ドラえもん のび太の幻想郷冒険記   作:滄海

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大変お待たせしました、というか二か月間全く投稿できず申し訳ありません。
こちらの作品を書く気がなくなった訳ではなく、秋季例大祭の原稿でだいぶ苦戦していたが故の投稿できない期間でしたが、例大祭も無事終わり投稿の運びとなりました。
2か月近くこちらの作品かいていなかったため、作業再開して数日は書き方を思い出すところから始まったのは内緒です(滝汗




前回ツモリガンの効果でフランを気絶させてどうにか助かったのび太、果たしてこれで異変は解決になるのでしょうか……?


決着! となりの紅魔館(その2)

「さっきから続いていた振動が止んだわね……魔理沙、もっと急ぐわよ!」

「言われなくてもさっきから全速力だぜ!」

「パチェ、貴女が全力で解除作業にあたったとして……地下室の結界の解除にどれくらいかかる?」

「どんなに急いでも1分はかかるわよ。そもそもあの子の能力でも壊せないくらいに対魔力へと特化させた結界なんだから、結界を展開した段階で緊急解除なんて想定していないのよ」

「じゃあ、今度から緊急用の解除方法とか、緊急用の抜け道とか用意しておきなさいよね」

「無茶言わないでよ霊夢、そもそもこんな事が頻繁に起こること自体普通ならあり得ないんだから」

「その普通ならあり得ない事が今、起こってるんだぜ!」

「そんな話はいいから、さっさと急ぐわよ!」

 

紅魔館の地下へと続く魔力で灯されたランプがほのかに光るだけの薄暗い階段に、四人の声がこだまする。

言うまでもなく、声の主は霊夢に魔理沙、レミリア、そしてパチュリーの四人である。

紅魔館の各所にのび太を探すために散らばった四人はその後、地下にのび太がいるであろうことに気が付いて各々地下を目指していたのだけれども何しろ地下へと続く道は一つしかなく、そこを目指すうちに一人二人と合流してゆき、結局また最初のように四人集まってしまったのだった。

おまけに彼女たちが地下を目指していたその途中で、ここにのび太がいると判断する理由ともなった地下からの振動、それがぱったりと止んでしまったのだから霊夢たちの不安は増すばかり。

振動があったという事は少なくともその間、のび太は生きていたからこそフランも紅魔館を揺るがすほどの力を振るっていたと言える。それが止まってしまった今、フランが力を振るう必要がなくなった……すなわちのび太が無事ではない可能性が大きくなってしまったのだ。

そして、レミリアとパチュリーの会話ではないが、地下室はフランの幽閉という役割を与えられているためきわめて頑丈にできていた。

吸血鬼のパワーでも壊れないように丈夫に、さらにフランが持つ「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」でも、壊せないように外からパチュリーの手で、魔力に対して極めて強固となるよう結界まで展開することで地下室はちょっとやそっとでは出入りができないようになっている。

しかしそれはつまり、今すぐにでも飛び込みたいいざという時にも中に入れないという事でもある。

地下へと続く長い階段を下りながら、隣の友人へと時間を聞いたレミリアも返ってきた「中に入るのに必要な時間は最低でも1分」という答えに霊夢同様長いと思いつつも、レミリアは文句を言えなかった。

何しろ結界を大イカが海底のテントを叩き潰すような『ちょっとやそっとどころではない力でも壊れないように』と頼んだのは他でもないレミリア自身なのだから。

そんな彼女たちだから、パチュリーが結界を解除するが早いか先を争うようにして地下室へと飛び込んでのび太の無事を確認しようとして……。

 

「のび太!? 大丈夫、無事!?」

「のび太!! 無事なら無事って返事しろ!! 無事でないなら無事でないって言え!」

「どう、例の子はいたかしら!?」

「むきゅぅ、魔女使いが荒いのよ……」

「おーい! のび太……って……」

「魔理沙、いたのび太!?」

「……ああ、いたんだぜ」

 

フランとチルノが横になるベッドの脇で、あの世でもこの世でも変わらない見事な鼻提灯を作りながらぐうぐうと気持ちよさそうに居眠りするのび太の姿を目にした時の四人の顔といったら、それはもう怒ったママに負けずとも劣らないものすごいものだった。

命の危険があるからと、心配して地下室に飛び込んだら心配されていた当ののび太はこれである。霊夢たちの表情が険しくなるのも無理はないだろう。

 

「こら、のび太! 起きなさいっ!」

「……あいたっ! って、あれ? 霊夢さんに魔理沙さん、それに……よく知らない人も。どうしたんですか? そんなにうちのママみたいに怒った顔をして」

「「のび太のせいでしょうが(なんだぜ)!」」

 

そんなのび太を起こすために霊夢が怒りの声と共に手にした大幣で熟睡しているのび太の頭をすぱん、とひっぱたくとようやくのび太はいびきをかくのを止め、寝ぼけ眼をこすりながら目を覚ました。

ただし、そこは腐ってものび太である。頭を大幣で叩かれた程度ですっきりと目覚めるのならば慧音だって苦労はしないだろう。

案の定目を覚ましたのび太は霊夢たちの前で大あくびをしながら周囲をきょろきょろと見回して、実にのん気な事を言い出す始末。これには霊夢も魔理沙も容赦なくツッコミを入れるが、そもそもどうして怒られているのかを理解していないのび太にとって、これは意味のないものだった。

ちなみにこんなのび太たちのやり取りを見ていたレミリアとパチュリーの二人は揃って『こんな間の抜けたような子供がどうやって暴走したフランから逃げ延びたのかしら?』と頭に?マークを浮かべていたりする。それだけレミリアとパチュリーにとって、のび太という存在に対しての評価はあまりにも平凡すぎるただの子供でしかなかった。

なら、一番いい方法は何か? 聞いてしまえばいいのだ、直接のび太と戦ったであろう本人に。

と言う訳でベッドですやすやと、ようやく眠りについたフランを何も知らないレミリアがゆさゆさと揺さぶってフランを起こしにかかった。

 

「フラン、起きなさいフラン」

「……んんー……はっ! ……お、お姉様助けて! 化け物が! いくら壊しても全然壊れない化け物が現れたの!! あれが人間だなんて嘘よ! 絶対に外の世界に潜んでた化け物に違いないわ!」

「落ち着きなさいフラン、一体誰が化け物なの?」

「そう、見た目はしまりのない顔をした弱そうな人間みたいな奴なのに、いくら壊しても壊れないのよ」

「……ねえ、ひょっとしてそれって僕のこと?」

「そう、あなた……って、いやぁぁぁっ!!」

「大丈夫、大丈夫だから落ち着いてフラン。ちょっと、一体何があったのよ? この子がこんなにおびえるなんて今までになかったわよ?」

「そうだな、確かにいくら道具を使うと言ってもフランの『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を相手にするのはそう簡単な事じゃないんだぜ」

「でも、未来の道具の事だからひょっとして時間を巻き戻すとか、能力を封じるとか、そんな道具もあるんじゃないかしら」

「え、いや……その、このツモリガンって言う道具で……、眠らせ続けてたら泣いちゃったんです」

「どういう事かしら? 眠らせ続けたら泣いたって」

 

ただ、起こしたのはいいけれども、何しろついさっき壮絶な戦いの果てに精神が壊れる寸前まで追い込まれた相手がまだすぐそばにいたのだからフランからすればたまったものではない。

再度錯乱しそうになるのを、レミリアがしっかりと抱きしめて落ち着かせなければまた気絶していたかもしれない。そんなだから、流石にレミリアも妹がここまでになるなんて一体何があったのかと、のび太に対して語調を強くして問いかけてしまうのだった。

そんな彼女たちに、若干圧倒されつつものび太はたったさっき自分の命を救ってくれたツモリガンの効果と、どうしてそれを使う事になったのかをなんとか説明するのだった。

 

 

 

 

 

 

のび太説明中……

 

 

 

のび太説明中……

 

 

 

のび太説明中……

 

 

 

のび太説明中……

 

 

 

 

 

 

「なるほどな、客間から行先の分からない空間のトンネルを作ったら地下室に出て、チルノを痛めつけられたからフランに怒って戦いになったと……。本当に運がいいのか悪いのかわからないなのび太は。で、その銃で撃たれると撃たれた相手は何かしようとしていた事をやり終えたように錯覚してしまうと。だからツモリガン、か……それでフランは能力を使ったつもりにさせられ続けたのか。しかし今回は命の危険があったからいいけれども、弾幕勝負で使われたらのび太に勝てる奴、この幻想郷にいるのか?」

「なるほどね、扉に空間の穴を開けたのなら、どうやって部屋から抜け出したのか分からない訳だわ。突入する時に客間の扉、粉々にしちゃったし……。でも、本当に魔理沙の言う通りよね。紫ならスキマを使ってどうこうできるかもしれないけど……ま、大抵の人間も妖怪も初見じゃどうしようもないでしょうね。今回のフランと同じように、弾幕を撃ったつもりにさせられてその間にのび太の銃で風船にされるのがオチよ。と言う訳でのび太、この銃は命を奪ったり傷つけたりする武器じゃないけど、別の意味で物騒だから本当に危険が迫った時以外は使うんじゃないわよ?」

「ええ、そんな事ないと思いますけど……? でも、霊夢さんが言うのなら……それに僕もフワフワ銃の方が手になじんで使いやすいですし……」

「まあ、無事だったんだからよかったけれども、本当に命知らずな事をしたわね。フランを相手に頬を叩いて怒るだなんて、あの子の能力を知っているからこの紅魔館の住民だってそうそうやらない事よ? 次はないんだから気をつけなさい。……相手の行動を催眠状態にして錯覚させる道具だなんていいわねそれ、後で魔理沙に内緒で図書館の警備用に貸してもらえないかしら

「そうね、パチュリーの言う通りだからあまり言いたくないけれども、あの子をしっかりと叱って生き延びたなんて、もう二度としないで頂戴よ? あんな事を来るたびにされたら、私たちの心臓も紅魔館も持たないわよ。 ……後パチェ、貴女銃なんて使えたかしら? ひっくり返ったり明後日の方向に撃ちそうな未来しか見えないのだけど」

「うっ……た、たぶん大丈夫よ、たぶん……」

 

のび太の説明が終わった後、どうして地下室にいたのか。そしてどうしてフランと戦う事になり、さらに幻想郷でも恐れられる能力の持ち主であるフランを気絶させるに至ったのか。説明によって明かされた理由、そしてツモリガンの効果に、話を聞いていた霊夢も魔理沙も頬から冷や汗が伝うのを感じていた。

当然だろう、のび太が銃を使った場合どれだけの凄腕なのかはもう嫌というほどに霊夢も魔理沙も見て知っている。

なにしろ風圧で弾かれはしたものの、目にも映らない速さで空中を移動しながら攻撃をすると言う鴉天狗でなければ不可能であろう『無双風神』を撃っている最中の文にさえ、フワフワ銃の弾丸を当てて見せたのだ。

文の周囲に渦巻いていた風圧によって弾かれなければ明らかに命中していたと文も認めるほどの腕前を持つ、人間を辞めたような射撃の腕前ののび太がツモリガンを手にして弾幕勝負をしたら、間違いなく勝負になどなるはずもない事は、霊夢にも魔理沙にも簡単に想像がつく。

勝負開始直後にのび太と相対した相手はツモリガンに撃たれ、その効果で弾幕を撃ったつもりになり、そのまま夢を見ている間にフワフワ銃で撃たれておしまい、である。これではごっこも勝負もあったものではない。

ただし、のび太の腕前をほとんど知らないレミリアにパチュリーの二人は、逆にのび太の銃の腕前やツモリガンの効果に興味津々なようでパチュリーはツモリガンがあれば図書館の警備が楽になるとぼやいていたり

、レミリアはそんなパチュリーに銃を扱うのはやめておきなさいとたしなめたりしている。

そんな面々に確認するかのように、魔理沙が口を開いた。

 

「……で、ひとまずのび太の無事も確認できたんだが、この後どうするんだ?」

「どうするって……空が真っ赤になってるのを解決するために霊夢さんも魔理沙さんも、ここへ来たんじゃないんですか?」

「あ……しまった、そう言えば霧を消すの忘れてた……」

「何してるのよレミィ、早く消さないと。考えたら私たちだって魔理沙たちとにらみ合ってた最中じゃない」

「仕方ないでしょうが! だって霊夢たちと戦ってる最中にこの子を保護したって美鈴の報告があったんだもの。おまけにその後でこの子勝手に地下室に移動するし……」

「いいからレミリア、さっさと人々に迷惑をかけてる紅い霧を今すぐに消しなさい。でないとアンタの身体が霧の代わりに霧みたいに消える事になるわよ?」

「わかったわよ、そもそも霧だってこの子を連れてくるための口実みたいなものだったんだしね。まあ、フランをひっぱたいて叱るわ、怒ったフランと戦って逆に気絶させるわ、そんなとんでもない子にちょっかいをかけるような事、もうしないわよ」

 

それは、異変解決の途中でもあったレミリアとパチュリーに対して釘を刺す意味もあったのだろう。

なにしろのび太も忘れていたけれども、今は幻想郷の空が紅く染まる霧に包まれた異変の真っ最中なのだ。その解決に飛び出していった霊夢と魔理沙を追いかけてここまで来たのび太を保護したと、門番の美鈴が霊夢やレミリアたちがにらみ合っている中やって来た事でうやむやになっていただけで、本来ならばまだ決着はついていないのだ。

だからこそ、魔理沙はあえてこの後どうするのか、と尋ねたのだろう。

レミリア自身も、霊夢たちとにらみ合いをしている途中だった事にここでようやく気が付いたらしく、大幣を突き付ける霊夢に、とうとう降参の意を込めて両手を上げたのだった……。

 

「よし! これにて異変は解決ね!」

「ふぅ、これに懲りたらのび太に手を出そうとするのは止めておくんだぜ」

「へぇ、霊夢さんたちこうやって異変って解決してるんですね……神社でいつもぐうたらしてる霊夢さんとは全然違うや」

「ちょっとのび太! いつ私が神社でぐうたらしてたのよ! あれはぐうたらしてたんじゃないの。いつやって来るか分からない異変に備えてすぐに戦えるように英気を養っている、って言うのよ」

「なるほど、そうだったんですね」

……ものは言いようなんだぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、あの真っ赤な霧を消すって、どうやってやるんです? 雲とりバケツでもあの量はちょっと取り切れないかもしれないし……バショー扇で吹き飛ばしたりしますか?」

「のび太、あのバショー扇はもう大丈夫だ。さすがにあの風に三回も吹き飛ばされそうになるのは私も少々辛いんだぜ」

「そうね、雲とりバケツは何なのかわからないけど、バショー扇はさすがに紅魔館が吹き飛ぶかもしれないから、使わない方がいいわね。それにあの紅い霧はこのレミリアが出したんですもの、自分で出したものは自分で何とかするでしょうから、のび太は手伝わなくていいわよ」

「ちょっと! 少しくらいは手伝ってくれたっていいじゃない! 私だってその貴方の不思議な道具、見てみたいわよ!」

「レミィ、ここは諦めて、自分で消しなさい」

「パチェまで!?」

 

ちなみに異変が終わったと霊夢が宣言を出した後で、紅い霧をどうやって消すのか分からないのび太と霊夢やレミリアたちとの間にこんなやり取りがあったとかなかったとか。

 

 

 




ひとまず紅い霧も無事に消える運びとなり、第二次紅霧異変は解決となりました。
しかしまだまだ紅魔境編は少しだけ続くような……?


次回、乞うご期待っ!!
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