剣魂    作:トライアル

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第百十九訓 昔遊んでいたおもちゃを倉庫から出すと、部品が足りなくて、モヤモヤした気持ちになる

「吉原大筒?」

「そうじゃ。百華の倉庫から偶然見つかったものでな」

 月詠とシノンは、見つかった資料を万事屋の六人に見せていた。

 この日の万事屋には二人が訪れており、吉原にて偶然見つかった武器の資料もとい設計図を持ち寄っている。

「大筒と言っても、大型銃みたいなものよ」

「ってことは、シノが前に使っていたライフル銃みたいなものアルか?」

「まぁ、そんな感じね」

 月詠の説明に、シノンも補足を加えていた。彼女達の言う吉原大筒は、シノンがGGOにログインする時に使っていた大型銃よりも、さらに大きい重火器系の武器だという。

「その大筒の製作に、俺達の手が必要なのか?」

「うむ。吉原大筒は異なる武器が一つに合わさって完成するものじゃ。それにシノンは、遠距離武器の扱いにも長けておる。新たな武器として、活用したくてのう」

「今後サイコギルドと衝突することになった際、新たな武器があった方が戦略の幅が広がるでしょ。だから、みんなにも協力してもらいたいの」

 話をさらに聞くと、吉原大筒の完成には多数の武器が必要になるようだ。月詠はその武器の使用者にシノンを適任者として選び、シノン自身も適任者として意欲を示している。今後起こるであろうサイコギルドとの衝突にも備えて、新たな武器が必要不可欠と二人は考えていたのだ。

 シノンらの訴えに、万事屋の面々も共感している。

「なるほどね。良いわ。力になれることならなんでもするわよ」

「そうアル。それに合体武器なんてかっこいいネ!」

「私も賛成ですよ!」

 アスナ、神楽、ユイと女子陣は、早速吉原大筒の製作を快く引き受けていた。一方で男子陣も概ね同じ思いである。

「まぁ、良いんじゃねぇの。俺の見せ場も増えるしよ」

「見せ場はともかく、単純に合体する武器には興味があるな」

「それで月詠さん。合体武器の全体図とか無いんですか?」

 新八が吉原大筒の全貌について月詠に聞くと、彼女は設計図の次のページを一同に披露していた。

「あるぞ、こっちのページじゃ」

 と新しいページを開き、いよいよ謎に覆われていた吉原大筒の全貌を万事屋は目の当たりにする。

「あの、なんですか。これは」

「吉原大筒。別名ハウリングキャノンじゃな」

「じゃねぇだろぉぉ!! なんだこれ!? 完全に五色の戦士が、最後にとどめを決める時の合体武器じゃないですか!!」

 設計図を見た瞬間に、新八のツッコミが大きくさく裂した。

 そう。吉原大筒は某日曜の朝に放送されているヒーロー番組で、よくある全員の武器を合体させてバズーカにするものと酷似していたのだ。別名の通り、これは恐竜系の戦隊が使用していたものとほぼ同じなのだが……月詠は何食わぬ顔で返事している。

「なるほど。吉原大筒は伝説に名高い武器だからな。ヒーロー番組で模倣されても仕方ないか」

「いや、模倣しているのこっちでしょうが! 完全に有耶無耶にして、誤魔化そうとしているよね!?」

「落ち着いて、新八。吉原大筒は設計図によれば、一億六千万年前に作られたみたいなのよ。つまり本家大元はこっちみたいよ」

「その設定もどこかで聞いたことあるよ!? シノンさんも真面目なトーンで、話さないでくださいよ!」

 シノンも話に加わって新八を宥めるも、もはや逆効果でしかない。恐らく確信犯のように言っている月詠はともかく、シノンは素直に信じ込んでいる様子だ。彼女の表情もキラキラしており、好奇心を大きく弾ませていると思われる。

 ただ一人でツッコミを入れ続ける新八とは対照的に、他の万事屋メンバーは特段吉原大筒もといハウリングキャノンに違和感を覚えていない。

「落ち着けよ、新八。ここでツッコミを入れたって、話が進まねぇんだよ」

「そうアル。たたでさえ投稿者が字数を気にしているんだから、無駄に増やすなよ。ゴラァ」

「元も子もないこと言わないでくださいよ! だとしても、もうちょっとやりようがあったでしょうが!」

 メタ的な理由を含めて落ち着かせようとするも、やはり新八の気は収まらない。銀時と神楽は引き続き、興奮する新八を説得させていた。

 その傍らでキリトやシノンらは、早速吉原大筒作成に向けて準備を進めることにする。

「まぁ、新八さんは銀時さん達に任せるとして」

「俺達は早速合体武器を作るか」

 ユイやキリトがそう呟くと、シノンや月詠、アスナも続けて呟く。

「そうね。とりあえずどこかへ移動しましょうか」

「そうじゃな。武器を取り付けるパーツもあるからな。ここでは流石に難しいじゃろ」

「わ、分かったわ」

 彼女達は万事屋から近くの落ち着ける場所に移動することを提案。合体武器を作るには大掛かりな作業が必要で、万事屋の中では難しいと考えていた。

 こうして新八を落ち着かせた一行は、万事屋を跡にして、そこから近くの河辺へと歩みを進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吉原大筒の設計図を持ち、とある河辺へ辿り着いた銀時、キリト、新八、アスナ、神楽、ユイ、月詠、シノンの八人。

 武器の合体に必要なパーツを用意して、いよいよ吉原大筒の製作に取り組んでいく。

「では、まず合体する武器を用意するぞ」

「設計図だと剣、弓、斧、二つに分離した槍、二本の小刀が最適と書いているわね」

 月詠とシノンは改めて設計図を確認していた。武器にも多様な種類があり、一概にも何でもいいというわけでは無さそうである。

「二つに分離した槍って、どこにあるんですか」

「適当にキリトの剣をくっ付ければ良いだろ」

「そんな大雑把な」

 銀時の適当な提案に、キリトと新八は苦言を呈していた。

 一方で彼の適当さに構わず、ユイ、アスナら女子陣は慎重に設計図を読み進めている。

「くっ付ける順番は、斧、弓、槍、小刀、剣ですね」

「くっ付ける時は、専用のパーツで補強をするわけね」

「しかも似たような武器であれば、代替えは可能のようじゃな」

 月詠が設計図の注意書きを解読し、武器の種類は似たようなものであれば問題ないと確認が出来た。完成への難易度が下がり、皆安堵の表情を浮かべている。

「じゃ、斧は誰の武器にするか」

「私の傘で十分アル。これを主軸にするヨロシ」

 最初に土台となる武器として、神楽が率先して自身の日傘を差し出す。斧の代わりとして使おうとしていた。

「ありがとうね、神楽。それじゃ、次は私の弓をセットしてと」

 シノンは神楽にお礼を伝えると、そのまま設計図通りに、自身の弓を神楽の傘にくっつけようとしている。補強用のパーツを付けると、傘の上部にシノンの弓がしっかりと付いた。

「おっ。段々様になってきたんじゃないか」

「設計図通りに進んでいますよ!」

 順調に吉原大筒が完成に近づき、手ごたえを感じる銀時とユイ。ここまでは難なく設計図と同じように進んでいる。

「次に小刀と折った槍を使うのか」

「小刀ならわっちのクナイで十分じゃろ」

「槍の代わりになるか分からないけど、私のレイピアを使って。シノノン」

「俺の木刀もここで使えるんじゃないのか?」

 次に必要な小刀や槍も、月詠やアスナの手助けですぐに代わりが見つかっていた。弓の空白部分に月詠のクナイを二本、アスナのレイピアと銀時の木刀が付けられていく。専用のパーツで固定し、残るは剣のみとなった。

「最後は剣だけど、俺の剣を付けるか」

「そうね。なんたって、あの時に私が捕まえた聖剣だものね」

「はい。その節は感謝しております……」

 弓の真ん中に固定する武器として、キリトが自身の持つ聖剣エクスキャリバーを差し出している。この剣は以前にシノンが自身の弓で捕獲して、キリトに渡したことがある為、彼女にとっても思い出深い代物であった。キリトも苦笑いで、今一度彼女に感謝を伝えている。

 こうして神楽の傘、シノンの弓、月詠のクナイ、アスナのレイピア、銀時の木刀、キリトの聖剣の六つの武器が合体して、吉原大筒は概ね完成していた。

「これで最後か?」

 キリトが月詠に聞くと、彼女は設計図を再度確認する。

「いいや。まだ続きで、スコープ用にレンズが必要と書いているぞ」

「えっ。レンズですか」

 しかし、もう一つだけ必要な武器があった。それは銃系統の武器によく付けられているスコープで、こちらを使い標的に狙いを定めるのだが……その役目を果たすレンズ系の武器を持っている者は、この中にはいない。

「じゃ、レンズの代わりになるものを付ければいいんじゃない?」

「代わりですか……」

 シノンの提案でレンズに近しい者から借りようとするも、一行はそれでも手詰まり感を覚えてしまう。

 何か良い案は無いか皆で考えていると……ユイはふと新八の方に目を向ける。

「ど、どうしたの。ユイちゃん?」

「分かりました! 新八さんの眼鏡で代用できませんか!」

「ちょっとユイちゃん!? 急に何を言い出すの!?」

 ユイは新八の眼鏡をスコープ及びレンズの代用品として提案。突拍子も無い展開に、新八は焦りを覚えたが……一行からの反応は皆前向きに捉えている。

「確かにその手はありかもな」

「試しに使うくらいなら良いんじゃないのか?」

「アンタらまで何を言っているの!? 僕の武器は眼鏡じゃないですからね!!」

 キリトや銀時もさり気なくこの案に賛成。なお、自らの眼鏡が武器代わりに使われることに新八は断固反対をしていた。

 そんな新八の反応など気にすることなく、一行は次々と話を進めていく。

「でもそれだとユイが仲間外れになるアル」

「ユイちゃんの武器も付けたいところよね……」

 神楽やアスナが気にしていたのは、ユイの武器についてである。この八人の中だと唯一彼女が合体武器に含まれていないので、どうにかユイの要素を入れられないか二人は悩み始めていたのだ。

 そんな中で銀時が、一つの妙案を思いつく。

「じゃ、こうしようか。新八、眼鏡貸せよ」

「えっ、何をするんですか?」

 彼は新八の眼鏡を取って、ある細工を施している。そして完成したものを、仲間達へと見せつけていく。

「ほら、ぴったりだろ」

「どこがだぁぁぁ!!」

 彼が細工したのは、新八の眼鏡の左部分。そこにユイがピクシーの姿の時に付けている紫の花の髪飾りの模様を、マッキーペンで乱雑に描いたのだ。巻き込まれた新八からすれば、ただ単に眼鏡を傷つけられただけに過ぎないのだが……。

「僕のレンズ片方潰れただけじゃねぇかぁ!」

「いや、二つあるんだから、一つ潰したって問題ないだろ?」

「大有りだわ! これ戻す時、どうやって拭くんですか!!」

 当然新八は我慢できずにツッコミを入れるのだが、まったく銀時は悪びれていない。不憫な扱いに怒りを露わにした新八だったが……肝心のユイの反応はと言うと、

「これは良いですよ!」

「へ?」

むしろ大変気に入っていた。想定外の反応に、新八は思わず耳を疑ってしまう。

「花をスコープのメモリに見立てて、相手へ確実に射抜くって感じですよね!」

「あのユイちゃん。多分勘違いしてる……」

「よぉし。もうこれで完成だろ。尺も詰まっているしよ」

「嘘つけぇ! まだ四千文字しかいってねぇよ! まだまだ余っているわ、ぼけぇ!」

 ユイの上々な反応を確認したところで、銀時は新八の話を遮ってしまう。無理にでも話を中断させようとする彼に、新八は再度激しいツッコミを繰り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして若干の不満を抱えながらも、設計図通りに吉原大筒は完成したのである。

「ということで、吉原大筒の完成っと」

「なんか……設計図と比べたら、ごちゃごちゃしている気が」

「でも、良いんじゃない。中々の出来だと思うわよ」

 設計図と実際に完成したものを比較すると、やや図とかけ離れているようにも見えなくないが……シノンは概ね納得していた。彼女の満足げな表情を見て、神楽やアスナも嬉しく感じている。

「シノが喜んでいるなら何よりアル!」

「そうね。ところでこの後はどうするの?」

「折角出来たなら、性能を試したいんだけど……もう少し人気の無いところが良いわよね」

 続いて吉原大筒の試し打ちを行おうとしたものの、今いる河辺では難しいとシノンは考えていた。もっと人気の無いところでの試し打ちを彼女は考えている。

 すると銀時は、咄嗟に新八へ無理難題をぶつけていた。

「よぉし。新八、転移結晶で適当な場所に移動するぞ」

「いいや。持ってないですよ。というか、それなら最初からその場所に行けば良かったんじゃないですか」

「うるせぇな。そんな労力、最初から使いたくないネ。転移結晶が無いなら、どこでもドアやブックゲート出せやごらぁ」

「だからもってねぇよ! どんだけアンタらは、瞬間移動したいんですか!」

 思いつく限りの瞬間移動系のアイテムをせがみ、新八を困らせている。神楽まで加わって、彼のツッコミへの疲労はピークに達しつつあった。

 万事屋の面々が揉めている最中、月詠、キリト、ユイらの五人は現実的な方法を模索している。

「もし無理なら、的とかを用意出来れば良いんじゃが」

「その辺の石や岩を集めて、的に見立ててみるか」

「ここより奥に行けば、大丈夫だと思います」

 今いる河辺からなるべく動かずに、試し打ちが出来ないか考えていた。

 と皆でアイデアを出し合っていた時である。

「おぉい。お前ら、何やってんだ?」

「あっ、土方さん!」

 通りすがりに見知ったかと彼らは遭遇していた。その正体はパトカーに乗車し、パトロールをしていた土方十四郎である。

「どうした、V痔マヨラー。出番でも取りに来たのか?」

「うるせぇ! ていうか、痔ってなんだよ! 意図的に誤字しているんじゃねぇよ!」

 銀時の皮肉に、早速ツッコミを入れる土方。彼の悪意ある誤字に、彼は怒りを心頭させていた。

 そんな土方はパトカーから降りて、河辺までわざわざ近づき月詠らへ話しかけている。

「真選組がわっち達に何の用じゃ」

「なぁに。ただのパトロールだよ。というか、てめぇらこそ何やってんだよ」

「いや、ただ新しい武器を作っていただけよ」

「新しい武器?」

 アスナやシノンは、土方にこれまでの経緯を軽く説明していた。吉原大筒やその作成に至る過程まで、余すことなく話していく。

「なるほどな。見つかった設計図通りに武器を作っていたわけか」

「その通りアル。ということで、マヨ。パトカーで適当な採石場まで移動よろしくアル」

「俺はタクシードライバーじゃねぇぞ」

 神楽の適当な呟きに、土方は怒りを抑えながらツッコミを入れている。吉原大筒の存在を知ると、彼は少なからずその武器に興味を持ち始めていた。

「吉原の秘密兵器とはな。しかもお前らの武器まで合体するとは」

「まぁ、みんなで持ち寄った結果だし、それくらい新しい武器が必要だと思っているからだよ」

「これから戦うかもしれない強敵に立ち向かう為にもね……!」

 キリトやシノンの一言に、土方も強く頷いている。彼ら真選組も密かに追っているサイコギルドへの対抗手段として、新しい武器を作ることに好意的な反応を示していた。誰かに迷惑のかからない範囲であれば問題ないと理解している。

「そうかい……って、眼鏡まであるのか。こりゃ、お前らの本気度がより伝わるな」

「あの、土方さん。そこなんですか、気になるところって」

 さらに土方は新八の眼鏡も合体武器の一部に組み込まれていることを知り、彼らが真摯に武器の作成に向き合っていることを察した。新八はただ巻き込まれた側なのだが……。

「まぁ、程ほどにやっておけよ。被害を出したら、即確保してやるからな」

 そのまま彼は一言言って立ち去ろうとするも、銀時や神楽からは未だに無理難題を押し付けられている。

「おいおい。一言言って終わりアルか」

「折角なら採石場まで連れて行けよ。同じV字ヘアーの後輩が困っているんだぞ」

「変な括りにまとめるなよ。大体俺もそんな暇じゃねぇんだよ!」

 ちゃっかりパトカーに乗ろうとする二人の姿勢に、土方は再度強いツッコミを入れていた。あまりの厚かましさに、激しく怒りを露わにしている。

「ということは、素直に別の場所へ移動した方が良いか」

「そうね。試し打ちしても、問題ない場所が良いのだけれど」

 月詠やシノンは現実的に考えて、吉原大筒を試し打ち出来る場所を考え始めていた。特にシノンはどんな威力を発揮するか、少しばかり楽しみを感じている。

 一方で銀時や神楽と未だに揉めている土方であったが……そんな彼がふと空を見ると、ある異変に気付いていた。

「ん?」

「どうしたの、土方さん」

「アレは……」

 彼が薄っすらと見えたのは、空に浮かぶ謎の光。嫌な予感を察した彼はパトカーから望遠鏡を取り出して、光の正体を確認する。その正体はと言うと、

「間違いない。隕石だ」

「隕石!?」

宇宙から飛来した一つの隕石であった。正体を知るや否や、シノンや銀時らは驚嘆とした表情を浮かべてしまう。

「恐らく燃え尽きずに、ずるずると落っこちて来たんだろうな」

「って、あっちの方角って寺子屋がある方じゃないの?」

「不味いアル! このままだとそっちに落っこちるネ!」

 冷静に分析する土方だったが、一方でアスナや神楽はちょうど落下地点に寺子屋があると分かると、思わず焦りを感じていた。最悪の場合、隕石と衝突してしまう危険性がある為、事態の深刻性を皆段々と察していく。

「不味いな……避難を促そうとも、間に合うかどうか」

「だったら隕石を粉々に破壊した方が得策じゃないですか!」

「この距離だったら……」

 月詠も早急に対策を考えるも、寺子屋まで向かうには時間が足りない。早急な対応が求められる中で、一行にはこの危機を打開する武器に興味を向けていた。

「使えるわね、吉原大筒が」

 そう。吉原大筒である。全員の武器を合体させた大型の砲撃で、寺子屋方面に向かう隕石を大破しようと考えていた。

 シノンの呟きに皆が同意する中で、土方だけは吉原大筒の使用に難色を示している。

「おい。まだ一回も試していないんだろ。本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。本番一発勝負で決めてやるよ。それにシノンは、大人顔向けの射撃能力を持っているからよ」

「百華にて鍛えられた彼女の腕なら大丈夫じゃ。わっちが保証する」

「俺達の武器を組み合わせた武器なら、きっとあの隕石だって壊せるはずだ。頼む、土方さん。ここは俺達にも協力させてくれないか」

 初使用となり威力等も未知数な中でシノンらに警告を促す土方だったが、反射的に銀時、月詠、キリトの三人が彼に反論をしていく。シノンの正確性と射撃の腕、並びに百華でさらに鍛えられた洞察力があれば、吉原大筒を使いこなせると彼らは理解していたのだ。それは銀時らのみならず、新八、アスナ、神楽、ユイの四人も同じ想いである。

「邪魔だけはしないから。私は私に出来ることで、江戸を守りたいのよ。だから……協力させて!」

 シノンも念押しして、土方に協力を志願していく。中途半端ではない、本気の覚悟を察した土方は、素直に彼らの一途な気持ちを信じることに決める。

「分かったよ。邪魔だけはするなよ。面倒なことになるからな」

 そう言って彼はパトカーからバズーカを取り出して、黙々と隕石の迎撃態勢を整えていく。こうしてこの場にいる全員が、隕石撃破に向けて気持ちを一致させることとなった。

「よし……じゃ、行くわよ!」

「おうネ!」

「うん!」

 土方に続き、シノンらも吉原大筒を構えていく。シノンは弓部分に弓矢を装填。そんな彼女を、背中から月詠、神楽、アスナが支え、大筒の端っこをユイ、新八、キリト、銀時が支えて大筒自体を固定させていた。

「良いか。お前らの方から先に撃て! その後に念押しで、俺が追加でバズーカを放つ。それで良いな?」

「分かった。その手で行こう!」

 土方からは打つ順番を決められて、シノンらの砲撃を先に通してくれるようである。キリトも元気よく返事をし、皆隕石迎撃に向け集中力を高めていく。

「みんなの力を合わせた武器だから、きっと大丈夫ですよ!」

「そうじゃな。肩の力の抜くのじゃぞ、シノンよ」

「分かっているわ。ありがとうね、みんな」

 ユイや月詠からも後押しされ、シノンも一段と気を引き締めていく。自身の弓矢で町の命運が決まることに若干のプレッシャーを感じつつも、自身の実力と仲間を信じる力があれば大丈夫と括っている。いつどの時でも撃破できるようにと、彼女は深呼吸をして気持ちを落ち着かせていた。大筒も心なしか、力を込めてオーラが溜まっているように光を纏いつつある。

 そして……遂にその時がやってきたのだ。

「よし……今だ!」

「えぇ! 吉原大筒、発射!!」

「はぁぁ!!」

 土方の合図と同時に、シノンは気合を込めた矢を勢いよく解き放つ。と同時にオーラも各武器から解き放たれ、矢の威力を加速させるように、高速で隕石の元まで突き進んでいた。

 土方のバズーカによる砲撃も数秒後に放たれて、矢を追いかけるように垂直に進む。

 発射された矢や砲撃は、しっかりと隕石の元まで進み……無事に直撃。矢が隕石の勢いを止めて表面にヒビを与え、砲撃が完膚なきまでに隕石を粉々に砕けさせた。

〈ドーン!!〉

 大きな爆発音が鳴り響くも、江戸の空には何も降り注いでこない。爆発の中で隕石自体が消滅したのだ。要するに彼らの迎撃は成功を収めたのである。

「撃破した……?」

「大破したな。寺子屋の方角にも被害は出ていないみたいだ」

 土方も念入りに望遠鏡で、隕石の行方を確認。大きな被害が出ていないと断言していた。

「やったアル! 迎撃成功ネ!」

「やりましたね、皆さん!」

 作戦が成功し、皆歓喜に舞い上がっている。神楽とユイは喜びのあまりはしゃぎ、大きくジャンプしていた。

「これが吉原大筒の力……」

「凄い破壊力ね」

「みんなの武器を合わせただけで、あそこまでの威力を発揮するとは」

 一方でキリト、アスナ、月詠は、改めて吉原大筒の威力を思い知っていた。一本の弓矢に隕石を破壊させる力があると知り、この力をサイコギルドの戦いにも使えると考えている。共に大きな進歩を感じ取っていた。

 もちろん新八や銀時も同じような反応を示している。

「意外と僕の眼鏡も役立ったのか……?」

「じゃねぇの。シノンにとっては良いスコープ代わりになったんだろ。なぁ」

 と銀時はシノンにも吉原大筒の感想を求めたところで、彼女からの反応は無い。彼女は顔を俯かせており、どこか疲れ切っているようにも見えるが。

「おい、どうしたんだ?」

 何か違和感を覚えた銀時は、思わずシノンの肩を掴んで話しかける。すると彼女は、ようやく返答してきた。

「て」

「て?」

「てめぇ、肩に寄りかかるんじゃねぇよぉぉ!」

「ぶふぉぉっ!!」

 豹変した姿で。そう。シノンは何の前触れも無く顔を真っ赤にし、泥酔した状態のように変わってしまったのだ。

「ふぃ~。すっきりした」

「だ、誰だぁぁぁぁ!?」

「シノン!?」

 シノンらしくない豪快で男勝りな態度には、仲間達も思わず困惑。戸惑いを隠しきれない様子である。

「どうしたの、シノノン!?」

「まさかまたマタタビのせいですか!?」

「いや、シノは酔ったら子供っぽくなるから少し違うアルよ」

 彼女特有の弱点であるマタタビが原因とユイが予想するも、シノンの場合は甘えん坊の性格に変わるので、それとはまた違うと神楽は考えている。

 豹変したシノンの態度に皆が驚きを隠しきれない中で、月詠は再度吉原大筒の設計図を確認していた。

「どういうことじゃ。まさか設計図に……あっ」

「どうしたんですか、月詠さん」

「何が書いてあったんだ?」

 すると彼女は設計図に書かれていた、大筒の副作用についての記述を発見。それをキリトや新八らに伝えている。

「ごく稀に合体武器の所有者の悪習が移ると書かれておる」

「つまり……」

「わっちの酒癖の悪さが、シノンに移ったということか……」

 そう。吉原大筒の副作用として、合体させた武器の所有者の癖が一定時間使用者に移ると書いていたのだ。シノンの現在の状態は、月詠が酒に酔った時に狂う姿と酷似しているので、月詠はそうそうに自身の悪習だと察していた。

「ってことは」

「この合体武器は、使わない方が良いってことですよね……」

「副作用がデカすぎないか……?」

 副作用の効果を知ると、キリトやアスナら万事屋の面々も思わず絶句してしまう。強力な矢を解き放てる代わりに、シノンにも精神的な負担が増えれば元も子もないからだ。まして月詠のような泥酔状態は、後々知った時に羞恥心を感じるに違いない。折角見いだせた活路も、副作用により全てが白紙に戻ってしまったのだ。

「お前の武器も加わっていたら、シノがニコチンとマヨラーを吸う化け物になっていたかもナ」

「誰が化け物だ。失礼にもほどがあるだろ」

 一方で神楽は、土方に例え話で皮肉をぶつけている。もし吉原大筒に土方の武器も加わっていれば、シノンへの負担がより重くなると考えていたのだ。土方からすれば、良い迷惑に代わりは無いのだが……。

「よぉし! 酒じゃ、酒じゃ! 酒を持ってこい!!」

「落ち着けお前!! 未成年が飲酒して良い訳ねぇだろ!」

「うるせぇ! 付き合え!!」

「ブフォォォ!!」

 そんなみんなの心配をよそに、シノンは泥酔状態のまま銀時を振り回している。月詠のような傍若無人ぶりが加わり、銀時へ理不尽に連続してビンタを繰り出していた。巻き込まれた銀時は、ただただその報復を受けるしかない。

 こうして吉原大筒計画は、致命的な弱点を抱えたまま、やむを得ず中止となったのだ。




 四苦八苦しつつも、吉原大筒が遂に完成! シノンにとんでもない副作用を与えたので、恐らくもう二度と使うことはありませんが……月詠並みに泥酔しているシノンは、ある意味で可愛いかもしれない!? 





次回予告

シリカ「ピナってば、アタシの楽しみにしていたアイスを勝手に食べて……もうしばらく絶交です! 今のアタシには、定春がいるんですから~」

定春「ワン!」

妙「定春とピナちゃんを一時的に交換したみたいね」

リズベット「一日も続かなさそう……」

シリカ「次回! ペットはいつの間にか一芸を覚えている!」
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