村雨と提督の小笠原旅行記   作:fire-cat

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小笠原DAYとは、小笠原に行ってみたいと思っている方に遠く離れた小笠原を本土で感じていただくために、島の食や音楽、アカデミックな話題を提供する、小笠原ファンやリピーター、島民が多く集まるイベントです。





後半が書けないので分割して投稿。


小笠原DAY――中編――

「ねえ、憲広」

「ん?」

「今1330よね?」

「ああ。開場まではまだあるな。花摘みでも行くのか?」

「違うわよ。さっきよりずいぶん増えてるなって」

 二人の声が聞こえたかのように会場内のスタッフから現在の凡その人数が発表される。

「うわぁ100名も……」

「いや、予想以上だな……。正直舐めてたわ」

 二人の感想に

「あれ? 初めてなの? これに参加するの」

 前に並んでいた人が振り返る。

「ええ。そうなんです」

「今年は100や200じゃ済まないよ。返還50周年でリピーターとか結構来るからね。ところで島には何回行ったの?」

「私は2006年から毎年ですね」

「私は去年の貞頼祭が初めてです」

 二人が答えると

「えっと、12年連続? 仕事で?」

「え? 観光ですよ? 年1回だけ」

「世界遺産の話題が出る前から毎年?」

「あ、仕事の都合で2013年だけは行けませんでした」

「そっか。随分気合の入ったリピーターさんもいたもんだ」

「12回なんて珍しくもないと思いますよ?」

「そうかなぁ。写真家さんなんかは良く来ているけど、あの人達って仕事だからね。あ、貴方ブロガーさん?」

「いえ。今はwebもブログとかのSNS系もまったく」

「え? Twitterも?」

「ええ。昔はメルマガやっていてドメイン取ってアメリカとかの健康情報を集めて有料配信してたんですけど、もう止めました。今はそのドメインもメールでしか使っていないんですよ」

「……もったいない」

 そんな世間話をしながら暇を潰していく。

 

「まだかな♪ まだかな♪」

 どことなくご機嫌な村雨。そんな村雨を見遣り、他愛もない話をしているとスタッフから案内放送が入る。

「開場まであと30分か。それにしてもすごいね、建物の外まで並んでいるなんて」

 放送を聞き村雨が男を見遣ると、男は後ろを振り返っていた。

「すごいな。びっしりだ」

「え? どれどれ……。わっ。すごい人」

 第一待合所に九十九折で並ぶ人の列。

 その列を見遣り傍らの男に視線を戻す。

「早く出てきてよかったね」

 受付前では島の高校生たちがパンフレットやハンカチタオルの引換券をバックに詰めている。

「高校生かな」

 その村雨の言葉を聞きつけ、前に並ぶ女性が応えた。

「あの子たち来年の春に卒業して内地の大学に行く子たちなの。島に居た時はこんなに小さかったのに、時が流れるのって早いわよね」

 手で自分の膝位の位置を示す。

「それは小さすぎるような……」

 周囲から苦笑が漏れていた。

 高校生たちの動きや受付前のタイムスケジュール表を確認しているうちにスタッフが列の先頭に歩み寄る。

【挿絵表示】

 

「お待たせしました。これより小笠原DAYを開催いたします。引換券とパンフレットを受け取ったら列の案内に従って受付を済ませてください。それでは押し合わずに進んでください」

 その言葉と共に列が動き出す。

「えっと、リピーターは真ん中か」

「はい。これが抽選券になります。それとこの腕輪を点けてください」

 受付の高校生から紙の腕輪と抽選用の用紙を渡される。

「赤と黄色と青の腕輪の人と名前を交換してください」

「そういう事か」

 顔を見合わせる二人。

 受付を済ませ50周年記念ハンカチタオルを無事GETした二人。

「やれやれ。早く出て良かったよ」

「ホント。最初の予定通りだったら貰えなかったかも」

 早足で目的のブースに向かう二人。

 そんな中、おが丸の到着予定が1530から1600になるという放送が入る。

「遅れてるのね。この季節じゃ黒瀬川も暴れるしね。……黒瀬川、わかるかしら?」

 男に悪戯気な視線を向ける村雨。

「黒潮だろ? その位は解るわ」

「何だ、残念。知ってたの」

 目的の小笠原海運のブースに並ぶ。

「色々あるなぁ……」

「ホント一杯。目移りしちゃうけど……」

「足らないな」

「足らないわね」

 ブースには二人が狙っていたTシャツの他、画用紙やビスケット、タイピンの他にWAONやタイピン等が所狭しと並んでいた。

「まっ予定のもの買うかな。村雨は?」

「無駄遣いは出来ないもん。予定のものしか買わないよ?」

 そう言うと小笠原海運創立50周年ロゴ入りTシャツ・小笠原DAYロゴ入りTシャツ・小笠原海運創立50周年ロゴ入りフェイスタオルと夏にも購入した小笠原返還50周年記念の瓦せんべいやミント菓子を購入する2人。

「……26㎝か。サイズ合わんな」

「23.5㎝か。私は合うから買うね」

 村雨が創立50周年ロゴ入りの金色ギョサンを購入する。

「むぅ。もう少し入金しておくべきだったか」

 残額を確認し男が愚痴る。

「仕方ないよ。ほら、あっちで入金しよ?」

 待合出口付近のチャージブースでPASMOに入金し、くじ引きに並びかけた男が販売中のWAONに目を留める。

「へぇ。返還50周年記念のオリジナルデザインか」

 購入するか迷っている男の下に一足早く並んでいた村雨が近づく。

「何やってるの? 早く並ぼ……。わぁ、可愛いカード」

 目を輝かせる村雨。そんな様子を見た男が

「このWAON2枚下さい。チャージは3000円で」

 購入とチャージを済ませ、1枚を村雨に渡す。

「ほい」

「え?」

 一瞬戸惑う村雨。直ぐに笑顔が浮かび

「ありがと」

「どういたしまして」

 村雨の手を取り列に並ぶ。

 それぞれ新井式回転抽選器(ガラポン)を1回づつ廻すも三等のポケットティッシュと入浴剤一包の詰め合わせであった。

「残念。こういうときは時雨姉さんか雪風ちゃんに引かせたいのよね」

 くじ引きを終え再度小笠原海運のブースを見る二人。

「ダメだな、こりゃ」

「ダメね」

「それじゃ、先に黄色の欄に名前を記入しますか」

「は~い」

 お互いの名前をリピーターの欄に記入する。

 100人近くの人が並ぶ列が出来ていることを確認し、暫く列に並ぶ事は諦め奥の試飲・試食コーナーに向かう二人。

「ただ今お並びになった全ての方が会場に入りました。会場内は今後一層の混雑が予想されます。お子様連れのお客様はお子様の手を……」

 放送が流れる。

「うわぁ。混んでると思ったら……」

 村雨を出汁に赤と青の腕輪をしている人に声をかけ欄に名前を記入して貰いながら列をかき分け奥にある農協のブースへ。

「何だろね、これ?」

「レモネードは買っているけど……あれ? 新商品か、これ」

 渡されたコーヒー牛乳せんべいの試食をしながらスタッフの説明を聞く二人。今年の8月頃に発売された新商品であった。

「いつもの時期だったら良かったのにね?」

 村雨が男を見遣る。

「ま、こういう事もあるから面白い。ん? 良いもん見っけ。ここにあったのか」 

 男が手にしたのは瓶入りの島蜂蜜。夏の島ではチューブタイプの小さいものはあったが、目当ての瓶タイプは品切れだった為購入しなかった。

 今回、列に並んでいたときにあると教えられ密かに探していたものであった。

 島で買えなかった島蜂蜜を見つけた男は迷うことなく3瓶購入し、ホクホク顔。

「島蜂蜜? 珍しいの?」

「昔は買えたんだけど、人気が出てなかなか買えなくなってるんだ。ここ2,3年はチューブしかなかったんだよな。去年は5合瓶サイズで買えたからコーヒーよりはましだけどね」

 そんな言葉を聞いた村雨もお土産にと3瓶購入。

 残額が少なくなりWAONのチャージに向かうと次第に列が長くなっている事に気が付く。

 男が9000円分チャージを行いガラポンを回す。

 3回目に出て来た球を確認したスタッフがハンドベルを鳴らす。

「お。二等当たったのか」

 列から外れ景品のオリジナル巾着を手に後ろの村雨を待つ男。

 ハンドベルの音が響く。

 村雨もオリジナル巾着を手に男に寄ってくる。

「二等が当たったよ」

「お。村雨も当たったか」

「二人で当たってよかったね」

【挿絵表示】

 

 舞台ではおがさわら丸の遅れで順番が入れ替わった小笠原海運社長の挨拶が終わりミニライブが始まっていた。

「聞いて行くの?」

「この用紙を入れたら聞きながらブースの列に並び直す」

 男の言葉に苦笑を隠せず手をつなぎながら男と一緒に応募箱に用紙を入れ列に並ぶ村雨。

「良い曲ね」

 澄み切った歌声にのって『丸木舟』が流れていた。

 

 

 




少し前に大神山神社の段数が136段であると教わりました。結構あったなぁ。
ただ、教えてもらった人も又聞きらしいですが。
実際の所どうなんでしょうね。
5月に父島に行かれる方、ぜひチャレンジを。そして段数を教えて下さい。


(あ、整理中に見つけた写真を、こっそり村雨と小笠原旅行―in2018―に数カ所追加していたりします。興味があったら探してね)

小笠原海運創立50周年ロゴ入りTシャツ・小笠原DAYロゴ入りTシャツ・小笠原海運創立50周年ロゴ入りフェイスタオル小笠原返還50周年記念瓦せんべい・ミント菓子の写真は小笠原海運のサイト見てね。瓦せんべいは掲載します。

【挿絵表示】
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