そして今週はいよいよ銀魂の新作映画公開日です!
空川町からかぶき町へと、無事当日中に戻ることが出来た万事屋一行。
源外はからくり堂へ帰宅し、たまはスナックお登勢へと戻っていた。
一方で銀時、キリト、新八、アスナ、神楽、ユイ、定春、桂、エリザベス、クラインの九人と一匹は、万事屋へと集結し、ある会議を開こうとしている。
「というわけでやるぞ。第二回他世界対策交流会議~」
緩い口調のまま、銀時は成り行きで会議の始まりを宣言していた。他の仲間達はソファーなり椅子に腰を掛けながら、銀時の方に注目を向けている。
「他世界対策交流会議って……」
「随分と久しぶりのような」
「実に四か月ぶりの会議ですね」
あまりにも久しぶりのちゃんとした会議に、キリトや新八、ユイも驚いていた。今回の一件を通して、新しい情報を多く入手した為、忘れないうちに振り返ろうと銀時は考えている。
皆も彼の意見に賛同していたが……前回の時と比べると、シリカや妙らと言った他の仲間達はこの場には来ていなかった。
「って、銀ちゃん。シッリーや姉御達は呼ばなくて良いアルか?」
「急に連絡したって来ないだろ。なので今回は不参加だ。まぁ、本当は投稿者が、人数多くなると把握しきれなくなるから、あえて呼ばなかっただけだけどな」
「いや、そっちが本音でしょうが」
てっきり銀時が妙らに気を遣ったかと思いきや、ただの製作側の都合である。大人の事情を遠慮なく声にする銀時に、新八はボソッとツッコミを入れていた。
なおいつものことのように、アスナやキリトらは銀時のメタ発言を理解せずに、そのままスルーしている。
「でも、今回ばかりは仕方ないわよ。急に始まった一件でもあったし」
「話がまとまってから、みんなに伝える方向で良いんじゃないか?」
「その方が分かりやすいと思いますよ!」
ユイもアスナらの意見に賛成していた。不参加の仲間達には、後で各自に教えることで皆意見を一致させている。
「同感だ。銀時よ、済まぬが引き続き司会をお願い出来るか」
「こっちから色々と情報を伝えるからよ」
[任せた!]
「はいはい、分かったよ」
桂、クライン、エリザベスの三人も、意欲的に会議へ参加していた。彼らの積極性に面倒さを感じながらも、銀時は事前に用意したホワイトボードを手前に置いて、仲間達からの情報をまとめることにする。
なお定春も近くにいたが、特に声は出しておらず、仲間達の会議をずっと見守っているだけであった。
「ほんじゃ折角だし、お前達がこの世界へ来たきっかけの事件からまとめてみるか」
「きっかけと言うと、最初にアンカーと会った時?」
「だな。一から整理したいから頼めるか?」
最初に銀時が話題に挙げたのは、全てのきっかけとも言える出来事である。キリトらがこの銀魂の世界に来た経緯について、再度当事者本人に説明を求めていた。
キリトはすぐに忘れもしない出来事を振り返っていく。
「あぁ。あの時は確か2026年の四月。俺達がALOで待ち合わせしていた時に、突然周りの時間が止まって、アンカーが俺達の前に姿を現したんだ。そこで彼女は槍からブラックホールを作り出して、俺やアスナ、ユイをこの世界へと飛ばしたんだ」
「ついでに言うと、俺やキリトの仲間達は、シャドームーンによってこの世界へと来たぞ」
クラインもきっかけについて補足を加えている。アンカーとシャドームーン。どちらもサイコギルドによる仕業だと今回の一件で判明し、彼らがこの銀魂の世界へ送った件についてもようやく明かされていたのだ。
「それで、お前らがこの世界へ送り飛ばされた理由は、ノロイドって化け物を復活させる為だったんだろ?」
「そうね。アンカーさんの話だと、私達の世界に新しい世界線を作ることが、ノロイドの復活に繋がるとも言っていたわね。そしてノロイドを使って、SAOが存在する全ての並行世界を滅ぼすとも明言していたわよ」
「……物騒で野蛮な計画だな。こいつらをどうにかしない限りは、安心して元の世界へ戻れないではないか」
銀時からの問いに、アスナは鮮明に返答している。彼女の説明を聞き、桂は神妙な表情で事を呟いていた。
サイコギルドが計画するノロイドの復活と、SAOの存在する並行世界の消滅は、彼らにも大きな衝撃を与えている。ノロイドと言う不確かな存在を上手く具現化出来なかった一行だが、一筋縄ではいかない相手なのは共通して一致していた。数多の世界を滅ぼしかねない魔物の存在に、皆頭を抱えて事の重大さを重く受け止めている。
「薄々感じていましたけど、想像以上にヤバい組織ですよね」
「その為だけにアッスー達を私達の世界に転移させたとか、無茶苦茶にも程がアルよ」
新八や神楽もサイコギルドの計画を大きな脅威と判断していた。
一方で銀時はホワイトボードに、自分達のいる世界とキリト達のいた世界を追記。サイコギルドの介入により、キリト達のいた世界に二つの世界線が生まれたことを分かりやすくまとめていた。
「つまりは、サイコギルドが介入したことで、キリト達が本来辿る世界線と俺達の世界に来ちまった世界線が出来ちまったわけだ」
「そうだな。それを人為的に作ることが、時空のズレを生んで、ノロイドの復活に繋がると言っていたな」
「ということは、復活は既に目と鼻の先まで来ているとも考えられるな」
銀時の説明に対し、キリトは頷きながら補足を加えている。現在のキリト達はサイコギルドにより、本来辿ることの無かった世界線だと認識し、自分達の未来がまったく違うものになることも理解していた。桂はサイコギルドの思惑通りだと危惧していたが。
そんな中で、クラインにはある疑問が思い浮かんでいる。
「えっとつまり……よくあるSFものみたいに、一つの未来が消滅するんじゃなくて、枝分かれした未来が無数に生まれるって認識で合っているよな?」
[合っているぞ。ギャルゲーの選択肢みたいなもんだ]
「おっ! 分かりやすいなエリザベス!」
彼の疑問にエリザベスが分かりやすく返答した。パラレルワールドを交えた話の為、少しばかりクラインは難解に感じた様子である。その為、ゲームでの例えにすんなりと疑問が解消されていた。
「ギャルゲーかはさておき、多くの選択肢の違いが重なり合って、色んな並行世界があることは事実だよな」
「あっ、キッリ―! ってことは、夢の世界で出会った別の世界のキッリ―も、その並行世界の住人ってことじゃないアルか?」
すると神楽は、キリトにサイコギルド絡みで起きたある一件を話している。それはキリトらがこの世界へ来てから、初めて対処した大きな事件であった。
「並行世界? 銀時よ。お前達万事屋は、そのような別世界の自分達と既に遭遇していたというのか?」
桂の問いに、銀時、アスナ、ユイの三人が返答している。
「あぁ、そうだよ。確か千佐の夢の中で、彼女を悪夢から解放する為に戦った出来事だな」
「そうね。桂さんやクラインさん達には話していなかったけど、ある悪夢にうなされて目覚めない女の子がいて、その夢の中に源外さんのカラクリで侵入。そこで別の世界線の自分達と出会ったのよ」
「そこでは、弱気で引っ込み思案のパパ。勇ましく破天荒な性格のママ。いつもよりも数倍かっこいい銀時さんがいましたね!」
「おい、ユイ。一言余計だぞ」
ユイの表現の仕方には、銀時も小声でツッコミを入れていた。
そんなことはさておき、銀時ら万事屋が桂達に話したのは、千佐の一件。サイコギルドのある秘密を知った少女早見千佐が、サイコギルドの呼び出した刺客であるショッカー首領に体を乗っ取られ、延々と眠りに付いていたのだ。そんな彼女を救い出すべく夢の世界へ侵入した万事屋一行は、別の世界から来たまったく性格の異なる自分達と出会う。彼らもまたサイコギルドにより、運命を狂わされた被害者だったのだ。
なおこの一件は、桂、エリザベス、クラインにとっては初耳な情報である。
[なるほど、そんなことが起きていたとは]
「あぁ。確かその世界線の俺やアスナは、SAOが販売延期した世界線から来ていたな」
「重大な欠陥が見つかって、販売直前に延期と予告されていたみたいね」
「ってことはその世界線なら、普通にゲームを楽しめていたかもしれないってことか」
キリトやアスナは、自分達の出会った別の世界の自分から聞いた情報を話していた。その世界線ではSAOの販売が延期されており、別の世界の自分達もSAOには大した関心を持っていないように感じている。その為、自分達が経験したデスゲームのような事件は起きないと考えていた。
クラインも別の世界の出来事には興味を寄せる中、ふとあることを閃いている。
「おい、ちょっと待て! その世界線がアリなら、俺が望む世界線もあるかもしれないってことだよな!?」
「世界線?」
「クラの理想って何アルか?」
そう新八と神楽が聞き返すと、クラインは自信満々に返答していた。
「そりゃ運命の相手と出会うことだよ! キリトとアスナみたく、互いに切磋琢磨して共に戦うベストパートナーと物語を紡ぐ。そんな世界線があるかもしれないだろ!」
「運命の相手って……」
そう。クラインの理想の相手が見つかっている世界線である。彼もまたキリトとアスナの関係性に憧れており、二人のように固い絆を結べる異性の相手を求めていたのだ。妄想及び自分の理想像も入り混じっているが、何が起きているか分からない並行世界の為、その可能性も否定出来ないのは何ともむず痒い点である。
万事屋一行も彼の話を受け流そうとした時だった。彼らの脳内にある光景が思い浮かんでいる。
「いや、待て。それって……」
「銀さん? まさか……!?」
銀時の一言をきっかけに、クラインとエリザベスを除く七人が、とある写真を思い出していた。
それは、以前に源外から借りた過去や未来の一場面を移すことが出来るカメラ。そのカメラでクラインを写すと、桂と女装したクラインが結ばれている写真が現像されたのである。無論クラインへ見られる前に破棄し、本人はこのことを何も知らないのだが……銀特や桂らは目にしている為、クラインの一言をきっかけに例の写真を思い出してしまったのだ。
(((((((その世界線、既にある気が……)))))))
七人は渋い表情で、どうにか気を紛らわせないか黙り込んでしまう。この異様な光景に、クラインは思わず不信感を覚えている。
「ん? なんでみんな気まずい顔してんだ?」
[知るか]
エリザベスに訳を聞くも、返って来たのは辛辣な返答。結局は分からずじまいで、本人に悟られることは無かった。
と話は逸れてしまったが、話題をサイコギルドもとい千佐の一件に戻していく。
「それで千佐さんの夢の中では、ある実験をしていました。それは昭和という時代の記憶を集めること。サイコギルドは各時代に存在した怪人達の記憶を集め、それを戦力として利用していましたね」
「そこで出会ったショッカー首領も、サイコギルドの最初の刺客として呼ばれて、夢の中で好き放題していたみたいだけどな」
ユイやキリトも、この一件で起きたことをそのまま話題に挙げている。結論から言うとサイコギルドの戦力を増やすことが主目的であり、惜しくもその実験は成功していた。今回の一件でもアンカーが怪人を召喚出来たのは、千佐の一件での実験成功が関係していると皆が推測している。
さらにアスナは、今回アンカーにより明かされたもう一つの目的も話題に挙げていた。
「その夢の中の出来事も、並行世界の私達の未来を変える実験をしていたみたいだし、バラバラの作戦に見えて、実は一つに繋がっているのも恐ろしい話よね……」
「利用された別の世界のアッスー達が可哀そうアル……」
それはサイコギルドによる別の実験である。実はキリト達を銀魂の世界へ送っても、本来の未来は変えることが出来なかったと聞いており、大掛かりにも別の時間軸のキリトやアスナらを巻き込んで実験し、その世界線の未来を変えることに成功していたのだ。巻き込まれたもう一人のアスナ達には、神楽も思わず同情してしまう。
「そうか……そういう事件があったのか」
「はい。ただショッカー首領も倒して、千佐さんも眠りから目覚めましたし、もう一人の銀さん達も元の世界へ無事に戻れたので、事件は全て解決していますよ」
クラインも深刻そうな表情で話を聞き入っていた。まさか自分達の知らない間に、キリト達がサイコギルド絡みの一件に首を突っ込んでいたとは知らなかった為である。後の祭りと感じていたものの、新八から事件が解決したと聞いた時には少しだけ安堵していた。
銀時も千佐の一件を改めてホワイトボードに書き記す中、桂は銀時にある質問を投げかけていく。
「なぁ、銀時よ。二つほど疑問点がある」
「なんだよ、ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。いやそれよりも、サイコギルドがなぜ記憶を集めているのか、ずっと気がかりだったんだ。何か知ってはいないのか?」
桂は最初に、サイコギルドが記憶集めへと奔走することに疑問を覚えていた。記憶を集めて怪人達を呼びだす手法には、どこかしっくりとこない様子である。
「記憶集めですか……」
「確かアンカーからは、ノロイド復活の為の必要な供物とか言っていたが」
「それ以上のことは何も聞いていないわね」
アンカーと対話したキリトやアスナも、大雑把なことしか聞いていなかった。ノロイド関連以外の理由付けとなると、皆口を閉じて考え込んでしまったが……ここで銀時はある閃きが思い浮かぶ。
「なぁ、思ったんだけどよ、サイコギルドって結局一人なんじゃねぇのか?」
「一人? どういうことアルか、銀ちゃん?」
「だから、そのまんまの意味だよ。世界を滅ぼすほどの化け物を蘇らせるには、どうも回りくどかったり、慎重な行動ばかりしているように思えないか?」
「確かにそう言われると……」
「ギルドと言う名前に騙されていたが、結局はシャドームーンの単独犯。アンカーもエイジやジョニー同様に、使いやすい駒ってことじゃないのか?」
「つまり銀時さんは、サイコギルドはシャドームーンによるワンマン体制だから、戦力増強の為に、記憶を集めているってことを言いたいんですか?」
「そうそう。一つ一つの作戦を失敗できないから、こうもスローペースで手順を踏んでいるんじゃないか?」
それはサイコギルドが複数犯でなく、単独犯による犯行だという仮説である。現状サイコギルドはシャドームーンとアンカーの二人しか判明しておらず、他の協力者は皆外部からの協力者や、エイジや金本のように組織がスカウトした者ばかりであった。銀時はサイコギルドがこの二人しかいないと断定し、アンカー自体もエイジ同様組織の駒に過ぎないと推測している。少数の態勢だからこそ、記憶を利用した怪人の生成を主軸にしているとも捉えていた。
「単独犯か……」
「そう言われると納得がいくな」
「確かに銀時さんの仮説には一理ありますね」
「アンカーさんも使い捨ての駒ってことなのかしら……?」
彼の意見には、キリト、クライン、ユイ、アスナも納得している。
なお、新八や神楽、エリザベスや桂も頷きながら理解していた。
「うむ。俺もそう思っていたところだ。その上でもう一つは、そのシャドームーンについてだな」
[シャドームーン。確かに謎ばかりの怪人だな]
「そうだな。そもそもシャドームーンとは一体なんだ? アイツももしかすると、別の世界の怪人ではないのか?」
桂の一言に、エリザベスはプラカードを掲げつつ相槌を打つ。次に桂が話題に挙げたのは、サイコギルドの謎を握る重要人物シャドームーンについてである。
「確かに仮面ライダーっぽい見た目はしていましたね」
「あの怪人も誰かが変身しているダークライダーなのでしょうか?」
新八やユイも、桂の疑問を聞き改めてシャドームーンについて考え直していた。よくよく考えると、シャドームーンも仮面ライダーと同じような見た目をしており、彼らが何度も相対したダークライダーの一体とも解釈している。
皆が改めてシャドームーンについて考え直す中、机に置いていたアルヴドライバーからある仲間が再び出現していた。
「スマスマ!」
「えっ!? この子は……」
「スマホーン!?」
ベルトから飛び出してきたのは、人口生命体ケミーの一体であるスマホーン。数時間前にユナがあらゆる記憶を映し出す為に召喚し、銀時らは彼女によって過去や未来、さらには別の世界の仮面ライダー達の記憶を閲覧していたのだ。
なお、桂とエリザベス、クラインはスマホーンとは初めての対面である。
「おいおい。なんだこの生物?」
「まさかの新手のポケモ〇か!?」
「いや、ちげーよ」
桂は真面目にも別の作品のキャラクターと察するも、銀時からツッコミが入ってしまう。桂だけは〇ケモンやデジモ〇と言った生物と勘違いしている様子である。
そんなことは気にせずに、ユイは突然現れたスマホーンに話しかけていく。
「どうしたんですか、スマホーンさん?」
「スマ!」
するとスマホーンは目から映像を映し出して、銀時らにある場面を見せていた。
「仮面ライダーBLACK!」
「勝負だ! ブラックサン!」
それはシャドームーンが、真っ黒い仮面ライダーと対峙している場面である。一対一の勝負であり、互いに一歩も引かない激闘を繰り広げていた。
「あっ、あれは!」
「シャドームーンアルか!?」
「そしてあの仮面ライダーは、BLACK?」
新八、神楽、アスナらは、突然映し出されたシャドームーンの戦いの一場面に、驚きを示している。どういう状況なのか分からず疑問を感じる中で、スマホーンの画面にある文字が起こされていく。それをユイが読み上げている。
「えっと……シャドームーン。昭和の時代に活躍した戦士、仮面ライダーBLACKの世界に存在した戦士。別名影の王子。BLACKこと南光太郎の親友である秋月信彦が暗黒結社ゴルゴムに改造手術された姿で、世紀王と呼ばれる支配者の座を巡り、幾度も仮面ライダーBLACKを追い詰めたと書いております」
「それが本来のシャドームーンの情報ですか……」
新たに明かされたシャドームーンの情報を聞き、皆興味深そうに頷いていた。その正体が仮面ライダーBLACKの親友が改造された姿と知り、何とも言えない悲哀さを感じ取る。
「かけがえのない友が、改造された挙句に敵になるとは……」
[悲しすぎる運命だな]
桂やエリザベスは敵対することになったBLACKに思わず同情していた。
シャドームーンの意外な情報が明かされる中、キリトはこの情報の出所が少し気になっている。
「それにしても、なんでスマホーンがこのことを知っているんだ?」
「ひょっとして、ユナが事前に集めていたんじゃないか? 平成、令和に続いて、昭和の記憶を」
「サイコギルドの隙を見て、密かに集めていたってことアルか?」
「スマスマ!」
銀時や神楽が考えた思い付きの推測に、スマホーンは共感するように強く鳴き声を上げていた。やはり二人の言う通り、ユナがシャドームーンの目を盗みながら、密かに令和の記憶に続き、昭和の記憶を集めていたのかもしれない。万事屋にシャドームーンの情報を伝えるために。
「そういえばあの時に力を貸してくれた令和の仮面ライダー達も、全ての仮面ライダーの力を使えるようになったと言っていたわよね」
「ということは、次にライダーの力を借りるとすれば、昭和の仮面ライダーの技や武器を使えるんじゃないですか?」
さらにアスナや新八は、一連の出来事からライダージェネレーションメモリが、平成や令和に続き、昭和の仮面ライダーの力も得ていると予測を立てている。あくまでもただの仮説だが、もし合っているならば、頼もしいことにこの上ないと感じていた。
「ユナさんならきっと、そう考えると思いますよ」
ユイもユナの想いに同調して、彼女なりの気遣いだと感じ取っている。優しく微笑みながら、心の中でも感謝を伝えていた。
皆も同じくユナへ感謝を覚える中で、スマホーンから映し出された映像が別のものに切り替わっていく。
「とどめだ、RX!」
「俺は……お前を許さん!」
次に流れてきた映像にもシャドームーンは映っているが、戦っている相手がBLACKとはまた異なるライダーであった。シャドームーンの武器も二本の剣に切り替わっており、僅かな変化に皆が注目を始めている。
「ん? 次はなんだ?」
「シャドームーンとBLACK?」
「ユイ。何か説明は無いのか?」
キリトがユイに聞くと、スマホーンの画面にまた新たな文字が起こされていた。
「あっ、あります! 仮面ライダーBLACKとの決着後に消息を絶ったが、BLACKが新たな侵略者クライシス帝国との戦いで仮面ライダーBLACKRXへ進化し、その戦いの最中に姿を現す。かつての記憶を失い、僅かに残ったBLACKへの憎しみや闘争心のままに再度戦いを繰り広げ、最終的にはBLACKRXに敗れ、人質となった子供達を庇ってその命を落としたと書いてあります……」
「えっ!? じゃ、死んでるってことか!?」
「そういうことだと思います……」
書かれていたのはBLACKの進化とシャドームーンの末路。今流れている映像は以前の映像より数年経ったものと記載され、なんとシャドームーンとの決着すら丁寧に紹介していた。既に命を落としていると知り、一行の間にも衝撃が走っている。
「最期は誰かを守って命を落としたとは。その一瞬だけは、人の心を取り戻したのかもしれないな」
「そんなのあんまりだぜ……」
桂やクラインも思ったことを発していた。身を挺して力尽きた点は、せめてもの救いがあったと二人は解釈している。
銀時やキリトらもシャドームーンの末路には、何とも言えない気持ちを感じている中で、ユイはスマホーンの画面に起こされたさらなる文字を読み上げていた。
「ただ、BLACKの世界以外にも複数の別個体が出現し、これまでにも仮面ライダーディケイド、光戦隊マスクマン、特命戦隊ゴーバスターズ、獣電戦隊キョウリュウジャーと交戦。ですが、どれも本人では無いと書いてありますね」
「多くのヒーローと戦ってきたってことアルナ」
「つまり、俺達が今まで会ってきたシャドームーンは、蘇生されたオリジナルか別の世界のまったくの別人かってところだよな」
「もし前者だったら、戦うのに気が引けちゃうわね……」
どうやら別の世界にもシャドームーンは数多く存在するらしく、仮面ライダーのみならず、所謂スーパー戦隊と呼ばれる五色の戦士達とも戦いを繰り広げたと記載されている。これらの記録から、サイコギルドに属するシャドームーンも別の世界の個体と考えられなくない。キリトやアスナもその可能性を感じており、むしろBLACK及びRXの世界で暗躍したシャドームーンとは思いたくないと感じていた。
二人の複雑な表情を察して共感する一行だったが、ここで銀時はある疑問を声に発する。
「つーか、思ったけどよ、なんでそもそもシャドームーンなんだよ。アイツじゃなきゃいけない理由があるのか?」
「かもしれないな。シャドームーンがノロイドの情報を知りアンカーと接触。二人でサイコギルドを結成したとも言える」
「でも、どこかの世界線のシャドームーンだったとしても、なんでキリトさん達の世界を滅ぼそうとするんですか? アンカーさんの証言通りなら、SAOそのものに大きな憎しみを抱いている様子ですけど」
彼の疑問に桂や新八が補足や返答を行っていた。
ここで疑問に上がったのは、シャドームーンの行動理由。そもそもがSAOが存在する全ての並行世界の滅亡を掲げるサイコギルドにとって、今もなお単独で行動を取っているシャドームーンに、銀時らは一種の不可思議さを感じ取っていた。
SAOに明確な憎しみがあるアンカーはともかく、シャドームーンがSAOと関係あるかは不明であり、ユイら一行は増々謎に感じている。
「どういうことなんでしょうか……」
「ひょっとするとよ、俺達の世界にシャドームーンが既にいたんじゃないのか?」
「でも、そんな噂一つも聞いたこと無いわよ」
「なんかこいつの存在だけ、謎が多くて頭が痛くなるアル!」
クラインが思い付きで予想を立てるも、アスナからは否定的な返答が返って来た。BLACKの世界の個体説、まったく異なる世界の別個体説、名前も姿も酷似しているSAOの現実世界のいた個体説など、可能な限りで多くの説を挙げたものの、どれも推測の域を出ないものばかりである。
万事屋一行は、シャドームーンの正体の考察で大いに行き詰ってしまった。
「このシャドームーンの情報だけは、まだ不足している点が多いな」
「そうだな。おい、一旦シャドームーンの件は区切るぞ。別の話題で情報をまとめようじゃねぇか」
キリトの複雑そうな表情に、銀時も思わず同意している。これ以上考えても時間の無駄と二人は感じており、一旦は別の話題にして、会議を進めることにした。
サイコギルドの目的、シャドームーンの行動理由が話題に上がる中、続いては今回起きた件とアンカーの素性や目的について、一行は話し合っていく。
そして時を同じくして、シャドームーンはたった一人で、ある人物と接触していた。
「未来を変えたければ、これを使ってお前の未来を変えてみせろ」
そう言って目の前にいる男に、一本の変身ベルトを渡している。
「これはジリオンドライバー。国家レベルのエネルギー量を単体で使用できるアイテムだ。サイコギルドに入ったからには、お前の未来を変えることを約束しよう。いいな?」
シャドームーンの説明通り、男は仮面ライダーリガドに変身するアイテム、ジリオンドライバーを受け取っていた。近未来的な外見に、非科学的な説明を聞くと、男は薄ら笑いを浮かべている。これならば、自分の運命を変えられると。自らの目的を果たすことすら、夢ではないと……!
今、新たな運命が動き出そうとしていた。
おまけ
「あっ! 銀ちゃん!」
「ん? どうした神楽?」
「1の世界と2の世界じゃ、読者が混乱するアル! 別の名称で書くヨロシ!」
「いや、混乱しないよ!? そもそもそれが通じるの、あのバラエティ番組見ている人だけだからね!?」
神楽が指摘したのは、世界の名称についてである。銀時はキリトのいた世界を「1の世界」、自分達のいる世界を「2の世界」と呼称しており、神楽はあるバラエティ番組の内容に既視感を覚えて、銀時へ注意していたのだ。
傍から見ればどうでもいいような内容に新八はツッコミを入れていたが、
「おっと俺としたことが。1-1の世界と1-2の世界にするか」
「どっちでも良いわ!! つーかその展開、つい最近本家でもやっていたよ! スーパーマリ〇ブラザーズって、ネタにされていたよ!」
銀時は何故か神楽の指摘を真に受けている。慌てて訂正するも余計に分かりづらくなり、新八からはさらにツッコミを入れていた。
そのグダグダさには、桂も苦言を呈している。
「貴様ら、見苦しいぞ。話が進んでいないではないか」
「すいません、桂さん! 早く元に戻しますので……」
「1-1や1-2では、安直すぎて個性がなかろう! ここは1-1-4106、1-0-1044と、数字を足すべきではないのか!」
「いやどうでも良いわ!! 余計に分かりづらくなっているでしょうが!! つーか、この数字ボケベル用の暗号じゃないですか! 多分読者分かってねぇよ!!」
ペンを持ち元の数字に戻すと思いきや、桂は謎のこだわりを見せて、新八を余計に困惑させていた。ポケベル用の暗号を用いており、もはや数字を使った大喜利大会と化している。明らかに本筋から話題が大きくズレている。
「ポケベルか~。懐かしい響きだな」
[てか、お前だけでも共感しているの]
なお、桂の考えに共感しているのはクラインのみであった。エリザベスもプラカードを掲げて、彼に辛辣なツッコミを投げかけていく。
「ちょっとみんな! 世界の名称なんてどうでも良いから、早く会議に戻ってよ!」
「どこでつまずいているんだ……」
アスナやキリトも銀時らのグダグダに付いていけず、苦い表情で文句を発している。たかが名称如きで時間が潰れるのも勿体ないので、ユイが率先して事態の収拾に動いていた。
世界の名称を決める際に、没となったシーンです。よりややこしくなったので、本編から除外致しました。
今回は総集編のような体で、サイコギルドやこれまでに起こったことについて振り返る回でした。色々と新たなことが見えてきたと思います。
その中でも注目されたのは、シャドームーンの存在。彼がなぜサイコギルドを率いているのか、不思議に思っている方もいると思います。一応理由があるのですが……それが明かされるのはまだまだ先の予定ですね。
そんなシャドームーン本人は、SAOの世界である人物と接触し、ジリオンドライバーを渡します。世界線が変わった今、一体その男は何をしでかすのか。この展開もまだ先になりそうですね。
そして次回は、対策会議の後半戦。サイコギルドの最重要人物であるアンカーに迫っていきます。
次回予告
新八「山崎さんの情報だと、ダークライダーのベルトを複数本、サイコギルドに譲渡したと聞いていますね」
キリト「その結果が、エイジやジョニーにダークライダーのベルトを渡したことに繋がるのか」
桂「不思議に思ったのだが、何故俺達の世界に介入してこないのだ?」
銀時「いや、きっとあるはずだ。俺達の世界に転移させた理由が……」
まだまだ続く会議……そして、アンカーにも異変が。
刀唱時代篇十一 もう二度と戻らない瞬間