剣魂    作:トライアル

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 本日は入れ替わり篇の二訓目です。果たしてバレないまま、無事にみんな用事を終えることは出来るのでしょうか?

前回のあらすじ
 宇宙猪の突進攻撃により、銀時とキリト、アスナと神楽の魂が入れ替わってしまう。元に戻る算段は付いたものの、万事屋一行は知り合いに事情を極力話さない方向で考えを一致させていた。あやめの乱入がありつつも、昨日は普段通りの日常を過ごせた一行だが、問題は本日。銀時ら四人はそれぞれ友人との約束を交わしており、当然彼らにもバレないように事を進めていく。
 話は銀時と入れ替わったキリトが、桂とラーメン屋に向かうところから始まる……。


第百十一訓 俺が白夜叉で、アイツがスプリガンで

「銀時よ。こうも二人でランチを頂くのは実に久しいな」

「お、おう。ヵツラ」

「ヅラじゃ……ん? 今、桂と言ったか?」

「いやいや、ヅラだよ」

「ヅラじゃない桂だ! 銀時よ、貴様は相変わらずだな」

 軽く談笑しながら、かぶき町にあるラーメン屋に向かうキリト(銀時)と桂。桂はキリト(銀時)の変わらぬ呼び方に、フッと小さく笑っている。

 ゆっくりと歩みを進める二人だが、当然桂は気づいていない。今銀時の肉体に入っているのは、キリトの人格だということに。

(桂さんと二人っきり……思えばこれが初めてなんだな。調子が狂うけど、本当に乗り切れるのか?)

 内心では冷静さを保っているものの、キリト(銀時)はやや心配が拭いきれない。昨日は自信満々に応対すると銀時(キリト)に向かって豪語したものの、やはり二人っきりになると緊張の方が勝ってしまう。何より桂とは何度も会っているものの、彼とのマンツーマンは今回が初めて。やや浮かない表情のまま、彼は無難に桂と話を交わしていく。

「その、クラインとはどうなんだよ?」

「クライン殿か。変わらず攘夷活動をしているぞ。幕府に指名手配されてからは、より一層活動に身が入るようになったな」

「そりゃ、捕まったら一巻の終わりだからな……」

「ん? 何か言ったか?」

「いや、なんでもない!」

 思わず桂と行動を共にする自身の旧友、クラインの現状について彼は聞いていた。桂もクラインの攘夷活動を高く評価しているが、ただ単にもう後戻りできないから全力を注いでいるとキリト(銀時)は推察している。皮肉を呟くも、真選組には捕まってほしくは無いと切に願っていた。

 一方で桂も、万事屋に所属しているキリトら三人について気にしている。

「そういう貴様はどうなのだ。キリト君、アスナ君、ユイ君の様子は?」

「こっちも変わらずだよ。アスナはみんなのまとめ役として頑張っているし、ユイも最近は小説を読むようになったかな。俺……いや、キリトはいつも俺に突っかかってくるよ」

「フッ、特に変わらずか。余裕が出てきたならば、攘夷活動でもしたらどうだ? 俺はいつでも待っているぞ!」

(まだこの人、勧誘諦めてなかったのかよ……)

 さり気なく攘夷志士への勧誘をちらつかせて、隙の無い布教活動を勧めてきた。一度断ろうとも諦めないしぶとさに、キリト(銀時)もボソッと内心でツッコミを入れている。

 そう二人で話を交わしていた時であった。

「アレ? 銀さん。こんなところで何やってんだよ」

「長谷川さん?」

 知り合いである長谷川と偶然遭遇し、途端に声をかけられている。

 すると彼から、思わぬ一言をかけられていた。

「今日は俺と競馬に行く予定だろ?」

「えっ、そうだったの!?」

「何、銀時。貴様、ダブルブッキングしているではないか!」

 なんと長谷川とも約束を交わしており、桂との約束と思いっきり重複している。無論このことは、キリト(銀時)も銀時(キリト)からまったく聞かされていない情報だった。

(銀さんから何も聞いてないんだけど……! 何しているの、あの人!!)

 寝耳に水な展開に一度戸惑ったものの、キリト(銀時)は咄嗟に長谷川へフォローを入れてくる。

「悪い! 長谷川さん! 約束を忘れていて。今度好きなものを奢るから、この件は許してくれないか?」

「えっ、良いのかよ! ケチなお前がよ」

「あぁ、元々俺のせいだからな」

 長谷川へ素直に謝りを入れた上で、お詫びの約束を提案していた。銀時(キリト)には無断で行っていたが……そもそも約束をすっぽかした彼に責任があるので、後々銀時(キリト)に報告しようと彼は思っている。

(忘れていた銀さんが悪いから、別に俺のせいじゃないよな……)

 少しの後ろめたさを感じつつも、事が丸く収まりつつあり、彼はホッと一安心した。

「ったく、分かったよ。今回はそれで許してやるよ」

「どうしたのだ、銀時。何か悪いものでも食ったのか?」

「いやいや、今回は俺の責任だから。俺が責任を負うのは当たり前のことだろ?」

 あまりの素直さに桂も疑ってしまうも、そこまで深くは気にしていない。一方で長谷川は、キリト(銀時)に小声で入念に先ほどの約束が本当か確認してきた。

「おい、銀さん」

「どうしたんだよ、長谷川さん」

「今度は嘘じゃないんだよな?」

「嘘? 本当だけど」

「……もう二度と俺を裏切るなよ。あの夜の時のようにな……」

「えっ?」

 一瞬聞こえた意味深な一言に驚くも、長谷川は顔色を変えずにあることを、彼の耳元でささやく。

「一時は一線を越えた仲だろ」

「……はい!?」

 その衝撃的な一言に、キリト(銀時)は驚愕してしまう。そう。以前にも銀時は酔った勢いで妙やお登勢と言った女性陣と六股をかけたことがあり、結局はただのドッキリで女性達に仕打ちされただけなのだが……長谷川だけは本当だった可能性があるのだ。所謂真相は闇の中だが……そんな事情を知らないキリト(銀時)は、ただただ長谷川の爆弾発言に絶句している。

「じゃ、楽しみにしているぜ!」

 顔色を引きずるキリト(銀時)に対して、長谷川は晴れ晴れとした表情で、場を去っていった。

「どうしたのだ、銀時。何か長谷川さんに言われたか?」

「いやいや、何でもないから! 本当に何でもないから!!」

 桂に聞かれようとも、必死に否定するキリト(銀時)。冗談か本気か分からない中で、彼の脳内は疑問でいっぱいになってしまう。

(どういうことだ!? 銀さんと長谷川さんって、そういう仲だったの……!? いや、でも銀さんって結野アナが大好きだから少なくともノーマルだと思うし、いや男女両方行けるの……いや、これ戻った時どういう顔すれば良いんだよ!?)

「おい、顔が真っ赤だぞ! 大丈夫か!?」

「大丈夫……い、行こう」

 仕舞いには良からぬ詮索をしてしまい、桂から心配されてしまった。なんとか表情を平然と戻しつつ、二人は目的のラーメン屋へと向かう。キリト(銀時)にとっては、朝から胃のもたれるようなことばかり起こっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな二人が辿り着いた店が、北斗心軒。桂とは縁のある女性店主、幾松が営むラーメン屋である。因みに銀時とも彼女は顔見知りだ。

「いらっしゃい。あっ、銀さんとアンタかい」

「久しいな幾松殿。早速だが蕎麦を頼む」

「はいはい、分かったよ。銀さんは何をする?」

 店内に入るや否や、普段通りに接する幾松。お昼時とあってテーブル席は他の客が使用しており、空いているのはカウンターの席のみだった。二人がカウンターの席に着くと、桂は早速蕎麦を注文する。一方でキリト(銀時)はメニュー表から、どんなラーメンがあるか一通り見ていた。

「あぁ、俺は……この辛い奴にしようかな」

「えっ、銀さん。本当にこれで良いのかい?」

「おう。試してみたくなってさ」

 キリト(銀時)が注文したのは、期間限定の激辛ラーメン。辛い物が好きな彼にとっては、何よりも気になるメニューであった。

 無論桂と幾松は、銀時の甘党好きを知っているので、むしろ逆の辛いものを頼む姿勢に、意外性を感じ取っている。

「一応断っておくけど、私んとこの激辛ラーメンはかなり辛いよ。それでも平気?」

「大丈夫! 今日は食べれそうな気分だから」

「凄い自信だね。分かったよ。じゃ、普段通りに作るわね」

 念のため断りを入れるも、キリト(銀時)は一切動じない。彼の自信を察して、幾松も注文通りに激辛ラーメンを作ることにした。

「おい、銀時。どうしたのだ。貴様にしては珍しい選択だな」

「いや、気分的に試したくなってさ」

「それにしては少し違和感があるな。まさか……さては貴様!」

 流石の桂も銀時の違和感に気付いたのか、彼への疑いを強めている。そしてその疑いは確信へと変わっていた。

(ヤバい……流石に気付かれたか?)

 キリト(銀時)も内心で桂に自分の正体を気付かれたと覚悟していたが……

「結野アナに影響されたな」

「……はい?」

まったく想定外の返答が返ってきている。

「俺の仲間から聞いているぞ。最近彼女は辛い物にハマっているらしい。少しでもその理想像に近づきたい為、自分をイメチェンしようとしているだな。良い心がけだ!!」

「いや、違うが……」

 桂は勝手に結野アナ絡みで、銀時が彼女の影響で趣味嗜好を変えたと納得していた。キリト(銀時)は思わず否定するも、桂は一切聞いていない。

(全然気づいていない……やっぱりいつもの桂さんだ)

 しかし、余計な詮索をされずに済み、キリト(銀時)は一安心した。このまま自身の正体がバレないようにと、内心で願う。

 そんな彼は、ラーメンを作る幾松に目を向けていた。

(あの人が幾松さんか……銀さんの話だと、昔からの知り合いで、桂さんとも縁が深いみたいだけど、ひょっとして)

 幾松のことは銀時(キリト)から大方聞いているが、実際に会うのは今回が初めて。銀時(キリト)曰く、桂との仲は良好と事前に聞いており、彼は二人の関係性が少し気になりつつあった。

「ん? どうしたのだ、俺の顔を見て」

「いや、なんでもないよ。そういえば二人って、どんな出会いだったっけ……って、思い出していただけで」

 そうキリト(銀時)が口走ると、幾松は小言のように彼に桂と初めて会った時のことを話してくる。

「ロクでもない出会いだったわよ。逃亡中に私の下着を手に取って、サンタクロースだのラーメン求道者だの誤魔化すし」

「フッ。懐かしい思い出だな。しばらくここで働いていたこともあったな」

「そんでなんやかんやで今に至るってわけ」

「幾松殿には大変世話になってからな。良き出会いだったと俺は思うぞ」

「私は腐れ縁としか思ってないけどね」

 互いに軽口を叩きつつも、心の中では確かに信頼している幾松と桂。頓珍漢な出会い方をしたものの、お互いに出会えたことは満更でも無いと思っている。

 そんな二人の昔話に触れて、キリト(銀時)は内心で温かい気持ちに浸っていた。

(ロマンチックとは言えない出会い方だけど……二人共。そんなに仲は悪くなさそうだな)

 何気にキリト(銀時)は、二人の行く末をつい気にしている。

 そう話していた時だった。桂は急に真剣な表情となり、キリト(銀時)にあることを話し始めている。

「ところで銀時よ。例の件なら、まだ進展は一切ないぞ」

「例の件?」

「ん? 毎月俺に会った時には、必ず聞いているではないか。サイコギルドの手がかりについてだぞ」

「えっ……?」

 想定外の話を聞いて、キリト(銀時)は思わず驚いてしまった。銀時本人からは一切聞いておらず、彼はこの場で銀時が密かにサイコギルドの情報を、仲間達からも聞いて回っていたことに気付く。

(ぎ、銀さんがそんなことを……?)

 内心では驚きつつも、彼は平然を装って桂に話を合わせていく。

「そ、そうだったな。こっちも進展は無いよ」

「そうか……一向に尻尾を出さないままでは、先行きが不安になって仕方がないな」

 桂はそういうと、水の入ったコップをグッと飲み、ひと呼吸を置いてから再度、キリト(銀時)へ話しかけてきた。

「思えば、キリト君やクライン殿と会って早三か月か。時が経つのは早いものだな」

「そ、そうだな……」

「ふっ、銀時よ。分かっていると思うが、俺達には彼らを元の世界へ戻すまで、守り続ける責務がある。妙殿やお登勢殿も同じ思いだろうがな」

 いつになく真面目な雰囲気の桂に、キリト(銀時)はただただ息を飲んでいる。思えば別の世界から来たとはいえ、何不自由なく暮らしていけるのは、銀時やその仲間達と出会えたことが非常に大きい。彼らの人情や保護者としての責任に触れる度、銀時や桂達が頼りになる大人だと改めて感じ取っていた。

 桂の話を真剣に聞く中で、キリト(銀時)は桂の抱えているジレンマについて知ることになる。

「だが……時の流れというのは残酷なものだな。俺はクライン殿と別れたくない気持ちの方が強くなってきている。可能なら俺は、彼らが元の世界へ戻ったとしても、どうにか交流出来ないか考えているんだ」

「ヵツラ……」

「フッ……俺は見てみたいのだ。クライン殿が元の世界へ戻り、どんな未来を歩むのかを。彼は元の世界で、どんな侍道を築くのかを」

 そう言った桂の表情は、いつになく切なそうに見えていた。桂自身はクラインを元の世界へ戻したい気持ちと、クラインとの別れを恐れている二つの気持ちに苛まれている。彼との長い月日が確かな信頼関係を結び、エリザベスに並ぶ桂の相棒として定着させていた。そんな成長した彼が、元の地球でどんな活躍をするのか見届けたいと桂は痛感している。

 キリト(銀時)も桂の話を聞いて、強く共感していた。まだ薄っすらではあるが、いつかは銀時やこの世界と別れる時が訪れる。でももう二度と会えないなんてことは、考えたくも無かったのだ。元の世界へ戻っても、銀時や新八や神楽、この世界で出来た大切な仲間達と繋がっていたい。そんな気持ちがここ最近はより強くなっていたのだ。

 キリト(銀時)が密かに共感する中、桂は続けて話す。

「夢物語かもしれぬが、二つの世界を繋ぐ橋や鉄道が出来れば良いと思う時がある。まぁ、ただの妄想に過ぎないがな」

 理想論を話し、思わず自虐する桂に対して、キリト(銀時)はしっかりと反論していた。

「妄想じゃないよ」

「ん? どうした、銀時?」

「ヵツラさ……思い続けて実を結ぶことだって、あると思うぞ。俺も銀さ……いや、キリトやアスナ、ユイと別れたくないと思っているし、元の世界へ戻ったって、永遠に会えないなんてことは無いと思っている。きっと何か方法があると……信じたいじゃないか。俺は絶対、諦めたりしないぞ」

 率直な気持ちを彼に伝えている。キリト(銀時)の反論及び強い気持ちに、桂は納得したようにフッと笑っていた。

「そうだな、銀時。不可能なんてない。そう信じようじゃないか」

「あぁ、ありがとう。ヵツラ」

 お互いに諦めが悪いことを改めて自覚している。桂の本音を聞き入れて、キリト(銀時)も確固たる意志を示していた。

(俺だって、銀さんやみんなと別れたくないよ……三人にはまだ伝えてないけど、俺は……俺達はあの万事屋が大好きなんだ!)

 キリトだけじゃなく、アスナやユイも万事屋を、第二の居場所として思っている。この世界で出来た縁を途切れさせない為にも、彼はサイコギルドの捜索と、二つの世界を繋ぐ何かが無いか探すことを決めていた。

 そんな矢先、キリト(銀時)は気になっていたことを桂へ聞いてみる。

「なぁ、ヵツラ」

「ん? どうした、銀時」

「ヵツラは……もしキリト達のいる世界と、今後も交流できるとしたら、一番に何をしたいんだ?」

「フッ……。そんなのハナから決まっている」

 もし桂の願い通りになるとしたら、どんなことをいの一番にしたいのか。より明確な答えをキリト(銀時)は知りたがっていた。彼はひと呼吸を置いて、自信満々にキリト(銀時)へ言い放っていく。

「攘夷党所沢支部を結成するぞ!」

「……はぁ?」

 想像の斜め上を行く返答に、キリト(銀時)は困惑してしまった。先ほどの真面目な雰囲気とは裏腹に、桂は自身の野望をスラスラと話していく。

「聞いて驚くなよ、銀時。クライン殿は、元の世界で風林火山なるギルドをまとめていたらしい。みな侍が好きと聞いていてな、それならみなに攘夷の良さを教えて、クライン殿にいる世界で革命を起こそうと考えているのだ!」

(発想が危ない組織なんだけど!? なんで俺の世界に、アンタまで進出してくるんだよ!! なんか怖いんだけど!)

 その常軌を逸した桂の野望に、キリト(銀時)は思わず心の中で強くツッコミを入れてしまう。桂はクラインの結成したギルド、「風林火山」の面々に興味を持っており、彼らも同様に攘夷の道に引きずり込もうと企んでいた。クラインのみならずその仲間さえもテロリストに仕立てようとする桂のがめつさに、キリト(銀時)はつい絶句してしまう。しんみりとした雰囲気は、桂の野望により打ち壊されてしまった。

「どうした、銀時? そんなに俺の考えが素晴らしかったか?」

「いやいや、なんで俺の世界にまでアンタが来るんだよ!?」

「俺の世界?」

「あっ、いやなんでもない……」

 我慢できず本人の前でもツッコミを入れてしまったキリト(銀時)。キリトとバレないように誤魔化すも、

「なるほど。万事屋もキリト君、アスナ君、ユイ君を後継者にして、所沢支部を作ろうとしているのか?」

「違うから!! てか、なんでさっきから所沢にこだわっているんだよ!!」

桂はまたしても頓珍漢な勘違いをしていた。キリト達を勝手に万事屋の後継者として解釈している。正体が一切バレない代わりに、キリト(銀時)は桂にただ振り回されっぱなしであった。

(銀さんの身になって分かった気がする……桂さんって想像以上に面倒くさい!!)

 そして心の中で本音を漏らしてしまう。会って数時間にも関わらず、桂の面倒さを改めて身に染み込ませていた。銀時の苦労もことごとく理解した一方で、そんな桂と波長を合わせるクラインの適応力にも驚かされている。

 そんな話を交わしていた時だった。

「はい、おまたせ。二人共!」

 注文したラーメンと蕎麦が出来上がっていた。幾松は桂に蕎麦を。銀時に激辛ラーメンを渡している。

「おぉ、凄いな」

「銀時。本当にこれを食うのか?」

「本当に大丈夫かい。銀さん」

「あぁ、大丈夫だよ!」

 銀時の激辛ラーメンは、想像よりも遥かに毒々しかった。マグマのように流れる赤いスープと、ぐつぐつと煮えて浮かぶ具たち。作った幾松ですら、やりすぎたかもしれないと少し後悔する始末である。桂も心配そうな表情で見つめる中、キリト(銀時)は勢いよく麺をすすり、スープも口にしていた。

「どう?」

「全然平気。むしろ美味しいよ」

「本当か、銀時!?」

 彼は平然とした態度で、激辛ラーメンを食べ進めている。中身がキリトなので、銀時の体でも耐性がしっかりと付いていたのかもしれない。幾松と桂の心配をよそに、キリト(銀時)はすいすいと容易く激辛ラーメンを食べ続ける。

「銀さんも辛い口行けるんだね」

「いやいや。今日が調子いいだけで、他の日に来たら食べられないと思うけどな」

 念の為、戻った時ようにと、銀時へのフォローも行っていた。

 なお、幾松は美味しそうに激辛ラーメンを食べるキリト(銀時)の様子を見て、フッと嬉しく思っている。一方で桂は、キリト(銀時)の食べている激辛ラーメンに興味を持ち始めていた。

「銀時がいけるなら、俺も食べれるだろ。スープを少し良いか?」

「あっ、ヵツラ!」

 銀時が大丈夫ならばと過信して、思わずレンゲを使い、勝手に激辛スープをすくって味見してきた。銀時が止めようとしても、時すでに遅く。

「ぐはぁ!!」

 彼はその強大な辛みに耐え切れず、テーブルによりかかり気絶してしまった。

「ヵツラさん……」

「やれやれ、何も確認しないからそうなるんだよ」

「ど、どうします。幾松さん?」

「しばらく放っておきな! 時機に目が覚めるから」

 呆れた幾松は、気絶した桂を放っておくことにする。幾ら体をゆすっても目が覚めないので、キリト(銀時)も諦めて激辛ラーメンを最後まで食べることにした。

 こうして、キリト(銀時)と桂のランチは、入れ替わったことを悟られること無く、無事に終了する。

 

 

 

 

 

 

 

 一方でこちらは、かぶき町にあるカラオケ店。個室から様々な歌が漏れる中で、銀時(キリト)と新八は、キリトの約束相手であるクラインと合流していた。

「おっ、待っていたぜ! って、新八も来てくれたのか?」

「えぇ。僕も予定が空いていたので、キリトさんに誘われましたね」

「その通りだぜ。ほんじゃ、とっとと歌いましょうや」

 カラオケボックスには既にクラインが待っており、彼は普段通りの気さくな態度で新八らと挨拶する。一方で銀時(キリト)はキリトに寄せることなく、普段通りの態度でクラインと話していた。

 なお、クライン本人からはもちろん違和感を持たれている。

「キ、キリト? 今日いつになくテンション低くないか?」

「あの、クラインさん! 実は昨日宇宙生物の赤ちゃんの面倒を一日中やって、少し疲れているんですよ」

「えっ、そうなのか! それなのに来てくれるなんて……泣かせるじゃねぇか!」

 咄嗟に新八が誤魔化しを入れて、クラインはその嘘をまんま信じ込んでいた。万事屋の仕事が忙しくとも会ってくれるキリトの優しさに感謝している。そんな彼が今目の前にいるのは、銀時の人格が入ったキリトなのだが……。

「ちょっと、銀さん。もう少しキリトさんらしくやってくださいよ!」

 思わず新八が小声で注意を加えるも、銀時(キリト)は態度を一切改めなかった。

「うるせぇな。俺に杉田智〇と同じ雰囲気で話せったって無理だよ」

「もう中の人ネタは良いですから! しっかりやってくださいよ、松岡禎〇さん!」

「オメェもやってんじゃねぇか」

 仕舞いには声の雰囲気がそもそも違うから無理と、昨日と同じく中の人ネタで押し通そうとする。そんな皮肉に怯むことなく、新八は説得を続けていく。ひとまずはクラインにバレないようにと、多少頑張る様子だ。

 一行は一息入れると、早速誰から歌おうか決めていく。

「それじゃ、誰から歌うか?」

「はーい。じゃ、僕から良いですか?」

「おっ、新八からか! 良いぜ。新八の歌声も聞いてみたいしな!」

 新八が早速立候補し、クラインは彼にマイクを渡す。どんな歌が聞けるか楽しみのクラインに対し、銀時(キリト)は早くも苦い表情を浮かべていた。そう彼は、新八の歌の才能を知っているからである。

「クラインよ……耳塞いでおけよ。後々後悔するぞ」

「はぁ、何言ってんだよ。ここはカラオケ屋だぜ。歌を聞かないでどうす……」

 と銀時(キリト)の忠告に反論しようとした時だった。

「チョメチョメ~!!」

「ぐはぁぁぁ!!」

 聞こえてきたのは新八の……ノイズのような歌である。彼の大好きなアイドル寺門通の持ち歌を歌っているのだが、その歌唱力は壊滅的なくらい下手。爆音波のようないい加減な音色に、クラインと銀時(キリト)は思わず耳を塞いでしまう。

「なんだこの不協和音!?」

「だから言っただろ。新八はとんでもなく音痴なんだ。しかも自覚無しの」

「それにしちゃ度が過ぎるだろ!! なんで気持ちよく歌ってんだよ!!」

「俺が知るか!」

 期待外れな歌声に苦しめられるクライン。苦悶の表情を浮かべる彼に、銀時(キリト)は冷たくツッコミを入れていた。

 そして新八はようやく歌い終える。

「どうでしたか、僕の歌は?」

「いつも通りの最低……」

「いやいや、良かったよ! 新八らしかったぜ!」

「本当ですか、嬉しいな~」

 歌の感想を本人から聞かれて、銀時(キリト)はストレートに言おうとしたが、クラインが焦った表情でお世辞として被せてきた。彼の一言に新八は、疑いもせずそのまま受け取っている。

「おい、お前。正気かよ」

「いやいや、この曲だけかもしれないだろ! 他の曲も聞いてみないと」

「どっちにしろ同じだっての」

 必死に新八をフォローし、歌音痴ではないと信じたいクラインに対し、銀時(キリト)は冷めた表情で無気力に呟いていた。どんなに違う歌を歌おうと、同じ結果が目に見えているからである。クラインのポジティブシンキングな考え方に、彼は少しばかり鬱陶しさを感じ取っていた。

 その後も三人は代わりばんこに、自身の好きな歌を歌っていく。新八は変わらず、お通ちゃんの曲を。クラインは銀魂の世界で知ったロックバンドや恋愛系の曲を。銀時(キリト)はというと、

「千の風に~! 千の風になって~!」

全然歌に感心が無いので、自分の薄っすら知っている曲を片っ端から歌っていた。

「くぅ~。なんて切ない歌なんだ!」

「いや、ほとんどうろ覚えでしたけどね」

 素直に銀時(キリト)の歌を聴くクラインは、彼の悲しい曲を聞いて感極まっている。そんな純粋な反応をするクラインに、新八はボソッとツッコミを入れていた。彼の言う通り、サビの部分しかまともに歌えていなかったからである。

 その後も特に大きなトラブルは無く、カラオケを始めてから一時間ほど経った頃だった。

「僕、厠行ってきますね」

「おう、ゆっくり行ってこい!」

 新八が厠(トイレ)の為、カラオケボックスから一旦抜け出すことに。

「キリトさんも余計なことはあまり言わないでくださいよ」

「分かっているよ、ほら行ってこいや」

 退出する前に新八は、銀時(キリト)へ入念に余計な小言は言わないようにと小声で警告する。少しばかり心配はあるが、新八はそのまま厠へと向かった。

 一方でカラオケボックスには、クラインと銀時(キリト)の二人のみとなる。銀時(キリト)は一呼吸入れて、表情を少し崩した後に思っていたことを心の中で漏らしていた。

(本当にこいつ、俺が入れ替わっていること気付かねぇんだな。純粋なのかバカなのかどっちだよ)

 一応キリトらしく振舞っていたものの、クラインからは最初を除いて、特に疑われてはいなかった。銀時(キリト)側からすれば、有難いことこの上ないのだが、ここまで指摘されないと余計に心配してしまう。

 それでも正体がバレないようにと、銀時(キリト)が密かに彼を警戒していると……クラインは何食わぬ顔で、銀時(キリト)に話しかけてくる。

「ところで、キリトよ。万事屋の方はどうなんだよ」

「万事屋?」

 振って来た話題は、ただの世間話であった。

「あぁ、特に変わらずだよ。色んな仕事をやっているさ。そういうお前はどうなんだよ?」

「俺か。俺も大躍進しているぜ。桂さんの元で、真の武士道を極めている! 毎日充実しているよ」

「そうかー。じゃ、幕府の犬に逮捕されないようになー」

「任せろ! 逃げ切ってやるからさ!」

 互いに近況を確認すると、クラインは変わらず真選組や幕府からの逃げ切りを宣言している。この話でもクラインは前向きでひたむきな一面を見せており、その表情もどこか輝いているように見えた。あまりにも高い自信を垣間見て、銀時(キリト)もフッと笑っている。

(今確信したわ。こいつ桂以上にバカかもしれない)

 内心では彼の事を思いっきり見下していたが……声や態度には一切現さなかった。

 そんな話を交わしているうちに、クラインはふと話題を変えてくる。

「お前って変わったよな」

「えっ? ちょっと待て。まさか分かったのか?」

「おうよ。銀さんと出会ってから、もっと笑うようになったんじゃないか!」

 一瞬正体を気付かれたと思ったが、それは銀時(キリト)の思い過ごしだった。クラインは少し悟ったような表情に変わり、自分の思っていたことをそのまま彼にぶつけている。

「笑う……どうしてそう思ったんだよ?」

「そりゃ、銀さんを心の底から信頼しているからじゃないのか。桂さんから色々聞いているからよ。銀さんの武勇伝。普段はてんでダメのロクデナシなのに。誰かの為、守る為なら命を懸けて戦う。ダメ人間の部分を除けば、どこかの誰かさんとまるで同じだなって」

「それって俺の事か?」

「当たり前だ。お前も元の世界では無茶苦茶やってること知ってんだぞ。自分から進んで悪役を演じたり、俺達には黙って宿敵と決着を付けにいったりさ」

 クラインはキリトの無茶で、一人で抱え込み必死に誰かを守ろうとする姿を幾度も見てきており、そんな彼と銀時の姿を密かに重ねていたのだ。桂から銀時の逸話を聞くたびに、銀時とキリトが似た者同士だと思っている。誰かを守り戦うことから逃げずに戦う二人だからこそ、キリトの強い責任感が徐々に緩和され、より幸せそうに見えるとクラインは勝手に感じていたのだ。

(ったく、キリトよ。主人公らしいこと、バンバンやりやがって。でも……アイツならやりそうだよな。平気で無茶なことやるしよ)

 一方でこの話を聞き、銀時(キリト)も内心でボソッと呟く。自分と年齢は離れているクセに、大人顔負けの修羅を何度も潜り抜けていることに、彼は少しばかり心配していた。数か月同居しているからこそ、一人で抱え込みやすい性格には銀時も危うさを感じていたのである。

 そんな話を聞いているうちに、クラインは感極まって、さらに思っていたことを銀時(キリト)へぶつけていた。

「俺はお前がそれを続けて壊れないか、凄く心配していたんだよ。お前の周りは同年代の女子の知り合いは多くても、男子ってほぼ見当たらないだろ。だからちゃんと腹を割って話せる相手がいないんじゃないかって……アスナさんやユイちゃんじゃなく、その二人とはまた違った縁が必要じゃないかって」

 一呼吸置き、彼は真摯な眼差しで銀時(キリト)に目を向けていく。

「でも、今のお前にはいるじゃないか。銀さんに新八に神楽ちゃんが。ちゃんとお前らのことを理解して、守りあえる相手が。俺はぁ、お前がこの世界で最初に出会えた相手が万事屋で良かったと心底思っている。だってよ……万事屋をやっているキリト、凄くかっこいいからさ」

 彼は少し気障っぽく、屈託のない笑顔を見せて話を締めくくった。元の世界では経験できなかった縁が、この世界では叶っていると彼は痛感している。キリトの事を理解し、素直に信じてあえる仲間が、万事屋の面々だと思っていた。そのうえで万事屋としてキリトを褒め称えている。

 あまりにも率直な一言。クラインの確かな気持ちを受け取って、銀時(キリト)も軽口を挟みつつ笑って返答する。

「おいおい告白か。残念ながら俺にはもう先客がいるんでね」

「そんなんじゃねぇよ。ただの俺の戯言だ。本気で受け止めるなよ」

「分かっているよ、そんなこと……ありがとよ、クライン。少し嬉しかったぜ」

「よせやい、照れるだろ!」

 銀時(キリト)もキリト自身の気持ちになって、思ったことをクラインに返していた。この話を機に、銀時(キリト)のクラインの印象は再度変わっている。大馬鹿で純粋な最高の悪友であると。

(バカ正直で良い奴じゃねぇか。キリトにとって最高の悪友だよ、アンタは)

 キリトがクラインと繋がれた理由も密かに感じ取っていた。その上で銀時(キリト)は、自分らしいアドバイスもクラインへ伝えていく。

「まぁでも、そういうライバル路線を目指すなら、お前もベジータくらい魅力的にならなきゃな」

「ベジータ? なんだそれ?」

「えっ?」

「野菜の一種か?」

 と意気揚々と言ったはずが、クラインにはさっぱり伝わっていなかった。不思議そうな表情を浮かべるクラインに対し、銀時(キリト)は急な彼の察しの悪さに思わず怒りを込み上げてしまう。

 そして……つい怒りをそのままぶつけてしまった。

「おんめぇ! ベジータ知らないとは、本当に男か!?」

「ちょ、キリト!?」

「なんで知らねぇんだ! お前、二十五歳だろ!? 名前くらい聞いたことあるだろ! つーか、ジャンプ買ってなかったのか!?」

「ど、どうしたんだ、キリト!? そんなにベジータ知らないことに怒っているのか!?」

 ベジータもといドラゴンボー〇を知らないクラインに、ただただ八つ当たりして彼の胸ぐらを掴んでいる。別世界故に、もしかするとSAOの世界にドラゴン○―ルという漫画は存在していないのかもしれないが……そんなことに気付くことなく、引き続き怒りをぶつけていく。急に怒り出した銀時(キリト)に、クラインはただただ困惑しているが……。

 そこに厠にて用事を済ました新八が戻ってきている。

「何やってんですか、銀……キリトさん!」

「うるせぇ! こいつがベジータ知らないって言うから、尋問してんだよ!」

「何をくだらないこと言ってんですか! 良いから、落ち着いてくださいよ!」

 銀時(キリト)を咄嗟に抑え込み、彼を必死に宥めていく。あまりにもしょうもない理由で怒っていることが分かり、新八は少しばかり呆れていた。

 こうして数分後には、ようやく彼の気が収まる。

「ったく。俺カルピス補充してくる」

 銀時(キリト)は仕切り直しで、カルピスを取りにドリンクバーのある場所へ移動。カラオケボックスを一旦退出している。

「どうしたんだよ、キリト……そもそもベジータって誰なんだよ?」

「あの、キリトさんが最近好きな漫画のキャラと言うか……少年雑誌を最近銀さんから借りて読むんですよ。だから少し感情的になったのかもしれませんね」

「マジか。アイツも段々と銀さんの影響を受けているってことか……!」

 その途中で新八が、クラインに銀時(キリト)が怒った理由について補足を入れる。こちらも新八の言うことを素直に信じており、クラインはキリトが少年漫画を読むようになったことに嬉しさを感じていた。本人にそんな気は一切ないのだが……。

(なんとか誤魔化せた。ていうか、そんな下らないことで、ここまでの努力を台無しにしないでくださいよ!)

 新八はフォローに回っている故に、心理的な負担を大きく感じている。これ以上銀時(キリト)が余計なことをしないか、より一層不安になっていた。

 だが彼らはまだ気づいていない。銀時(キリト)が今、思わぬ人物と邂逅していることに……!

 

 

 

 

 

 

「あーあ。糖分切れて、苛々する~」

 ドリンクバーにてカルピスを補充しながら、ぶつぶつと文句を呟く銀時(キリト)。大きなあくびをしながら、彼はキュッと補充したカルピスをその場で飲んでいる。

「ふわぁ~。ん?」

 と気持ちを一新させていた時だった。

 彼はドリンクバーの横にあったセルフのカレーコーナーにて、見たことのある物体を見つけていた。それはお米が入った丼に、大量のマヨネーズがかかった異色の食べ物である。

「おい、誰だよ。ドリンクバーの横に犬の餌置いてやつ。非常識だろ」

 銀時(キリト)はこの丼を見た瞬間に苛つき、怪訝な表情に変わっていた。そう。これは彼の気に食わない相手である土方十四郎が作るマヨネーズ丼、通称土方スペシャルである。行き過ぎたマヨラーの土方らしい創作料理だが、銀時(キリト)からすればただの猫の餌にしか見えない。

 不快な気持ちになった彼は、土方スペシャルを睨みつけながら、そのまま場を立ち去ろうとする。そんな時であった。

「犬の餌じゃねぇよ」

「はぁ!? お前……」

 偶然にも土方十四郎とばったり遭遇してしまう。無論、この土方スペシャルを置いていたのは彼であり、土方は忘れたものを取りに、このドリンクバーのエリアに戻ってきている。

 当然銀時(キリト)からすれば、会いたくない相手との遭遇に面倒くささを感じていた。普段ならともかく、今のキリトと入れ替わっている時には、余計に話したくないのである。

 一方で土方は、銀時(キリト)を完全にキリトと思って話しかけてきた。

「誰かと思ったら、万事屋んところのキリトか。なんでこんなところにいるんだよ」

「いや、友人とカラオケに来ていたな……」

「そうかよ。てか、そもそもこれは犬の餌じゃねぇよ。土方スペシャル。元の世界にもあっただろ?」

(あるわけねぇだろ! こんなマヨネーズ三本使って食うゲロマズ料理!!)

 土方はさも当たり前のように、キリトのいた世界にもあったと同意を求めているが、当然銀時(キリト)が即刻否定。そもそもキリトだろうと、同じ反応をすると目に見えている。内心でツッコミを入れていた時、土方に続いて彼の仲間をドリンクバーに集結していた。

「アレ、キリト君じゃないか!」

「本当だ。久しぶりですねぇ、黒剣さん」

(げっ!? なんでこいつらまで来てんだ……)

 土方に続いてやってきたのは、近藤と沖田。前者は優しく手を振り、後者は久しぶりのキリトの再会に少し喜んでいる。銀時(キリト)側からすれば、意地でも会いたくない相手で、隙を見てこの場から逃げようと考えていた。

「おいおい……三人揃ってどうしたんだよ。まさかアレか。職務放棄して、カラオケに来てんのか?」

「違いまっせ。これも立派な任務でさぁ」

「そうだ! 俺達は今、ある重要人物の警護に当たっていてな。その為にこの店でボディーガードしているんだよ」

 軽口程度にカラオケ店にいる理由を聞いていたところ、銀時(キリト)は嫌な予感を察していく。思えば真選組の服装は、休暇時の和服じゃなく、勤務中の黒い制服。さらには奥を見ると、他の真選組隊士もとあるカラオケボックスの前で警護に当たっていた。近藤の言った重要人物の警護で、銀時(キリト)の脳裏には一人の男が思い浮かんでいる。万事屋とは何度も遭遇したあのお方のことを。

(警護……待て! この流れって……!?)

 と察しの良い銀時(キリト)が逃げようにも、もう遅かった。

 近藤、土方、沖田に続いてドリンクバーにやって来たのは……

「おいぃ、お前らどうしたんだ? 将ちゃんが待っているぞ」

「フッ、カラオケと言うのは実に楽しいところだな。休憩が終わったら、また歌うぞ」

警察庁長官松平片栗虎と天下の征夷大将軍徳川茂茂である。

(しょ、将軍かよぉぉぉぉぉぉぉ!!)

 お決まりのセリフを、内心でぶちまける銀時(キリト)。入れ替わった状態で、まさかの将軍様と遭遇してしまう。

 果たして、彼は無事にクライン達のいるカラオケボックスに戻ることが出来るのだろうか。




 入れ替わった銀さんとキリトが、それぞれの旧友と会う話でした。どちらともバレませんでしたが、やはりハプニングが起きましたね笑 
 桂の恐ろしい?計画も明らかに。風林火山の面々が攘夷志士になるのも近いかも……?
 そしてまさかの将軍様が剣魂二回目の登場! 銀時(キリト)とばったり遭遇し、どうなることやら……






次回予告

神楽(アスナ)「私がアッスーの代わりに、シッリー達と特訓するネ!」

アスナ(神楽)「神楽ちゃん、大丈夫かな……」

ユイ「ママ! 晴太さんの宿題って分かりますか?」

アスナ(神楽)「えっ、何!? この問題~!!」
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