片栗虎は孤独だった。
ユグドラシルでのプレイは隠密、スリ、窃盗など、基本一人で出来る事だけであった。
メインクエストやサブクエストなどには目もくれず、ただひたすら己の技術を磨き続けた。
それゆえに彼は孤独であった。
現実の世界でも家に引きこもってゲーム三昧の引き篭もりであった。
故に彼は孤独であった。
そんな彼が初めて手に入れた仲間、それがズーラーノーンである。
姿こそ隠しているが、片栗虎の内心は高揚していた。
カジットにはクレマンティーヌというパートナーがいた。
素性は不明だったが、童貞の片栗虎にとっては初めて女性と行動出来るチャンスであった。
「クレマンティーヌ、こやつが先程仲間となった片栗虎だ、今はスキルで姿が見えんが恐らくここら辺にいるのではないかな?」
カジットが的はずれな場所を指さすが、片栗虎はクレマンティーヌの目の前で隠密状態でいた。
「ふーん、新しい仲間ねぇ?さっさと姿を見せてよ?ねぇ?」
怪しく微笑み、刺突剣をクルクルと回すクレマンティーヌだったが、片栗虎は姿を見せることなくクレマンティーヌのバストに括りつけられているブロンズプレートを数枚盗み、その乳房をあらわにしようと目論んだが、ビキニアーマーによって阻まれてしまう。
「む、誰か来たぞ?クレマンティーヌは奥に隠れておれ」
「ちっ、はーい」
クレマンティーヌはだるそうに返事をすると、少年を小脇に抱えて教会の奥へと入っていく。
「あの少年は?」
「うおっ!?いきなり声をかけるな!?」
カジットの話によると、神器を使用できるタレントを持つ少年で神器によって大量のアンデットを召喚する呪文を発動する計画の様だ。
「そうですか、では私はどうしますか?」
「……取り敢えず隠れておれ……」
片栗虎はすぐさま隠密状態になる。
その後、ンヒィーレアの使用した神器によりエ・ランテルは大量のアンデットの軍団に襲われた。
そして……。
「カジット様、来ました」
「はい、馬鹿確定」
カジット達の前にモモンガとNPCのメイドがやって来た。
「ちぃ、やばいな」
片栗虎はすぐに理解してしまった。
カジットとあのクレマンティーヌではこいつらには勝てないという事を。
「カジットさん、こいつらは相手が悪過ぎる、ここは逃げた方が良さそうだ」
「何を馬鹿なことを、我々にはコレがある」
カジットは聞く耳を持たず、モモンガ一味との戦闘が始まってしまった。
モモンガはクレマンティーヌ、カジットはナーべと呼ばれるマジックキャスターと戦う構図となった。
「……こいつは人型だがドッペルゲンガーだな、魔法にステータスを振ってるみたいだが、スケリトルドラゴンには第六位界魔法までは通用しない……よし」
片栗虎は危険が少ないであろうカジットの所に加勢することにした。
片栗虎の運命やいかに!?
待て次回!!
NPC相手なら何とかなるかも知れない?