本クロスオーバー作品はシリーズ未見の方にでも、極力楽しめるように製作しておりますが、「銀魂」、「ソードアート・オンライン」、「ガンゲイル・オンライン」、「仮面ライダーギーツ」、「仮面ライダー電王」、「仮面ライダーBLACKRX」を視聴して頂くと、より作品を楽しめるようになります。
どうぞ最後までご覧ください。
第百五十五訓 世の中には似ている奴が二、三人もいるらしい
それは地球より遠く離れた星、GGO星で起きた出来事である。銃と鉄の星と呼ばれるGGO星は、住人の多くが自慢の銃を装備し、毎月開催されるサバイバルゲーム大会、バレットオブバレットを向けて、日々その腕を磨いているのだ。
そんなGGO星の中心都市である架創というエリアで、最近ある妙な事件が起きている。それは情報メディア媒体でも日々取り上げられていた。
「さぁ、続いてはこちらのニュースです。GGO星に数週間前から落ちてきた謎の欠片。別名流星の欠片と呼ばれる破片ですが、こちらを手にした者が連続して襲撃に遭い、重傷を負ったり殺害されるといった事件が相次いでいます。中には行方不明となった者もいて、いずれにしても危険物資と判断し、政府や警察はその全貌の調査を急いでおります」
とあるニュース番組では、猫耳を付けた二十代の女性が、直近で話題になったことを伝えている。どうやら流星の欠片と呼ばれるアイテムが、傷害事件や誘拐事件にも発展し、数々のトラブルに繋がるとして注意を呼び掛けていた。
なおニュース番組には女性の他にも、央国星の皇子であるハタ皇子。そして多くのサバイバルゲームで優勝歴のある青髪の男性プレイヤー、ゼクシードもコメンテーターとして呼ばれている。
「これについて、ハタ皇子はどう見ておりますか?」
「いやぁ~、物騒な事件が起きて余は悲しいのう。やっぱり皆、ラブアンドピースを求めるべきじゃ」
「ハハ。ハタ皇子さんは分かってないな」
「何を? グラサン風情が、余に小生意気なことを言うのか?」
「いやいや、あの流星の欠片は高価な鉱石として将来化けると言われてるんですよ。なんたって、この俺も持っているんですから」
「ハァ!?」
ハタ皇子を見下したような態度をとるゼクシードは、懐からあるアイテムを取り出していた。その正体はまごうこと無き、流星の欠片である。彼もまた偶然にも、この欠片を手にいたのだ。自信満々なゼクシードの表情に対し、ハタ皇子は想定外な出来事に驚嘆とした表情を見せている。
「おっと、これは! どうやらゼクシードさんも、流星の欠片を手にしていた様子です。ですが、怖くないんでしょうか?」
「この俺に怖いものなんて、ありませんよ。なんせ俺はバレットオブバレット、年間総合成績ベストスリーなんですから。俺以外が持っていたらご愁傷様だが、俺の腕があればどんなことが起きようと返り討ち……」
「てんめぇ、よこせ!!」
「ブフォ!?」
と意気揚々と豪語したゼクシードだったが、隣にいたハタ皇子からはシンプルに殴られてしまう。そして倒れた後も、ハタ皇子は次々とゼクシードを殴り続ける。
「はぁ!? な、何するんだ! アンタ、ラブアンドピースが大事じゃないのか!?」
「うるせぇ! 価値があるなら話は別じゃ! そいつを余によこせ!」
「おっと! 急に乱闘が始まってしまいました。見苦しいので、一旦コマーシャルです!」
司会の女性は密かに緊急事態と察して、咄嗟にCMへ切り替えていく。番組のスタッフと総出で二人の仲介を行っていた。
そして……番組の収録が終わり、ゼクシードはテレビ局を跡にしている。
「あぁ……あの皇子、言ってることとやってることが無茶苦茶だろ。もう二度と一緒に仕事するかよ」
彼は未だにハタ皇子に殴られた個所を気にしており、その痛みを気にしていた。こんなことになるなら、流星の欠片なんて見せなければ良かったと思っている。
「でもまぁ、流星の欠片が無事なだけでも良しとするか」
それでも流星の欠片だけは守り切れたことには一安心していた。たまたま拾って、価値があると分かった今こそ、大切に保管すると決めている。
そう心の中で決意した時であった。
「お前……流星の欠片を持っているな」
ゼクシードの背後から、自分に話しかける声が聞こえてくる。ふと振り返ると、そこには黒いフードを被った怪しげな男が立っていた。
「あん? 誰だ、お前?」
「死神とでも呼んでおこうか」
「死神ね……もしかしてアンタが傷害事件の犯人?」
するとフードの男が、無言のまま頷く。不気味な雰囲気を感じ取ったものの、ゼクシードは怯まず強気に出てきた。
「へぇ~。言っておくけど、俺はそんじょそこらの凡人とは違う。なんたってこの星じゃ名の知れたガンナーだから、それでもやるって言うのかい?」
そのまま彼は、装備していた拳銃を男に差し向けていく。所謂けん制の構えで、隙あらば銃撃しようとも考えている。
するとフードの男も、対抗してある行動を取っていた。
「お前にはこれで十分だ……」
「何?」
〈デザイアドライバー!〉
男は懐からあるバックルを取り出す。それを腰に巻いて、ある準備を進めていた。
「アンタ……一体何者だ?」
「俺の名はデスガン……いや、サイコギルドより新たな力を得た戦士。仮面ライダーデスガンと名付けておこう!」
「仮面……ライダー?」
困惑するゼクシードに構うことなく、デスガンを名乗る男はデザイアドライバーに大型のバックルを装填させる。
〈セット!〉
「変身!」
男はバックルに備え付けられたレバーをひねり、バックル内に内包された特殊な能力を上半身に纏っていた。
〈スカル! レディ……ファイト!〉
男の姿はみるみるうちに黒い特殊なスーツに包まれて、顔面は人間の骨が剥き出しになった恐ろしい仮面が形成される。ボロボロのマントを背中に羽織り、上半身は骨や外骨格を模した灰色のアーマーが装着された。対し下半身は依然として黒く何も装着されていない。
そう。男の正体は、別の世界でかつて死神や暗殺者として恐れられたプレイヤーキラー、新川昌一だ。彼はサイコギルドを経由して、デザイアドライバーと独自のコアIDを受け取っている。オリジナルである仮面ライダーギーツの世界には存在していないコアIDを使用し、まったく新しいライダー、仮面ライダーデスガンへと彼は変貌していたのだ。
〈スカルシューター40X!〉
デスガンへの変身が完了すると、彼の手元には瞬時に専用の片手銃が装備される。原典のギーツも愛用していた片手銃、マグナムシューター40Xに酷似した銃、スカルシューター40Xをデスガンは手に強く握りしめていく。
「こいつで仕留めてやる……!」
「何を!」
デスガンがゼクシードに放った一発の弾丸が地面に被弾したことをきっかけに、二人の激しい交戦が始まってしまう。
〈ライフル!〉
「はぁ!」
「って、二段構えか!」
デスガンは片手銃のまま攻撃を仕掛けていたが、素早い身のこなしで応戦するゼクシードに嫌気がさして、スカルシューター40Xを長銃型に変化させたライフルモードに変更。より強力な弾丸を乱射し、ゼクシードを一方的に追い詰めようとする。
一方でゼクシードはこれまでの戦闘経験を糧に、回避と正確な射撃を繰り返していた。致命的な被弾を受けずに、デスガンの猛攻を己の実力だけで乗り切っている。
「そこだ!」
そして彼は隙を見つけて、デスガンの装備したベルトに渾身の一発を打ち当てようとしたが、
「甘い!」
〈リボルブオン!〉
その行動をデスガンは既に見切っていた。瞬時に弾丸を避けた後、彼はベルトを操作して、上下に素早くひっくり返している。
上半身と下半身の能力を入れ替える特殊能力のリボルブオンを発動。これによりデスガンの上半身に装備された骨の装甲が下半身に移動。代わりに上半身は何の装備も持たずに、羽織っていたマントも消えていた。
「はぁぁ!」
「ぐはぁ!?」
急な姿の変化に困惑する暇もなく、ゼクシードはデスガンの不意打ちとも言える蹴りを受けてしまう。近くの建物の外壁に叩きつけられると、デスガンはさらなる一手を繰り出す。
「次はこれだ!」
〈セット! アームドウォーター!〉
突如として取り出した水色の小型バックルを取り出し、それを空いたベルトの左側のスロットに装填。バックルに付いていた蛇口のようなレバーを捻ると、上半身の右手に細長い蛇口型の武器であるレイズウォーターが装備された。二つのバックルを装備したデュアルオン形態となり、アームドウォータースカルへと姿を変える。
「行け!」
デスガンはゼクシードに狙いを定めて、レイズウォーターから大量の水流を放出。水圧を上げて、相手の動きを封じる一手を繰り出していた。
「なんだと!? 銃から水が!?」
奇想天外な技を繰り出すデスガンの多彩さに、ゼクシードは戸惑いを抑えきれていない。大量の水を浴びながら強制的に怯まされてしまうが……諦めずにまだデスガンへ歯向かおうとしていた。
「トッププレイヤーを舐めんじゃねぇぇぇ!!」
自分を鼓舞するような大きい声を上げると共に、自身に向けられていた水流を振り切り、再度デスガンへ向けて拳銃を乱射していく。トッププレイヤーとしての意地を振り絞り、彼に負けじと奮闘している。
だがしかし、デスガンもそう簡単に隙を見せない。
〈セット! アームドシールド!〉
ゼクシードの猛攻を予見し、彼は小型バックルを別のものに入れ替えていた。藍色のシールドバックルを代わりに装填し、盾型のボタンを押すと、今度は右腕に三角の形をしたレイズシールドが装備。盾を主軸に使うアームドシールドスカルに変化した。
「はぁ!」
「今度は盾か!? くっ!?」
デスガンはレイズシールドを前方に出して、ゼクシードから放たれた弾丸を弾き続ける。さらには盾で打撃攻撃を繰り出して、彼を再度吹き飛ばしていた。
様々なバックルで相手を翻弄するデスガンは、いよいよゼクシードにとどめを刺そうと決めている。
「面倒だ。こいつで蹴りを付けてやる」
そう言って彼が取り出したのは、白い大型のバックル。シールドバックルを取り外して、代わりにそれを装填し、スカルバックルと一緒にデュアルオンさせた。
〈デュアルオン! スカル! マグナム! レディ……ファイト!〉
デスガンの上半身の装備が再び大きく変わり、白いアーマーが形成される。手元にはスカルシューター40Xの元となったマグナムシューター40Xも装備され、二丁の銃型の武器が両手に付与された。二丁の銃を巧みに操る形態、マグナムスカルフォームへと強化変身を遂げたのである。
「はぁぁぁ!!」
「ちょこちょこ変わりやがって……負けるか!」
デスガンは早速二丁の銃を乱射し、真っ向からゼクシードを追い詰めていく。どんな猛攻を受けても、ゼクシードは諦めずに徹底的な抗戦を繰り広げている。互角の銃撃戦でまったく埒が明かない中、デスガンは最後の手段に出ていた。
〈マグナム! タクティカルブラスト!〉
〈スカル! タクティカルブラスト!〉
彼はマグナムバックルをマグナムシューター40Xに。スカルバックルをスカルシューター40Xに装填。バックル内のエネルギーを弾丸として解き放つ必殺技タクティカルブラストを同時に発動し、ゼクシードへとどめを刺そうとしていた。
「今だ!」
タイミングを見計らい、デスガンが二つの銃の引き金を勢いよく引く。銃口から放たれた弾丸は一直線にゼクシードへ向かい、二重螺旋になってその威力を増していく。
「何だ!? ぐ、ぐはぁぁぁぁあ!!」
ゼクシードが気付いた時にはもう遅く、彼は回避する暇もなく、デスガンの必殺技を受けてしまった。被弾と同時に背後には大きな爆発が発生し、彼は爆発から発生した爆炎の中に巻き込まれてしまう。
その間にゼクシードは流星の欠片を手放してしまい、吹き飛ばされた欠片はデスガンが手にしていた。
「流星の欠片は頂いたぞ!」
最大の目的であった流星の欠片を強奪し、一人達成感を覚えるデスガン。だが彼はこれで満足できず、自身を手こずらせたゼクシードの命を奪おうと考えていた。
爆炎の中から命からがら瀕死の状態で抜け出したゼクシードの前に立ち、彼へ向けてマグナムシューター40Xとスカルシューター40Xの銃口を差し向けていく。
「さて……俺の秘密を知ったからには、ここで消えてもらうぞ」
「や、止めろ……止めてくれ!」
命の危険を感じたゼクシードは、情けなくもデスガンへ命乞いをしている。しかしデスガンは彼の要求に応じる気はなく、このまま引き金を引いて銃殺しようとしていた。彼の情けない顔を拝みながら、静かに命を奪おうとした……
「さらばだ」
しかしその時である。
「な、なんじゃ!?」
「ん?」
なんとタイミングが悪く、ある人物がデスガンの所業を目撃してしまう。それは……つい数時間前まで、ゼクシードと一緒に収録していたハタ皇子であった。
「じい! あそこに死神がおるぞ! 余はブリー〇の世界に迷い込んだのか!?」
「落ち着きなされ、皇子。アレはきっとアンパン○ンのホラー○ンかと。つまり我々はアンパ○マンの世界に迷い込んだのかと」
「はぁ!? どこがホラーマ○じゃ!? もうちっと良い例えは無いのか、じじい!」
「うるせぇ! テメェの茶番に付き合っているこっちの身を考えろ、馬鹿皇子!」
「誰が馬鹿じゃ!」
ハタ皇子は側近のじいと、目撃したデスガンの正体について勝手に予想し、口喧嘩を始めてしまう。○リーチの死神やらホラ○マンなら、的外れな意見ばかり上げて、良くも悪くもこの緊迫した空気を破壊していた。
あまりにも緊張感のない二人のやり取りを目にして、デスガンのテンションは大きく下がっている。
「興覚めだ。命拾いしたな」
「おい、待て! くっ……」
ゼクシードへの興味も失い、彼はそそくさと大事になる前に場を跡にしていた。既に目的も達成している為、早々に切り上げたのである。
一方のゼクシード自身は、折角手に入れた流星の欠片を強奪され、一人後悔に苛まれていた。命が助かっただけマシだが、それでも貴重な宝物を無くしたことは、悔いが残っている。
場を離れたデスガンは、仮面ライダーへの変身を解除して、新川昌一へと姿を戻していた。
「アイツはもう良い。次なる獲物を探すとするか」
手に入れた流星の欠片を握りしめて、一人新たな野心を燃やしている。契約した異世界の怪人であるネガタロスと共に、ある目的を達成するべく、彼はこのGGO星でネガタロスの同志と共に暗躍していたのだ。全てはあるものを復活させる為に……
そんな昌一の元に、ある男が声をかけてきた。
「中々良い腕前だったぜ、兄ちゃん」
「何者だ!?」
馴れ馴れしく話しかける男に警戒心を露わにして、昌一は振り返り様に彼へ銃口を向けている。彼が睨んだ先には、見たことも無い怪人が立っていた。
「おっと、銃口を向けるなよ。俺も一応ネガタロス軍団の加入者なんだからよ」
「何? ということは、ネガタロスが連れてきた新たな仲間か」
「そうだ。俺の名はガテゾーン。こことは違う世界で、地球侵略に勤しんでいたクライシス帝国の隊長さ」
怪人は気障っぽい口調のまま、自身も別の世界の住人であることを明かしている。
そう。昌一に話しかけた怪人は、クライシス帝国に属していた怪魔ロボット大隊の隊長ガテゾーン。仮面ライダーBLACKRXの世界に存在していた地球の侵略者、クライシス帝国の幹部の一人である。ロボットの肉体に、青いジャケットを羽織り、軍服のようなズボンと靴を着用していた。腰元には片手銃も装備しており、昌一は少なからず彼も自身と同じガンナーと把握している。頭部は単眼でボディが剥き出しになっており、無機質な印象を与えているが、口調や雰囲気はどこか人間臭く、昌一は妙な違和感をガテゾーンから感じ取っていた。
「お前さん、デスガンとか言ったか。俺の同僚にも似た名前の奴がいてな、アイツと違って口だけでは無い実力者なのが分かるぜ」
「馴れ馴れしくするな。お前のかつての仲間だの知ったこったではない」
「それもそうか。まぁ、志は違えど、お前とは同じ目的で俺も動いている。元の世界の時間軸に戻れるネガデンライナーの修復にも快く協力してやるよ」
ガテゾーンは昌一と敵対する意思は見せず、同じ目的の為に動く同志と捉えている。なんなら元の世界の気の合わない同僚のことも、距離を縮める為の話題として挙げていた。ラフに接するガテゾーンに昌一は煙たがっていたが、ただ一つ気になったことだけは彼に聞いている。
「ガテゾーン。……お前には倒したい相手がいるのか?」
「ふっ、いるぜ。光の剣を持つ黒く憎たらしい奴が一人な」
「光の剣……そうか、分かった」
倒したい相手。所謂好敵手がガテゾーンにいることが分かった。ガテゾーンは何度も自身の作戦の邪魔した仮面ライダーBLACKRXのことを思い起こしていたが、対する昌一も自身の計画を妨害したかつての宿敵であるキリトを連想している。奇しくも彼らには、黒く剣を得意とする相手に憎悪を抱いている共通点があったのだ。
「どこの世界にもいるんだな。俺と同じ復讐者が……」
異世界だろうと邪魔者がいて、それに敗れた奴がいる。世界が変わろうと、その本質が変わらないことを昌一は思い知っていた。
「さて、行くか」
そして彼はゼクシードと同じく、流星の欠片を持つGGO星にいる人を狙っていく。ネガタロスの掲げるネガデンライナーの復活計画を成功させる為に……。
時を同じくして、ネガタロス軍団の用心棒として加入した神威と阿伏兎の二人は、架創の町中でとあるチームに襲撃をかけていた。
「終わりっと! 思ったより手応え無かったね。ピンクの悪魔と言われているんじゃないの、この子」
「そりゃ、銃以外の格闘戦が貧弱なんだろう。正直どうも強者って感じはしないけどな」
「これでもこの星じゃ、一番強いチームなんでしょ。きっと役に立ってくれると俺は思うけどな」
二人はチームのアジトに忍び込み、あっという間に制圧。神威と阿伏兎の近くには、銃を手にしたまま倒れこむ四人の男女がいた。四人は揃って神威や阿伏兎に成す術もなく倒されて気絶している。
本来であれば抹殺も視野に入れている二人だが、今回ばかりはネガタロスから四人の生け捕りを命じられていた。あることをする為に四人の肉体が必要なのである。
「それじゃ、後は」
「イマジンって奴らに任せておこうよ」
果たして裏で暗躍する彼らの目的は一体何なのだろうか。
仮面ライダーデスガンの襲撃から数日が経過した頃。架創にある四つのエリアのうち、中央に連なるエリア「架央」の一角では、今日も観光客が賑やかな繁華街を訪れている。多くの居酒屋や食事処が繁盛する中、とあるジンギスカン屋では二人の旅人が景気よく祝杯を挙げていた。
「それじゃ乾杯!」
「乾杯……」
架創名物のビールを手に、互いの盃を交わす女性達。ビールを飲む前から陽気な気分の女性に対して、もう片方の女性はあまり気乗りしないままビールを口にしていた。
彼女達の名はアイラとエリカ。ALO星出身の天人で、星々を旅する渡り鳥のような生活を二人揃って続けている。アイラはプーカ族の一員で、オレンジ色の長い髪が特徴のシンガーソングライター。各地で歌を披露しつつ、資金を稼ぎながら旅を続けている若き歌人だ。一方のエリカはシルフ族の一員で、緑色の髪を持つショートボブの女性。愛用武器であるナイフを使い、各地の荒くれ者やモンスターを退治するさすらいの始末屋である。方向性も目的も違う二人は、旅を続けているうちに偶然の出会いを果たし、共に助け合うパートナーのような関係性へと発展していたのだ。
そんな二人は、GGO星の架創で行き当たりばったりの旅を大いに満喫している。
「いやぁ~楽しい旅路だったね! 湿原に湖にグルメ! 架創は幾ら訪れても飽きない旅先だよ~」
「そうね、アイラ」
「って、どうしたの? さっきから元気がないけど、何かあったの?」
アイラの思い出話に、エリカは浮かない顔のまま相槌を打つ。突然テンションの下がったエリカの様子が気がかりになり、アイラは彼女に何が起きたのか興味深く聞いている。するとエリカは、数分前に起きたあることをアイラに打ち明けていた。
「いや、さっき例の人からメッセージが届いて」
「例の人? あのエリカが知り会った男の人?」
「そう。何度か私と交流していくうちに、是非お付き合いしたいって言われたの」
「えっ!? 告白!?」
それはアイラにとっても想定外のことである。エリカが旅先で出会い、今もなお交流を続けている男性から、交際の提案を持ちかけられていたのだ。どこか浮かない顔を続けているエリカに対して、アイラは告白を受けた彼女をまるで自分ごとのように喜んでいる。
「すっごいおめでたいことじゃん! 今夜は祝杯だね!」
「でも、断ろうと思って」
「えっ、なんで!?」
増々美味いお酒が飲めると一人で勝手に舞い上がったアイラだが、対するエリカは告白について気乗りしないまま、淡々と今考えていることを伝えていた。
「あの人、悪い人じゃないのは確かなんだけど、どっちかと言うとインドアで、私とそもそも気が合わないんじゃないかって。一緒に旅に来てくれるかなんて分からないし」
そう。エリカはその男性との価値観が本当に合うのか心配している。外交的な自分と内向的な相手との違いをネックに感じて、関係が上手くいくビジョンがあまり見えていなかったのだ。そんなエリカの悩みを聞き、アイラは率直な意見を伝えている。
「趣味の違いね……そんなのやってみないことには分からないじゃん。もしダメだったとしても、またそこから考えれば良いし」
「でも……」
「エリカはもうちょっとトライアンドエラーを経験した方が良いよ! インドアの男の人だって、アウトドアな旅に乗り気になってくれるかもしれないよ」
何事も挑戦する事。失敗を恐れずに突き進むことを、アイラはエリカに説いていた。エリカ自身もアイラのアドバイスを深く受け止めるものの、内心ではやはり心配が勝っている。
そう二人で恋愛や旅についての話題を話しながら、焼いた羊肉を頂いた時のこと。店内に設置されたテレビから、興味深いニュースが映し出されていた。
「続いてのニュースです。昨日デスガンを名乗る男がゼクシード氏を襲撃した事件で、警察はデスガンを指名手配犯にすることを本日決定致しました」
「ねぇ、アイラ。またニュースになっている」
「えぇー、あの人まで襲われたの? この星の治安、大丈夫?」
テレビの画面に映ったニュースキャスターが伝えていたのは、今GGO星を騒がせている死神騒動について。とうとう著名人も標的にされるようになり、事態を重く見た警察組織が、デスガンを全国的に指名手配すると決めていたのだ。エリカもアイラも日々事態が進展する死神騒動に不安を覚えている。ニュースでは引き続き、怪我を負って病院に入院しているゼクシードと彼を手助けしたハタ皇子のインタビューが映し出されていた。
「いやぁ~余が助けに来なかったら、奴はハチの巣になったところじゃったのう。でも安心しろ。ラブアンドピースを掲げる余が、お前の無様……いや、傷が治るまで定期的に見舞いへ来るからのう!」
「おい、今本音を漏らしただろ。このバカ皇子」
「誰がバカじゃ!!」
平然を装っていたハタ皇子だが、その本心は生意気なゼクシードが痛い目を見て、心の底から嘲笑っている。なおゼクシード本人はハタ皇子の本心に気付いており、さり気なく彼を罵倒していた。そしてインタビュアーは、ゼクシードにも当時の詳しい状況を聞いている。
「ところでゼクシードさん。そのデスガンは、仮面ライダーとも名乗っていたのですよね?」
「あぁ、そうだ。奴は見たことも無いベルトにアイテムを付けて、次々に武装を変えていた。あの能力は、とてもこの星のものじゃない」
「他に何か重要な手掛かりになりそうなことはありませんか?」
「確か……そのベルトはサイコギルドから貰ったとも言っていたな」
仮面ライダーやサイコギルドなど聞き馴染みの無い言葉の数々に、インタビュアーはおろかニュースを見ていた客達もまったくその意味を理解していなかった。
「サイコギルド? エリカは知ってる?」
「さぁ。聞いたことが無い組織ね」
アイラやエリカもサイコギルドに首を傾げる一方で、彼女達の近くにいたある男性客は、サイコギルドに対して大袈裟な反応をしている。
「サイコギルド!? 神楽ちゃんの言っていた例の組織か……!?」
男性は机を大きく叩き、ニュースの方に釘付けとなっていた。急に立ち上がった男性に、他の客達に違和感を覚える中で、エリカとアイラはその男性にどこか既視感を覚えている。
「アレ?」
「あの人って……」
彼女達は男性の手元にあった傘や陽を避ける厚着の衣装を着用している点から、ある有名人を連想していた。数々の星で巨大生物やエイリアンを退治した伝説のハンターのことを……。
「あぁ、失敬。なんでもない」
急に冷静さを取り戻した男性がゆっくりと席に戻ると、その間にアイラとエリカが近づき彼に話しかけてきた。
「あの……もしかして星海坊主さんですよね!?」
「あぁ、そうだが」
「やっぱり! あの伝説のエイリアンハンターだよ!」
「まさかこの星でお目にかかれるなんてね」
エリカ達の予想は見事に当たっている。そう。男性の正体は、エイリアンハンターの星海坊主であった。エリカ達も星海坊主のことは知っており、一旅人として羨望の眼差しを向けている。特にアイラは彼のファンでもあったのだ。
「あ、後でサイン良いですか!」
「あぁ、良いが。その前に肉を食べさせてくれ」
「もちろん、どうぞ!」
アイラは陽気な気分のまま、勢いよく星海坊主へサインをお願いしている。彼から了承を貰い、今日一番にテンションを上げていた。
「落ち着きなさいって」
「だって、伝説のハンターに会えたんだもの! 落ち着けるわけないじゃん!」
エリカが冷静に諭すも、アイラの興奮はまったく収まる気配が無い。憧れの人と出会えて、より目をキラキラとさせている。
そんなアイラのテンションを宥めつつも、エリカは星海坊主に気になったことを聞いていた。
「ねぇ、星海坊主さん。さっきニュースで言っていたサイコギルドって、アナタが探している組織なの?」
エリカの問いに、星海坊主は神妙な表情で返答する。
「あぁ。正確には娘の友人が探している組織だな。どうしても彼らを見つけ出して、決着を付けたいと言っていた。でもまさか、この星でその名を聞くことになるとは」
「決着って……反社会的な組織なのかしら?」
「断定はできないが、唯一分かっていることがするなら、次元間を行き来する特殊な能力を持っているらしい。娘の友人は元々こことは違う世界にいたらしいが、そのサイコギルドの仕業で無理やりこの世界に来てしまったようなんだ」
「えっ? じゃその友人さんって、異世界人なの?」
「そうだな。元の世界に戻れる方法が分からない今、サイコギルドがその手がかりを握っているかもしれないんだ。神楽……いや、俺の娘の友人にとっては、吉報かもしれないな」
適宜焼いた羊肉を口にしながら、星海坊主はエリカにサイコギルドもとい神楽の友人が置かれている現状を明かしていた。と同時にサイコギルドが、自身の想像を遥かに超える超常的な組織だと確信している。
さらにエリカは、星海坊主が発した神楽に対しあることを思い起こしていた。
「神楽……」
「どうしたの、エリカ?」
「いや、なんでもないわ」
まだ確証が無く、アイラに聞かれても何事も無く振る舞っている。一方でエリカは、アイラにもサイコギルドが危険な組織だと入念に警告していた。
「それよりアイラ。この死神騒動、サイコギルドが関わっているなら、もうこの星から出た方が良いかもしれないわね」
「えっ? そんなにサイコギルドってヤバいの?」
「だって、異世界の住人を無理やり別の世界に送る能力を持っているのよ。この流星の欠片を巡る騒動だって、別の世界のテクノロジーが使われている可能性だってあるし」
「確かにお嬢さんの考えには一理あるな。君達はこの星の住人では無いのか?」
「えぇ。私達は星々を旅していて……」
エリカは真面目な表情で、アイラにGGO星の脱出を訴えかけている。サイコギルドが得体の知れない能力を持つ組織だと分かった以上、死神騒動が続くこの星での旅路は難しいと判断していたのだ。星海坊主もエリカの話に共感している。
二人でより深い会話が交わされる中で、アイラはそっと自分の懐に目を向けていた。
(もしかして、アタシも狙われてる……?)
そこには、旅路にて偶然拾っていた流星の欠片が入っている。彼女もゼクシードと同じく偶然にもその流星の欠片を拾っていたのだ。死神及びサイコギルドの話を聞くと、自分もただでは済まないと内心大きな不安に覆われてしまう。思い悩んだ末に彼女はあることを決意していた……。
「ありがとうね、星海坊主さん。まさか私達の分まで奢ってくれるなんて」
「いやいや。これも何かの縁だよ。エリカさん達は、また別の星に行くのか?」
「そうね。とりあえずはターミナルまで行って、そこから次の目的地へ行こうかしら」
「ならば地球はどうだ? 俺の娘がいる星で、面白い奴らがわんさかいるぞ」
「地球ね。確かにまだ行ったことないし、次の目的地にはちょうど良いかもしれないわね」
ジンギスカン屋を退店した星海坊主とエリカは、店の前でまだ会話を続けていた。縁がきっかけで奢ってくれたこと、互いの次の目的地など、思いつく限りの会話を交わしていく。エリカも地球には少なからず興味を示していた。
「そういえば、お連れさんのアイラさんはどこへ行っていったんだ?」
「トイレ行ったはずだけど、遅いわね……」
一方でエリカの友人であるアイラは、退店前にトイレへ行くと言ったきり、まったく戻って来ていない。トイレにしては時間もかなりかかっており、二人は少々の不安を感じ取っていた。
なおアイラ本人は現在トイレではなく、繁華街の一角にあった裏路地に移動している。
「どこに捨てよう……でも誰かが拾ったら、その人が犠牲になっちゃうかもだし」
拾っていた流星の欠片を、彼女はこっそりと捨てようとしていた。すぐに道端へ置いてエリカ達の元まで戻ろうと考えるも、別の誰かが拾ったことまで考えてしまい、どう処分するか正直頭を悩ませていた。なおこの流星の欠片の件は、エリカ自身はまったく把握していないので、相談する事すらアイラはためらって現在に至るのである。
そうアイラに迷いが生じていたその時、彼女の背後にある存在が近づこうとしていた。
「見つけたぞ! そいつをよこせ!」
「ん!? きゃぁぁぁぁ!!」
鬼気迫る声が響き渡り、アイラはいつの間にか何者かに襲撃を受けている。思わず悲鳴を上げると、その声は仲間のエリカにしっかりと聞こえていた。
「今の声……アイラ!?」
「何!? どこから聞こえた!?」
「あっちから!」
最悪の状況を察した彼女は、急いで声の聞こえた方角まで移動する。星海坊主も彼女の跡を追っておいかけると、二人は裏路地を繋ぐ細長い通路にて、何者かから逃げるアイラと無事に合流を果たしたのだ。
「アイラ!」
「エリカ! 助けて……!」
アイラとの再会早々に、エリカは彼女に何があったのか聞いている。しかしそんな暇もなく、アイラに襲撃を仕掛けた張本人が三人の前に姿を現していた。
「貴様! 何者だ!」
星海坊主が相手に自身の傘を向けて問いかけると、その男は意気揚々と自身の身分や組織について紹介している。
「知らないなら教えてやる。俺の名はネガタロス。最強の悪の組織、ネガタロス軍団(仮)のリーダーだ!」
暗がりから現れた男の正体は、怪人のような容姿をしていた。その名はネガタロス。黒と赤の体色を持った二本の曲がった角を待つ禍々しい鬼のような姿をした怪人である。無論このネガタロスも、この世界とは異なる別の世界からやって来た異端者なのだ。
「ネガタロス軍団……?」
「死神でもサイコギルドじゃないの……?」
聞きなれない名前や組織名に疑問を浮かべるエリカとアイラ。一方で星海坊主は、その組織名に思わずツッコミを入れている。
「(仮)とはなんだ! 正直ダサいぞ!」
「いや、食いつくとこそこじゃないから。星海坊主さん……」
その名称について正直どうでもいいようなツッコミに、エリカは思わず冷めた指摘を加えていた。なおネガタロス側も、そんな些細なことは一切気にしていない。
「なんとでも言え。お前らにも教えてやるよ、勝利する悪の組織ってのをな!」
と啖呵を切ると、彼は手にしていたベルトを腰に巻いていた。そこからベルト内にあったボタンを押すと、おどろおどろしい待機音声が鳴り響いている。
「何!?」
「アレは……」
三人がこの状況を一切把握できずに困惑を浮かべる一方で、ネガタロスは着々と変身に向けた準備を進めていた。
「変身!」
〈ネガフォーム!〉
ベルトに黒いパスをかざすと、ネガタロスの容姿が一瞬にして変化する。灰色のスーツをまとい、上半身や脚部には紫色の装甲やパーツが付着していた。列車が通過するような音が鳴り響くと同時に、紫色の複眼が変形し仮面のような出で立ちに変わっている。
そう。ネガタロスは元々いた世界と同じく、サイコギルドにより復元されたデンオウベルトで仮面ライダーネガ電王へと変身したのだ。変身が完了すると同時に、その余波が辺り一帯になびいていく。
「変身した……?」
「アレがもしかして仮面ライダーなの……?」
禍々しい戦士のような風貌を目の当たりにして、戦慄を覚えるエリカとアイラ。星海坊主も同じく、ネガタロスもといネガ電王に底知れぬ力を感じ取っていた。
「流石はサイコギルドの科学力……俺の体によく馴染むぜ」
「サイコギルド……やはり貴様も関係者か!」
「まぁ、スポンサーみたいなもんだ。この力で、お前らを俺の前にひざまずかせてやる」
喧嘩腰に接するネガ電王は、腰元にあったデンガッシャーを連結し、ソードモードに変化。片手剣を装備して、無理やりにでもアイラから流星の欠片を奪おうと画策していく。
「どっからでもかかってこい!!」
GGO星を舞台にしたネガタロス軍団との戦いが幕を開けたのである……!
初っ端から怒涛の展開で始まった架創決戦篇は如何でしたでしょうか。銀時やキリトといったメインキャラがまだ姿を見せない異例の一話になったかと思います。
今回満を持して登場した新川昌一ことデスガンは、なんとギーツライダーズと同じデザイアドライバーで変身! オリジナルのIDコアとバックルで、仮面ライダーデスガンへと変身しました。元々はデスガンのアバター自体がギーツライダーズのエントリーレイズフォームに似ていると思ったところから始まり、だったら合わせれば良いじゃんとなった結果がこれです。因みにスカルバックルはゾンビバックル、スカルシューター40Xはマグナムシューター40Xのリデコ(色変えをした再流用)を想定しております。
デスガンに追い詰められたゼクシードは当初原作の流れ通りに射殺される展開でしたが、サイコギルドの情報を間接的に星海坊主が知るきっかけが必要と感じ、途中からギリギリ生存する流れになりました。ハタ皇子に入院先で煽られているので、どっちが良かったのやら。
さらに予告篇には登場していなかった敵、ガテゾーンもネガタロス軍団に加入! 昌一同様に元の世界へ戻る為に、ネガタロス一行に協力する流れとなります。思えばクライシス帝国には、デスガンと名前が似ているボスガンとデスガロン。同じ骸骨モチーフのスカル魔など、どこか共通点が多いように感じますね。
他にはまだチラッとしか映っていない神威や阿伏兎、本作の鍵を握るALO星の女性エリカ、偶然にも彼女達と合流した星海坊主、前線に降り立つネガタロスことネガ電王など、今後の展開にも活躍するキャラが、この一話にギュッと濃縮されたと思います。長々と続いてしまいましたが、今回はここまで!
次回予告
ネガ電王「強さは別格だ!」
エリカ「私も連れて行って、地球に!」
星海坊主「コードナンバーKだと?」
坂本「サイコギルドについて、おまんらは知らんか?」
ユウキ「期待しているよ、坂本さん! 陸奥さん!」
架創決戦篇二 商売は信頼で成り立っているので、実質ギャルゲ