剣魂    作:トライアル

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 今回のお話では、意外なキャラが登場! 少ししっとりめにお届け致します。
 ※少しだけマニアックなネタがあるので、苦手な方はご了承ください。


第百二十一訓 どんな場所にもマニアは集まる

 かぶき町から遠く離れた場所にある駅、小釣駅(おづりえき)。

 ここは小さな池がポツンとあるだけの無人駅で、釣り人の間では穴場の釣り場として知られている。

 しかし、この駅には一つだけ難点があった。

 それは列車の便がかなり少ないのである。

 六時間におおよそ上下二本。一日にして六往復しか、この駅には列車が来ない。

 故に池には、車で来る人がほとんどで、駅を訪れる人も地元の人間か変わり者の旅人しか来ない。

 そんな駅に早朝から、一人の男が降り立った。悩みを抱えたまま……

「はぁ……また来ちまった」

 釣り道具を抱えたままため息を吐くのは、長谷川泰三。ご存じかぶき町を放浪する無職である。

 そんな彼は思うように行かない人生に嫌気が指し、朝っぱらから誰も来ないであろうこの小釣駅にやって来たのだ。今日一日は釣りをして、嫌なことは全部忘れよう。そう考えている。

「一人だな。次の列車が来るまでは、気楽に釣りが出来そうだな」

 周りに人がいないことに一安心する長谷川だったが、と同時に少しだけ寂しさも感じ取っていた。秘境とも言える駅に人が訪れるのは、車でない限り次の列車しかない。流石の長谷川もその孤独に耐えられるかは、不安の方が大きいのである。

「まぁ、良い。気にせず釣るぞ」

 と人が降りることにはほどほどに期待を寄せず、長谷川は早速駅を降りて、池の方へと向かう。

 すると、江戸方面に向かう列車が小釣駅に到着していた。その列車から、一人の男が降りてくる。

「あれ? アンタ、長谷川さんじゃないですか」

 男は長谷川を見ると、早速声をかけにきていた。長谷川が駅の方に振り向くと、そこにはある知り合いが立っている。

「えっ? アンタ……西田さん!」

「久しぶりですね。入国管理局の時以来じゃないですか」

 そう。彼の正体は西田。長谷川がまだ入国管理局に勤めていた時に知り会っていた幕府の役人である。現在は既に定年退職し、家族と一緒に田舎へ移住したと長谷川は記憶していたが……まさかこんな秘境駅で会えるなんて互いに思ってもいなかったであろう。

 そんな西田の格好は、長谷川とは異なり釣りにぴったりのアウトドア風の衣装を着けて、腰や背中には多数の釣り道具を完備していた。

さながらプロの釣り人のような佇まいをしている。

「おいおい、アンタもこの駅を使っていたのか」

「たまにですがね。今日は車が故障したので、仕方なく列車で来たのですよ。まぁ募る話は、釣りをしながらにしましょうか」

 互いに話したいことは山々にあるが、一旦は竿や餌などの準備をして、早速釣りを始めていた。釣りをしながら彼らは、互いの思い出話や苦労話について話し始めている……。

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか。解雇されて奥さんにも逃げられて、現在職を転々と」

「あぁ。絵にかいたような転落人生さ」

 西田は長谷川の話を聞き、素直に彼の波乱万丈な人生について同情していた。

 思えば彼は、ある要人をぶん殴ったことが不幸の始まりとも言えなくない。そこから職も地位も無いまま、ずるずるとホームレスのような生活を続けている。長谷川は昔を振り返ると、少しだけ悲しそうな表情を浮かべていた。

 すると長谷川は、小釣駅の駅舎を指さして、自身の境遇と照らし合わせていく。

「まるであの小釣駅と同じだよ。あそこも昔は栄えていて、駅員もいた有人駅だったんだろ。それが今じゃ、周辺の人口が減って、無人駅でオンボロの小屋に成り下がったわけだ。マジで堕落した小釣駅。略してマダオのような駅。俺みたいな末路だろ」

 今目の前にある駅も、かつての栄華とは程遠い生涯を送っている。当時は綺麗で立派な駅舎だったが、今は錆や汚れが目立ち、かつての面影はほとんど残っていない。長谷川も当時の駅事情は入国管理局の時に知っているので、余計にこの駅の栄枯盛衰ぶりを痛感しているのである。

 そんな悲壮感に溢れる長谷川に対して、西田はそっと優しい言葉で慰めていく。

「そう自分を卑下しないでください。どんな形であれ、路頭に迷うのは誰の人生だってありますよ」

「にしては迷い過ぎなんだよ。アンタが老後の人生を歩んでいる間に、俺は数十回も職を変えているんだぞ。どれも長続きしなかったっての」

「良いじゃないですか。何回も挑戦するのは。それに小釣駅は、マダオになんかなっていませんよ」

「えっ? でもこの駅って、一日に一人降りるか降りないかの駅じゃないのか?」

「それは一つの仮説にすぎません。この駅には定期的に釣り人が集まって、池の主や未確認生物を吊り上げる祭りのようなイベントが行われているのですよ。しかも律義に列車を使って。たまに見かけますので、嘘ではないですよ」

 長谷川の生き方を前向きに肯定しつつも、彼は同時に小釣駅についても擁護していた。実際に駅の近くに住み始めたからこそ、西田は小釣駅の重要性を深々と理解している。同じ釣り人として、この駅は無くなってはいけないものと考えていたのだ。

彼の話を聞いて長谷川も、小釣駅の認識を改めている。

「そうだったのか……」

「どんな駅にだって、利用者がいれば残るものです。この駅の他にも、遠く離れた地には、真冬の無人駅にクリスマスパーティーを行う奇祭も行われているそうですよ。だからさっきのようなマニアがいる限り、この駅がマダオになるのはまだまだってことです」

「なるほどな。って、そのクリスマスパーティーって誰から聞いてたんだ?」

「トライアルという旅人から」

「おい、投稿者じゃねぇかよ! つーか、さっきの話ほぼアイツの実体験だろ! 投稿休止中になんて祭りに行ってんだよ!!」

 西田はどんな駅にも誰かの為に残っていると伝えていたが、その一例があまりにもマニアックであった。長谷川はメタ的な理由を含めて、激しくツッコミを入れている。

 やや話が逸れてしまったが、西田はそそくさと話題を戻していく。

「話は逸れましたが、アンタも小釣駅もまだまだやれるってことですよ」

「そうかい。まぁ、アンタの気遣いだけは受け取っておくぜ」

「まぁまぁ。そう深くは考えず、今は釣りを楽しみましょう」

 長谷川は西田の気遣いに感謝しつつ、軽く礼を伝えている。しんみりとした話を終えた二人は、早速続けていた釣りに集中し始めていた。

 現在の時刻は午前八時過ぎ。まだまだ釣りは始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから約四時間が経過し、時刻が正午を過ぎ始めていた頃だった。

「釣れましたか?」

「いや、全然。さっきからゴミしか釣り上がんねぇよ」

 釣りの状況は至って芳しくない。魚が釣れるどこか、釣り針がかかっても、捨てられたゴミや藻屑しか引っかからないのである。それは長谷川も西田も同じ状況であった。

「私もです。さっきからダッチワイフしか釣れませんね」

「どんな状況だよ。いや、こっちも経験あるけど、あまりにも多すぎだろ」

 西田の方は偶然にもアダルト系のグッズを何度も吊り上げている。長谷川も同様の経験があるのだが、それにしても異常な数が積み重なっていた。その異様な光景に、長谷川は思わず困惑している。

 すると二人は、時刻を確認。現在が正午を過ぎ始めていると認識していた。

「十二時過ぎか。そろそろ一匹くらい釣れてほしいもんだが」

「まだまだこれからですよ。それにこの時間だと、ようやく次の列車が到着する頃ですね」

「到着しても降りるのか。こんな駅に」

 釣れないことに焦りが生じる長谷川に対して、西田はのんびりと午後に向けての本腰を入れ始めていく。さらには列車が到着して、さらなる釣り人が来ることも期待していたが……長谷川はやや悲観的に捉えている。祭りもイベントもいない今日に限って、この駅に降りる人はいないと予想していたからだ。

 二人が釣竿を調整する中で、西田は長谷川にある噂話を話し始めている。

「そういえば、長谷川さん。この池にはある噂があるのを知っていますか?」

「噂?」

「主ですよ、主。必ず釣竿から離れて、上手いこと釣り上がらないとか」

「それって本当か? 大抵はガセじゃないのか?」

「いやいや、百聞は一見に如かずですからね。きっと本当にいると私は思っていますよ」

 それは池に潜む主の噂である。他の魚よりも大きく気性の荒い魚がこの池に潜んでいると西田は長谷川に伝えていた。長谷川からすると、何度も訪れているこの池に、そのような魚の兆候は一切見られないので、噂事態を一蹴していたが……西田の熱心に話す姿を見ると、少しばかりその噂を気にし始めていた。

 そんな話を交わしているうちに、本日三本目の列車が小釣駅に到着している。

「って、言っているうちに列車が来ましたね」

「どうせ誰も降りないと思うけどな。そもそも乗客も乗ってねぇだろ」

 長谷川は最初から乗客が降りることに一ミリも期待をしていなかったが……列車から降りてきたのは、またしても意外な人物であった。

「アレ? 長谷川さん?」

「えっ?」

「あっ、マダオだ!」

「おいおい、アンタまでこの池に来ていたのか?」

 長谷川に声をかけてきたのは、新八、神楽、銀時の万事屋の面々。さらにはキリト、アスナ、ユイも列車から降りてきており、万事屋総出で小釣駅にやって来ていた。

「お、お前ら! なんでここに!?」

 思わぬ知り合いとの遭遇に驚嘆とする長谷川。だがしかし、驚いていたのは彼だけでは無かった。

「おぉ、万事屋の皆さんも来ていたんですね」

「えっ……西田さん。こいつらと知り合いなのか!?」

 西田もまた、万事屋との再会に驚きを示している。どうやら彼も、銀時やキリトらと顔見知りのようだが……長谷川にとってはその話自体初めてであった。

「お久しぶりです、西田さん」

「数週間ぶりくらいか」

「そうですね。皆さん、変わらずお元気そうで何よりですよ」

 西田との再会を素直に喜ぶ新八とキリト。彼らの話から、つい最近も彼と会っていた様子である。

 他の仲間達も西田と話を交わす一方で、長谷川は銀時に万事屋と西田の関係性について聞いていた。

「おいおい、なんで西田さんとお前らが知り合いなんだよ?」

「時たまに依頼をくれるお客さんだからだよ。この間も薪割りを手伝いに行ったついでに、刺身をごちそうしてくれてよ。所謂お得意さんだ」

 銀時曰く、西田は万事屋の大事なお客さんらしい。時折西田の家を訪れて、家の手伝いを行っているとのこと。

 さらに銀時に続き、アスナも長谷川へ補足を加えている。

「それに西田さんって、私達が昔出会ったお爺さんと結構似ているのよね。話し方や趣味もほぼ同じなのよね」

「そうなのか!? つーか、お前らの世界にも西田さんっていたのかよ!?」

 想定外の情報に大きく驚嘆する長谷川。アスナの言う通り、西田はかつてSAOで出会った釣り人のお爺さんと容姿や趣味が似ているらしい。故に初めて西田と会った時も、その話で持ちきりになったという。

「いやぁ~。世の中には二、三人は似ている人がいると言いますから、驚きましたよ。むしろ会ってみたいものですよ」

「いやいや、ダメあるよ。西田のおっさん。きっと出会えば、過去と未来の二人が融合して仮面ライダーになって、その後にアンデットになるオチになるネ!」

「神楽ちゃん。流石にそんなこと無いから。色々と混ざっているよ」

「なるほど! これがドッペルゲンガーというものなのですね!」

「ユイちゃんも変な覚え方しなくて良いから!」

 西田自身ももう一人の自分に大きな興味を示すも、神楽やユイからは出会えば危険なことが起きると、あらぬ不安を警告している。荒唐無稽な妄想に、新八は二人に強めのツッコミを加えていた。

 いずれにしても、西田と万事屋の仲は良好なことを長谷川は理解している。

「まぁ、今回俺達が来たのも、西田さんから池の主を釣らないかと聞かされたからだよ。ウチには実際に主を釣り上げた経験者がいるからな」

「あの時はまぐれというか。みんなの協力があったからというか……」

 銀時はついでに、今回万事屋が小釣駅を訪れた理由を明かしていた。先ほど西田が伝えた主の話が万事屋にも伝わっており、彼らは興味本位でこの池に訪れている。

 さらに銀時はキリトを釣りの上級者として、異様に持ち上げていた。彼も元の世界ニシダと会った際、本当に巨大な魚を釣り上げた経験があるのだが……本人は控えめに謙遜している。

「なるほどな。西田さん。アンタのおかげでもあるのか」

「いえいえ。私はあくまでも万事屋さんに勧めただけですから。でも、同じ釣り人として、小釣駅に降りてくれたことは感謝していますよ。願わくは主を釣り上げて、一時でも良いからこの駅がまた注目されると嬉しいですがね」

 西田は万事屋が小釣駅を訪れたことを素直に嬉しく思っていた。と同時に寂しげな表情で、自身の想いをこそっと呟く。

 駅の近くに移住したからこそ、彼はこの小釣駅に愛着が湧いていると理解している。寂れゆく中で、この駅では長生きしてほしいと静かに願っているのだ。

 そんな西田の想いを悟った長谷川は、ある決心を固めていく。

「分かったぜ。だったら俺に任せろ」

「長谷川さん?」

 すると長谷川は釣竿を一旦まき直し、慌ただしくも竿を調節している。突然の長谷川の行動に万事屋側は驚きつつも、西田だけは納得した表情を浮かべていた。

「俺もかつては海の男と言われた男だ。覚えているか、銀さん。俺が海を荒らす獰猛な生物と戦ったことを」

「あぁ。あったな、そんなこと」

「長谷川さんが……?」

 そう。長谷川自身もかつては銀時らとある海の家を訪れた際に、海岸を暴れ回るサメのような宇宙生物と戦い、心を通わせた経験があるのだ。こちらはキリトやアスナにとっては初耳であり、三人はより驚きに満ちた表情を見せている。

 そんな長谷川はかつての経験を糧にしながら、今度は池の主を釣り上げようと心に強く誓っていたのだ。

「池の主と言われたからには、この俺が吊り上げてやるよ。今日この駅にお前らを、西田さんが来たことに意味を持たせる為にもな!」

「ふぅ。どうやらエンジンがやっとかかったようですね」

「あぁ、西田さん。餌借りるぜ」

「えぇ、どうぞ。期待してますよ、長谷川さん」

「おう、任せろ!」

 西田は長谷川の要求をすんなりと受け入れている。西田自身も長谷川の本気が見られることに、大きな期待を寄せていた。

 長谷川の本気を目の当たりにして、万事屋の面々も思ったことを発していく。

「長谷川さんがいつになく本気に……」

「なんだか凛々しく見えますね!」

「これで失敗しなきゃ良いアルけどナ」

 珍しい長谷川のやる気に、素直に驚くキリトやユイ。変わらず皮肉を呟く神楽。

「まぁ、気張らず頑張れよ」

「応援しているからね!」

「頑張ってください、長谷川さん!」

 思わず応援の声をかける銀時、アスナ。新八。

 共通しているのは、皆長谷川に大小はあれど西田同様に期待を寄せていることだった。

 着々と釣竿の準備が完成する中で、長谷川は内心で思っていたことを呟いている。

(小釣駅……俺が幕府にいた頃は、こんな駅とっとと無くなれば良いと思っていた。だが……マダオになってこの認識は変わったよ。この駅に訪れたことで、俺は思わぬ恩人と再会出来た。思わぬ繋がりを知れた。お前はまだまだ駅として終わっていないことも知れた。ここで主を釣り上げて、大物のいる秘境駅だってことを証明してやる! 長谷川泰三、ここ一番の大勝負……負けてたまるかよ!!)

 今まで無下に扱っていた小釣駅に大きな可能性を見出し、それを証明する為にも池の主を釣り上げると心に誓っている。誰にも頼らず一人で。長谷川としての男のプライドを大いに滾らせていた。

 やる気に満ち溢れた長谷川は勢いよく釣り糸を池へと放つ。すると数分も経たないうちに、

「来た!」

「マジアルか!?」

「本当ですか!?」

獲物が釣り糸に引っかかって来た。しかも池に吸い寄せられるくらい大きく作用し、長谷川も力づくで吊り上げようと必死に竿を引っ張っていく。

「くっ……!」

「長谷川さん。手を貸しますよ」

「いいや! ここは俺一人にやらせてくれ!」

 心配した西田が手助けをするも、長谷川は断固拒否していた。今回ばかりは自分一人の力でやり遂げると心に誓ったからである。

 あまりの勢いに万事屋も皆黙って息を飲み、長谷川の行く末を見守っていた。数分間の攻防の中で……ようやく決着が付こうとしている。

「よしっ! 今だ! はぁっぁあ!!」

 タイミングを見て、長谷川は力一杯竿を上に引っ張っていた。すると獲物は勢いよく池から飛び出て、地面に叩きつけられていく。

 長谷川は見事に、大物を釣り上げたのであった。

「釣れた!! ……って、えっ!?」

 と早速、釣り上げた魚を確認しようとしたところ……彼の目に映ったのは想定外の光景である。

「痛ぁ……何するんですか、あっ」

 ぼそぼそと小言を呟き、目を合わせてきたのは……亀のような甲羅を抱えた眼鏡の中年男性だった。

 そう。彼の正体は亀梨。以前銀時らが出会った竜宮城の一員である。乙姫の野望を食い止める為に、共闘した所謂戦友なのだが……銀時ら、もとい長谷川にはロクな思い出しかない。故に銀時、新八、神楽、長谷川の四人は、彼を見た瞬間に「え……」と絶句していた。

 一方でそんな事情を知らないキリト、アスナ、ユイ、西田の四人は、突然現れた亀のような人間に驚きを示している。

「どうも。私はこれで失礼……」

「逃がすかよぉぉぉぉ!!」

「ぶふぉぉぉぉ!!」

 その微妙な空気に耐え切れず、池に戻ろうとした亀梨に対し、長谷川は蹴りを入れる形で彼の行方を阻む。そして怯んだ彼の胸倉を掴んで、感じていたことをありのままに発散するのであった。

「おめぇか、池の主の正体は! とんだ糠喜びさせやがって!! つーか、なんでこの池にいたんだよ!!」

「いや、奥さんがまた産休で暇だったから、しばらく出稼ぎの為に遠征を」

「嘘つけ!! どうせまた盗撮していたんだろ! お前の目で分かるんだよ!!」

 横目を逸らしながら、池にいた理由を伝える亀梨だったが、長谷川は早速嘘と見抜いている。前回と同様、女性の盗撮が目的と断言していた。それを聞いた亀梨が余計に目線を合わせなくなり、一層動揺していることが伺える。長谷川の言った盗撮目的は、強ち間違いではないのかもしれない。

 一方でアスナら三人は、長谷川と話す亀梨に増々困惑示していた。

「だ、誰なの!? あの亀人間は……?」

「アイツは亀梨だな」

「亀梨? 万事屋の知り合いか?」

「知り合いというか……腐れ縁というか」

 キリトが詳しく新八へ聞き直すも、彼の表情はなんとも言えない顔を浮かべている。一言で話すには難しい亀梨との関係性に、新八はどう説明するのか悩んでいたのだ。

 一方で神楽はユイへ手短に亀梨の正体を説明している。

「まぁ、簡単に言うと、女を付け回すスケベ亀アルよ。だからアッスーとユイは近づいちゃダメアルよ」

「分かりました! 所謂不審な犯罪者ってことですね!」

「ちょ、ちょっと! 変な誤解を与えないでくださいよ!」

「うるせぇ! 盗撮していたのは事実だろ!」

 ユイに不審者呼ばわりされて、亀梨は焦って否定していた。そんな彼に長谷川は再度強めもツッコミを入れていく。

 亀梨の突然の登場により、場はやや混乱状態となっていたが、一方で西田は池の主の正体がただの亀人間と知ると、少しだけがっかりした表情を浮かべている。

「やれやれ。池の主はガセでしたか」

「残念だったな。見てみたかったけどよ」

「いえ、見たいものは見れたから良いのですよ」

「見たいもの?」

「長谷川さんの本気です。例え解雇されても、あの人の真の強さは変わっていない。そりゃ棘は無くなって丸くはなりましたが、自分自身の力で掴み取る力は何一つ変わってないと私は思っていますよ」

 それでも彼にとっては、一つだけ良いことがあった。長谷川の本気もとい信念の強さは、何一つ変わっていないことを知れたことである。例え地位や名誉を失っていたとしても、彼の持つ心の強さがあれば、きっと乗り越えられると西田は内心で感じていたのだ。その上で彼の行く末を、今後も静かに見守っていくと決めている。

 西田の長谷川に対する気持ちを知れたことで、キリト、銀時、アスナも思っていたことを呟いていた。

「西田さん。長谷川さんのこと、凄く尊敬しているんだな」

「昔からの仲だから、俺らには分からない良さがあるんじゃないの?」

「古くからの信頼関係って感じで、とても良いと思うけどね」

 いずれにしても、二人の確かな絆を読み取っている。特にキリトとアスナは、元の世界にいたニシダと変わらない情の深さに、思わず温かい気持ちを感じていたのだ。

 こうして池の主の噂は一段落したものの、銀時らは変わらずに釣りを続けようと気持ちを入れ直していく。

「ほら、長谷川さん。再開しますよ。今度はどっちが大きい魚を釣るか、勝負しましょう」

「おう! ついでにこの亀野郎を餌にしようぜ!」

「いや、それだけは勘弁を!! ていうか、私の出番ってこれで終了?」

「当たり前だろうが! お前はオチで十分なんだよ!」

 長谷川は怒りのままに、亀梨を釣りの餌にしようと企てていた。本人は思いっきり拒絶している。

 小釣駅での密やかな釣り大会は、終電まで続いたという……。




 廃止寸前の駅をメインに、マダオと西田さんの情や人生観をお送り致しました。駅ということで、少し趣味全開の話にはなっております笑 因みに本当は万事屋と西田さんは初対面にする予定でしたが、話の都合上知り合いに変更となりました。
 そしてまさかの亀梨が最後の最後の参戦! 予想できた方はほぼいないんじゃないでしょうか笑 
 因みに西田さんの声優さんは、銀魂ではクイズマダオネアの司会役としても出ておりました。









次回予告

山崎「う、噓でしょ……剣魂が始まって、早七年弱。俺のメイン回がやっと次回……!? いや、六十四訓のクラインさんとの回は含まれてないの!? えっ? アレは後半しか出ていないからノーカン。そう……」

山崎「ということで次回。嫌な予感を感じたら、即通報しろ! 閲覧数下がらないでください。お願いします。」
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