ドラえもん のび太の幻想郷冒険記   作:滄海

10 / 40
まず大変時間がかかった事お詫びします。
感想でも、続きを待っているとのお言葉を頂戴したりしておりましたので、大変申し訳ありませんでした。

現在秋季例大祭の原稿と同時進行中で、こちらの方が滞っている状態です。
この次も少し更新が遅めになってしまう可能性がありますので、どうぞご了承下さい。


さて、今回はちょっと話が動きます。
もう少し博麗神社近辺でいろいろな人妖と交流したり、あるいは紅魔館と妖怪の山、どちらに先に向かうようにするかなど非常に迷いましたが、まずはこのような形になりました。



見つかった手掛かり、次の冒険への扉

「わぁぁぁぁぁぁぁっ!!! た、助けてーっ!!」

 

どこまでも青い空、魔理沙との勝負で勝ったはいいものの、最後の最後に油断した結果タケコプターを失い落ちてゆくのび太の身体。

落っこちてゆく中両手を必死にバタバタと振っても、残念ながらグースケたちバードピアの鳥人たちのように浮かび上がる事は無い。

やはり人間の腕ではどう頑張っても、鳥のように翼の代わりにはならなかった。

このまま墜落すれば、博麗神社の境内に叩き付けられて良くて重症、運が悪ければそのまま……と言う事も十分に起こり得る。

ちなみに、のび太も今までにいろいろな冒険をしてきた中で高い場所から落っこちた事は何回もあった。

南海大冒険で宝島の地下、ねじ巻き都市で大地の割れ目etc……。

ただ、これらの時は下が激流だったり、種をまく者の意思によって助け出されたりとたまたま偶然や幸運が重なり無事だったのだ。

しかし今回は……。

 

「……いけない、のび太っ!!」

 

地上で勝利の余韻に浸っている中、のび太の異変に真っ先に気が付いたのは霊夢だった。

タケコプターによってもたらされていた飛行能力が失われ、落下を始めたのび太。当然幻想郷の住人でもないのび太はタケコプターなしでは飛べないのだから、落下し始めたら地面に激突するまで落下は止まらない。

それが何を意味するか、答えは実に簡単だ。

その最悪の事態を阻止するべく、飛び出した霊夢は同じくらいのタイミングで恐怖のあまり気絶してしまったのび太に手を伸ばして、どうにか暴れるのび太の腕を掴みその落下を防ごうとする。

しかしいくら子供とは言え、自由落下している人間一人を支えるには霊夢の華奢な腕ではあまりにも力が足りなさすぎた。

霊夢に支えられた事で一瞬のび太の落下速度が遅くなったものの、すぐに霊夢を引っ張るような格好でのび太はまた落下を始める。

 

「こんの……止まれぇぇぇっ!!」

 

のび太が気絶していなかったら、泣くか気絶するかしそうなほどの必死の形相で落下を食い止めようとする霊夢だが、それでものび太の落下は止まらない。

あわや、のび太は気絶したまま神社の境内に墜落して、冒険はここでおしまいになってしまうのか? ……と思ったその途端に、のび太の落下がぴたりと停止する。

いきなり落下が止まった事で、霊夢もまさかのび太が地面に激突したのか!? と顔色を青くするがよくよく冷静に考えてみれば地面に激突した衝撃はなく、それらしい音も聞こえない。

つまりは霊夢の努力が間に合わず、のび太が地面に墜落してしまった訳ではないようだ。

 

「紫……動くならもっと早くして頂戴」

「あら、ちゃんと間に合ったでしょう?」

「間に合えばいいってもんじゃないでしょうが。私だけじゃのび太を支えきれなかったし、のび太が落ちるのが止まった時は間に合わなくて地面に激突したんじゃないかって、心臓が止まるかと思ったわよ」

 

不機嫌な表情の霊夢の視線の先では、スキマで瞬時に移動したのだろう。紫が気絶したのび太を両手で抱えながら支えていた。

おまけに霊夢の棘のある言葉にも平気で涼しい顔をしていた。

この辺りはやはり長く生きる妖怪だからだろうか? この程度の事ではまるで動じる様子も見られない。

むしろ、ここまでいつもは余裕を見せる紫に頭を抱えさせたのび太の方がどうかしている、と言うべきか。

それはともかくとして、これでのび太は無事に助かった訳だ。

 

「それにしても、本当にあの魔理沙に勝っちゃうなんて……こうして気絶してるのを見てるとただの子供なのにね」

「ええ、でもこの子が幻想郷にいたらきっと毎日退屈なんて言葉は絶対にありえないでしょうね」

「分かる気がするわ、昨日の今日で一体何回のび太の取り出す道具に驚かされたと思っているのよ。それだけでも十分すぎるくらいよ」

 

だから、のび太は知らない。

自分が気絶している間、よっこいしょと紫と霊夢に連れられて縁側に寝かされてその様子をずっと二人に見られていた事を。

更に付け加えるならば、フワフワ銃の効果が3時間継続する事、また時間経過以外で効果を解除する事が出来ない事を霊夢や紫、魔理沙の誰にも伝えていなかったため、空中に浮かんだままトイレに行きたくなってしまった魔理沙の尊厳が大ピンチに陥り、降ろせ! 戻せ! と大騒ぎをしていた事ものび太は全く知らなかった。

もっとも魔理沙については、満水まで貯水されていたダムが決壊する寸前ギリギリのところで、どうにか元に戻り地上へと降りた魔理沙が急いでトイレに駆け込んだおかげで尊厳は守られたのだが。

 

「のび太!!! よくも私を大ピンチにしてくれたな!!」

「へっ!? わぁぁぁぁぁっ!!!」

 

当然のように、気絶から目が覚めたのび太は怒りの形相をした魔理沙に追いかけ回される事になったのは言うまでもない。

そして、これでますますのび太は魔理沙の事をジャイアンそっくりだと思うようになったのだった……。

 

 

 

 

 

 

                  *

 

 

 

 

 

 

「「「いただきます!!!」」」

そしてお昼時。霊夢、魔理沙にのび太は博麗神社の居間で昼食を食べていた。

肝心のメニューはと言うと、全員で食べれると言うことからそうめんにしている。

ちなみにのび太と魔理沙の勝負を観戦していた紫はと言うと、のび太が目を覚ました所で「悪いけれども、私はここで帰るわ」とスキマの向こうへと消えてしまったため、お昼は3人で食べる事になったのだった。

当然昼食の用意は言わずもがな、霊夢とのび太が食べた朝食引き続きグルメテーブルかけによるものである。

またこの、何もない所から希望のメニューを口にするだけでどんどん出てくる、と言う驚異のひみつ道具を初めて目にした魔理沙が、先にこの光景を目撃した霊夢や紫同様に目を丸くしたのは言うまでもない。

 

 

三人食事中……

 

 

三人食事中……

 

 

弾幕勝負の後だからだろうか、三人前のそうめんがものすごい勢いで消えていく中、そう言えば、と魔理沙が口を開いた。

 

「のび太はさ、神隠しにあった訳じゃないんだよな?」

「神隠し!? ないない、そんな事絶対に無いですよ、別に時空乱流に飲み込まれちゃったなんて事はありませんから。ここへもどこでもドアで来たんですから」

「じくう、らんりゅう? ああ、別にそんな変な質問をしたつもりはないんだ。ただ、偶然じゃないならどうしてわざわざ幻想郷にやって来たのか、その訳が知りたくてな」

「確か、未来のひみつ道具を使って幻想郷にきた、だったわよね」

 

既に簡単にではあるものの、説明していた事もあってか魔理沙の質問に『何が知りたいのか?』と怪訝な表情を見せる霊夢とのび太の二人。

特にのび太からすれば神隠しとは、7万年前の日本でドラえもんが説明してくれたように時空乱流に飲み込まれてその時間軸から人間が消滅する、すなわちククルのようになってしまう事なのだ。

そんな物騒な事がホイホイ起こってはたまらないと、のび太に至っては勢いよく首を横に振って魔理沙の質問を否定したのだった。

そんな様子を見て慌てたように、のび太が持つ神隠しへのイメージを知る由もない魔理沙はのび太が幻想郷に来た理由を知りたいから、と付け加える。

でも、のび太からすればそれは話すべき事か非常に迷う事でもあった。

何しろ外の世界の友人たちの自由研究で仲間外れにされ、ついいつものように誰も行った事のない場所について調べてやる! と息巻いてどこでもドアを潜ったら幻想郷だった……なんてどう説明すればいいのか。

でも誤魔化したり嘘をついた所で、宿題をしなくてはいけない以上、どこかでバレる可能性もある。それならばいっその事今ここで正直に話しておけば宿題も手伝ってくれるかもしれない。

なにしろ二人とも自分よりも年上だし、八雲紫のような大人のお姉さんもいるのだ。少なくとも自分自身よりは頭もいいだろう。

しばらくうんうんとどう答えるべきか迷っていたのび太だったが、やがて決心したように説明を始めるのだった。

 

「じ、実は……」

 

 

……のび太説明中

 

 

……のび太説明中

 

 

……のび太説明中

 

 

夏休みに、友人と遊んでいた時に持ち上がった外の世界にあった神社がそこに住んでいた山一つまるごと忽然と姿を消したと言う噂があった事。

ドラえもんと色々な場所に冒険に出かけた自分たちからすれば、そんな事はただの噂でしかないと思ったものの、その話を持ち出した友人の見せた写真では確かに湖のほとりの一部がまるごと消えているように見えた事。

その謎を調べて、夏休みの自由研究にしようと言う話があった時に自分だけ仲間外れにされた事。

仲間外れにされた事でそれならばと、自分はもっとすごい場所に出かけて行ってそこの事を調べてやるとみんなに宣言してしまった事。

ドラえもんからひみつ道具をしまってあるスペアポケットを借りて、どこでもドアを取り出し『誰も行った事のない場所』へと行こうとしたらドアは幻想郷へと繋がってしまった事。

そこで紫や霊夢と出会って今こうしている事を、簡単にではなく事細かに説明したのだった。

 

「……と言う訳なんです」

「「……………………」」

 

最初霊夢に話した以上にできる限り詳しく、ここにやって来るまでのいきさつを説明したのび太だったが一体どうした事か霊夢も魔理沙も、のび太の話を聞いて難しい顔をしていた。

それはまるでのび太の説明の中に、都合の悪い事実でも混じっていたかのようだ。

もちろん何も知らないのび太としても、二人にそんな表情をされてしまっては、何かまずい事でもあったのかと不安になってしまうのは仕方がないだろう。

実際、のび太の説明が終わった後の博麗神社の居間には難しい顔をした巫女と魔法使いに、オロオロする子供と言う何があったのか判断に困る光景が広がっていたのだから。

かと言って何か悪い事をしてしまったのか、などと聞けるような雰囲気でもない。

 

 

1分……2分……3分……

 

 

針のむしろに座らされているような緊迫の時間が過ぎてゆく中、ずっとのび太の話を聞いてから腕を組んで考え事をしていた魔理沙が霊夢に確認するように口を開いた。

 

「なあ、霊夢。のび太の言っている外の世界で消えてしまった神社ってさ……ひょっとして妖怪の山にある守矢神社の事なんじゃないのか?」

「そうね、もちろん確証は取れないけれど……時期的にも、こっちに来た経緯からしても、十分に可能性はあると思うわ」

「へ? もりや……じんじゃ? 外の世界からこっちにやって来た神社があるんですか……?」

 

全くもって聞き慣れない名前にきょとん、とするのび太。

何という偶然だろうか、まさかスネ夫たちが外の世界でああでもないこうでもないと夏休みの自由研究にすると言っていた神社の消えた先が、この幻想郷である可能性があるだなんて。

ここにきてのび太はあの時、スネ夫に『悪いなのび太、この自由研究3人用なんだ』と言われてすぐにその場を立ち去ってしまった事を少し後悔していた。

せめてあの時、どこかの県で消えてしまったと言う神社の名前だけでも聞いておけば、今魔理沙に言われた守矢神社がそうなのか、それとも偶然似たような経緯でこちらにやって来た神社なのか、確認できたのだから。

それと同時にのび太は心の中に沸き起こって来たのは万歳をしたくなるような、喜びでもあった。

何しろあれだけスネ夫やジャイアンにバカにされていたと言うのに、肝心の自由研究のテーマが実は今自分がいる場所にやって来ているかもしれない、と言うのだ。

実際に、もしこちらにスネ夫たちが調べようとしている神社が幻想郷に来ているのなら、間違いなく実際にその神社へ行った方が自由研究もはかどるだろう。

もし仮に違う神社だったとしても、そこについて調べればいいのだ。

だからのび太は、ドキドキする自分を抑えるように霊夢や魔理沙にお願いをしていた……。

 

「その話、詳しく聞かせてもらっていいですか!」

「お、おう……」

 

それでも、思わず乗り出してしまうほどに興奮していたらしく、のび太の見せた反応に二人とも少し引いていたのだけれど。

兎にも角にも、こうしてのび太が幻想郷にやって来た当初の目的は、予期せぬ形で大きく前に進む格好になったのだった……。

 

 

 




はい、外の世界で消えてしまった謎の神社が幻想入りしていた可能性が出てきました。
さてさて、そのまま謎の神社へと向かうのか!?
そしてのび太ってよくよく考えたら夏休みの自由研究や他の宿題もするために幻想入りしたんですよね(汗

その辺も交えて、いろいろと物語を動かして行けたらいいなぁ……(ぇ


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。