剣魂    作:トライアル

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第一訓 異世界へ行く時は戸締りを忘れるな! 後篇

「「ハァ……ハァ……」」

「やっと追いつきました……」

 息を切らすアスナ、神楽、ユイの三人。誤解を与えてから数分後。ようやく、女子陣は銀時ら男子陣を見つけ出した。近くにあった広い空き地におり、そこで先ほどのキスについて神楽やアスナが誤解を解こうとする。しかし、

「ようやく着いたか。まぁ嘘だってことは最初からわかっていたけどよ」

銀時達に誤解なんて存在せず、逃走もただのネタであることがわかった。これを聞いた神楽は、顔色を変えて怒りを露わにする。 

「ハァ!? おいてめぇ、よくもだましたアルな!! チキショー!!」

「って落ち着いてよ! 神楽ちゃん!」

「ワフ~!」

 激高する神楽に、新八や定春が抑えてなだめていく。一方で、キリトだけはキスの件をまだ信じこんでいた。

「ところでキスをしたってのは、本当のことなのか?」

「そうだけど、それは単なる事故なんだって!!」

 必死に事故だったと弁解するアスナだったが、ユイが再び事態をややこしくしてしまう。

「そうですよ! ママと神楽さんは、友情を超えたアツーい関係になったんですよ!」

「ええ、そうなのか? って、ことはアスナ……」

「ユイちゃん!? 誤解を与えるようなことを言わないでよ!!」

 ユイの言葉を信じ、目を細めて疑いを強めるキリト。アスナの動揺も激しくなり困り果てたところで、突如彼の表情が笑顔に変わる。

「なんてね。ただのからかいだよ。ごめんな、アスナ」

 そう。キリトも全てトラブルだと察して彼女をからかっていたのだ。真実を知ったアスナは、つい顔を膨らませて怒っている。

「キ~リ~ト~君~!!」

「おい、リア充共。イチャイチャはいいから落ち着け」

 そんな彼女を銀時が抑え込み場を整えた。互いに落ち着いたところで、ようやく揃っての話が始まる。まずは銀時が声を上げた。

「さて、全員見つかったところだし、まずはてめぇらが何者か説明してもらおうか?」

「あっ、一応やるんだ。それ」

 彼が促したのは、お互いの自己紹介である。銀時や新八はSAOのことを多少知っているが、この後の展開のつじつまを合わせるため、あえて名前を聞いたのだ。

「俺達か? 俺はキリトだよ」

「私はアスナよ」

「私はユイです!」

「そうか。だいたいわかったわ」

「って、本当は最初から知っていただろうがぁ!」

 銀時のそっけない態度に新八はツッコミをいれる。一方、神楽だけは例外で改めてキリトらの名前を知った。

「なるほど! アッスーとユイに続きキリもいるってことアルな!」

「キリ!? 随分、独特なあだ名だな……」

 キリトも神楽のネーミングセンスに驚きを見せる。とキリトら三人の名前が分かったところで、今度は銀時達の番だった。

「では、あなた方はなんて言うんですか?」

「俺達か? 俺は万事屋のリーダー。坂田銀時!」

「僕はツッコミ担当の志村新八!」

「私は紅一点のヒロイン、神楽アル。そしてこの子は定春ネ!」

「ワン!!」

「「「三人揃って万事屋銀ちゃん!!」」」

 名前だけでなく自分の役職についても紹介した万事屋の三人。これでお互いに名前を知ることになった。

「坂田さんに志村君? それによろずや? それがあなた達の職業なの?」

「その通りアル!! 金さえ払えばなんでもやる。それが私達ネ!!」

「なるほど……変わったギルドですね!!」

「ギルドじゃないんですけどね……」

 ユイの勘違いに、新八が小声でツッコミを入れる。イメージはつかなかったが、ひとまず一連の流れから賑やかな人達であることはわかった。現在話せる相手も彼等のみだったので、キリトは銀時らにこの世界について聞いてみることにする。

「えっと、それじゃ呼び名は銀さんでいいのか?」

「いいよ。それくらいの気軽さで。俺は気にしねぇからよ」

「じゃ銀さん。まずはひとつ言いたい事があって――」

 自分の言うことは他人から見れば、信じられないのかも知れない。それでも、正直に話して理解を求める。そう決意して、キリトは自分達の正体を包み隠さずに話した。

「実は……俺達は、この世界の住人じゃないんだ」

「えっ!? そうアルか!? じゃ、アッスーやユイも?」

「ええ、そうよ。信じられないかもしれないけど、私達はこの世界のことをまったく知らないのよ」

「だから先ほど言っていた、あまんとや、やとの意味がまったくわからないんですよ」

「そうだったアルか……」

 思ってもいないカミングアウトに神楽や定春は驚きを見せたが、なぜか銀時や新八はあまり驚いていない。

「アレ? 二人は驚いていないのか?」

「まぁ、だいたい予想はついていましたから」

「そうだぜ。なんせてめぇらは、電撃文庫の人気ラ……じゃなくて雰囲気からして違ったからからな」

「電撃文庫?」

「ああ! 気にしないでください!」

 元ネタをだいぶ知っていた二人だったが、正直に話せば余計に混乱すると見てあえて話さないことにした。ただしユイは、聞き慣れない単語に首を傾げてしまったが。

「まぁ、それは置いといてだ。要するにてめぇらはまずこの世界について知りたいんだろ?」

「そうだな」

 一応、別の世界の人間であることを銀時らは理解してくれた。ならば、次に聞きたいのはこの世界の特徴である。

「ちなみに聞きますけど、あなた方のいた世界はどんな感じでしたか?」

「えっと、アミュスフィアがあって仮想世界っていうVR空間へ入っている時に、この世界へ来てしまったのよね」

 アスナは、自分達の世界にあった特徴的な物を銀時達へ伝えたが、もちろんこの世界には存在していない。その証拠に銀時らは、ピンときていなかった。

「アミュスフィア? 仮想世界? 悪いがこの世界じゃそんなのまったく通用しないぜ」

「やっぱりないんですね。ということは、一体どんな世界なんですか?」

 ユイの問いに意気揚々と銀時が答える。

「ああ、聞いて驚くなよ。この世界はな――宇宙へ開国した江戸時代ってところだよ」

「「「……えっ?」」」

 銀時から聞いたこの世界の現状。しかし、受け入れがたい漫画のような世界観に三人の頭が困惑してしまう。

「ん? どうした?」

「あの、もっとわかりやすく説明してもらえるか? 宇宙へ開国した江戸時代と言われても想像しづらいんだが……」

「ったく。そのままの意味だって言ってんだろ!」

「そう言われても……」

 銀時の説明不足に、キリトら三人は全く理解できていない。ここで、見かねた新八と神楽が割って入った。

「ハァ……銀ちゃんはわかりにくいアルな」

「ここは僕らが説明しますから黙っていてくださいよ」

「ハイハイ」

 説明を二人へバトンタッチして、話は再開される。

「えっと、つまりですね。この世界は、星を移動するほどの文明がいくつもあって、この地球も宇宙へ開国して科学技術を大きく発展させた世界なんですよ」

「そうか。だから江戸の風景なのにビルや飛行船が存在しているんだな」

「宇宙へ開国しているなんて、本当に別世界なんですね」

 新八の説明に一同は納得した。これが事実であれば、江戸時代でありながら科学技術が発展している理由に繋がる。宇宙人のおかげで発展した別の世界の存在に、キリトも興味を持っていた。

(予想のはるか上をゆく世界だな。こんな世界が別の宇宙にあったなんて……俺達のいた世界とは違う歴史を刻んだ文明か……)

 そう心の中で解釈している。一方で、アスナはあることが気になっていた。

「ということは、この世界には宇宙人が存在しているってことよね?」

「そうアル。てか、私がそもそも宇宙人アルよ」

「えっ……!?」

 宇宙人について質問したはずが、当の本人が目の前にいたことについ驚いてしまう。神楽の容姿は人間っぽくてとても宇宙人とは思っていなかった。つい気になってしまい、アスナは彼女をじろじろと見つめる。

「嘘!? 神楽ちゃんってこの容姿で宇宙人なの!?」

「そうアルよ。というかアッスーの方がよっぽど天人っぽいネ!」

「あまんと? って、結局なんなんだ?」

「天に人って書いて天人だ。まぁ、わかりやすく言うなら宇宙人ってことだよ」

「それで神楽ちゃんは、夜に兎って書いて夜兎という種族で、宇宙最強戦闘民族の一人なんだ」

「宇宙最強戦闘民族!? すごい肩書きですね……」

 宇宙人の存在、並びに神楽の素性も話の中でわかった。動揺するキリト達を前に、突如神楽はアスナの前に近づき背伸びし始める。すると、急に彼女のとんがった耳をプニプニと触りだした。

「って何するの、神楽ちゃん!! くすぐったいよ~!」

「お~! 結構いい耳をしてるアルなー! どこの星出身アルか?」

「私はれっきとした地球人だよ~!!」

「ってことは、別の地球ではみんな耳がとんがっているアルか?」

「そういうわけじゃないって!」

 興味深く好奇心のままアスナの耳を触り続ける神楽。その表情は好奇心旺盛の子供を思わせる。そんな彼女の姿を見て、徐々にアスナは心を許してしまう。

(こんな純粋な子が宇宙最強戦闘民族の一人なんて……豪快で強気だけど、子供っぽくて

……かわいい!!)

 妹のいない彼女にとってこの状況をまんざらでもないと感じ、神楽の魅力に惹かれ始めてしまう。そして、早くも仕返しを始めてくる。

「もう! やったわね、神楽ちゃん! こうなったらお返しよ! えいっ!」

「アッスー!? 何するネ!? こちょばしいアルー!!」

 攻撃を緩めた神楽へ対して襲いかかり、彼女の耳をコショコショと触りだしたのだ。その姿は仲の良い姉妹にも見え、二人共に笑顔である。

「どう、神楽ちゃん? くすぐったいでしょ?」

「わかった! わかったアルから! やめるヨロシ!」

「さ~て、どうしょうかな?」

「アッスーの意地悪! 小悪魔ネ!!」

 ふざけあいながらじゃれあう女子二人。その様子に、メンバーの反応も千差万別だった。

「フフ。アスナ、もう友達を作ったとは……」

「さすが、ママです!!」

 喜ばしく思うキリト、ユイに対して、

「おい、新八ィ。やっぱり、あいつ女の子大好き人間じゃないのか?」

「絶対欲望を溜め込むタイプですよね?」

銀時と新八は完全にバカにしている。

「って、二人共!! 勘違いしないでよ!」

 つい聞こえたので思わずアスナは一喝してしまう。ここまで、ほんの数分しか経っていないが二組は打ち解けあい早くも仲を深めていた。とだいぶこの世界のことについて知ったところで、キリトはもう一つの疑問を万事屋へ明かす。

「あっ、そうだ。銀さん、もう一つ聞いていいか?」

「おっ。なんだよ」

「この世界にサイコギルドはいるのか?」

 そう、自分達をこの世界へ送った張本人。サイコギルドについてだった。はっきり覚えているのは、ローブを被った少女がおり、ブラックホールを作り出す技術を持っていること。もしかすると、この世界の存在かもしれないと思い銀時達へ聞いてみたが、

「サイコギルド? 知らねぇな」

「初耳アル」

「聞いたことありませんね」

「そうか……」

全く知らない様子である。これにはキリトも不安な表情を浮かべてしまう。

「ところでよ、サイコギルドっていうのは一体誰なんだよ?」

「それは、私達をこの世界へ送った張本人なんです……」

「ローブを被った女の子で、あの子の作ったブラックホールによって私達はこの世界へ来てしまったのよ」

「ええ!? ブラックホールを通ってみんなはこの世界へ来たアルか!?」

 ここで、ようやく万事屋はキリト達がこの世界へ来た理由がわかった。少なくともこの件は何者かの陰謀が絡んでいる確率が高い。そう彼らは感じていた。さらに、キリト達にはもう一つ不安材料がある。それは、自分達の肉体についてだ。

「後、もう一つあるんだ」

「ええ? まだあるんですか?」

「実は――俺とアスナはこの姿が本当の姿じゃないんだ……」

 アバターであることの告白。この言葉に、一番衝撃を受けていたのは神楽である。

「マジアルか!? じゃ、レベルアップや通信交換、十分ななつき具合で進化するってことアルか!?」

「そういうことじゃないと思いますけど……」

「てか、どんだけポケ〇ンから引っ張るんだよ……」

 神楽の〇ケモンネタにツッコミを入れる新八と、意味がわからずに苦笑いをしてしまうユイ。それは置いといて、キリトやアスナは自分達の現状について話を続ける。

「実はこの姿はね、ゲームでの自分の分身でいわばアバターよ。仮の姿で本当は、銀さん達と同じ普通の耳をした人間なのよ」

「そうだったアルか。じゃ、その肉体が今どうなっているか不安ってことアルか?」

「そうだな……」

 自分達の現状を語り尽くし、不安な表情を浮かべているキリト達。別の世界とはいえ現実世界でゲームのアバターのまま存在しているのはほぼ異例だ。ログアウトもできない状態のまま、自分の肉体がどうなっているのかは想像もつかない。そんな様子を見た銀時はある提案を思いつく。

「そんなに不安ならいい相談相手がいるぜ」

「えっ? 誰ですか、それは?」

「すぐ近くで店をやっているじいさんだよ」

 すると彼は足を進め、空き地の裏にあった店へと周りこむ。銀時へ続き新八やキリトらも連いていく。

 

 ほんの数分ほど歩くと見えたのは、「からくり堂」と書かれた店だった。古びた外観店で、内から鉄やオイルの匂いが強烈に漂っている。その店内へ一行は入っていった。

「からくり堂? ここなのか?」

「そうだよ。おーい、じいさん聞こえてんのか? おーい!!」

 彼が大きく叫ぶと部屋の奥から、薄汚れた黄色い作業着を着た老人が姿を現す。

「なんだ、誰かさんかと思ったらてめぇらじゃないか」

「そうだよ。少し用があってな」

 銀時がその老人と話し込む一方で、キリトらは新八から説明を聞いている。

「えっと、あの人は一体誰ですか?」

「あっ、あの人は平賀源外さんって言って、なんでも直す江戸一の発明家なんだ」

「いわゆる修理屋さんってところね」

 老人の名前は平賀源外。銀時達の知り合いで多くの発明をしてきたカラクリ技師である。アミュスフィアを扱うキリト達にとっては、一番相性が良いと考えここへやってきた。

「なるほど。訳はだいぶわかったぜ」

 銀時から訳を聞かされ源外も事情を理解し、息を荒くする。

「要するにてめぇらは別世界の住人で、精神を架空の世界へ行けるカラクリを利用中にこの世界へ来ちまった。ということか……」

「はい。私は少し事情が違うんですけど、だいたいそんな感じです」

「うむ、そうか」

 何やら考え込んだ源外はある仮説をたて、それを結論づけるためにキリトやアスナらへある要求を交わす。

「なら、少し確かめたいことがあるんだ。この特殊X線カメラで、撮影できるか?」

「これで? いいですけど……」

 三人は要求に答えて特殊なカメラへ撮影してもらい、さらには脈も測ってもらった。そして、結果を見た源外は神妙な顔となりある結論を導き出す。

「うむ、やっぱりな」

「やっぱりって、何かわかったんですか? 源外さん!?」

「ああ、もちろんだよ。例えそれが、信じられない事実でもお前さん達は受け入れる覚悟はあるのか?」

「……わかったよ。俺達は真実を知りたいからな」

 キリトに続きアスナとユイも頷いたので源外は、その重い口を開き真実を語りだした。

「よし。なら、担当直入に言おう。いいか、X線写真や脈を測ったところ、少なくとも黒髪のあんちゃんと青髪のねーちゃんの二人はな、ゲームのアバターと現実の肉体が一致して融合しているってところだな」

「「「!?」」」

 衝撃の事実が三人の心に突き刺さる。その言葉に戸惑い、みなこわばった表情をしてしまう。一方、万事屋の三人は多少驚いたもののすぐに平常心を取り戻し、空気を読んで一旦黙ることにした。源外は彼らの反応を見た後に、話を再開させる。

「まぁ、驚くのも無理はないだろう。だが、これが事実なんだ。この写真を見てもらえるか?」

 すると用意したのは、先ほど撮ったⅩ線カメラの写真。それを三人へ見せると、そこには自分達の内部が写し出されており、本来アバターにはあるはずのない骨が明確にこの写真から写し出されていた。この証拠が源外の仮説を確定づけたのである。

「これって骨よね?」

「ってことは、今俺達の肉体がアバターと融合してるってことか……?」

「まぁ、そういうことになるな。お前さん達は、ブラックホールを通じてこの世界へやってきたのだろ? その途中現実の肉体もこの世界へ来た……っていうのが正論だろ。後、脈も見てもらえるか?」

「脈?」

 源外に言われた通り腕から脈を測ってみると、心臓の鼓動と共にアミュスフィアの待機音が同時に聞こえてくる。

「本当だわ。呼吸だけじゃなくて待機音も聞こえてくる……」

「なるほど、その音だったか――要するにだ。この世界へ来ると同時に現実の肉体もアバターと一体化してこの世界へ来てしまったってところだな。まぁ色が変わったり耳がとんがっただけで、他は人間と変わらんと思うがな」

 信じられない事実を突きつけられる二人は、暗い表情を浮かべてしまう。まだ受け止めるのに時間がかかりそうであった。一方、ユイはというと、

「あの、すいません。では、私は一体どんな状況なんですか?」

「ああ、嬢ちゃんか? レントゲンも脈も見たが、特に問題はねぇよ。ただ、データとつながらないからただの普通の女の子になっちまっているだけだな」

「そうなんですか……」

仮想世界から離れたことでデータとはつながらない、普通の女の子となったようだ。ユイは、キリト・アスナと違い現実に肉体を持っていない。レントゲンで見てもエネルギーの塊しか見つからず、いわゆる異例の変化をとげたのである。いずれにしろ、場の空気は重くなっていき、一同は静まりかえってしまう。

「でも安心したよ。肉体がここにあるだけでも無事なのは確かだってわかったから」

「そうかい。ところでおまえさん達は、これからどうするんだ? 帰る方法はあるのか?」

「それは、わからない。前も後ろも知らないこの世界で、これから俺達がどうするべきなのか……本当に元の世界へ戻れるのか……」

「キリト君……」

 言葉を濁すキリトに、アスナとユイは心配そうに見守っている。帰る方法も見つからないままこれからどうするべきか? この世界で生きていくのか? 不安が的中してどうにもならない時だった。

「戻れるさ。絶対に」

 なんと、今まで黙って訳を聞いていた万事屋の三人がようやく行動へと移ったのだ。

【挿絵表示】

 

「えっ、銀さん?」

「何、重い空気にしてんだよ。そもそも、こんな重要な問題に俺達をなんで巻きこませねぇんだよ。俺達は万事屋だ。どんな依頼だって受けてやるからよ」

 銀時はけだるくも優しい言葉で彼らを励ます。さらに、意外な一言を彼等へかける。

「それに行くとこがねぇなら俺達のところへ来い。別世界から来た人間を見過ごせないほど、俺達は腐ってねぇからよ」

 なんと、居場所のないキリト達をかくまうと言ってきたのだ。これには、三人もつい驚いてしまう。

「えっ……本当にいいんですか?」

「もちろんです。うちのリーダーは言い出したら止まらない人間ですから。それに僕らにできることならなんでも協力しますよ!」

「そうアル! 訳はだいたいわかったネ! 絶対にみんなを元の世界へ戻す――それまでは私達が色々とめんどうを見るからじゃんじゃん頼っていいネ!」

 銀時に続き、新八や神楽も理解して快く勧めてくる。

「銀さん達は、本当にそれでいいの?」

「ああ、いいぜ。なんせ大勢いた方がにぎやかだろ。その代わり、俺達の仕事は手伝ってもらうぜ」

 展開が早くなり、いつのまにか居候する前提で話は進む。しかし、この状況にキリトは急に流れを止めた。

「って、待ってくれ! これはそもそも俺達の問題だ。銀さんや万事屋には迷惑をかけられないよ……」

 迷った表情を見せている。彼は遠慮しており、万事屋の元でお世話になることに抵抗していた。しかし、銀時達の人情は細かいことなんて一斉気にしていない。

「ハァ? 何遠慮なんかしてんだよ。心配なんか何もねぇよ。迷惑なんて上等だ……全てこの俺達――」

「「「万事屋に任せな!!!」」」

「ワフ~!」

 万事屋総出で全ての気持ちをキリトらへ伝えた。この世界へ来て不安しかなかった彼らにとって、この三人は一筋の光にも見える。頼もしい言葉を聞き三人の心も変わりつつあった。

「本当に来ていいのか?」

「大丈夫だよ。こればっかりはお言葉に甘えろよ」

「ふふ……でも銀さんが言うと何か違和感があるな」

「おいそれどういうことだ? ゴラァ?」

 銀時の臭いセリフに思わず失笑してしまうキリト。わずかな時間ではあったが、六人の距離は確実に縮まっている。そして、悩んだ末に

「それじゃ、銀さん達の言う通りお言葉に甘えて万事屋に入ろうかな? それでいいか?アスナ、ユイ」

「もちろん! 私も同じ考えよ!」

「私も賛成ですよ! パパ!」

キリトらはこの万事屋の考えに賛成することにした。これで一時的だが、三人は万事屋のメンバーとして加わることが決まる。

「よし、これで決まったな。まぁ、万事解決ってことだろ?」

「よろずだけにか?」

「気にするな。そういう時は、優しく黙るんだよ」

 そう言って、互いに笑いあう銀時とキリト。早くも主人公の二人は、仲良くなっていた。

「よろしくお願いしますね。えっと……誰でしたっけ?」

「あっ、僕ですか? 僕は――」

「あっ! メガネさんですね!!」

「メガネ!? 僕は新八ですよ!」

 名前を間違えるハプニングで、新八がツッコミを見せる。知性派の新八とユイもいい仲を築いていた。

「改めてよろしくアル! アッスー!」

「うん! これで、神楽ちゃんにいたずらし放題だね!」

「って、何言っているアルか!? アッスー!?」

 冗談を言ってこちらも笑う、ヒロイン同士の神楽とアスナ。それぞれ、仲を深めてたちまち自然と触れ合っている。そんな彼らに源外も安心すると共に、キリトら三人へ一言アドバイスを添えた。

「なるほど。ひとまず、生活には困らなくて済むな。だが、万事屋は中々大変だぞ。近所の介護やベビーシッター、浮気調査に人手の手伝い。さらに、テロリストの壊滅や国を覆すほどの乱闘。数えられないくらいの仕事があるぞ」

「って、途中からスケールがでかくなっているんだが……」

 内容のインフレに苦笑いをするキリト。しかし、これは全て事実である。

「まぁ、間違っていねぇけどよ」

「そうなんですか!?」

 疑わしかったが、彼らの素っ気ない反応からは本当のことだと悟った。万事屋の仕事を近所程度と考えていたキリト達だったが、テロリストや国も絡んでいる以上、この人達がいかに一般離れした経歴を持つことがわかった。

「えっと、それじゃみんな結構強いの?」

 アスナからの問いに、神楽や新八が返答する。

「そうアル! 私なんてほぼ負けたことがないネ!」

「僕も人以上だと思いますよ。それに銀さんは、かつてあった攘夷戦争を戦った英雄の一人ですからね」

「新八ィ。過去のことはあまり言うなよ」

「戦争の英雄!?」

「銀さんが!?」

 さらにあっさりと銀時が戦争の英雄だと言われ、またも衝撃を受けてしまう。彼らの言っていることが本当かは分からないが、もし強いのなら戦ってみたい。そんな気持ちがキリトらの心の中で湧いていた。

「そうか……だったら、銀さん。一つお願いしていいか?」

「お願い? まさかお前ら……」

「そう。俺と一対一の勝負をしてくれないか?」

 そしてキリトは、銀時へ勝負を申し込んだ。もっと万事屋を知りたい。銀時の実力と戦ってみたい。たったそれだけの思いで彼は決断した。もちろん銀時の答えは、

「……わかった。来るなら本気で行かしてもらうぜ」

この勝負に乗ることにする。

「ああ。そうじゃなきゃ迫力がないからな」

 キリトも願いが叶い笑顔で返す。さらに勝負するのは彼だけではない。

「よし! なら私も神楽ちゃんに勝負を挑もうかしら。いい神楽ちゃん?」

 アスナも流れに乗って、神楽へ同一の条件で勝負を申し込んだのだ。

「おっ、いいアルか!? アッスー?」

「もちろん! 神楽ちゃんのことをもっと知りたいからね!」

 こうして神楽も賛同し、四人は勝負へと準備を始めるのである。

 

 舞台となるのは先ほどの空き地。ルールは、銀時対キリトと神楽対アスナの決闘方式。審判は、新八とユイと定春が務める。

「みなさん!! 準備はよろしいですかー?」

「「「「OK!!」」」」

 ユイの掛け声に答え、四人共準備はばっちりだった。そして、

「それじゃ、始め!!」

「ワン!!」

新八と定春の合図で、戦いの火蓋は切って落とされた。

「いくぞ!! アスナ!!」

「わかってるわ!! キリト君!!」

「神楽ァ!! あんなゲーマー共に俺達ジャンプ主人公が負けられるわけないだろ!!」

「そうアル、銀ちゃん!! ゲロインの底力を見せてやるネ!!」

 彼ららしい一声を交わし四人は、相手に向かって勢いよく走る。共に多くの激戦を乗り越えた者同士、その息のあったコンビネーションは素晴らしい。武器を最大限生かして戦うキリト・アスナに対して、銀時と神楽はがむしゃらな戦いを得意とする。異なる戦闘スタイルがぶつかり合い今、激しさを増す一騎打ちが始まった!

〈カン!! カチン!!〉

 まず相容れたのは、銀時対キリト。年の差はあるが、遠慮なんていらない。木刀とエクスキャリバー。二つの剣がぶつかり場にこだましていく。

「木刀でも中々やるじゃないか……」

「木刀でもだぁ? そんなもん根性でカバーするだけだ!」

 体勢を立て直し木刀の連続技を使って、キリトへ反撃を与えさせない銀時が一つ有利に立っている。その心情は互いの強さに驚くばかりだった。

(早い……木刀ながらもここまで実力を発揮するなんて、さすが戦争の英雄だ。背負ってきたものも俺達と違うということか……)

(ヤレヤレ。どれくらいの強さかと思いきや予想以上じゃねぇか……本当にこいつらゲーマーかよ……)

 戦い方は違うがその実力はほぼ互角。二つの剣がなびきあい、火花を散らして思いがぶつかりあう。

「はぁあああ!」

「うおりゃゃゃゃ!」

 戦いは簡単には終わらない。それは、女子だって同じだ。

「ホワッチャー!」

「ハッ!」

 レイピアを使いこなすアスナと傘を使う神楽の戦い。互いに攻撃しては防ぎ、戦況は一歩も譲らない。

「中々やるわね!! 神楽ちゃん!!」

「そういうアッスーもナ!!」

 一声かけると神楽は体勢を変えてアスナをはね返す。そして、場から一旦離れた。

(すげぇアル!! アッスー……完全に武器を使いこなしているネ!! 素人技じゃないアル……)

(神楽ちゃん……思っていたよりもずっと強い……これが宇宙最強戦闘民族の力!!)

(でも、必ず勝ってやるアル!!)

(でも、必ず勝って見せるわ!!)

 二人は心で勝利を誓い、改めてこの勝負へ情熱を燃やす。もっと知りたいのだ。相手の強さを。とここでアスナは勝負へと出た。

「さぁ、くらいなさい!! 神楽ちゃん!」

 アスナはレイピアによる連続突きの攻撃を始める。神楽は傘を広げ防御の姿勢をとり相手の隙をうかがう。攻防が極まる中チャンスが訪れたのはアスナの方だった。

「今よ!」

「何ぃ!?」

 防御ができる隙を狙って、神楽の死角となった腹部を突いて攻撃。見事、カウンターが決まった。

「グハァ!」

 姿勢を崩された神楽は地へと落ちてゆく。だが、アスナは容赦なく追い打ちをかけてくる。

「これでとどめよ!」

 レイピアを奮い立て、神楽へとどめをさそうとした時だった。

「フッ!」

「えっ!?」

 神楽は傘ではなく、自らの腕でレイピアをつかみ危機を回避していた。彼女らしい意地で、アスナを驚かす。

「くっ……動かない……」

 神楽の馬鹿力によってアスナのレイピアはぴくりとも動かない。そして、

「アッスー!! とどめはまだ早いアルよー!」

「うわぁぁ!」

そのままぶんまわし、空中へアスナを投げ飛ばしてしまった。反撃をしたが、アスナはその瞬間羽を広げて空中浮遊。ダメージを軽減させる。

「チッ! 羽があったアルか!」

「フフ! まだ戦いはこれからよ!」

 二人の戦いは終わる気配がない。一方、銀時とキリトの戦いへ戻してみると

「はぁぁ!!」

「くっ……!」

キリトの連続技が発動して、逆に銀時が劣勢に追い込まれていく。二本の長剣が銀時の木刀を襲い、攻撃の手を与えさせなかったのだ。そして、キリトはフッと笑い勝利を確信する。

「これでとどめだぁ!!」

 長剣を振り降ろし木刀を払おうとした時だった。

「なーんてな」

「!?」

 銀時も同じくにやけて笑いキリトの攻撃を身軽にかわすと、急に空へ向けて大きくジャンプ。上空から攻撃を試みた。

「空か!? なら――」

 キリトは、気配を察して二本の剣を使い防御姿勢となる。これで銀時の攻撃を防ごうとしたが、

「ごらぁぁぁぁ!」

落下する銀時は木刀ではなく、足に力を入れていた。彼はあえて木刀ではなく蹴りで攻撃を仕掛けている。そして、

「おらよっと!」

「ぐはぁ!!」

攻撃パターンを予測できなかったキリトがダメージを受け、彼の勢いが終わりを告げた。

「どうした? こんなもんか、ゲーマーさんよ」

「そっちこそ、戦争の英雄か? もっと強いと思っていたよ」

「うっせぇ! 今から本気を出すからビビるんじゃねぇよ!」

「はいはい。じゃ、こっちも……!」

 軽口や煽りで、意思を伝える英雄の二人。こちらの勝負も簡単には終わらない。その様子を間近で見ていたユイと新八は、勝負の迫力に圧倒されている。

「すごいです! 銀時さんや神楽さんも! パパやママと互角に渡り歩いているなんて!」

「まぁ、うちのメンバーは、そんじょそこらの人間よりもバカみたいに強いから、それと渡り合っているキリトさんやアスナさんもすごいですけど」

「とっても、レベルが高いですね!」

 この勝負は、多くの激闘を繰り広げてきた四人の全力の戦い。故にそのレベルもかなり高い。そして、長いバトルの末にようやく勝利も目前に見えた時である。

〈ドーン!!〉

「ん!? 何アルか!? 爆発!?」

 突如、からくり堂から爆発のような轟音が聞こえてきた。気になってしまい四人の勝負は中断してしまう。

「ったく! あのじいさん、やらかしやがったな! おい、てめぇら! 一旦この勝負お預けだ! そこで、待っていろ!」

 銀時ら万事屋は察しがいいのか、様子を確認するためにからくり堂へと向かった。

「っておい!? 行っちゃった……」

 置いて行かれたキリトらも彼らの跡を追いかける。一方で、万事屋が駆け付けたからくり堂は大して壊れてはいなかったが、源外だけが黒焦げの状態になっていることがわかった。

「おい、じいさん! 一体何があったんだよ!? 無事か!?」

「ケホ、無事だよ……これくらい新発明ができた代償に比べたら楽なモンよ」

「新発明?」

 咳をしながら源外は、自分の作った自慢の発明を見せる。それは、

「あっ! これ、キリの持っている剣アルよ!!」

キリトの持つ金色の剣、エクスキャリバーに酷似した剣だった。

「まぁな。さっきの妖精のあんちゃんが、持っていた剣をちと似せた模造品だよ。戦うときじゃなくてあることに使うんだよ」

「あること? って、まさか――」

 この言葉を聞いて万事屋にあるデジャブが湧く。そして、確信へと変わる。

「この剣は、砂糖・醤油・酢・そばつゆ・塩の五つの調味料が出る伝説の剣。その名も、味付けキャリバーだ!」

「やっぱりかぁぁぁぁ!」

 予想通り調味料の出る聖剣に、新八はツッコミを入れた。以前にも源外は、銀時の木刀を醤油さしに変えられたことがあり、あの発明が形を変えて蘇ったのだが、ほぼ出オチでしかない。ちなみに喜んでいるのは神楽だけである。

「やっほ~い! これで、色んな味付けが可能ネ!」

「じゃねぇよ! 使いづらくてしょうがねぇだろ!」

「まぁ、全身が食い物で出来ている相手には効果的だろうな」

「そんな奴滅多にいねぇよ!!」

「何っているアルか! 白い粉を必要としている奴にも効果的ネ!」

「やめろー!! その言い方だと別の意味になるよー!!」

 万事屋の三人によるいつものグダグダムード。銀時や神楽のボケに、新八が勢いよくツッコミをいれた。いつもの彼らの日常だったが、突如笑い声が聞こえてくる。その方向へ振り向いてみると、

「ん? お前ら?」

そこには、口を抑えながら大きく笑っているキリト・アスナ・ユイの三人がいたのだ。

「ハハハ!! やっぱり、おもしろいな! 銀さん達って!!」

「本当に喧嘩しているように見えませんよ!」

「おかしくて、涙が出てきちゃったよ……三人共お笑いトリオみたいね!」

 どうやら万事屋のやり取りが彼らにとって笑いのツボにはまったらしく、その仲の良さに心が温まった様子である。

「って、お前ら? いつのまに……」

「そんなにおかしかったアルか?」

「当たり前でしょ! さっきまで、あんな真面目に戦っていたのに、急に笑いに変えちゃうんだもん!」

「メリハリの差がありすぎて、ある意味すごいよ!!」

 彼らからしてみれば、万事屋は強くて笑いのセンスもある人間だと感じていた。これに新八は、複雑な気持ちが混ざる。

「えっと、これは素直に喜んでいいんでしょうか?」

「いいんだよ。笑いあえたならそれで何よりじゃねぇか」

 銀時は彼らが明るくなれたことに安心する。終わりよければ全て良し。そう、感じていた。

 

 時刻はいつの間にか夕方となり空は赤い夕焼けで覆われる。一同の気持ちも落ち着いたところで、まとめへと入った。

「結局勝敗はつきませんでしたね」

「いや、いいのよ。みんなの実力がわかっただけでも十分だったから。それに神楽ちゃんがかわいいだけじゃなくて強いこともわかったからさ」

「こっちこそ、アッスーがただの人妻じゃなくて、バカ強い人妻だってことがわかってよかったアルよ!!」

「って、コラ!! 神楽ちゃんってば!!」

 神楽のからかいについ乗ってしまい、顔が赤くなってしまうアスナ。冗談を言い合えるくらい仲が深まった証でもあった。

「さてと、また今度機会があれば勝負の続きしてくれるか?」

「おう、いいぜ。全力で叩き潰してやるがな」

 銀時とキリトも勝負の約束をして、必ず決着を付けると宣言する。

「今度こそパパが圧倒させちゃいますからね!!」

 ユイもこの約束へ期待を寄せていた。さらにキリトは新八とも勝負の約束を交わす。

「それと、今度は新八にもお手あわせ願おうかな?」

「えっ、僕と? 結構意外ですね……」

 予想していなかった指名に嬉しくなり新八はつい照れてしまう。しかし、

「やめとけよ。こんな、ダメガネに勝負したって時間の無駄だぜ」

「雑魚モンスターを相手にした方がよっぽど有意義アル。キリ、悪いことは言わないから諦めろアル」

「んなわけあるかー! あんたらもっとためたいを持てよ! 煽るしか能がねぇのか!」

銀時や神楽から否定的な意見を言われてしまった。皮肉を言われても彼らは、笑いあいその仲の良さをキリト達へ見せつけている。

(血はつながっていないのに、三人共本当の家族みたいだな……)

 心では、彼らの文句を言い合える仲に憧れているのだ。そんな時、急に「ギュルル」とお腹の鳴る音が響く。

「ん? これは?」

 ユイが最初に気付き探して見ると、犯人は目の前にいる。

「あっ、これ私のお腹の音アル!!」

 その犯人は神楽であった。さっきまで体を激しく動かしたので、ついお腹が空いてしまったのである。

「そういえば、お昼たべてなかったな」

「確かに……」

 思えばキリト達も昼食をとっておらず、落ち着かない状況が続いたせいかすっかり忘れていた。だが、安心したと同時にお腹も減ったことへ気付いた。それを聞き銀時は、帰宅準備を促す。

「よし。なら、もう帰るか。てめぇら、万事屋に帰るぞ。ついでにどんな場所か紹介してやるからよ」

 そう言って銀時はスクーターを準備する。スクーターには、銀時と新八の二人が乗り、定春には神楽が乗り込む。一方で、キリト達はというと

「俺とアスナは、羽があるからいいとしてユイは――」

「あっ! じゃ、私が乗せるアル! いいよネ? 定春?」

「ワン!!」

羽を持つ二人は空中から銀時らへ連いていき、羽のないユイは定春に乗っかる形で移動することになった。

「わかりました。よろしくお願いしますね、定春さん!」

「ワフ~!」

 ユイに撫でられて定春もどこか嬉しそうである。こうして六人は万事屋へ向かう準備が整えられて、最後に改めてお礼の挨拶で締めた。

「とにかく、これからよろしくな。銀さん、新八、神楽」

「よろしくね!」

「よろしくです!」

「「「おう!! よろしくお願いしや~す!!」」」

 この言葉で六人と一匹の心は一つとなる。ひょんなことで万事屋のもとでお世話になることになったキリト達だが、彼らに後悔はない。だって、ここにいるのは面白くて頼りになるくらい強い人間達だったからだ。前も後ろもわからないこの別世界できっと助けてくれる。その思いで、信じることにした。万事屋という愉快な人間達を。

「よし、じゃ行くか!」

 銀時の掛け声とともにからくり堂を去っていく一同。その光景を見て源外はふと呟く。

「ヤレヤレ。妖精ゲーマーと万事屋か……。どんな化学変化が起こるのか楽しみだな!!」

 こうして、SAOで出会った三人の少年少女と、かぶき町で出会った三人の万事屋は、今日手を結び新しい物語が幕を開けたのであった。

 

 




後篇および一話は、これで以上です。気長にやっていくので、意見があれば教えてください。

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