奇跡を軌跡で返す物語   作:眠たげな一般人

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本編2話です。
『←で始まり 』←で終わる文は今回ロシア語での会話となります。


絢瀬絵里との再会

「お久しぶりですね…絢瀬絵里さん」

彼女は驚いた顔でこちらを見ている、名前を覚えられていたことが想定外だったのだろう。

「私…あなたと会話したことありましたか?」

困惑しながらそう尋ねてくる。

「いえ、バレエの大会で何度かあなたと同じ大会に出ていただけですよ、あと敬語はいりませんよ」

「そう分かったわ、でもなんで私なんかの事を覚えていたの?」

心底疑問なようできいてくる。

彼女は自分の実力の評価を誤っているようだ。

「あなたは、日本の同年代で知る限り10本の指には入る踊り手だと考えています、踊りだけで言うなら芹沢水結以上です」

彼女は理解できないのか、まだ首をかしげている。

「でも、私は最優秀賞を取ることはなかったわ」

悲しげな声で、苦しげにそう吐き出す。

やっぱり、勝てなかったからモチベーションが持たなかったのか…。

おっと、周りにギャラリーが集まってきたな…。

『正直相手が悪かったんです、僕もいましたし、他にも今も最前線で演技している人が多数いました』

僕のこの言葉に綾瀬さんの顔に後悔の色が混ざってくる。

そして同時に、僕がロシア語で話し始めた意図を理解したようで、綾瀬さんは周りを見て。

「この話はまた今度にして、理事長室に向かいましょう」

僕はその言葉に従い理事長室に向かった。

 

 

 

そして特に何もなく理事長室についた。

「さっきの話しの続きまた今度聞かせてくれない…?」

「もちろんです、形はどうであれ、あなたが音楽界に戻る事を期待しています」

形はどうであれ、と言ったが…もしも、スクールアイドルになってブランクを戻したら…個人での実力は間違いなくツバサを超えるだろう、曲によっては僕も危ないかもしれない。

「私は、放課後は生徒会室に居るわ」

そう言って彼女は去っていった。

 

 

 

「失礼します、UTXの御園恭介です」

中にいたのは20代くらいの見た目の女性だった。

とても十文字さんの友人には見えない。

「音乃木坂学院理事長の南です、御園さん私たちはあなたを歓迎するわ」

そう言って、手を差し伸べてきたので、握手をして返す。

まぁ、そんなことより絢瀬さんの件だ、悪いけど、手短に行かせてもらおう。

「それで、入学式の後、僕は何をすれば良いのでしょう?」

「おっと、そうですね、あなたは特に何もすることはありません」

「それは、あなたが僕の紹介をしてくださる、ということですね?」

「話が早くて助かります、入学式の後に来ていらっしゃる保護者にも同時にに紹介できればいいと思っています」

「分かりました、それで行きm」

行きましょう、と言いかけた所で南さんの電話が鳴った。

どうぞ出てください、と目配せをすると頷いて電話に出た。

軽く聞こえた内容はピアノの伴奏者が、今日体調を崩してしまったらしく、来れないという内容だ。

南さんは、心底困った顔をしていた。

「困ったわ、入学式の入場の曲のピアノがCDなのは流石にまずいわよね…」

「他に誰か当てはいないんですか?」

「いたら苦労しないわよ…」

「曲は何ですか?」

「たしか…『威風堂々』だったはず」

入学式だったら『エルガー作曲の行進曲威風堂々第一番』だろう、あれなら、暗譜もしてあるから…弾けるな。

「それなら、僕引けますよ」

「あのね、御園さん、入学式に素人の演奏を出すわけにはいかないのよ」

この言葉は僕のプライドをかなり傷つけた、僕もまだまだ頑張らないと。

「取り敢えず、今すぐにネットで御園恭介で検索してくれませんか?」

南さんは訝しげな顔をしてから、調べ始めた

「分かったわ、…って、え?何この受賞した賞の数と経歴…とても1人の人間の物じゃないでしょう…」

南さんの顔の色から血の気が引いていった。

まぁ、あんな経歴の人間相手に素人と言ってしまったのを後悔しているのだろう。

「さっきの言葉は訂正します、ごめんなさいね」

「いえ、気にしないでください」

「あんな事を言った後で厚手がましい様ですが、ピアノ伴奏をお願いしても良いでしょうか?」

「了解しました、ピアノの感触を確かめたいので、今から行っても良いでしょうか?」

「分かりました、私も同行しましょう」

そう言って僕たちは予定より早めに移動した。

 

 

 

〜Another View 真姫〜

首席で入試を突破して正直憂鬱な入学式の日が来てしまった。

今から入場だ。

入る前に伴奏のピアノの音が聞こえてきた音が聞こえてきた。

自分の存在感を主張しつつ、それでも新入生が主役と言っているような伴奏。

何人ものピア二スト演奏を、実際に見て、聞いた中でもかなりレベルが高い。

「(嘘…このレベルとなると有馬公正さんや井川絵見さん、それから相座武士さんと同等なレベルじゃない…)」

でも、その3人は今ウィーンでの公演で日本に居ないはず…。

いや、いる、あと1人このレベルの演奏をする同年代の人間が。

「(まさか、伴奏者は有馬公正さんの2人目の弟子の御園恭介さん…⁉︎)」

だとしたら、イミワカンナイ、なんで世界レベルの日本ピアニストの1人がこんなところでピアノ弾いてるの。

いけない、随分と長い間考え事をして居たみたい、新入生総代挨拶しっかりしないと。

〜Another View End〜

 

 

 

入学式の最後に南さんから音乃木坂に廃校の可能性がある事が発表された。

周りは保護者も含めて少し騒然となったが、南さんが次の話しを切り出したので一応は落ち着きを取り戻した。

やっぱり、カリスマがあるんだなぁ。

「その対策として、男子テスト生を設けることになりました、なおこの件には期間があります」

生徒たちに不安の色が浮き出した、女子校に男子が入ってくるとなれば、当然の事だが。

「紹介します、御園恭介さんです」

紹介されてステージ上に上がる。

何人かの生徒が息を呑むのが分かった、同時に好奇の目で見られ始めている。

何人かの人間は僕の事を知っているのだろう、しかし視線には慣れているので気にはならない。

こうして僕の新しい日常の幕が上がった。

 

 

 

放課後僕は生徒会室を訪れた、もちろん絢瀬さんに会うためだ。

ノックをして入ると、だいぶ焦っている絢瀬さんとなんとかならないか思案しているもう1人の女生徒がいた。

「御園さん、あなたこの件について知ってたの?」

絢瀬さんがそう尋ねてくる、まぁ隠す事でもないだろう。

「ええ、その対策のテスト生として来てくれないかと言われてきました」

絢瀬さんは「そう」とだけ返事をしてまた考え事に戻った、あまりにも余裕がなさすぎる、大方自分が何とかしないといけないという『責任感』に囚われているのだろう。

正直言って正攻法ではどうにもならないだろう、男子テスト生なんていう手段は本当に最後の切り札の筈だ、そんな状況なら打てる手は全て南さんが打っているはず…ならば学生にしかできない奇策を打つ事それが生徒会の今打つべき手段だろう。

ここは少しキツく言った方がいいな…。

「絢瀬さん、あなた自分がどうにかしなければならないという責任感を感じてはいませんか?」

「当たり前でしょう、私は生徒会長だもの学校のことをどうにかしないといけないのは義務だわ!」

そう、はっきりと言い切った。

普通の人だったら押し切られているところだろうけど、こっちは世界でも活動している身だ、この程度のプレッシャーはプレッシャーのうちには入らない、そして、この状体の絢瀬さんのプランをきっと南さんは認めないだろう。

「2つ言わせていただきます」

一度そういうと、もう1人もこっちを向いた。

「まず1つ目、絢瀬さんあなたに対してです、物事において、負うべきものは責任、負わなくてもいいものまで負いたがるのが責任感、その境目を見失うと出来ることも出来なくなります」

そういうと綾瀬さんは、自分が焦っていた事に気付いて、少し冷静さを取り戻したようだ。

「2つ目、はっきり言って中学生が高校を選ぶ理由なんて単純なものです、難しく考えすぎず成功例を参考にしてもいいと思いますよ、例えばUTXの成功例を、そうすれば案外取るべき手段が浮かんでくるのではないでしょうか?」

言いたいことは言えたが、この状態では絢瀬さんに本来したかった話しはできないだろう。

「絢瀬さん、また、後日出直して来ます、今日はこれで」

「ええ…その…ありがとう、お陰で少し冷静に考えれそうだわ」

「どういたしまして」

この言葉を最後に僕は退出した。

さて、どんな一手を打ってくるかな…。

 

 

帰り道、メールが来ている事に気づく。

名前を見てみると………『羊飼い』からだ。

『1人の指導者と9人の女神が集いし時運命の歯車動き始める』

正直意味不明だが、しかし相手が相手なだけに、頭の片隅には入れおいた方がいいだろう。

 

そしてこの日、ある9人の人物達に『羊飼い』からメールが送られている事を僕はまだ知らない…




大図書館の羊飼いNINTENDO SWITCH版発売されましたね。
実を言うとVITA版を再びやってまして…投稿が遅れてしまいました、読んでいる人がいるならばごめんなさい。
やっぱり僕はヒロインの中では千莉が一番好きですね。
それでは次回もお楽しみ下さい。
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