剣魂    作:トライアル

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いよいよです……僕の描きたかった夢の競演がこの話で実現します!!


第八十八訓 だれがこの星の未来を救うのか?

 それはマッドネバーが全ての戦力を懸けて、怪人達をアルンに召喚した時である。

「えっ……何!?」

「消えた?」

 世界樹内にて幹部怪人の足止めを行っていたフィリアらは、ふとした異変に気付く。なんとこれまで戦っていた怪人の一部が、魔法陣を介してその場からスッと姿を消えてしまったのだ。あまりにも突然の出来事にフィリア、領主、鬼兵隊一行は皆驚きを隠せていない。

「どうなっているのだ!?」

「さぁな。だが……敵側にも良からぬ状況が起きたと言えるか」

「戦力を拡充する魂胆っすかね……!」

 ユージーンの疑問に万斉が答え、それに来島が反応していく。彼らは幹部怪人に召集がかかったと理解し、マッドネバーが追い込まれている状況だと察している。いわばこの展開を好機として捉えていた。(その予想はほぼ当たっているのだが……)

 そして引き続き残された幹部怪人は、地のエル、ドラゴンオルフェノク(魔人態)、火焔大将、ウカワーム、レデュエ、ガンマイザーリキッド、ナイトローグの計7体である。彼らは突然他の幹部怪人が消えた理由を、まったく把握していなかった。

「いつの間に……!?」

「急すぎるぞ! もっと丁寧に扱わんか!!」

 特にこの怪人達を仕切るナイトローグ(ナメクジ)にとっては、まさに青天の霹靂のような気分である。連絡も無しに決めつけで強行となれば、不利益を被るのはこちらだからだ。幹部怪人達も突然の変更に戸惑ってしまう。

 一方でフィリア達は、残った幹部怪人の数を鑑みて、足止めから撃破に目的を変更させている。

「おい、みんな! 今が好機かもしれん! ここは撃破に目的を変えるぞ!」

「了解したでござる」

「わ、分かった!」

「うん!」

 サクヤからの指示に、万斉、フィリア、アリシャが返事した。皆体力も精神力もまだ十二分にあり、その闘志を沸々と燃やしていく。フィリアは少しだけ無理を感じていたが……

「さぁ、いよいよ私も加わりましょうかね」

「もっと早く加勢しろや、武市変態!」

 敵の陣営が少なくなった状況に乗っかって、ずっと隠れていた武市もようやく戦線に参加していく。ちゃっかりな一面を見せる彼の姿に、来島は怒りを交えたツッコミを向ける。

 ちょっとした戦況の変化により、敵味方両者共に目的や心境が大いに移り変わっていく。悪しき者達を彼らは打ち倒すことが出来るのだろうか?

 

「この敵の大群を薙ぎ払う数でしょ?」

「なんだ?」

「この声はまさか!?」

 ふと一行の耳に聞こえてきたのは、聞き馴染みのある女性の声。聞こえた方角に皆が振り向くと、そこにはやたら数人に固まって行動するライオトルーパーの姿があった。

「あん? おい、貴様ら! 誰が前に出ていいと言った! 戦闘員は戦闘員らしく、後ろで待機しろ!!」

 命令を無視する彼らに怒りを覚えて、またもオベイロンは怒り散らしていく。そう偉そうに警告するも、ライオトルーパー達はまったく従わない。それもそのはず。その正体は……

「戦闘員らしく? 残念ね。私達はそんなちっぽけなものじゃないのよ」

変装している妙達だったからだ。着用していた装甲を剥がすと、そこには着物や野良服と言った普段の身なりをしている妙、九兵衛、あやめ、月詠、エギル、たま、長谷川の七名が姿を見せている。

「私達はいわば助っ人ね。さーて、このドリームチームに入らせてもらおうかしら?」

「はぁ!? 何!?」

「あ、姉上!?」

「九ちゃんにさっちゃん! ツッキーもいるネ!」

「それに……エギルとたまさんと長谷川さん!?」

「おいおい、どうなってんだよ!? いつの間にこっちの星に来てたんだよ!?」

 まるで最大の見せ場と言わんばかりに、自身の存在感を惜しげもなく強調する妙。唐突とも言える彼女達の登場には、神楽やキリトら仲間達のみならず、オベイロンやマッドネバー側にも衝撃を与えている。

「どういうことだ? 奴らの他にもまだ仲間がいたのか?」

「私が知る訳ないでしょう!? まさか知らないうちに侵入していたなんてね……」

 何よりも自分達が知らないうちに、欺かれていたことがダークライダー達へ何気ない心の傷を負わせていた。この一件によりマッドネバー側の計画が、ぐちゃぐちゃに崩れ去ろうとしている。

 一方で銀時らの元に集結していた妙らは、女性陣と男性陣に分かれて、それぞれが集まる場所に留まっていた。そしてこれまでに起きたことを簡略的に伝えていく。

「って、姉御達には一体何があったアルか?」

「話すと長くなるからかいつまんで言うが、とある探し人に協力して万事屋に向かった矢先、不可思議な穴を通じてこの星へ来てしまったというわけだ」

「えっ? お妙さん達も、あの穴を潜り抜けたの?」

「そういうことになるわね。でこの星の状況を大体把握して、世界樹にも忍び込んだのよ」

「この戦闘員の格好をしてな。じゃが、まさか主らとこの場で再会できるとは……何たる偶然じゃ」

 九兵衛、あやめ、月詠と次々に話していき、アスナらにもこれまで起きたことが断片的に伝わっていた。要約するとこちらの星に来たのは偶然であること。そして誰にも知られることなく、勝手に隠密行動をしていたことである。

「エギルさんもお妙さん達と行動を共にしていたのですか?」

「まぁ、そうだよ。ほとんど成り行きだけどな」

「元々許可を下さったのも、お登勢様のおかげと言うべきでしょうか」

「お登勢さんが? こりゃまた意外ですね……」

「それだけ私達のことを心配していたのかしら?」

 一方でエギルやたまも、自身の身に起きたことを話していた。ユイ、新八、アスナと話を聞くうちに深々と驚いている。

 そう話が続く最中……銀時は長谷川に厳しく当たっていく。一人だけ非戦闘向きであり、何故この場に来たのか理解できないからだ。

「んで。テメェはなんで来たんだよ?」

「なんでって、ユイちゃんのことが心配だったからだろ! こちとらいつでも戦う準備は出来てんだ。遠慮なく頼ってくれよ」

「お前の紙装甲でどうやって戦うんだよ! 明らかに場違いじゃねぇか! 何なら変装していた時の方がまだマシだったよ!」

 彼が脱ぎ去ったライオトルーパーの装備を見せびらかしながら、銀時は容赦のない言葉をかけ続けていく。そう指摘される通りなのだが、長谷川は断じて引くことは無かった。

 すると長谷川の意思をフォローするかのように、桂、クライン、エリザベスが説得を促してくる。

「そう悲観的に見るな、銀時よ。長谷川さんにだって、彼にしか出来ない役目があるかもしれぬぞ」

「そうだぜ! 例えば……例えば、ペンライトで応援してもらって、俺達にバフをかけられるかもしれないだろうが!」

[そうだ! そうだ!]

「誰がプリキ〇ア映画をやれって言ったよ!! 出来るわけねぇだろ! いい加減にしろや!!」

 意気込んで発したものの、三人は話の途中で言葉が煮詰まってしまう。クラインの苦し紛れの一言には、銀時も反射するようにツッコミを入れていた。

 だが彼を差し引いたとしても、頼もしい味方が加わったことに間違いはない。特にシリカら女子陣は、妙達の加勢を大いに喜んでいた。

「まさかこの場で共闘できるなんてね」

「遠慮なく頼ってくれ、みんな」

「お妙さん……! 九兵衛さん……!」

「ナー!」

「もちろん! 存分にお言葉に甘えるわ!」

「一緒に戦いましょう!」

 妙や九兵衛は早速、シリカやリズベット、リーファに頼もしい一言をかけている。彼女達が言うように、今回が初めての共闘だった。妙達とは関わりが深く、何よりもその強さを信頼しているリーファらにとっては有難いことである。ピナも喜びの鳴き声を上げていた。

「シノンよ。主との共闘も初めてか?」

「そうね……月詠さんとの特訓の成果。ここで発揮するわ!」

「楽しみじゃな……!」

 一方の月詠は、親しげにもシノンに声をかけている。気が合い信頼している者同士、素直に互いの背中を預ける所存であった。特にシノンはこれまでに培ってきた特訓の成果を、戦闘の先生とも言える月詠に見せようとしている。

 思わぬ助っ人の登場により、仲間達は皆今後の戦いに希望を見通していく。素直に喜ぶ者達もいたが……特に恋焦がれる者達は反応も格別である。

「お妙さん!! こんなところで会えるとは、実に運命的じゃないか!! ここは一緒に共闘して、それから……」

「言わせねぇよ!! ゴリラがぁぁぁあ!!」

「ブほぉぉぉ!!」

 妙を見るや否や、すかさず近藤は助走を付けて彼女に抱き着こうとしていた。無論そんな行動などお見通しの妙は、ためらうことなく近藤の局部に膝蹴りをかましていく。彼は苦痛を味わいながら、地面へと倒れこんでしまった。もはや二人の恒例行事とも言える。

「何か久しぶりに見やしたね」

「ったく……今が開戦間近だってのに」

 大袈裟に痛がる近藤の様子を見て、沖田と土方は淡々と言葉を呟く。長いことストーカー行為を間近で見ているせいか、慣れどころか呆れているが……。

 さらに再会で浮かれているのは、近藤だけでは無かった。

「銀さん!! 風の噂で聞いたわよ!! どうやらとんでもない力を手に入れたらしいわね!! これで私を……ハァ、洗脳しても良いのよ!!」

「じゃからしいわ!!」

「ブホォ!!」

 あやめもまた同じような行為を繰り返しており、過程は違えど銀時に無理矢理キスをしようと企てていく。瞬く間に豹変した彼女に対して、銀時は手慣れたかのように対処する。木刀を用いて、まるで野球のバットのようにあやめへ容赦なく打ち返していく。

 手酷い攻撃を受けてもなお、あやめの表情はどこか満足げなように見える。マゾヒズムな一面を、惜しげもなく披露していた。

 緊迫した状況下にも関わらず、いつも通りの振る舞いを見せるストーカーの二人。この行動にはほぼ全員が彼らの行動に驚嘆、もしくは呆れを覚える始末である。

「ず、随分と個性的な仲間達だね……」

「気にしないでユッキー……あの二人だけが変にネジが外れているから」

「なんとまぁ。地球でのストーカーって、あのように対処するのですね」

「あながち間違いでは無いのだが……」

「二人共引いちゃっているよ」

 ストーカーと言う存在を初めて目の当たりにするユウキやシウネーは、当然の如く心を引かせている。共に苦笑いを浮かべながら、アスナやキリトに気を遣うような会話を交わしていく。答えを求められた側の二人も頭を抱えたが。そんな二人の苦悩を新八が突っ込む、まさに混沌と化した状況がそこにはあった。

 仕舞いにはフレイアまで不安を覚えてしまう。

「だ、大丈夫なのですね……? このような方々で」

「クセはとっても強いと思いますが、頼りになる方々で間違いは無いと思いますよ。多分……」

 ユイが苦笑いで補足すると共に、エギルやたまも話しかけていく。

「まぁ、否定はしねぇよ」

「良くも悪くも己の欲に忠実的な方々ですから。要するに大馬鹿者です」

「そんな率直に言っちゃって良いの!?」

 彼女の的を得るような一言には、ユウキも反射的にツッコミを入れてしまった。でもその言葉には、何故か納得をしてしまう。

 しかし場が幾ら取り乱そうとも、現状は敵に囲まれている状態。いつ開戦しても可笑しくない中で、銀時は妙に気になっていたことを伝えていた。

「そんでよ、お妙。お前はなんで世界樹に侵入していたんだよ」

「そんなの証拠集めに決まっているじゃない。あっ、そうだわ。銀さん達に渡したいものがあるのよ」

「渡したいもの?」

 彼女に即答されると同時に、妙は銀時らに何の変哲もない紙切れを渡す。そして小声でスッと、彼の耳元にささやくのである。

「この部屋の中に囚われた人達を閉じ込めている装置があるわ。敵に気付かれないうちに、誰か行ってきなさんな」

「いつの間に……」

「たまたまよ。この苦労を水の泡だけにはしないで頂戴ね」

「あぁ」

「よろしく」

 どうやら紙切れの正体は、世界樹にある装置を書き記す地図らしい。妙らは研究所だけに飽き足らず、密かに装置の保管場所まで特定していたのだ。わざわざ小声で伝えてきたのも、敵側に悟られないためである。

 これでマッドネバーの戦闘と並行して、人々を解放する手立ても可能になった。銀時はその紙切れを、こっそりとフレイアの手元に渡す。

「これって……」

「アンタの望んでいたものだ。お前さんの部下にも任して良いと思うぜ」

「いえ……ここは私がやり遂げます。民や仲間を……自分の手で救わなくてはならないのです」

 銀時も小声で彼女と今後の作戦について話を交わすと、フレイア本人が人質の解放を請け負っていく。この件ばかりは自分の手で蹴りを付けたい、彼女なりの責任感の強さが垣間見える。銀時もこれには特に否定しなかった。

 徐々にキリト側にも有利な状況が出揃う中で、マッドネバーは肝心の話が聞き取れずにもどかしさを感じてしまう。

「おい、奴等。急に声を小さくしやがったぞ」

「一体何を話しているのよ!!」

 妙が装置の在処を仲間達に伝えていることも、彼らは知る由も無い。文句を呟くダークライダー達に対して、オベイロンは感情を剝き出しにして苛立ちを覚えてしまう。

「ええい! 何を話している!! 幾ら抗おうとも、僕の前では無力に過ぎん! おい、奴らの隙を突いて今すぐ攻撃しろ!!」

「……誰が?」

「誰でも良いだろ! おい、そこの戦闘員共! さっさとやれ!!」

 無責任なままに彼は、遠くから目に見えていた戦闘員達に指示。急に行動を割り振られた戦闘員ことカッシーンは、彼の怒りに戸惑いながらも、言われた通りに動こうとしていた。

「ハハ! 覚悟しろ!」

 と無理にでも彼らに発破をかけようとした時である。

「そうはさせないよ!」

「今度は私達の出番です!」

「えっ……? この声は!?」

 ふと聞こえてきたのは、どこか懐かしさを覚える四名の声。反応は微妙に違えど、キリトらやユウキらにも一定の衝撃を与えている。

 彼らが驚くのも束の間、ユウキ達の目の前にまたも変装したライオトルーパーが降り立っていた。四名の精鋭達は、惜し気もなく自身の存在を彼らに披露。

「ハァァァ!!」

 そして大剣、長槍、ハンマー、メイスを用いて、一瞬にしてカッシーンへ斬りかかる。

「グゥゥ……」

 不意を突かれてそのまま倒れこんでしまい、四人の襲撃は見事に成功していた。突如として現れた彼らの正体は――

「久しぶり! ユウキにシウネー!」

「ようやく再会ってね!」

「ご無事で何よりですよ」

「み、みんな!」

「やっぱり、この世界のスリーピングナイツか……!」

オンラインメモリに幽閉されていたはずのジュン、タルケン、テッチ、ノリの四名である。妙の連れていた探し人は、まさしく彼らだ。ユウキらとは敵のアジトで離れ離れになった以来であり、予想もしなかった再会に仲間達は大いに喜んでいる。

 一方のキリトらも、ユウキ達が無事に再会出来たことを嬉しく感じていた。例えそっくりさんであれど、大切な仲間と合流する姿を見ると、こちらまで微笑ましくなってしまう。

「随分と待たせてしまいましたね」

「本当だよ~! って、みんなはどうやって元の世界に戻ってきたの?」

「それがアタシらにも分からないのよ。気付いたら地球のかぶき町に来ていたし」

「えっ? どういうことなのですか?」

「こっちが聞きたいぜ。んで、そこで出会ったお妙さんやたまさんって人達と行動を共にしてここまで戻って来たってわけだ」

 テッチ、ノリ、ジュンと彼らは次々に、ユウキやシウネーにこれまで起きたことを話している。元の世界に戻れたのはある意味で銀時のおかげなのだが、当人達はおろか本人もまったく気付いていない様子だ。地球に降り立った彼らは、そこで妙らに接触。合流に至るまでの数時間は、彼女達と行動を共にしていたことが明かされていく。

「なるほど……そんなことがあったのですね」

「お妙さん達の言っていた探し人って、彼らのことだったのか」

「この世界でも、六人は仲良しなのね……」

 彼らの理由を聞くと共に、深々とその苦労を感じ取るユイやキリト。一方のアスナは例え別人であれど、スリーピングナイツの面々が仲睦まじく話す様子に心から安堵していた。この心境はアスナのみならず、元の世界のユウキ達を知るキリトらにも言えるが。

 一方の銀時らは、スリーピングナイツの参戦をメタ的な視点から捉えていた。

「とにかく……頼もしい奴らも加わって良かったじゃねぇーか」

「本当にドリームチームが出来上がるアルよ! これでファンサも十分だし、後は適当に勝利シーンを流せば良いネ!」

「いや、ダメだろ!」

 銀時が適当に呟くその傍らで、神楽が元も子もない発言を繰り出してしまう。横暴とも言える言動に、新八が反射的にツッコミを交わしていく。真選組や桂一派も、新たなるユウキの仲間に興味をそそられている。

「……良かったですね」

 そしてフレイアも、再度集まったスリーピングナイツの姿に安心感を覚えていた。そっと微笑みを浮かべながら、彼女達の様子を見守っている。

 仲間達からその再会を、大いに祝福されているスリーピングナイツの面々。彼らは浮足立った気持ちをそっと抑え込み、即座に戦闘態勢へ気持ちを切り替えていく。

「って、みんな! ここは気持ちを切り替えないと!」

「そ、そうですね。今はここにいる怪人達を片づけるのが先です」

 ユウキやシウネーが仲間達へ切り替えを促すと、ジュンら四人もすぐに応じてくれた。

「よしっ! ならとっとと片づけちゃおうぜ!」

「アタシらも加われば、なんてことないでしょ」

「油断は禁物ですが……みんなで力を合わせれば大丈夫だと思います」

「こ、この心意気で頑張りましょう!!」

 ジュン、ノリ、テッチ、タルケンと皆が威勢の良い一言を声に出していく。やる気は万端のようで、その姿勢からも彼らの本気度が伺える。最後に発したタルケンが、勢いからか腕を上げようとした時だった。

「へッ? うわぁ!?」

 ふと彼はバランスを崩してしまい、後ろへ倒れこんでしまう。その先にいたのは……

「あっ」

「う、うわぁぁぁぁ!! 僕に触るなぁぁぁぁ!!」

「ギァァァァ!!」

なんと柳生九兵衛である。初対面で会った時同様に、タルケンは即座に彼女によって体を掴まれ、そのまま投げ飛ばされてしまった。彼は木々で出来た民家に衝突し、不可抗力で手痛いダメージを受けてしまう。完全にとばっちりなのだが……

「って、タルケン!?」

「何やってんのよ! 九兵衛さんに触ったら、投げ飛ばされるくらい分かっていたでしょ。なんでまたやるのさ?」

「す、すいません……つい足が滑ってしまい」

「しっかりしてくださいね」

 彼の仲間達も心配して、近くに駆け寄ってくる。ジュン、テッチ、ノリの三人は、九兵衛の特性を知っているため軽口を叩くのみで済んだが、その件を知らないユウキやシウネーは本気で心配してしまう。仲間達の解説を踏まえつつ、二人は彼女の特性を後に知るのであった。

「何やってんだ、アイツら」

「九兵衛さんの投げ飛ばしを経験していたとはな……」

「パパも経験済みですよね!」

「ワン!」

 やや混乱状態に陥るスリーピングナイツに対し、銀時やキリトは思っていたことを呟く。特に後者はタルケンと同様の経験があるので、その気持ちは痛いほど理解している。

 

 と一悶着はあったものの、場はすぐに落ち着きを取り戻していた。約十一名の味方がキリトらに加入して、総勢三十人の精鋭達がオベイロンの悪行に反抗しようとしている。

「くっ……まさか! 世界樹に侵入者がいたとは……だが! 幾ら隙を突こうとも、僕に叶うはずが無い!! 僕の作り出した技術がある限りな!!」

 一方のオベイロンは不穏な雰囲気を感じながらも、傲慢かつ強がりな性格から、見栄を張り続けていた。

「それしか誇るもんないのかよ……」

 自分のことしか棚に上げない様子から、彼の近くにいたリュウガは小声で本音を呟いている。元来より信頼はしておらず、ダークライダー達も呆れつつ彼の戯言に付き合っていた。仮面の中では皆が苦い表情を浮かべている。

 そんな反応などつゆ知らず、自身の自尊心を存分に高ぶらせていくオベイロン。その根拠とも言える技術力をアピールした矢先である――妙が彼に対して、世界樹で入手したあるモノを見せびらかしていく。

「技術? もしかして、これのことかしら?」

「ん……あっ! そ、それは!!」

 そのモノを見た途端、オベイロンの表情は顔面蒼白となってしまう。衝撃からか顔のみならず、頭の中までまっさらに移り変わっていた。妙が手にしたモノの正体は……彼が手塩にかけて作り上げた装置の設計図の束である。

「お妙さん? それって……」

「装置の設計図よ。偶然入った研究室で見つけてね……これで全てじゃないかしら?」

 彼女の言う通り、偶然にも入った部屋でこの資料の束を入手したらしい。脅しとして提案したのも妙であり、彼女のしたたかな一面が垣間見えていた。所謂精神的な攻撃を仕掛けようとする姿に、仲間達のほとんどが何とも言えない気持ちと化してしまう。

「いつの間に……」

「うへぇ。地球の女性って、とんでもないこと考えつくなぁ」

 シウネーやユウキもこの作戦には驚かされていた。自分達でもこんな行動は出来ないと思い浮かべている。

 一方で大切な資料を奪われたオベイロンは、やや軽い混乱状態に陥っていた。

「おい、返せ! それは僕の捻りだした英知の数々だぞ! 無くせば、科学の喪失に繋がりかねんのだぞ!! おい、あやつからとっとと奪え! いや、待て!」

「どっちだよ!」

「お前が落ち着け」

「うるさい!! 僕に指図するな!!」

 大いに心を取り乱しており、右往左往と言動がとっ散らかる。見るに堪えぬ行動の数々に、ダークライダー達が注意を加えるも、自分勝手なままに言い返されてしまった。指示もあやふやなためか、戦闘員や怪人達も動くことにためらいが出来ている。これだけの数を集めておきながら、一切活かすことが出来ていない。オベイロンの器の小ささが露呈していた。

 未熟なリーダーによって混乱状態に陥るマッドネバー。そんな彼らに対して、たまははっきりとした口調で言い返していく。

「そうですか……ですが悪いですね。人を不幸にして苦しませる使い方しかないのなら……これは必要無いのですよ!!」

 自身の想いを含ませながら事を発した後、妙は所持していた設計図を上空へと飛ばしている。時を同じくしてたまは、手にしていた箒の先端から火炎を放出。

〈シュー……!〉

「あっ……あぁあぁぁぁ!!」

 設計図を一瞬のうちに燃やし尽くし、消し炭へと変えられてしまった。自身の努力の結晶が燃えカスと化したことで、オベイロンは瞳孔を開いたまま大袈裟に発狂。妙の狙い通り、精神攻撃がまんまと成功してしまう。怪人達の邪魔が入らなかったのも、事がスムーズに進んだ要因である。

「ありがとうね、たまさん」

「いえいえ。お掃除なら任してください。ですがこれで、この有象無象の化け物達と戦う道しか手段は残っていないようですね」

 だがしかし、この一件によりマッドネバーとの全面的な戦いは避けられぬものになった。この大群を相手にすることへ一抹の不安を覚えるたまだったが……そんな彼女を銀時やキリトが強気な姿勢で説得させていく。

「いいんだよ。どうせ戦うしか方法は残されていないんだろ?」

「最初から俺達はそのつもりだったさ……ここにいるみんなと一緒なら!」

「……そうですね」

 二人が言った通り、仲間を信じあえるならばこの戦いもなんてことない。たまの返事と共に、仲間達も覚悟を決めた表情や態度で返している。この場にいる全員が、今再び一つの目的の為に一致した瞬間でもあった。

 結束力を深める三十人に相対して、オベイロンらマッドネバーは皮肉なことにまとまりがまったくない。ダークライダー達もシグルドを除くと、あくまでも部外者だからか、この件を他人事のように受け取っていた。

「踏んだり蹴ったりだな」

「資料は粉々になるわ。密かに世界樹には侵入されるわ」

「言っておくけど、アタシ達のせいじゃないからね。責任はこいつらを世界樹に通した戦闘員達に言いな」

 ポセイドン、ダークキバ、ソーサラーと容赦のない一言を、オベイロンに向かって飛ばす。そしてこの言葉が引き金になったのか、彼は急に態度を豹変させてしまった。要するに逆切れである。

「ええい! うるさい! うるさい! 僕のことをけちょんけちょんにしやがって! いいか!! お前らは全員僕の科学力でボコボコにしてやるぞ!! たかだか三十人風情が、この大群を相手できると言うのか!!」

 散々売り文句として使っていた大群及び数の差で、真っ向から戦う決意していた。相手を数の差で疲弊させて、その隙を狙う算段のようである。

 そう高らかにまたも宣戦布告を行った時だ。

「三十人じゃねぇよ」

「……はぁ?」

 またしても銀時らの元に、とある助っ人が駆けつけてくる。そう素っ気なく呟いた彼は、眼前にした戦闘員達を自身の得手である刀でしなやかに一刀。

「ぐはぁ!」

「ウグゥ!」

 ほぼ一撃でおよそ五体程度の戦闘員達を倒しきってしまう。

 突如として現れたこの侍の正体は……なんと遠くに飛ばされていた高杉晋助である。

「三十一人だ。この大馬鹿者共の祭りに、俺も入らせてもらおうじゃねぇか」

「高杉さん!?」

「はぁ!?」

「えっ!?」

 そうしっかりとした口調で呟くと、彼は刀を一度鞘に納めながら万事屋の近くに移動していた。思わぬ人物の登場により、一段と警戒心を高めていく銀時達。一方で高杉に少しでもゆかりのあるキリト、ユイ、シウネー、フレイアの四人は、微かな期待を彼に持ち始めていく。それはもちろん高杉の加勢である。

「おい、てめぇ……どういうつもりだ? 折角あの場から引き離したのに、結局戻ってくるのかよ!?」

「フッ、やっぱりテメェの仕業か。だが安心しろ。今回ばかりはテメェとの決着に興味はねぇよ。俺はただ……仲間を取り戻してぇだけだ」

「仲間だぁ?」

「俺の仲間も、ミラーワールドってやらに閉じ込められてんだよ。そいつを解放するためにも、俺はテメェらに加勢した方が得だと判断したまでさ。テメェに手を貸すつもりはねぇから、安心しろよ」

「ハァ! 言ってやがるぜ……コノヤロー」

 到着早々に銀時は、高杉とのたわいない会話を交わしていく。どうやら彼の目的は、囚われた仲間を解放することらしい。あくまでも銀時に協力する姿勢ではなく、それを確認した彼は素直に納得していた。

 現状は味方とも言えず、むしろ互いを叩きのめしたいほど敵対する二人。しかしオベイロンと言う共通の敵が出来た今、この場はわだかまりを一旦忘れて、協力した方が良いと両者は括っている。(実を言うと高杉は、オベイロンが銀時を殺しかけたことに怒りを燃やしていた。共闘する理由はもしかすると、些細なきっかけからの復讐が理由かもしれない。本人が気付いていないだけかもしれないが……)

 それに加えて高杉は、もう一つだけ彼らに共闘する理由があった。

「まぁ、借りを返すことだと思っておけ。あくまでも俺は義理を通すだけさ」

「高杉さん……」

 その理由は、キリトへ借りを返すことである。彼の言った通り受けた恩は返す、義理難い一面を発揮していた。この決意にはユイも、内心そっと喜んでいる。思いっきり彼のことを頼ろうとした。

 高杉が仲間に加わろうとしている中で、仲間達の反応はどれも千差万別である。

「どうします、銀さん……?」

「ヤツがそう言うなら、素直に受け入れるしかねぇだろ。こっちは一寸も期待してねぇけどな」

「絶対オベイロンにムカついているから、こっちに付いたアルよ。アイツもきっと、あのゴミクズ野郎が嫌いネ」

「ワフ……!」

 万事屋は臨機応変に状況を受け入れており、高杉との共闘を決意していた。銀時と神楽の二人はあまり気乗りせず、モヤモヤとした気持ちを軽口として発していたが。定春も威嚇気味に、彼を睨みつけていく。

「おい、そこ。俺の本音を代弁するんじゃねぇよ」

「いや、当たっていたんかい」

 どうやら高杉の気持ちはあながち間違いではないらしい。

「本当に良いの、キリト君?」

「うん。ここは高杉さんを信じよう。絶対頼りになるはずだと思うから……!」

「パパのいう通りです。ママ、信じましょう!」

「ユイちゃんまで言うなら……」

 キリトやユイは高杉の加勢を歓迎するも、アスナは関わりが少ないせいか、少しばかりためらいを覚えてしまう。ユイに強く押されて、言いくるめられたようだが。

「何とも複雑なところだな。だが、ここはヤツの言葉を信じるとするか」

[襲いに来たら、俺が守るぜ。桂さん]

「あぁ、ありがとうよ」

 さらには桂、エリザベスは、素直にも彼の言葉を信じることにしていた。それでも完全に信じ切ったわけではないが。

「高杉か……」

「どうしやすか、土方さん? 俺は別にアイツと共闘しても良いんですが」

「ここは様子を見るか。見た感じ、奴らの味方ではないからな」

「うむ……お妙さんが心配だ!」

「いや、アンタの頭の中そればっかりかよ」

 真選組も桂一派と同じような反応をするも、近藤は妙ばかりを気にしている。普段通りの彼の姿に、土方は思わずツッコミを入れてしまう。

「やっぱり来てくれたのですね……」

「あの人……今は情で動いているの?」

 そして途中まで共に行動していたシウネーやフレイアも、ユイらと同じく高杉の加勢を素直に受け入れていく。前者はホッとしたような表情を。後者は彼の本心を見切ったような表情を浮かべている。

 皆が思い思いに気持ちを呟く中で、大半のメンバーは同じような反応を示す。

(えっ……誰?)

 妙、九兵衛、あやめ、月詠、たま、長谷川、クライン、エギル、シリカ、ピナ、リズベット、リーファ、シノン、ユウキ、ジュン、タルケン、テッチ、ノリの十七名と一匹は、高杉が登場してもまったく反応に困ってしまう。銀魂世界の住人である妙やALO星のユウキは薄っすらと理解しているが、リーファやシノンらにとってはこれっぽちも把握していない。まったく見ず知らずの相手、もしくは銀時の知り合いらしき人が手を貸している。そんな大雑把な感覚で、高杉のことをマジマジと見ていた。

 その中でも長谷川は、高杉に特別な感情を抱いている。そう、人気投票篇にて明らかとなった高杉との格差故の嫉妬だ。

「おい! とうとう姿を見せやがったな! ここで会ったが百年目だ! どっちの出番が多いのか、白黒付けようじゃないか!」

 と対抗心をメラメラと燃やす長谷川に対して、高杉の反応はと言うと……

「何言ってんだ、お前? そもそもそんな軟弱な格好で戦えるのかよ」

至極まっとうな事を発する。彼にとっては人気など争点にすらなりえない。ただ眼前の敵を叩き斬る事しか今は頭に無いのだ。

「おい、こいつの意見は気にしなくていいぞ」

「あぁ」

 銀時からも促されていき、高杉はまったくもって気にしないことにする。

「って、ちょっと待て!! まだ話は終わってないぞ!」

「まぁまぁ、長谷川さん。落ち着いて!」

 依然として長谷川は自身が納得するまで話しかけようとするも、近くにいたエリザベスや新八に止められてしまった。例え敵同士とはいえ、無用な争いは現状では禁物だと彼らは悟っている。本人は本気であるものの、周りからしてみればただネタに走っているようにしか見えなかった。

 とあらゆる視点から知り合い以外に不思議がられようとも、高杉は普段通りの自分で場を振舞っていく。

「まぁ、いいさ。俺はただ壊すだけだ……あの腐ったクズ妖精の計画をな!!」

 鞘に納めていた刀を再び抜刀し、それをオベイロンに向けながらそう豪語する。彼の決め台詞の通り、徹底的にオベイロンを叩き潰す所存だ。

「そうだ! この三十一人の精鋭達ならば……!」

 マッドネバーに抗う者達が一通り集まり、キリトも高杉に続いて声を上げている。

 アルンの街中にて集結していた三十一人の反逆者達。

 左から近藤勲、エギル、沖田総悟、クライン、土方十四郎、ジュン、桂小太郎、テッチ、エリザベス、タルケン、長谷川泰三、志村新八、キリト、坂田銀時、高杉晋助の男性陣が十五人。

 右からリズベット、柳生九兵衛、リーファ、猿飛あやめ、シノン、月詠、シリカ、ピナ、志村妙、シウネー、たま、ノリ、ユイ、定春、神楽、アスナ、ユウキの女性陣十五人とペットが二匹。

 物陰からはそっとフレイアが見守っている。

 多くの出会いと奇跡が重なり合い、実現したこのドリームチーム。万事屋、真選組、桂一派、超パフューム、スリーピングナイツ、鬼兵隊の総督……立場も身分も違う三十一人は、この星を恐怖に陥れようとするマッドネバーに立ち向かうことで目的を一致させていた。

 追い風は確実に彼らに吹いている。その一方で、逆風が吹いているであろうマッドネバーでは、オベイロンの苛立ちがまたもピークに達していた。

「……黙れ! 黙れ! こんだけ長尺を取りやがって……! 結局集まったのは、これっぽちじゃないか! こんな数の差で見えるのは、お前らの敗北しかないだろう!!」

 子供ながらにかんしゃくを飛ばしながら、またも数の差を誇張しようとした時である。

「そいつはどうかな?」

「なんだと!?」

 急に高杉が彼の主張に反抗していた。凛とした表情を浮かべながら、高杉は悠々自適にユイらが言いたかったことを代わりに代弁していく。

「俺が言える義理じゃねぇが、こいつらに希望を託してくれた奴らがいることも忘れるんじゃねぇぞ。そう……仮面の英雄達がな」

 その言葉の通り、ここにいるのはキリト達だけではない。彼らに希望を託してくれたライダー達も、表では見えないがしっかりとこの場にいるのだ。

「高杉さん……!」

 想いを代わりに伝えてくれた高杉に、ユイは内心で感謝の気持ちを伝えている。そう躍起を飛ばした時だった。銀時、キリト、アスナ、神楽が手にしていたアルヴドライバーが、急に光り出したのである。

「銀さん! またベルトが!」

「パパやママ、神楽さんのも光っていますよ!」

「ワン!」

 新八、ユイ、定春がいち早く気付き、彼らにベルトの変化を伝えていく。この眩い変化を彼らは、またとない好機として捉えていた。

「やっぱり私達に力を貸してくれるのね……!」

「勝利フラグがビンビン立ってきたアル!」

 きっとライダー達が力を貸してくれる。またも希望を託してくれたのだと、神楽やアスナは悟っていた。だとすれば、四人のすべき行動は一つである。

「オベイロン! お前にもう一度だけ見せてやるよ!」

「これが俺達に託された……」

「「「「自由を取り戻すための力をな!!」」」」

 キリトや銀時がそう豪語すると同時に、四人はアルヴドライバーを腰に装着。ブレスレット型も腕に装着していき、

〈ヘイセイジェネレーション!!〉

力を解放するに必要なヘイセイジェネレーションメモリを起動。ブレスレットの窪みに装填していくと……瞬く間に変身待機音が辺り一面に鳴り響いていく。

〈ヒューン! ブゥーン! ファイナルベント! エクシードチャージ! ライトニングソニック!〉

 歴代平成仮面ライダーの必殺技待機音を模した音が、次々にベルトから発せられる。さらには、周囲にも異変が生じていた。

「おい、見てみろ!」

「アレは……ライダー達の銅像!?」

「あの遺跡と同じ……」

 近藤やユウキが気付いたのは、背後にいた巨大な仮面ライダーの銅像。待機音が鳴り響くと共に、その音に相応しいライダーが地上から出現していく。次元遺跡で目にしたライダーの銅像と、ほぼ同一と見て間違いはないであろう。

〈キィーン! 1!2!3! フルチャージ! ウェイクアップ! ファイナルアタックライド!〉 

「おいおい、銅像がはがれてきているぞ!」

「本当の姿を見せてきているの?」

 さらに桂やシノンら仲間達が気付いたのは、銅像のメッキがメキメキと剝がれてきていること。本当の姿が露わとなり、仲間達も大いに驚かせていた。

「何をしている! 変身の隙を襲え!」

「いや、出来ません! 謎の障壁によって、破壊が不可能です!」

「何だと!?」

 卑劣にも変身する隙を狙うオベイロンだったが、彼の妨害を見越してか、銀時らの周りに光の障壁が現れ、彼らやその仲間達の身を守っている。誰にも妨害されることは無く、変身の準備は着々と進められていた。

〈マキシマムドライブ! スキャニングチャージ! リミットブレイク! ルパッチマジックタッチゴー! オレンジスパーキング!〉

「風に火……?」

「何かを解き放とうとしているの!?」

 するとメッキが完全に外れた銅像は、水を得た魚のように機敏に動き出す。まるで彼らも技を解き放つため、密かな準備を始めているようだが。新八やリーファらも、その様子をじっと見守っている。

〈ヒッサツ! ダイカイガン! キメワザ! レディーゴー! フィニッシュタイム!〉

「「「「変身!!」」」」

 そして平成仮面ライダー二十人分の待機音が流れ切ったところで、四人はブレスレットとベルトの液晶部分を重ね合わせ……溜めていた力を存分に解放していく。

〈ヘイセイタイム!!〉

 ここからそのままド派手な変身シーンに移り変わる……と思いきや、

「アレ?」

「えっ?」

「なんで?」

急にその勢いは止まっていた。後ろを振り向いても、さっきまでいたライダー達の幻影はどこかに消えている。予想外の展開に、銀時、キリトらは思わず困惑してしまう。

「おい!? 何も起きねぇじゃねぇかぁぁ!! どうなってんだよ!!」

「そんなこと僕に言われても、困りますよ!!」

「でも、さっきは確かに変身出来て……」

 特に銀時は八つ当たりも兼ねてか、新八の体を揺らしてその理由を問い詰めようとする。そんなこと彼が知る由も無いのだが……

 皆がライダーの行方を気にかけていた時だ。ユイはようやく彼らの行方を掴めている。

「違います! 見てください、皆さん!!」

「ん!? アレって……!!」

 彼女が指を指した方向には、なんと各々がキックの構えをしながら上空に浮かぶライダー達の姿があった。発見と同時に、ベルトからは途切れていた変身音が再起動していく。

〈クウガ!! アギト!! 龍騎!! ファイズ!! ブレイド!!〉

「うわぁ!? びっくりした!?」

「こっちに来るのか!?」

〈響鬼!! カブト!! 電王!! キバ!! ディケイド!!〉

「後ろから!?」

〈W!! オーズ!! フォーゼ!! ウィザード~!! 鎧武!! ドライブ!!〉

「さっきの風と炎じゃん!」

〈ゴースト!! エグゼイド!! ビルド!! ジオウ!!〉

「おっと!? びっくりした!?」

〈全ての力を今! 一つに……! ヘイセイジェネレーションズ!! フィーチャリング……銀時!! キリト!! アスナ!! 神楽!!〉

 ――それはまさに一瞬の出来事であった。突如として現れた銅像は力をまとった幻影となり、変身音と共に銀時やキリトらに向けて渾身のキックを解き放っている。それらを一斉に受けた四人は怯むことなく、強大な力を手にする覚悟を決めていた。すると彼らの周りにライダー特有の紋章が浮かび上がり、それらが刻まれたマント及び陣羽織が四人の体に付着していく。

 銀時はマゼンダカラーの陣羽織、キリトはグリーンカラーのマント、アスナはオレンジカラーのマント、神楽はブルカラーの陣羽織と色彩もメンバーごとに異なっていた。ユイが変身した時と同じく、外見の変化は一切見受けられない。強いて言う違いは、変身音や演出がユイの初変身に比べるとだいぶ豪華に仕上がっていることであるか。

 新八やユイら仲間達はライダー達の行方を追いつつ、銀時やキリトらが特殊なマントや陣羽織をまとったことに驚嘆。新たな力をまとったことに、さらなる希望を見出していく。

 一方でマッドネバー側も同じく驚いているものの、アスナや神楽らが得た力を脅威として捉えている。変身も防げなかった今、窮地に追い込まれていると見て間違いないだろう。

「……お、終わった?」

「お兄ちゃんや銀さん達に……ライダーが!?」

「これが英雄に認められた力……」

「神々しいと言うべきか……」

 ようやく変身が完了し、仲間達は改めて騒然としている。新八やリーファのようにただただ驚きで口を開く者や、桂やエギルのように未知なる力への興味を向ける者など、その反応はまちまちだ。

 その一方でヘイセイジェネレーションフォームへと変身した四人は……強大な力をまとってもなお、普段通りの振る舞いを見せている。

「おぉ! 来た来た、やっぱコラボはこうでないとな!」

「まるで異世界転生した主人公アル! このまま無双してやるネ!」

「ちょっと二人共! 何分かりやすい浮かれ方しているんですか!!」

「よぉ、新八? 羨ましいか?」

「なんで僕に言ってくるんですか! 絶対分かって言っているでしょうが!!」

「そう落ち込むなアル。初期案だとお前も変身出来る予定だったけど、すったもんだあって白紙に戻ったらしいネ。プッ……! まぁ、元気出せアル」

「なんで没案を解説しちゃうの!! そういう案はいつか絶対採用されるからな! もうこれ以上煽るんじゃねぇぞ!!」

 銀時や神楽は新たな力に浮かれつつ、さらには新八へ煽りとも言えるからかいを入れていた。小馬鹿にしたような態度には、彼も私怨を交えつつ激しいツッコミを加えていく。

「落ち着いてください、新八さん!!」

「銀さんに神楽も急に浮かれすぎだよ!」

「そうよ! もうちょっと自覚を持ちなさいよ! 折角ライダー達から認められたんだから!」

「ワフフ!!」

 そんな三人の様子に、ユイ、キリト、アスナ、定春と言った他の万事屋メンバーが会話へ割り込み、銀時らを宥めようとしている。開戦間近にしてこの体たらく。まさにいつも通りの万事屋であった。

「ったく、何やってんだ……」

 緊張感を漂わせない彼らの姿に、高杉も不機嫌そうな顔で本音を発してしまう。思うことは多々あるが、今はそっと心の中へ留めておくことにしている。

 そしていよいよ手段が少なくなったオベイロンらマッドネバーは、ヤケクソになりながらも、本来の予定通り総力戦を仕掛けていく。

「……何が英雄だ!! 何がライダーだ!! いいか! どんな手を使おうと、奴らを叩きのめせ! もう一斉に突撃しろ!!」

「いぃぃぃ!!」

「うぅぅぅぅ!!」

 大いに精神を取り乱したまま、オベイロンは感情を剥き出しにして怪人達へ指示。その命令に乗っかり、無数の怪人達は銀時らを倒すべく勢いよく走り出していく。

「って、もうこちらに敵が迫っていますよ!」

「おっと! 口喧嘩している場合じゃなかったな」

「もう……とりあえず、このまま応戦するわよ!」

 銀時ら本人もようやく異変に気付き、気持ちを切り替えて戦闘態勢を整えていた。彼に続いてアスナら仲間達も戦闘に順応していく。

「みんな! 今こそ力を合わせる時だ!」

「このまま突っ込むよ! いいね!?」

「「おう!」」

「「了解!」」

「「もちろん!」」

 キリトやユウキが率先して声を上げながら、仲間達の士気を高めていた二人が発すると同時に、仲間達は各々の武器を手にして目の前に入った怪人達に狙いを定めていく。

「頼みましたよ……皆さん!」

 フレイアも物陰にスッと隠れ込み、彼らの戦いを見守る。隙あらば世界樹へ忍び込み、人質を解放することが彼女の使命だった。

「「「「ハァァァ!!」」」」

 こうして遂に、アルンの未来を懸けた戦いが幕を開ける。無数の怪人達を薙ぎ払いながら、己の信念を貫き通す侍と妖精の大乱戦の果てに待つものとは……?




後書き
 いやー本当にこういう展開を描きたかった!! 万事屋、真選組、桂一派、超パフューム、キリトのギルドメンバーにスリーピングナイツ! さらには高杉まで加わるなんて……まごうことなき夢の競演ですよね!!

 そして注目すべきは銀時、キリト、アスナ、神楽のヘイセイジェネレーションフォーム! ただでさえ強い四人がライダーの力を得たとなると……誰が勝てるんでしょうか?
 ちなみにSAOキャラが変身するとマントを身にまといますが、銀魂キャラが変身するとマントではなく陣羽織に変化します。ちょっとしたこだわりです(笑)

 仲間達も続々と集結する中で、なんと高杉も緊急参戦! 打倒オベイロンに向けて、銀時達へ一時的に協力することになります。いやー、感慨深い! ただしおかげで、集結したメンバーのうち高杉を知る者が半数のために、知らない人からすればチンプンカンプンでしょうね……ちなみに長谷川と高杉が共演及び共闘するのは今回が初めてです。(当たり前だろうが)

 ちなみに近々設定集を更新予定です。

 さぁさぁ、これから三十人による大合戦が始まります! 次回も二部に分けてお送りする予定です!

次回予告

アルンの未来を懸けた戦い――

命を燃やす彼らの勇姿を――

特と見よ!!

ユルセン「みんなもユウキ達の戦いを応援してくれよな!」
新八「って、アンタが予告に出るんかい!」

妖国動乱篇十六 無限!馬鹿共の力!
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