でまた脅せる。

 

「あ、ごめん。無理」

「…………え?」

 何で断るの?別にその映像、明日香やクラスに影響ないはずだよね。

「いや〜、さっすが輝だわ〜。生徒会長相手に100万ぶん取るとは……でも、生徒会長の方もやられっぱなしじゃないみたいだよ」

 

 ヒョイっとケータイのメール画面を俺に向けた。その内容は……

「『仲村。今、撮った映像を誰にも渡すな口外もするな』……って、無視したら?」

 読み上げた文面を見て、俺は素直にそう思う。

 

「あたしは、輝ほど図太い神経持ってないし。生徒会長に当たり前のようにケンカ売るほど肝が座ってるわけでもないんだよね」

 そんなに生徒会長を敵に回したくないのか。

 

「わかったよ。……しかし、残念だ。これがうまくいけば今後、もっと面白いことができただろうに……とほほ」

 

 

 

 

 

 

 中間テストまで残り1週間となった今日この頃。図書館の中でも友達と勉強に勤しむ学生達で溢れ始めている。そんな中で俺は

「…………見当たらないな、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』……」

 J・D・サリンジャー作『ライ麦畑でつかまえて』。高校を放校となった17歳の少年がクリスマス前のニューヨークの街をめぐる物語。

 ぶっちゃけサリンジャーの本をたまたま読んで、なんとなく全作品を読もうと思ったけどこうも無いと面倒くさくなるぁ。

 

「うっし!これで満点確実だな!」

 静かな図書館に聞き覚えのある声が響き渡った。声する方を見てみるとそこにいたのは堀北と綾小路たち赤点組だった。

 

「おい、ちょっとは静かにしろよ。ぎゃーぎゃーうるせぇな」

 綾小路たちの隣の机に座っていた生徒の1人が顔を向ける。

 

「悪い悪い。ちょっと騒ぎ過ぎた。問題が解けて嬉しくってさ~。帰納法を考えた人物はフランシス・ベーコンだぜ? 覚えておいて損はないからな~」

 へらへらと笑いながら言った池に対して、隣の生徒は訝しげに聞いてくる。

 

「あ?…………お前ら、ひょっとしてDクラスの生徒か?」

 その言葉に、隣の男子たちが一斉に顔をあげ、綾小路たちを品定めするように見回した。その視線が癇に障ったのか、須藤が少しキレながら食ってかかる。

 

「なんだお前ら。俺たちがDクラスだから何だってんだよ。文句あんのか?」

「いやいや、別に文句はねえよ。俺はCクラスの山脇だ。よろしくな。ただなんつーか、この学校が実力でクラス分けしててくれてよかったぜ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまんねーからなぁ」

「なんだと!」

 山脇とかいう生徒は、ニヤニヤと馬鹿にするように言った。その態度に真っ先に反応したのは須藤だった。しかしそんな須藤に臆する事なく山脇は続ける。

 

「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイント査定に響くだろうな。いや、お前らには失くすポイントが無いんだっけ?って事は退学になるのかもなぁ?」

「上等だ、かかって来いよ!」

 須藤君が吠えるたびに、静かな図書館にその声が響き、いつのまにか結構な人たちが見ていた。

 

「やめなさい須藤くん。ここで問題を起こしたら最悪退学だってありうるわ。それと、私たちを馬鹿にしているけれど、あなたたちもCクラスでしょう?はっきり言って自慢できるようなクラスではないわね」

「C〜Aクラスなんて誤差みたいなもんだ。お前らDだけは別次元だけどなぁ」

「随分と不便な物差しを使っているのね。私から見ればAクラス以外は団子状態よ」

 へらへらと山脇が少しだけ堀北を睨んだ。

 

「不良品のくせして随分と生意気だな。ちょっと顔がいいからっていい気になってんじゃねえよ」

「聞いてもいない情報をありがとう。私は自分の容姿について特に興味はなかったけれど、あなたに評価されたことで非常に不愉快に感じたわ」

「っ!」

 堀北の更なる返しにムカついたのか、山脇が机を叩き立ち上がる。

 よーし、ここいらでちょっと絡むか。

 

「まぁまぁ、落ち着きなって」

「新道くん。いつから居たの?」

 気にするなよ。いつも、ふっと現れて、ふっと居なくなるんだから。

 

「まあ、気にするなよ。それよりもよ、堀北。そんなこと言わずに見下されてやろうぜ」

「あ?おい、おまえ。それは、どういう事だ?」

 俺の言葉にイラついている山脇が反応した。

 

「どうもこうもないけど。例え、アンタの言う通りA〜Cの実力が誤差だとしよう」

 まず、相手の言い分は敢えて受け入れる。

 

「しかし、それでもおたくらがCクラスなのは事実。AやBより下であり唯一自分たちより下はDクラスのみ。他のクラスより過剰に見下したくなるのは仕方がないよな。………まぁ、Aとの半分近いポイント差を誤差とか言える頭のおかしい奴に馬鹿にされるのはちと癪だけどな」

 そしてその言い分を利用して馬鹿にする。ニヤニヤと雰囲気だけでバカにしているなと分からせると

 

「テメェ……1ポイントも残せてない、不良品がほざいてんじゃねぇぞ!」

 お、ちゃんと言い返すね。それじゃあそれも肯定した上で反撃しますか。

 

「ハッハッハッ!確かにDクラスは0ポイントだ。Cクラスとのポイント差は490だ。……てことは、DクラスとCクラスの実力も誤差ってことかな?」

「はぁ!んなわけないだろ!!」

「と言うことは、自分はAより圧倒的に劣っている不良品と」

「そんなわけねぇだろ!!」

 おうおう、山脇くん、結構熱くなってるね。お仲間も止めようとしてきそうだし、そろそろ最後の一押ししますか。

 俺は山脇の肩をしっかりと掴み。

 

 人には誰しもパーソナルスペース、あるいはパーソナルエリアというのを持っている。簡単に言うと近づかれると不快に感じる距離のことだ。

 親しい相手なら自身の側にいても問題ないが、嫌いな相手なら自身からより遠ざけたくなるという事だ。

 山脇の俺への心象は間違いなく最悪だろう。だからこそ、パーソナルスペースの中でも最も近い距離、密接距離に入った。

 その上で

「正直に言いなよ。別段優秀でもない自分より唯一下の人達をどうか見下させてください……って」

 と罵れば

 

「っ!テッメェ!!」

 山脇は掴んでいた肩を振り払い、腕を引き殴りかかる体勢に入った。よし!これにわざと当たれば後は学校に訴えて終わりだ。

 

「はい、ストップストップ!」

 そう言って、割り込んできたのは同じく図書館を利用しているであろう女子生徒だった。

 そのおかげで、山脇と同席している生徒が山脇を落ち着かせることに成功した。

 

「誰か知らないけど、部外者なんだから傍観しておいてくれよ」

「部外者とは心外だなあ、この図書館を利用させてもらってる関係者として、君たちの行為を止めに入っただけだよ。これ以上騒ぐつもり外でやってもらえる?それに、君の挑発もちょっと度が過ぎるんじゃない?これ以上やるなら、学校側に報告しなくちゃいけなくなるけど、いいのかな?」

 淡々と正論ぶつけてくるな。それに山脇も冷静さは取り戻しちまったし。

 

「おい、もう行こうぜ。ここに居るだけでバカが移りそうだし」

「だ、だな。おい、お前らからどれくらい退学者が出るか、楽しみにさせてもらうぜ」

 山脇たちが吐き捨てたセリフに堀北が反応した。黙っていたら、負け犬の遠吠えっぽくできたのに

 

「残念だけど、今回、Dクラスから退学者は出ないわ。それに、人のことばかり気にしてていいの?驕っていると、足元をすくわれるわよ」

「俺たちは赤点を取らないために勉強してるんじゃねえ。より良い点数を取るために勉強してんだよ。お前らと一緒にするな。大体、お前らフランシス・ベーコンだ、とか言って喜んでるが、正気か?テスト範囲外のところを勉強して何になる?」

「え?」

 なんだ?テスト範囲いつの間にか変わってたのか知らなかった。だけど、堀北たちも知らない感じだし、聞かれてない感じか。

 

「きみ」

「ん?」

「君も図書館を利用するなら、静かに利用してよね。良い」

「はいはい」

 俺への軽いお説教を終えると少女は颯爽と元いた場所へ戻っていった。それを見送ると俺もその場から去った。

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