剣魂    作:トライアル

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投稿遅れてすいません! 旅行していました!!

※2025年3月20日 誤字脱字を修正しました。


 装置を再興して、何としてでもALO星支配へ向けて動くマッドネバー。極悪非道な彼らへ地球の侍、別世界のゲーマー、ALO星の妖精、そして仮面ライダーが立ちはだかる!



第九十四訓 マッドネバーの最期

 ALO星にて繰り広げられている、反逆者マッドネバーとの戦い。総勢三十人が奮闘して立ち向かったこの戦いも、いよいよ終わりが見え始めている。組織が用意した戦闘員や怪人達は、銀時やキリトらその仲間達が大方一掃。残るは強敵とも言えるダークライダーとの決着のみである。

 

 

 

 

 

 最初の場面は世界樹の内部。ここでは密かに潜入していたサクヤ、アリシャ、ユージーン、万斉、来島、武市の領主や鬼兵隊の一味が、フィリアと共に幹部怪人の足止めを行っている。オベイロンことアナザーエターナルがその一部を強制的に連れ出したため、最初に相手していた数とはごっそりと個体を減らしていた。

 現在もなお戦闘は続行中である。

「くらえ!」

「これもだ!」

「フッ! ヤァ!」

「なんの! よっと!」

 怪人達の周到な攻撃の数々に、軽やかな回避を続けるはサクヤ、アリシャ、来島の三人。攻撃を受けては回避を繰り返し、手慣れた様子で戦いを自身のペースで進めている。

 そんな彼女達と相対するは竜の特性を備えたドラゴンオルフェノク(魔人態)とオーバーロードと呼ばれる高位な生命体のレデュエの二体だ。共に遠近両方を得意として、こちらも攻守を使い分けながら対峙していく。

 長く続いている戦闘に辟易としながらも、勝利を信じて立ち向かう三人。一定の攻撃を怪人達へ与えた後に、三人はスッと軽い作戦会議を始めていた。

「どうするっすか? このまま突き進むっすか?」

「いいや、ここは慎重に見極めようよ! まだまだ相手の能力だって分からないんだし」

「はぁ!? もう十分にこっちは見極めているんすよ! 領主はもっと大胆に――」

 思慮深く偵察力を大事にしたいアリシャに対して、来島はせっかちにも行動力を突破口として考えている。両者の意見が真っ向から対立して、早くも話し合いが長引くかと思われた時だった。仲介役としてサクヤがそっと話しかけてくる。

「いや、どっちも採用しよう!」

「へ?」

「えっ? どういうこと、サクヤちゃん?」

「まぁ、そう慌てるな。互いの良いところを掛け合わせれば良いのだよ」

 彼女は喧嘩が始まる前に二人の意見を上手く組み合わせている。想定外の返答に、両者はまだ飲み込めていない様子だったが。

 とそれはさておき、話し合いが行われている時もなお幹部怪人達の猛攻は続く。

「くらえ!」

「よっと!?」

「避けろ!」

 またも繰り出してきた光弾を華麗に交わして、サクヤらは四方八方に分散している。その最中で来島はと言うと、サクヤの指示を否応なしに実行しようとしていた。

「ったく、とりあえず攻めれば良いんすんよね!? どりゃ!!」

 未だに納得していない表情を浮かべつつ、二丁拳銃を手に攻めの姿勢を貫く来島。なるべく相手の攻撃を避けつつ、大胆にも接近戦を展開していく。その一方でサクヤとアリシャは、怪人らのいる前後を取り囲みながら、相手の隙が出来る瞬間を伺っていた。

「……よしっ! 見えた!」

「私もだ。行くぞ!」

 ほんの数分の間に、二人は幹部怪人達の急所と思われる個所を発見。該当する場所を集中的に攻撃すれば、勝機があると捉えている。

「はぁ!」

「フッ!」

「うわぁ!?」

 ちょうど同じ頃、来島は幹部怪人達の攻撃に悪戦苦闘してしまう。ドラゴンオルフェノクの角から放たれる電撃と、レデュエの持つ槍から生成される緑色の光弾を受けて、手痛いダメージを彼女は負ってしまった。

「うぅ……こんなところで!」

 それでも一切諦めることなく、しぶとくも再び立ち上がろうとした時である。

「お待たせ!」

「そこだ!」

「えっ!?」

 ちょうど良いタイミングで、アリシャとサクヤが乱入。二人は読み通りの急所を自慢の武器で斬りかかっている。

「グッ!?」

「何!?」

 その予想は見事に当たっており、意表を突かれたドラゴンオルフェノクとレデュエは次第に勢いが止まってしまう。

「って、今っす! ハァァ!」

 またとない好機と捉えた来島は、力を込めた弾丸を二体の幹部怪人へと打ち込む。もちろん急所を狙って。

「ダァ!? 貴様もか!」

「おのれ……!」

 弾丸が見事に被弾すると、幹部怪人の両者はその身を耐え切ることが出来ず、そのまま力尽きて倒れこんでしまった。しっかりと幹部怪人らの撃破を確認したところで、三人は自らの勝利を確信している。

「ふぅ……やったね!」

「あぁ、これも三人が力を合わせたおかげだな」

「……私も入っているんすか?」

 皆の頑張りのおかげとサクヤやアリシャは括っていたが、来島はその中に一括されていることがどうも不満そうであった。強敵を倒し切ったことには素直に納得していたが。

 

 

 

 

 

 ちょうど同じ時間。ユージーンは幹部怪人の一体、地のエルと一戦を交えていた。

「ハァァ!」

「フッ!」

 互いの剣が火花を散らす激しき戦い。両者共似た掛け声を上げながら、全身全霊の力を注ぎ込んでいく。

「しぶといな……ならば!」

 決め手に欠ける地のエルは、ここで相手へ怯みを与える熱砂をユージーンに向けて投げ飛ばす。勝利の起点を作ろうとしたものの……

「ハァァァ!」

「何だと!?」

なんとユージーンの覇気と根性によって全て相殺されてしまった。この流れは地のエル自身も読めておらず、思わず声を上げている。

 と勢いに乗ったまま、地のエルへさらなる攻撃を加えようとした時だ。

「フッ!」

「何!? ウッ!?」

 彼の周りを見知らぬ水の物体が襲い掛かる。その正体はガンマイザー・リキッド。水の力を宿した不可思議な存在で、彼女は自身の体を液状化させて、ユージーンの動きの自由を防いでしまう。

 瞬く間に状況が変化する中、地のエルは好機と捉えて畳みかけようとする。

「今だ!」

「何を……!」

 拘束されてもなお、ユージーンは解放されようと必死に力を振り絞り。しかしそれでもビクともしない中、一度防御姿勢を構えようとした時である。

「今です!」

「グハァ!」

「ウッ!?」

「えっ!?」

 二人の間に突如として割ってきた武市変平太により、状況はまたしてもひっくり返されていた。彼が刀を用いて回りながら一刀を繰り出すと、地のエル及びガンマイザーにもその攻撃が当たっている。所謂隙を突く攻撃で、武市はユージーンの危機を救い出すことに成功していた。

「アンタは……?」

「こう見えても人並みには戦えるのでね。さぁ、アナタがとどめを刺してください」

「わ、分かった!」

 多くは語らずにそう言葉をかけた後、ユージーンは攻撃姿勢を構え直す。自身の持つ大剣を力強く握った後、彼は勢いよく駆け出していった。

「はぁぁぁ! やぁぁぁ!」

「うぅ……ぐっ!」

「させ……ハァァ!?」

 瞬時に狙いを定めて、全力を込めた斬撃を二体同時に浴びせている。自身の全力を込めた絶対的な一撃。力強い攻撃を前に地のエルらは深い傷を負ってしまい……

〈ドーン!!〉

倒れこむとそのまま爆発してしまった。幹部を前に実力以上の力を発揮した領主のユージーン。唯一の負け筋だった拘束も武市の介入で事なきを得て、難なく乗り切っていた。

「あんがとよ。手助けしてくれて」

「いえいえ。むしろ好都合でした。ずっと隠れてばかりでは、私の見せ場も無いまま終わってしまうますからね」

「……そんなことを気にしていたのか?」

 激闘を潜り抜けたユージーンにとって、武市の気にしていることはなんとも小さいものである。やや微妙な表情を浮かべてしまうが、当の武市はまったく気にせずに接していた。

 

 

 

 

 

「ハァァア!」

「くっ! ヤァァ!」

 そして一段と気合を高めて幹部怪人と戦うのはフィリア。彼女は密かに鍛え上げた剣裁きを生かしながら、ウカワームやフリーズロイミュードと対峙している。どちら共人に擬態出来る能力を持ち、フィリアにとっては因縁深い相手とも言えるだろう。

「コウモリ野郎はいなくなったけど……せめてアナタ達だけでも私が倒す!」

 怪人にはあまり詳しくないフィリアだったが、直感から自身に擬態したワームと同じ存在だと勘づいている。確かな予感を闘志に変えながら、堅実的な戦いを続ける。

 そんな彼女の勢いに押される二体の幹部怪人は、ここで大胆な動きを仕掛けていく。

「なら……これよ!」

「同じく! フッ!」

「なんの……って!?」

 先制してウカワームが腕からエネルギー弾を作り出し、それをフィリアへとストレートに投げ飛ばす。その攻撃に気付いた本人が華麗に避けるものの、背後からはフリーズロイミュードが解き放った吹雪が襲来。寒波と共にフィリアを氷漬けにしようと試みている。

 だがしかし、

「フッ!」

「キャ!?」

ここで思わぬ助け舟が現れていた。三味線から強固な糸を放出し、天井へ吊るすと同時に、空中遊泳の如く動いていたのは河上万斉。彼は寒波に襲われる寸前のフィリアを抱きかかえて、その場から難を退けている。豪快な立ち振る舞いには、幹部怪人らも思わず唖然としてしまう。

「えっ……アンタが助けてくれたの?」

「そうでござる。残るは僅かだからな。貴重な戦力を失えば、こちらが不利になるやもしれぬからな」

 ただただ驚嘆とするフィリアに対して、万斉は淡々とした口調で理由を述べる。自分の立場をわきまえた上での行動であり、決して情が動いたわけではない。それでもフィリアにとっては頼もしいことこの上なく、今は存分に万斉を頼ることにしている。

 すると万斉は、とある作戦をフィリアへと持ち掛けていく。

「さて。実力者が二体もいるのは、こちらとしては不利でござるな。ちとこちらに作戦があるが……主は乗ってくれるか?」

「作戦? も、もちろん! なんだってやるわ!」

「じゃな――」

 怪人達へ気付かれないように、万斉はそっとフィリアへと教え込んでいた。彼女自身も大方納得しており、打合せする間もなく作戦が静かに遂行されていく。

「今じゃ」

「うん! はぁぁ!」

 糸から手を離したフィリアは、瞬時に片手の剣を構える。すると彼女は二体の幹部怪人を取り囲むように、周りを走っていく。

「何のつもり?」

「こんなので、私らに勝てると?」

 無論フィリアの考えなど見当もつかない幹部怪人らは、その狙いへ気付くことなくまたしても衝撃波や吹雪を浴びせようとする。そんな時だった。

「今! やって!」

「了解したでござる!」

 頃合いを見てフィリアが万斉に声をかける。彼は瞬時に動き出すと、二体の幹部怪人らの腕に三味線から放った糸を巻き付けていた。

「何!?」

「こ、これは……!?」

 腕の自由が効かなくなったことで、幹部怪人らは攻撃手段を狭まれてしまう。解こうにも中々対処が上手くいかず、余計な時間を費やしていた。その隙にフィリアと万斉は、互いの呼吸をそっと合わせていた。

「行くぞ」

「もちろん!」

 そしてウカワームやフリーズロイミュードに狙いを定めると、

「「はぁぁあ!!」」

「ウッ!?」

「くっ!?」

勢いよく二人は斬りかかっている。フィリアは片手の剣で。万斉は三味線に仕込んでおいた刀で一刀。強烈な一撃が綺麗に決まり、大きなダメージを受けた二体の幹部怪人は……

〈バタァ!〉

スッと前方に倒れこんでいた。よっぽど二人の一撃が効いた様子である。

 長期戦にはなるべく持ち込まず、手早く強敵の撃破に成功した二人。特に関わりは無かったものの、意外な相性の良さを発揮している。

「……って、もう撃破したの?」

「やっと気づいたか。反応が鈍いでござる」

「いや、しょうがないでしょ! 加減が分からないんだし」

 一度共闘が途切れると、早くも口喧嘩の兆候が見られたが。いずれにしても、倒し切ったことには共に一安心している。

 こうして歪な共闘ながらも幹部怪人を撃破した領主、鬼兵隊、フィリアら。強敵達を知恵や根性で押し切り、見事に自身の役目を全うしていた。

 

 

 

 

 

「こっちです!」

「オラオラ! どきやがれ!!」

 ちょうど同じ頃、世界樹へと侵入したフレイア、長谷川、オートバジンの三人は隊列を組みながら、装置が保管されている部屋まで向かう。まだ世界樹内をうろついていたライオトルーパーの大群も、オートバジンの腕から放つ弾丸で一掃。皆が後ろを振り返ることなく、突き進んでいく。

 そして長い進行の末に……一行はとうとう部屋の前まで辿り着いていた。

「ここで間違いないようですね」

「扉は開くのか?」

 と試しに長谷川が開閉を試みた時である。

「へ? グハァァ!?」

「えっ?」

 長谷川を押しのけて、オートバジンが扉の前に立つと、彼は自慢の馬力を存分に発揮して扉ごと吹き飛ばしてしまう。その余波は長谷川にも影響して、不可抗力で破片が被弾する。あまりにも突然のことに、フレイア自身も何が起きたのかさっぱり分かっていないようだ。

「だ、大丈夫でしょうか……」

「な、なんとかな。ハハ……」

 フレイアに心配される長谷川だったが、彼は気負わずに事を流している。それでも痛みは十分に感じているのだが。

 とそれはさておき、オートバジンのおかげで辿り着いたこの部屋には二つの奇怪な装置が配置されていた。一つは人々を鏡の世界、ミラーワールドへと封じ込める装置。もう一つはエターナルメモリの効果、所謂魔力や飛行能力を封じる装置である。紫色を帯びた真っ白い不気味な光が灯っており、今なおその役目を静かに遂行させていた。

「んで、こいつか。マッドネバーが重宝している機械ってのは」

「こんなもので民を苦しめていたなんて……許しません!」

 改めて目にする非人道的な装置に、フレイアは怒り心頭。ずっと手に握っていた金色のハンマーを構えて、装置諸共破壊しようと決意している。

「よしっ! じゃ俺も……」

〈カシッ!〉

「へ? なんだ?」

 同じく手助けしようとした長谷川だったが、彼の目の前にはオートバジンが割り込んでいた。てっきり自己主張していると思いきや、彼の肩から常備していたファイズエッジがコロッと落ちている。

「えっ!? もしかして、俺に使えってことか?」

 戸惑いながらも長谷川が問いかけると、オートバジンはコクリと頷く。どうやら武器を持たない長谷川のために、最後の最後で見せ場を作ろうとしていたのだ。

「……おいおい。なんだよ、お前優しいじゃねぇか。良いぜ、共に決めようじゃないか」

 長谷川自身もオートバジンの好意を大変気に入っている。屈託のない笑顔を見せながら、感謝の気持ちを伝えていた。オートバジンも小刻みに震えながら、意志を返していく。

 こうしてすべての準備が整ったフレイアら。各々が武器等を構えていき、

「「ハァ!」」

一斉に打撃を与えることで二台の装置を一遍に破壊していた。装置は次第に機能を失っていき、放っていた光も徐々に消えかけていく。

「やった?」

「じゃないのか?」

 あまり実感の湧かない二人だったが、装置の破壊をもって縛られた拘束や条件は全て解除されていた。皆がそれに気づくのも時間の問題だろう。

 こうしてオートバジンの助けも借りて、やるべきことを果たしたフレイアと長谷川であった。

 

 

 

 

 

 

 そしてこちらは、仮面ライダーシグルドと対峙するシウネー、ジュン、タルケン、ノリ、テッチのスリーピングナイツの五人。フレイアを裏切ったシグルドに五人は怒り心頭しており、互いの連携を大事にしながら仮面ライダーシグルドとの戦いに挑んでいた。

〈ロックオン!〉

「くらえ!」

「フッ! なんの!!」

「ヤァ!!」

 必殺技であるソニックボレーを発動し、周到にエネルギー波を連射するシグルド。慎重に狙いを定めてはいるものの、中々に標準が安定しない。攻撃の回避を続けていく五人だったが、決して逃げ続けているわけではない。シウネー以外の四人は、この戦闘が仮面ライダーシグルドとの初対戦であり、シウネーの指示のもと無暗にリスクの高い戦いは避けていたのだ。

 両者共に慎重へ相手の見極めを続けていく中、咄嗟に大きな動きをしたのはシウネー一人のみである。

「そこです! ハァァ!」

「何!? フッ!?」

 杖を突きつける不意打ち戦法に、シグルドが反射的にソニックアローで防いでいく。急に動き出した戦況。シウネーは真剣な表情のまま、シグルドへ思いの丈をぶつけている。

「なぜ私達を裏切ったのですか……! なぜ悪魔なんかに手を貸したのですか!」

「なんだ? まだそんなことを気にしているのか? 俺はただ有利になるヤツを選んだまでよ。世の中ってのは蜜蜂のように花から花へと移る方が利己的なんだ。お前に分かるか、それが」

 仮面の中でにやけながらも彼が発したことは、利己的な考え方。要するに自分さえ良ければ良い自分勝手な思考を惜しげもなく披露している。悪びれることない言い方からも、シグルドの本音が垣間見えていた。

 傍若無人ぶりを披露するシグルドに対して、シウネーは怯むことなく思ったことをそのままぶつけていく。

「残念な人ですね……!」

「何だと? どういうことだ?」

「そのまんまの意味ですよ! アナタはただ逃げているだけです! 己からも、世の中からも! 決して自分とも向き合うともせずに……!! そんなのは利己的じゃないですよ。愚か者って言うんですよ!」

 やや感情的になりがらも彼女がぶつけた気持ちは、本当に強い者への考え方。元来より騎士団へあまり興味の持ってなかった彼女が、現在の地位にいるのは己の弱さを受け入れたからこそ。曲がったことが嫌いなシウネーにとって、シグルドなど対極的にすぎない。だからこそ本気で、彼を倒そうと躍起となっていく。

 一方のシグルドだが、本心を突かれたことで若干取り乱してしまう。

「愚か者……ふざけるな! 俺は断じて正しいことをしている! 邪道なのは貴様らの方だぁぁ!」

 ソニックアローを固く握りしめて、シウネーもろとも吹き飛ばそうとする。そんな時であった。

「今です! 皆さん!」

「はぁ!? 何だと」

 タイミングを見計らって、彼女は近くで待機していたジュンら四人へ加勢を指示。すると四人の戦士は武器を握りしめたまま、次々とシグルドへ対峙していく。

「お前の手は見切った! あとはこっちの番だ!」

「戯言を! 調子に乗るな!!」

 手始めにジュンが大剣を振るって、豪快な一撃を何度も繰り出す。場の主導権を握りつつ、シグルドへ攻撃させる余裕すらも失わせている。

「おっと、アタシらも忘れちゃ困るよ!」

「そうです!」

「フッ! 次から次に……!」

 ジュンの背後からは、タルケンとノリが息ぴったりに攻撃を繰り出す。二人の分の攻撃には、シグルドも対応が追い付いていない。

「この……よくも!」

 攻撃する術すら与えてもらえず、激高したシグルドは今度こそ必殺技を必中させるべく、ソニックアローからエネルギー波を放っていく。だがしかし、

「よっと! お返しだ!」

「何!? ウッ!?」

寸手のところでテッチが割り込み、彼の持つ大盾でエネルギー波は弾き返されてしまった。返り討ちにあって、思わぬダメージを受けてしまうシグルド。彼が怯みを与えられている隙に……スリーピングナイツの面々がとどめを刺していく。

「今です! はあっぁあ!!」

「やぁぁ!!」

「うぉぉぉ!!」

「よくも……うぉ!? グハァァ!!」

 五人が最後に繰り出した技は、辻斬りが如く斬りかかる一撃。阿吽の呼吸のように、各々が狙う位置を的確に見出しており、シグルドが装備している弓矢やベルトも強力な一撃を受けてヒビが入ってしまう。最後の最後で仲間の絆にまんまとしてやられていた。

「これで終わりです……さようなら」

「チキショーめ……」

 互いに目を合わせることなく呟いた一言。と同時にシグルドは変身が解除されてしまい、そのまま力尽きたかのように眠りへとつく。彼の周りには使い物にならなくなったゲネシスドライバーとチェリーエナジーロックシードが、無残にも転がっていた。

 互いの意地を懸けた戦いは、シウネーらスリーピングナイツの面々が勝利を収めている。

「よっしゃ、やったぜ!」

「勝ちましたね!」

「何のこれしき! アタシ達の絆のおかげよ!」

「しっかりと息が合っていて、びっくりしましたよ!」

 ジュンら四人は無邪気にも勝利を掴んだことに浮かれており、先ほどまでの緊迫感がまるで感じられない。素の自分を出したまま、和やかな雰囲気に場は包まれていく。

 一方のシウネーは仲間達の様子を優しく見守りつつ、別の強敵と戦っているであろうユウキをそっと気遣っていた。

「私達は勝ちましたよ。さぁ、ユウキも頑張って!」

 勝利はもはやすぐそこ。現状が分からなくとも、シウネーはユウキらの勝利を願う。

 

 

 

 

 

 

「フッ! ハァ!」

「なんの! よっと!!」

「そこよ!」

 皆がダークライダーとの戦いに赴く中で、シリカ、リズベット、ピナは、妙や九兵衛、たまの協力の元、因縁とも言える相手リュウガと戦闘を交わしていく。残虐かつ粗暴な戦い方を好むリュウガにとっては、弱者など取るに足らない相手。

 だがしかし、状況は以前と比べ物にならないくらい異なっている。なんと――リュウガがシリカやリズベットらに押されていたのだ。

「そこです!」

「そこよ!」

「くわぁ!? なんだと……」

 多勢に無勢とも言えるが決してそんなものではない。積極的に攻撃を仕掛けるはシリカとリズベットであり、二人は息の合ったコンビネーションを披露。次々と相手の隙を突いて、無駄のない動きを確立させていた。これも百華で鍛えられた努力の賜物。悔しさをバネにして前へ進む少女達の姿がある。

「今です! お妙さん!」

「九兵衛さんにたまさんもお願い!」

「任して!」

「任せろ!」

「了解です!」

「何だと!? ウッ!?」

 さらに彼女達は今回心強い仲間がいた。妙、九兵衛、たまの三人であり、シリカらとは深い関わりの女性達である。妙は薙刀、九兵衛は刀、たまは火炎放射器付きのモップで接近戦を展開。

「フッ!」

「ハァ!」

 斬撃なり火炎をまとった打撃を浴びせるなりで、リュウガへさらなる追い打ちをかけていく。

 先ほどとは打って変わり、防戦一方となったリュウガ。分が悪いと思った彼は、ここで逆転の一手を切る。

「チッ……だったら!」

〈adobent!〉

 カードを召喚機へと装填して、呼び起こすはドラグブラッカー。万能な大型黒龍を呼び、強大な力で場を蹴散らそうとする。

「行け!」

「させません! ピナ!」

「ナー!!」

 するとブラッカーへ対抗するが如く、シリカは共に戦うピナを使役。以前に打ちのめされた屈辱を果たすべく、ピナ自身も沸々と闘志を燃やしていく。

「ナナナー!!」

「ダラァァァア!!」

 天空へと舞い上がるピナを猛追していくドラグブラッカー。以前と同じく口で捕縛して、致命的なダメージを負わせようとしている。周到に追いかけまわすドラグブラッカーだったか……ピナもそう易々と、以前と同じ策にハマるほど間抜けではない。

「ナ……ナァァァア!!」

 ふとピナは後ろへと振り返り急停止。お得意のバブルブレスで、ドラグブラッカーの動きを封じ込めようとしている。危機を察知したリュウガが、機動力を生かして後退しようとした時であった。

「ドラァ!?」

 なんと彼の細長い体は、リボン結びのように固く縛られている。ピナの狙いはドラグブラッカーを行動不能にさせることで、物理と技の両方の側面から作戦を考えていた。これもご主人であるシリカと共に思いついたこと。小さき者ならではの意地を披露していた。

 当然ながらドラグブラッカーは、戦闘不可能になった時点で場からフェードアウト。苦痛に満ちた鳴き声を上げながら、そっと鏡の世界に戻っている。

「ブラッカー!? き、貴様ら!!」

 相棒を封じられてしまい、高らかにリュウガは声を荒げていく。一応伝えておくが、これは愛情による怒りではない。武器や能力を封じられた時と同じ反応であり、要するにその程度の愛情でしか持ち合わせていないということだ。

 激高したリュウガが再び襲い掛かろうとした時である。

「今です! フッ!」

「ふわぁぁ!?」

 たまが不意打ちがてらに自身の箒から火炎を放射。リュウガを強制的に怯ませた後、

「これで……!」

「仕舞いだ!」

「くっ!? うっ!?」

妙と九兵衛が同時に斬りかかっていた。二人が狙ったのはリュウガのベルトであり、彼のベルトのバックルには若干のヒビが生じている。

 良いように攻撃を受け続けて、増々弱体化してしまうリュウガ。もはや手札が僅かしかない中、彼は一念発起が如く最後の手段へと打って出ていた。

「おのれ……お前ら! 好き放題僕にやりやがって! こうなりゃこれだ!」

〈final bent!〉

 濁った音声と共に発動した最終兵器。必殺のドラゴンライダーキックで、五人諸共場から吹き飛ばそうと企てる。ドラグブラッカーがいなくとも、構えだけはしっかりと行っていた。

 そんな彼に最後へ対抗するは、因縁を付けられたあの二人である。

「行きましょう、リズさん!」

「もちろん! 成長したアタシ達の力で、アイツを倒すわよ!」

「存分にやりなさい、二人共!」

「頼んだぞ!」

 真剣そうな表情でそう呟いたのはシリカとリズベット。彼女らはリュウガが力を貯めこんでいる隙に、こちらも精神を研ぎ澄ましてしっかりと準備を整えている。二人の確かな意思を汲み取って、妙ら三人は最終的にリズベットらへ決着の全てを一任させていた。空気を読んだとも言えるが、それよりかはもう二人ならば大丈夫と言う信頼の深さが関係しているのだろう。

 この一撃で全ての決着が付く……負けられない戦いの中で最初に動いたのは……ほぼ同じタイミングで両者だった。

「ハァ!」

「「ヤァ!!」」

 一斉に飛び上がり、相手に向かって衝突。リュウガは蹴りを。シリカとリズベットはダガーやメイスを握りしめて、全面的に立ち向かっている。己の全力を懸けた最後の一撃……軍配が上がったのは、

「「セハァッァア!!」」

「何……グハァァァ!!」

シリカとリズベットだった。全力でぶつかる中で彼女らは、妙らが事前に付けてくれたベルトの傷跡を集中的に狙っていたのである。力負けを恐れて不安を覚えていた二人だったが、決してそんなことは無かった。頼りになる姉御達が繋いでくれたバトンを、無駄なく生かしていたのだ。

 一方でリュウガはベルトを破壊されたことで変身の意地が難しくなり、一旦は大きな爆発を起こしてしまう。空中で燃え上がった炎の中からは、リュウガの変身者である野卦が随分久しくその姿を見せていた。

「か、勝った……?」

「嘘……!? 本当に?」

 シリカやリズベットも背後に浮かんだ爆発を目にしたことで、自身の勝利をようやく自覚している。それでもなお実感は湧かず、困惑めいた表情を浮かべていたが。

 そんな二人の元へ、妙、九兵衛、たま、ピナら仲間達が駆け寄ってくる。

「本当です。お二方は自らの手で、悔しさを晴らすことが出来たのですから」

「よくやったわね、二人共!」

「これも君達が真摯に己の弱さと向き合った証だ。もっと誇って良いと僕は思うよ」

「ナナー!!」

 ピナも鳴き声で祝福の一声を上げた。皆温かい想いでシリカやリズベットの成長を認めており、これを聞いた当人達もやっと率直な気持ちを解放させている。

「や、や……やりましたよ! リズさん!!」

「本当に……本当にやったのね!!」

 嬉しさを存分に爆発させた二人は、大きくハイタッチ。緊張感もほぐれたことで、妙やピナらともじゃれ合っていた。

「おのれ……僕が。この僕が!!」

 一方でリュウガこと野卦は、負け惜しみを声に上げながらスッと気絶してしまう。戦闘民族である自身の力とダークライダーの高性能さを過信した男の末路は、リベンジを誓い実力を急成長させた二人の女子とその仲間達によって撃破されている。

 

 

 

 

 

 一方でこちらは仮面ライダーソーサラーと対峙するシノン、月詠、猿飛あやめの三人。特殊な武器を使用する三人は、未知なる魔法で戦場を引っ掻き回すソーサラーと互角に張り合っていた。

「ハァ!」

「セイ!」

「フッ!」

「ヤァ!」

 遠距離戦の両方を使い分けながら、攻めの姿勢を続ける三人。特にシノンはソーサラーに敗れた経験があり、この戦いでリベンジを果たそうと闘志を燃やしている。弓で射てからの格闘戦で、ソーサラーのベルトを周到に狙っていた。そんな彼女をアシストするように、月詠やあやめもクナイや手裏剣を相手へ投げつけていく。

「アンタみたいな卑怯者に……私達は負けないわよ!!」

「へぇ~中々に強く育っているじゃないの。でも、私の魔法の前には意味がないのよ!」

〈サンダー! ナウ!!〉

 急激に接近すると同時に、改めて敵意を露わにしていくシノン。強気な彼女にソーサラーは大変面白がっており、その意志を嘲笑うかのように電撃の魔法を発動している。

「月姉! あやめさんも離れて!」

「了解じゃ!」

「分かったわ!」

 魔法の兆候を見切っていたシノンは、すぐに月詠とあやめへ警告を促す。三人は軽やかな動きのまま、辺りへと降り注ぐ雷を回避していく。一定の距離まで離れると、一度三人は互いの顔を見ながら、アイコンタクトを取り始めていた。それはまるで、何かの作戦を実行するかのように。

 ソーサラーが気付かぬうちに、三人は各々の武器を握り始めていた。

「今よ!」

「そこじゃ!」

「行きなさい!」

 解き放ったのは弓矢、クナイ、手裏剣の遠距離型武器。それらをソーサラーのベルトへと向けており、今度こそ魔法を発動する手立てを封じ込めようとしている。だがしかし、

「フッ!」

〈コネクト! ナウ!〉

ソーサラーは瞬時に空間を操作するコネクトの魔法を発動。弓矢、クナイ、手裏剣を全てシノンらの背後へ差し向けていく。

「さぁ、自滅しなさい!」

 と自傷する光景を楽しみにしていたソーサラーだったが……

「かかってわね」

「えっ?」

この行動も全てシノンらの範囲内である。三人は後ろに武器が迫っていることを確信した上で……

「「「はぁぁ!!」」」

「はぁ!? って、うっ!?」

後ろに回って武器へさらなる勢いを付けていた。シノンは蹴り、月詠は持ち手へ拳を突き付けて、あやめはもう一方の手裏剣で弾き返し。武器が通じないことを想定した上で、彼女の意表を突く攻撃を繰り出していた。

 文字通りの不意打ちを食らったソーサラーは、ベルトはおろか両手に付けていた魔法の指輪さえも弓矢や手裏剣、クナイで破壊されてしまう。この攻撃によって、ソーサラーは大幅に弱体化。得意の魔法すらも使用が不可能となる。

「おのれ……かくなる上は!」

 それでも彼女はまだ諦めず、ベルトが壊れてもなお予備の魔法リングを指にはめ直して、劣勢的な自身を立て直そうとした時だった。

「させない! はぁ!」

「うあわぁ!?」

 すかさずシノンが弓矢を発射して、予備の魔法リングすらもソーサラーの手元から離してしまう。一段と猛攻姿勢を続けるシノンは、ここで勝機を見出しいて、月詠とあやめにも最後の手段を呼び掛けていく。

「月姉! あやめさん! 今度こそ……!」

「もちろんじゃ! 猿飛、行くぞ!」

「分かっているわよ! はぁ!」

 そう軽快な言葉で交わすと、三人は再びクナイや手裏剣を投げ飛ばして、ソーサラーのベルトにまたも突き刺している。動きが鈍くなっているうちに、三人は四方八方から……力を込めた飛び蹴りを繰り出すのであった。

「「はぁぁ!!」」

「ウグッ!? ギャカ!?」

「これ最後よ!!」

「お前……ウゥ!! クワァァァ!!」

 交差するようにあやめと月詠が飛び蹴りを放った後、シノンが垂直にベルトへ向かって蹴りかかっている。無論弓を構えたままであり、飛び蹴りと同時に弓矢で敵を射る二段構えで、ソーサラーに追い打ちをかけていた。

 強烈な一撃に思わず防ぎ切ろうとするソーサラーだが、魔法の発動も出来ずに彼女はただただこの一撃を受け続けるほかはない。とうとう我慢が出来ず……シノンらが地面へ着地すると同時に倒れこみ、ソーサラーはとうとう敗れ去ってしまった。辺りには小規模の爆発が燃え広がっていく。

「……やった? やったの?」

 後ろを振り返って、ようやくソーサラーの撃破を確認したシノン。自分でも未だに信じられず、つい体が固まってしまう。そんな彼女を月詠やあやめが励ましていく。

「あぁ、主はやったのじゃ。己の力だけでな」

「まったく大した者ね。こんな短期間で目標を楽々超えちゃうもの」

「そっか……私越えられたんだ。自分の限界を」

 二人の言葉でやっと勝利を自覚出来たシノン。悔しさを晴らせた勝負の結末に、今一度彼女は安堵していた。

 一方で変身が解けたソーサラー及び変身者の宇緒は、地に這いつくばりながらも、自身の敗北を未だに受け入れられずにいる。

「なんで……アンタ如きの妖精に……敗れなきゃいけないのよ」

 そう力尽きながら呟くと、シノンは彼女に目線を向けつつ、思ったことをそのままぶつけていた。

「一つだけ言っておくわ。アナタの敗因はただ一つ。魔法……いや力を過信し過ぎたことよ。真に強い人はいかなる時も、自分を信じているのよ!」

「……アタシには理解できないねぇ」

 シノンの言葉を聞き入れると、宇緒はそっと気絶してしまう。己の実力を高めた者と無下にした者の戦い。この二人は最終的にそこへと行きつくのかもしれない。

 いずれにしてもリベンジを果たせたことで、晴れ晴れしい表情を浮かべているシノン。勝利の余韻にしばらく浸っていると、あやめが冗談交じりに話しかけてきた。

「なるほどねぇ~。そうやってあの童顔男に口説かれたのね!」

「えっ? って、何言い出すの! あやめさん!」

「赤くなっちゃって。本心なんじゃないの!?」

「やめんか猿飛。シノンが困っているじゃろ」

「でも、アンタだって気になるでしょ?」

「……まぁ、そうじゃな」

「月姉まで!!」

 思わぬからかいを受けて、シノン本人はつい反応に困ってしまった。月詠も調子に乗るあやめへ落ち着かせるが、彼女の質問は同じように気になってしまう様子である。戦闘も一時的に終了したことで、場の雰囲気は徐々に緊迫感が薄れていた。

 

 

 

 

 

 

 皆が強敵との因縁に決着を付けていく中で、それらとは一切関わりがないのは桂、クライン、エリザベス、エギルの四人。彼らは強敵とも言えるポセイドンを相手取っている。

「はぁ!」

「フッ!」

「セイっと!」

 容赦のない接近戦を展開しながら、精力的な攻撃を続けていく四人。決して引き下がることはなく、各々が自身の全力を注いでいる。

 その一方でポセイドンは、洞察力を発揮しながら幾度も彼らの攻撃を防いでいた。

「フッ、ハァ!」

「伏せろ!」

「ウッ!?」

 彼は雑念を振り払うが如く、槍から水流をまとった衝撃波を解き放つ。まともにその攻撃を受けたクラインや桂らは、耐え切ることが出来ずに近くの壁際まで吹き飛ばされている。四人が力を合わせてやっと互角に張り合える相手。皆がポセイドンの強さに戦々恐々とする中で、張本人は自身の強さを惜しげもなく誇示していく。

「こんなものか? もっと俺を楽しませろよ……!

 元は過激な戦闘民族の一人。その本能に抗うことなく、血気盛んな一面を露わにする。

 一方で桂達は態勢を整えながらも、劣勢を打開する一手を考え始めていた。

「奴め……やはりしぶといか」

「あのベルトを狙わない限り、こっちに勝利は無いんじゃないか!?」

「一理あるな。同じタイミングで粉砕して、一気に蹴りを付けるぞ!」

「短期決戦と言うわけか……!」

 三人は揃ってポセイドンの力の源と言えるベルトに目を付けており、長期戦よりかは短期戦で決着を付けようと考えを一致させている。故にきっかけを作り出そうとする中で……エリザベスが咄嗟にプラカードを掲げてきた。

[だったら俺に任せろ!]

「エリザベス? 何か手はあるのか?」

[それはだな]

 エリザベスは小さなプラカードを見せて、桂らに思いついた作戦の概要を明かしていく。三人も敵に悟られぬように小さい反応を示しているが、概ね彼の考えに賛同していた。手際よく四人は、すぐに即興の作戦の準備に取り掛かる。

「何をコソコソとしている? いい加減強大な力の前にねじ伏せろ!」

 不穏な動きに気が付いて、苛立ちを覚えていくポセイドン。思わずまたしても槍の衝撃波を放とうとした時であった。

「フッ、ハッ! ハッ! ハッ! そうは行かぬのが侍の真骨頂よ!」

「何だと?」

「特と見るが良いぜ! これが大和のしぶとさってもんを!」

 威勢よく桂やクラインが声を上げると、なんと二人はエギルと共にエリザベスの全身を持ち上げていく。すると勢いに乗っかったまま、エリザベスをポセイドンの元へと投げつけていったのだ。

「「「ハァァァ!!」」」

「って、血迷ったか! こんなことをして、何になるというのだ!!」

 彼らの作戦の意図が全く読めず、反射的に衝撃波を飛ばしていくポセイドン。しっかりと狙いを定めていたはずなのだが。

[なるさ]

 エリザベスには彼なりの意図がある。衝撃波が飛ばされてもなお、彼は口元から盾を取り出して装備。軽々と衝撃波そのものを封じていく。

「何だと!?」

 奇抜な回避行動に思わず絶句してしまうポセイドン。彼が怯んでいる隙にも、エリザベスとの距離は刻一刻と迫っていく。

 そしてちょうど、目と鼻の先まで差し迫ろうとした時だった。

「今だ! エリザベス!」

「そのままやれぇ!」

[任せろ! フッ]

「えっ? ブフォォォ!!」

 桂やエギルの合図と共に、エリザベスはまたしても口元から逆転の一手を取り出す。その正体はなんと……中の人らしき片腕である。拳を強く握りしめながら、ポセイドンに向かってストレートなパンチを繰り出していた。

 誰だって予想のつかない一撃。まんまと策にはまったポセイドンは、思いっきり態勢を崩してしまう。

「今だ!」

「よっしゃ!」

「おう!」

 強制的に作り出した隙を三人が見逃すはずも無く、ポセイドンが態勢を崩したうちに反射的へ走り出す。すでに全員の想いが一致している状態。言葉を交わさずとも、自身が斬りかかるべき位置は決まっている。

「「「そこだぁぁぁ!!」」」

「な……させるか!!」

 こちらへと襲撃を図る桂らの姿に気付いて、ポセイドンはすぐに長槍でこの危機を回避しようとした。ここからは単純な力と力のぶつかり合い。ほぼ拮抗とした状態が続くと思われたが……

「「「ハァ!!」」」

「くっ……フッ!!」

僅かな差で桂達が押し切っていた。三人はポセイドンのメダルへ斬りかかっており、桂はサメメダル。クラインはクジラメダル。エギルはオオカミウオメダルを破壊していく。

 一瞬のうちにポセイドンのベルトにあったメダルは奪取されて、三人はその破片をそっと手に掴んでいた。

「うおぉ……ここまでか!」

 メダルを奪われたポセイドンは強制的に変身解除。唖海の姿となり、眠りへ付くようにゆっくりと倒れこんでしまう。力や強さを追い求めた男の末路は、信念を志す侍達の活躍によって野望を砕かれてしまった。

[お見事!]

「何ィ、大したことはないさ! これもエリザベスと俺達のチームワームのおかげだ」

「そうそう! ところで気になったことがあるんだが……あの腕はどこから」

「おい、それについては触れるな! 嫌な予感がするから」

 存分にエリザベスの活躍をべた褒めする桂に対して、クラインは触れてはならない領域に踏み込もうとする。エギルの咄嗟の注意で彼は事なきを得たのだが。

 いずれにしても皆、この勝利を深々と体に染み込ませていく。

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!」

「そこよ!」

「テメェ!」

 そしてこちらも、とうとう決着が付こうとしている一戦。亜由伽の変身したダークキバに立ち向かうは、リーファ、近藤、土方、沖田の四名。各々が自身の使い慣れた刀や剣を振るって、勝利をもぎ取るべく奮闘いている。特にリーファにとっては一度敗北を喫した因縁の相手。シリカ、リズベット、シノンら同様に、闘志を存分に滾らせていた。

「ハァァァ!」

「くっ……中々強くなったじゃないの! でも私には! 叶わないけどね!!」

「なんの!!」

 前回以上に攻めの姿勢を崩さず、ダークキバへ猛追するリーファ。九兵衛や月詠から教わった剣裁きや、体術で戦いを有利に進めている。だがしかし、ダークキバも押されっぱなしではない。力を込めたストレートなパンチをリーファへ繰り出そうとするが――寸でのところで相殺されてしまう。

「チッ! 良いから黙ってひれ伏しなさいってば!!」

 中々自身の思い通りにはいかず、痺れを切らしたダークキバは激高。感情のままに紋章を繰り出して、リーファを拘束しようと目論む。

「もうその手は食わないっての!」

 一方のリーファもここぞとばかりに奮起し、軽やかな身のこなしで紋章攻撃を回避していく。そう自分なりの攻撃を続けていた時である。

「ハァ!」

「うわぁ!? って、しまった!?」

 無鉄砲に放ったダークキバの紋章がリーファの片手剣に命中。彼女ではなく武器が拘束されてしまい、否が応でもリーファは丸腰となってしまう。

「フハハ! 言ったでしょ! 私が勝つってね!」

 勝利を悟ったダークキバは、丸腰状態のリーファを痛めつけようと、覇気の籠った声で急接近。戦う術を一時的に失った彼女は、思わず目をつぶってしまう。そう諦めかけようとした時である。

「そうは行くかよ!」

「みんな! リーファ君を守るんだ!」

「もちろんでさぁ!」

「何!?」

「えっ!? 沖田さん……みんな!?」

 すぐに窮地へ駆けつけてくれたのは、共に戦う真選組の面々。近藤、土方、沖田の三人がリーファの目の前に現れると、力づくで紋章と激突。そして……瞬く間に紋章そのものを刀で切り裂いてしまった。

「破られた……!? 私の術が!?」

 初めて紋章が打ち破られた光景を目にして、ついショックを受けるダークキバ。動揺している隙に、沖田はリーファへ自身の刀を手渡していた。

「ほらよ、使え。とっととお前の魂、取り返してこい」

「沖田さん……分かったわ!」

 いつになく優しい沖田に違和感を覚えつつも、リーファは彼の好意を素直に受け取っている。そして彼女は沖田の愛用する刀を手にして、紋章に囚われた自身の刀を解放しようと再び奮起していく。

「はぁぁぁ!」

「させないわよ!」

 立ち直ったダークキバも再び立ちはだかり、飛び上がるリーファに向かって、紋章と衝撃波を同時に放っていく。何が何でもリーファの思い通りにはさせないと息巻いていたが、

「なんの!」

「うわぁ!? アンタまで……!!」

彼女自身も紋章を切り裂き、さらには衝撃波をダークキバの元まで返り討ちにしている。徐々に自身の劣勢的な状況を感じ取りながら、苛々を募らせるダークキバ。彼女はまだ理解していない。リーファの実力がこの数日の間、急激に成長したことを。

「いっけぇぇぇ!!」

〈パーキン!〉

 そしてリーファは気合を入れながら、紋章に囚われていた自身の剣を救出。同時に彼女は貸してもらった沖田の刀を手早く、本人の元へと返却していた。

「沖田さん! これ!」

「分かっていやすよ! さぁ、一気に決めますかい?」

「上等だ! やってやる!」

「リーファ君も一緒に!」

「もちろん! 全員で決めましょう!」

 ようやく本人達の元へ本来の刀が戻され、四人は勢いに乗っかってダークキバを一気に倒そうと覚悟を決める。リーファ自身も真選組のことを信じて、想いを一致させようとした。

 次なる一撃に全力を注ぎ込む四人。そんなリーファ達に対して、ダークキバも同じ心構えで応戦していく。

「調子に乗らないでちょうだい! 弱者共!!」

〈ウェイクアップ! ワン!!〉

 フエッスルをベルトのキバットバットⅡ世に突き刺し、発動するは強力なパンチ技のダークネスヘルクラッシュ。紋章が通じなければ力でねじ伏せてしまえば良い。土壇場での彼女は考えることを諦めた脳筋な一面を披露していた。

「ハァァァ! いい加減に砕け散れ!!」

「な!?」

「うっ!?」

 一足早く動いたのはダークキバの方であり、彼女はパンチを繰り出しつつ、周りを囲うように残像のような衝撃波も放ってきた。綺麗にリーファら四人にも被弾しており、彼女らはすぐ爆発の最中に巻き込まれてしまう。

「ハァ! どうだ!」

 今度こそ相手を仕留められたことに愉悦さを感じていくダークキバ。その余裕からか、四人の倒された様子を確認しようとした時である。

「「「「フハァァァ!!」」」」

「何!? 生きている!?」

 爆発の中を駆け抜けてきたのは、なんと近藤、土方、沖田、リーファの四人。彼らは衝撃波など諸共せずに、攻めの姿勢を変わらずに続けていた。真選組と同等に、リーファも秘められた根性を思う存分に発揮させている。

「ヤァァァァ!」

「ウッ!?」

 四人が四方八方から切り裂いた自慢の一刀。ダークキバの後方には土方と近藤が。前方には沖田とリーファが、刀や剣を構えたまま立ち止まっている。

 気になる勝負の行方はと言うと、

「機能停止……」

「そんな……ことが!」

ダークキバ及び偽者のキバットバットⅡ世の敗北。すなわちリーファと真選組が、とうとう勝利を掴んだのであった。リーファ自身にとっては悲願の達成であり、本人はすんなりとこの結果を素直に受け止めている。

「やった……勝ったんだ! 私……!」

 胸に手を当てつつ、そっと彼女は顔を上げていた。自信に満ちた表情は、迷いの無い真の強さを誇示しているようにも見える。いずれにしても、全力を懸けて勝ち取った勝利。嬉しくないわけがないのだ。

 そんな彼女の勇姿を称えるように、真選組の面々もリーファらを褒めていく。

「おぉ! とうとう撃破出来たな、リーファ君!」

「大したもんだぜ。まさか一緒に倒すなんてな」

「まぁ、これも俺のおかげでしょうに。おい、ブラコン。刀のレンタル料、とっととよこしてくだせぇ」

「えっ? はぁ!? ちょっと、急に何血迷ったこと言ってんのよ!! 感動的なムードが台無しでしょ!」

「落とし前を付けない方が台無しかと思いやすが。そんなこんなで合わせて、一万六千円をとっとと払ってくだせぇ」

「だーかーら! なんで払うことが前提になっているのよ!!」

 沖田だけは冗談なのか本気か、定かではないがリーファへ刀の貸し料金を請求していた。有無を言わさずに彼のペースへ乗っかってしまい、リーファは高らかにツッコミを入れていく。さっきまでの緊張感や雰囲気はどこへやらである。

「ったく、総悟のヤツ。こういう時でも素直じゃねぇんだからよ」

「まぁ、いつものことだろ。時機に収まるさ」

 近藤や土方もいつもながらの雰囲気と括って、特に介入する間もなく二人へそのまま任していた。二人ならではの風物詩が完成しつつあるのかもしれない。

 ……その一方で敗北を喫したダークキバこと亜由伽は、変身を解除されて地面へと倒れこんでいる。変身の要だったキバットバットⅡ世も破壊されて、文字通り打つ手のない状況に陥っていた。

 息が詰まる中で最後に彼女は、リーファへと話しかけていく。

「やるじゃないの……アンタ」

「えっ? ……私に言ってんの?」

「そうよ、なんたって私ら夜兎すらも互角に張り合えているからね……アンタがそんなに強くなった理由はなんだい?」

 と掠れた声で問いかける亜由伽。するとリーファは真剣な表情で、思ったことをそのまま返していた。

「守りたいものがあるからかな……この世界に来てからも! 大切なものが増えたから」

「それが強さの秘訣ね……」

 返答を聞いた亜由伽は、そっと顔を地面に下げていく。その表情はまだ納得しておらず、彼女にとっては理解しがたい概念だったのかもしれない。

「ど、どうしよう……?」

「そのままにしておけ。ありゃ死んでねぇよ。ただの気絶だ」

「そうでさぁ。後はウチラの管轄じゃなく、この星の野郎共に任せるべきでっせ」

「そ、そうだね」

 倒れた亜由伽を心配するリーファだったが、土方や沖田らのアドバイスの元、今はそっとしておくことにする。微かに呼吸が残っていることから、まだ生きていることは確定的だ。いずれにしても、彼女の処置はこの星の人々に判断を委ねることにしている。

 こうしてリーファも自身の因縁にとうとう決着を付けることが出来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして……とうとう残るはオベイロンのみ。地上の状況を知らぬ中、彼は虎視眈々と勝ち筋を手繰り寄せていく。

 ところがそんな暴虐を万事屋やユウキが許すわけもない。七人と一匹は己の全力を懸けて、最低最悪の妖精に真っ向から立ち向かう。

「はぁぁぁ!!」

「くたばれぇぇ!! コノヤロー!!」

〈カラクリ! マキシマムドライブ!!〉

 ガイアキャリバーを振るい、次々と技を発動するアナザーエターナルに対して、新八は怯むことなく突き進む。彼の聖剣から放たれるカラクリのエフェクト(歯車状のエネルギー波)を木刀で破壊しつつ、標的から目を一切離していない。

 後ろから吹き上がる爆炎を潜り抜けていき、

「そこだぁぁ!」

「ウグッ!?」

ひとまずは木刀で一突きしていた。気合を込めた一刀に、狙い通りの怯みを受けるアナザーエターナル。だが彼の攻撃はまだ終わっていない。

「まだまだ!」

「ぐはぁぁ!! うぅ!?」

 攻撃を仕掛ける前に、豪快な斬撃を次々とアナザーエターナルへ浴びせていく。切迫とした表情のまま、持てる力を存分に発揮する新八。全てはユイやアルンの人々を苦しめた怒りから……非道な悪に対抗する正義の魂を沸々と燃やしていた。彼なりの侍の戦い方である。

 猛攻を受け続けたアナザーエターナルだったが、無論彼も黙っているわけがない。

〈ソード! マキシマムドライブ!!〉

「いい加減にしろぉぉ!!」

 瞬時にアナザーエターナルは、またもガイアメモリの力を行使。聖剣ガイアキャリバーの切れ味を上げるソードメモリの力で、お返しと言わんばかりの斬撃を新八へと解き放っていく。

「よっと! ふっ!!」

 ところが新八は、その攻撃を受ける前に飛び上がって、何の傷も負わずに回避へ成功している。手の内を見せた攻撃や技ならば、彼にとってはもう絣にすら及ばないのかもしれない。攻守を上手く使い分けた新八は、無理することなく次なる仲間へ攻撃役を交代する。

「銀さん! 頼みます!」

「おう! 任せろ!」

 背中越しに合図を交わしたのは坂田銀時。彼はすでに準備を整えており、アルヴドライバーを操作して、とっておきの必殺技を発動していた。

〈キバ! キバパワー!!〉

〈ウェイクアップ!!〉

 選んだのは仮面ライダーキバの必殺技。何かと縁の深いキバットと協力して、闇夜の中で決めるキック技、ダークネスブレイクを構えていく。

「おい、なんだ!? 急に夜へ!?」

 必殺技の仕様を知らないアナザーエターナルにとっては困惑する光景。先ほどまで見えていた青空は真っ暗に変わり、浮かんでいた星々の代わりに、神々しく光る三日月の主張が激しく浮かんでいる。(ALO星は地球とはまったく違う星のため、月が浮かんでいる事態が可笑しい光景なのだが)

 とそれはさておき、アナザーエターナルが困惑しているうちに、銀時は腕を交差した後に右前足を突き出して、豪快に片足を上げていく。するとキバットがエネルギーを解放するかのように、銀時の黒いブーツをキバのヘルズゲートのように変化させていく。

「ったく、こんな無茶な体系にさせやがって……ふっ!」

 現在の態勢に若干の不満を口にしながらも、銀時はゆっくりと片足でジャンプしている。狙いをアナザーエターナルへと定めながら、上空から降下していき――

「キバっていくぜ!!」

「くっ……何を!!」

エネルギーを込めた右足で大胆にキックを繰り出す。必殺技を受けた衝撃で後退するアナザーエターナルはその勢いを止められず、

「はぁぁ!」

「ぐはぁ!!」

世界樹の壁際まで吹き飛ばされてしまう。壁面にはキバの紋章が浮かび上がり、壮絶な威力を仲間達にも見せつけていた。

 ところがアナザーエターナルは、まだ倒れる様子がない。

「このやろ……! 僕を痛めつけるな!!」

 自分のことを棚に上げながら、やはり自己中さを存分に滲みさせている。接近した銀時を切り殺そうとしたものの、彼は勢いよく飛び上がって、斬撃を隈なく回避していく。

 もちろん攻撃はこれで終わらない。次なる仲間へ彼は攻撃役を交代させる。

「よっしゃ! キリト、いけぇ!」

「おう!」

〈ドライブ! スピードパワー!!〉

〈ヒッサツ―! フルスロットル!! スピード!!〉

 目の前へいたキリトへバトンタッチをすると、彼はすぐにアルヴドライバーを操作。選んだ力はドライブであり、基本形態であるタイプスピードの必殺技、スピードロップを構えていく。するとアナザーエターナルの周りには、四つの巨大なタイヤが彼を取り囲んでいた。

「おい、来るな! 消えろ!!」

 次々とガイアキャリバーを振るって抵抗するも、タイヤは依然として消滅しない。そんな応酬を繰り返しているうちに、キリトはようやく必殺技への準備が整っていた。

「オベイロン……ひとっ走り付き合えよ!」

 ドライブの決め台詞と共に、彼は勢いよく飛び上がる。その表情は獲物を仕留めるかのように、殺気がより際立っていた。さらに彼をサポートするかの如く、エネルギー状のトライドロンもこの必殺技に参戦していく。

「おい……って、あぎぁぁぁぁ!!」

 一方のアナザーエターナルだが、四方八方からタイヤに取り囲まれると、全体をタイヤで圧迫された後に吹き飛ばされてしまう。気が付くと彼は、キリトとトライドロンが取り囲む異様な空間に囚われていた。

「フッ! ハァァ!!」

「グハァァ!! うぐぅぅ!!」

 攻撃の手段を見失ったアナザーエターナルに対して、超高速移動で切り刻んでいくキリト。周囲を回るトライドロンが壁の役割を果たし、その勢いを失わずに怒涛の追撃を行う。原典のドライブとは異なり、蹴り技ではなくエクスキャリバー等を用いた双剣の斬撃で、疑似的なスピードロップを再現していた。

 そして、

「ハァ!」

「ギァッァア!!」

渾身の一撃が見事に決まっている。エクスキャリバーの一刀に加えて、エネルギー状のトライドロンもアナザーエターナルへ体当たりを繰り出していく。二重の追い打ちを受けたアナザーエターナルは、断末魔を上げながら大ダメージを負う。

 必殺技を解き放ったキリトは、すぐに相手の様子を伺いながら、次なる仲間へ役割を交代していく。

「神楽! 今だ! 行け!!」

「任せるヨロシ!!」

 彼が指名したのは神楽であり、呼ばれると同時に本人は背後から大きく飛び上がる。その瞬間にも彼女は、アルヴドライバーからライダーの力を解放していた。

〈アギト! バーニングパワー!!〉

「バーニングライダーパンチネ!!」

 使用したのはアギトの強化フォームであるバーニングフォームの力。右手に強烈な炎のエネルギーを宿すバーニングライダーパンチを繰り出す。接近戦を得意とする神楽にとっては、この上ない相性の良い必殺技だ。

「ハァァ!!」

「うぐっ!?」

 無論防御姿勢が整っていないアナザーエターナルには有効の一撃。ストレートな拳が腹部へ的中し、彼は思わず後退してしまう。

 目立った攻撃が出来ぬまま、次々と攻撃を受け続けるアナザーエターナル。確かな怒りを覚えながら、ガイアメモリを使って反撃に出ようとするも、

「僕を……なめるな!」

〈響鬼パワー!〉

「何!? ウッ!?」

咄嗟に神楽が彼の動きを封じていく。続いて使用したのは響鬼の力。アルヴドライバーから音撃鼓・火炎鼓を取り出して、アナザーエターナルの中心へ差し向けると、彼は瞬く間に動きを封じられてしまう。このアイテムは太鼓の筒部分を模しており、原典の響鬼でも必殺技を放つ際に使用した大事な代物だ。

 すると神楽は自身の雨傘を垂直に構えた後、これで打撃を行うかのように、アナザーエターナルへ狙いを定めていく。

「清めの音を叩き込むアル!」

 勢いを込めた言葉と同時に、彼女はさらなる必殺技を繰り出す。

「音撃打! 爆裂強打の型アル!!」

「ウゥ!! この……ぎぁっぁぁ!!」

 真剣に研ぎ澄ました表情で打ち込んだ清めの音。悪しき魂を浄化させるかのように響いた音撃で、邪悪そのものとも言えるアナザーエターナルを粉砕しようとした。

 だがしかし、まだまだアナザーエターナルはくたばらない。

「いい加減に……しろや! ポンコツども!!」

〈クエスト! マキシマムドライブ!!〉

 幾度も必殺技を受けてさらに苛立ちを募らせる中、彼はさらなるガイアメモリの力を発動する。クエスト……所謂発掘の記憶を模した力で、神楽の周りには盾やピッケル、スコップと言った古風な武器が出現。アナザーエターナルの指示と共に襲い掛かっていく。

「さぁ、行け!」

「何!?」

 息も休める暇もなく出現した武器の数々に、つい動きを鈍らせていく神楽。殺気を察して逃げ出そうとするも、逃げ切れる場所など近くにはない。思わず無計画なままにライダーの力を探し始めようとした――その時だった。

〈鎧武! 極パワー!!〉

〈火縄橙々DJ銃! メロンディフェンダー! マンゴパニッシャー! 影松!〉

「はぁ!?」

 彼女の背後から後方支援をするが如く、鎧武の最強フォーム(極アームズ)の力が発動。ハンマーや長槍、盾や大剣が出現した武器の数々を相殺。神楽の危機を一瞬にして救い出している。あまりにも突飛な出来事に、アナザーエターナルは目を丸くしていたが。

 神楽を手助けしたのは、あの二人であった。

「ここは僕達に任して!」

「よくも神楽ちゃんを……許さないんだから!」

「アッスー! ユッキー!」

 彼女の真横を駆け抜けたのは、攻撃を繰り出す隙を伺っていたユウキとアスナ。特に後者は神楽を痛めつけようとしたアナザーエターナルに激高。ユイの件も相まって、ずっと感じている鬱憤を滲ませながら、彼に真っ向から立ち向かう。

「はぁあ!」

「そこだ!」

 二人が繰り出すは抜群のコンビネーション。共に想いを分かち合ったからこそ成せる技の数々に、さらなる自信を付けていく。ユウキは反撃を恐れぬ一刀を。アスナは相手の隙を突く戦法で、戦いを進めている。

「うっ!? って……この小娘共がぁぁ!」

 さらなるダメージを受けるアナザーエターナルだが、彼もやられっぱなしではない。反撃ともとれる斬撃を余すことなく繰り出し、ユウキやアスナを倒そうと目論んでいる。だが、

「なんの!」

「ハァ!」

二人は軽やかな動きでアナザーエターナルの反撃を回避していく。立て続けに起こる爆発に巻き込まれることなく、しっかりと壁際ギリギリまで後退する二人。

 するとユウキからアスナへ話しかけている。

「大丈夫かい、アッスー?」

「平気よ。そういうユッキーは?」

「もちろん! まだまだ戦えるから! とっとと決めちゃおうよ!」

「そうね……一緒に決めるわよ!」

「うん!」

 互いの様子を心配しつつも、強い闘志を再確認した二人。決して揺らぐことない絆の強さを露わにしていく。

 その言葉と共にアスナは、アルヴドライバーを操作。感情の高ぶりをエネルギーに変えるゴーストの最強フォーム(ムゲン魂)の技を発動していた。

〈ゴースト! ムゲンパワー!!〉

〈イノチダイカイガン! イカリスラッシュ! ヨロコビストリーム!〉

「こ、これは……?」

「とっておきの必殺技よ。さぁ!」

「分かった!」

「さぁ!」

 未知なる力に困惑するユウキだったが、アスナの力強い言葉によって、そんな不安も吹き飛ばしている。屈託のない笑顔で合図すると、二人は真剣な目つきでアナザーエターナルへ狙いを定めていく。

「今よ!」

「はぁ!」

 そして神秘的な音声と共に、左右からアナザーエターナルへと斬りかかるのであった。

「させるか――な、ウルッグ!?」

 強気にも必殺技を封じようとしたアナザーエターナルだが、反撃する暇もなく失敗に終わっている。

「「さぁぁ!!」」

「ギャァッァア!!」

 丸腰となったところを、ユウキとアスナの二人が勢いを込めて斬りかかっていた。ユウキは喜びの感情を力に変えたヨロコビストリームを。アスナは怒りの感情を力に変えたイカリスラッシュを相手に浴びせていく。いずれにしても、強力な一手に間違いはないだろう。

 度重なる攻撃を受け続けて、徐々に動きにも鈍さが生じているアナザーエターナル。万事屋一行も間髪入れずに、攻撃の手を一切緩めることは無かった。

「今だよ、二人共!」

「キリト君にユイちゃん! 定春も頼むわ!」

「ワン!!」

 二人はちょうど近くにいたキリトやユイらに交代。前者は勢いよく走り出して、また後者は定春に乗っかる形で、アナザーエターナルに狙いを定めていく。

〈W! ファングジョーカーパワー!!〉

「ユイ! 定春! 一緒に決めるぞ!」

「任してください、パパ!」

 互いに意思疎通を図りながら、動きを一致させていくキリト、ユイ、定春。彼が解放した力はWの中間フォームであるファングジョーカー。牙と切り札の記憶が力として宿り、色彩もちょうど白や黒と二人のイメージカラーを彷彿とさせている。

 とそれはさておき、必殺技を繰り出す前に二人は、あの決め台詞を披露していた。

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

「ワン!」

 片方の手の指をアナザーエターナルへ差し向けながら、言い放ったWの決め台詞。多くの罪を重ねてきた彼――いや、オベイロンにとってはぴったりの言葉だろう。定春も二人へ続くように鳴き声を上げている。

「罪だぁ? そんなのは僕にはない!!」

 けれどもアナザーエターナルは真っ向から否定。罪を自覚せずに、自己中な性格を露わにしていく。そのまま彼がガイアキャリバーから衝撃波を放った時である。

「「フッ!!」」

 キリト、ユイ、定春はタイミングに合わせながら上空を一回転。策を見破ったかのように衝撃波を回避していた。

 するとキリトは、アルヴドライバーを操作して、Wの必殺技を発動していく。

〈ファング! マキシマムドライブ!!〉

「はぁ!」

「せい!」

 両者共に息を合わせながら、標準をアナザーエターナルへと向ける。その瞬間にキリトの右足には、ファングジョーカーの武器の一種である白い刃、マキシマムセイバーが付け加わっていた。これにてすべての準備は整った。

「「ファングストライザー!!」」

「ファフ~~!!」

 その掛け声を合図にキリトは、両手に長剣を構えながら回転。巨大な牙の紋章を描くように、アナザーエターナルへ急接近する。一方のユイも定春に指示しながら、真っすぐに降下していた。これこそ両者が協力して完成する特殊なファングストライザーである。

「させるか!! って、アギァァァァ!!」

 懲りずに強気でこの必殺技を討ち返そうとするが、すぐに姿勢を崩されてしまい、大きく彼は吹き飛ばされてしまった。ここまでまともに必殺技を防ぎ切ったことはなく、銀時やキリトらにしてやられている。

 両者は安全に着地しながらアナザーエターナルの様子を伺うが、依然として彼の変身はまだ解けない。彼のしぶとさにうんざりとしながらも、攻撃の一手は一切緩めないのだ。

「行ってください、銀時さん!」

「今度こそ撃破するぞ!」

「おう、任しておけ!」

〈ブレイドパワー!〉

 キリトやユイらは、目の前へちょうどいた銀時へ攻撃役を交代。彼は意気揚々とした表情で、アナザーエターナルへまたも挑んでいく。

 すると彼はすぐにブレイドの力を発動。彼が持つ醒剣ブレイラウザーをアルヴビッカーから召喚しており、自慢の木刀も含めた二刀流戦法で、今度こそアナザーエターナルを撃破しようと躍起になっていく。

「はぁぁ! おっ!」

「ぐはぁ! 貴様ぁ!!」

 相手の隙を次々と突く戦法で、戦いを自身の思い通りに進める銀時。使い慣れた木刀に加えて、新たなる武器のブレイラウザーをも自分のものにして、アナザーエターナルへ強力なダメージを与えている。

 一方的な攻撃に激高しているアナザーエターナルは、逆転の一手を必死に模索していた。

〈マヨネーズ! マキシマムドライブ!!〉

「こうなりゃやけだ! これでも食らえ!!」

 思わずためらっていたガイアメモリの力を彼は解放する。使用したのはマヨネーズメモリであり、その効果はなんとねっとりとしたマヨネーズのエネルギー波を剣先から解き放つことが出来るようだ。どこぞのマヨラーが聞けば、泣いて喜びそうな必殺技だが。

 一方の銀時はトンチキな技を繰り出されてもなお、一切動じることなく事を進めていく。

「ったく……ん? まさかこのカード共、この剣に使えるのか?」

〈スラッシュ!〉

〈サンダー!〉

〈ライトニングスラッシュ!〉

 ちょうど銀時は数分前に手に入れたラウズカードと、ブレイラウザーの関連に気付き始めており、素直にも二枚のカードを中心部のスラッシュリーダーに読み込ませていく。使用したのは電撃と切れ味を高める技の一種、ライトニングスラッシュである。

「おっと!? なるほど、こりゃちょうどいい!」

 要領よく技の本質を飲み込んだ銀時は、フッと笑いつつもすぐに二本の剣を構えていた。襲い掛かるマヨネーズの衝撃波にどう対処するのかと言うと、

「テメェにお返しだぁ!!」

「何……ギャァァァァ!! 全身にマヨネーズがぁぁぁぁ!!」

自身に被弾する前に相殺。並びに残った衝撃波を丸々アナザーエターナルへと討ち返している。その効果は絶大であり、全身がマヨネーズで覆われたアナザーエターナルは肩を外したように発狂。全ての方角から隙を見せている。

 もちろんこんな絶好の機会を、場にいた全員が見逃すはずがない。

「今だ! みんな!!」

「うん!」

「オーケー!!」

「おう!」

 キリトの掛け声を合図に動き出す七人と一匹。新八とユウキは刀や刀剣を構え、ユイと定春はまたも突進攻撃を繰り出そうとする。

〈クウガ! マイティパワー!!〉

〈ディケイド! ファイナルアタックライドパワー!!〉

〈ビルド! ラビットタンクパワー!!〉

〈ジオウパワー!!〉

「「「「ハァ!!」」」」

 一方で神楽、銀時、キリト、アスナの四人は。一斉にライダーの力を発動。

 

 神楽は右足に炎の力を宿すクウガの必殺技マイティキックを。

 銀時は前方に無数の巨大なカードを出現させながら、相手へ向かって蹴りかかるディケイドの必殺技ディメンションキックを。

 キリトはグラフ型の標的固定装置を展開。グラフ上を滑りながら加速してキックを放つビルドの必殺技ボルティックフィニッシュを。

 アスナは戦場全体に巨大な「キック」の文字を作り出し、一つの文字へと集結させて、それらを右足のブーツの底へと刻み込み相手へ飛び蹴りと同時に浴びせるジオウの必殺技タイムブレークを。

 

 四方八方からの一撃で、今度こそ勝負に蹴りを付けようと皆が全力を注ぎこんでいく。

「「「「「「「はぁぁぁ!!」」」」」」」

「ギャハ!! ぐふぅ!! うぐっ!? キィ!?」

 休む間もなく繰り出されていく七人と一匹の一撃。新八やユウキが斬りかかると、追随するようにユイと定春が体当たり。さらには銀時、キリト、神楽、アスナの四人が個性的なライダーキックを繰り出していく。連続した攻撃を受け続けたアナザーエターナルは、情けない声を上げながら、つい肘を地面へと付けてしまう。

 幾度も必殺技を打ち込んだのだが、それでもアナザーエターナルは一切倒れる気配がなかった。だがしかし連続した必殺技がようやく効いたのか、彼の体からは電撃のような痺れが何度も発生している。アナザーライダーとはいえ、強力な必殺技を受け続けてしまえば、体にもガタが来ているのかもしれない。

 呼吸を整えつつも万事屋一行は一度集結して、冷静に現在の状況を確認している。

「ったく、しぶとい野郎め!」

「まだ諦めないアルか!」

「二人共、焦っちゃダメよ! 相手の手の内は、もうほぼ見切ってんだから!」

「今のペースで攻撃を続けるぞ! 大丈夫……流れはこっちに向いている!」

「油断せずにガンガン行くってことだね!」

 苛立ちを覚える銀時や神楽に対して、アスナが威勢よく宥めていく。彼女の言う通り、アナザーエターナルの攻撃方法はすでに大方把握している。だとすれば後は相手の行動を先読みしつつ、しっかりと好機を掴むだけ。ようやく見えてきた勝機に、キリトやユウキは一段と気合を高めていく。

 そう皆の心が一致しようとした時。ユイはある違和感へ気付き始めていた。

「ん? ちょっと待ってください!」

「えっ? どうしたの、ユイちゃん?」

 新八が問い直すと、彼女は怪訝な表情で思ったことをそのまま話していく。

「何か嫌な予感がするんです……こんな一方的に攻撃を受けるのも、敵の策略ではないでしょうか?」

「そ、そうアルか!?」

「まさか……?」

 盲点を突いた指摘には、つい目を丸くしてしまう神楽、キリトら一行。よくよく思い返すとガイアメモリで抵抗はしても、致命的な攻撃は彼から与えられることは無かった。

指摘が徐々に確信へと移り変わる中、アナザーエターナルは万事屋一行を嘲笑うかのように、その本心をさらけ出していく。

「フッ、勘の良いガキだな。仕方ないな、教えてやろう!」

 すると彼は破壊された装置の亡骸に指を指していた。

「この破壊された装置にはなぁ……ある仕掛けを組み込んでおいたのだよ! ライダーの持つ無尽蔵のエネルギーを利用するとっておきの秘策がな! 要するにだ!! お前達が幾ら攻撃をしようとも、全て装置の再始動に利用するまでってことなんだよ!! あははははは!!」

「何ですって……!」

「俺達が良いように利用されていたってことか!」

「テメェは……」

 自身の勝利を鼻っから確信していたのか、簡略的に最後の悪あがきを繰り出すアナザーエターナル。やはりユイが不安視していた通り、攻撃や必殺技を受け続けていた理由は、全て装置の再興が目的だったという。ある意味で彼の目論見を見透かすことが出来なかった銀時らは、存分に悔しさを表情へと滲ませていた。

「後は受けたエネルギーをこのまま移動させるだけ……残念だったな! この戦いも僕の勝利――」

 笑いの止まらないアナザーエターナルは、早速装置を起動しようとした時である。

〈ガジャーン!!〉

「へ?」

「何だ!?」

 ふと後ろを振り向くと、そこには彼にとって信じがたい光景が広がっていた。轟音と共に目にしたのは、残っていた亡骸さえも木っ端微塵に破壊される瞬間である。

「そ、装置が……ハァ!? おい、どうなっているんだ!! なんでまた!!」

 準備さえも完璧に施していた装置の破壊には、アナザーエターナルも困惑。焦燥しながらも犯人を突き止めようとしていた。その正体は無論あの男の仕業である。

「なるほどな……残骸をかき集めてまで野望を遂行するとは、とんだ醜い野郎だな。テメェのハイライトショーはここで終わりだ。しっかりと己の運命を受け入れるこった」

 小粋な冗談を交えながらアナザーエターナルに話しかけてきた一人の男。装置からモクモクと舞う煙に包まれながら、彼の前に姿を現したのは、

「た、高杉晋助ぇぇぇぇ!! 貴様かぁぁぁぁ!!」

高杉晋助である。ずっと行方をくらませていたが、密かにフレイアや来島達のサポートもしつつ、そのままアナザーエターナルのいる屋上まで駆けつけていた。決して銀時らを手助けしたわけではなく、あくまでもオベイロンを倒すために起こった算段である。

「言っただろ。俺はただ壊すだけだ。テメェの腐った計画をな」

 鋭い眼光を光らせながら言い放った宣告。その心情に一切の偽りはないという。

 その雰囲気のまま、高杉は銀時らにも一声だけかけている。

「銀時、後は好きにしろ」

「おい、待て! 高杉! おい!」

 多くは語らぬうちに彼はとどめを銀時らへ譲った後、まるで何事も無かったかのようにその場を奇麗に立ち去っていた。最初こそ呼び止めていた銀時も、次第に高杉の性格からすぐに心を納得させていく。

 一方のオベイロンは最後の悪あがきすら台無しにされて、言いようもない怒りが全身を滾らせている。

「許さないぞ……よくも。よくも僕の最後の計画を邪魔したなぁぁぁ!!」

〈……マキシマムドライブ!〉

 八つ当たり気味に彼は、全てのガイアメモリをガイアキャリバーに装填。手際よく衝撃波を銀時らへ向けて投げ飛ばしていく。だが、

「「「「はぁ!!」」」」

銀時、キリト、アスナ、神楽の四人が難なく衝撃波を弾き飛ばした。四人にとってはこの技も既に見切っている。彼らは目線をアナザーエターナルへと向けており、ライダーの力を使わずとも互角に張り合える実力を、まぢまぢと見せつけていた。

「あぅ!?」

 自身の最大級の必殺技を防がれて、つい変な声を出すアナザーエターナル。もはや彼にとって打つ手のない状況。巡り巡った勝機を無駄にすることなく、銀時、キリトらは遂に彼へとどめを刺していく。

「オベイロン……もうここまでだ!」

「迷惑をかけた分、きっちり落とし前は付けてもらうぞ!」

 そう二人が発すると、仲間達も順応するように頷く。全員の気持ちを一つにして、四人はアルヴドライバーを操作。とどめを刺すに相応しい最高の必殺技を発動した。

〈フィニッシュライダーアタック! ……平成ライダー! ソードパワー!!〉

〈ヘイセイ! ヘイセイ! ヘイセイ! ヘイセイ! ヘヘヘイセイ!! ……〉

 アルヴドライバーから流れてきたのはライドヘイセイバーの待機音。妙に耳へ残る個性的な音と共に、万事屋一行の周りには金色の扉が出現。それぞれに年号が描かれており、扉が開くとそこから年号に準じた平成仮面ライダーが登場していた。

 ライジングタイタンソードを構える仮面ライダークウガ(ライジングタイタン)。

 フレイムセイバーを構える仮面ライダーアギト(フレイムフォーム)。

〈ソードベント!〉

 ドラグバイザーツバイをブレードにして構える仮面ライダー龍騎サバイブ。

〈エクスチャージ!〉

 ファイズエッジを構える仮面ライダーファイズ。

〈ライトニングスラッシュ!〉

 醒剣強化型ブレイラウザーを構える仮面ライダーブレイド(ジャックフォーム)。

 装甲声刃を構える仮面ライダー装甲響鬼。

〈マキシマムハイパータイフーン!〉

 パーフェクトゼクターをソードモードにして構える仮面ライダーカブト(ハイパーフォーム)。

〈フルチャージ!〉

 デンガッシャーをソードモードにして構える仮面ライダー電王(ソードフォーム)。

〈ウェイクアップ!〉

 ガルルセイバーを構える仮面ライダーキバ(ガルルフォーム)。

〈ファイナルアタックライド……ディ、ディ、ディ、ディケイド!!〉

 ライドブッカーをソードモードにして構える仮面ライダーディケイド(コンプリートフォーム)。

〈サイクロン! ヒート! ルナ! ジョーカー! マキシマムドライブ!!〉

 プリズムビッカーを構える仮面ライダーW(サイクロンジョーカーエクストリーム)。

〈トリプル! スキャニングチャージ!!〉

 メダジャリバーを構える仮面ライダーオーズ(タトバコンボ)。

〈エレキ! リミットブレイク!!〉

 ビリーザロッドを構える仮面ライダーフォーゼ(エレキステイツ)。

〈ウォーター! スラッシュストライク!! ジャバジャバ、バッシャーン!!〉

 ウィザーソードガンをソードモードにして構える仮面ライダーウィザード(ウォータードラゴン)。

〈ロックオン! 一、十、百、千、万、億、兆、無量大数!!〉

 火縄橙々DJ銃を大剣モードにして構える仮面ライダー鎧武(カチドキアームズ)。

〈ヒッサーツ! フルスロットル、ワイルド!!〉

 ハンドル剣を構える仮面ライダードライブ(タイプワイルド)。

〈メガマブシー! 闘魂ダイカイガン!!〉

 サングラスラッシャーを構える仮面ライダーゴースト(リョウマ魂)。

〈ダブルガシャット! キメワザ!!〉

 ガシャコンキースラッシャーを構える仮面ライダーエグゼイド(マキシマムゲーマーレベル99(分離状態))。

〈レディゴー! ボルティックフィニッシュ!! イェーイ!!〉

 4コマ忍法刀を構える仮面ライダービルド(ニンニンコミックフォーム)。

〈ジオウサイキョウ!!〉

 サイキョ―ジカンギレードを構える仮面ライダージオウⅡ。

 全ての平成仮面ライダーが剣を得意とするフォームで登場。この戦いに決着を付けるべく、悪しきアナザーエターナルへ標的を定めていく。

 神々しい英雄達の共演に浮かれることなく、銀時やキリトらも同じように各々の技を構えていた。合計で二十七人と一匹の総攻撃。確かな本気を感じ取ったアナザーエターナルは、その勢いに押されて弱腰となってしまう。

「や、止めろ……止めてくれ!! 僕をいじめるな!! 僕は……この星の頂点に立つ者だぞ!! なぁ!!」

 自分が今までにしたことを棚に上げて、無様にも命乞いをするアナザーエターナル。保身にも走る姿は、彼の自分勝手な性格を濃縮していると言えよう。

 そんなアナザーエターナルに、ユウキが一喝していく。

「違う!! アンタは……僕らから自由を奪った、最低最悪の科学者だ! みんなが味わった苦しみや悲しみを……今ぶつけてやる!!」

「ひぃぃ!!」

 ユウキにとっては大切な仲間や守るべき町人の気持ちを踏みにじったことがどうしても許せず、仲間達と共に彼へ引導を渡す決意を固めていた。互いにアイコンタクトを交わしつつ、二十七人の戦士は全ての準備が完了する。

「これが俺達から受け継がれた……」

「「「「「「「自由を取り戻すための力だ!!」」」」」」」

 想いを一つにして、全員が真っ向から走り出す。切羽詰まった表情で、感じたままの想いを剣や武器に宿していた。

〈ライダー! ソードスクランブル!!〉

 アルヴドライバーからも待機音から必殺技音声に移り変わる。この声と同時に、召喚された平成仮面ライダー達は順々にアナザーエターナルへと斬りかかっていた。

「ライジングカラミティタイタン!!」

「セイバースラッシュ!!」

「ドラグブレードスラッシュ!!」

「スパークルカット!!」

「ライトニングスラッシュ!!」

「音撃刃 鬼神覚声!!」

「マキシマムハイパータイフーン!!」

「俺の必殺技! パート1!!」

「ガルル! ハウリングスラッシュ!!」

「ディメンションスラッシュ!!」

「ビッカーチャージブレイク!!」

「オーズバッシュ!!」

「ライダー100億ボルトブレイク!!」

「ウォータースラッシュ!!」

「火縄橙々無双斬!!」

「ドリフトスラッシュ!!」

「オメガシャイン!!」

「マキシマムクリティカルフィニッシュ!!」

「ボルティックフィニッシュ!!」

「キングギリギリスラッシュ!!」

「あう! あぎゃ! ぎぃ!! ぐはぁぁぁっぁあ!!」

 立て続けに必殺技を食らい続けて、大ダメージを負うアナザーエターナル。今までにない感じたことがない痛みが、次々と襲い掛かっている。さらには仮面ライダージオウⅡの技の効果によって、アナザーライダー特有の特性も破壊。彼が体内に宿しているアナザーエターナルライドウオッチにもヒビが生じている。

 徹底的な必殺技を受け続けたアナザーエターナルだったが、これで終わったわけではなかった。

「「「「「「はぁぁぁぁ!!」」」」」」」

「うわぁあ!!」

 とどめと言わんばかりに銀時、キリト、新八、アスナ、神楽、ユウキがタイミングを合わせて彼に斬りかかる。その後ろでは定春に乗ったユイがおり、六人を支えつつアナザーエターナルへ押し通そうとしていた。

「おのれ……よくも! よくもぉぉぉぉ!!」

 自身の敗北を悟ったのか、悔しながらも悲痛な叫び声を上げるオベイロンことアナザーエターナル。仮面によって表情は見えぬが、苦し悶えていることは間違いないだろう。

 そんな彼に向けて、キリトらは最後に事を投げかけていく。

「さらばだ……別世界のオベイロン!」

「ユイちゃんを苦しめた天罰よ! 恥を知りなさい……!」

「テメェの天下も、これでしめぇだ!」

「「「「はぁ!!」」」」

「あぎゃぁぁっぁあ!!」

 キリト、アスナの怒りの感情と共に、力強く斬りかかった六人。おまけにとユイや定春が突進攻撃で追い打ちをかけていく。皆が動きを止めて後ろへ振り返ると……

「僕は諦めないぞ!! いつか……いつかすべての生物が、僕の前に跪かせてやる!! アハハハ……アカラァァァァァァァァァ!!」

アナザーエターナルの体が限界を迎えて大爆発を起こしていた。断末魔と共に迎えた彼の顛末。人々を支配したかった男は、最終的に英雄たちへ認められた勇敢なる者たちへ引導を渡されている。

 一方で爆発の規模は想定以上に激しく、一部のライダー達が万事屋達を守るべく盾等で余波を防ごうとしていた。

〈シールド オン!〉

〈ディフェンド! プリーズ!〉

〈メタル! マキシマムドライブ!〉

 フォーゼ、ウィザード、Wの三人が咄嗟に魔法や盾で爆発を防ぎ切り、場にいた全員を傷一つなく守り切っている。場がようやく落ち着き、改めてアナザーエターナルのいた場所を見てみると、そこにはぽっかりと丸い穴が出来ていた。どうやら変身の解除されたオベイロンが落とされた跡だと思われる。さらにその近くには、アナザーエターナルライドウオッチが破壊された状態で転がっていた。

 要するにこの状況はと言うと、長い戦いにとうとう決着が付いたということだろう。

「か、勝った……?」

「勝ちましたよね……?」

 まだ現実が受け止めきれず、困惑気味に呟く新八やユイら。仲間達も反応につい困っているが、ここでライダーの一人ジオウⅡが一行に話しかけてくる。

「そうだよ。君達は最高の未来を取り戻したんだ! だから安心して!」

 彼の発した言葉にライダー達もスッと頷く。ここでようやく銀時達は、マッドネバーを倒し切った事実へ気付いていた。

「やっ……やったぁぁぁぁ!!」

「おぉ!! ようやくアルか!!」

 真っ先に喜びの声を上げたのはユウキと神楽。思わず二人は手を繋いで、周りを小刻みにスキップしている。

「はぁ……やっとですか」

「長い戦いだったな」

「おうよ。ったく、投稿者の野郎。時間かかりすぎだったてーの!」

 新八、キリト、銀時もホッと一息つくが、銀時だけはややメタ寄りに呟いていた。

 そしてユイ、アスナも皆と同じように喜んでいる。

「良かったですね、ママ!」

「そうね! みんな……ありがとう!」

 彼女は改めて協力してくれた平成仮面ライダー達にお礼を伝えていた。ライダー達は拳を握りしめながら、力強く彼らの勝利を祝福している。

 

 各々がリベンジを果たして、共闘したこのアルンでの戦い。マッドネバーは壊滅し、人々を閉じ込めていた装置も解除。誰一人として犠牲者を出すことなく、この戦いは幕を閉じている。これも全て万事屋やキリト達の諦めない精神、並びに銀時達へ手を貸してくれた平成仮面ライダー達のおかげだろう。

 今は皆がただ勝利への余韻へと浸っていく……。




今回の登場キャラクター

・世界樹最上階
 坂田銀時・キリト・志村新八・アスナ・神楽・ユイ・定春・ユウキVSアナザーエターナル(オベイロン)

・世界樹内部
 フィリア・来島また子・河上万斉・武市変平太・サクヤ・アリシャルー・ユージーンVSウカワーム・レデュエ・フリーズロイミュード(超進化態)・ガンマイザー(リキッド)・ドラゴンオルフェノク(魔人態)・地のエル

・アルンの街中①
 シリカ・ピナ・リズベット・志村妙・柳生九兵衛・たまVS仮面ライダーリュウガ

・アルンの街中②
 桂小太郎・クライン・エギル・エリザベスVS仮面ライダーポセイドン

・アルンの街中③
 リーファ・近藤勲・土方十四郎・沖田総悟VS仮面ライダーダークキバ

・アルンの街中④
 シノン・月詠・猿飛あやめVS仮面ライダーソーサラー

・アルンの街中⑤
 シウネー・テッチ・ノリ・ジュン・タルケンVS仮面ライダーシグルド

・世界樹内部へ侵入した者
 フレイア・長谷川泰三・オートバジン・高杉晋助





 遂に戦いが終わった!! ここまで長いこと付き合っていただき、本当にありがとうございました!! この話をもってマッドネバーは壊滅。ALO星も無事に平和を取り戻すことが出来ました。
 さぁ、今回の見どころはなんと言ってもダークライダーやオベイロンとの決着。皆が己の全力を懸けて、リベンジを果たすことが出来たと思います。皆さんは誰との決着シーンがお好みだったでしょうか?
 そして! オベイロンことアナザーエターナルとの戦い。アナザーライダーの特性上、すぐには倒せない彼相手に銀さんやキリトは必殺技を連発! とどめには二十人の平成仮面ライダーが幻影として参戦。総勢二十七人と一匹でフルボッコ。高杉も美味しい場面をとっていきましたね。

PS フィリアの対戦相手を間違ったかもしれません……すまぬ。

 では今後についての報告。一応残り2話を予定していて、できれば5月中には全てを終わらせたいです。全ては研修次第。いよいよ日常回へも戻りそうなので、今後も頑張っていきたいです!
 ちなみに投稿が遅れた理由ですが、旅行していました。折角休みをもらったので……。





次回予告

ユウキ「ありがとう、僕らに力を貸してくれて!」

邂逅する平成仮面ライダー達!

高杉「テメェには良い末路だな」

高杉がとどめを刺す相手はオベイロン?

銀時「なんで俺達が手伝う羽目になるんだよ」

アルンは再興へ!

剣魂 妖国動乱篇二十一 自由を取り戻した者たちへ:2003
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