ドドンと百訓突入! そして剣魂も四周年を迎えました!!
銀魂はもう完結してしまいましたがソシャゲコラボや公式CHで今もなお活動して、SAOはセレクト放送や劇場版を控えて、どちらともまだまだ盛り上がりが続きそうですね!
今後も二つの世界を織り交ぜたクロスオーバー作品をゆるゆる製作しますので、どうか今後とも宜しくお願いします!
そんな記念すべき回の主役は誕生日を控えるキリトとアスナと……辰馬?
「えっと……つまりこの剣のレプリカが欲しいのかい?」
「そうアル! キリとアッスーの誕生日に渡す代物ネ!」
「リズさんや鉄子さんなら出来ると思って、相談しに来たんですよ」
「またまた無茶な要求してくるわね、アンタたち」
刀鍛冶屋にて交わされる四人の会話。鉄子、リズベットの二人は、客として来た新八と神楽の要件について耳を傾けていた。
彼らの依頼はキリト、アスナの誕生日プレゼントとして、かつて二人が愛用していた武器のレプリカを製作してほしいとのこと。所謂サプライズとして企画を進めており、ちょうど一か月後に開催されるであろうアスナの誕生日には間に合わせたいという。
「私は別に問題無いんだが、リズ君は大丈夫か? スケジュールとか含めて」
「アタシも平気よ。ていうか、二人のためなら断る理由が無いわよ。しっかりと任せておきなさい!」
話を大方聞いた上で、鉄子、リズベットの両者は、依頼を引き受けることを決めている。特にリズベットは二人の喜ぶ姿が見たいので、神楽らの依頼を好意的に受け止めていた。
「おぉ! 流石アル! 超パフュームのアネゴネ!」
「はいはい、神楽。お世辞は良いからさ」
心強い一言を聞いて、すかさずおだてていく神楽。控えめに反応するも、リズベットは満更でもない様子である。
「一応オーダーメイドの扱いになるけど、料金の方は大丈夫かい?」
「もちろん持ってきてますよ、見合う値段を」
「おぉ、いつの間に」
一方の鉄子は新八と料金について相談。こちらも事前に把握していたので、しっかりと資金は持ってきていた。プレゼントに関しては抜かりの無い準備である。
「じゃ、よろしくネ。リズに鉄子!」
「任せて頂戴!」
「責任持って製作するよ」
こうして依頼が確定し、一か月後の誕生日に向けて製作を始めるリズベットら。新八達もすんなりと企画が進められて一安心している。当日がより楽しみとなっていた。
それから約一か月が経った頃。新八、神楽は本日のパーティーの主役でもあるキリト、アスナを刀鍛冶屋まで案内していた。
かぶき町の街並みを歩む中で、現在四人はたわいのない会話に花を咲かしている。
「本当、銀さんとユイちゃん、上手くやっていけてるかしら」
「ちょっと心配だよな……変なことを教えてなきゃいいけど」
「大丈夫ですよ。リーファさんやシノンさんも付き添ってくれるみたいですし」
「そうネ! なんかあっても二人が抑え込むアルよ」
二人は別行動をとっているユイと銀時の行方を気にしていた。
現在この二人は誕生日会の料理を作るために、吉原のある場所で準備を進めているという。気だるさが取り柄の銀時にユイが振り回されていないか心配だったが、彼のお目付け役としてリーファやシノンも合流しているらしい。期待と不安が今もなお混ざり合い、しっかり出来ているのか。心配の尽きないキリトらである。
そうたわいのない話をしているうちに、四人は遂に刀鍛冶屋へと到着していた。
「さぁ、着いたネ!」
「って……ここに私達のプレゼントがあるの?」
「そうですよ。すいませんー! 鉄子さんにリズさん、いますかー?」
着くや否や新八は早速鉄子らを大声で呼んでいく。すると店の奥から二人が姿を見せたのだが……何やらどちらとも浮かない顔をしている。
「リズ? それに鉄子さんも一体どうしたんだ?」
深刻そうな表情を心配してキリトが興味本位で聞くと、二人はようやくその重い口を開けていた。
「実はな……」
「えっ!? 盗まれたの!?」
予想もしなかった展開に驚嘆とした声を上げるキリトら。これにはリズベットらの申し訳なさそうな態度も頷ける。
単刀直入に言うと、折角製作した剣がどちらも盗まれたと言うのだ。ひとまずは詳しい事情をリズベットらに聞いてみる。
「本当一瞬目を盗んだ隙にな。こちらとしても申し訳ない限りだよ」
「ごめんね二人共。とびっきりのレプリカをプレゼントする予定だったのに……」
二人の何とも言えない表情から、言葉にはし難い悔しさがひしひしと伝わっていた。ほんの目を離した隙に。しかもピンポイントでちょうど製作した剣を奪う行為に、新八達は犯人の狙いについて独自の考えを煮詰めていく。
「リズ達のせいじゃないわよ。結局盗んだ犯人が原因なんだから」
「でもこんな局所的に剣を狙うアルか?」
「考えすぎかもしれないが、本当にたまたまかもしれないからナ……」
「とりあえず近くを探してみましょうよ。まだいるかもしれませんから」
剣を狙った犯人の狙いも気になるところだが、それでも今はしらみつぶしに探すべきだと新八らは察していく。絶対に探し見つける気持ちを奮起して、意気揚々と刀鍛冶屋から出ようとした――そんな時である。
「何ぃー! それはまっこと本当か? そりゃ助かるぜよ!」
「ん? 誰だ、あの人?」
「どこかで見たことがあるような……」
一行の目の前に突如として謎の男性の姿が目に入った。土佐弁で話す長身の男性であり、口調からも陽気そうな一面が伺える。キリト、アスナの二人は男性の雰囲気から謎の親近感を感じていたが、対して新八や神楽はまったく異なった反応を示していた。
「いやぁ~本当はキャバクラに行くつもりじゃったが、これは見逃せないぜよ。すぐ向かうぜよ」
そう言って男が一旦通話を切ると、彼は辺りをサラッと見渡す。するとすぐに、新八やキリトらの存在に気付き始めている。
「ん!? おぉー、これは万事屋の嬢ちゃん達じゃなか! こんなところで会うとは偶然ゼよ!」
「やっぱり坂本さんでしたか!」
何のためらいもなく陽気に話しかけてきた男の正体は坂本辰馬。銀時と共に攘夷戦争を戦い抜いた英雄の一人である。無論新八や神楽も彼とは顔見知りであり、緊張感が解かれたように親しく話していく。
「おぉー、なんじゃ。金時は今日居らんのか? もしかしてとうとう逮捕されたきに?」
「んなわけねぇだろ、ちくしょーめが。今日は別行動アルよ」
「実は今日なんですけど、銀さんや知り合いの誕生日会を一気にやる予定なんですよ」
「なんと! それはめでたいぜよ! ぜひワシも参加させてほしいぜよ!」
終始金時と誤って呼称しているが、いつものことなので新八や神楽は修正することなく話を続けていた。誕生日会と聞き、どうやら坂本も興味を持ったらしい。
久しぶりに坂本と交流を交わすその一方で、キリトとアスナの二人は何やら浮かない表情を見せている。
「えっと……坂本さんってどこかで見覚えがあるような」
「キリト君。もしかして夢の中で会ったあの人じゃない?」
「夢の中……? あっ! チサの一件の時か!」
初対面にも関わらず抱いていた坂本への親近感。その正体は次元遺跡でかつて出会ったことのある別世界の坂本辰馬にあった。姿や格好はまるで違うが、喋り方や雰囲気はまさに面影がある。本人には話が通じないかもしれないが、それでも点と点が繋がったことに二人は安堵していく。
そんなやり取りがあった一方で、新八や神楽は早速キリトらのことを坂本に紹介する。
「そういえば坂本さん。紹介がまだでしたね。こちらが」
「おぉ、分かっているきに。キリト、アスナ、そしてユイちゃんって子が万事屋に入ったんじゃなか」
「えっ? なんで知っているアルか?」
「何でも何も風の噂で聞いたぜよ。それにホームページもしっかり見たからな。フハハハ! まっこと変わったのう、万事屋も」
自己紹介がてらにキリトらを紹介するも、坂本はすでにユイを含めて三人のことを把握していた。噂及びホームページで新たなメンバーのことは耳に入っていたらしい。新八や神楽は改めてホームページを製作したことで、知り合いにも影響が波及することを理解していた。
とそれはさておき、坂本は改まって初対面となるキリトやアスナに丁寧な挨拶を交わしていく。
「改めてご挨拶じゃ。ワシの名は坂本辰馬。宇宙で商いをしている商売人じゃ。おまらんとも大変お世話になることがあるきに。以後よろしくぜよ」
「よ、よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
手を差し出して、手堅い握手を交わしていく三人。陽気な面も踏まえて、坂本とは仲良く出来るとキリト、アスナらは確信していた。
「いやぁ~清廉潔白な若人達ぜよ。早速プレゼントでも送るきに。特製〇ンガと電気〇ンマを……!」
「おめぇはリア充になんてもう送ろうとしているアルか!」
「二人の純愛を汚すな!」
「プハァァ!」
と信頼を寄せていた矢先に、発せられた直球な下ネタ。神楽や新八がツッコミを入れたことで、事なきを得ている。所謂冗談で済ましたいところだが、そうも言っていられない。反応に困ってしまったキリトやアスナは、ただただ引きずった笑いを浮かべる他無かった。
そんなやり取りも落ち着いた直後に、坂本はずっと気になっていたことをキリトらへと聞いている。
「そういえばおまんら。こんなところで何をやっておったんじゃ?」
「えっと、それは……」
彼らが単独行動をしているについてだが、その問いを聞いた四人はさっきまで自分達の身に起こっていたことを坂本へと要約して説明していく。
「何!? 誕プレのレプリカ剣が何者かに盗まれたと!」
「そうだな……」
「一瞬目を離した隙に無くなったみたいなのよ。犯人も見つかっていないみたいだし……」
中々進展しない事態に、複雑そうな心境を抱えるキリトやアスナ。二人の表情は一段と暗く落とされていた。
この不運とも言える万事屋の出来事には、坂本もつい息を詰まらせてしまう。
「なんてことぜよ。ワシが吉報を受けたと同時に、おまんらは悲劇に見舞われていたとはな。世の中全員が上手くいかなか」
「吉報って……坂本さんはどんなことが起きていたんですか?」
「どうせキャバ嬢に口説かれたとかじゃないアルか?」
彼の言葉から出たのは同情心だけではなく、吉報と言う気がかりな二文字も。すかさず新八や神楽が問い返すと、坂本はその概要を余すことなく明かしていく。
「何ぃ。マニアックな情報ぜよ。実はこの近くで開かれている露店で、平行世界の剣が売られていたぜよ。一変この目で確かめようと思って、現地まで向かおうとしたところぜよ」
そして手に取ったデバイスから、露店と思わしき写真を万事屋の面々に紹介していた。そこに映し出されていたのは……
「ア、 アスナ……これって」
「間違いないわ。これよ!」
「ん? どうかしたんか?」
なんと盗まれたばかりのレプリカ剣である。坂本はあまり実感が無く、万事屋が騒ぐ理由も分からなかったが、キリト側からすれば一大事に間違いない。
意外なところで繋がった点。顔色をまるっきし変えた万事屋の面々は、すぐに坂本を案内役としてまくしたてていく。
「おい、もじゃ! この場所まで案内するアル!」
「痛! ちょっと嬢ちゃん、引っ張らないで……かなり痛いぜよ!」
「と、とにかく早く急がないと!」
「だから急かすな! 落ち着くぜよ!」
未だに詳しい訳を知らない坂本にとっては、万事屋が何故焦っているのかまるで分からない。とにかく移動がてら詳しい理由を聞こうと試みている。神楽に耳をつまれている以上は、痛みの方に神経が集中しそうではあるが。
坂本との出会いをきっかけに、事態は大きく進展していった。
場所は変わって、こちらはかぶき町公園付近。普段は元気一杯の子供達や、失意に暮れたホームレスが行き交う二面性を持った通路である。
そんな場所で一人のネズミに似た天人が、勝手に露店を開き商売を始めていく。
「さぁ、買った! 買った! 今回紹介するのはこれだ! かつて別世界で因縁を撃ち断った伝説の剣だよ! お値段はたったの五万円! 今話題の商標利用権よりも安いよ! さぁ、買いだ!」
「「おぉー!!」
まるで通販番組のセールスマンのように巧みな話術を扱い、客達を商品へと誘導させるネズミ型の天人。ここからは値切りだの値上げだの交渉に入り、増々活気づくことを彼は目論んでいる。
もちろん正式な許可は取ってないため、この店自体はただの違法営業。それを分かった上で、天人は客から大金をせしめようとしていた。
そんなオークションとも思わしき光景を、坂本と万事屋達は傍からそっと見張っている。
「二人の誕生日プレゼントなのに……!」
「あのネズミ、どつきたいネ!」
さも当たり前のように商品を売り込む天人の厚顔無恥さに二人は激昂。表情を滲ませて、ぎょろと鋭く睨みを利かせていく。よっぽど思うところがあるのだろう。
「あの状況だと、強制的には奪えないわね……」
「あんなに客がいたら、多勢に攻められるかもしれないからな……」
一方でキリト、アスナは冷静に状況を分析。奪還をも考えたが、客もいるため強引な一手は使用できない。下手をすれば、こちらが悪者として扱われてもおかしくないからだ。
皆が慎重に状況を見定める中で、坂本は思いつく限りのネズミ型天人の情報をスラスラと羅列させる。
「良い判断ぜよ。アレがヤツの狙いじゃき。」
「えっ? 坂本さんはあの天人のこと知っているんですか?」
「ワシの同志も被害を起きたと聞いておる。アイツの名はテン・ネズヤー。新手の転売業者じゃき」
「おぉ! アレが世を騒がす転売ヤ―の正体アルか!」
「いや、全員が全員あんな姿じゃないから!」
神楽の勘違いに、新八がすかさずツッコミを入れていた。坂本が言い放ったネズミ型天人の正体はなんと転売者。さらに詳しい情報を仲間達に伝えていく。
「ヤツはネズミの如く這い寄り、ネズミの如く仕留める新手の転売ヤーじゃき。盗んだものを一日のうちに売りさばき、証拠を何一つ残さない精神で商いを続けているぜよ」
「一日のうちに?」
「相当タチが悪い天人みたいね……」
その容姿を彷彿とさせるように、一瞬のうちに物品を奪い売買するのが彼の十八番。坂本の知り合いにも被害が及んでいるらしく、あまりにも悪質なやり方にキリトやアスナは思う存分に気を引かせていく。
「値切ることは出来ないのか!」
「いいや! 俺は五万よりも多く出すぜ!」
「俺もだ!」
そんな仲間達の感想はよそに、未だに続けられる値段交渉合戦。このままではテン・ネズヤーの思惑通り、折角の誕生日プレゼントが無駄になってしまう。
「って、もう動かないと売れちゃうアルよ!」
「突入以外の方法は無いのか……」
「ネズミなんだから、餌にでも引っかかればいいのに!」
「そんな上手くいくわけが……」
神楽、キリト、アスナ、新八の順で思うことを言い放つ。もはや一刻の猶予もない中、果たして無事に取り戻すことが出来るのか。皆が頭を悩ませる中、坂本はアスナの一言である作戦を閃く。
「そうぜよ。ちょうど良いものがあったぜよ」
「坂本さん? 何か打開策でも思いついたのか?」
「とっておきのな。キリトにアスナ。ここはワシに全て任せるぜよ!」
「ちょ、ちょっと!?」
詳しい理由など説明しないまま、単身テン・ネズヤーの元まで走り出す坂本。皆は彼を止めることが出来ず、このまま坂本の動向を見守るしか術はなくなった。
こうして始まるレプリカ剣の奪還劇。全ての運命は宇宙の商人、坂本辰馬に委ねられていく……。
「おぉ! こんなところに、物珍しい物が売っているきに。ワシも参加するぜよ」
「ん? いやいやお客さん。今更来てもお手頃には買えないよ。十万は最低でも積まないと」
途中参加した坂本に撤退を促すテン・ネズヤー。値上げ合戦と突入しており、並みの金額では購入出来ないと括っている。だがそれでも坂本は怯まない。
「何とも強気な値段設定ぜよ。じゃがこれなら心変わりするんじゃなか?」
「フッ。無駄だよ。俺の心を射止めようたってそうはいかねぇよ」
奥の手があると評し、坂本は懐からあるものを取り出す。テン・ネズヤーは鼻っから期待せず、余裕綽々な態度を続けていた。仲間達も坂本の動向を見守り、他の客人も坂本の奇抜な行動に注目を寄せていく。
彼が取り出した逆転の一手は、
「ならば、これはどうじゃ?」
「はぁ? これはチーズ?」
何の変哲もない手頃な黄色いチーズであった。
「おいおい、受けるな!」
「そんなもんで買えるわけがねぇのによ!」
ハッタリのような予想の斜め下を行く坂本の一手に笑いをこみ上げる客人やテン・ネズヤー。てっきりネタとして思い込み、周りにいた全員が坂本を小馬鹿にしている。
もはや万事休すな状況……かに思われたが、坂本は一切動じていない。この事態でも自身に流れが来ていると信じ続けている。
「言えるうちに言っておくぜよ。おまんらはこのチーズに、こんな背景があることを知らないじゃろーて」
「何だと?」
すると彼は手短な昔話を話し始めていく。
「昔々のことじゃ。一人の家族がとある星で牛乳を売り続けていたぜよ。じゃが時代と共に牛乳よりもチーズの需要が高くなっていったんじゃ。移り変わる時代の中で一家はある決心を固める。そうだ、牛乳の風味を残したまま新しいチーズを作ろうと。あらゆる試行錯誤を繰り返していき、何時しかそのチーズはこんな異名で言われた。十九年の奇跡と。今ワシが持っているのがその奇跡のチーズよ」
とある一家を前例に語られたチーズの誕生秘話。坂本の語りも相まって、客人やテン・ネズヤーも素直に信じ込んでいく。
「おぉー」
「で、そのチーズは何円するのだ?」
「少なく見積もっても十万ぜよ。滅多にない取引じゃ。どうかの、店主さん」
話へのめり込んだ隙に、どんどんと畳みかけていく坂本。要するに等価交換として、レプリカ剣とチーズを交換させようと考えていた。テン・ネズヤーにとってもまたとない機会。未知なるチーズの誘惑に、彼はどうするべきか思い思いに悩んでいたが……
「分かった。そのチーズと交換しようじゃないか」
「「えっ!?」」
「まっこと大感謝ぜよ!」
意を決して坂本の交渉に乗っかることにした。結局は強烈なる興味が、テン・ネズヤーの心を動かしたと思われる。予想外の返答に客人達は驚き、対して坂本は納得した表情を浮かべていた。
「ほれ、チーズぜよ。ぜひ奇跡をアンタの舌自身で味わうきに」
「あんがとよ。こんな貴重な代物を」
「ワシも商人じゃ。届けるべき客に渡すのが仕事じゃ。おまんも頑張るぜよ」
早速チーズを渡した後、何故か二人は固い握手を交わしている。商人通しでどこか親近感を持ったからだのだろうか。その表情も温かく移り変わっていた。
こうして坂本は無事にレプリカ剣を抱えながら、足早にその場を去っていく。仲間達の元へと合流していった。
「ほら。ワシにかかればこの通りぜよ」
「こんなあっさりと……」
「凄いですよ、坂本さん!
「おい、もじゃ! 見直したネ! よくやったアルナ!」
あっという間にレプリカ剣を取り返した坂本の度胸に、皆は往々と彼を称えていく。新八や神楽も思わず見直すほどの活躍であった。
これも坂本がたまたま持っていたチーズがきっかけとも言えるであろう。
「ここまで出来たのも、坂本さんの持っていた奇跡のチーズのおかげね」
「はて? 奇跡のチーズ?」
「何言ってんだ。さっき懐に持っていたチーズじゃないのか?」
坂本へ再度聞き直していく仲間達。ついでに奇跡のチーズの詳細も深堀りしたかったが……
「あぁー! あのことじゃな! 実はな……あの話は全て嘘っぱちきに」
「えっ?」
「はぁ!?」
「へ!?」
その真実はあまりにも残酷的である。坂本の口から飛び出したのは真っ赤な嘘。つまりはでまかせであの苦境を乗り切ったというのだ。
「あんな転売野郎に大金なんて積むのは馬鹿馬鹿しいぜよ。だったらこっちも同じような手を使うまでじゃ。バレるかと思っておったが、案外信じてくれたぜよ! さぁ! 本人にバレる前にすたこらさっさぜよ」
「えぇ~」
「本当に大丈夫なの!?」
そう本音を赤裸々に話しつつも、彼は一早く場から逃げ出していく。真相を知ったテン・ネズヤーが仕返しにくる可能性があったからだ。坂本の突飛な行動につられて、万事屋の面々も戸惑いつつも彼の跡を追いかけていく。
その一方で、
「痛!? 急にお腹が……!」
「おい、どうした!?」
「あまりのうまさに体が耐え切れないのか!?」
「いいや……まず! てか腐ってね、これ!?」
テン・ネズヤーはようやく奇跡のチーズの正体に気付いていた。口にするとそのチーズは腐り果てており、急にお腹を下してしまう。様子を見ていた客人達は、むしろ好意的な反応だと最初は勘違いしていたが。
こうして無事に転売騒動は収束を迎えている。
「無事にレプリカも取り戻せてよかったな」
「リズ達が折角作ってくれたもの。大切にしなきゃね」
それぞれのレプリカ剣を持ちながら、改めてリズ達へ感謝を示すキリトやアスナ。かつての愛剣を丸々再現しており、共にとびっきりの笑顔を見せていた。
さらに二人は新八や神楽にも率直な感謝を伝えていく。
「新八に神楽も、改めてありがとうな」
「最高の誕生日プレゼントよ! 大切にするわね」
「おうネ! 二人の笑顔が見れて、こっちも嬉しいアルよ!」
笑顔には笑顔で返しており、温かな雰囲気がそこら一面中に広がる。ついでに坂本も高笑いで雰囲気に乗ろうとしていた。
「ハハハ! やっぱりこっちの笑顔が似合うぜよ。何ならもっと褒めても良いきによ」
「はいはい、分かってますから」
「あんまり調子に乗るなアルよ」
「アハハハ! ちょっと手厳しくない?」
優しく接していたキリトやアスナとは異なり、乱雑な言葉をぶつける新八や神楽にはついツッコミを入れてしまう。明らかに異なる対応の温度差に、坂本はつい苦い表情を浮かべてしまった。
とそんな一行だが、現在向かっているのは誕生日会が行われる会場のひのや。ついでに坂本も同行するようで、同じく回に参加したいとのこと。
若干の厚かましさを覚えながらも、ひのやこと吉原に向けて進む一行。追手も回避して一安心な彼らの元に、あの男達と偶然にも遭遇してしまう。
「おーい。何やってんだおめぇら?」
「ん? って、土方さんに沖田さん?」
声をかけてきた正体は土方と沖田。ちょうどパトカーに乗車しており、そのまま話しかけてきたのだ。パッと見て真選組としてのパトロール活動だと思われる。
そんな彼らだが第一に気になったのは坂本辰馬であった。
「パッと見珍しい組み合わせだな。んで、その怪しげな野郎だ?」
「怪しげなって……坂本辰馬さんだよ」
「真選組の皆さんは知らないの?」
「坂本? 何か聞いたことある名前ですねぇ」
どうやら彼らもキリトやアスナと同様、坂本とは初対面の様子である。もの不思議そうに坂本をジロジロと眺めていく。
「真選組なのに坂本さんのことを知らないなんて……」
「やっぱり全然歴史が違うのね」
本来の歴史を知るキリトやアスナにとっては馴染みのない光景。言葉にはし難い違和感を察している。
そんな中、神楽は真選組に要件を聞いていく。
「ところでどうしたアルか、税金ドロボー。銀ちゃんなら今日別行動でかぶき町にはいないアルよ」
「別に旦那には用はねぇよ。用があるのは転売ヤーの方でさぁ」
「転売ヤー?」
「この近くで違法な商売をしている輩がいると聞いてな。誰か情報とか持ってねぇか?」
土方、沖田の二人の口から出たのはお尋ね者の質問。彼らは巷で噂になっている転売ヤーを事情聴取するために、この付近をパトロールしていたという。
万事屋一行にとっては実にタイムリーな話題である。
「おう、ちょうど良かったぜよ。それなら……」
と二人を現場近くまで案内しようとした時だ。
「こいつだ!」
「へ!?」
「えっ?」
ちょうどそこに元凶たるテン・ネズヤーが来襲。ほぼ当てつけで坂本を名指ししており、そのまま自身の怒りを発散させていく。
「俺の商品を勝手に盗んだんだよ! ほら、こいつを早く捕まえろ!」
「って、何適当なことを言っているか。そもそも原因はおまんぜよ! 通りかかった虫の如く捕まえるぜよ!」
「何を!!」
チーズにお腹を下した当てつけか、坂本が犯人だと意地でも誘導させている。それに対して坂本は、至極真っ当な反論で応戦していく。
「あ、あの……真選組の皆さん。これには深い訳があって」
「はいはい、その話は署で聞いてやるよ」
不穏な雰囲気を察した新八らは真選組へフォローを入れるも時すでに遅い。これ以上口論が発展しないように、真選組がやるべきことは一つである。
〈かちゃ!〉
「「えっ?」」
「面倒くさいんで、まとめて連行しやすよ」
「どっちが正しいか、徹底的に追及してやんよ」
「お、おい! 待つぜよ! ワシは至って無実……!」
二人にまとめて手錠をかけて、そのままパトカーまで詰め込んでいた。坂本にとってはただのとばっちりでしかなく、説得する間もなく連行されてしまう。あまりにも突飛なことに、仲間達はただ唖然として真選組は止めることは無かった。(例え陸奥や銀時が近くにいても、坂本を庇うことは無い気もするが……)
と坂本の悲痛な訴えも虚しく、テン・ネズヤー共々真選組に連れられていく。
「行っちゃったアル」
「まぁ、でも坂本さんだったらすぐ釈放されるわよね?」
「犯人はあのネズミだから」
「ですね。じゃ僕らは戻りましょうか」
「そうアル!」
一見可哀想に思える坂本だが、彼の性格や饒舌な一面から、仲間達はすぐ戻ってくると信じている。謎の信頼を確認した後に、一行はパーティー会場であるひのやへと足を進めていく。きっと仲間達も集結しているに違いない。
無事に終わったレプリカ剣の奪還。功労者とも言える坂本の無事が少しばかり心配である……。
「へぇ~そんなことがあったのですね」
「ていうか、坂本と会っていたのかよ」
「あの唐変木。とうとう逮捕されたか」
「誤認逮捕ですけどね」
キリトらの身に起きたことを知り、異なった反応を見せるシリカ、銀時、陸奥。坂本を知る陸奥らにとっては、逮捕されても特段驚いていない。
現在キリト達はひのやへと戻って来ており、到着早々に仲間達へ質問攻めにあっている。やはり彼らを驚かせているのは、リズベットらが製作したレプリカ剣だった。
「それにしても、こんな精巧に作られているのね」
「これもリズと鉄子達のおかげアルよ。感謝なら彼女にするヨロシ」
「いやぁ~照れるわね。これもキリトやアスナのためだもの!」
「めっちゃ嬉しそう……」
シノンや神楽ら仲間達からの公表を受けて、つい照れてしまうリズベット。浮かれ気味の彼女に、リーファがこっそりとツッコミを入れていく。
「でもよかったですね! 無事にレプリカを取り返せて!」
「そうだな。でも坂本さん大丈夫なんだろうか?」
「すぐに釈放されると良いけど」
プレゼントことレプリカ剣を取り返せたことで、思わず一安心するユイ。一方のキリトやアスナは、坂本のその後を気にしている。取調べで理不尽な扱いをされていないか心配であった。
そんな時である。
「なんじゃ? ワシを呼んだかのう」
「えっ? うわぁぁ!?」
「い、いきなり!?」
なんと坂本は唐突に一行の背後へと戻って来ていた。あまりにも突飛なことにキリトらは困惑。同時に坂本を初めて見たリーファやシノンらは、その見た目とのギャップに驚かされている。
「こ、この人が坂本辰馬さん?」
「全然龍馬感ない人ね」
やはり自分達がよく知る偉人、坂本龍馬との違いを見分けていく。
一方無事に戻って来た坂本に、銀時が声をかけている。
「よくお前戻ってこれたな」
「ハハハハ! あのネズミがへまをしたおかげぜよ! いやぁ~心配かけてすまんかった。陸奥もさぞかし心を揺さぶられたんじゃなか?」
どうやらあの後テン・ネズヤー側が白状したようで、坂本は無罪放免ですぐ釈放になったとのこと。仲間達に心配をかけて申し訳なさを前面に出すが如何せんノリが軽い。故に話しかけてられた陸奥は、とても嫌そうな表情で事を返していく。
「はぁ? おまんなんか誤認逮捕でそのまま死刑にされても、ワシは驚かんぜよ」
「……ハハハ! 急に辛辣すぎない?」
不機嫌そうな態度には坂本もつい怯んでしまう。そもそもが急に仕事を放り投げたのが原因であり、やはり時が経った今でも根に持っている様子である。
とりあえずは無事にトラブルも解決して、再び安堵する仲間達。
「じゃ姉上達が来る前に、席へ付いちゃいましょうか」
「そうですね! 私達が作ったごちそうもありますし」
「おぉー! ワシも入ってよか?」
「好きにしろ。その代わり、主役はちゃんと祝っておけ」
気分を一新させて、誕生日会らしい緩い雰囲気へと変わっていく。坂本や陸奥も同行することなり、このままごちそうの待つ居間へと皆が移動している。
そして戸を思い切って開いた時だった。
「さぁ、こちら……」
「って!?」
そこにはまたしても想定外の光景が。果たして何があったのだろうか……? この真相も次回へと続く……。
陸奥に続いて坂本辰馬も久々に登場! 見事な交渉術でキリト達のレプリカ剣を奪還! でも中々綺麗には締めさせてくれない……
後意外な点で言えば、坂本と真選組の共演。本家だと中々見られなかったので、結構レアなシーンでしたね。
意外と今回はサクサクと進んだ回でした。さてシリカ、アスナ、キリトと続き、次回は銀時が主役。仲間達と一緒にあることに挑戦します!
次回予告
ユイ「銀時さんはどんなゲームで遊んでいましたか?」
銀時「そりゃファミコンとかだろ。そもそもお前らの世界のゲームとは比べ物にならないくらいレトロだぞ。そんな質問で良いのか?」
ユイ「大丈夫ですよ! だって次回はDSを使うんですから」
銀時「DS!? お前等動かせんのかよ?」
ユイ「次回! なんでもかんでも説明書通りにはいかない!」
銀時「で、次回は結局何の回だよ?」