「到着っと。どう? このポーズ、決まったでしょ?」
海洋センターへの坂道を降りた村雨が、最後に軽く飛び跳ね着地する。
「おお。10点と言いたいが、ポーズが在り来たりだから7点位かな」
ポーズを決め振り返る村雨に男が軽く拍手して評する。
「むぅ。何か揶揄われてる気がする」
そんな村雨の頭を軽く撫でる男。
「よしよし。さて、行くか。……まだ9時半か。開いてるかな?」
玄関に回る二人だったが、【カメ教室開催中】の札が掛かった扉には鍵が掛けられていた。
「入れないみたい。どうする?」
「裏の水槽は見られるようだから、そっちに回ろう」
建物裏手の飼育エリアに回ると、同じ宿に泊まっていた親子と出会う。
お互いに挨拶を交すと、親子は、孵化したばかりの子ガメのいる奥の水槽に、二人は建物の傍にあるアオウミガメの水槽に足を運ぶ
「あ。ウミガメのおやつだって。ね、お父さん」
目を輝かせ男を見つめる村雨。
「ハイハイ」
男が100円で『ウミガメのおやつ』――ざく切りのキャベツ――を二人分買うと、片手に村雨が水槽に近付く。
(あ、この亀、コータか。……さて、村雨は洗礼を受けるかな?)
男は水槽の亀の名前を確認するとカメラを構える。その様子に気付くことなく村雨が水槽に近付く。
「はいはい。そんなに物欲しげな顔しなくてもちゃんと、わっ」
水槽を覗き込んでいた村雨にアオウミガメの「コータ」がヒレを使いバシャッと水をかける。
「やっぱり食らったか」
水を掛けられた瞬間を写真に収めた男が笑いながら村雨に近づく。
「水掛けられた~」
「村雨が早くおやつをあげないからだよ。このコータは人がよってくるとエサをもらえるって思ってるから、すぐにおやつを貰えないと水をかけるんだ」
村雨が顔をハンカチで拭きながら、おやつを撒いている男に
「……知ってたのね。教えてくれてもいいのに」
恨めし気に声をかける。
「そこに注意が出てるじゃないか」
笑いながら顎をしゃくる男。
「ほら、子ガメのおやつも買ったから。拗ねてないで子ガメにあげてこい」
300円の『子ガメのおやつ』――細かい魚の切り身――を村雨に渡す。
「は~い。……今度は大丈夫よね」
注意書きがない事を確認し、おやつを撒く村雨。
「あ、寄って来た。可愛い」
子ガメに夢中になっている村雨と、その様子を写真に収める男。
「村雨、奥に行くぞ~」
男が声をかけ歩みだし、足を止める。
「どうした……の? っ!」
歩みを止めた男に近づき、展示されている海軍留式機銃に気が付く村雨。
同時に――涙が零れ落ちて来る。
「やだ……。何で……」
慌てて拭うも、ポロポロと零れ落ちる涙。
「……村雨」
村雨の肩を掻き抱くと、その場を後にする男。
「落ち着いたか? 悪かった。あそこに海軍留式機銃があるのに気が付かなかった」
「うん。もう大丈夫だから。ダメね、どうしても海軍やあの戦争に所縁があるものだと涙が出てきちゃって……」
男に肩を抱きかかえられながらベンチに腰掛ける二人。
暫く海を眺め、
「うん。もう大丈夫。行こ?」
奥のウミガメ水槽に歩みを進める。
水槽を覗く村雨。
「わぁ。この子ガメ、ふ化したばかりなんだ。ちっちゃい」
水槽の亀を見て燥いでいる村雨に飼育員が声をかける。
「稚ガメっていうんですよ。こっちの亀はまだ駄目ですけど、向こうの子ガメは手に持って記念撮影もできますよ?」
「え? 良いんですか? ……お・父・さ・ん?」
「ハイハイ」
記念撮影をした後、タイマイやアカウミガメの水槽を周る二人。
「この亀は何歳位ですか?」
水槽を清掃中の飼育員に質問する村雨に
「大体……18歳位ですね」
と答える飼育員。その言葉を聞き男が
(そうか。俺が初めて来た時にいた亀がこんなに大きくなっていたのか)
と時の流れを感じる。
「あ~楽しかった」
子亀に触れたり、ウミガメのパピーウォーカーに申し込んだりとウミガメを満喫した二人が海洋センターを後にしたのは9時も半ばを過ぎた頃であった。
「これからどこ行くの?」
「ん? 漁港をうろついてから水産センターかな」
「良~し。行きましょ行きましょ」
弾んだ足取りで海洋センターを振り返る村雨。
「またね」
その言葉に
(またね? ……ま、良いか)
そう考える男には自然と笑顔が浮かんでいた。
海洋センターを出て海岸沿いの道を歩く二人。
「風、強いね~」
「村雨、帽子を飛ばされないようにな」
「大丈夫よ。紐かけてるし。あ、飲み物買ってこ?」
「そうだな……。何飲む?」
「んっと、あ、このドクターペッパーって美味しかったからこれにする。……憲広?」
ドクターペッパーという言葉に顔をしかめる男。
「村雨には美味いのか……。まあ、好きだって人もいるからな」
マックスコーヒーも併せて購入し、ドクターペッパーを手渡す。
「それ、珈琲にしては甘すぎない?」
着いた初日、一口男から貰った際の甘さを思い出して眉を顰める村雨。
「フッ。これは珈琲じゃない。珈琲風味の練乳ミルクだ」
「……好みはそれぞれだけど、憲広も他人の事は言えないよね」
防波堤の上を歩きながら村雨が
「やっぱり海、荒れてるね」
海面の状況を下を歩く男に伝える。
「ちょっと揺れるかな」
「ちょっとで済むの?」
「……性能も先代に比べて良くなったし、2倍の排水量になったおがさわら丸に期待だ」
「なるほど。そう言う事」
よっ。と勢いよく防波堤から飛び降りる村雨。
「……水色か」
その言葉に慌ててスカートを抑え込み、上目で男を睨む。
「……見物料はアイス一つね」
「安っ!」
「……憲広、曲がりなりにも私の上官だし。特・別・料・金」
港を過ぎ、宿の前にあった公園を横切る。
「あの鐘は何? ちょっと見に行ってもいい?」
「……あれは慰霊碑だが?」
言外に行っても良いのかと問う。
「あ、じゃあ行くのは止める。誰の慰霊碑?」
「陸軍と海軍のだな」
「そっか」
後ろを振り返り、手を合わせる村雨。
福祉センター前でアイスを買い、舐めながら街に向かう。
「あ、あそこの建物、猫みたい」
前方に見えた建物に興味を持つ村雨。
「あれって何?」
「ねこ
「ねこまち?」
「ノネコって言うのがいてな。ノヤギと同じなんだが、猫も野生化しているんだ。アカポッポとか食べられているんだが、そのノネコを捕獲してアカポッポたちの繁殖を助けようって動きがあってな。ノネコを殺すわけにもいかないから捕獲されたノネコを収容する施設が必要だったんだ。それで作られたのが、このねこ待合所。因みにねこまちって言うのは通称な。確か……初めて来たときは無かったんだ、この建物は。日食の年には出来てたから、2008年かな? 建てられたのは」
「へえ。今は猫居るの?」
「さて。いない時もあるって話だけど、人がいるから今はいるんだろうな」
建物を掃除している人に話しかける二人。
話によると、今いる猫は7匹。昨日の台風の影響はなかったらしい。
色々と教えて貰ったお礼を述べて街に向かう。建物の反対側に今までに東京の動物病院に送られた猫たちのイラストがあった。
「随分東京に行ったんだね。幸せになってると良いな」
「もう700頭を超えたらしいからな。治療とか人に慣れる訓練をしたあとで相性とか見て里親に渡すらしい。前に里親のブログを見た事があった」
「え? 何て名前?」
「確か……ミニ……何だったかな? 忘れた」
「もう。帰るまでには思い出してね。ちょっと見てみたいから」
やがて目の前に覚えのある建物と隧道が見える。
「着いた~。お父さん、行こ行こ」
何人か子供連れの観光客が水槽の周りを囲んでいる。
「あれ何してるの?」
「ああ、アカバの歯磨きだな」
「歯磨き?」
首を傾げる村雨に、
「そこに歯ブラシが置いてあるだろ? それをアカバの口の前に持っていくと、口を開けるから歯ブラシを入れて歯を磨くんだ。ただ、今だと開けないだろうな。飽きてるようだし」
「なんだ、残念」
「人が遊んだ後は避けないとな。おが丸が着いた直後が一番良かったのかも知れんが……」
「磨いたことは?」
「……一度チャレンジしたら逃げられてな。後は見てるだけ」
少し遠い目をして話す男に、何にも言えない村雨であった。
同じように外にあるネムリブカの水槽を見た後建物の中に入る二人。
「凄~い」
村雨がイタチザメの歯を見て燥ぐ。
「海に出るんだから見たことあるんじゃないのか?」
男が、艦娘が見たことないのも変だな、という疑問から問いかける。
「泳いでいるのは何回か見た事あるけど、歯が丸ごとある標本は見たことなかったの」
そう言う事か。と納得する。
「手、入れても良いのかな?」
「顔入れても良いはずだけど、サメの歯って縁にギザギザがあるからな。……って知ってるか」
「もちろん。それ位は解るわよ。海についてはお父さんより私の方がプロなんだから」
「そりゃそうか」
中でカッポレやシマアジ、モンガラカワハギなどの魚の群れに燥ぐ村雨。
小笠原式深海たて縄漁の説明を熱心に見る村雨が
「……
等と物騒な発言をしたり、
「あ、オオウナギだ。これ、鎮守府だとかば焼きにするのよね。二ホンウナギより味は落ちるけど赤城さんや加賀さんがよく捕まえてくるのよ」
と獲物を見るような目をした村雨の視線を感じたのか大ウナギがパイプに慌てたように引っ込んだり。
「う~ん。面白かった」
内外を歩き回った二人が満足気に水産センターを後にする。
「次はどこ行くの?」
後向きに歩きながら、村雨が問いかける。
「ん? そうだな……」
考え込む男。
村雨が前を向き直し、
「あれ、何やってるの?」
男に問いかける。
「ん? トラップ交換……かな?」
「トラップ?」
「グリーンアノールの被害はビジターセンターで見ただろ? あのグリーンアノールを捕獲する奴」
「ふ~ん。捕まるの?」
「聞いてみないと解らんな、それは」
「じゃあ、あの人に聞いてみよっと」
交換作業中の作業員に声をかけ疑問をぶつける村雨。
美少女からの問いかけに気をよくした様子の作業員から答えを得るとお礼を述べて、離れて待っていた男の元へ。
「聞いてきた。街中のトラップは良く捕まるらしいよ? 色々と形も変わって来てるんだって。小笠原世界遺産センターに行くと詳しい事が判るって言ってたけど、知ってる?」
「ああ、あそこか。そう言えばトラップとか侵入防止のフェンスの模型とかあったな」
「じゃ、後で行きましょ?」
目の前に見えてきた二見港に寄り道をし、宅配便の受付所や船客待合所に立ち寄る2人。
静かな船客待合所を覗く村雨。
「まだ誰も来てないね。船もないし」
「……着くのは11時半だと」
「えっと、出航は15時半ね。いよいよ小笠原ともお別れかぁ」
「さて、そろそろ何か食べに行くか?」
「うん。何処に行くのかな? エスコート宜しくね」
海岸沿いの大通りに戻る二人。
「さてっと……何食べるかな。何が良い?」
「そうね……。まだ10時だし……。ケーキ?」
「ケーキ? ……ふむ。じゃあ、そこかな……」
目の前のガジュマルのテラスを指さす男。
「え? ハートロック? サメよりもケーキが良いんだけど?」
「だから、ケーキをね」
「バーガーとかカレー以外に甘いものもあったの?」
「そりゃあるだろうよ」
二人が会話を楽しみながら、ハートロックに立ち寄る。
「村雨はケーキで良いのか?」
「良いよ~。場所ってガジュマルの下でも良い?」
「むしろ、そこが良いな……」
「了~解」
村雨に島バナナのケーキと生グアバジュース、自分の分に島蜂蜜とバニラを使ったアイスクリームと小笠原コーヒーを注文するも、コーヒーは売り切れ。代わりにばんじゃくろ茶を注文する男。
待っている間に、ここに泊まった時は朝食をこの席で摂る事や今まで泊まった宿の話をする男。
女性スタッフが二人の注文を運んでくる。
「あ、お客さん、今年は9月じゃないの? 9月ならコーヒーあったのに」
ここ数年、宿で見かける顔見知りだった。
「今年はね。仕事の都合で9月は無理だったんですよ。で、せっかくだから祭りの時に来ようかなって」
「あ、それで。入港日も来てたよね? うちの新作、どうだった?」
「あ、スパイシーサメバーガーですか? 酸味と辛みが効いていて暑い時季には良さそうですね」
「そうでしょ。後、お客さんが一昨年言ってたレモングラスティーにミントを2種類加えたら面白くなるよって話、オーナーが試しに作ったら結構人気が出たのよ。今度大々的に売り出すって。良かったら買ってね」
「そりゃよかった。でも買うのは味見してからですかね、自分でも作るんで気に入らなかったら買いませんよ?」
「言うわね~。じゃ、絶対3袋は買わせてあげる。今度来るのはまた9月?」
「来年のですね」
「その頃ならまたコーヒーも出来てるから宜しくね」
じゃあね。と手を振って去る店員。
頬を膨らまし、村雨が男を睨む。
「随分親し気なのね……。私、放っておかれる趣味無いんだけど?」
「アハハ、名前覚えられてない時点で営業トークじゃないか」
「あの娘の名前知ってる?」
忙しそうに歩き回る先程のスタッフを指さす村雨。
「生協辺りで見かけて判る位には顔は知ってるが、下も上も知らん」
「一緒。でも向こうから話しかけられる位には覚えられているっと」
フォークでケーキをガシガシと突きながら差されたストローにブクブクと息を吹き込む。
「悪かった悪かった。これでも食べて機嫌直せって、ほれ、口開けて。あ~ん」
とアイスクリームを村雨の口元に近づける。
「あ、ありがと。あ、美味し」
顔を赤く染め差し出されたスプーンごと口に含む村雨。
「美味いだろ? もう一口どうだ?」
目を瞑り口を開け催促する。
「お。……」
携帯を取り出し村雨の口にスプーンを入れると同時にシャッターを押す。
「!! ちょ!」
その音に目を開けた村雨に携帯を構えた男が映る。
顔を赤らめ、膝を蹴飛ばす。
「おっと」
足を動かし躱す。
「――! この! この!」
ムキになり村雨が何度か足を出す。
「村雨、食事中は大人しくな。……この餌をねだる雛みたいな顔もDVD行きだな」
携帯を見ながら呟いた男の言葉に顔を赤らめながら蹴りを出す。
「おっと。癖の悪い脚は、こうだ」
片方の足を使い村雨の足を挟む。すかさず片手を伸ばし、軽く擽る。
「――!」
手を振りほどき、再度足を伸ばす村雨。
目の前の料理を食べながら足下でのじゃれあいは続く。
裏通りを歩く二人。
「やれやれ。来年どうするかな……」
「もう。恥ずかしいったらありゃしない。憲広が悪いんだからね」
お子様連れのお客さんもいますので、と女性スタッフから注意を受けた二人が慌てて店を出たのは5分ほど前の事であった。
「お前がそれを言うか」
些か呆れ気味の男に
「あんな騙し討ちみたいに写真撮るなんて」
なおも言い募る村雨。
「いや。ついつい」
「……消してね?」
「ダメ。消さない」
「消して」
「お断わりだ。村雨との大切な思い出の一つだからな、村雨のお願いでも消さん」
もう。と頬を膨らませる村雨であったが、その表情には笑みがうっすらと浮かんでいた。
入港時に昼食を食べた店を過ぎ、郵便局や役場を過ぎる。
「暑くなってきたね?」
「着いた時よりな。まあ、内地や9月頃の此処に比べれば未だ涼しいけど。暑くはなって来たな」
「うぅ。あっちは暑いもんね、戻りたくないなぁ」
「戻らないと帰れないだろうに」
「そうだけどぉ。こっちから直接帰れればいいのにな」
「……それは困るな。……もう少しだが村雨とはギリギリまで一緒に居たいしな」
後半は微かな声であったが村雨の耳にはしっかりと聞こえていた。
「え? 後の方、今なんて言ったの?」
「ん? 一人分の空きの説明大変だからな。って」
ふ~ん。と口元を緩める村雨。男の腕を取りしっかりと挟み込む。
「暑い。離れろ」
温もりと柔らかさを腕に感じ焦る男の腕をさらにしっかりと挟み込む村雨であった。
「お、ここだ、ここ」
二人の目の前にクリーム色の建物が見えてきた。
「さっき村雨が聞いていた場所だな。小笠原世界遺産センター」
「へぇ。どんな感じなの?」
「去年初めて来たときはオガサワラハンミョウを育てていたな。巣穴とかグリーンアノールの侵入防止策の展示をやってた。入館料は無料な」
「へぇ。ところで今、去年初めて来たって言ってたよね。一昨年は来なかったの?」
「4年前まではこんな建物は無かったな。一昨年は2日目の海で焼き過ぎて3日目から歩けなくてな。宿から殆ど出られなかったから建物が建てられていたのかは知らんが、開館したのは去年の5月頃だったはずだ」
「そうなんだ。って焼き過ぎ?」
「日焼け止めは全身に塗ってドルフィンスイムに参加してたんだがな。泳いでいるうちに流されて、塗り直しているうちにまた泳いでとやってたら1時間位で焼けた。夜から日焼けが酷くて歩けなくてな、医者も休みだったし、何とかそこのアサヒ薬局に行って薬買って塗り捲ってたわ。赤い跡が消えたのは去年の12月頃だった」
「うわ~。日焼け止め塗っておいて良かった~」
「村雨、汗かいているから念の為塗り直しておいた方が良いぞ」
中に入るとひんやりとした空気が包み込み、ホッとなる二人。
「あ、ビデオ流れてる」
「小笠原のアノール対策……だな」
後ろから眺める二人。映像が終わり、再び最初から流れると前方の席に座っていた人が席を立つ。空いた席に二人が座ると程なく映像が流れる。
「……ここ、港の前だ」
見覚えのある風景が映る。
「あ、ここは亜熱帯農業センターか」
映像が終わり、席を立ち、館内のオガサワラハンミョウやマイマイの保護活動の様子やオガサワラハンミョウの巣穴をカメラで見る二人。
「いないね、ハンミョウ」
「だな。巣穴から見えん……」
ノネコやクマネズミと言った外来種駆除の取り組みやノネコ対策のフェンス、グリーンアノール対策のフェンス等を触りながら、グリーンアノールのトラップがゴキブリホイホイに似ているのが偶然ではなかった等の説明を読み村雨が目を輝かせていた。
「村雨、こういうのに興味あるのか?」
「もちろん! こういうの好きよ。小笠原のパンフレットも貰ったし、後はこの『島ネコ マイケルの大引っ越し』って本が欲しいかな。面白いから鎮守府の子たちにも読ませたいけど、お土産屋さんに売ってないの?」
「ああ、これはPDFが公開されているよ。帰ったら保存して持って行ったら?」
「違法じゃないよね?」
「小笠原自然情報センターのサイトに掲載されているから違法じゃないだろ」
小笠原世界遺産センターを後にして農協に行くという男。
「どうしたの? 買い忘れって何か買うの?」
「ん? 何か面白いものがないか見るだけ。多分ないと思うけどな」
予想通り入港日に見た果実や野菜があるだけであった。
貞頼祭りで出会ったスタッフと会話を交わし、農協から出たところで港から汽笛が聞こえる。
「お。おがさわら丸が来たのか。11時半か。……村雨、ちょっと早いけど昼飯行くぞ。店が混む」
男が村雨の手を引っ張っていく。
「あ、ちょっと。……こういう時は強引なんだから」
文句を言いながらも顔に笑みを浮かべ男に引っ張られる村雨であった。
防波堤の高さは約2.5mです。堤防前に身内が映っていたので村雨を重ねて消去しています。
※『島ネコ マイケルの大引っ越し』の場所
小笠原自然情報センター>パンフレット
島ネコ マイケルの大引っ越し(絵本) 〔発行:環境省(H20、H24改訂)〕
http://ogasawara-info.jp/pdf/panphlet/panphlet_kankyou6.pdf
20200425追記:ねこ待合所、開所したのは2010年6月13日でした。多分別の建物をそれと勘違いしていました。ごめんなさい。なお、本文は修正しません。あの時点では完全にそう思い込んでいましたので。