剣魂    作:トライアル

106 / 159
これにて一般怪人との闘いは一旦終了です。戦闘シーンやオベイロンとの決着は最低でも後二訓程度続きますが、ようやく終わりまで目途が付きました。それではどうぞ、ご覧ください。


第九十一訓 世界を越えたSWORD SKILL!!

 場面はアルンの中心街よりも離れた階段付近で起こっていた。高台と平地を繋ぐ場所であり、高低差は少ないものの距離はだいぶ長く設計されている。ここでは一定の位置に小さなスペースがあり、左手には商店、右手には木々があり、比較的穏やかな印象を訪れた者に与えていた。

 そんな平穏な地も今では戦場と化し、四人の戦士達が混成の戦闘員軍団と一戦を交わしていく。

「新ちゃん! 奥に回ってちょうだい! 高台は私達が相手するわ!」

「お願いします、姉上!!」

「タルケンさんは新八さんをアシストしてください! 私は彼女と共に戦いますから!」

「は、はい!」

 階段を下りつつも、妙とシウネーは仲間である新八やタルケンに、戦力を分散させるように指示。それを聞いた新八とタルケンは、意気揚々と階段を下っていき、下にいる戦闘員らを標的として定めている。

「よろしくお願いします……! 新八さんでしたか?」

「そう! ところで君は?」

「タルケンと言います! もちろん指示通り、アナタのことはしっかりとアシストしますから!」

「そうかしこまらなくていいよ。ほら、さっさとこいつらを倒そう!」

「はい!」

 共に闘志は十分にあり、互いに眼前といる戦闘員や怪人へ早速自身の武器を差し向けていく。眼鏡が共通点である二人は、初対面にも関わらずかなり距離感を詰め寄らせている。

「行きましょう!」

「はい!!」

 そして強く意気込んだと同時に、新八は木刀を。タルケンは長槍を手にしながら、ひとまずは周りに蔓延る戦闘員(カッシーン、ライオトルーパー、屑ヤミー、シアゴースト等)をがむしゃらに蹴散らしていく。

「じゃぁぁぁ!!」

「ギィィィ!!」

 目つきを真剣そうに変えながら、新八は周りの状況から堅実的な攻撃を仕掛ける。木刀で次々と相手へ斬りかかり、猛攻状態を維持したまま戦い続ける。

「ぐわぁ!」

「そこ! 舐めると痛い目にあいますよ!!」

 その一方で、新八と同じく接近戦を展開するタルケン。彼は槍を縦横無尽に振るい、体全体を使った豪快な技を繰り出す。騎士団として培った武道を存分に発揮させていた。

 互いの強さを信じあい、いつの間にか背中合わせで戦う新八とタルケン。一通り戦闘員を蹴散らしていると……一般級の怪人が彼らに勝負を仕掛けている。

「今度は俺だ!」

「グウゥゥ!」

「うわぁ!?」

「何!?」

 両者共に二人の視界から不意打ちを仕掛けており、一定の怯みを与えていた。勝負を仕掛けてきたその正体は、刀を右手に宿す異形の怪人である刀眼魔。彼に加えて、先端がハサミ状になった杖を得手にするレイヨウ型ミラーモンスターのオメガゼール。系統は違えど、二人が得意とする武器を用いて、似たような戦法で彼らを追いつめている。

「さぁ、お前も斬られるが良い!」

「って、誰がお前の言うとおりにするか! ハァ!!」

 いきなり担架を斬られた新八は、即座に反抗しつつ刀眼魔の連続した刀の攻撃を、木刀で受け流していく。だがしかし、一つ一つの攻撃を防ぎきるのに手一杯となり、思わぬ苦戦を強いられてしまう。表情も険しく移り変わっている。

「ギィィ!!」

「うぐっ!! って、早い!? あんなに重そうなのに!」

 そしてタルケンも、オメガゼールとの戦闘に悪戦苦闘してしまう。何よりもオメガゼールの俊敏な動きを上手く読むことが出来ず、槍を振るってもすでに彼の姿は消えている。慎重さで入念に相手を探るタルケンにとっては、相性の悪い相手なのかもしれない。

 本来の自分の良さを発揮できないまま、やや押され気味となる新八とタルケン。二人は息を荒くしながらも、一旦後退して体制を整え直そうとしている。その直後。二人の背中は意図せずにぶつかってしまった。

「あっ、ごめんなさい!」

「いや、大丈夫です! って、どうやら苦戦しているみたいですけど……」

「そういう新八さんも。あっ、そうです! これなら倒せるかも……!」

「ん? どうしたんですか、タルケンさん?」

 互いに追い込まれていることを悟った二人だったが、突如タルケンがある妙案を閃いている。新八が気になって問いかけると、彼はすぐに行動へと移していた。

「こうするんです! ヤァ!」

「くっ!?」

「さぁ、今度は私が相手です!」

 勢いよく声を荒げながら、タルケンは刀眼魔へ槍を振るっていく。そう彼は、対峙する怪人を変えることで、この逆境を乗り切る作戦へと出ていたのだ。

「なるほど! じゃ僕は……こいつを!」

「フッ!!」

 彼の意志を汲み取った新八は、すかさず木刀を握りしめて、こちらはオメガゼールへ攻撃対象を変えている。やはりタルケンの読み通り、相手をする怪人にも有利不利があったようだ。劣勢を巻き返しつつ、二人は怪人を撃破するために次々と猛攻を仕掛けていく。

「はぁ!」

「うぐっ! 中々やるな……だが、これはどうだ!」

「って、消えた?」

 槍を用いて有利に相手の隙を突いていたタルケンだったが、刀眼魔は突如自身の存在を消し、態勢を整え直す。タルケンが戸惑っている隙に、背後から彼を斬りかかろうとした時である。

「いや、そこです!」

「ぐはぁ!!」

 なんと襲撃を仕掛ける直前で、タルケンが後ろを振り返って、不意の一突きを刀眼魔へ浴びせていた。僅か数秒の判断。刀眼魔にとっても、何が起きたのか分かっていなかった。

「なぜ分かった……!?」

「姿は消せても、存在感は消せないものなんですよ! さぁ、これでとどめです!!」

 と真剣そうな表情で理由を発していくタルケン。彼にとって姑息な手など、一切通じないのである。そして優勢さを感じつつ、タルケンはこのままとどめへ駆けていく。

「はぁぁぁ!!」

「……ぐはぁぁぁ!!」

 彼は刀眼魔の前後や左右へ移動しながら、相手の攻撃を避けつつ槍で次々と切り裂くなり接近戦を展開していく。あまりの猛攻に刀眼魔は攻撃を設けることも出来ず、叫び声を上げながら崩れ去ってしまう。彼が爆発したと共に、タルケンはようやく呼吸を整えていた。

「ふぅ……やっぱり相手を変えて正解でしたね」

 多少の苦戦を強いられたものの、自身の考え通りに事が進み、タルケンは安堵の表情を浮かべている。

 その一方でオメガゼールと対峙する新八も、戦いを優勢的に進めていた。

「ググ!」

「はぁ!」

 杖を用いて襲い掛かるオメガゼールに対して、新八は木刀を使ってそれらを受け流す。俊敏な動きで相手を惑わそうとしても、新八には一切通じていない。彼なりの洞察力を発揮して、大まかに動きを読めているからだ。

「キュル!!」

「何の!」

「フル!?」

 思い通りにはいかず、しびれを切らしたオメガゼールは、腕に備えていたカッターを展開。新八へ致命的な傷を与えようとしたものの……こちらも彼にとっては想定内の行動である。すぐに木刀を用いて、カッターそのものを切り落としてしまった。思わず戸惑っている隙に、

「これで……とどめだぁぁ!!」

「ぐはあっぁぁ!!」

 気合を込めた一刀で、オメガゼールの全身へ斬りかかっている。彼の隙を見逃さなかった一撃に、オメガゼールはとうとう耐え切ることが出来ず……そのまま爆発してしまう。

「か、勝った……?」

 勝ち取った勝利に、新八はまだ実感が湧かない様子である。背後に舞う爆発を見て、ようやく撃破したことを確認したようだ。

 

 

 

 

「さぁ! 次です!」

「どんと来いや! 邪魔するんじゃねぇ!!」

 一方で階段の天辺近くでは、シウネーと妙が戦闘員の大群と対峙していく。両者共に杖や薙刀と言った長物の扱いに長けており、こちらは格闘戦を交えつつ戦闘員達を薙ぎ払っている。

「フッ!」

「オリァァァ!!」

 シウネーは緻密な計算から、自身が与えるダメージを逆算して応戦。常に頭を動かして、スマートに戦っていた。

 対して妙は後先を考えることは無く、ただ眼前の敵を叩きのめすのみである。粗暴に戦い続ける様は、男性陣よりも激しさを増していた。

「フッア! さっさと倒れなさい!」

「ハァ? 倒れるのはアンタでしょ……! 今すぐ地獄へ送り返してやるわ!」

 突如襲い掛かって来た三つ槍を避けつつ、お返しに妙は怪人へ向けて薙刀を差し向けている。怪人の正体はシルクモスファンガイア。蚕をモデルにした女怪人で、幻術を得意としている。そんな彼女は早速妙に標的を定めていく。

「ハァ!」

「ウッ!?」

 一度妙に蹴りかかると同時に体を後退させると、シルクモスファンガイアはお得意の幻影を作り出していく。

「これならどうかしら? ハァ!!」

 彼女は自身の槍を地面へ突き刺すと、手を動かしながら近くにあった影を介して、巨大な幻影を作り出している。所謂妙へ脅しをかけようとしていた。

「くたばれ!!」

 と強気にもその影を振るいながら、妙へ襲い掛かろうとした時である。

「ハァァ!!」

「……何!?」

 なんと妙は影そのものを片手で掴んでおり、しかも余裕そうな表情を浮かべていた。幻影とは言え一切恐れを感じていない、彼女らしい肝っ玉を発揮している。

「こんなの作り物に決まっているじゃない……私を騙すなんて100年早いのよぉぉぉ!」

「くっ!?」

 そう感情を込めて呟いた後、妙は丸々影を消滅させてしまう。仕舞いには残った幻影の塊を、シルクモスファンガイアに投げつけていく。相手が思わず怯んだ後に……

「ハァァァ!!」

「な……うわぁぁぁ!!」

妙は一瞬の迷いもなく薙刀をシルクモスファンガイアへ突き刺していく。容赦のない一撃に……彼女の体は耐え切れず、そのまま倒されてしまう。ガラス片が砕けたように、体の一部が辺りへ散っていく。

「ふぅ……どんなものよ!」

 一度呼吸を整えて、妙はようやく勝利を実感していた。

 

 

 

 

 その一方で、シウネーは火炎を操るアルター・ゾディアーツと対峙している。

「くらえ……!」

「フッ! ハァ!!」

 彼女が解き放つ炎の弾を次々と回避していき、虎視眈々と攻撃の機会を伺っていくシウネー。表情を強張らせながらも、その目つきは凛と研ぎ澄まされている。

(ヤツの攻撃の大半は杖……ならば!)

 シウネーは戦う傍らで、アルター・ゾディアーツの持つ杖の重要性を理解していた。その杖から炎が放たれるならば、彼女のとるべき行動はただ一つである。

「そこだぁ!」

「何の! お返しです!」

「はぁ!? うぐっ!?」

 軽やかに火炎の弾を回避したと思えば、シウネーは即座に自身の持っていた杖を槍の如く投げ飛ばしていた。その杖はアルター・ゾディアーツの手元へ直撃しており、彼女は思わず杖を手放してしまう。

「今です! はっ!」

 するとシウネーは、すかさずその杖を掴み取っていく。彼女の狙いはアルター・ゾディアーツの杖であり、いわば得手を奪うことで弱体化を図る寸法である。

「おのれ……貴様!!」

 一方で杖を強奪されたアルター・ゾディアーツは激高。今度は自身の頭部を燃やし、火の粉をシウネーへ向けて飛ばそうとするも、

「なんの! 効きませんよ!!」

彼女は一切怯まない。回避行動を続けるうちに、投げ飛ばした自身の杖も回収し、長物を両手に携えた今までにない戦法で、このままとどめを刺すことを決意している。

「さぁ、そこです!」

「ぐはぁ!?」

 シウネーはアルター・ゾディアーツとの距離を縮めたかと思えば、またしても杖を彼女の体に突き刺していた。自身の思惑を悟られぬように、近づいた直前で攻撃の手段を瞬時に変えたようである。相手の行動を一時的に封じた後……

「行きますよ……キ、キックー!!」

「うっぷ……グッ!?」

思い切って飛び蹴りを繰り出していく。この攻撃に関しては不慣れだったようで、自信もなく勢いのままに突き抜けていた。けれでも結果的には良かったようで、思わぬ攻撃を受けたアルター・ゾディアーツは……

〈ドカーン!!〉

体中の炎を暴発させながら爆死してしまう。連続した攻撃が勝負の決め手となったようだ。爆発と同時にアルター・ゾディアーツへ突き刺さっていた杖も、シウネーの手元へと戻っている。

「や、やりましたか……?」

 本人も今一度撃破を確認しており、ようやく心を落ち着かせていた。同じ杖使いとして、勝負に勝てたことが何よりも嬉しいのである。

 そんな彼女の元にまた、新たなる刺客が割り込んでいく。

「グフゥゥ!」

「キャ!? えっ……?」

 高速移動をしたままシウネーへ不意打ちを仕掛けてきたのは、コキリアワーム。カタツムリの特性を持った怪人で、両腕に付属された触手を鞭のように使いながら、シウネーへ目にも止まらぬ攻撃を仕掛けている。

「グフフ!!」

 と奇声を発しながら、さらなる攻撃を仕掛けようとした時だった。

「はぁ!」

「ムフ!?」

 不意打ちの直前に、なんと妙が薙刀を用いて、コキリアワームの動きを強制的に食い止めている。動きが見えないのならば、武器で封じてしまえば良い。妙ならではの強引さが露見した瞬間である。

「悪いわね……私はアンタみたいな、軟体系が大ッ嫌いなのよ!!」

「シュフフフ!!」

 妙はここぞとばかりに私情を声に出すと、コキリアワームを薙刀で振り回しながら、遠くへと吹き飛ばしていた。シウネーを苦しませた高速攻撃を、意図も簡単に打破した妙の秘策。中々強引なやり方に、間近で見ていたシウネーは……素直に感心してしまう。

「す、凄いです……とってもお強いんですね」

「当然よ。なんせ私は、かぶき町の女王だからね」

「はい! かぶき町の女王さん!」

 調子に乗った妙の戯言にも、シウネーは一切疑うことなく信じてしまう。純粋無垢な彼女の信じる姿に、妙も満更ではない表情を浮かべていた。密かに友情が育まれた瞬間でもある。

 と怪人達との戦闘が収束し、四人が再び合流しようとした時だった。

「「「ハァァ!!」」」

「って、何!?」

「上空から!?」

 なんと長い階段の中心付近にて、上空から新たなる怪人が襲来。現れたのは魔化魍の類であるウブメの怪童子と妖姫と、合成型ヤミーのエイサイヤミー。三体は颯爽と新八らを標的に定めて、彼らの息の根を止めるために動き出している。

「ハァ!」

「ウッフ!? って、空から!?」

 手始めにウブメの怪童子と妖姫が、空を飛びつつ突進攻撃を新八や妙らに繰り出す。羽根を持たずに飛び回る彼らに悪戦苦闘する中、エイサイヤミーも動いていた。

「ハァァ!!」

「って、避けてください!」

「おっと!? 危なかった……!」

 彼はサイの特性を生かしつつ、勢いを付けた突進攻撃を展開。タルケンがこの動きに間一髪で気付き、新八へ回避を指示している。ほんの数秒の判断で、大ダメージを負わずに済んでいた。

 空中や陸上から大小なりの攻撃を続ける三体の怪人。シウネーやタルケンらの飛行能力も封じられている中で、新八は一か八かの行動を決意している。

「……こうなったら!」

「って、新八さん!?」

 どうやら撃破への目途が立ったようで、彼はタルケンに詳しい説明をしないまま、本能的に動いていた。新八がまず標的に定めたのはエイサイヤミー……

「たぁぁ!」

「ウグッ!?」

ではなくウブメの怪童子である。彼はエイサイヤミーを踏み台として利用しており、彼の背中を用いて飛び上がると、空中を舞うウブメの怪童子へ飛び掛かっていく。

「そこだ!」

「ナ!?」

 ちょうど彼の背後へ抱きかかっており、自分自身を重りとしてウブメの怪童子を落下させようと踏ん張っていく。銀時や神楽以上の無茶で、彼らを倒そうとしていた。

「かぁぁ!!」

 一方でウブメの妖姫は怪童子の異常事態に気付き、新八を振り下ろそうと彼に近づこうとする。ところが、

「ちょっと待った!!」

「ウグッ!?」

注意が散漫になっている彼女へ妙が容赦のない一撃を加えていた。ウブメの妖姫に対してぶつけたのは、シウネーの持っていた杖である。要は不意打ちのような攻撃を用いて、弟のサポートを行っていたのだ。

「どうじゃ、われ!!」

「あの……かぶき町の女王さん? 私の杖は……?」

「あぁ? これで代用しろや!」

「いきなりですか!?」

 一方で勝手に杖を使われた側のシウネーは、つい困った反応を示してしまう。恐縮しながら聞くと、妙は代わりに自身の薙刀を一方的に彼女へ貸している。急な振られ方に、シウネーはついタジタジになって余計に困ってしまうが。

 と志村姉弟によって変わり始めた戦況。落下する新八らに対して、妙はタルケンとシウネーにとある指示を下す。

「さぁ、早く! あの化け物も落下地点に引き寄せなさい!」

「落下……あっ、そういうことですね!」

 ようやく妙の真意について分かったシウネーは、タルケンとアイコンタクトを取りつつ、薄っすらと伝えられた作戦に向けて動き出す。そう彼女らは、落下の衝撃を利用して三体同時に倒そうと画策していたのだ。落下までの時間は残り僅かしかなく、二人は長槍と薙刀を用いて、精力的にエイサイヤミーをおびき寄せていく。

「えぇい!」

「うっ!?」

「さぁ、こっちです!」

 二人は斬りかかるなり挑発するなりして、エイサイヤミーをウブメらの落下地点までおびき寄せる。そんな単純な手に気付かないままの彼は、あっさりとその挑発に乗ってしまう。階段を上がらせていき、ちょうど中心部まで誘導した時である。

「さぁ、今です!」

「新八さん!」

「ん? ……ハ!?」

 タイミングが良くちょうどエイサイヤミーの真上に、新八の抱えたウブメの怪童子と、撃墜させたウブメの妖姫が迫っていく。避けようとも時すでに遅く……

「はぁぁ!!」

「ぐ、ぐはぁぁぁ!!」

新八が彼を手放したと同時に三体は思いっきり激突。ぶつかった衝撃で軽い混乱状態へ陥ると――

〈ドカーン!!〉

一気に彼らは爆発及び消滅してしまった。ウブメらは粉々となって吹き飛び、エイサイヤミーは体に内包していたセルメダルを飛び散らせながら爆発している。長い時間をかけたが、ようやく周りの怪人達を全て撃破させることに成功していた。

「って、新ちゃん?」

「タルケンさんも大丈夫ですか?」

 一方で撃破の直前まで踏ん張っていた新八と、爆発から逃げ遅れたタルケンの安否が分からず、つい行方を心配してしまう妙とシウネー。しばらく目で探っていると、ちょうど彼らの姿がはっきりと見えていた。

「あっ、この眼鏡です! 新八さん!」

「良かった! はい、これは多分タルケンさんのだね」

「あっ、そうです!」

 どうやら爆発の衝撃で大事な眼鏡が吹っ飛んでいたようで、それらを探すのに時間がかかったらしい。ようやく自分の眼鏡が返ってきたことに、二人は心を落ち着かせていた。

 こうして二人は爆発の中から、妙やシウネーらのいる階段の上層付近へ上がっている。

「って、アレ? なんか違うような……」

「もしかして、逆ではないでしょうか?」

 ところが二人はかけた眼鏡に、ある違和感を悟っていた。度数がいまいち合わず、恐らく互いに違う眼鏡を着用しているらしい。すかさず元の持ち主へ帰そうとした時である。

「新ちゃん! 大丈夫だった? 特に怪我は無かったの?」

「えっ、えっ?」

「良かった。無事ね!」

「いや、姉上!? 僕はここですよ!! 何またお決まりのネタを交わしているの!!」

 タイミングが悪く妙とシウネーが駆けつけており、妙は何のためらいもなくタルケンを新八と誤認していた。所謂新八の本体は眼鏡にあると認識しており、タルケンが新八の眼鏡をかけていることから、このような事態に至ったらしい。

「あ、あの……急に近づかれたら困りますよ! シウネーさん……」

「いや、アンタも間違えるんかい!! どんだけ度数合ってないんですか!!」

 一方のタルケンも眼鏡の度数が合っていないことから、妙のことを丸々シウネーと勘違い。思わぬ誤解が余計に場を混乱させている。

「私はここなのですが……もしかしてボケ大会が始まったのでしょうか? 私も何か小粋なことを言わないといけないのでしょうか?」

「いやいや。大丈夫ですからね、シウネーさん!! 姉上とタルケンさんが誤解を生んでいるだけですからね!」

 シウネーも思い詰めて勘違いしており、新八は息を散らせながらもさらにツッコミを入れていく。勘違いがさらなる勘違いを呼び、収集不可能な光景がそこには広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 と撃破から約三分が経って、ようやく事態が落ち着いた四人。新八とタルケンの眼鏡も、無事に元の持ち主へと戻っている。

「ふぅ、ようやく戻ってきました」

「これで元通りですね。では……次は皆さんの加勢に行きましょうか!」

「そうですね」

 スッと呼吸を整えつつも、四人は休む間もなく仲間の助けへ向かうことを決意。この場を離れて、新たなる戦地へ向かおうとした――その時である。

「えっ? 定春にユイちゃん?」

 新八はふと階段の下部に目を向けると、そこにはどこかへ勢いよく進む定春とユイの姿が見えていた。つい彼女らの行方が気になった新八は、一人で跡を追いかけようとする。

「新ちゃん? どこへ行くの?」

「ユイちゃん達の加勢に行ってきます!」

 妙らにも一言だけ言い残して、彼は階段を下りつつユイらを追尾するのであった。

「い、行っちゃいました……?」

「新ちゃんったら、私達も巻き込まめば良いのに」

「焦って余裕が無かったのかもしれませんね。では私達も行きますか?」

 単身別の場所へ向かった新八の様子が気になり、シウネーらも彼らの後を追いかけようとした――その時である。

「皆さん!」

「えっ……? 姫様!?」

「はい!?」

「なんですって」

 突如階段の上部付近から、シウネーらが従えるフレイアの声が聞こえてきた。思わず上に上がってみると、ちょうど通路ではフレイアと長谷川がとある怪人に追いかけられている最中である。

「さぁ、パズルの時間だ……!」

 と周到に付け狙う怪人の正体は、ハテナバグスター。ゲームをモデルにした怪人の一体であり、こちらはパズルゲームをモデルにしている。攻撃方法もパズルにちなんだもので、パズルのピースを模したエネルギー波をフレイアや長谷川へと仕掛けていく。

「うわぁぁぁ!!」

「こっちへ!」

 情けない叫び声を放つ長谷川に対して、フレイアは澄ました表情で華麗に攻撃を回避していく。長谷川もエネルギー波を命がけで避けており、もはや自分のことでしか手が回っていない。

 間一髪で危機を回避しつつ、フレイアらはシウネー達の元へ合流していた。

「大丈夫でしたか、姫様?」

「どうにか……乗り切りはしたけど、アイツが襲ってきて中々進めなかったのです」

「そんな……やっぱり私達が護衛に付きましょうか?」

「それは有難いのですが……やはりアナタ方は怪人の撃破を優先的にしてください!」

 オベイロンから奪ったカギで、民の解放を目的にしているフレイアだったが、やはり敵からもその命を狙われている。改めて護衛を説得するシウネーやタルケンだったが、本人からは怪人の撃破を優先に命じられてしまう。戦力を削ぐことが状況から察して良くないと、フレイアは括っていたようだ。

 その一方で、妙は長谷川に理不尽な怒りをぶつけていく。

「おい、グラサン。男なら身を投げ出してまでも、お姫様のことを助けろや!」

「いやいや、俺無防備だから! 分かって言ってんのか?」

「おうよ! てめぇなんか死んでも、ご都合主義で生き返るなりすれば良いんだよ!」

「この人、とんでもねぇこと言ってねぇか!?」

 ほぼ恐喝のような立ち振る舞いで接しており、挙句の果てには元も子もないことも言い出す始末である。事情や状況にも寄るので、一概にも長谷川のみに責任が覆いかぶさることではないのだが……。

 と話し込んでいるうちに、またもハテナバグスターが攻撃を仕掛けている。

「はぁぁ!」

 彼が手に持つ特殊な杖から、電撃を帯びたオーラを解き放った時だった。

「「「ヤァ!!」」」

 なんとちょうど良いタイミングで、新たな仲間が駆けつけてくる。オーラを防ぎ切ったその正体は、数分前まで銀時と戦っていたシリカ、シノン、月詠、ピナの三人と一匹である。

「って、あなた方は……」

「シリカちゃんにシノンちゃん! それにツッキーも来たのね」

 妙らはようやく月詠らの存在に気付き、彼女らの加勢を大いに喜んでいた。あまり素性を知らないフレイアやシウネーも、この出来事に希望を感じている。

「大方片付いたからな。それよりも、今はヤツを倒すことに集中するんじゃ!」

「アタシ達も戦いますよ!」

「ナー!」

「覚悟しなさい!」

 三人と一匹はすぐに臨戦態勢へと入り、武器を力強く握りしめていく。早くもハテナバグスターに標的を定めていた。彼女らに即発され、妙やシウネーらもフレイアを守るために戦闘態勢を整えていく。

「よし、俺だってやってやるぜ!」

「だ、大丈夫なのですか……?」

 一方の長谷川も足元へ落ちていたカッシーンの槍を拾い上げて、共に戦う姿勢を見せていた。近くにいたフレイアは、彼の安否を素直に気遣うのだが……(ただただ危なっかしいからである)

 こうして総勢七人の精鋭達が、とうとう幹部怪人の一体に挑むのであった。

 

 

 

 

 その一方で、キリト、神楽、沖田、ジュンが戦っていた場所にも異変が生じている。

「ったく、ようやく戻ってきたか?」

「おうネ! くたばってなかったアルナ!」

「まぁ、協力して倒したからだよ!」

「おう! こっちもだぜ!」

 合流早々に減らず口を発する神楽と沖田に対して、密かに互いの健闘を称え合うキリトとジュン。同じ仲間内でも反応の違いは一目瞭然である。

 と彼らも次なる戦いに向けて、新たな一歩を踏み出そうとした時だった。

「ん? この声は近藤さんか?」

 沖田はふと遠くから、近藤と土方の苦戦する声を微かに聞き取っている。ただならぬ予感を悟った彼は、衝動的に助けへ加わろうとしていた。誰にも事情を伝えることなく。

「ったく……!」

「って、沖田さん?」

「おい、どこ行くアルか!?」

 故に沖田の心境を知らない神楽達から見れば、その行動の意味をあまり理解していない。ただ無意味なことはしないと把握しているので、きっと沖田なりの狙いがあると括ってはいたが。

「僕が追いかける! 二人は別の仲間達の加勢に入ってくれ!」

「お、おう!」

「分かったネ!」

 すかさず心配になったジュンが沖田を追いかけるようで、神楽やキリトには別の仲間達の加勢を命じていく。ライダーの力も借りているため、きっと頼りになると考えていたからだ。何気に彼も戦力の分散を考えて行動している。

 とジュンが去った後に、入れ替わりでキリトらの元には銀時が駆けつけていた。

「おっ、お前らがいたのか」

「銀ちゃん! いつのまに来ていたアルか?」

「ちょいと見覚えのある怪人を追いかけていてな。おっ、ちょうどいるじゃねぇか」

「ちょうど?」

 どうやら彼は怪人を追っている最中であり、偶然にもキリトらとばったり遭遇したらしいのだ。手短にここまで来た理由を説明すると、タイミングが良く銀時の追う怪人が前方に姿を見せている。

 ――仲間の幹部怪人を引き連れて。

「はぁ!」

「フッ!」

「おっと!?」

「避けろ!」

 目が合ったと同時に、一斉に遠距離型の攻撃を仕向けていく幹部怪人達。銀時、キリト、神楽はすかさずそれらを避けつつ、すぐに臨戦態勢を整えていた。

「てめぇら、行くぞ!」

「分かっているネ!」

「もちろんだ!」

 互いに声を掛け合いつつ、一斉に幹部怪人の大群へと立ち向かっていく。ライダーの力も後押ししているためか、自信をもってこの戦闘に臨んでいた。さらには、

「ワン!」

「パパ! 銀時さん! 私達も加わります!」

「待ってください! 僕もいますよ!」

定春、ユイ、新八もこの乱戦に加わろうとしている。奇しくも万事屋関係者のみが幹部怪人を相手取っており、ライダーの力の有無に関係なく、皆が懸命に怪人らを倒すために戦っていた。特に銀時やキリトらは一度戦闘を交えたこともある幹部怪人もおり、より一層闘志に拍車がかかっていく。

 こうしてアルンの街中を中心に、幹部怪人との戦闘が始まっていた。戦いはいよいよ佳境へと移っていく。

「はぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 場面は変わって、こちらはアルン近郊にある花畑。大規模な公園に植えられた花々は五百種にも及び、訪れた者に安らぎと美しさを与えている。アルン有数の憩いの場であり、観光地としても有名な場所だ。

 そんな安息の地で戦うは、刀や剣を得手にする四人の戦士達である。

「はぁぁぁ!」

「ヤァ!」

「フッ」

「トワァ!」

 街中に植えられた草道や舗装された道路にて戦闘を行うは、ユウキ、アスナ、桂小太郎、高杉晋助の四名。彼女らはライオトルーパーやカッシーン、屑ヤミーと言った戦闘員らをまとめて相手しており、赤子の手を捻るように意図も簡単に蹴散らしている。ちなみに通路付近を高杉と桂。草道方面をアスナとユウキが主に戦っていた。

 戦闘員のみならず怪人達とも対峙する最中で、桂と高杉はボソッと小言を交わしていく。

「なぁ、高杉よ……改めて聞こう。なぜ俺達に手を貸す?」

「簡単さ。あの妖精王に引導を渡すためだ……。決しててめぇらと組む気はねぇよ」

「なら安心した。貴様とて……このような茶番など造作もない。すぐに倒し切ると信じているからな」

「おいおい、俺を過信しすぎじゃねぇか? 一応敵対しているんだろ?」

「そうだったな……まぁ、俺から言うことはたった一つだ」

「奇遇だな、俺もだぜ」

「「こんな雑魚共、とっとと片づけておけ」」

 互いに神妙な表情をしたまま発したのは、敵対しながらも信じぬく覚悟である。険悪になろうとも相手の強さは認めており、こんな状況でも負けることは無いと高をくくっていた。小粋な言葉を浮かべながらも、二人は標的をこちらへと近づく戦闘員の大群へと捉える。

 そして、

「はぁぁ!」

「行くぞ……!」

瞬く間に乱戦が幕を開けていく。密かに意地を張っている二人は、相方よりも手早く敵を倒すことだけに熱中していた。例えるならば競争の類に当たるが、事態はそう生易しいものではない。先に敵をせん滅した方が有利に振る舞いる。たったそれだけのために、二人の侍は初っ端から本気で相手へと斬りかかるのであった。

「フッ、ハァ! そこだぁ!」

「ウグ!!」

「ギィ!」

 力強く刀を振るいながら、一刀一刀に信念を込めるは桂小太郎。大群を相手にしてもなお、動きを大まかに予測して、無駄のない攻撃を披露する。攘夷戦争を生き抜いた彼からすれば、この戦闘員の数は楽勝に値するであろう。

 それでも油断は一切せずに、次々と戦闘員を倒していく桂。そんな彼の元に、二体の一般怪人が忍び寄る。

「フッ!」

「な!? って、これは刻印か……?」

 不穏な気配を悟った桂は、すかさず場を離れて回避行動をとっていた。ふとそれまで自分がいた個所を見ると、そこには砂時計を模した刻印が地面に刻まれている。興味深そうにそれを見ていると、刻印を放ってきた張本人が攻撃を仕掛けていた。

「ハァ! 貴様も昨日に戻るが良い!」

「って、おい……! 貴様は!?」

 盾を振るいつつ接近戦を展開してきたのは、イエスタデイ・ドーパント。昨日及び一定の時間を操ることが出来る特殊な怪人の一体だ。さらには、

「逃がさぬぞ! ハァァ!」

「ぐはぁ!? ん? 砂時計の次はナメクジか!」

ナメクジを模した怪人のスラッグオルフェノクも乱入していく。こちらは大した特殊な能力は持たず、徒手空拳な格闘術で桂を追いつめていく。

 一通り戦闘員を撃破したかと思いきや、今度は実力のある二体の怪人に無理矢理苦戦を強いられてしまう。攻撃を受け流しつつ、密かに怪人らの隙を狙っていた時だった。

「ハァ!」

「くわぁ!? ……しまった!?」

 なんと隙を突かれたのは桂の方であり、彼の拳に砂時計型の刻印が刻まれてしまう。嫌な予感を察したと共に、イエスタデイ・ドーパントはすぐに作戦を実行へと移していた。

「さぁ、昨日に囚われなさい!」

「うっ!?」

 彼女は体に備えられた時計を用いて、刻印に隠された効果を発動。ちょうど桂の行動のみを二十四時間前に戻す特殊な技で、彼の動きを封じようと企んでいた。

「うまくいったな」

「そうね。じゃ、このまま仕留めるわよ!」

 絶好の好機と捉えて、二体の怪人はすかさず桂へと標的を定めている。一方的な攻撃を仕掛けて、このまま桂の息の根を止めようとしたのだが……

「この宇宙ゴキブリがぁぁあ!」

「えっ?」

「ぐはぁぁ!!」

その途端に桂が懐にしまっていた爆薬を一つだけ周りへとぶつけていた。その反応の通り、彼が二十四時間前にしていたことは、遠出している時に現れた巨大な宇宙ゴキブリとの激しい戦いである。爆薬や刀を用いて意地でもゴキブリをせん滅させる行動を、イエスタデイ・ドーパントは呼び起こしてしまった。刻印の効果もあってか、彼の暴走を止めることはもうできない。

「おい、何が起こった!?」

「私にも分からないわよ!」

「見つけたぞ、害虫!!」

「うわぁと!?」

 あまりの迫力に圧倒されてしまい、つい逃げ出すスラッグオルフェノクら。だがしかし、向かった先にも桂が上手く追いかけており、中々思う通りにはいかない。

 そして遂には……この戦いに決着がつく。

「今だ! はぁ!!」

 桂はまたも所持していた時限爆弾の起動スイッチを入れると共に、それを地面へと転がして、自身は刀を握りしめながら、宇宙ゴキブリがいる場所まで走り出していく。無論彼が向かう場所には、二体の怪人が運よくいるのだが。

「……えっ!?」

「はぁぁぁ!!」

「う、うわぁぁ!!」

 彼は刀を握りしめて、スラッグオルフェノク及びイエスタデイ・ドーパントへ向けて一刀。彼らを宇宙ゴキブリと勘違いしたまま、とどめを刺してしまう。さらには、

〈ピピ……ドーン!!〉

タイミングが良く仕掛けていた時限爆弾も爆発。追い打ちと言わんばかりの猛攻に、到底怪人達が耐えきれるはずも無く……爆発と同時に彼らも倒されてしまう。爆発の跡に残ったのは、二体分の屍である。

「フハハハ! 見たか! この俺、桂小太郎の底力を!」

 一方の桂はまだ刻印の効果が切れておらず、てっきり宇宙ゴキブリを倒した体で愉悦さを感じ取っていた。高らかに笑い声をあげている途中で……ようやく刻印が取れて、効果が徐々に薄らいでいく。

「って、アレ……? 俺は今まで一体?」

 ふと我に返ると、目に入ったのは先ほどまで対峙していたはずの怪人の屍。刻印の効果もあるのだが、やはり覚えていないらしい。

「何があった……?」

 知らぬうちに実力を発揮していた桂だった。

 一方の高杉はというと、こちらも無数の戦闘員達を相手取っている。

「ウゥゥ!!」

「ギィィ!!」

「フッ、どいつもこいつも……俺の敵じゃねぇな!」

 有無を言わさずに彼は戦闘員達を斬りかかり、彼らに攻撃させる余裕も与えないまま無双していた。自身の実力を存分に発揮しており、高杉の思うままに攻撃態勢を続けていく。これも全てマッドネバーを壊滅させるための行動で、銀時らとは微妙に戦う理由が異なっているが。

 とそんな些細なことは気にせずに、戦闘員達を一気に倒してしまった高杉の元に、こちらも二体の怪人が奇襲を仕掛けていく。

「はぁ!」

「フッ!」

「とう! って、また雑魚共のおでましか?」

 減らず口を呟きながらも、高杉はそっと相手を睨みつけながら、呼吸を静かに整えている。強く睨みを利かせている先には、白虎に似た怪人のビヤッコインベス、とRPGゲームをモチーフとしたアランブラバグスターが立ちはだかっていた。両者共高杉を倒すために、こちらも慎重な行動で相手を見極めている。

「だらぁぁ……」

「ふっ……今すぐにでも倒してやろう」

 そう唸り声や戯言を聞いた途端に、高杉の表情は一変。より一層目つきを鋭くさせながら、本気で二体をせん滅させることを強く誓っていく。

「そうかい……俺を見極めようとしているのか? だが甘いな。お前らが分析を終わっている頃には……もうこの世にはいないけどな!」

 その強気な言葉と共に、高杉は勢いよく担架を切っている。彼は勢いよく走り出すと、二体を上手くひきつけ合いながら、舗装された道から木々が生い茂る草道へと誘っていく。走る抜ける傍らで、高杉には自身の勝機が見えていた。

「フッ!」

「くらえ!」

 一方で二体の怪人は、自身の体や杖を用いて、体色と同じ色のビームを解き放っていく。遠距離から高杉を怯ませ、有利に戦いを進めようと企てていた。

「ヤァ!」

 だがしかし、高杉には一切攻撃が当たっていない。と同時に彼は、思い描いていた勝機に手堅い確信が生まれている。

「やっぱりな……だったら!」

 すると彼は方向を変えて、いきなり怪人達との距離を縮めていく。勢いよく木々を駆け抜けながら、真っ向から斬りかかろうとしていた。

「そこだ!」

「ウゥ!」

 彼の行動を好機として捉えて、アランブラバグスターは杖からありったけのエネルギーを作り出し、それを高杉へと差し向けている。一方のビヤッコインベスも、右手の鋭利な爪を振るって、高杉を切り裂こうと試みていた。一見高杉が窮地に追い込まれているように見えるが……決してそんなことは無い。高杉は目をより鋭くさせながら、一か八かの賭けに出ていたのだ。

「かかったな……!」

「ウゥ!?」

 そうビヤッコインベスに向けて発すると、彼はアランブラバグスターから放たれたエネルギー波を、自身の刀へと浴びせていた。すると瞬く間に、刀は強大なエネルギーをまとっていく。そう高杉は、怪人達から放たれるビームやエネルギーをむしろ利用しようと画策していたのだ。

「何だと!?」

 この荒業には、アランブラバグスターも思わず声を失ってしまう。ビヤッコインベスも驚嘆とする中、引き返すことなく爪で高杉を切り裂こうとする。しかし、

「ウゥゥゥ!!」

「おっと! ……はぁ!」

「ウグッ!?」

渾身の一撃はかわされて、さらにはその隙を、エネルギーをまとった刀で一刀されてしまう。こちらの一撃はだいぶ効いたようで、動きが鈍る様子から高杉はビヤッコインベスの撃破を密かに察していく。

 と同時に勢いよく走り出して、アランブラバグスターをも一刀で切り裂こうとした。

「終わりだ……!」

「……うわぁ!?」

 それは一瞬の出来事である。標的が変わったかと思えば、アランブラバグスターは防御の構えをとることなく、高杉の刀で全身に傷を負わされたのだ。高杉がアランブラバグスターを切り裂くと同時に、彼の刀に宿っていたエネルギーも次第に消滅していく。

 そして瞬く間に決着が着くことになった。

「「アッギッァァァ!!」」

 悲痛な断末魔を上げながら、二体の怪人は倒れこみ爆発四散。真っ赤な火炎と共に、アランブラバグスターの跡からは「GAME CLEAR」の文字が浮かんでいた。高杉はこの演出を気にすることなく、そっと一言だけ声に出していた。

「戦いは、理屈だけじゃねぇよ……」

 時に運や強引さで判断するのも、戦場には重要だと思い更けている。戦いの終わった高杉は、さらなる相手を求めて、その場を跡にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 花畑を通り抜けていき、アスナとユウキがたどり着いた先は、広大な緑が一面に広がっている野原。戦闘を行うには十分な場所であり、戦闘員達を蹴散らしつつ、近くで戦っていた怪人をもこの場所へ引き連れていた。

「ハァ!」

「ヤァ!」

 互いに剣を振るって戦闘員を斬りかかっている。ユウキは自慢の刀剣を用いて、アクロバティックな攻撃を。アスナは細剣を突き刺し、連続した攻撃を戦闘員らに与えていく。

「ギィ!」

「ウゥ!」

二人の猛攻を受けて、ライオトルーパー、カッシーン、バグスターウイルス、ダスタードらはなすすべもなく倒されてしまう。周りの戦闘員を大方倒し切った後に、アスナとユウキは一度野原の中心に集まっていた。

「アッスー! こっちにいた敵は全部倒したよ!」

「私もよ、ユッキー。残るは……あの怪人達ね!」

 互いに戦闘員を全て撃破したことを伝えると、彼女達は残った怪人達に目を付けている。こちらへと歯向かうは、ハヤブサ型超越生命体のファルコンロードとハチを模したワスプイマジン。前者は素手、後者はレイピアを用いてアスナやユウキを標的にしている。

 さらなる戦いに身を引き締める二人だったが、僅かな時間の中でアスナはユウキに小声でとあるお礼を伝えていく。

「一緒に戦ってくれて、ありがとう……ユッキー!」

「ん? アッスー?」

 それは共闘故の感謝である。紆余曲折はあれど、しっかりと自身の気持ちを受け止めてくれたユウキの姿に、アスナは心ばかりの感謝を伝えていた。彼女の素直な気持ちをそっと察して、ユウキもまた気持ちを改めて一言返していく。

「……分かっているよ。一気にこいつらを倒して、未来を取り戻そう!」

「そうね!」

 決意を新たに、二人の戦士は自身の得手を握り直していた。この星の未来を救うためにも……最後まで全力を駆けて戦うのである。

「「ハァァァ!!」」

 勢いよく走り出していき、彼女達は一体ずつ怪人を相手にしていく。互いが勝利することを信じて。

「ハァ! フッ!」

「ユュ! クフッ!?」

 アスナが細剣を振るうはファルコンロード。彼の異様な殺意に警戒しながら、軽やかに攻撃を回避しつつ、細剣で相手の体を突いていく。無論この怪人もシノンやリーファが相手した個体と同様に、神に近づく人間を抹消するためにアスナを攻撃している。(恐らく後に使用するステイシア関連だと思われる)

 とそれはさておき、ファルコンロードは素手や嘴を用いて、積極的に攻撃を展開していく。

「ファハ!」

「フッ! こいつ……全身を使って攻撃しているの?」

 しばらく一戦を交えるうちに、アスナは段々とファルコンロードの攻撃手段を把握していく。嘴や爪が武器だと察すると、すぐに対処法が思い浮かんでいた。

「だったら……!」

 アスナは目つきを鋭くさせた後に、彼の嘴へ狙いを付けている。細剣を向けて相手に真意を悟られぬように、あえて大胆な行動を起こすのであった。

「はぁぁ!」

 こちらへと駆けるアスナに対して、ファルコンロードは何も疑いをかけずに、むしろ勝機として捉えている。嘴や腕を広げて、またしても同じ攻撃でアスナを仕留めようとした時だ。

「かかったわね! ハァ!」

「うぐぅ!?」

 なんと彼女は一瞬にしてファルコンロードの鋭い爪を切り落とし、さらには嘴も突き攻撃で機能を停止させている。大いに隙を見せるこの瞬間を狙って、アスナは一か八かの賭けに出ていた。その成果は成功と言っても過言ではない。

「ウゥ!!」

 一転して不利に陥ったファルコンロードは、態勢を立て直すために羽根を使って空へと飛び去ってしまう。

 だがしかし、アスナもそう簡単には諦めない。

「逃がさないわよ!」

〈エグゼイド! アクションパワー!!〉

〈ジャンプ強化!!〉

 アルヴドライバーを操作して、使用した力はエグゼイドの力。特殊なチップであるエナジーアイテムを用いて、跳躍力を強化。疲弊しているファルコンロードへ向けて、とどめを刺していく。

「ハァァ……!!」

 角度を付けて,細剣を相手の中心へ定めていき……アスナは派手なエフェクトを付けながら、勢いよく飛び上がっていた。

「そこよ!」

「な……うわぁぁぁ!!」

 ファルコンロードが気配に気づいた時にはもう遅く、後ろを振り返るとすでにアスナに追いつかれていた。渾身の一撃を回避することが出来ず、ファルコンロードがなすがままに斬撃を与えられて、空中より爆発四散してしまう。一瞬にして燃え上がる火炎を背景に、アスナは地面へスッと降り立っていた。

「よし! やったわ!」

 強力な怪人の一体を倒したことに、アスナはグッと力強い一言を声に出している。だが彼の異様な殺意だけは、最後まで分からなかったのだが……。

 

 その一方でユウキは、レイピアを巧みに使うワスプイマジンと戦っていた。

「そこ! なんの!」

「クッ! ハァ!」

 互いに持つ武器をぶつけあいながら、一進一退の攻防を続ける二人。互角に張り合っているが、ユウキだけは相手の手の内を見るために、最初から全力は出していない。戦況を上手く見極めながら、軽やかに立ち回っていた。

「貴様……! これが全てか?」

「どうかな……? そんなの自分で確かめな!」

 と自信良く声を発した後に、ユウキはワスプイマジンへ垂直に一刀。

「ウグッ!?」

 不意打ちとも言える攻撃を与えて、一度彼との距離を離れている。

「この……!」

 するとワスプイマジンは、激高しつつ奥の手だった額の大きな針を乱射していく。針は地面へ被弾すると、盛大に爆炎を上げていく。ユウキもその炎の中に巻き込まれてしまう……。

「フッ、覚悟するが良い!」

 絶好の好機と捉えたワスプイマジンは、レイピアを構え直すと、炎の中へいるとされるユウキを仕留めようとする。実質的な勝利を確認していた……その時だった。

「どうかな!!」

「何!?」 ウッ!!」

 なんとユウキは炎の中から舞い上がっており、がむしゃらに駆け抜けると ワスプイマジンの腹部へ向けて斬りかかっている。思わず怯みを与えられた隙に、ユウキはさらなる猛攻を仕掛けていく。

「はぁぁぁぁ!!」

「ウウル!! ぐわはぁぁ!!」

 強制的に付けた傷跡を中心にして、突きや斬撃を与え続けるユウキ。この一つ一つの攻撃こそが彼女の本気であり、勢いを付けて押し切ろうとしていた。その表情もさらに真剣さを極めている。

 そして……遂に決着の時が来た。

「ハァァ!」

「ウッ…この小娘がぁぁぁぁ!!」

 悲痛な断末魔を叫びながら、ワスプイマジンは倒れこみ爆死。ユウキの全力を込めた連続の攻撃の数々には、太刀打ちできずにやられてしまった。

 一方のユウキだが、撃破と共に清々しい表情を浮かべている。

「ふぅ……どんなもんよ!」

 そう元気よく事を発すると、彼女はさらなる戦いへ向けて後ろを振り返っていく。このまま残った敵や怪人を探そうとした時である。

「「「ヤァァ!」」

「えっ!? ウッ!?」

 彼女の隙を見計らって、二体の怪人が突如奇襲を仕掛けていく。襲い掛かるはヤマアラシの特性を持ったグロンギ怪人、ゴ・ジャラジ・ダとサソリとカメレオンの合成アンデッドのティターンである。特に後者はカメレオンの特性を生かして、ユウキが気付かれないうちに背後へ居座っていた。

 ジャラジは小さい刃物を手に。ティターンは斧を振るって、ユウキへ襲い掛かる。

「くっ……流石にまずいかな?」

 二体を同時に相手するうちに、ユウキもつい弱音を吐いてしまう。この流れを一人で巻き返すほどのビジョンが見えず、つい八方塞がりとなっている。

 窮地に陥ってしまうユウキの元に、異変に気付いたアスナが動き始めていく。

「ユッキー! これを使って!」

〈クウガ! タイタンパワー!〉

 次にアスナが使用した力は、クウガのタイタンフォーム。クウガ特有の武器を変化させる術を使い、地面に落ちていたライオトルーパーの武器をタイタンソードへ変えていた。そしてその剣を、ユウキへと投げつけている。

「アッスー……? なるほど!」

 しっかりとタイタンソードを受け止めたユウキは、自身の刀剣マクアフィテルと共に二刀流を構えていく。態勢を整えた後に、二体の怪人へ挑み直すのであった。

「ハァ! フッ!」

「おっと! そんなのもう効かないよ!」

 ジャラジから次々と飛ばされる刃物の破片も振り払いつつ、距離もどんどんと縮めていくユウキ。彼女は周到に攻めてきたジャラジを標的にしていく。

「フゥ……! ん!?」

「アナタの相手は、この私よ!」

 一方のティターンには、援軍に駆けつけたアスナが勝負を仕掛けていた。彼が持つ斧に警戒しつつ、順当に戦いを進めていく。

 アスナによって風向きが変わったこの戦い。両者共に接近戦で攻めていくうちに……とうとう決着が着いている。

「そこ! はぁぁ!」

「ギィ!?」

 力強くユウキがマクアフィテルでジャラジを一刀した後に、今度はタイタンソードを使って華麗に切り裂いていく。所謂二本の剣で十字を描くように攻撃しており、会心の一撃とも言える技を受けたジャラジは……

「ドカーン!」

地面へ倒れこむと共に爆発してしまう。過程は違えど、原典と同じくタイタンソード(厳密に言えばライジングタイタンソード)で倒されたジャラジである。

「……凄い! ライダーの力って!」

 戦士達の力の一端を疑似的に使用できたことに、つい気持ちを浮足出させるユウキ。彼女が率直にお礼を伝えると、タイタンソードは元の形に戻ってしまう。

 時を同じくしてアスナとティターンの戦いにも決着がついている。

「はぁ!」

「ナ!?」

「そこ!」

 またしても姿をくらましたティターンだったが、すぐにアスナが見破ってしまう。透明な相手にも関わらず、彼女は相手の全身に向かって細剣で突き続けていく。

「このまま……やぁぁぁ!!」

「ウグッ!! ぐぅぅぅ!」

 相手に攻撃を与える隙も与えずに、容赦のない攻撃をアスナは繰り出していく。たまらずティターンも反撃しようと試みるが、時すでに遅かった。

「しゅ……」

 意気消沈した声と共に、彼はのっぺりとしたまま地面へ倒れこむ。すると同じくしてベルトのバックルが二つ開錠。アスナのベルトからはラウズカードが飛び出し、二体のアンデットをカードと封印してしまった。

「えっ? あっ、この怪人はカードで倒したことになるのかしら……?」

 無論この光景を初めて見るアスナにとっては、何が何だかさっぱり分かっていない。ひとまずはこのカードを素直に所持することにしている。

 戦いを終えた二人は互いに呼吸を整えつつ、再度一つの場所に結集していた。

「ありがとう、アッスー! 手助けしてくれて。本当に助かったよ」

「ううん。当然のことよ。って、ん?」

「どうしたの、アッスー?」

 素直に話を交わすその傍らで、彼女はある光景を目にしている。それは桂と高杉が、同じくしてどこかへ向かう光景であった。

「追いかけましょう、桂さん達を!」

「ううん、分かった!」

 何か狙いがあると悟り、アスナとユウキも高杉らの跡を追いかけようとする。こうして彼女達も花畑付近を離れて、また市街地へと戻っていく。

 一方の桂と高杉は、銀時の声が聞こえた方角へ向かっていた。

「おっ、見つけたな」

「ったく、アイツ……何をてこずっているんだ!」

 彼はちょうど幹部怪人の一端を相手取っており、よく見ると怪人達へ少し押されている。苦戦する彼の元に、颯爽と友たちが駆けつけてきた。

「「ハァ!!」」

「何……お前らか?」

 二人は幹部怪人達へと斬りかかり、まとめて一旦吹き飛ばす。遠まわしで銀時を助けた後に、高杉らは減らず口で彼に話しかけていく。

「ったく、こちとら手間をかけさせるんじゃねぇよ」

「うるせぇ。誰もてめぇらに助けなんか求めてねぇよ」

「そうかい。だったら通りかかった船だ。手は貸すぞ、銀時!」

「はいはい」

 互いに皮肉を呟きながらも、素直にも共闘を受け入れていく三人。この時ばかりはこれまでのいざこざを気にせずに、オベイロンやマッドネバーを撃破するために動いていた。歪とも言える共闘がこの場で実現している。

 桂や高杉に引き続いて、アスナやユウキもこの幹部怪人達との闘いに加勢していく。

「キリト君! 大丈夫!?」

「アスナ!? あっ、こっちは平気だ! アスナ達はあのピエロみたいな怪人を頼む!」

「了解! 僕らに任して!」

 ギラファアンデットと対峙するキリトだったが、彼曰くこちらは十分とのこと。すかさずキリトは、戦闘中の自身や神楽らを邪魔するジェミニ・ゾディアーツの討伐をアスナらへ伝えていた。

 すると彼女からユウキ達へ攻撃を仕向けられていく。

「フフフーン! これでもくら~え!」

「避けて、ユッキー!」

「うん!」

 ジェミニ・ゾディアーツは自身の特殊なカードを投げつけ、小規模の爆発を次々と起こしている。アスナやユウキは必死にそれらを避けるが、怪人側にとっては二人の緊迫した様子を楽しんでいるように見えていた。

「アレェ? 全然効いてないの? だったらもっとカード投げちゃう! エイィ!」

 無邪気さを存分に表しつつも、ジェミニ・ゾディアーツはアスナらを倒すために攻撃態勢を続けていく。赤いカードを次々と飛ばし、集中的に二人へ爆撃を浴びせようとする。

 だがしかし、

「フッ!」

「おっと!」

アスナとユウキは軽やかな身のこなしで、それを回避していく。アスナはすでに神楽からジェミニ・ゾディアーツの術を理解しており、有利に戦いを進めている。一方のユウキも鋭い洞察力を生かして、一切の彼女の特殊な攻撃には当たっていなかった。

「もう! こうなったら……!」

 自身の思い通りにはいかず、しびれを切らしたジェミニ・ゾディアーツは早くも奥の手に打って出る。体から溢れ出る星々のエネルギーを利用して、時限爆弾付きの分身を生成したのだ。

「このままやっつけちゃうんだから!!」

 二体はそれぞれ別々に動きつつ、アスナ及びユウキの周りを取り囲む。そして容赦のない格闘術を展開していく。

「フッ! ヤァァ!」

「何の……そこよ!」

「ウグッ!?」

 だが一体ずつ攻め続けても、アスナらの有利に変わりは無かった。アスナは彼女の攻撃を把握しつつ、上手くかわしながら細剣で隙を突いていく。

「よっと! はぁぁ!!」

「うきゃ!!」

 一方のユウキはジェミニ・ゾディアーツの周りを取り囲みながら、縦横無尽に相手へ斬りかかっている。相手の攻撃が当たらぬうちに回避して、距離を縮めながら上手く立ち回っていく。

 奥の手を使用してもなお、状況を覆せないジェミニ・ゾディアーツ。追いつめられた彼女はとうとう秘策を仕掛けていた。

「ん!! だったら!!」

 と指を鳴らしつつ、もう一人の自分へ爆破を指示した時である。

「ユッキー! 気を付けて! 何か仕掛けが……!」

「うん、わかった!」

 アスナは嫌な予感を察して、ユウキへすかさず警告を促していく。それを聞いたユウキはジェミニ・ゾディアーツの異様な光へ気付いて、彼女に斬撃を浴びせて吹き飛ばしてしまう。

「はぁ!」

「うっ!?」

 近づこうとするジェミニ・ゾディアーツを追い返しつつ、彼女が勢いよく後退したところで……

〈ドドーン!!〉

もう一体の分身は激しい爆発を起こしてしまった。

「やった! やったぁ!」

 この状況にジェミニ・ゾディアーツ本人は歓喜。てっきりアスナとユウキが爆発に巻き込まれたものと思い込んでいる。

 そう気持ちを弾ませていた時だった。

〈キューン!!〉

「うっ!?」

 爆炎の中から飛び出してきたのは、アスナの細剣レイグレイスとユウキの刀剣マクアフィテル。ちょうどジェミニ・ゾディアーツの中心部へ突き刺さり、彼女へ想定外の怯みを与えている。行動に制限がかかっているうちに、

「「ハァァァ!!」」

ユウキとアスナが爆炎の中を潜り抜けていた。真剣な表情のまま二人は、彼女に突き刺さった武器を引き抜くと……

「今よ!」

「もちろん!」

「これでとどめよ!」

「これでとどめだ!」

二人は次々と連続してジェミニ・ゾディアーツに斬りかかっている。両者共軽やかな身のこなしを生かして、四方八方から隙間なく斬撃を与えていく。その姿はさながら、SAOの世界で生きたユウキと同じ技「マザーズ・ロザリオ」のように……!

 そして長く続いた戦いに、とうとう終止符が打たれていく。

「「はぁ!!」」

「あぎゃぁぁぁぁ!! 楽しかったかなぁ……?」

 とどめの突きを決めた途端、ジェミニ・ゾディアーツは力尽きて倒れこんでしまう。そう微かな声を響かせて、

〈ドカーン!〉

大きな爆発を延々と上げていく。燃え盛る炎を背景に、二人はようやく掴んだ勝利を深く噛み締めるのである。

「よしっ! やったね、アッスーさん!」

「ふぅ……そうね。ユッキー!」

 強敵を倒した喜びからユウキは舞い上がり、浮かれる彼女をアスナがしっかりと宥めていく。元気よく振る舞うユウキの姿を見て、アスナは心の中で元の世界にいたユウキのことを思い出している。

(さっきの技、ユウキにも届いたかな……?)

 がむしゃらなままに解き放った技を、ユウキから託されたソードスキル、マザーズ・ロザリオと照らし合わせていく。過去に思いを馳せつつも、しっかりと気持ちを入れ替えて、彼女らは仲間の様子を見に行くことにする。

「さぁ、みんなの様子も見に来ましょう!」

「もちろん!」

 そう言葉を交わして、二人は場を跡にするのであった。

 

 

 

 

 

 

「よしっ! なら……!」

 ジェミニ・ゾディアーツの撃破を確認したキリトは、こちらも戦闘の決着へと心構えを整えていく。相手は地球でも対峙したアンデッドの一体、ギラファアンデッド。ギラファノコギリクワガタの角を模した双剣に警戒しつつ、キリトは真っ向から彼に立ち向かっている。

「はぁぁ!」

「ギフゥゥ!」

「くらえ!」

「砕け散ろ!!」

 互いの剣がぶつかり合い、一歩も引かぬ戦い。キリトは有耶無耶となった勝負に決着を付けるため、自身の全力を一刀一刀に尽くしていく。その真摯な想いから、彼はあえてライダーの力を借りずに、この難局を乗り切ろうとしていた。

「ならば……はぁ!」

 一方のギラファアンデッドは、早速とっておきの技を繰り出す。自身の双剣を照らし合わせて、ブーメラン状の光弾をキリトへ解き放っていた。手痛い攻撃を浴びせようとしたが、

「させるか! ヤァ!!」

キリトはすかさずその光弾へ飛び上がっていく。所謂ジャンプ台として光弾を利用しており、足で光弾を弾きながら彼は両手に携えた長剣を構える。

「いけぇぇぇ!」

「うっ……!!」

 そしてギラファアンデッドの腹部へ向けて、垂直に斬りかかっていった。この一撃を防ぎきることが出来ず、ギラファアンデッドはつい体を怯ませてしまう。この隙をキリトが見逃すはずも無い。

「今だ! やぁぁぁあ!!」

「うっわ! くっ……!!」

 彼は好機と言わんばかりに、ギラファアンデッドへ連続して斬りかかっていく。相手に攻撃する隙すら与えず、勢いのままに押し切ろうとしている。ギラファアンデッド側も諦めずにキリトを双剣で退けさせようとした時だ。

「はぁ!」

「な!?」

 彼はすかさず、ギラファアンデッドの所持していた刀剣すら弾き飛ばしてしまう。一瞬だけ彼が丸腰となった隙に、

「とどめだぁ!」

「うぐっ!?」

ありったけの力を込めた斬撃をキリトは切り刻んでいた。強烈な一撃を受けて、ギラファアンデッドは悶えながらも……ゆっくりと前方に倒れこんでしまう。と同時にベルトのバックルも開いていた。

〈シュ!〉

 と同時にアルヴドライバーからは、一枚のラウズカードが出現。すぐにギラファアンデッドをカードの中に封じてしまう。

「ダイヤのKか……これにはどういう効果があるんだ?」

 もう一枚のラウズカードと照らし合わせながら、キリトはそっと意味を探っていく。

 

 

 

 

 

 時を同じくして、ユイ、定春、神楽、新八にも戦況に動きが出ていた。

「させるか!」

「ウッ!」

「ワフ!!」

「くらえアル!」

 三人と一匹が協力して立ち向かう相手は火焔大将。鎧武者を模した魔化魍の一体であり、大剣を振るいながら接近戦を有利に展開。新八、神楽、ユイ、定春が力を合わせて、やっと互角に立ち回っている。

「ルゥゥ!」

 すると火焔大将は自身に有利な状況を作るべく、全身を砂のような状態に変貌させる。場を自在に駆け巡りながら、ユイらをかく乱させようとした時だった。

「今です!」

「ワフ!」

「何!?」

 定春に乗ったユイが彼に指示を加えており、定春は勢いよく鼻息を散らしている。その余波が火焔大将にも響いており、彼はすんなりと姿を現していた。

 思わず体が怯んでいる時である。

「さぁ、行ってください! 新八さん! 神楽さん!」

「ワフフ!!」

 ユイと定春はすかさず新八と神楽に攻撃役をバトンタッチ。無理矢理にでも好機を作り出したことで、それらを生かそうとしている。

「おうネ! ほわちゃぁぁ!!」

「ナ!? くっ……!」

 手始めに神楽が傘の先端から勢いよく弾丸を放出。距離を縮めつつ、火焔大将へさらなる怯みを与えていく。

「今度はこっちです! はぁぁ!」

「ぐはぁ!」

 さらには新八も追い打ちをかけていき、木刀で力強く一刀する。強烈な一撃を相手に浴びせていた。

 畳みかける猛攻に我慢できず、火焔大将も反撃を仕掛けていく。

「ハァァ!」

「フッ!」

「おっと!?」

 彼は口から放った炎と共に、出現した大剣を装備。力強く神楽らへ斬りかかろうとするも、

「ははぁ!」

「ほわちゃ!!」

「何!?」

神楽が自慢の怪力を発揮して彼の攻撃を受け止めてしまう。微動だにしない神楽の防御姿勢に、火焔大将も思わず驚嘆としている。

 そんな時であった。

「今ネ!」

「もちろん!」

「はい!」

 背後にはすかさず、新八と定春に乗ったユイが駆け寄っている。がら空きとなった背後に全身全霊の攻撃を彼らは与えていく。

「「はぁぁぁ!!」」

「うっ……ぐはぁぁぁ!!」

 新八の与えた斬撃と定春の体当たり攻撃が戦いの決め手に繋がった。次々と猛攻を受けた火焔大将はとうとう体が耐え切れず……そのまま倒れこみ爆発してしまう。

 火焔大将の撃破を見届けた三人は、ようやく心を落ち着かせるのであった。

「やりましたね、新八さん! 神楽さん!」

「ワン!」

「もちろん定春もですよ~!」

 二人を激励しつつもユイは、定春にも感謝を伝えている。彼の頭をさすり、ほんの少しの間だけじゃれついていた。

「どうネ! 私がこの戦いにMVPアルよ!」

「はいはい、分かっているから。そう易々と浮かれないでって」

 一方の神楽は自慢げに成果を主張しつつ、そんな彼女を新八が優しく宥めている。どちらにしても、強敵を撃破したことには嬉しいのだ。

 

 

 

 

 

 そしてこの三人の志士達も、いよいよ闘いに決着が付こうとしている。

「ファハ!」

「何の! そこだ!」

「ウッ!!」

 三人は一体ずつ幹部怪人を相手にしており、桂小太郎はナスカ・ドーパントと対峙。彼女が仕掛ける超加速移動にも、勘で対抗している。意外にも善戦しており、ナスカ・ドーパントの持つ片手剣(ナスカブレード)とも互角に張り合っていた。

「フッ! 貴様らには消えてもらうぞ!」

「消えるか? そっくりそのまま返してやんよ!」

「何!?」

 一方の高杉はレオイマジンと一戦を交えている。ロッドやかぎ爪で力強く戦うレオイマジンに対して、高杉は真っ向からその攻撃に立ち向かっていた。決して避けたりはせずに、堂々と己の実力のみで撃破しようとしている。

「ボンボグゲビゾグベソ(この攻撃を受けろ!)」

「はぁ! てめぇの好きになんかさせるかよ!」

「ウグッ!?」

「ヤァァ!」

 そして銀時は一度相対したことのあるゴ・ガドル・バへ再び挑んでいた。ゴ・ガドル・バは剛力体となっており、剣を用いて銀時と剣術のみで勝負している。己の力のままに銀時を押し切り倒そうとするも、銀時本人は効いていなかった。ライダーの力も掛け合わせているが、今回は己の実力のみでゴ・ガドル・バを倒そうとしている。

 そしてとうとう……戦いに大きな動きが出ていた。

「悪いな……こういうもっさりした戦いは嫌いなんだよ!」

「ナ!? ウッ!?」

 その言葉と共に銀時は、ゴ・ガドル・バに木刀を投げつけていき、彼を力づくで後退させている。ちょうど彼が建物の壁際にぶつかった時だった。

「ハァァァ!!」

「グ!?」

 銀時は飛び蹴りの構えを繰り出しており、ゴ・ガドル・バの腹部に向かって強烈な一撃を繰り出していく。勢いを付けたせいか、ゴ・ガドル・バは銀時の蹴りと共に建物の内部まで入り込み、そのまま反対方向へ貫かれてしまう。

 そこには桂と高杉が、ちょうど幹部怪人と戦闘を行っていた。

「銀時ぃ!?」

「おい、お前。どっから出てきてんだ?」

「うるせぇ! いいから、さっさと倒すぞ。コノヤロー!」

 その言葉と同時に、銀時の意志を読み取る二人。顔を合わさずとも三人は、自分にすべき行動が分っていた。

「そこだ!」

「ウッ!?」

「ハァ!」

「何!?」

 桂と高杉は自身が相手していたナスカ・ドーパントやレオイマジンに斬りかかり、彼らを勢いのままに後退させている。ちょうどそこに吹き飛ばされたゴ・ガドル・バも集まり、銀時らにとっては絶好の機会が訪れていた。

「ハァァァ!」

「タァッァア!」

「フッ!」

 銀時、桂、高杉は同時に根気よく走り出していき、密集した幹部怪人らへ向かい最後の一刀を繰り出していく。

「これで終めぇだ!」

「この一刀で最後だ!」

「こいつで終わりだな……!」

 最後の最後で掛け声はバラバラだったが。

「ボセグガルサギボヂバサ……!(これが侍の力……!)」グロンギ

「地球人め……!」

「うぅ……!」

 三体の怪人達は各々の気持ちを吐露しながら、倒れこみそのまま爆発してしまった。結果論ではあるが、銀時、桂、高杉の三人が力を合わせたからこそ、手にした勝利とも言えるであろう。

「ったく、いちいち無茶すんな。尻ぬぐいするこっちの身にもなれよ」

「うるせぇよ。俺がいたからこそ、手にした勝利に決まってんだろ?」

「まぁまぁ、落ち着け銀時よ。正確には貴様に味方したライダーの手柄とも言えるな」

「いや、さっきの戦いに限っては俺一度も使用してねぇからな! ちゃんと見ていたのかよ!?」

 戦闘が終わって間もなくして交わされるは、不満や文句の言い合い。どうも素直にはなれず、皮肉交じりな小言を三人は各人にぶつけていた。この時ばかりは、子供の時代に戻ったような感覚を三人は掴んでいる。だがこれも、一つの目的のために出来た奇跡的な光景なのだが……。

 こうして大方の怪人を倒し切り、一部の幹部怪人もとうとう倒すことのできた銀時やキリト達。残るはオベイロンとダークライダー……戦いが加速するにつれて、ライダーの力はさらに本領を発揮していく。




対戦表3

志村新八・タルケン・志村妙・シウネーVSオメガゼール・ウブメの怪童子・ウブメの妖姫・コキリアワーム・シルクモスファンガイア・エイサイヤミー・アルターゾディアーツ・刀眼魔
戦闘場所:段差の少ない階段通路

アスナ・ユウキ・高杉晋助・桂小太郎VSゴ・ジャラジ・ダ・ファルコンロード・スラッグオルフェノク・ティターン・ワスプイマジン・イエスタデイドーパント・ビャッコインベス・アランブラバグスター
戦闘場所:多様な花が咲く花畑の通路

坂田銀時・高杉晋助・桂小太郎VSゴ・ガドル・バ・レオイマジン・ナスカドーパント(レベル3)

キリト・アスナ・ユウキVSギラファアンデッド・ジェミニゾディアーツ

志村新八・神楽・ユイ・定春VS火焔大将





現在の勢力図

エリアA(仮名)
坂田銀時・キリト・志村新八・アスナ・神楽・ユイ・定春・ユウキ・桂小太郎・高杉晋助

エリアB(仮名)
リズベット・たま・エリザベス・テッチ・ノリ・猿飛あやめ

エリアC(仮名)
近藤勲・土方十四郎・沖田総悟・リーファ・クライン・柳生九兵衛・ジュン・エギル

エリアD(仮名)
志村妙・タルケン・シウネー・月詠・シリカ・シノン・ピナ・フレイア・長谷川泰三





 今回も中々骨太な戦いの連続でした! 一応またもまとめてみます!

お妙ちゃんの腕っぷし
シウネーの天然ボケ
眼鏡ネタ
タルケンの勘違い
新八のツッコミ
高杉の根気強さ
桂の昨日の行動が役に立った?
ユウキとアスナの共闘
幹部戦のたわいないやり取り
久々にソロで戦うキリト
攘夷志士達の掛け合い

こんな感じでしょうか?

特にユウキとアスナの共闘にはこだわりを詰め込んでいて、両者が放つ技は中々のものだったと思います!


 戦闘シーンを振り返って思うのは、やっぱり怪人を出し過ぎちゃいましたかね……(汗) モチーフ被りやALOに関係した怪人を集めるうちに結構な数になって、しかも怪人ごとに見合った要素や特徴も出したら、こうも長引いたというか……まだ物語は終わってないのですが、見通しが甘かったことは反省したいと思います。申し訳なかったです。

 さて今後の予定ですが、戦闘パートは後2話くらいで終わる予定です。最後の決着のシーンは大幅に文字数を超えてでも戦いに引導を渡そうと思います。なのでまた、気長にお待ちください。

 さて次回は色々と控えめだったライダーの力を存分に行使! 怪人や戦闘員の残党を倒していき、各々が最後の戦いに赴く予定です。4月3日までには上げたいですね……多分。
 では、また!




次回予告

本領を発揮するライダーの力!

銀時「ちょっとくすぐったいぞ!」

神楽「みんなの想い、しかと届いたネ!」

紡がれていく正義の系譜!

キリト「超強力プレイでクリアしてやるぜ!」

アスナ「みんなの絆で勝利を掴む!」

妖国動乱篇十八 完全無敵のDREAM POWER!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。