剣魂    作:トライアル

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本日で入れ替わり篇は最後です!


第百十三訓 俺が侍で、アイツが妖精で

「みんな。連れてきたぞ」

「あっ、アスナさん!」

「やっと来た。遅いわよ!」

 一方でこちらは、吉原にある一角の空き地。そこには既に特訓の準備をしていたシリカ、リズベット、リーファ、シノンの四人が待っていた。月詠がアスナを先行で連れてきたのだが……今の彼女の中身が神楽であることは、まだみんなは知らない。

(うぅ。アッスーもユイもいない中で、少し不安アル)

 神楽(アスナ)も、不安を心の中で吐露している。なるべくアスナへ似せるようにと意気込んでいるが、その意識が続くのも時間の問題だと思っていた。無意識にアル等の口調が出ないようにと、改めて呼吸を整えていく。

「どうしたの、アスナさん?」

「いや、なんでもないわ! ハハ」

 リーファから聞かれても、怪しまれないようすぐに返答した。この調子のまま、ユイやアスナ(神楽)と早めに合流出来ることを望んでいる。

「さて、早速特訓に入るか?」

 と月詠がシリカらに、特訓の開始について聞いていた時だった。

「あっ、ごめん。月姉! 少しアスナと話したいことがあって……」

「リ、リズ?」

「こっち来て」

 リズベットが手を上げて、アスナと二人っきりで話したいと告げる。すると彼女は神楽(アスナ)の手を引っ張って、空き地の片隅にある建物の影へと移動した。

「どうしたんじゃ。リズは」

「あぁ、あの件ですね」

「アスナさんが聞いたら、どんな顔をするのやら……」

 急に神楽(アスナ)を連れ出したリズベットに、疑問を覚える月詠。対してシリカやリーファは、苦い表情を浮かべて、リズベットの心境を察していた。なにやら訳アリである様子だが。

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、空き地近くの建物の影では神楽(アスナ)がリズベットと話していた。リズベットは終始、神楽(アスナ)に対して申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「どうしたの、リズ?」

「あのアスナ……言いにくいんだけどさ、前に個人的なお礼で、万事屋に珈琲豆セットをプレゼントしたじゃない」

「アレね。美味しかったわよ」

 彼女が話題に挙げたのは、珈琲豆の件についてだった。これは万事屋が鉄子とリズベットの鍛冶の手伝いをした時に、依頼料と共に渡された商品で、宇宙中から集まった原産地の違う珈琲豆が六袋詰まった所謂詰め合わせセットである。銀時やキリトらもリズベットのご厚意に感謝して、美味しくその珈琲を頂いていた。おおよそ一週間前の出来事だが、リズベットはこの件で神楽(アスナ)にどうしても伝えたいことがあるとのこと。

「その豆の中に、一袋だけ白い豆が入っていなかった?」

「白? あぁ、アレは私……いや、神楽ちゃんが全部飲んでいたわよ」

「神楽が!? そうなの」

「えぇ? なんか良くないの?」

 急に大声を出すリズベットに、思わず驚く神楽(アスナ)。白い珈琲豆は既に神楽が口にしており、全部飲んだが特に問題は感じていなかった。何やら訳アリのようにも感じ取れて、神楽(アスナ)はリズベットに問い直すと……その珈琲豆の意外な正体を彼女は知ることになる。

「実はね……あの珈琲豆が産地偽装されていて、まったく別の珈琲豆だったのよ!」

「産地偽装!? どこのものなの!?」

 唐突なカミングアウトに驚嘆する神楽(アスナ)。どうやら神楽の選んだ白い珈琲豆のみ、表記と全く異なる豆だったようだ。心配した神楽(アスナ)が再度リズベットに聞き直すと、またも衝撃的な事実を彼女は知ることになる。

「ここ」

「ん?」

「だから……畑で採れたものを、一回通しているってこと」

「どこに?」

 リズベットが指を指した方角は、彼女の腹部だった。神楽(アスナ)は彼女のシチュエーションが何を指しているかさっぱり分からなかったが……

「要するに……動物のお腹の中から一回出ているってこと」

「……はぁ!?」

ストレートに言われてやっとその意味を知ることとなる。そう。神楽が飲んだ珈琲の正体は、動物の体内を通して再熟成された珈琲豆だったのだ。現実にも象や猿の体内を通って再度熟成される珈琲豆があるので、前例がない訳ではないのだが……神楽(アスナ)にとっては衝撃的であり、開いた口がふさがらないほど大きなショックを受けている。

「昨日ニュースで見て、アタシ自身も驚いていて……衛生面は問題ないけど、伝えておかないとなんか気が済まなくてね。ごめん! 神楽が戻って来た時にも、アタシが正直に話すから!!」

 どうやらリズベット自体も昨日のニュースで知った程度であり、プレゼントを渡した時にはまったく想像だにしていなかったのだ。彼女は驚き続けるアスナの姿を見て、再度誠心誠意謝っている。

 だが彼女は気付いていない。今目の前にいるのが神楽の人格が入ったアスナで、その珈琲豆を煎れて飲んだ張本人であることに……。

「リズ……」

「アスナ?」

 真実を知った神楽(アスナ)は、顔を俯かせながらリズベットにゆっくりと近づくと、

「何しでかしとんじゃ、われぇ!!」

「えぇぇぇぇ!!」

彼女の胸倉を掴んで必要以上に体を揺らしていた。神楽(アスナ)の変貌ぶりに、リズベット自身もたじたじになってしまう。

「つまりアレアルナ! 私にうんこを食べさせたってことアルナ!! ならリズだろうと、容赦しないネ!!」

「どうしたの、アスナ!? 何か神楽っぽい口癖になっているよ!」

「あっ」

 仕舞いにはアスナのフリをすることを忘れて、素の神楽としてリズベットに訴えてしまう。普段のアスナからは考えられない粗暴で激しいやり方に、リズベットも思わず違和感を覚えている。怒りで我を忘れていた神楽だったが、彼女の一言でようやく正気を取り戻した。

「な、なんでもないわ! きっと神楽ちゃんなら、こう怒るはずだから、気を付けてねって言いたかったのよ!」

 そして表情を冷静に戻しつつ、神楽のフリをしたと苦しい言い訳を交わす。

(バ、バレてないアルよな……)

 先ほどの所業を見れば、アスナではなく神楽だと気づかれても可笑しくない。正体がバレていないか戦々恐々とする神楽(アスナ)だったが、

「そうよね。神楽なら胸倉掴んで、ヤクザ顔負けの脅しとかしてくるよね……」

(おい、リズ。私のイメージ、どうなっているアルか)

特に怪しまれる様子は無かった。むしろ神楽が激怒した時のイメージトレーニングが出来て、リズベットは素直に感謝している。神楽(アスナ)からすれば、思ってもいない極悪な印象に納得がいかない様子であった。

 そんな終始申し訳なさそうな表情を浮かべるリズベットに、神楽はふとあることを思いつく。

(あっ、そうだ)

 そしてそのまま思いついたことを、リズベットへと打ち明かす。

「だったら、リズ。神楽ちゃんにお詫びのプレゼントをしたらどう? 好きな食べ物をあげたら、きっとご機嫌も戻るわよ」

 そう。お詫びのプレゼントを渡すべきと彼女は提案していた。この機会を利用して、神楽(アスナ)は今食べたいものをリズベットからたかろうと画策している。

なおリズベット本人は、神楽(アスナ)の提案にすぐ乗っかっていた。

「そ、そうよね。確かに良いかも。それで神楽の好きなものは……」

「フライドチキンの皮!」

「えっ?」

「フライドチキンの皮をあげたら、きっとご機嫌になるわ!」

 リズベットの独り言に覆いかぶさるように、神楽(アスナ)は大声でフライドチキンの皮を強調。要するに脂身のあるジューシーな鶏肉を、彼女は躊躇いもなく欲している。

 まるで誘導尋問のように、欲しい物をたかろうとする神楽(アスナ)。そんな彼女の策に乗っかって、リズベットは素直に神楽(アスナ)の言うことを信じていた。

「分かったわ。ありがとう、アスナ! そうと決まったら、特訓が終わった後に、ケンタッ○―にかけこまなくちゃね!」

 そして今日中には、フライドチキンを買う為に○ンタッキーへ赴くと決めている。神楽へのお詫びのプレゼントも決まり、リズベットは晴れ晴れとした表情に変わっていた。

 因みに神楽(アスナ)も同じく嬉しそうな表情となっている。

(やったネ! リズのおごりでケン○ッキーが食べられるネ! ありがとうネ、リズ)

 内心では彼女への感謝をしっかりと伝えていた。

 こうして話が一段落した二人は、仲間達の元へと戻っている。

「どうだった、リズ?」

「大丈夫よ。神楽が全部飲んでいたみたいで、後でお詫びにフライドチキンを買うことにしたから」

 シノンが心配そうに聞くと、リズベットは神楽(アスナ)の提案があったこともそのまま伝えていた。神楽へのお詫びがフライドチキンと知ると、シリカやリーファらも深々とその理由に納得している。

「確かに神楽ちゃんなら、○ンタッキーのチキンで大喜びするかも」

「ポテトやナゲットも付けたら、きっと上機嫌になること間違いないですよ!」

(おい、リッフーにシッリー。お前らも私を、ケン○ッキーが全てと思い込んでないアルか)

 二人の一言には、神楽(アスナ)もつい内心でツッコミを入れていたが。リズベットと同様に、食い意地の張った神楽なら、好きな食べ物でご機嫌が直ると思っているらしい。親しみを込めて言っている一言だが、神楽(アスナ)は下に見られているように見えて、少しだけ不満そうに感じている。

 こうしたやり取りが、特訓前に行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 それから数分も経たないうちに、女子達はいよいよ本題の特訓へと、気持ちを切り替えていく。

「さて。気を取り直して、特訓を始めるとするか。皆の者、準備は良いか?」

「えぇ、もちろん!」

「準備はオーケーよ!」

 月詠からの掛け声で、全員の戦闘準備を確認。現在リーファら女子達は得手の武器ではなく、普段練習や鍛錬用で使用している吉原特製のレプリカ用の武器を手にしていた。つまりは竹刀のように、怪我や事故の心配はないのである。

 因みに神楽(アスナ)にも、ちゃんとレプリカのレイピアを用意していた。

「はい、これ」

「これ?」

「特訓用のレプリカ品よ。もちろん、特訓だからって手加減は無しだからね」

 リズベットから手渡されたレプリカのレイピアを、マジマジと見つめる神楽(アスナ)。動作を確認しつつも試しに素振りするも……今の彼女には、あまりこの武器がしっくりきていなかった。

「うーん……」

「どうしたの、アスナ?」

「リズ。悪いけど、私は今回武器無しで行くわ」

「えっ!?」

 そしてそのまま、レイピアをリズベットへと返却してしまう。神楽(アスナ)にとっては得意の格闘戦術で、この特訓を乗り切ろうと試みている。

 唐突な神楽(アスナ)の宣言に、仲間達は大いに驚いていた。

「アスナさんが素手で……!?」

「どういうことですか?」

 リーファやシリカが困惑した表情で思わず聞き返すと、神楽(アスナ)はフッと笑って自信満々に理由を述べていく。

「フフ。私も新技を披露するってこと。神楽ちゃんと戦って、夜兎顔負けの体術を身に着けたんだから。さぁ、カモン!!」

 神楽(アスナ)は小刻みにジャンプしながら、四人に向かって拳法の如く体勢を整える。アスナへの対策をしているであろう四人へ意表を突く算段であり、神楽(アスナ)は神楽自身から教わったと誤魔化し、自慢の格闘戦術でアスナ(神楽)との合流まで時間を稼ごうとしていた。

 一方でシノンら女子達は、神楽(アスナ)の普段とは違う雰囲気にまだ困惑を続けている。

「レイピア無しで本当に特訓するってこと?」

「なるほど。アタシ達への対策はお見通しってことね」

「なら、こっちも本気で行かないとですね!」

 彼女達はきっと、アスナが神楽との特訓で得た格闘術だと理解し、動揺を抑えながらも今まで通りの実力を発揮すると決意している。四人共、特にアスナの行動を気にしてはいなかった。

「なら、そろそろ良いか。では、始めるぞ!」

 全員の戦闘準備を確認したところで、審判役も務める月詠が戦闘開始の号令を上げる。

 こうして神楽(アスナ)とシリカ、リズベット、リーファ、シノンの混戦の特訓が始まった。

「「はぁぁ!!」」

 まず奇襲を仕掛けてきたのは、シリカとリズベット。武器を握りしめた二人は、神楽(アスナ)に狙いを定めて、早速攻撃を仕掛けていく。

「ほわちゃ!!」

「何!?」

「えっ!?」

 しかし、神楽(アスナ)は瞬時に二人の接近攻撃を避けていた。羽も使わずに大きく飛び上がる彼女の姿を見て、シリカらは思わずアスナの手ごわさを感じ取っている。

「はぁ!」

「くっ!」

「うぐっ!」

 そして神楽(アスナ)はそのまま地面に蹴りを入れて、その衝撃波だけで、リズベットらを左右に吹き飛ばした。二人に怯みを与えて成功を喜んだのも束の間、

「そこよ!」

「何!?」

続いてシノンが攻撃を仕掛けてくる。彼女は練習用の弓矢を神楽(アスナ)へ射抜いた後、弓の先端を使って瞬時に接近戦を展開していた。弓を使った突き攻撃や近距離から弓矢を射抜いて攻撃を試みたが、

「はぁ!!」

「えっ!?」

神楽(アスナ)は構わずにその攻撃と張り合う。突き攻撃を受け止め、弓矢も手づかみで防いで、攻撃そのものを無効化していた。

「やるわね、シッノー! でもまだまだよ!」

 神楽(アスナ)もシノンの強くなった戦い方を素直に褒めている。だがしかし、ここでシノンはとある違和感を抱くことに。

(シッノー? アレって神楽の呼び方よね。それにあの戦い方……まさかとは思うけど)

 そう。アスナはシノンを呼ぶ時、シノノンとあだ名で呼ぶ。しかしさっき聞こえてきたのは、シッノー。これは神楽が呼ぶ時のあだ名だ。呼び方と言い戦い方と言い、シノンは今のアスナが別人じゃないかと思い始めていた。

 一方で神楽(アスナ)は続いて、リーファにも戦いを挑む。

「そこネ!」

「ふっ!」

 神楽(アスナ)は手刀でリーファに攻撃を繰り出すも、彼女は羽を広げて回避。そこからリーファは空中から攻撃を仕掛けていく。

「はぁぁ!!」

 練習用の剣を握りしめて、神楽(アスナ)へ攻撃しようとするも、

「ほわちぁぁ!!」

「えっ、嘘!?」

神楽(アスナ)は空から接近するリーファに、手刀で対応。近づいていた彼女の足元に向かって手刀を叩きつけ、バランスを崩して、そのまま落下させていた。

「そこです!」

「今よ!」

「何の!!」

 さらに態勢を整えなおしたシリカとリズベットが、再度攻撃を仕掛ける。技を繰り出す彼女達の武器を即座に握りしめて、神楽(アスナ)は力づくで攻撃を防いでいた。

「どうしたの、アスナ? そんなに強くなって……!」

「神楽さんと内緒で特訓したんですか……!?」

「そうネ! 今の私は一味違うわよ! はぁぁ!」

 武器を握りしめたまま投げ飛ばし、一旦シリカらとの距離を離れていく。投げ飛ばされた二人はリーファと合流し、再度アスナに向けて狙いを定めていた。

「いつにもまして強い!」

「武器無しでもここまで戦えるなんて……!」

「みんな! 怯まずに突き進むわよ!」

 彼女の言っていた夜兎顔負けの体術は嘘偽りないと理解し、余計に手ごわさを感じ取っている。それでも隙が出来るタイミングを伺って、全力で神楽(アスナ)へ立ち向かおうとしていた。

 そんな時である。

「ストップ!」

「へ?」

 シノンが場にいる全員に向かって、大声で戦闘中止を呼び掛けてきた。

「どうしたのじゃ、シノン? 何かあったのか」

 月詠が訳を聞くと、シノンは確信を得た表情で、神楽(アスナ)に指を指してくる。

「えぇ、そうよ。単刀直入に言うと……アナタ! アスナじゃないわね!」

「げっ!」

「アスナさんじゃない……?」

 彼女は神楽(アスナ)の一連の行動から、アスナ本人ではないと確信を得たのだ。彼女にしては粗暴な戦い方とぎこちない口調。これらの違和感から、その正体すら見破っている。

「アナタの正体は……」

 するとシノンは、とある弓矢を神楽(アスナ)に向かって放ってきた。その弓矢の先端には、市販の酢昆布が箱ごと取り付けられている。

「やった! 酢昆布ゲットネ!! ……あっ!」

 反射的に神楽(アスナ)が酢昆布を掴むも、素の自分を出してしまい、まんまとその正体を全員に現してしまった。

「酢昆布? ってことは……」

「そう。このアスナは紛れもない神楽よ!」

「なんじゃと!?」

「か、神楽さん!?」

 アスナの中身が神楽と確信し、動揺が広がる月詠やリーファら女子陣。もはや言い逃れすることが出来ず、神楽(アスナ)はたじたじになって反応に困ってしまった。

 とそこに、タイミングが悪くアスナ(神楽)、ユイ、晴太の三人も到着してしまう。

「みんなお待たせネ! さぁ、特訓を始めるアルよ!」

「って、もう始まっていたんですか?」

 事情を知らないアスナ(神楽)、ユイはみんなへ話しかけるも、その反応は微妙なものであった。

「アレ? どうしたネ、みんな」

「アスナさん。もう神楽さんのフリをしなくて、大丈夫ですよ」

「もうバレちゃっているから」

「えっ……?」

「ど、どういうこと!?」

 シリカやリズベットらに言われて、アスナ(神楽)は何が起きたのかうっすらと理解する。自分がいない間に神楽(アスナ)が正体をバラシてしまったのだと。事情を知らない晴太は、一体何が起きたのか分からずじまいであった。

 こうして特訓は一時中断となり、神楽(アスナ)、アスナ(神楽)、ユイは何が起きたのか、月詠らに明かすこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー! 神楽ちゃんとアスナさんが入れ替わっていたの!?」

「そうなんですよ。でも皆さんを、あまり混乱させたくないから、なるべくバレないようにしていたんですけど……」

「シノンが気付いて、バレたということじゃな」

 神楽とアスナが入れ替わった事実を知り、大きく驚く晴太。今まで気付いていなかったが、宿題を教えてくれた神楽の博識さを思い出して、思わず納得してしまう。ユイが必死に誤魔化していた苦労も理解していた。

 なお、神楽とアスナが入れ替わったことは素直に打ち明かしたものの、銀時とキリトが入れ替わったことはまだ女子達には話していない。シリカやリズベットらは、入れ替わった神楽やアスナの外見や雰囲気をマジマジと眺めている。

「本当に入れ替わっちゃったんですね」

「確かに神楽にしては、上品さが残っているというか」

「そうかな? そんなことないと思うけど」

 特に神楽の肉体に入ったアスナは、普段とは異なる上品で清楚な佇まいを皆感じ取っていた。肝心の本人はまったく意識してない様子だが。

「ねぇ、アスナさん。これ持ってみて」

 するとリーファが、アスナ(神楽)に練習用のレイピアを渡す。それを持ち、彼女は普段通りの素振りを繰り出してきた。

「はぁ!」

「剣裁きはアスナそのものね」

「神楽の姿のままだと、余計に迫力が出るわね」

 シノンやリズベットも、レイピアを持ったアスナ(神楽)を見てしっくり来ている。見た目は違っても、しっかりアスナだと理解していた。

 一方で神楽(アスナ)の方に目を向けると、

「そしてこっちは……」

「う~! ハッピーターン美味しいアル!」

彼女はお菓子を口いっぱいに頬張っている。もうアスナのフリをしなくても済む為、いつもと同じ自分を惜しげもなく出していた。

「神楽さんだ」

「神楽ね」

「神楽ちゃんだ」

「まごうことなき神楽だったわね」

 シリカ、リズベット、リーファ、シノンも、神楽本人と確信。彼女らしい豪快な一面を見て、一目で分かった様子だった。

「ちょっと神楽ちゃん! 貪り食うなんて、行儀が悪いわよ!」

「えー! たまには良いじゃないアルか」

「だとしても、みんなが見ている前ではやらない方が良いって!」

 行儀悪く食べる神楽(アスナ)に、強めに注意するアスナ(神楽)。入れ替わっている影響か、中々見れない珍しい光景だと皆感じている。

「やっぱり違和感しかないわね……」

「神楽ちゃんがアスナさんを りつけるなんて滅多に見られないもの……」

「何とも見慣れない光景じゃな」

 シノン、リーファ、月詠と思ったことをそのまま呟く。性格も考え方も異なる二人が互いのフリをするのがどれだけ困難か、よく分かりつつあった。

「ママ、神楽さん。この後はどうしますか?」

「もうみんなにバレちゃったし、折角ならこのまま特訓を続けましょうか」

「そうアルナ。シッリー達もそれで良いアルか?」

「もちろん良いですよ!」

「入れ替わった状態のまま特訓するのも、中々面白そうね」

 入れ替わった事情を話し終えたところで、女子達は引き続き特訓を再開することにする。むしろ滅多にないことなので、存分に楽しもうと意気込んでいた。

「そうと決まれば、早速始めちゃいましょうか!」

「月姉さんも参加する?」

「そうじゃな。折角ならわっちも手合わせ願うか」

 審判役を務めていた月詠も参戦するようで、計七人で特訓を行うとのこと。戦意をより高めるリーファらを目の当たりにして、晴太やユイも思っていたことを発していた。

「入れ替わった状態でも、二人共手ごわそう」

「もちろんですよ! なんたって私のママとお姉ちゃんなんですから!」

 ユイが自信満々に紹介した通り、入れ替わろうとも二人の実力に変わりは無い。数分前の特訓と同じく、多勢で互角に張り合えると信じていた。

 そんな特訓の準備を進める彼女達の元に、他の万事屋メンバーも合流する。

「アレ? もう始まってる?」

「おーい、戻ったぞ」

 吉原の空き地に訪れたのは、銀時(キリト)、キリト(銀時)、新八の三人。なお銀時(キリト)は、将軍様や真選組とのカラオケに巻き込まれた影響で、かなり疲弊していた。

「キリト!」

「お兄ちゃん!」

「銀時か」

「新八さん!」

 女子達はキリトらを見つけると、揃って話しかけてくる。月詠もキリト(銀時)や新八に話しかけていたのだが……彼女達はまだ知らされていない。二人も入れ替わってしまったことに。

「思ったより来るの早かったわね」

「特訓なら始まっていますし、キリトさんも参加しますか?」

「って、お兄ちゃん? なんか目死んでない?」

「それに元気も無さそうね」

 リズベット、シリカ、リーファ、シノンと次々に話しかけるも、銀時(キリト)の様子に若干違和感を覚えてしまう。

 すると、銀時(キリト)はキリトに似せることなく、素の自分をそのまま披露していた。

「まぁ、色々あってよ。つーか、アスナと神楽から何も聞いていないのか?」

「えっ……ちょっと待って。まさか銀さんなの?」

「そうだぞ」

 察しが良く、キリトと銀時も入れ替わったことに気付き始める女子達。思わず驚嘆の表情を浮かべていると、新八も補足を加えてくる。

「まぁ、銀さんとキリトさんも入れ替わったというか……」

「じゃ、今の月姉さんと話しているのが……」

「キリトさんになりますね」

 その事実を知ると、女子達は一斉に月詠とキリト(銀時)の方に目を向けていた。そこには何食わぬ顔で普段通りに話す月詠と、返答に困りつつ応答するキリト(銀時)の光景を目にする。

「おい、銀時。今日はいつになく顔色が良くないか? 何かあったのか?」

「あぁ、えっと。それは……」

 無意識にも月詠はキリト(銀時)に近づき、不思議そうな表情で彼を眺めていた時だった。

「月姉!! ダメぇぇぇ!!」

「話す相手間違ってますって!!」

 リズベットとシリカが、二人の会話に割って乱入。強制的に二人の会話を遮断していた。

「なんじゃ、いきなり! どうかしたのか!?」

「だって、今の銀さん。キリトだから!」

「はぁ?」

「月姉が話すのは、今のキリトってことよ!」

 取り乱す女子達に動揺する月詠に対し、リーファやシノンも焦ったような表情で、銀時(キリト)を彼女に差し出してきた。彼女らの一連の言動から、月詠は銀時とキリトも入れ替わりの影響を受けていると次第に察していく。

「なんじゃと。まさか主までも」

「そうだよ。つーか、こんなにデカいんだな。お前って」

「主よ。喧嘩を売っておるのか……!?」

「違うから! 身長の方だぞ! 胸のことじゃないぞ!!」

「お黙りんす! どっちにしてもセクハラとして、裁いてやるぞ!」

「ちょっと待て!!」

 銀時(キリト)の何気ない一言に怒りを覚えた月詠は、銀時本人と確信すると同時に、彼のデリカシーの無さに激高。銀時(キリト)の胸倉を掴んで、鋭い睨みを利かせていく。銀時(キリト)側からすれば、そんな意図は一切無いのだが……日頃の行いのせいか、まったく信じてもらえなかった。彼は必死に弁明している。

 一方でキリト(銀時)側では、普段とは異なるキリトの雰囲気に皆強い興味を向けていた。

「目が死んでない銀さんなんて、初めて見ましたよ!」

「実際に入れ替わると、こうも印象が違うよね」

「みんなにはそう見えるのか?」

 シリカやシノンの反応に、やや鈍い反応を示すキリト(銀時)。よく目が死んでいないと言われても、彼はあまり実感が湧いていないのである。

「そうそう! あっ、そうだ! 折角だし、お姫様だっこしてもらっていい?」

「良いわね。なんたって、今しか出来ないものね!」

「お、お姫様だっこ!?」

 すると、リーファやリズベットから、思い付きでお姫様抱っこを提案された。銀時の体格であれば大丈夫だろうと思い、女子達は次々に賛成している。する側のキリトは勝手に進む話に、やや困惑を示していたが……。

 そんな光景を見て、他の仲間達も次々に呟いている。

「結局僕らが来ても良かったんですか?」

「良いんじゃない。もうみんなにはバレちゃったし」

「どうせ二日後には戻るんだし、気にしないのが得策アルよ」

 アスナ(神楽)と神楽(アスナ)は、銀時(キリト)やキリト(銀時)が来ても、もう特に気にしてはいなかった。共に隠し事がなくなり、すっきりした表情を浮かべている。そのまま月詠やシリカ達の話にも混ざっていった。

「まったくウチの姉ちゃん達は……」

「微笑ましい光景ですね!」

「そう……かな?」

 一方で晴太は、ちゃっかり楽しむリズベットらに、何とも言えない表情を浮かべている。ユイは対照的にまったく気にしていなかったが……。

 こうして一行は、入れ替わった状態のまま、この後にも月詠ら女子達と特訓を行うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 銀時とキリト、神楽とアスナの入れ替わりから二日が経った頃。

 ようやく四人は、源外が再度修理してくれた全自動たまごかけご飯製造機を使って、数日ぶりに元の体へと戻ったのだった。

「よしっ、終わったぞ」

「ふぅ~やっとか」

「やっぱり元の体じゃないと、慣れねぇよな」

 全自動卵かけご飯製造機の中から出てくる銀時とキリト。数日ぶりに自分の本当の肉体に戻れて、二人は一安心していた。

 なお、アスナと神楽も既に元の肉体へと戻っている。

「でももう少し、神楽ちゃんの体のまま生活したかったわね」

「私もアル。アッスーの姿だと飛べるから、もっとかっこよく飛んでみたかったネ」

 共に元の姿へ戻れたことには安心していたが、入れ替わった後の生活をもっと楽しみたかったと、贅沢な不満を漏らしていた。

 一方でユイと新八は、元の姿に戻った四人を素直に出迎えている。

「お帰りなさないです! パパ! ママ!」

「ユイも随分と心配かけたな」

「やっぱりこの体じゃないと、締まらないものね」

 ユイに優しく話しかけるキリトとアスナ。気持ちを切り替えて、また本当の自分の姿で生活できることを嬉しく思っていた。

「ったく、折角ならキリトの体のまま風俗行きたかったのによ」

「アッスーの体でASMRも撮りたかったアル」

「つーか、冗談じゃなかったのかよ」

 その横では、銀時と神楽が新八に愚痴を呟いている。二日前に言った冗談を、二人は本気でやろうとしていたみたいで、念願叶わずため息を吐いてしまう。浅ましさを感じる二人の悪知恵に、新八は小声でツッコミを入れていた。

 そんな安堵の表情を浮かべる六人に、源外がそっと話しかけてくる。

「おーい、お前ら。このカラクリ戻すのに疲れたから、もう二度と入れ替わるなよ」

「分かっているよ、爺さん。そんな好き好んで入れ替われるわけないだろ」

「原因となった宇宙猪も無事捕獲したので、大丈夫ですよ!」

「そうかい。なら、さっさとパーツ外すからな」

 彼は文句を呟きつつ、銀時らに小言をぶつけてきた。どうやら今回作り直した全自動卵かけご飯製造機が想像以上に手間がかかったらしく、さっさと違うカラクリにパーツを組み替えたかったらしい。銀時らから了承を得ると、彼は新しいカラクリの開発を進めていた。

「さて、僕らも万事屋に戻りますか」

「そうだな。今日はもうゆっくりしようや」

 からくり堂への用事を終えた六人は、さっさと万事屋へ戻ろうとする。このまま今日一日はゆっくりくつろぐと決めていた。

 外で待っていた定春と合流し、一行はからくり堂を跡にした……その時である。

「銀時! 助けてくれ!!」

「ヅラ!?」

「クライン!?」

「エリザベスさん!?」

 ちょうど目の前に、桂、クライン、エリザベスの三人が、すごい剣幕で突進してきた。どうやら何者かから逃げている様子だが……

「どうしたんですか、皆さん?」

「真選組に見つかって、今逃げているところなんだよ!」

「どうにか隠れる場所を……!」

 と銀時らの後ろに隠れて、焦りながら説明していた時である。

「見つけたぞ、桂! クライン!」

「全員揃ってお縄に付きやがれ!」

「覚悟しろ!」

 タイミングが悪く、土方、沖田、近藤の真選組の面々に追いつかれてしまった。偶然にも真選組と遭遇し、命からがら彼らから逃げてきたのである。

 一行に彼らを振り払えないと察した桂達は、鞘に納めた刀に手をかけて、こちらも潔く戦闘準備を整えていく。

「来たな、真選組! こうなったら!」

「こっちも全面的に戦ってやるよ!」

[同じくな!]

 ちょうど桂達も三人いる為、一対一で近藤らと相対すると決めている。銀時らはただただ巻き込まれた側だったが……彼らの勝負は正直どうでも良いと思っていた。

「おいおい、決闘ならよそでやってくれよ。近所迷惑だっての」

「そうアル。こんな狭い路地じゃ、こっちまで巻き込まれるからな」

 と銀時や神楽が皮肉を呟いていた時である。

「キリトさん!!」

「お兄ちゃん、助けて~!」

「えっ、みんな!?」

 なんと別方向から、シリカ、リズベット、リーファ、シノン、ピナの四人と一匹が、勢いよくこちらへと向かっていた。女子達と合流すると、何が起きたのか手短に説明する。

「どうしたんですか、皆さん」

「いや、変な猪が追いかけてきて、急いで逃げてきたのよ!」

「早く逃げた方が良いわよ! ただの猪じゃなくて、宇宙猪っていう狂暴な生物みたいだから!」

「えっ、宇宙猪!?」

 リズベットやシノンの話を聞くと、アスナら万事屋は段々と嫌な予感を察していく。そう。入れ替わりの原因となった宇宙猪が、またしてもこちらに向かっているらしい。ただでさえ桂達や真選組が近くにいる中で、二日前と同じことが起きるとなると……もう火を見るよりも明らかな結果しか見えてこない。

「おいおい、キリト。これって……」

「多分……みんな! 早く逃げろ! さもないと、もっと面倒くさいことに!!」

 と銀時やキリトは、場にいた全員へ退避を呼び掛けた時である。

「むぅぅぅ!!」

「あっ」

「不味い……!」

 ふと上を見上げると、そこには二日前にも見た宇宙猪がこちらへ垂直に落下してきた。当然急な突進攻撃に、みんな避けることが出来ず……

「「「ぎぁぁぁぁぁ!!」」」

全員まとめて餌食となってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして……とうとう恐れていた事態が起きてしまった。

「うぅ……大丈夫か。キリト?」

「なんとか。銀さ――」

 最初に起き上がった銀時とキリトは互いの無事を確認したが……そこで目が合ったのは、土方と桂である。

 そう。銀時は土方の肉体に。キリトは桂の肉体に入ってしまったのだ。

「ひょっとして……お前、キリトか?」

「まさか銀さん……?」

「じゃ、今度入れ替わったのって……」

「ここにいる全員か!?」

 銀時(土方)とキリト(桂)が、周りの仲間達の様子を見てみると……そこには阿鼻叫喚のカオスな光景が広がっている。

 

 

 

 

 

 

 

「えー! なんで私の体、神楽ちゃんになっているの!? じゃ、私の体に誰が入っているの!?」

 リーファは神楽の肉体に入っており、目の前にいる自分の姿に動揺していた。肝心の彼女の肉体には、

「痛……って、なんだこの胸。おもてぇ……」

「沖田さん!? ちょっと、なんで私の体に入っているの!! 早く戻してよ~!」

「なんだてめぇ……チャイナじゃなく、まさかブラコンか?」

沖田が入っていた。リーファ(神楽)はけだるげな口調から沖田本人と確信。よりにもよって嫌いな相手が自分の肉体に入っていて、大きなショックを受けている。一方で沖田(リーファ)も、すぐに神楽の正体がリーファだと確信。迫る彼女の姿を見て、面倒なことになったと内心ため息を吐いていた。

 そして沖田の肉体には、神楽が入り込んでいる。

「おぃぃぃぃ! ドS! リッフーをいじめるなアル!! さもないと、お前の体がどうなっても良いのか!?」

 と沖田の肉体を天秤にかけて、彼をけん制したつもりが、

「良いでっせ。その代わり、俺はこのブラコンのデカ乳で、R○○映像撮るだけでさぁ」

「何考えてるの、沖田さん!! そんなことしたら、私お嫁にいけないから~!」

「てめぇ! いい加減にしろアル!!」

まったく効いていなかった。沖田(リーファ)は彼女の巨乳を利用して、あられもない姿を撮ると逆に脅している。入れ替わっても変わらない彼のドSぶりに、リーファ(神楽)と神楽(沖田)のツッコミも止まらない。彼女達の反応を面白がるように、沖田(リーファ)はまだまだ煽っていく。

 

 

 

 

 

 

 

「アタシ、シノンさんになってる!? じゃ、アタシの体には誰が……?」

 一方でシノンの体には、シリカが入り込んでいた。彼女も目の前にいる自分が誰と入れ替わっているのか気になっていたが、

「ハハハ! 真選組よ! この俺を捕らえられることは出来ぬのだ! なぁ、エリザベスよ!!」

「ナー!」

[桂さん。俺、ピナと入れ替わっております]

その正体は桂だった。桂(シリカ)は高笑いをしながら、真選組へ思いっきり挑発している。なお、彼の横にいたエリザベスとピナは互いに入れ替わっていた。エリザベス(ピナ)はまんまるとした目で、プラカードを掲げ桂(シリカ)に入れ替わったことをアピールしている。

「なんだと!? そういえば、この声に違和感が……」

「桂さん!? アタシの体で何してるんですか!!」

「何!? シリカ君の体だったのか……いや、この羽を使って逃亡すれば、気持ち良さそうだな!」

「何を考えているんですか!! アタシの体、返してください!!」

 桂(シリカ)のマイペースぶりに、シリカ(シノン)は涙目で元に戻したいと訴えかけた。危機的な状況にも関わらず、桂(シリカ)は飛べることに興味を向けている。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待て!! 俺の体、定春になっているんだが!」

 一方のクラインは、定春と入れ替わっていた。手を顔にあてて、自分が白くて巨大な犬になっていることに困惑している。なお、肝心の定春(クライン)は四つん這いになって、用を済ます準備をしていた。

「ワン! ワン!!」

「定春!! この体制でしっこするな! 色々不味いから!!」

 クライン(定春)は危険を察して、定春(クライン)の行為をどうにか止めようと踏ん張っている。逆に定春(クライン)は、クライン(定春)に取り押さえられて、若干顔色を悪くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁ!! アタシ、近藤さんになっているんだけど!!」

 一方で近藤の肉体に入ったのは、リズベットである。いきなり成人男性の体となった彼女は、涙目になって自分の姿に絶望していた。

「キリトー! アスナー! 助けて、アタシリズベットなの!!」

 思わず近くにいたキリトとアスナの助けを求めるも、

「リ、リズ君!? 奇遇だな、俺はアスナ君になったんだよ!」

「ついでに俺はキリトじゃねぇぞ。土方十四郎だ。ったく、この姿じゃ煙草も吸えねぇよ」

「……ぎゃぁぁぁぁ!!」

もちろん彼らも本人ではない。キリトの肉体には土方が。アスナの肉体には近藤が入っていた。訳も分からない状況に、リズベット(近藤)は思わず悲鳴を上げてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「何このカオスな状況……」

 そしてユイの肉体には、シノンが入っている。彼女は一目で分かる周りの混乱した様子に、疲れたような表情を浮かべていた。そう簡単に収まるものじゃないと、ついため息を吐いてしまう。

 そんな彼女に、何の前触れもなく銀時が抱き着いてきた。

「ユイちゃん! 信じられないかもしれないけど聞いて!! 私、ママなのよ! 銀さんじゃないの!!」

「アスナ……私、シノンだから」

 その銀時の肉体には、アスナが入っていた。彼女は銀時と入れ替わったことを必死にユイへ訴えるも、彼女もまた入れ替わっていることにまだ気づいていない。

「ちょっとママ! 今の私は新八さんになっているんですよ! 聞いてください!!」

「いつまで続くのよ……」

 アスナ(銀時)へ抱き着くのは、ユイ(新八)。彼女は新八の肉体に入っており、動揺するアスナ(銀時)へ必死に訴えかけている。シノン(ユイ)からすれば、中々収まらないこの騒動に、若干諦めを感じてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 見ての通り、現場はすぐには収まらない程の大混乱状態。銀時(土方)とキリト(桂)は、苦い表情でただ様子を見るしか出来なかった。

「銀さん! キリトさん!」

「リズ……じゃなくて、新八か?」

 そんな二人の声をかけてきたのは、リズベットの肉体に入った新八。ようやく銀時らの入った肉体を見つけると、彼はこの騒動の収束について相談してきた。

「そうです! さっきのイノシシのせいで、みんなの魂と体がまた入れ替わったんですよ!」

「見なくても分かっているよ! どうすんだ、この状況」

「また源外さんの装置に頼るしか……」

 頼みの綱は先ほど使った全自動卵かけご飯製造機なのだが……すると、騒ぎを聞きつけて、源外もやって来ていた。

「アレ? また入れ替わったのか?」

「そうだよ、爺さん!」

「早く! 全自動卵かけご飯製造機を使わせてください!」

 銀時(土方)、キリト(桂)、新八(リズベット)が必死の表情で、再度源外にお願いしていたが……

「さっきパーツ外して改造したから、また再起動するとなると二日かかるぞ」

「「「はぁ!?」」」

時すでに遅かった。源外は宣言通り、全自動卵かけご飯製造機のパーツを分解しており、前回と同様復旧するのは丸々二日かかるらしい。つまりはここにいるみんな、二日間入れ替わった状態で、また過ごさなくてはいけないのだ。

「ちょっと待て! 今すぐ戻しやがれ!」

「今回は流石に洒落にならないから!!」

「お願いします!」

「と言われてもな……」

 今回ばかりは巻き込まれている人間が多く、とてもじゃないが今すぐ戻らないと、この混乱が収まらないと察している。三人は再度源外へ嘆願するも、彼の顔色は渋くなるばかりだ。

 本当にこの状態のまま、二日間過ごさなくてはいけないのだろうか。

「「元に戻してくれ!!」」

「「誰か助けて!!」」

 みんなの悲痛な声が、空へ無情へと飛んでいく……。




今回の登場キャラクター (入れ替わった後の体)
坂田銀時(キリト)→(土方十四郎)
キリト(坂田銀時)→(桂小太郎)
志村新八(リズベット)
アスナ(神楽)→(坂田銀時)
神楽(アスナ)→(沖田総悟)
ユイ(志村新八)
定春(クライン)
桂小太郎(シリカ)
クライン(定春)
エリザベス(ピナ)
近藤勲(アスナ)
土方十四郎(キリト)
沖田総悟(リーファ)
シリカ(シノン)
ピナ(エリザべス)
リズベット(近藤勲)
リーファ(神楽)
シノン(ユイ)
月詠
晴太
平賀源外






 なんか声優さんの負担が大変そうな回でしたね(汗)
 今回は神楽がメインの入れ替わり篇。変わらずに格闘戦でシリカ達を相手に特訓していました。個人的には銀時(キリト)と知って、愕然とする女子達が好きですね。
 さぁ、メインキャラがほとんど出られなくなったので、次回はあの商人達が活躍します!






次回予告

坂本「アハハハハ! 金時達が大変なことになっているからのう。わしら、快援隊とエギルの出番ぜよ!」

陸奥「おまんにはワイバーンの討伐に向かって頂きたい」

エギル「ワイバーンの討伐? どういうことだ、陸奥さん?」

陸奥「次回までのお楽しみじゃき」

坂本「次回! 旅行中のお酒はほどほどに」






教えて! 和八(かずぱち)先生!!
和八「はーい。本編で入れ替わっちゃったんで、銀八先生も桐ケ谷和八先生になっちゃいました。早速読んでいきまーす。ペンネーム、菊岡の眼鏡を勝ち割り隊さんからの質問。沖田って昔やった文通の話で、ゲストキャラのうららちゃんを調教させて自分の意のままに洗脳させていましたが、あれってSAOのキャラでも可能なんですか。教えてくださいと。ずばりお答えしましょう。可能です。その気になればリーファもシリカもシノンもリズベットも、沖田の支配下に置くことが出来ます。じゃ、なんでやらないかって。そんなことやったら、SAOのファンからボコボコにされるのが目に見えているからです。リスクを冒してまで、調教をしたくないのが本音だそうです。因みに沖田曰く、SAOで一番調教したいキャラはロザリアです。誰かって。SAO1期の4話で、シリカを倒そうとした赤髪の女です。因みにさっき挙げたうららちゃんと同じ声優さんが担当してます」

和八「続いて読みます。ペンネーム、チュデルキンとハタ皇子ならハタ皇子派さんからの質問。剣魂って、ちゃんと無事にみんな元のSAOの現実世界へ戻った後、そのまま本編の時間軸通りにオーディナルスケールやアリシゼーション編に移行できるんですか? 気になるので教えてくださいと。ずばりお答えしましょう。多分無理です。いやー、投稿者も中盤まではその予定だったんだが、整合性が合わなくなって止めました。だって記憶が消されない限り、銀魂の世界で培った特訓や実績は無駄にはならないだろ。リズ達だって、別人が変身したとは、仲間や師匠と一緒に怪人やダークライダー撃破しているからな。つーか、ダークライダー撃破するサブヒロインってなんだよ。二次創作とはいえ、本編より強くし過ぎてどうすんだよ。因みに次の長篇で、今後キリト達が出会うキャラがゲスト枠で出ます。最後まで見逃さないようになー」

和八「えー、次に珍しい人からお便りがきています。本名、兎沢深澄さんからの質問。私っていつ剣魂に出られるんですか? 剣魂ってSAO、ALO、GGOモチーフの長篇がどんどん出ていますが、私にスポットライトが当たることはあるんでしょうか。ぜひ、教えてくださいと。どうやら、SAOのプログレッシブ映画で活躍したミト君からの質問だそうです。ずばり、お答えしましょう。未定です。いやぁ、可能なら夢幻解放篇で出せば良かったんだが、その時にミトはまだ本編に登場してなかったからな。ALO星の別人設定も、ぶっちゃけ今更感があるし、次にやる予定のGGOモチーフの長篇だって、もうお話の軸出来上がってるから出すこと出来ないし、果たしてどうなることやら。とこのまま投げっぱなしでも良かったのですが、どうやら出る目途が数日前に付きました。どっかの回で出します。そうだな……次の二つの長篇が真選組の出番が無いから、ミト×真選組の面々で何か作りますー。因みにとん挫したら、また連絡しまーす」

和八「ついでに追加連絡しまーす。来週の投稿、製作状況が少しギリギリなので、もし間に合わなかったら次回長篇の本予告を代わりにお届けします。その場合、エギルと快援隊のお話は次週に持ち越しとなるから以上だ。ということで、投稿者のトライアル。どうにか間に合わせとけよ」
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