剣魂    作:トライアル

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少し遅れてしまいましたが、ようやく出来ました!




第八十七訓 なぜ万事屋は英雄に認められたのか?

「銀さん! 神楽ちゃん!」

「パパ! ママ!」

 銀時、キリト、アスナ、神楽の四人は今、危機的な状況に直面している。ダークライダーの解き放った渾身の合体必殺技を、身動きが取れないまま受けてしまい、およそ高層ビル五十階近くに該当するだろう世界樹の天辺から勢いよく降下していたのだ。

「「「「うわぁぁ!?」」」」

 現在は敵の策略により、キリトやアスナらの羽も使えない始末。無論重力に逆らうことも出来ず、助かる手段など毛頭ない。このままオベイロンの思惑通り、四人は倒されてしまうのだろうか……。

 仲間達が彼らの安否を気遣う中、オベイロンはたった一人でこの状況を嘲笑っていた。早くも勝利の余韻に浸っていく。

「フハハハ! これは滑稽だぁ! もうあやつらに助かる手段は無い! 僕に逆らったことを、死後も後悔するが良いぃ!!」

 彼の頭に思い浮かぶのは、数分後の光景。ユイらの悲しむ姿を想像するだけで、大いに愉悦さを感じていた。仲間の存在を弱みとしか考えていない、彼ならではの短絡的な思考が伺える。

 そんな高笑いを続けるオベイロンに対して、

「てめぇぇぇ!!」

「ん? ぶほぉぉ!?」

なんと高杉が感情のままに彼の頬を殴りかかっていた。自身の決着を付けるべき相手(銀時)を葬り去ろうとする行動に、今までにない怒りを彼は覚えている。数分前の余裕など感じ取れないほど、その表情は切羽詰まっていた。

 すると高杉は、ユイに対して思い付きである提案を促す。

「おい、ユイ! そのドライバーをアイツらに投げろ! 早く!」

「は、はい!」

 それは彼女の手にしていたアルヴドライバーを、落下する四人の元へ投げることである。確証は無いものの、奇跡の代物であるこの道具ならば、きっと四人を助け出してくれると予測している。ユイも言われるがままに応じていく。(因みにこの時彼女が変身しなかったのは、冷静な判断が出来ていなかったからである。藁にも縋る気持ちで、高杉の言う通りに動いていた)

「お願いします……皆さんを助けてください。ライダーさん!」

 静かに祈りを捧げながら、ユイは勢いよくアルヴドライバーを外部へ投げ出す。急降下したそれは、まるで落下する四人を助けるかの如く、光となって追尾していた。

 一方の銀時、キリト、アスナ、神楽は、体を束縛していたオーラから解放されたものの、今は必死に助かる手段を模索している。

「おい、おめぇら! やっぱり羽は開かねぇのかよ!」

「ダメだ! 遺跡の時と同じで封印されている!」

「うぅ……こんなところで諦めるかアル!!」

「最後の最後まで諦めないわよ! 意地でも生き残るわよ、みんな!!」

 肝心の羽を封じられた今もなお、彼らは依然として踏ん張りを見せていた。その表情も一人一人険しさを滲ませている。理屈ではない根性論で、この難局を乗り切ろうとした。

 そう易々と心を折らない彼らの元に、ようやくアルヴドライバーが追い付く。

「ん? 銀ちゃんにみんな! アレを見るアル!」

「アレは……ユイの持っていたドライバー?」

 光を帯びながら近づくアルヴドライバーの存在感に、困惑めいた表情を浮かべる神楽やキリトら。ふとそれに手を伸ばそうとした時である。

「えっ、何!?」

「うわぁ!?」

 光は急に輝きだし、彼ら一帯を包み込んでいく。皆が目をくらませながら、両腕で顔を覆っていると……場面は瞬く間に変化している。奇跡は再び起きるか……?

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

「俺達はどうなってんだ?」

 ふと四人が気を取り戻すと、そこには真っ白な空間が辺りに広がっている。まるで先ほどまでの落下が嘘だったかのような場面転換。音すらも響かないこの場所に、四人は不気味さを感じ取る。

「もしかして、私達死んじゃったアルか?」

「そんな縁起でもないこと言わないでよ」

「だがよ。急にこんな場所へ来ることなんてあんのか?」

「俗に言う天国なのか。ここは……?」

 仕舞いには自分らが死亡したことで勝手に話が進んでしまう。キリトも最悪の事態を仮定した上で覚悟していた。

 静寂が漂う空間にとうとう耐えられず、銀時らが誰かを呼ぼうとした――その時である。

「ビューン! そいつは違うぜ~!」

 突如として陽気そうな男の声が、後ろの方から聞こえてきた。その声はどこか銀時とも似ており、場にいた全員が騒然としてしまう。

「って、銀ちゃん! 何ふざけた声出しているアルか!?」

「はぁ!? 俺じゃねぇだろ! 違うからな!」

「確かに銀さんは、この状況でふざけるほどおちゃらけてはいないからな」

「そうそう。分かっているじゃねぇか……って、さり気なくディスるんじゃねぇよ!」

 神楽はてっきり銀時が発したものだと思い込んでおり、八つ当たり気味にツッコミを入れている。即座に否定する彼に続いて、キリトも本音を交えた補足を加えていた。銀時からすれば、余計なお節介とも言えるが……。

 とそれはさておき、銀時らしき声に一同が注視していると――声の張本人がようやくその姿を披露していた。

「こっちだよ、こっち!」

「こっち?」

「って、コウモリ!?」

 その正体はなんと、変わった形をしたコウモリ……ではなくキバットバットⅢ世である。仮面ライダーキバの仲間でもあり、変身アイテムとしても活躍するコウモリ型のモンスターだ。無論そんな素性を知らない銀時らは、怪しさをより一層強めることになるが。

「おうよ! 俺様もライダー達の仲間の一人ってことさ」

「ライダーの仲間だ? こんなコウモリがか?」

「人は見かけによらないぜ、兄ちゃん」

「人じゃなくてコウモリだろうが」

「それはそうとお前。俺と随分声が似ているじゃねぇか」

「いやそれは、俺とお前の中の人が同じだけだろ!」

「中の人? 何言ってんだ?」

「今更とぼけんなや! 何肝心なところで常識キャラ装ってんだよ!」

 キバットは特に銀時へ向かってちょっかいをかけており、歯切れの良いテンポで会話を交わしていく。所謂中の人ネタも無自覚で披露しており、事情を知る銀時からはツッコミを入れられる始末である。一人二役の苦労を露わにしていた。

 そんな瓜二つの声で交流する二方に、仲間達もややこしさを覚え始める。

「にしても、銀さんと声が似ているな……」

「声だけじゃなくて性格も」

「自分でやってて恥ずかしくないアルか?」

「うるせぇ! また俺にスケットダン〇の時と同じ羞恥心を味合わせる気かよ! つーか、今が緊張感漂う場面だってこと忘れてねぇよな!?」

「あぁ、そうだったアル!」

「急に思い出すなよ!! こちとら眼鏡が不在のせいで、俺がツッコミを入れ続けなきゃいけないんだよ! そういえば、なんでアイツは万事屋なのに巻き込まれてねぇんだよ! よくよく考えたら、ムカついてきたぞ!」

 特に神楽は冷めたような目つきで、淡々とツッコミを入れていく。思うままに呟く三人に対して、銀時は新八の如く激しいツッコミで返していた。こんな状況下で新八が不在なことにも、彼は理不尽な怒りを感じ取っていく。

 とキバットの登場によって辺りの緊張感が解けたところで、彼らの目の前には灰色のオーロラカーテンが展開されていた。

「その辺にしておきなよ。キバット!」

「おっ、そうだったな!」

「って、おい! 待てや!!」

 ご主人様の声が聞こえて、キバットはそのまま彼の手元に戻っていく。その行く道を目で追いかけてみると、オーロラカーテンからはようやくあの戦士達が姿を露わにしていた。

「君達は死んでなんかいないよ。一時的に特殊な空間に連れてきただけさ」

「あ……あなた達は?」

「仮面……ライダー?」

 そう。出現したのは二十人の平成仮面ライダー達。アルヴドライバーを通じて四人を特殊な空間に連れ出した張本人であり、彼らにとっては次元遺跡で垣間見た幻以来だった。

 歴戦を乗り越えていった猛者達は、ユイに続いてキリトや銀時らにも、自身の力を託そうとしている。

「おいおい、マジかよ」

「こう並ぶと圧巻アルナ……」

 てんでばらばら。いや、皆が自分にしかない存在感を解き放つ。その様は銀時や神楽らにもひしひしと伝わっていた。

「おい、どうすんだよ。誰から話しかけるんだよ?」

「こういう時はキリの出番ネ! 自慢のコミュ力でライダー達に話しかけるアルよ!」

「って、急に言われても困るって。大体誰に話しかければ――」

「さっきのコウモリで良いだろ? ノリが良いヤツじゃないと、すぐに話は回ってこねぇぞ」

「そんな大雑把で良いの?」

 ライダー達が立ち止まった途端、その反応に困ってしまったキリトらは、小声のままその対応策を考えていく。あまりいい案がまとまらず、このまま時間だけが過ぎようとしていた時である。ご丁寧にもクウガやアギトから話が振られていた。

「そう恐縮しなくて良いよ。俺達はこの力を、君達にも託すために来たのだから」

「って、随分とあっさりと言うな」

「ねぇ。本当に良いのかしら……?」

「大丈夫! 君達なら、十分に使いこなせると判断したからね!」

 率直な一言には、キリトやアスナも思わず困惑を口にしてしまう。ライダー達が後押しするのも、やはりまだ信じ切れていない様子だ。

「じゃ、ライダーさんよぉ。その判断の基準は何だったんだ?」

 試しに銀時が疑問をぶつけると、その問いに龍騎が答えていく。

「それは簡単さ! 迷いなく自身の力を信じ切れるかどうかなんだ!」

「自身の力アルか?」

 抽象的な内容に首を傾げてしまう神楽。彼に続いてファイズやブレイド、響鬼の三人が補足を加えていた。

「まぁな。確かあん時にお前さんらは、すぐに俺達の力を頼ろうとした。まるで自身の力を否定するようにな」

「でもさっきまでの戦いは、装置の破壊を除いて、アナザーエターナルの攻撃を乗り切ったじゃないか」

「我ながら天晴れな戦いだったぜ。自分の力を信じて、成長した証ってところだな」

 そう。ライダー達にとって重要な判断材料は、自分自身を信じ切れるかである。一時にキリトが変身しかけた時は、焦りからすぐにライダーの力を頼ろうとしていた。その本質を見抜かれてしまい、力を行使出来なかったのが先の結果である。

 しかしアナザーエターナルとの戦いでは、自身の力を信じて最大の危機を彼らは乗り切っていた。アナザーエターナル渾身の必殺技を、皆が協力して防ぎ切ったのが証拠である。この行動がライダー達にとっては、銀時やキリトらを信じるきっかけになった。(ユイとの邂逅の際に、彼女の仲間も同じように力を使えると伝えていたが、それはあくまでも可能性の話。ところがライダー達の見込んだ通り、その期待にキリトらは応えることが出来ていた)

 この一件を簡潔にまとめると、銀時やキリトらもユイと同じく、平成仮面ライダー達に認めてもらえたということ。次第に四人もその意味を理解していく。

「確かにあの時の俺は焦って、冷静な判断が出来なったと思う……」

「そう過ちを認めることが重要だ。おばあちゃんが言っていた……敗北を知る者は勝利しか知らない者よりずっと賢いってな」

「まぁ要は、今のお前らなら俺達の力を託しても良いってことだ。分かったか!?」

「分かったよ……って、なんで俺のことを見てんだよ?」

「たまたまだ。気にするなよ、天パ野郎」

「おい、絶対俺の気に障ることを言っただろ!! 聞いてんのか!?」

 自分自身の不甲斐なさを自覚するキリトに対して、カブトや電王は励ましの言葉をかけていく。特に後者の分かりやすい一声には、銀時もすぐに反応している。電王のぶっきらぼうな態度には、イラついてしまったが。

 男性陣がライダー達の想いを汲み取る中で、アスナや神楽ら女子陣も会話の意味を深々と理解していく。

「自分自身の力ね……」

「私だって分かっているネ! 力を振るう理由も……その力で成しえたいことも!」

「私も同じよ。この星の自由を取り戻したいもの!」

「それが分かるなら十分だよ」

「だな。今のお前らに俺達の力が加われば、しっかりこの戦いも乗り切れんだろ」

「それって本当なの?」

「あぁ。俺が言ってんだ。間違いはねぇよ」

「随分と生意気な言い方アルナ」

 率直に感じた気持ちを吐露すると共に、キバやディケイドが反応している。後者は鼻に付くような態度だったものの……素直に後押しはしていた。

 ライダー達に自分達の想いを肯定されて、ついもどかしさを覚えてしまう四人。嬉しいことに変わりは無いのだが。するとWに変身する二人からは、アルヴドライバーに秘められた力について話題が上がっていた。

「さて。そんじゃ改めて力を託すぜ」

「貸すって、このドライバーを付けるんだよな?」

「でも一人用しかないわよ」

「実は違うんだよね。それ……!」

 W(フィリップ)がそう発すると、アルヴドライバーが瞬く間に四つへ増えていき、四人の手元にそれぞれ贈られている。この展開には、神楽らも驚きを隠せずにはいられなかった。

「ん!? 増えたアルよ!」

「その通り。使用する人数によって、アルヴドライバーはその数を増やすことが出来るんだ!」

「これで俺達仮面ライダーの力を全員が発揮できるぞ!」

「差し詰め最後の希望ってヤツかな……」

「最後の希望か……」

 アルヴドライバーの真価をオーズ、フォーゼ、ウィザードが解説していく。特にキリトは、ウィザードの発した最後の希望と言う言葉に重みを感じている。その名の通り、自分達が希望を背負っていることに間違いないからだ。キリトのみならず、仲間達もその確かな想いを悟っている。

 これにて全ての準備は整った。後は一歩を踏み出すだけ……ライダー達も次々に後押ししていく。

「もう心配することはない! 君達ならこの星を、最低最悪なテロリストの手から救えるはずだ!」

「人々の平和を脅かす悪を倒すために……!」

「あぁ、分かったよ!」

「任せろ……!」

 鎧武やドライブの力強い一言に、キリトも真剣な表情で応えていく。銀時らも同じように頷くと、ゴースト、エグゼイドも声をかけてきた。

「うん! ユイちゃんが認めた仲間ならば、きっとうまく使いこなせると思うよ」

「ただし、無理だけはするなよ。己の限界を知るのは自分だけだからな」

「自分だけね……肝に銘じておくわ」

「もちろんネ!」

 二人からのさり気ない注意に、アスナや神楽が反応していく。次第に四人の自信が付く中で――ビルドとジオウが会話を締めくくっていた。

「よしっ! ならば勝利の法則は決まった! この戦いも君達ならば乗り越えられるさ」

「存分にライダーの力を思い知らせてやれ! なんか……出来そうな気がする!」

 その言葉と同時に、改めて自分達の力を託すライダー達。正式な継承を行ったことにより、ついに万事屋にもライダーの力が使用可能となった。

「さぁ、現実の時間軸に戻るぜ~! 地上に落下する前に変身しとけよ~! じゃあ、キバッていけ!」

 彼らが反応するよりも先に、キバットが陽気な口調で注意を加えていく。あくまでも今は時空を歪ませている状態で、現実に戻れば落下途中の場面に戻ってしまう。慢心しないように促していた。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてキバットの声と共に……四人は現実の世界にいつの間にか戻っている。

「い、今のは……」

「幻覚……? って!?」

 ふと起きた出来事に困惑はするものの、耳を澄ますと謎の待機音がアルヴドライバーから鳴り響いていた。すでに四人の左腕や腹部に付けられているのも驚きである。

〈ヒューン! ブゥーン! ファイナルベント! エクシードチャージ! ライトニングソニック! キィーン! 1!2!3! フルチャージ! ウェイクアップ! ファイナルアタックライド――〉

 鳴り続ける音はライダー達の必殺技待機音。それはまるで秘められた力が解放するのを待つかのように、音それぞれに強弱を付けつつ繰り返されていく。

「おい、なんかベルトから鳴っているぞ!」

「後はブレスレットとベルトを合わせればいいだけか……!」

 ライダー達との邂逅を得て彼らが判断したのは、託されたライダー達の力の重み。その期待に応えるべく、彼らが出すべき行動はもう一つである。

「もう時間が無いネ!」

「こうなったら一か八よ!」

「野郎ども、行くぞ!」

「「「おう!」」」

 地面へと落下する前にライダーの力を解き放つこと。ブレスレットとベルトの液晶部分を重なりあわせ、そこに紋章を浮かび上がらせていく。一か八かの変身。地面へ衝突する時が刻一刻と迫る中で、四人はすでに覚悟を決めていた。

「「「「変身!!」」」」

 そして威勢よく発声した掛け声と同時に……

〈ドカーン!!〉

「パパ!! ママ!! 銀時さん!! 神楽さん!!」

「そんな……」

彼らは勢いよく地面に落下してしまった。無論平成仮面ライダーとのやり取りを知らないユイや新八からすれば、四人は重傷……いや最悪の場合死亡していても可笑しくはないであろう。見えるのは地上から土煙の舞う一幕。遠目からでもはっきりと見える点から、その悲惨さが目に見えて分かる。

「噓でしょ……?」

「旦那……」

「いや、銀時やリーダーがこれしきでくたばるはずが無い!」

 次第に仲間達も最悪の事態を想定しており、心の中を大いに震わせていた。生きていると信じたい。けれども現実的に見れば、運が良くても重傷が目に見えている。仲間達の中には、衝撃のあまり言葉を見失う者もいた。

「……大丈夫だよね。彼らなら」

 そんな中でもユウキは、最後の最後まで希望を信じていたが。

 皆に衝撃を与えたダークライダー達の奇襲攻撃。その指示を仕向けたオベイロンは、絶望感に浸る新八やユイらを大いに嘲笑っていた。

「フハハハ……! どうだ、お前達の仲間が死にゆく様を見て。たかが一人や二人を失ったところで戦意喪失するとは……随分と弱い連中だな! 結局世の中は、自分と強大な力さえ信じていれば強いってことさ!! ハハハ!!」

 彼らが言い返さないことを良いことに、好き放題言いまくる。ユイらの神経を逆なでした不貞な言葉の数々に、仲間達は悔しさと怒りを募らせていく。

 本当に彼が言った通り、銀時やキリトらは死んでしまったのだろうか……? いや。そんなことは無い。彼らは土煙を払いつつ、自身や仲間の無事を確認していた。

「平気だな、みんな」

「間一髪で間に合ったわね」

 変身は無事に完了しており、キリト、アスナの二人はユイと同じくライダーの紋章があしらわれたマントを装着。対し銀時と神楽は、ライダーの紋章がまばらに描かれた陣羽織をまとっている。どうやら装着する人間により、その形態を微妙に変えているようだ。

「銀ちゃん。世界樹に戻るアルか?」

「だな。こいつで上昇してやらぁ!」

〈龍騎! カモン! ドラグレッダー!〉

〈響鬼! カモン! 茜鷹!〉

 全員の状態を確認したところで、早速銀時はブレスレットを用いてライダーの力を一部だけ行使。使用したのは巨大戦力召喚。龍騎が使役する赤龍ドラグレッダーと、響鬼の使役するディスクアニマルの茜鷹を呼び出していた。前者には銀時とキリト、後者には神楽とアスナが乗っかっている。

「行くぞ!」

 この掛け声と共に、彼らは最上階まで勢いよく上昇していた。

 一方の最上階では、悲観的な雰囲気が流れ込んでいる。

「どうだ!! 僕の開発したダークライダーシステムは! お前らの仲間も容易く葬り去ることが出来るのだぞ! あの大馬鹿者共と同じになりたくなければ、今すぐ降伏しろ! そして一生、僕に従うのだな! アハハハ!!」

 銀時らが倒されたことを確信した上で、盛大に侮辱的な言葉をオベイロンは思うままに羅列していた。挙句の果てに戦意喪失する彼らを、マッドネバーに取り込もうとする卑劣ぶりを見せている。オベイロンの挑発にとうとう我慢が出来ず、一部の仲間達が彼にやり返そうとした――その時だった。

「誰が大馬鹿者だって?」

「ハハ……何?」

 状況は瞬く間に一変する。聞き覚えのある声に反応し、ふと崩壊した壁付近を見てみると……そこにはドラグレッダーや茜鷹に乗り込んだ銀時、キリト、アスナ、神楽の四人がいたのだ。ライダー達の手助けにより、間一髪で助かったことを全員にマジマジと見せつけている。

「テメェの勝利フラグもここでしめぇだ」

「倍にして返してやるよ……!!」

 真剣な表情を浮かべながら、再び宣戦布告する銀時やキリトら。ユイを始め仲間達を悲しませたことに怒り心頭の様子である。

 彼ら四人が無事だったことは、仲間達も大いに安堵し歓喜を態度で滲ませていく。無論高杉も。

「銀時……!?」

「神楽ちゃん!!」

「パパ!! ママ!! 無事だったのですね!!」

「もうーハラハラさせないでよ!」

 ユイ、新八、ユウキと希望に満ちた表情で、四人の帰還を祝福していた。何はともあれ大切な人が無事なことに安心感を覚えていく。

「よしっ!」

「良かった……!」

「ったく、心配かけさせやがって」

 彼らに引き続いて、仲間達も次々に思ったことを呟いていた。近藤、リーファ、クラインと大袈裟にリアクションする者や、土方、沖田、エリザベス、シウネーと小さめに反応する者もいる。どちらにしても嬉しいことに変わりはないのだ。

「ねぇ、アレって……」

「ユイちゃんの時と同じマント?」

「えっ?」

「と言うことはまさか……?」

 一方でシノン、シリカ、リズベット、桂は銀時らが装着しているマントや陣羽織に既視感を覚えている。数時間前に見たユイの姿と酷似しており、その関係性に興味をそそられていたのだ。

 絶望的な状況から一変。仮面の戦士達の力を得たキリトらにより、追い風は見事に彼らへと吹き始めている。オベイロンらマッドネバーも薄々雰囲気は察していたが、意地でも認めたくはないようだ。

「何をしてる!! 今すぐ奴等をあの変てこな化け物ごと叩き落とせ!」

「はいはい」

「分かっている」

 苛々を募らせた表情で、乱雑にもダークライダー達に指示を与えるオベイロン。本人達からは呆れながらも、言う通りにはしていた。数分前の余裕などはどこへやら。今はただ自分の感情の赴くままに右往左往している。

 当然ながら自分を見失った者に勝機など振り向くはずもない。アスナや神楽らは、オベイロンの心境を察して、冷静沈着にダークライダー達の対処に当たっていく。

「させないアル! ドラグレッダー!」

「茜鷹も頼むわ!」

 まずは一度世界樹の最上階に降り立つと、ここまで連れてきてくれた巨大戦力のドラグレッダーと茜鷹に指示をしている。

「ドラァァァ!!」

「キィィ!!」

 すると二匹は彼女達の言う通り、こちらへ向かう五体のダークライダーに対して、とっておきの技で追っ払おうとした。ドラグレッダーは口からの真っ赤な火炎、茜鷹は嘴からの衝撃波を相手全体へ解き放っていく。

「うぅ!?」

「熱波に衝撃波!?」

 この特殊な攻撃の数々には、ダークライダー達もすぐには対処しきれない。特に衝撃波は、自身の体が後退するほどに弄ばれていた。

「何をしている! 早く対処しろ!!」

 彼らが苦戦する様子を見て、オベイロンは余計に苛立ち、自分勝手に命令していく。冷静さを失い、銀時らを倒すことだけに躍起となっていた。その周りを判別できない癖は、キリトに早くも見抜かれている。

「オベイロン……お前にはこれをプレゼントしてやる!」

〈ドライブ! カモン! トライドロン!!〉

 彼がこちらの行動に気付かぬうちに、キリトはとあるサポートマシンを召喚。仮面ライダードライブが愛用しているハイテクマシン、トライドロンを用いて有言実行通りに倍返しを仕掛けていく。

「行け!」

〈タイヤフエール!!〉

 キリトがそう指示すると、トライドロンは自立走行で走り出す。アクセルを入れていき、後部のタイヤから未知なるエネルギーをまとったタイヤを生成していく。おぞましい顔の付けられたマッシブモンスターのタイヤと、重力を操作するローリンググラビティのタイヤである。それらを保持したまま、オベイロンへ勢いよく急接近していくのだ。

「早くし……ん? ぎゃぁぁぁ!! 痛い!? それに重た!?」

 彼が気付いた時にはもう遅く、トライドロンは勢いを衰えぬまま突進。見事にオベイロンへ衝突し、想定以上のダメージを与えることに成功していた。さらにはオベイロンが怯んでいる隙に。生成した二つのタイヤをぶつけていく。モンスタータイヤは彼の上半身にかみつき一定の痛みを与え、グラビディタイヤは数分間彼の周りのみに重力負荷をかけていた。泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。十分すぎるほどの仕打ちを受けてしまう。

 いとも簡単に平成仮面ライダーが使役してきたモンスターやマシンを従え、ダークライダー達に応戦していく銀時、キリト、アスナ、神楽の四人。未知なる力を目の当たりにして、仲間達もその強さに圧倒されてしまう。

「おぉ! なんか分からないけど凄いって!!」

「落ち着いてください、ユウキ。でもあの力は確かユイさんも使えていたはず……もしかしてその英雄さん達が彼らも認めてくれたのでしょうか?」

「そう難しいことは後にして、僕らも戦おうって!」

「そ、そうですね。加勢しましょう!」

 目新しい力を行使する神楽やアスナの姿を見て、ユウキもその興奮を抑えられない様子だった。それでもただ黙っているわけには行かず、シウネーと相談して自分達もその戦闘に入ろうと試みている。

「新八さん!」

「う、うん! みんなを助けに行かないと!」

 ユウキの行動を察して、ユイも新八に加勢を促していく。この流れに他の仲間達もついていこうとした時である。

「みんな! 今は戦うべき時じゃないわ! ここは移動するわよ!」

 突然アスナが大声で注意を促していき、それと同時に仲間達の周りのみに、幻影の中でも登場したオーロラカーテンを展開していく。

「ん? 何!?」

「こいつは……?」

 オーロラカーテンはスライド移動するように横へと流れていき、彼らの仲間を余すことなく取り込んでいた。彼らは現在いる世界樹の最上階から、アルンの中心街である広場までオーロラカーテンを通して瞬間移動する。

「ありがとうな、アスナ」

「どういたしまして。さぁ、私達もみんなの元に戻るわよ」

「もちろんネ」

「じゃ……助けてくれてあんがとよ!」

 全員の移動を確認したところで、四人もまた仲間達の元へ戻ろうとしていた。そんな最中に銀時は、この奇襲に参加してくれたドラグレッダー、茜鷹、トライドロンにお礼を交わしていく。彼らが鳴き声やクラクションで反応すると同時に、四人はオーロラカーテンを介して移動していた。同じくサポートキャラ達もスッと姿を消していく。

 絶好の好機にも関わらず、何故一時撤退と言う判断に至ったのか? それは数秒後に証明されることとなる。

「オベイロン様! 大丈夫ですか!?」

「今加勢に……ってアレ?」

 唐突にも扉が開き執務室に入って来たのは、ライオトルーパーやカッシーンを始めとする戦闘員達。そうアスナらは、敵の気配を見越して一時撤退を決めていた。フレイアが奪還した装置を保管する場所のカギも、多勢に無勢では奪われてしまう可能性が高い。最悪の場合人質としてまた卑怯な手を使っても可笑しくないので、引き際を見極めていたと言うべきだろうか。

 そんな事情を知らないライオトルーパー達は、部屋に突入して早々異様な光景に愕然としてしまう。部屋にはオベイロン、リュウガ、ポセイドン、ダークキバ、ソーサラー、シグルドとマッドネバーの主要キャラしかおらず、皆何かに攻撃された跡が見受けられている。はたまたオベイロンに至っては、地面に這いつくばり確実に何かをされた形跡が残されていた。

「おい、どうなってんだ?」

「さぁ?」

 到着早々にライオトルーパー達が困惑する最中に、ようやく重力の罠から解放されたオベイロンが立ち上がる。すると彼は怒りに満ちた表情のまま声を荒げていく。

「おのれ……おのれ……おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! 何故奴らが英雄の力を手に入れた!! 何故この僕が英雄に認められぬのだ!」

「お、落ち着いてください! オベイロン様!!」

 嫌と言うほど平成仮面ライダーの力をぶつけられて、とうとう彼は我慢の限界に達してしまう。八つ当たりからか、近くにいたライオトルーパーの首を持ち上げて、理不尽にも彼に殴りかかろうとする。あまりの横暴に、戦闘達も必死になって彼を止めようとしていた。どうしてもオベイロンは、自身が劣勢に追い込まれたことが許せないのである。

 すると様子を見ていたダークライダー達が彼に声をかけていく。

「まぁ、手に入れちゃったもんは仕方ないよ。俺達に出来ることはもう全面戦争しか無いんじゃないのか?」

「全面戦争だぁ!?」

「恐らくだが、奴らはこの星をまだ離れていない。装置を解放するにも、この世界樹に戻ってこないといけないからな」

「だったら簡単だよ。連れてきた怪人を一斉に集めて、彼らと戦わせるんだよ。カギを奪うなり姫を人質にするなり、勝機はこっちに向くと思うけどな~」

 リュウガ、ポセイドン、ソーサラーと連続して伝えてきたのは、最後まで諦めない姿勢である。今ある戦力を容赦なくぶつける、いわば人海戦術で銀時らを押し返そうとしていた。鬼門となったヘイセイジェネレーションフォームも、奪還なり卑怯な手を使えば対処出来ると彼らは括っていく。

 ちょこまかしいことは捨て、総力を挙げて反逆者を叩き潰す。意気消沈したオベイロンにとっては、まさに打ってつけの作戦である。

「フハハハ……そうかい。ならばアイツらと真の決着を付けようではないか! この僕が人を支配するに十分な器であることをしらしめてやらぁ!! アハハ!」

 根拠はないものの、自身の勝利を見通せたことに彼は気持ちを高ぶらせていく。逐一気持ちの移り変わりが激しい彼だが、本人はまったくそのことを気にしていない。自分本位な考え方をこれでもかと露呈している。

 そんな王とは程遠い彼の傍若無人ぶりに、ダークライダー達は辟易しながらも、最後まで彼の計画には乗ろうとしていた。

「チッ……まぁいいわ。最後の宴に付き合ってあげようじゃないの」

「同じくだ」

 ダークキバがそう呟くと、シグルドも同調していく。何度も掘り起こしている通り、この作戦が終わればダークライダー達は晴れて自由の身となる。そのためにも今は、マッドネバーの作戦に乗るしか無いのだ。

 こうして一念発起が如く、ALO星征服のために最後まで戦うオベイロンらマッドネバー。自身が作り出した怪人達を集結させていき、いよいよ最終決戦に持ち込もうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 一方でこちらはアルンの中心街である広場の一角。怪人達に荒らされた箇所が幾度とあるこの場所に、オーロラカーテンを介して銀時やキリトらの仲間達が世界樹最上階からこちらに移動していた。

 降り立ったのは新八、ユイ、定春、ユウキ、シウネー、フレイア、桂、エリザベス、クライン、近藤、土方、沖田、シリカ、ピナ、リズベット、リーファ、シノンの十五名と二匹。彼らは自分達の身に起きたことを理解できず、ただただ困惑めいた反応を浮かべるしかなかった。

(因みに高杉は、まったく別の場所に移動している。恐らく銀時の仕業であろう)

「えっ……? ここは?」

「街って……いつの間に下へ降り立ったんですかい」

 到着早々に思ったことを呟くシリカや沖田。他のメンバーも同じく辺りを見渡してみるが、敵の気配はまったく無かった。さらには銀時、キリト、アスナ、神楽の四人も見当たらない。

「ねぇ、アッスー達がいないよ!?」

「まだ来ていないのか?」

 ユウキや新八が心配そうに呟いた時である。彼らの目の前にまたもオーロラカーテンが出現。ヘイセイジェネレーションフォームから一旦変身を解除した、銀時、キリト、アスナ、神楽の四人が姿を見せていた。

「みんな! 無事で何よりだよ」

「あっ、銀さん! キリトさん!」

「私達もいるアルよ!」

 長いこと時間はかかったものの、場にいる全員が無事なことに安堵するキリトら。新八側も銀時達の無事に安心している。仲間達も四人に駆け寄り、次々と気になることを声に出していた。

「って、よく無事でいられたわね!」

「本当に何も怪我とか無かったの?」

「別に何ともないわよ。ライダーさん達が落下する直前に手を貸してくれたもの?」

「ライダー?」

「やっぱり、ママ達も使えるようになったのですね!」

 リズベットやリーファらに質問攻めされてしまい、若干タジタジとなってしまうアスナやキリトら。素直に平成仮面ライダーの件を伝えると、ユイは共感するように喜んでいた。初めてその存在を耳にするクラインにとっては、何が何だかさっぱり分かっていないようだったが。

 一方で銀時や神楽側は、桂一派や真選組に軽口を叩かれていた。

「いやー、びっくりした。びっくりしたよ」

「ったく、てっきりくたばっちまったと思ったぜ」

「誰がくたばるかよ、あんな状況で」

「お前の場合は、一辺死んだ方がマシだった気がするがな」

「地獄少〇みたいなこと言うんじゃねぇよ。そもそもまた会えて嬉しいんだろ? なぁ、なぁって?」

「うるせぇ」

 沖田や土方からのちょっかいに、ツッコミを入れつつ返す銀時。これでも普段通りの会話である。

「フッ。流石はリーダーだな。未知なる力も難なく使うとは……どうだ? このまま攘夷志士にでもならんか?」

「うるせぇ。テロリストに片棒を担ぐつもりはないアル」

「ぐはぁ!?」

[桂さん!?]

「何やってんだ、あの人は」

 一方で桂は神楽に近づき、さり気なく攘夷志士への誘いを持ちかけていた。無論彼女にそんなつもりは毛頭なく、堂々と彼の腹部に自身の肘を突き付けている。一部始終を見て、新八は冷めた目つきで小さくツッコミを入れていた。

 そしてユウキやシウネーは、フレイアの近くに居座って、アスナらの様子をそっと見守っていく。フレイアのみはあまり浮かない顔だったが。

「いやー安心感があるね……って、姫様? どうかされたのですか?」

 ふとユウキが聞いてみると、彼女は自身の思いの丈を余すことなく露わにしていく。

「本当に……あのような方々を巻き込んで良かったのですか? 無事だったにしても、一歩間違えていたら死んでいたはず。悲しくなるような犠牲は……払いたくないのです」

「姫様……」

 その気持ちは、銀時やキリトらを不用意に巻き込んだ責任感から来ていた。奇跡が起きたにしても一歩間違えば死んでいた先ほどの展開を目の当たりにして、つい心を痛めてしまう。誰かを犠牲にしてまで平和を勝ち取りたくない。優しすぎるが故に苦悩するフレイアの繊細な心が伺える。

「大丈夫ですよ。そう自信を喪失しなくても、彼らを絶対に死なせたりはしませんから」

「何たって僕達は騎士団だから! 姫様もアッスーやその仲間達も、僕らスリーピングナイツがきっと守り切ってみせますから!」

「ユウキ……ありがとう。励ましてくれて」

「いえいえ。だから姫様も気を落とさずに自信を持って。カギさえ手に入れれば、後はもう民を救うだけですよ!」

 そんな彼女にフォローを加えるかのように、シウネーやユウキは持ち前のポジティブさを活かして説得させていた。騎士団と言う立場を自覚した上で、誰一人欠けることなく守ることを決意している。頼りがいのある一言に、フレイアもつい勇気づけられていた。自然に微笑みを浮かべていく。

 するとフレイアは、ふと感じた疑問を声に出している。

「そういえば、何故この場所なのですか? 瞬間移動出来るならば、世界樹内でも良かったのでは?」

「アレ? 確かにそう考えたら……アッスー? もしかして何か狙いがあるの?」

 瞬間移動した行先を何故街中に指定したのかだ。ユウキやシウネーもそう言われると気になってしまい、ついアスナやキリトらに真相を聞いている。するとアスナらが聞きつけて、仲間達にも聞こえるような声で説明を加えていた。

「それはね……ユッキーの言う通り、こっちにも狙いがあったのよ」

「どんな狙いなの?」

「あの場で留まったり、世界樹内を移動したとしても、その至るところに怪人がいることは目に見えているはずだ」

「……確かにそうですね?」

 キリトが補足した通り、例え世界樹内に到着先を割り振ったとしても、怪人がいたら元も子もない。ましてや折角手に入れたカギを用いて、人質を解放するとならば、意地でも怪人達はそれに反発するだろう。だとすれば、より安全性を高めた上で世界樹に侵入するしかない。その方法をちょうど銀時らは持ち合わせていたのだ。

「おい、ちょっと待て。ってことは……俺達がこの場にいるってことは、敵も追いかけてくるってことか?」

「あっ、そっか! あのまま引き下がる訳もないものね……」

 話を聞いていた土方が思い付きで呟くと、シノンも納得したように頷いている。他の仲間達も共感する中で、ようやく銀時らの真意が見え始めていた。

「ご名答アル、マヨにシノ」

「勝手に略すなや」

「良いだろ別に。んで、頭に血が上ったアイツらは、意地でも俺達を叩き潰すべく総攻撃を仕掛けてくるはずだ」

「総攻撃って?」

 キリトに続き、神楽や銀時も全てを分かったかのように解説していく。反乱分子は徹底的に叩き潰すオベイロンやマッドネバーならば、こちらを必要以上に追いかけてくると予見していた。しかも総動員で。さらに持論を続けようとした――その時である。

「こういうことよ!!」

〈コネクト。ナウ!〉

 ふと前を見てみるとそこには、何の前触れもなく登場したオベイロンやダークライダー達がとある集合住宅の屋根に佇んでいた。彼らの出現と共に、ソーサラーは指輪を用いて空間を操る魔法を発動。すると辺り一面に魔法陣が無数に現れていき……

「ウゥゥゥゥ!!」

「イギィィィ!!」

そこを介してマッドネバーの怪人達が登場していた、一般級に幹部級、戦闘員級……全てをひっくるめても余裕で二百体は越えているだろう。アルン街中の通路、家屋や商店の屋根に せめぎ合う光景は、魑魅魍魎と言っても差し支えない。その全ての個体が、銀時やキリトらを葬るべく狙いを定めているのだ。

「貴様らの最後だ!」

「皆殺しにしてやる……!」

「アァァァァ!」

 ポセイドンやソーサラーの一言に、怪人達の唸り声が続いていく。文字通りマッドネバーの総力を挙げて、彼らに抗う反乱分子を力づくで抑え込もうとしていた。

 強硬的とも言えるマッドネバーの最終手段。多勢に無勢な光景に、仲間達の反応も様々である。

「ほらな。やっぱり現れやがった」

「うわぁ!? な、何アレ……」

「怪人達の群れじゃないか!!」

「まるで地獄絵図ね……」

「こんなにいたなんて……」

[これが敵軍の全てか!!]

 ユウキ、近藤、リーファ、新八、桂は揃って驚嘆の一言を声に出していた。仲間達も怪人の数々には、つい圧倒されて言葉を失ってしまう。一方で銀時、キリト、アスナ、神楽の四人はこの状況を見越したかのように、冷静さを保ちつつ対処している。

 一方で出現した怪人達を見てみると、実にバラエティに富んだ顔ぶれであった。

 ゴ・ガドル・バ、レオイマジン、ジェミニ・ゾディアーツ、フリーズロイミュードと言った幹部級の怪人達が七名。ファルコンロード、リザードアンデッド、キャマラスワーム、ビヤッコインベス、斧眼魔、ストロングスマッシュと言った一般級の怪人がおよそ五十体以上。ライオトルーパー、魔化魍忍群、レオソルジャー、グール、バグスターウイルス、カッシーンと言った戦闘員級の怪人がおおよそ百体以上。総じて言えるのは、皆今にも襲い掛かりそうなほど殺意を滲ませていることだろう。

 全ての怪人達の召喚が終わると、すかさず敵側の中心にいたオベイロンもキリトらにふてぶてしく話しかけていく。

「ようやく見つけたぞ! やはり遠くには逃げていなかったようだな!」

「オベイロン……!!」

「今更後悔しても遅いわ! 僕の作り出した怪人達で、貴様らを圧倒してやろうぞ!!」

 彼の声には確かな怒気が込められており、意地でも自身に反乱する者を倒す執念が感じ取られる。迫真の表情を見せながら、感情の赴くままに態度を荒くしていく。自分の本性を惜しげもなく披露していた。

「当然アル! 今度こそお前らを壊滅させてやるネ!」

「ワン!」

 一方の神楽ら一行も、果敢に立ち向かう所存である。定春も周りに威嚇を入れながら、いつでも戦える準備を整えていた。仲間達も同じくである。

 もちろんそれはマッドネバー側も変わらない。

「やれるもんならやってみろっての」

「アンタ達を倒すために、こちとら街や世界樹から兵力を余すことなく集めてきたのよ」

「総勢二百体を越える怪人軍団で、お前らを完膚なきまで叩き潰してやろう!」

 リュウガ、ダークキバ、シグルドが次々に威勢よく声を上げていく。どれも自信満々な態度から、よっぽどこの人海戦術には自信があるようだ。

 場がまたしても緊迫感に包まれてきたところで、ユウキらもその張り詰めた空気を感じ取っていく。表情も皆険しいものに変化していた。だが一方で、銀時、キリト、アスナ、神楽の四人は皆と反応が異なっている。

「やっぱりか」

「全戦力で間違いないようだな」

「銀さん? って、あっ」

「そうこうことでしたか?」

 こっそり小声で呟く二人の姿に、ふと疑問を覚える新八とユイ。だがここでようやく四人の狙いを察することになる。全ての戦力が集まるのならば、肝心の世界樹は警備が疎かになってしまう。つまりはスムーズに、ミラーワールドに閉じ込められた人々を解放することが出来るのだ。

 そんな彼らの真の狙いに気が付くことは無く、マッドネバーやオベイロンの煽りは続いていく。

「たかだか十九人では、この数を相手するのは不可能に近いかもな」

 そうポセイドンが発して、オベイロンがそれに続く。

「これが僕の本気だ! さぁ、絶望しろ! そして今すぐに降伏しろ!! この僕がこの世で一番優れていると、今認めるのだ!!」

[アイツ……増々狂っているな]

「どんだけ悪目立ちしてえんだよ、お前は!!」

 もはや恥も減ったくれもなく、感情的なままに言葉を発していた。強情かつ横暴な態度に、エリザベスやクラインを始め仲間達は皆気を引かせてしまう。

「こいつ本当にこの章のラスボスなんですかい?」

「言うな総悟。ああいうやつは、ボコボコにする時がスカッとするんだよ」

 仕舞いには沖田が元も子もないことを発してしまう。すぐに土方が訂正気味に補足を加えたが。

 とは言っても、これだけの数を相手取るには正直人数が足りないのも事実である。加勢に加わるならば領主や鬼兵隊の面々、フィリア等が思いつくものの、彼女らはまだ世界樹内で幹部怪人と戦っているに違いないだろう。だとすれば今ここにいる十九人と二匹で、この状況を打破するしかない。ヘイセイジェネレーションフォームがあるとはいえ、厳しい戦いになると見て良いだろう。

「さぁ……銀時よ。ここは素直に戦うか?」

「こんな大群……真っ向から立ち向かわないと、突破出来ないよ!」

「アッスー……! 僕らはいつでも戦う準備は出来ているよ」

 桂、リズベット、ユウキが思い思いに呟いている。仲間達の総意としても変わりはなく、全員がこの戦地を戦い抜くことを決意していた。後はこの少ない人数配分で、如何にして姫様を守りつつ世界樹へ侵入するかである。やるべきことが次々と重なり合う中で、そっと作戦を考えていく銀時やアスナら。もう残された時間は無く、早急な判断が不可欠である。

「ここまでは想定内だ。みんな! 恐れることなく立ち向かうんだ! 重要なのは……」

 そうキリトが威勢よく言葉を続けようとした時だった。

「この敵の大群を薙ぎ払う数でしょ?」

「なんだ?」

「この声はまさか!?」




 万事屋一行もようやく平成仮面ライダーに認められたことで、彼らの力を一時的に借りることが出来ました。これでオベイロンをぼっこぼこに出来るぞ(笑) 余談ですが本当は新八も手に入れる予定でしたが、諸事情により彼は対象外となりました。またこのアイテムに出番があったら……その時は使えると思います!(おかげで万事屋にてライダーの力を行使出来ていないのは彼だけに……まぁ、後々ネタに出来るからいっか)

 それにしてもキリト君……倍返しとはいえ、生身のオベイロンにドライブのトライドロン(多種多様なタイヤで相手を攻撃するスポーツカー型のスーパーマシン)で轢こうとするとか、殺意マシマシですね。自分でも作っていて怖いと思いました。ちなみに重力操作をした場面は、原典のフェアリーダンス編でも登場したので、別人とはいえやり返しています。

 打つ手の無くなったオベイロンは、自身の作り出した怪人軍団を率いて総攻撃を仕掛けていきます。新旧の怪人達が集結する様は、ライダーの集合映画を見ているような感覚ですね。彼らとどんなバトルを繰り広げるのでしょうか……?

 少し余談なのですが、今回の投稿が長引いたのはこの話を前後篇にするか悩んでいたからです。だがしかし文字数の関係で、別々の話として分けることにしました。なので次の話の投稿は、若干早くなるかもしれません……
 レジェンドアルセウスの図鑑埋めが順調にいけば。レジアル、楽しいぞぞい!!

 一応今回の予告は無しです! では!
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