ドラえもん のび太の幻想郷冒険記   作:滄海

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遅くなり申し訳ありません。
のび太と文との守矢神社修理代作戦? が無事に終わりました。なので東方原作恒例の、異変が終われば……という一幕になります。




戦い終われば……(その1)

タイムふろしきで傷んでいた社殿の修理も無事に終わったはいいものの、最後の最後に鴉天狗の文が母親である天魔から逃げようとしてタイムふろしきを使った挙句に、時間を巻き戻し過ぎて縮み過ぎてしまうと言うそんじょそこらの異変もかくやと言うトラブルが降って湧いてきたここ洩矢神社。

なんとか文からタイムふろしきを取り返したのび太だったけれども、ようやく守矢神社までたどり着いて目的を果たしたからさぁ、後は博麗神社まで帰りましょう……とはならなかった。

 

「……それでは、乾杯!!!」

「「「「「「「かんぱーい!!!!」」」」」」」

 

守矢神社の祭神が一人、神奈子の音頭に続き境内のいたる所で起こる、乾杯の声。

一体どうした事なのかと言えばなんの事はない、のび太の事をすっかり気に入ってしまった神奈子と諏訪子に加えて妖怪の山の天魔までもが『せっかくはるばる来てくれたのに、妖怪の山(うち)の連中が迷惑をかけたんだ。お詫びもかねて一席設けさせてもらう』と言い出したのだ。

この申し出にのび太も最初は『もう終わった事ですから』と断りを入れたのだけれども、タダでお酒が呑めるチャンスと踏んだのか保護者役の霊夢と魔理沙が乗っかってしまった。

 

「のび太、せっかく誘ってくれているんだ。あまり遠慮しすぎるのはよくないぜ?」

「そうよ、それにいい機会なんだからここで妖怪の山の妖怪とも顔見知りになっておいて損はないわよ?」

「えぇ……そんなぁ……」

 

さすがに博麗神社に居候させてもらっている身の上であるのび太としては、家主が飲んでいこうと言っているのに『じゃあ僕だけ神社に帰りますから』とも言えず、ずるずると引きずられるように宴に参加する事になってしまったのだ。

とは言え、妖怪の山側もそうすんなりと飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ……となった訳ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

                  *

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は反対です! いかに天魔様や神奈子様たちがよいと言っても、白昼堂々と妖怪の山に侵入し我々天狗に向かって刃を向けた人間と共に宴を楽しもうなどと!!」

『…………!!!』

 

やがて『本日夕方より守矢神社にて宴会を行う故、主だった天狗や河童は皆守矢神社の境内に集まるように』と言う天魔から妖怪の山に下された招集令を受けた天狗や河童たちが続々と集まってきた。

誰もかれもが各々の持つ仕事を終えたのか、これからお酒が呑めると言う事なのか皆楽しそうな表情でずらりと並んだ妖怪と言っても、皆が皆人間とほとんど変わらない姿なので事前にここが妖怪の山、あるいは椛や文と言った妖怪たちと出会わなければのび太もそうとは気が付かなかったかもしれない……たちの中で、真っ先に反対意見を出したのは他でもない、昼間守矢神社に来る前に参道で魔理沙に振り落とされ山の中をさまよった挙句に遭遇、戦いになった犬走椛である。

二人が出会った時に起きた弾幕勝負では椛の放つ弾幕が迫りくる中、無事にフワフワ銃を命中させたのび太の勝利であったが三時間で切れる銃弾の効果はここに来るまでの間にしっかり切れたようで、今ではフワフワ銃が命中した直後の風船のようにまんまるい格好ではなく、すらりとした最初に出会った頃の体型に戻っている。

その椛が、同僚の白狼天狗と共に守矢神社へと到着して事情を説明されるや否や、真っ向からのび太へとかみついた。

……もっともそこにあるのは人間への敵対心と言うよりも、フワフワ銃の効果でまんまるい風船のような体型にされたあげくに同僚からも大笑いされたと言う、実に個人的な恨みの方が大きいようにも見られたが。

しかし、この言葉によって完全にその場の妖怪全ての視線がのび太へと集中してしまった。

なにしろ今日の昼間に妖怪の山全体に緊急事態として、外来人の子供が守矢神社へ来る途中で迷子になってしまったため、速やかな捜索と見つけ次第保護をするようにと数十年、数百年に一度あるかないかと言う内容の連絡が走ったのだから誰もが忘れている訳がない。

そしてこの場にいる見慣れない子供、となれば誰がどう見ても『見慣れない子供=今日連絡が入った迷子』と言う公式は容易に描き出せるに違いなかった。

椛の抗議に乗り一緒に抗議をするべきか、あるいはここは人間の子供を受け入れるべきか、ざわざわとざわつく他の天狗たちの様子など気にするでもなく、抗議の声を受けた天魔は落ち着いた口調で椛に尋ねた。

口調だけ聞いたら、とても昼間に文を叱っていた天魔と同じ人物とは思えないだろう。……あるいは相手が娘の文だからこそ、ああなるのかもしれない。

 

「……お前は確か犬走哨戒部隊長、だったな。報告によれば、お前は今日この外来人の子供と接触、戦闘を行っていると言う報告を受けている。それは事実(まこと)か?」

「はっ……それは、事実です」

 

天魔の問いかけに一瞬答えるのをためらうようなそぶりを見せてから、椛は深々と頭を垂れて間違いないと答える。

しかし件の人間の子供に負けたと言う椛にとって恥ずかしい事実があるせいか、なるべくならのび太と出会ったと言う事実さえ、まわりに知られたくはなかったとその表情ははっきりと嫌そうにしている。

けれども椛が嫌そうな表情をしていられたのもそこまでだった。

なんの事はない、さらにあっと驚くような発言が天魔の口からから発せられたのだ。

 

「うむ、実はな。今日はこの犬走哨戒部隊長ともう一人、妖怪の山の者でこの子供と接触、戦闘になった者がおるのじゃよ」

「「「……はぁっ!?」」」

 

このまったく予期しない天魔の発言に、椛を含めた白狼天狗、鴉天狗に加えて河童までもがきれいに声を揃えて驚きの声を上げる。

妖怪の山に入り込んだ外の人間の子供、それは非力で空を飛ぶ事もできないような天狗どころか河童から見てもたやすく追い払い、脅し、やろうと思えば命をも奪えるようなひ弱な存在だったはずだ。それが白狼天狗と戦い、さらにもう一人誰かと戦ったと言う。

さらに言えば今その戦った相手であろう子供は傷一つ負った様子は見られない。つまりは、逃げたにしろ勝ったにしろほとんどの弾幕を避けたと言う事になる。

では、そのもう一人の相手ははたして誰なのか……?

 

「し、しかしそれならば……もう一人、その子供と戦ったと言う相手は一体誰なのですか?」

 

その場全ての妖怪たちの気持ちを代弁したように、椛が天魔に問いかけた。

椛だけではない、他の妖怪たちもそうだそうだと各々に頷き、一体誰なのか非常に気になっているのが見てとれる。

 

「他でもない、鴉天狗の射命丸文じゃよ。もっとも、今はその時の勝負で受けた手傷を癒しておるゆえ、この場には来られんがその事に嘘偽りはないと二人の勝負に立ち会った私が証明しよう」

 

 

 

ざわ……ざわざわ……

 

 

 

ざわざわ……ざわざわ……

 

 

 

鴉天狗の射命丸文に人間の子供が、それも外から来た外来人が手傷を負わせた……天魔の口から語られたこの情報で、場に居合わせた妖怪たちにいっせいに動揺が走る。

実際に戦ったのび太はあまり理解していないかもしれないけれども、鴉天狗の射命丸文は妖怪の山に暮らす妖怪の中でも決して弱くない妖怪として認識されている。これは河童、天狗の誰に聞いてもおおよそ同じような回答が返ってくるだろう。

その文に今もなお療養を必要とするだけの手傷を、つまりは決して軽くない傷を負わせ、それでいながら自分はほとんど無傷に等しいとなれば、目の前の大して強そうでもなくどちらかと言えばパッとしない子供が果たしてどれほどの実力を秘めていると言うのか。

しかも天魔自らが二人の勝負に立ち会い、その結果を見届けていると言う。

妖怪の山を束ねる天魔にここまで言われてしまってはのび太の実力を認めざるを得ない、逆にこれ以上異を唱えればこちらが反逆者と見られかねない……そんな空気がその場に居合わせた妖怪たちに漂い始めた。

 

 

 

……当然ではあるけれども、もちろん真実は決してこの限りではない。

 

 

 

タイムふろしきに包まれる事でちんまいサイズにまで縮んでしまった文を、神社を壊しおまけに修理をのび太に半ば押し付けるような格好になってしまった罰として『しばらくそのままでいなさい』と言う天魔の言葉もあって、出るに出られない文は守矢神社の母屋で隠れるように、避難していたのだ。

万が一にも妖怪たちに見られた日には、向こう数百年にわたって同じネタで笑いものにされるか鴉天狗たちに写真を撮影されて、数多の新聞で翌日の記事の一面を飾るか、どちらにしてもろくな事になるとは思えない。

となれば、真っ先に飛び出してきても不思議ではない文が出てこない事を怪しまれないためにも、天魔や神奈子以下、文が縮む場に居合わせた全員で文はのび太との戦いで手傷を負ってしまい、その療養のために酒宴の席には来られないと言う形で口裏を合わせる事にしたのだった……。

 

「犬走哨戒部隊長、お主の言いたい事も一理ある。しかしこの子供はお主だけでなく、鴉天狗とも真っ向から撃ちあい、小細工なしで勝利して見せたほどの強者よ。私が認めたのだ、それでは……不服か?」

「いっ、いえ! 決してそのような事はございません!」

 

椛がばばっ、とその頭を深々と下げ自身には天魔の言に対し異論のない事をアピールする。

のび太がこの場にいる事に対して反対していた筆頭でもある椛がそのような態度になれば、他の妖怪たちもこれ以上反対する理由はどこにもない。

そんな外来人の子供一人がこの場にいる事に固執するよりも、彼らだって早くお酒が呑みたいのだ。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、まずはお酒を出しますね。あ、でも……僕お酒を飲んだ事がないんですけど、どんなお酒がいいんですか?」

「気にするな、出せる中で一番良い酒を出してくれればそれでよい」

「はい、じゃあ……美味しいお酒!!!」

 

そうして、彼らは手に手に升酒を持ち乾杯をするのだけれども……その皆にふるまう樽酒をグルメテーブルかけから当たり前のようにのび太が取り出し、その場の妖怪たちがひっくり返りながら口々に『妖術じゃ! 妖術遣いじゃ!!』『ええい面妖な、幻術で我らをたばかるか!』『天魔様、お下がりください! すぐにこの妖術遣いを始末いたします!』などと叫び、全員を驚きと言う名の阿鼻叫喚に陥れる事は、まだ誰も想像していないのであった……。




これから宴会が始まるのですけれども、やっぱり初見だと悪魔の技にしか見えないグルメテーブルかけ、妖術か幻術そのものですからね。
霊夢や魔理沙たち、幻想郷の面々は子供でも遠慮なしにお酒を飲んでますけどそもそも小学生だからのび太はお酒を飲んじゃいけないんですけどね。(飲んじゃダメと言うよりもサイラン液でパパのウイスキーを殖やそうとした時に、ウイスキーの匂いで酔っぱらうくらいにはのび太は強くないでしょうから飲んだらそのまま倒れそうな気が)


この後は宴会の中の話、あるいは宴会が終われば少し話を動かそうかと思っています(予定は変わる事もあるbyチッポのパパ)

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