剣魂    作:トライアル

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あらすじコーナー

新八「突如として、ここ銀魂の世界へ飛ばされてしまったキリトさん、アスナさん、ユイちゃんの三人。彼らはこの世界で万事屋を営む坂田銀時、そしてその従業員の志村新八、神楽とひょんな縁から出会うことになる。彼らが元の世界へ戻るまで、僕達万事屋で面倒を見ることになり、五人の共同生活が始まった。(※新八は実家から通っているので、含まれていない)がしかし、三人に続いて、シリカさんやリズベットさんと言ったキリトさん達の仲間も六人と一匹、この世界へと飛ばされてしまった。彼らもそれぞれが信頼を寄せる銀魂世界の住人と仲良くなり、生活する分には問題なくなったが、依然としてきっかけを作ったとされる謎の組織、サイコギルドの手がかりは未だ掴めず仕舞い。果たして九人と一匹は、無事に元の世界へ戻ることが出来るのか。今日も彼らは、銀魂の世界で起きるなんでもありな日常に巻き込まれるのであった……」

銀時「って、なんで急にあらすじコーナー?」

新八「だって僕達、二年間丸々やってなかったじゃないですか。ご新規さんも含めて、このクロスオーバー作品の流れを説明しようと」

神楽「無駄アルよ、新八。そんなかったるい説明なんかなくても、SAOのキャラが銀魂の日常に巻き込まれるだけの物語アル。それ以上でもそれ以下でもないネ」

新八「確かにそうだけど、サイコギルドとかこの世界へ来た理由とか、説明が必要な場面もあるでしょ!」

銀時「そんな一年に一回触れるか触れないかの設定、今更必要か?」

神楽「どうせ次の刀唱時代篇とかいう長篇で回収されるから、今言っても無駄アルよ」

銀時「ということで、銀魂とソードアート・オンラインのクロスオーバー作品、剣魂! 百五訓からしれっと再開しまーす」

新八「ちょっと待て! まだ……」

百四訓より再開します。


第百五訓 履歴は必ず消しておけ

 あくる日の万事屋。夕食後に銀時はアスナやキリトから、パソコンの使い方について入念に学んでいた。

「そう! コツさえ掴めば、手元を見なくてもパソコンが打てるからさ」

「中々良いんじゃないの?」

「そうか? お前らから言われると、少し嬉しいな」

 机に設置されたパソコンを、慎重に操作する銀時。キリトやアスナのアドバイスで、徐々に操作にもなれていき、彼はパソコン操作にも自信が付いている。一方でキリトとアスナの二人は、銀時が積極的にパソコン操作を覚えてくれることに感心していた。

 そんな様子を、新八、神楽、ユイはそっと見守っている。

「銀さんが真面目にパソコンの使い方について学ぶなんて」

「本当ネ。明日は槍が降るんじゃないアルか?」

「そんなことないですよ。銀時さんもパソコンを使いこなして、万事屋の依頼を増やしたいと思っているんですよ!」

「そうアルか?」

 より長い付き合いのある新八や神楽は何か裏があると疑っていたが、対照的にユイは銀時の万事屋としてやる気を純粋に信じている。

 万事屋も良い意味で変わりつつあった。が、次の日にはある一悶着が起きることをこの時はまだ誰も知らないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。天気は良好で快晴。気温も秋にしては暖かく、絶好のお出かけ日和だ。そんな日に万事屋は銀時を除き、近くのスーパーで買い物に出かけている。

「ただいまー!」

「買い物終わったよ、銀さん」

 一足先に新八とキリトが万事屋へ帰宅。買い物袋を玄関先に置いて銀時へ呼びかけるも、彼からの返事は一切無かった。

「銀さん? どうしたんだ?」

「お登勢さんの方にいるのかな?」

 てっきり一階にあるスナックお登勢にいるかと思ったが、人の気配はある。二人は居間を通り過ぎて、寝室の方に向かうと、

「ど、どうしよう……新八にキリト」

そこには青ざめた表情の銀時が座っていた。

「銀さん、どうしたんだ。そんな青い顔して」

「まさかパソコンが壊れたわけじゃないですよね」

 二人はてっきり銀時が大袈裟な反応をしていると思い、からかい気味に発したものの、銀時の表情からはあまり余裕を感じ取れなかった。ここで二人はただ事ではないことに気付き始める。

「えっ、本当に?」

「何があったんだ」

 心配して銀時に問い詰めると、彼の口から思わぬ言葉が飛んできた。

「エロサイトを見たら、画面全体がモザイクだらけになった」

「「……はぁ!?」」

 信じがたい一言を聞き、驚きの声を上げる二人。思わず銀時の持っているパソコンに目を向けると、そこには公には見せられない際どい映像が、バグのような状態で止まっていた。彼の言う通り、エロ動画がきっかけでパソコンが壊れたと、二人は確信している。

「あんた、何やってんだ!! どうしたら、こんなことに!?」

「しらねぇよ! 鬼の居ぬ間に洗濯とかこつけて、無修正を見ようとしたらこの様だよ」

「自業自得だろうが!! やることがせこすぎるんだよ!!」

 新八のツッコミもいつになく激しくなっていた。彼が性欲に飢えていることは前々から知っていたが、ここまで露骨だともはや呆れすら感じている。

 一方でキリトは、最近銀時がパソコン操作に積極的な理由を理解していた。

「てか、最近熱心にパソコンの勉強していたのって……」

「そうだよ! 使い方をマスターして、お前らにバレないようにエロ動画を見たかっただけだよ! オラァ!」

 情けない声のまま、銀時は投げやりでキリトへ返答。ユイの予測していた万事屋の依頼を増やす目的ではなく、ただ単に自分の欲求を満たしたかったのが正直な感想であろう。

「やっぱり銀さんだ……」

「キリトさん。呆れる気持ちはわかりますよ」

 キリト自身も理解はしているものの、銀時の狙いを気付けなかったことに後悔している。ついつい頭を抱えてしまった。

 しかし、狼狽えていても何も進展は無い。キリトもパソコンを軽く操作はしたが、何も変化は無かった。

「この状態だと、一回お店に行った方が良いぞ……」

「僕らじゃ、どうすることも出来ませんよ」

「そ、そうだよな……」

 皆薄々思っていたことを声に挙げる。買ったお店の店員さんに相談することで一致していたが、彼らにはもう一つだけ気がかりなことがあった。

「それに、アスナにバレたらどうなることやら」

「多分アンタ半殺しにされますよ」

「そ、それだけは避けなくては!!」

 そう。まだ万事屋に帰ってきていないアスナのことである。こそこそ隠れてパソコンを壊したとなれば、どんな仕打ちが待っているか想像に難くない。銀時の脳内には、笑顔で銀時をボコボコにして、吹き出た血を舐めるアスナの姿が浮かんでいた。要するに彼の生死にかかわる事態である。

「おい、新八にキリト! 今から行ってくるから、この事は女共に黙っていてくれ! 頼む、三百円上げるから!!」

 まるで命乞いをするかのように、銀時はキリトと新八に口止めを嘆願。三百円を天秤にかけて、恥を承知で二人を抱き込もうとしている。

 銀時の必死の訴えに二人はというと、

「ど、どうします、キリトさん」

「俺は別に良いけど。てか、こんなこともう二度としない方が身のためだと思うぞ」

渋々了承した。と三人で内緒の約束を交わしていた時である。

「ただいまヨー」

「戻ったわよ、みんな」

 なんとタイミングが悪く、アスナ、神楽、ユイの三人が万事屋へ戻ってきてしまった。

「不味い! あとは頼んだぞ」

「ちょ、ちょっと!?」

 声を聴いた銀時は瞬発的にパソコンを持ち、寝室の窓から万事屋を脱出。それからはスクーターを使わず、足だけで電化製品店まで向かおうとしていた。

 一方で新八は窓を閉めて、何事も無かったかのように演出。わずか数秒の差で、銀時はアスナらと鉢合わせせずに出ていったのだ。

「あれ? 銀時さんはどこに?」

「あぁ、銀さんなら俺らが戻ったら、すぐにでかけちゃったよ」

「そうなの? もう~、せっかちなんだから」

 ユイが早速銀時の不在に気付くも、キリトが咄嗟に誤魔化す。またどこかぶらりと散歩に出かけたとアスナは思っていたが、ここで女子達はパソコンが無いことにも気づき始めていた。

「あれ? パソコンが無いアルよ」

「本当ですね! 銀時さんが持ち出したんでしょうか?」

「あぁ……そうですね。なんか源外さんが見てみたいって言って、そのまま持ち出しましたよ」

「えぇ!! 明日の仕事の予定を確認したかったのに……」

 今度は新八がアスナに誤魔化しを入れる。本当は電化製品店に行ったのだが、源外のいるからくり堂にいると嘘を付いていた。これでうまく時間稼ぎが出来ればと、キリト、新八は思っていたが……アスナは二人の不審な行動に若干違和感を覚えている。

「ねぇ、何か二人共隠してない?」

「いや、別に。何も隠していないよな、新八」

「そうですよ。ねぇ、キリトさん」

「本当―?」

 彼女は目を細めて、じっくりと二人を睨みつける。キリト、新八共に冷静さを装うが、段々と状況が悪化していることに、内心ビクビクさせていた。

 そして、

「ちょっと銀さんのこと、追いかけてみるわ」

「「えっ」」

「アッスー、私もついていくネ!」

「私も行きます!」

アスナは何の前触れもなく銀時を追いかけることにする。彼女は妙な違和感を、自分自身の目で確かめるつもりだった。アスナに続き、神楽とユイもその跡を追いかけることに。

「ど、どうしましょう」

「追いかけよう」

「はい!」

 慌ててキリトと新八も、女子達の跡を追いかけていく。二人は銀時がアスナと鉢合わせしないことを心から祈っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、今更だがスクーターで行った方が良かったか? いやでも、いざという時落としたら洒落にならないからな」

 一方で銀時は、小走りで江戸の街並みを駆け抜けながら、電化製品店へと移動。パソコンの状態を考えて、スクーターでの移動を諦めた銀時だったが、今思えば乗って来た方が楽だと後悔し始めていた。

「さっさと直して、あの鬼嫁から逃げきらないとな」

 と走りながら、思っていたことを呟いた時である。

(誰が鬼嫁ですって?)

「はっ!?」

 どこからともなくアスナの声が聞こえて、彼は歩みを止めてしまった。動揺しつつ周りを警戒したが、彼女の姿は見当たらない。

「ま、まさか……」

 空や道路をくまなく見たが、何も見えなかったので、ようやく空耳だと彼は察している。

「なんだ、空耳か。驚かせるなよ」

 と一安心して、再び走り出そうとした時だった。

「うわぁ!?」

「ギャぁぁぁ!!」

 銀時は何者かと衝突し、その手からパソコンを手放してしまう。

「痛……何しやがるんだ。テメェ、ゴラァ!」

「うるせぇ! お前が気を付けろ!」

「あんだと!?」

 互いに文句をぶつけつつも、ぶつかった男は手放したものを持ってそのまま逃走。銀時は不誠実な男の対応に、余計な怒りを燃やしていた。

「ったく、迷惑な野郎だぜ……アレ?」

 と自身も手放したパソコンを拾おうとした時である。明らかにパソコンの形状が異なっていた。思わず画面を開くと、そこにはおびただしい数字の羅列と住所がまとめられている。先ほどまで見たバグのような画面とは、まったく異なっていた。

「このパソコン違くね?」

 ここで彼はようやく理解する。先ほどぶつかった男と偶然にもパソコンが入れ替わってしまったことに。

 困惑する彼の元に、思わぬ知り合いが話しかけてきた。

「アレ、旦那じゃないですかい」

「何やってんだ、お前」

「テメェらか。何やってんだ?」

 それはパトカーに乗っていた土方と沖田である。パトカーにある提灯は赤く灯されており、その様子から何かを追っていたと思われるが――その予感は確信へと変わった。

「犯人の追跡だよ」

「犯人?」

「詐欺集団の一味でねぇ。産業用データを盗んで、売りさばく悪徳な奴でさぁ」

 そう。土方と沖田が追いかけていたのは、指名手配中の詐欺集団の一人。パトカーで追いかけていたところ見失い、そこで銀時とばったり遭遇した流れだった。

 すると沖田は、銀時の持っているパソコンに注目を寄せる。

「アレ、旦那。ちょうどそのパソコンですよ」

「えっ? まさかさっきのやつが」

「なんだよ、ばったり会ったのかよ。ってことは、落としたことにも気づかぬまま逃げたのか。まさかテメェに救われるとはな」

 パソコンも犯人のものだと判明し、土方、沖田共に、偶然にも大きな手柄を得た銀時には複雑な表情を見せていた。

 だが一方で、銀時の表情は詐欺集団と知った途端から、増々青ざめている。

「とりあえず、こっちで回収しますよ。って、どうしたんですかい」

「おい、沖田君……その犯人のアジトって分かるか?」

「確かこの近くの港の倉庫でしたね」

「総悟、教えるなよ。つーか、なんでテメェがその情報を知りたがってんだ?」

 沖田からの情報を聞くと、銀時の態度は即座に急変した。

「訳があってな。じゃあな!!」

「おい、待て! 何理由も告げずに逃げてんだよ!!」

 彼は土方にパソコンを渡した後、近くの港まで一目散に走り出している。彼の異様な焦り様、並びに不可解な行動には、土方、沖田共に理解が追い付いていなかった。

「ったく、どうしたんだ。あいつ?」

「何かただならぬ事情がありそうでしたね。ひとまず追いかけやすか?」

「そうだな」

 気を取り直して、二人も港へ向かおうとした時である。

「沖田さん! 土方さん!」

「ん? 今度はお前か」

 上空からアスナの声が聞こえて、彼女は二人の元に降り立った。羽を閉じると、彼女は沖田らに向けて話しかけてくる。

「ねぇ、銀さん見なかった?」

「旦那なら、詐欺師を追って港に行きやしたけど」

「えっ!? パソコンを見せに行ったんじゃないの!?」

「パソコン? あの野郎、パソコンなんか持っていたか?」

「万事屋共通で最近買ったのよ。知り合いが見たいっていうから、無断で持ち出したんだけど、なんか怪しいから追っているのよね」

 アスナは銀時の言っていた情報とはまったく異なり、増々彼を怪しんでいた。ただ詐欺集団とは接点が結びつかず、何がしたいのかさっぱり予測出来ていない。

 一方で土方と沖田は、アスナの証言でやっと彼の真意をついて気付き始めていた。

「おい、総悟。もしかして……」

「旦那が必死になっている理由って」

 そう。パソコン絡みのトラブルが起きたと思い始めている。概ね合ってはいるのだが。

 するとアスナに続き、神楽らも彼女と合流していく。

「アッスー!」

「あっ、みんな!」

 キリトは羽を使い、神楽、ユイ、新八の三人は定春に乗って、銀時やアスナのことを追いかけていた。

「銀時さんはいましたか?」

「それが何故か港で詐欺師を追ったみたいで、いまいち何が起きているのか分からないのよね」

「えっー、なんでアルか?」

 ユイや神楽もアスナの話を聞いて、銀時の目的が分からなくなっていた、一方でキリトと新八は、小声で銀時の身に起きたこと推測していく。

「銀さんに何が起きたんだ?」

「変なことに巻き込まれている気がするのですが……」

 恐らく電化製品店に行く途中でトラブルが起きて、港にやむを得ずに行ったと考えていた。二人の心配をよそに、アスナは土方らと交渉して、銀時の行方を追いかけることに。キリトや新八も、二人に続けて港まで向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方でこちらは、江戸のはずれにある小さな港。普段は別の大陸からはるばる来る海送用の船が停泊する港なのだが、その一部のコンテナでは、詐欺集団の拠点と化している。真選組から逃げてきた男は、赤いコンテナで一旦立ち止まり、合言葉を言ってその内部に忍び込んでいた。

「ったく、厄介な幕府の犬どもよ」

「これじゃウチも上がったり下がったですな」

 漆黒のスーツを着た男性が、筋肉質なアロハシャツを着た男と会話をする。前者が詐欺の実行役で、後者が所謂指示役だ。二人は独自のパソコンを用いて、これまでに何億もお金を奪い取って来た、まさに犯罪のプロ集団である。

 今回も大事に所持しているパソコンから情報を閲覧し、次の獲物を虎視眈々と狙っているのだ。

「さて、次の獲物を確認しておこうか」

「そうだな。そろそろ億のカモが欲しいところだな」

 二人の男は共に悪い顔を浮かべながら、パソコンに残した情報を確認する。これにて次なる作戦に打って出る……と思いきや、ここで緊急事態に彼らは気づいていた。

「な、なんじゃこりゃ!!」

「モザイクだらけじゃないか!!」

 そう。男達の前にあるパソコンは銀時の壊したパソコン。つまりエロ動画が止まった状態で、何も動かせないただの故障品である。ここで黒服の男はようやく、銀時とぶつかった際にパソコンが入れ替わった事実に気付いていた。

「どういうことだ、貴様ぁ!」

「知らん! 俺は……あっ、まさかあの時!!」

 とアロハシャツの男に攻めよられて、黒服の男が銀時のことを思い出した時である。

〈ドカーン!!〉

「「なんだ!?」」

 突然、壁を破壊する音が聞こえて、二人が後ろを振り向くと……

「パソコンを返せぇぇぇぇ!!」

「ぎゃぁっぁ!!」

密かに追っていた銀時が木刀を手に襲い掛かっていた。彼はパソコンを取り返したい一心で、詐欺師のアジトに単身乗り込んでいる。彼の頭は早くパソコンを直して安心したい気持ちでいっぱいになっており、その為ならどんな無茶でも行うつもりだ。

「なんだこの男!? 幕府の犬か!?」

「違う! さっきぶつかった男だ!!」

「俺は急いでいるんだ!! さっさとパソコン手に入れて修理しないと、俺の命がねぇぇんだよ!!」

 詐欺師達も銀時に警戒するが、彼の目的は目の前にいる盗まれたパソコンのみ。銀時がそれを見つけると、彼は詐欺師達に目もくれず、そのままアジトから逃げ出していた。

「おい待て!」

「貴様! ここがどこか分かって……!!」

 突然現れてはパソコンを持ち出され、詐欺師の男二人達は怒り、銀時の跡を追いかけようとする。しかし、銀時にとっては彼らを相手にしている時間は無い。

「黙れ!!」

「ブホォォォ!!」

「てめぇもだ!」

「ぎゃぁぁぁあ!!」

 彼はスーツ姿の男に木刀で頭から殴りかかり、アロハシャツの男には股間に木刀をぶつけていた。銀時の不意打ちともいえる攻撃に、男達は一瞬にして気絶。白目を剥いて、そのまま動かなくなってしまう。

「はぁ……やっと気絶しやがった」

 二人が気絶したことを確認して、とりあえずは呼吸を整える銀時。障壁を払いのけて、ようやく電化製品店へ心置きなく向かうことが出来る。

「これでようやく店に……」

 と港を離れて、一目散に電化製品店へ向かおうとした時だった。

「銀さん!!」

「……はぁ!?」

 アスナの声が聞こえて後ろを振り向くと、そこには見知ったかが集結していた。羽を使ってこちらへ向かうキリトとアスナ。定春に乗っている神楽、ユイ、新八。さらには先ほど会った土方と沖田も、パトカーを使ってこの港に来ていた。仲間達に取り囲まれてしまい、銀時は行く道を阻まれてしまう。

「良かった、無事で」

「おい、銀ちゃん。何やっているアルか?」

「そうですよ! こっちは心配したんですから!」

「えっと、それはだな……」

 事情を知らないアスナ、神楽、ユイは、素直に銀時を心配していた。そんな優しさに触れつつも、銀時は浮かない顔のまま皆と話している。

「とりあえずこいつらは確保だな。総悟」

「ですねぇ。今回は旦那に助けられましたねぇ」

「あいつは執念だけは、誰よりも深いからな……」

 一方で土方と沖田は、気絶している間に二人の詐欺師を確保。密かに手錠をかけて、そのままパトカーへと連行した。想定外ではあったが、銀時が確保協力に手助けしてくれたことは素直に感謝している。

 肝心の本人は、今それどころではないのだが……。

(おぃぃぃ!! 新八にキリト! 足止め失敗しているじゃねぇか! 俺の死亡フラグ、ビンビンに立っているじゃないか!!)

(しょうがないじゃないですか、銀さん! こっちだって頑張ったんですから!)

 心の中で文句を言う銀時に、新八がツッコミを入れていく。予め言っておくが、二人にテレパシーの能力は無い。ただ恐らくこう言っていると予想して、一人で内心言っていた。銀時、新八のみならず、キリトも同じように言っている。

(銀さん……何事もないことを祈っているぞ!)

(祈るなよ! せめて助けろ!)

 彼は複雑そうな表情で、銀時の無事を祈っていた。アイコンタクトを行うキリトに対し、銀時の心の中のツッコミはさらに激しさを増す。

 すると、アスナが核心に触れる一言を言い放つ。

「ところでパソコンは大丈夫なの?」

「げっ!! だ、大丈夫だよ、心配するな」

「ちょっと見て良い?」

「あっ、止めろ!!」

 アスナは銀時の持っていたパソコンを無理やり奪い、その中身を念のため確認した。そして彼女が目にしたのは、モザイクだらけで何も動かないパソコンの画面である。

「これって……」

「あぁー! アスナ!! これはだな……!!」

 もはや風前の灯火。銀時がアスナに粛清されるのも時間の問題だった。

(や、やべぇ! 半殺し確定だ! 来週から俺の出番が無くなるぅぅぅ! 復帰早々、何もかも終わりだぁぁ!!)

 最悪の展開に備えて、心の準備を行う銀時。彼の胃は爆発寸前にまで弱りつつある。もうダメだと完全に諦めかけていた……その時だった。

「銀さんが来た時にはこうなっていたの?」

「へ?」

 事態は思わぬ方向へと進む。アスナはパソコンが壊れている理由を、銀時ではなく詐欺集団の仕業と思い始めていた。

「ほら、ここ詐欺師のアジトなんでしょ。変なコンピューターウイルスとか入れられて、こんな状態になっているんじゃないの?」

 不思議そうな表情で、銀時へ聞くアスナ。その表情からは怒りなんてものは無かった。

 これを聞いた銀時は、このままその嘘を貫き通そうとする。

「そ、そうだよ。俺が来た時にはこんな状態だったよ」

「やっぱり。銀さんも不運だったわね。こんなことに巻き込まれて」

「だろ、だろ! 急いで取り返しに来たんだが、もう手遅れでさぁ」

((ご、誤魔化してる!!))

 銀時の平然を装う態度に、新八とキリトは内心でツッコミを入れていた。彼はアスナの目を誤魔化すことに成功しており、彼女自身もパソコンが壊れた原因が詐欺師によるものだと思い始めている。アスナのみならず、神楽やユイも同じ思いであった。

「うわぁ、なんて悪趣味アルか。ユイ、見ちゃダメアルよ!」

「分かりました! では、このパソコンはどうしますか?」

「とりあえずお店に行って、直してもらいましょうよ」

「そ、そうだよな! 直しに行こうな」

 冷や汗をかき続ける銀時だったが、話の流れで本来の目的地であった電化製品店へ行く流れになり、彼は一安心している。その様子を眺めていた新八とキリトも銀時と同じ思いであった。

「キリトさん。アスナさんって、アレ気付いてないんですか?」

「多分……裏があるなら、もっと表情に出ると思うからな。銀さんは救われたよ」

「本当ですね。あの人、悪運だけは強いから」

 二人はつくづく銀時の悪運の強さをひしひしと感じている。

 一方で話を断片的に聞いていた土方と沖田は、

「土方さぁん。これって」

「総悟黙っておけ。今回ばかりはあいつのおかげで事件が解決したんだ。水を差す気にはならねぇよ」

「わっかりやした。俺も黙っておきやすよ」

銀時の本心を察していたが、ここは黙っておくことにした。詐欺師の確保にも貢献してくれたので、その貸しを返しておく意味合いもあるのだろう。

 いずれにしても、銀時の起こした騒動は思わぬ形で終わりを迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、万事屋は電化製品店へ行き、パソコンをすぐに修理してもらった。幸いにもすぐに復旧し、データも丸々戻っている。数時間後には問題なく、パソコンを使えるようになっていた。

 そして今日の夜も、キリトとアスナが銀時にパソコンの使い方を教えている。

「まだタイピングが甘いな」

「そうか? 前よりは良くなっているんじゃないか?」

「でも、このキーを押したら時短になるよ」

「マジか!?」

 ほぼ昨日と変わらない光景。二人の親切な指導に、銀時は大変ありがたく感じている。

「結局、源外の爺さんには見せなくてよかったアルか?」

「まぁ、今日こんな騒動があったし、また日を改めて行くことにするよ」

「そうアルナ」

 一方で神楽は、源外と銀時の約束の件について気にしていた。新八やキリトが咄嗟についた嘘だったが、彼女は素直に信じ込んでいる。

(何事も無くて一安心かな)

 新八も大きなトラブルが起きず、一安心していた。アスナら女子陣も、パソコンの不調は銀時ではなく詐欺師が仕掛けたものと思っている。不幸中の幸いで何よりだと感じていた。

「パパ! 一緒にお風呂入りましょうよ」

「おう! じゃ、銀さん。俺、ユイとお風呂入ってくるから」

「分かったよ」

 そんな中でキリトは、ユイと一緒に風呂場へ。今日は二人で湯船に浸かる様子である。

「私、トイレ行ってくるネ。新八、覗くなよ」

「覗きませんよ!!」

 同じタイミングで、神楽はトイレに駆け込む。新八に冗談を言いつつも、居間を跡にした。その居間にいるのは銀時、アスナ、新八の三人。するとアスナは、急に銀時へ話しかける。

「ねぇ、銀さん。ちょっと耳貸してくれる?」

「おっ、なんだよ。何か小声でアドバイスでもくれるのか?」

 彼女は銀時の耳元に近づき、あることを囁く。てっきり銀時はパソコン操作のアドバイスを教えてくれると思っていたのだが――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次やったら、命は無いわよ……!」

「はい!?」

「えっ!?」

聞こえてきたのはアスナのただならぬ怒りだった。この一言で銀時、新八は全てを察した。アスナには全て今日の事が筒抜けだったことに。銀時の表情は青ざめて、恐る恐るアスナの方を振り向くと……そこには笑顔を向けたまま微動だにしないアスナの姿があった。

「アスナ……さっきのは」

「なぁに?」

「だからさっきの……」

「もう一回言わなきゃダメかな? ぎ、ん、さ、ん!」

「……なんでもないです」

「よろしい」

 彼女はずっと笑顔を崩さないまま、銀時へ圧迫感を与えて、そのまま彼を黙らせてしまった。その鬼のような佇まいは銀時のみならず、近くにいた新八すらも恐れを感じる程である。

「新八君も分かった?」

「わ、分かりました! アスナさん!」

「じゃ、銀さん。再開しましょうか。タイピング練習」

「お、おう……」

 言いたいことを言った後、アスナは表情を崩して、普段通りの顔つきに戻っていた。そして何事も無かったかのように、タイピング練習を開始するのであった。

 恐れを感じて銀時がタイピング練習を行う傍ら、アスナは心の中で思ったことを呟く。

(フフ。銀さん……履歴はちゃんと消しておきなさい。こっちは全部何を見たのかバレバレなんだから……!)

 そう。彼女は復旧した後のパソコンの履歴を確認して、銀時の仕業だと確信。そのまま彼を気付かないまま泳がせて、キリトやユイ、神楽がいなくなった隙に、銀時へ囁いていたのだった。

 突然の豹変ぶりは、銀時に大変効果があったらしく、彼は必死にタイピング練習に打ち込んでいる。

「戻ったアルー。アレ? 銀ちゃん、新八―。何をそんなに青ざめているアルか?」

「いやいや、なんでもないから!」

「そうだぞ、神楽! 何もないからな!」

「そうアルか?」

 神楽だけは一連のやり取りを知らない為、何が起きたのかさっぱり分からない。

 

 こうして万事屋の激動の一日は幕を下ろしたのである。




 ということで、今回は銀さんがトラブルを起こす回でした。パソコンを手に入れたなら、こういうこともありそうかなと思い作成しました。悪運が強く壊れたパソコンを詐欺師の面々に擦り付けておりましたが、アスナにはどうやら見抜かれていたようですね……こ、怖い。






次回予告

銀時「指名手配の写真を作るだぁ?」

クライン「そうだぜ。折角指名手配犯になるなら、ちゃんとしたもん撮りたいだろ?」

キリト「指名手配犯って、そんなめでたい事ではない気がするが」

銀時「お前の馬鹿さ加減にもついていけねぇよ」

桂「次回! 写真写りは拘り過ぎると永遠に撮り続ける」









あらすじコーナー(没案)

新八「てか、投稿者は二年間何してたんですか?」

銀時「仕事が忙しかったのと、途中でナーヴギアを買って、仮想世界からログアウト出来ずに、SAOの世界に囚われていて……」

神楽「嘘アル。鉄オタになって、あちこち乗り鉄していただけネ」

銀時「チッ、バレたか!」

新八「バレたかじゃないだろ! さっさと執筆活動しろよ、投稿者!」

銀時「因みにこの原稿も列車内で執筆しているぞ」

神楽「今、〇〇駅を発車したところネ!」

新八「分かるかぁぁぁ!!」

没理由:マニアックな話になった為
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