ドラえもん のび太の幻想郷冒険記   作:滄海

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大変お待たせしました。更新が遅くなり申し訳ありません。

いよいよのび太のあの世の冒険もこれでおしまいです。
果たしてのび太は無事に帰って来られるのか? そして、この冒険の顛末は!?


絶対に笑ってはいけない六十年目の東方裁判24時(その4)

「あー、終わった終わった。やっぱりのび太のひみつ道具があるとこういった作業も本当に楽よね」

「まったくだな、のび太様様だぜ。いっその事のび太幻想郷の子になればいいんじゃないのか?」

「えーっ、さすがにそれは……」

「そうよ魔理沙。それに幻想郷の子になるのなら、魔理沙の所じゃなくて博麗神社の子になるのが筋じゃないかしら」

「貴方、一体何者なのよ……? いろいろな世界を冒険したり、あっという間にあれだけの破損を修理して……」

 

 結果から言うと、のび太、霊夢、魔理沙の三人による是非曲直庁周辺の片づけ並びに修復はものの数十分であっさりと終わってしまった。

 何しろのび太がタイムふろしきを被せてある程度の時間待てば、あっという間に時間が巻き戻って壁もコマチオーラ号も何もかもが元通りなのだ。おまけに妖怪の山で守矢神社を吹き飛ばした時とは違い、周囲を大破させてから大した時間も経っていないため、巻き戻す時間も短くて済んだ事も幸いだったと言える。

 そして霊夢や魔理沙、そして妖怪の山の守矢神社あるいは鴉天狗たちと同じように、四季様や小町それに他の是非曲直庁に勤めるあの世の住民たちもまた、修理するのではなく対象の時間を巻き戻す事で直してしまうと言うタイムふろしき、そしておもかるとうが持つ常識外れの効果に目を丸くしたのは言うまでもなかった。

 四季様に至ってはよほど衝撃的だったのか金魚のように口をぱくぱくさせながら目を白黒させながら、霊夢たちがあれよあれよという間に片づけを済ませてゆく様子を見ているほど。

 こうして終わってしまった片付けを前に呟いた四季様の言葉に、のび太がズボンから取り出したスペアポケットを差し出した。

 

「これです。これは中が四次元空間に繋がっていて、この中に22世紀の未来で作られたいろいろな道具が入っているんです。だから例えば……あれでもない、これでもない……あ、あった!! ツーカー錠」

「「「ツーカー錠?」」」

「はい、これがさっき閻魔様に話したお説教が一言で終わる薬です」

「何、これを飲むとものすごい早口でしゃべれるようになるとか?」

「いやいや、きっとこれを飲んで説教をすると言われた相手が何でも言う事を聞いてしまうんだぜ」

「そりゃあ確かに四季様のお説教もはかどるかもしれないけれどさ、そんなもの使ってお説教された日には幻想郷中からこの子、恨まれるんじゃないかい? 余計な事をしてくれた! ってさ」

「……貴女たち、ずいぶんと好き勝手に言いたい放題言ってくれるわね」

 

 のび太が取り出したツーカー錠と言う、ビンに入った錠剤のひみつ道具。その効果を説明する前から、のび太が『四季様のお説教を一言で終わらせる道具』について口にしていたため霊夢や魔理沙たちがこぞってどのような効果なのかを予想するが、その予想のどれもが四季様を馬鹿にしているとしか思えない内容にみるみる四季様の顔色が変わっていく。

 のび太が正解を言うのがあと少し遅かったら、このまま二回目の裁判が開催されていたかもしれない。

 

「違いますよ、ツーカー錠はですね。例えば二人で……ええと、霊夢さんに魔理沙さん、手伝ってもらってもいいですか?」

「え、私?」

「ああ、いいんだぜ」

「それじゃあですね、まずはツーカー錠を一つ取り出して、二つにわって……このそれぞれの錠剤を、霊夢さんと魔理沙さんで飲んでみて下さい」

「わかったわ」

「しかし、一つの錠剤を割って二人で飲むって言うのは面白いつくりなんだぜ」

 

 周囲の視線がいっせいにのび太と、その手に乗せられているツーカー錠に集中する中のび太は一つビンから取り出した錠剤を中央でパキリと二つに割って見せ、それぞれを霊夢と魔理沙に渡すと二人はそのまま口へと放り込んでしまった。

 

「……ねえ、何も起きないんだけど?」

「ああ、別にのび太に話しかけてるこの言葉も、言う事を聞かせられているようには思えないんだぜ」

「と思いますよね? なので霊夢さんと魔理沙さん、二人で何か話し合ってみてもらえませんか?」

「魔理沙と二人で? いいわよ……ツー」

「カー」

「「!?!?」」

 

 飲んだはいいけれども、何の変化も見られない事から本当に薬の効果が発揮されているのか不思議そうな顔をする霊夢たち。そんな二人に会話をしてくれと頼むのび太に促されるように、会話を始めたとたん、突然人間のものとは思えない言語を発し始めた霊夢と魔理沙。

 まるでカラスか何かのような声を出す二人に、四季様と小町が目を白黒させた。

 もちろんこれは、二人がツーカー錠を飲んだ事によって頭がおかしくなってしまった訳では無い。

 ツーカー錠の効果は、のび太がやって見せたように一つの錠剤を真ん中の切れ目に沿って二つに割り、それぞれを二人の人間が飲む事によって発揮されるのだ。そしてその効果はと言うと……。

 

 

 

 

 

 

『錠剤を分け合った二人の間での会話は全部ツーとカーで済まされる』

 

 

 

 

 

 

 と言うもの。

 ちなみに、初めてドラえもんが外の世界でツーカー錠を使った時には『アレどこにあるか知らない? ナニをこうするやつ』と言うパパのまるっきり要領を得ない質問を繰り返すパパと何を言っているのかさっぱり分からないママに対して使用しパパの『灰皿を知らない?』と言う問いかけにママが『台所よ』と言うやり取りをツーとカーと言う単語のみで済ませている。

 そして、あくまでもこの効果は錠剤を分け合った二人の間でのみ成立するものなので、それ以外の相手との会話については何も問題がないと言う優れモノなのだ(実際ママは、パパとのやり取りを終えた後電話の向こうの相手とそのまま普通に会話している)。

 

「……と言う薬なんです」

「何よそれ……。つまり、今の場合だと私と魔理沙とで会話をすると全部ツーカーで済む、って言う事よね?」

「つまり、お説教したい人と四季様とで薬を飲めば……」

「ツーカーの一言でお説教がおしまいなんだぜ!!」

「あの四季様の、欠伸が出るほどに長いお説教が一言で済むだなんて、なんて素晴らしい薬だろう! 夢のようじゃないか」

「小町、貴女は後でお説教です。それにしてもまさか、そんな事が……でも確かに、今の二人の会話が間違いなければ、そう言う事よね……未来の世界はすごいのね」

 

 実際に霊夢と魔理沙に使ってもらうだけではなく、最初に使った時のエピソードも交えながらなされたツーカー錠の説明に霊夢たちが口々にその効果を、この錠剤を使う事で四季様のお説教がどれだけ短縮されるのか、興奮したようにまくし立てる。

 若干一名は四季様からのお説教の予約が入ってしまったようだが、それにしてもツーカー錠が持つその効果は、四季様としても喉から手が出るほど欲しいものである事は間違いなかった。

 なにしろ彼女のお説教はありがたい(と彼女は信じている)ものだが、何しろ一回のお説教にかかる時間が長い。ものすごく長い。

 それが一言で済むと言うのだから、いったいどれほどの時間短縮につながるのか。当然一人当たりの時間が短縮されれば、より多くの人妖へのお説教が可能になるのは火を見るよりも明らかである。

 と、その薬のビンが四季様の目の前へと突き出された。もちろんそんな事をしたのは他の誰でもない、のび太である。

 

「それじゃあ閻魔様、このツーカー錠、よかったら……使ってみますか?」

「……嬉しいけれども、そんなに簡単にあげてしまってもいい物なのかしら?」

「薬を飲んだ人たちの間で会話がツーとカーになるだけで、他の人を傷つけたりするような薬じゃないですし、それにさっき先に僕の魂を戻してくれたらツーカー錠を出すって、言いましたから……ためしに使ってみてください」

「そう、じゃあ……ありがたく受け取らせてもらうわ」

「はい、どうぞ」

「よし! それじゃあのび太も無事に助かった事だし、今度こそあの世から帰るんだぜ!!」

「そうね、目的ののび太もこうして死なずに済んだんだし、早く帰るわよ」

 

 さすがに閻魔を買収する意図はないと分かっているとは言え、ひみつ道具をためらいなく渡そうとしてくるのび太に若干の警戒と、後で問題にならないか不安を抱きながらも、曰く誰かを傷つけたりするような効果のある薬ではないから、使ってみてくれと言われては固辞しつづける理由もない。

 四季様はのび太からツーカー錠のたっぷりと入ったビンをのび太から受け取ったのだった。これがこの後で四季様に大きな不幸を招き寄せるとは、誰が想像しただろう。

 もちろん周りの誰もがそんな事に気が付くはずもなく、のび太が四季様にビンを渡すのを見届けると早速霊夢と魔理沙は早くあの世からこの世に戻る事を提案してくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……のび太の様子はどうだ?」

「昨日からずっと変わらずにぐっすり眠ってるわ、あの世でも私たちが見つける前に寝ていたみたいだし、それでもまだ寝ていて起きないんだもの。のび太の眠りはまるで紫並みね」

「おいおい、さすがにあのスキマ妖怪と一緒にしたらのび太がかわいそうだろう。せいぜいが紅魔館の門番と互角、って言う所じゃないか? まあ、のび太が寝ている間にもしも何かあったら私がすぐに永遠亭に飛ぶから安心するんだぜ」

「いえ、寝る前にのび太にはあのドアを出してもらっておいたわ。何かあったらすぐに飛び込めるようにね」

「そっか、それなら確実だな。後、これはのび太が目を覚ましたら飲めるようにって作って来たんだぜ」

 

 ここは博麗神社の縁側。それは人里でもなかなか手が出せないような玉露に高級な茶菓子をグルメテーブルかけでもって取り出すといつものようにのんびりしている霊夢の所に、いつものようにホウキに乗って魔理沙がやって来ると言う、なんて事の無い普段よく目にする光景。

 ついでに霊夢の茶菓子を一つつまんで、口に放り込み、霊夢に睨まれるのもいつもの光景である。

 ただ、いつもと違う事と言えば魔理沙が手ぶらでやって来たのではなく風呂敷に包んだ手荷物とともにやって来たと言う事だろうか。

 もちろんそれはただの手荷物ではない。霊夢と雑談をしながらもほら、と魔理沙が風呂敷をほどくと中から出てきたのは小ぶりの鍋である。

 霊夢がそのふたを開けると、中からは美味しそうとは言い難い匂いを放つスープが湯気を立てながらちゃぽん、と音を立てる。もし『のび太の日本誕生』においてのび太がレスキューボトルと無事に遭遇できていた場合、ボトルの中身である薬用栄養ドリンクはこのような匂いをしていたのかもしれない。

 もちろん魔理沙がこのような美味しいとは言い難い匂いのスープを持ってきたのにはちゃんと訳があった。

 と言うのも、のび太たちがあの世に別れを告げ、三途の川のこちら側、すなわち現世へと帰ろうとするまさにその時の事。

 

「それじゃあ帰るわよのび太」

「小町さんも、閻魔様もありがとうございました」

「ああ、そう言えば」

「……はい、なんですか?」

「向こうに帰ったら、すぐに動き回るのではなくちゃんとまずはしっかり寝て身体を休ませる事、それが今の貴方にできる善行よ。何しろ一度人里の上白沢から頭突きまで受けて魂が身体から外れるなんて事が起きているのだからちゃんと安静にしていなさい。いいですね?」

「まあ、仕方がないんだぜ。まだまだのび太は幻想郷にいられるんだろう? それならまずはしっかりと身体を休ませてから宿題を済ませようぜ」

「そうね、それが一番よ」

「わかりました。一生懸命のんびりしますね」

 

 事情が事情なだけにのび太は四季様からこう言われたのだった。

 まあ、のび太の場合は『あったかいふとんでぐっすりねる! こんな楽しいことがあるか』と普段から言い切るような人間なので、一日布団で安静にしていろ、と言うのはのび太にとってはむしろ楽しい事なのかもしれないが。

 兎にも角にも、そうした経緯から博麗神社に戻ってきたのび太はすぐに霊夢が用意してくれた布団に潜り込むとそのままぐっすりと寝息を立てて眠ってしまい、その間に霊夢と魔理沙は寺子屋へと向かい頭突きを受けて命の危機に陥ったのび太は四季様の助けもあり無事に蘇生した事を連絡した。

 それが前日の事。

 そうして一日たった今でものび太はグウグウと眠り続けており、その間に霊夢は定期的にのび太に異変がないかを確認。もし有事となれば就寝前にのび太に出してもらったどこでもドアですぐに永遠亭にのび太を運び込む手はずを整えており、魔理沙はと言うとのび太のために特別に、と魔法使いらしく薬草やキノコなどを使った栄養たっぷりのスープを作って来たのだった。

 

「…………ファ~、おはようございます……」

「おはよう、って言ってももう夜よ」

「ようやく起きたか。とりあえず丸一日は寝ていたからな、いきなりご飯を食べるとお腹も辛いだろうから今夜はこのスープでも飲んでまずは栄養を付けて、明日からまた頑張るんだぜ」

「わぁ、魔理沙さんありがとうございます……って、このスープ飲めるんですよね? なんだかすごい匂いがするんですけど」

「ほぅ、のび太。人がせっかく栄養が付くようにってスープを作って来たのに、飲めるのかって言うのは聞き捨てならないんだぜ」

「こら、魔理沙! のび太はまだ病み上がりみたいなものなんだから、暴れるんじゃないわよ! のび太も、魔理沙のスープは匂いこそ最悪で人間が飲むような代物にはぱっと見、見えそうにはないけれども、栄養はちゃんとあるんだから今日はそれを飲んでゆっくり寝なさい」

「えっと、それじゃあ…………味のもとのもと!! これを少し振りかければ……」

「な、なんだぁ!? 急に香りも見た目も、明らかに私が作ってきたものよりもよくなったんだぜ!」

「これは『味のもとのもと』って言って、これを振りかけると何でもおいしくなるんです」

「何よこれ……のび太、ちょっとあんたこんなすごい道具をまだ隠し持ってたの?」

「だ、だってグルメテーブルかけがあれば必要ないんですから……」

「ま、まぁ、確かに言われてみればそうね」

 

 結局、のび太が目を覚ましたのはその日の夜、霊夢と魔理沙がグルメテーブルかけを勝手に使い取り出したメニューで夕食を食べている最中だった。眠い目をこすりながら布団から起きだしてきたのび太に早速魔理沙は自身が作って来たとっておきのスープを振舞おうとしたのだけれども、スープが放つ怪しい匂いに顔をしかめる始末。

 当然そんなのび太の反応が気に入らない魔理沙はのび太に無理やりでもスープを飲ませようとしてつかみ掛かり霊夢に怒られるのだった。

 結局、この魔理沙特製のスープはのび太が何でも味を極上のそれへと変化させられるひみつ道具『味のもとのもと』をぱらりとふりかけた事で味も臭いも格段に向上し、のび太はもとより霊夢や魔理沙も「ちょっと私にも寄こしなさい」とあっという間に鍋を空にしてしまい、そしてさらに翌日、念のためにと神社で丸一日寝かされていたのび太にも異常は起きず、いつものように日の出と共に霊夢から起こされ寝ぼけ眼で布団からもそもそと起きだしてきたのび太を待ち構えていたのは、全くのび太も予想していなかった人物。

 赤い兜巾に下駄、そして黒い翼にカメラと羽団扇。それは忘れようにも忘れられない、数日前に妖怪の山でひょんな事から渡り合った鴉天狗の文だった。

 

「おはようございます、いや~霊夢さんから話を聞きましたよ。のび太さん、寺子屋の先生から頭突きを受けて一度あの世に行かれたそうじゃありませんか。もう、なんでそんな美味しいシチュエーションにこの私を呼んで下さらなかったんですか? 私がいれば、のび太さんの一挙手一投足を余すところなく幻想郷でも一番の記事に仕上げて見せますのに……」

「文、今日はそんな事を言いに来たんじゃないでしょう?」

「ああ、そうでした。今日の新聞はこちらです。それにしても……これものび太さんが一枚かんでいるんでよね? 本当に外から来たとは思えない事を次から次へと起こしてくださると、こちらとしてはネタに困らないんでありがたいですが、霊夢さんや魔理沙さんにも話をしましたが、そろそろ気を付けた方がいいかもしれませんよ?」

「? ? ? ふぁ、ふぁぁい……」

 

 まだ頭の方が寝ぼけているのか、とろんとした目つきのまま文から妖怪の山から戻ってきた次の日にも目を通した、文お手製の新聞『文々。新聞』を受け取るのび太。一方文はと言うとまだ配達が残っているからとあっという間に空の彼方へと飛び去ってしまった。どうやら博麗神社に来たのは、新聞を直接のび太に手渡しに来たのが目的だったらしい。

 そして受け取った新聞に目を通すと……。

 

「えっと、なになに………これなんて字ですか? カラスのまねを始める。み、くる……えっと、難しいや」

「ちゃんと勉強をしなさいのび太。えっとこれは……閻魔様、カラスのまねを始める。外から来た子供から渡された謎の薬が原因か? ですって、要するにこの前会った彼女が、カラスのまねごとを始めたんだけど、外から来た子供が閻魔様に渡した薬のせいでこうなったんじゃないか、って言う事みたいよ」

「……なあ、それってさ。ひょっとしなくても、あの世からこっちに帰ってくる前にのび太が渡してた、あのツーだのカーだのって、一言で互いに伝わるあの薬のせいじゃないのか? もしあの閻魔様が、幻想郷中の人間妖怪にお説教をするために、あの錠剤を使ったら……」

「「…………………………あ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幻想郷のとある場所に位置する永遠亭。のび太がもしかしたら担ぎ込まれたかもしれない場所である。

 その永遠亭ではまさかの人物が緊急入院と言う事で病室の一角では非常処置が行われていた。

 

「うーん、これは何かしらね? 急性の薬物中毒みたいだけれど……一体何をどれだけ飲んだら、こんな事になるのかしら……?」

「か、カー! カー! カー!」

 

 病室のベッドでは、ぐるぐると目を回した四季様がうわごとのようにカラスの鳴きまねを続けていると言う、裁判の時とはあまりにもかけ離れた姿で横になっている。

そう、魔理沙の想像通り四季様はのび太たちがあの世から帰った後、早速ツーカー錠を使ってお説教を開始したのだ。

 誰かを見つければ呼び止め、錠剤を二つに割り、片割れを相手に、そして半分に割ったもう一つを自分で飲む。後はツーカーの一言でお説教が終わる。

 最初はもちろん何という事はなかった。何も異常などないし、むしろお説教が本当に数分で終わってしまうのだから、今までとは比べ物にならないお手軽さに、四季様も大喜びだったのだ。

 けれども、四季様はもちろんのび太さえ薬を一人で過剰に摂取した場合どうなるのか、については全く把握していなかったことが不幸だった。

 一日も終わる頃には、一ビン全部を空にしてしまう勢いで薬を消費した四季様は、そのまま是非曲直庁へと戻った後で倒れてしまったのだ。後は文の新聞にもある通り、永遠亭に大急ぎで担ぎ込まれ、現在に至ると言う訳である。

 こうして、外から来た子供……のび太は妖怪の山の鴉天狗に引き続き、あの世の最高裁判長である閻魔、四季映姫をも倒した子供として、文々。新聞により一気に認知される事となってしまった。

 そして、文の警告通りいよいよ幻想郷の実力者たちがのび太の事を本格的に注目してしまう事になるのである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっくっく、鴉天狗だけでは飽き足らず閻魔すら倒して見せるか……。なかなか面白い子供がやって来たようだな。だが、少々好き勝手しすぎるのはいただけないな。そろそろ幻想郷がどういう場所なのか、しっかりと教育してやる必要がありそうだ……」

 

 闇の中、新聞を片手に声の主はそう呟くと、実に愉快そうに笑うのだった。

 それはまるで、ジュドの頭脳のように……。




閻魔様、こわれる!!!
ツーカー錠の飲み過ぎによる薬物中毒で壊れてしまいました(汗
と言うか、閻魔様壊れたらあの世の裁判は果たしてどうなってしまうのか?


そして、のび太に目を付けたのは一体誰なのか?
次回、乞うご期待!!!
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