フタツボシ★☆   作:赤川3546

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・ゲーム寄りということでデレPは台詞なし、765Pは台詞ありとなります。

・デレ側のプロダクション名は明記していません。


本田未央と渋谷凛

 着替え終わった未央がやってきたのは噴水広場だった、夕日に照らされてオレンジに染まる町並みが美しい。

 未央は噴水のへりに腰を掛け、考える人のような姿勢で遠くを眺め始める。

 

「うーん……」

 

 実際押すか引くかというのは難しい判断だ、付き合いが長ければある程度どうすればいいのか見極められるだろうが志保はまだ会って間もない。

 拒絶されるくらい分かりやすければいいのだが、お互いに時間は大切に使うべきであると主張しているだけなのがまた難しい。

 

「どうしたものかな」

 

 未央が答えを決めあぐねていると、突然誰かがやってきて未央の隣に座り声をかけた。

 

「お疲れ様、未央」

「えっ、しぶりん? お疲れ様……じゃなくてどーしたの、こんなとこで」

「帰ろうとしたら、眉間にしわ寄せて唸ってる未央を見かけたからつい……ね」

 

 やってきたのは未央とユニットを組んでいる渋谷凛だった、どうやら悩む未央を見かけて追いかけてきたらしい。

 一緒にいることが多いだけに気になってしまうのは仕方のないことだろう。

 

「そんな顔してた?」

「してたよ、なんか深刻そうに見えたけど」

「深刻……まあ、私にとって深刻ではあるかな」

 

 仲良くなりたいと考えている未央に対して、志保はそこに時間を使うべきかどうか考えた方がいいというスタンスなので未央にとってはという表現なのだろう。

 事実、フェスが終われば仲間ではなくライバルという関係に戻るので志保の考え方は恐らく正しい。

 

「765プロの子だっけ、上手くいってないの?」

「仲が悪いわけじゃないんだけどね、事務所が違うからグイグイといくのを迷っちゃうんだ」

 

 悩んでいるのに無理に笑ってみせる笑顔、未央にしては珍しい表情ではある。

 しかし凛は特に動揺する様子もなく話を聞いている、もしかすると親しい人物にとっては見かけることのある表情なのかもしれない。

 

「事務所がどうとか関係なしにガンガン距離詰めていってこそ未央だと思うし、それも期待してるからプロデューサーは代表に選んだって私は思ってるけど」

「うーん……怒ったり嫌がったりしないかな……?」

 

 まだ消極的になっている未央を見て、凛は微かに笑った。

 一緒にいるときはあまり見なくなった珍しい状況なのだろうか。

 

「まあ、そういう人もいるだろうね」

「そ、そうだよね……」

「でも、少なくとも私は……未央の積極的なところに色々と助けられてきたって思ってるよ」

 

 思い返すように、遠くを眺めながら凛はそんな心情を吐露した。

 一緒にやってきた凛に言われたからこそ、未央も茶化すことなく言葉を受け止めている。

 

「しぶりん……」

「今の自分の立場を考えて、とか思うのかもしれないけどさ、少なくとも今は仲間なんでしょ? なら、特に悩む必要なんてないと思うけど」

 

 意外と小心者、未央は自分をそう評しているがそれを知ってか知らずか凛は彼女の背中を押す。

 気にするな、いつも通りの未央ならきっと上手くいく。そう伝えたいのだろう。

 

「うん……そうだね。いや~、やっぱり事務所代表なんて言われると意識しちゃうものだねえ」

「私にはまだその気持ちは分からないから、羨ましいね」

「よーし、じゃあしぶりんにまで繋がるように未央ちゃんがんばっちゃいますよっ!」

「あれ、単発の仕事だと思ってたんだけど……そういう趣旨なの?」

 

 まるで自分たちが成功させれば次々に事務所合同の仕事が続いていくような未央の発言に凛は驚いている。

 二人のスケジュールを合わせるのも大変であろうこの企画が続くとは思っていなかったようだ。

 

「ううん、私がそうなるといいなって思ってるだけ。でも、結果を出せばあるかもしれないじゃん。可能性がゼロじゃないならあるも同然!」

「そっか、なら絶対に次があるように未央には結果を出してもらわないとね」

「うっ、プレッシャーかけてくるねしぶりん」

「有言実行、言ったことには責任を持たないと」

 

 凛は言質は取ったぞとでも言うような不敵な笑みを浮かべている、これには未央もタジタジだ。

 

「たしかに言った、言ったから……せいいっぱいがんばるしかなーいっ!」

 

 先ほどから下を向きがちだった未央が、空を見上げてそう口にした。

 実に晴れやかな表情だ。

 そして、両手を高く振り上げているので動きがうるさい。

 

「いい顔してるね」

「しぶりんのおかげだよ、ありがとう」

「良かった、フェス見に行く予定だから未央にはがんばってほしいし」

「えっ、しぶりん見に来てくれるの!?」

 

 凛の言葉を聞くと未央は弾けるような笑顔を見せた、相当嬉しかったのだろう。

 

「うん、スケジュールも空いてるしプロデューサーにもお願いしてある」

「やった! よーし、めっちゃくちゃ気合入れるから、未央ちゃんとしほりんのステージ楽しみにしててねっ!」

「うん……って、相手の子しほりんって呼んでるの? なんか私のあだ名に似てるけど」

 

 不思議そうな顔をしている凛、たしかにここまで似ているとなると意図があるのか気になるのは仕方がない。

 凛と志保が似ているかというと……どちらともいえないところだが。

 

「言われてみると似てる……、語感で決めたから分からなかった」

「まあ、未央らしいかな」

 

 ため息を吐きつつも凛の表情はどこか笑っているように見える、元気な姿を見て安心したのかもしれない。

 

「そうだ、景気付けに帰りがてら甘いものでも食べにいこうよしぶりんっ!」

「いいけど……なんか久しぶりだね、そういうの」

「だからいいんじゃないかっ、さあ行こ行こ」

 

 立ち上がり、意気揚々と歩き出す未央の後ろに凛はついていく。

 夕日に照らされる二人の表情は実に晴れやかな笑顔だった。

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