ドラえもん のび太の幻想郷冒険記   作:滄海

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一つ冒険に区切りがつきましたので、今回はのび太以外の様子です。


のび太の楽しい幻想郷生活
幕間


のび太が幻想郷と言う、外の世界で忘れられた場所へと足を踏み入れて霊夢や魔理沙と冒険を繰り広げていたちょうどその頃。

ロボットの義務である定期検診をサボり続けた結果、未来の国立ロボット病院に強制入院の措置を取られ、放り込まれてしまったドラえもんはと言うと……。

 

「……うーん、のび太くん大丈夫かな……? ぼくがいなくても一人で大丈夫なんて言っていたけれども……モグモグ……なんか心配だ……モグモグ……」

「お兄ちゃん何言ってるの、のび太さんなら大丈夫よ。きっと今頃大変かもしれないけれども夏休みの宿題をやってお兄ちゃんの帰りを待ってるわ。だからちゃんと検査してもらいましょ」

 

妹ドラミに見舞いに来てもらったドラえもんは病室のベッドの上で、窓の外の未来世界の景色を眺めながらのび太がきちんとやっているかどうか不安そうに、ドラミが手土産にと大量に持ってきてくれたどら焼きを一つ手にし、それを口に放り込む。何しろここは病院と言う事もあり、ロボットに供される病院食も人間のそれとさして違いはない。つまりはドラえもんにとって味気ない事この上なかったのだ。

別に身体の何処かが壊れた、という事情で入院している訳では無いドラえもんにとってこの食事は非常に味気なく、また退屈極まりない入院生活を送る事になった結果、入院一日目にして病院の売店からどら焼きの姿を消し去ったドラえもんはとうとう妹のドラミやのび太の子孫にあたるセワシに『頼む! どら焼きを持ってきて!!』と頼み込み、こうしてどら焼きを食べながら病院生活を送る事になったのだ。

 

「そうなんだけどね、のび太くんの事だからジャイアンやスネ夫たちにいじめられていないかなって思って。一週間なら、セワシくんに話をしてのび太くんも一緒に22世紀に遊びに連れてきた方がよかったのかな? ほら、22世紀なら空想動物サファリパークに連れていく事だってできたし……」

「そう言えば、のび太さんが前に生みだしたペガサスとグリフォンとドラゴンは、あのサファリパークにいるのよね」

「そうなんだ、久しぶりにのび太くんもペガたちに会えれば嬉しいかなって、今になってみると思うんだ」

「確かにそうだけれども、入院している今そんな事を思いついても仕方がないじゃない。やっぱり素直に検査してもらうのが一番よ」

「うん…………そうだね……モグモグ……」

 

そう兄妹で会話をする病室の窓の向こう側、ビルや未来の鉄道が張り巡らされたその先にほんの小さく見えるのは未来の空想動物サファリパークだった。

文字通り()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()サファリパークであり、22世紀の世界でも有名な観光スポットとして人気を博している。

それだけではなくかつて『のび太の日本誕生』で七万年前の日本列島に家出をした時にのび太が複数の動物の遺伝子を掛け合わせる事で生まれた三頭の空想動物たちが、今はそこで元気に暮らしている事を知っているドラえもんは病室の窓からその施設が見えた時にその事を思い出し、どうせなら入院している間セワシの家に泊めてもらうなどしてでものび太を連れてくるべきだったか、と思ったのだった……。

が、もちろんドラえもんもドラミも、まさかのび太が自分のあずかり知らぬ間にスペアポケットを勝手に持ち出して空想動物サファリパークよりもさらにぶっ飛んだ場所へと足を踏み入れている事など、全く知る由もなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またまたドラえもんが入院している22世紀とは違う、現代ののび太たちが暮らす外の世界。

夏休みの宿題のテーマ、つまり突然消失してしまった神社の事を調べるべく町の図書館や役場などに足を運んでいたスネ夫たちだったが、初日の調べは決して芳しいものではなかった。

あちらこちらを回り、まずは一番何か知っているであろうと相談の結果足を運んだ役場から出てきた三人の表情は実に難しい、浮かない表情をしていた。

役場に行き、消えた神社の話を聞いた三人が自由研究として消えた神社について調べたい、と説明すると役場の人は快く応じ色々な話を聞かせてくれたのだけれどもまさか三人も神社が消える前に空を飛んでいた、などと言う噂があると言われては目を丸くするより他にはなかったのだ。

もっとも、それは役場の人も同じようで『あくまで噂話だからね』と三人に前置きした上での話だった辺り、地元の人もこんな非現実的な話は誰も信じていないのだろう。

いや、むしろドラえもんと言う未来の存在や地底人、海底人、天上人、異世界人との交流をすでに行っているドラえもんやのび太たちならいざ知らず。何も知らない現代の人間に信じろと言う方が難しいと言うべきか。

そんな三人の心情を代表するかのように、ジャイアンがスネ夫につかみ掛かる。

 

「なんだよありゃ。おいスネ夫! お前が言っていた消えた神社って本当にあった事なんだろうな? 一体どうしたら『空を飛んで神社が消えた』なんて話が出てくるんだよ。その神社はドラえもんが消したのか? それとも未来人や宇宙人が建てた神社だってのか?」

「そんな事僕に言われても分かる訳ないでしょ? 僕だってまさか神社が空を飛んだ、なんて話が出てくるなんて思ってもみなかったんだから」

「……でも未来人が、って言うのはあり得るんじゃないかしら。ほら、覚えてる? 私がアラビアンナイトの世界でアブジルに捕まった時の事。あの時私たちを助けてくれたシンドバッド王様の宮殿だって、航海の途中で助けたタイムトラベラー、つまり未来人がお礼にって用意してくれたものだったじゃない」

 

これ以上放っておくと興奮した様子のジャイアンがスネ夫にゲンコツの一つや二つお見舞いしかねない……そう感じたらしいしずかがジャイアンとスネ夫の間を持つように、ジャイアンの未来人と言う言葉に、かつての冒険の記憶を語りだす。

 

 

 

『のび太のドラビアンナイト』

 

 

 

かつて絵本入り込みぐつ、と言うひみつ道具で絵本の中に入って遊んでいたのび太としずかだったが、ひょんなことからしずかがアラビアンナイトの世界に迷い込んでしまい、そこで奴隷商人アブジルに囚われの身となってしまった事があった。

宇宙完全大百科で調べた結果、アラビアンナイトの世界に登場する実在の人物としてハールーン・アッ=ラシード王(アッバース王の第五代カリフ)の存在を知り、現実と物語との繋がりと言う可能性に賭けてしずかを助けるために九世紀のアラビアへと飛んだドラえもんたち。

そこで地獄の鍋底と呼ばれるほどの過酷な砂漠の果てに黄金宮殿を築き、悠々自適の生活を送っていたシンドバッド王……かつて七つの海を七たび航海し、幾多の冒険を繰り広げた船乗りシンドバッドに助けられたのだが、黄金宮殿の簒奪を企むアブジルや盗賊のカシムたちが最後の最後に見せた切り札こそが、黄金宮殿の空飛ぶからくりだった。

かつてシンドバッド王が航海の最中助けた人物が未来からのタイムトラベラーであり、彼がシンドバッドへのお礼として築いた黄金宮殿、そこにはからくりを操作する事で空を飛ぶ機能が付いていたのだ。

それを経験している事から、しずかは消失した神社がそれと同じように遥か昔に未来人が建てたのではないかと推理したのだった。

 

「……それは、確かにそうだけどさ。そうなると海……はないから、湖で溺れてたタイムペラペラが、空飛ぶ神社を作ったのか?」

「……ジャイアン、タイムペラペラじゃなくてタイムトラベラーだよ」

「そのベラベラが作ったのか?」

「はっきりとは言えないけれども、少なくともアラビアンナイトの世界でシンドバッド王様の宮殿が飛んでるのよ? 可能性はあると思うわ」

「そうなると、消えた神社を調べるのと一緒にもっと昔の言い伝えとかで、神社がいつできたかとか遠いどこかからやって来た神様とか伝説に人物がいないかとか、その辺も調べた方がいいかもね」

「ええ。明日からはそっちの方向で調査をしましょ」

「よーし、そうときまったら飯にしようぜ!!!」

 

もちろん三人は気が付いていない、その推理が全くもって見当違いの方向を向いている事に。

三人にとって不幸だったのは、この消失した神社が空を飛んだと言う話を知る前に、一度未来人の科学力でもって造られた空飛ぶ宮殿の存在を知っていた事だろう。

それを知っていたからこそ、しずかは的外れな推理をする事になってしまったし、ジャイアンもスネ夫もそれに対して異を唱える事ができなかった。

三人が真実に気が付くのには、まだまだ時間がかかりそうである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そこは果たしてどこなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一見するとのどかな田舎の一軒家、にも見えなくはない家。その周りを取り囲むのはどこまでも続く森ばかり。つまりはこの一軒家は森の中に建っていた。そして空はどこまでも続く青空、それだけを見れば田舎の一軒家そのものだ。

もっとも幻想郷の場合、下手に人里から離れた場所に居を構えた場合最悪妖怪に襲われお昼ごはんにされてしまう危険もある為、普通の人間が人里から離れた場所に家を建てると言う事は非常に珍しい。

その証拠に家の中ではも幻想郷の賢者、八雲紫は大きなテレビのような画面を前にしてキーボードを叩き、いろいろと計算をしているらしく、カタカタと独特の音が響いてくる。

どれほどその独特の音が続いたのか、しばらくの間聞こえていたキーボード音がカタッと止んだ。

止んだ、と言うよりも何かを思い出したように手を止めた、と言った方が正しいだろうか。

キーボードに手を添えたまま、目の前の画面とは違うどこか遠くに思いを馳せるように彼女の視線は空中を見ている。

 

「ふぅ……そうか、そういえば……もうそろそろそんな時期なのね……」

 

何かを思い出したように、懐かしそうに()()の始まりを予感させる言葉を口にしたまま、キーボードから手を離し、うーんと大きく伸びをしてから慣れたようにスキマを一つ作りその中へと潜り込む。

何をすると言うよりも、単純に移動手段として昔から使っているスキマ妖怪たる八雲紫の得意技だ。

そうしてその移動手段として用いたスキマの先で広がっていたのは、窓の外に瞬く無数の星空と、青く輝く美しい一つの惑星だった……。

 




のび太の妖怪の山ツアーが終わった頃のドラえもんやジャイアン、スネ夫、しずかたちの様子はこうなっております。
もちろんのび太が幻想郷へと入り込み、今までみんなで冒険した世界とはまた違う世界で大冒険が始まっているなどとは露ほども信じておりませんし気が付いておりません。




また最後のシーンなど幻想郷? と首を傾げたくなるであろう伏線もいろいろと出してみましたので、これらがどう本編と絡んでくるのか、皆さん乞うご期待!


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