剣魂    作:トライアル

23 / 159
 今回は題名の通りです。完全な自虐なので気にしないでください。それと突然ですが警告です!ご飯を食べている方は今すぐやめてください!気分を害することになります!それでは、どうぞ!
 追記 10月10日に文体を大幅に変更いたしました。ご了承ください。


第十一訓 小説は人数が多いと誰が話しているのかわかりづらい 

  

 キリト達がこの銀魂の世界へやってきて四日目となった。まだ日が出始めた頃に万事屋の六人は、出かける身支度を始めている。昨日に発覚した仲間達の行方。キリト達だけではなく、その仲間達もこの世界へとやってきていた。万事屋はそれを知り今日に全員と合流することを決意。スナックお登勢の一員になったエギルと、桂一派並びに攘夷志士と化したクラインを除き、シリカやリズベットらの女子達四人は偶然にも銀時達の知り合いの元で預かっている。仲間と集まるべく万事屋は朝早くから動いていたのだ。そして着替えた一行は、昇る朝陽を背景にしてそれぞれの意気込みを語り始めた。

「ついにこの日がやってきましたね……」

「そうですね。絶対に全員と合流しましょう! ユイちゃん!」

「ワン!」

 新八はユイや横にいた定春とコンタクトを図る。二人共にやる気で心が満ちて、思いを一つにしていた。

「アッスーの仲間達は、きっと私達が取り戻すネ!」

「がんばろうね! 神楽ちゃん!」

 励ましあいながら心を通わせる神楽とアスナ。同じく気合が高ぶり、真剣な眼差しを見せている。そして、キリトや銀時も続き声を上げ始めていた。

「よし! 俺も準備ばっちりだ! 出発しよう、銀さん!」

 とキリトが銀時へ向けて後ろを振り返ると、そこには……

「オェェェェェ!!」

「って、銀さん!?」

気合ではなくゲロを吐いて顔色の悪くなっている銀時の姿があった。

「オィィィィ!! アンタ!? 何を朝っぱらから吐いているんだよ!」

「悪ぃ……二日酔いだわ……」

 思わず新八がツッコミを入れる。この事態の要因は昨日の酒にあり、彼は二日酔いになってしまった。情けない銀時の姿を見てアスナや神楽は呆れてしまう。

「銀さん……昨日飲みすぎるから気分が悪くなるのよ」

「アッスー達もいるんだから下ネタは控えめにするアルよ!!」

「わかってるよ……つーか、ゲロインに言われたかねぇわ……」

 銀時はボソッと文句を呟く。新八やキリトもこの件については自業自得だと思い心配はしていないが、ユイだけは不安に思って声をかけてきた。

「銀時さん? 大丈夫ですか?」

「ああ、なんとかな。ユイ……これだけは覚えておけよ。大人って言うのは我慢できない時は吐いてもいい生き物なんだよ。だから、もう一回……ブォォォ!!」

「ぎ、銀時さん!?」

 そう言って銀時は路地裏へ向けて再びゲロを吐きだしてしまった。酸っぱい匂いが辺りに漂い、一同は鼻をつまんでしまう。

「おぃぃぃ!! だから下ネタはやめろって言ったアルよ!!」

「つーか聞いたことねぇよ! そんな大人のルール! アンタだけでしょうが!!」

 神楽や新八がツッコミを入れて怒りを露わにする。真面目な空気が壊されてしまい、場にはグダグダな空気が漂うのだった。その様子にキリトやアスナも呆れている。

「なんで、こうも銀さんはかっこよくできないのよ……」

「それが銀さんらしさだと思うけどな」

 しかし、それでも銀時らしさと受け入れ彼をそっと見守るのであった。

 

 嘔吐騒動から三十分後。ようやく銀時の体調が戻り、彼の体は安定し始める。

「なんとか、大丈夫かな?」

「本当ですか、銀さん?」

「そうだよ! 俺を信じろよ、ぱっつぁん!」

「はいはい、わかりましたよ。しっかりしてくださいね」

 新八に文句を言われつつも銀時は頭を抱えて立ち上がった。調子が戻ったところで、六人は再び集まり今日の予定を確認する。

「で、まずはどっから行くんだ?」

 銀時の問いに新八が答えた。

「ここから近くとなると、姉上の方から先に行った方がいいかもしれませんね」

「シリカさんやリズさんがいるんですよね!」

「お妙さんの料理を食べたって聞いたけどどうなっているのかしらね……」

 アスナは一つの不安を口に出す。まず万事屋が最初に向かう場所は新八の実家、恒道館に決まった。そこには妙の料理を食べて気絶したシリカとリズベット、ピナがいる。キリト達は、妙の料理に面識が無かったため余計に不安視していたのだ。まずは近い場所から仲間と合流していく。そう決まると、神楽とキリトは先走って声を上げた。

「よし! そんじゃ、気を取り直すアルよ!」

「そうだな! みんな、出発の準備をしよう!」

 二人の掛け声に一同は強くうなづいた。万事屋一同がそう心に決めた時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「ちょっと待てよ、みんな!」

「俺達とクライン殿を忘れてはいないか?」

「って、この声は……」

 銀時らはすぐに声の主に気付く。後ろへ振り返るとそこには、昨日銀時と共に酒を飲んでいた男達、桂、クライン、エリザベスの姿があった。桂達は、全てをわかったような表情で立っていたのである。

「ヅラクラか!?」

「ヅラじゃない! 桂だぁ! そして!」

「クラじゃない! 壺井だ!」

「誰が本名まで言えっていったよ! つーか、クラはヅラの影響受けすぎだろうがぁ!!」

 桂に加えてクラインまでボケをしたため、銀時は二重にツッコミを入れた。前触れもなく現れた三人に、万事屋のどよめきが広がる。

「桂さんにクライン!? それにエリザベスまで……一体どうしてここへ来たんだ?」

 キリトも驚き思わず彼らへ聞いてきた。すると桂はいつもの腕組みで答える。

「うむ! よくぞ、聞いてくれた! 実はな、昨日言っていた挨拶回りを俺達もやろうと思っている。もしかすると、キリト君達の仲間も攘夷志士に興味を持つかもしれないからな!」

「あっ……そういうことね……」

 桂の目的を知りアスナは苦笑いで察した。彼は挨拶回りを利用して自分の仲間を増やそうとしていたのだ。もちろん、エリザベスやクラインもこの案にノリ気である。

〔クラインさん以外にも募集しているぞ!!〕

「そうだぜ! もしかすると、桂さんに憧れて入る女子もいるかもしれないからな!!」

(((((いや、いねーよ!!)))))

 クラインの自信満々な言葉に万事屋メンバーは心の中でツッコミを入れた。しかし、

「恐らくいないと思いますよ……」

ユイだけは困った表情でそっと呟く。桂達の考えは本気で引き下がる気がなかったので、銀時は渋々一緒に行動することを決める。

「ったく、しゃあねぇな。連いてきてもいいが邪魔だけはすんなよ!」

「わかっているさ。控えめに攘夷させるだけだ」

「攘夷させるってなんだよ! 言っておくけどクラ以外にメンバーが入るわけねぇだろ!」

 桂のしぶとさには銀時もツッコミを入れるしかない。朝からゲロを吐いたりツッコミを入れたりと今日の銀時は一段と忙しかった。一方、クラインは近くにいた新八や神楽に話しかけている。

「そういうわけだ! 改めてよろしくな! 新八君に神楽ちゃん!」

「気安くちゃん付けするんじゃないアル!」

「っていうか、いつの間に僕らの名前を覚えたんですか?」

「そりゃ、桂さんから教えてもらったからだよ。頼りになるリーダーの神楽ちゃんと、桂さんと同じく侍の銀さん。そして、ツッコミ眼鏡担当の新八君だろ?」

「どんな覚え方ですか!? 桂さん! ちゃんとふざけずに教えてくださいよ!」

 友好的に接するクラインであったが、新八や神楽とはまだ距離が縮まらなかった。桂らの乱入によって本筋からズレてしまったが、ここでエリザベスが修正する。

〔ほら、無駄話はいいからさっさと準備しろよ!〕

「エリザベスさん。ありがとうございます、代わりに伝えてくれて」

 ユイのお礼にエリザベスもすぐにプラカードを掲げた。

〔別に構いはしない。俺が言ったところでみんなには聞こえないから伝わりづらいだろうがな! ハッ! ハッ!〕

「とういうか、表情や気持ちもプラカードで会話するんだな……」

「本当にペットなのよね……?」

 エリザベスの生態により一層の謎を深めるキリトとアスナであった。ちなみに昨日の飲み会で、一緒に飲んでいた長谷川は未だに寝ているが起きる気配が無いという。場が落ち着いたところで、一同はようやく準備が再開する。銀時はスクーターを持ってきて乗り込み、後ろには新八が乗った。神楽とユイは定春にまたがり、キリトやアスナは羽を使って空中浮遊。同じくクラインも羽を使って浮遊状態になり、桂はエリザベスの背中に乗っかった。この配置で準備が完了すると、銀時は全員へ声をかけた。

「よし! 準備はいいか、てめぇら?」

「もちろん大丈夫だよ!」

 キリトに続き仲間達もうなずき返事を返す。そして、ついにその時がやってきた。

「そんじゃ……出発するぞ! てめぇら!」

「「「「「「OK!!」」」」」」

 気合の入った掛け声と共に一行は万事屋を出発した。朝陽が彼らの背中を押すように照らし合わせている。最初に向かうべき場所は新八の実家恒道館。そこには今、お妙の料理を食べて気絶中のシリカ、リズベット、ピナがおり、まずは二人と一匹と合流するのだ。速度を上げていき、町を颯爽と駆け抜けながら恒道館へと向っていく……

 

 約十五分後。一行は目的地である恒道館へと到着。スクーターや定春を止めて銀時らは降り、キリトらも羽を収めて地上へと降り立つ。そして、駆け込むように九人は玄関へと入っていった。

「姉上―!!」

 新八が声をかけるとすぐに妙が玄関まで駆けつける。さらに朝早くに来ていた九兵衛も続いてやってきた。

「アラ、新ちゃん! それにみんなも、もう来てくれたの?」

「そうですよ! って、九兵衛さんも来ているんですか?」

「ああ。昨日ちょうど妙ちゃんと一緒にリズ君達を助けたからな。だが、卵焼きの脅威からは助けることが出来なかったよ……」

「それはご愁傷様ですね……」

 新八は苦笑いで九兵衛に返す。どうやら彼女も妙と一緒にシリカ達を助けたらしいが、昨日起こしてしまった騒動に対しては今でも悔やんでいるようだ。その表情から悔しい気持ちが万事屋らにはよく伝わっている。一方で、妙は桂達がいることに気づく。

「ん? みんなだけじゃなくて、桂さん達も来ているのね。そちらのアゴヒゲの方は新しいメンバーなのかしら?」

 妙の質問に銀時が返す。

「ああ、こいつか? クラインって言う桂の新しい仲間だよ。耳がとんがっているのは、こいつは元々キリト達の仲間だからだよ」

「キリト君達の仲間!? じゃ、彼も別世界の人間ってことなのか?」

「そうだよ。おい、クライン。てめぇも挨拶しろよ」

 やはり妙や九兵衛は驚いた様子だった。と銀時へ促されて後ろにいたクラインは前へと出ると、妙を見てふと声を上げる。

「う、美しい……!」

「えっ?」

 突拍子もない言葉に妙は驚き、クラインは顔色を変えて急に男前になった。さらに、妙へ近づくとそっと手を差し伸べて優しく声をかけ始める。

「あなたのような美しい女性がこの世界にいるなんて思いもしませんでした。ぜひ、今度俺とお茶でも飲みにいきませんか?」

「えっ!? その……」

 唐突な誘いに顔を真っ赤にする妙だが、クラインは至って本気のままだった。予想外な行動に銀時ら万事屋の三人や桂は驚きを隠せなかった。特に新八は姉の乙女のような顔を見て、かなり動揺している。

「ク、クラインさん!? どうしたんですか!? まさか、うちの姉上のことを好きになったんですか!?」

 焦り気味にツッコミを入れる彼にキリトが小声交じりに補足を加える。

「まぁ、言い忘れていたけれどクラインは一目惚れしやすいんだよ。すぐにタイプの女性を見つけると口説くっていうか――」

「マジアルか!? ナンパ好きの男アルか!?」

「これだけは積極的なのよね……」

 アスナもため息まじりに神楽へ説明した。キリトらの言う通り、クラインの女好きは仲間達がよく理解しており、何度もよく成就だの失恋などと聞かされるばかりだという。ユイもキリト達同様詳しく知っており、銀時や新八へこの件について説明した。

「つまり、クラインさんは積極的に攻めることが得意ということですよ!」

「そうだったんですね……てか、ユイちゃんは本当に理解している?」

「いいんだよ、新八。細けぇことは。それよりもあいつ、まんま某海賊漫画に出てくる料理人みたいだな。声も似ているし。クラインじゃなくてサン〇じゃねぇのか?」

「あの、銀さん。ここで中の人ネタをするのはやめてもらえますか? さすがに別作品なので。わかる人にしかわかりませんよ」

 銀時の細かいボケに新八は控えめにツッコミを入れる。中の人ネタを披露しようとも、ユイは全く理解していない。

(〇ンジさん? 一体何のことでしょうか?)

 心の中で静かに思うだけだった。そんな中、桂も同じく衝撃を受けており未だに表情が固まったままである。

「女好き……!? そうだったのか……クライン殿!」

「桂さん!? まさか、武士道に反するから怒ってい――」

「俺の好みである熟女とは全く違った方向か! これでキャラ被りは回避できたな!」

「そこぉぉぉぉ!? ていうか、どんだけ小さいことをアンタは気にしていたんですか!?」

 あまりの予想との違いに再び新八のツッコミが響き渡る。桂は異常にキャラ被りについて気にしており、クラインとも対比していることに一安心したらしい。一方、そんなクラインは妙へ変わらずアプローチを続ける。

「えっ? 美しいだなんてそんな……」

「そう照れなくてもいいですよ。それがまごうことなき真実なのですから」

 普段では見せないかっこいい笑顔を見せて妙を惹かせようとするクライン。しかし、横にいた幼馴染はこの状況に黙ってなどいなかった。

「そこまでだ!!」

「えっ? うわぁ!?」

 突如、クラインの目の前には鋭い刀が突きつけられる。それは妙の横にいた九兵衛による刀だった。ずっと耐えていたが、ついに我慢が限界を超えたので彼女はクラインへ怒りをぶつけ始める。

「貴様!! ナンパ好きだとは破廉恥だぞ! そんな奴を妙ちゃんと付き合わせるわけにはいかない! 今すぐ立ち去ってもらおうか!?」

「ま、まさか彼氏さんか!?  これは失礼しました!! 許してください!!」

 九兵衛を彼氏だと誤認して焦るクラインは、思わず謝罪を込めて彼女の手を握ると……

「うわぁぁぁ!! 僕に触るなぁぁぁ!!」

「なんでぇぇぇ!?」

そのまま廊下の角まで投げ飛ばされてしまった。九兵衛特有の男嫌いがここで発揮される。しかもその先には、

「あ……まだ頭痛がする……」

「大丈夫ですか、リズさん? ひとまず志村さん達を探しに行きましょうよ」

気絶状態からようやく立ち直ったシリカとリズベットがいた。丸々一日眠っていた二人は数分前に起きており、頭を抑えながらも廊下を歩き回って妙らを探している。そして、玄関先でようやく見つけた。

「あっ! いたいた! 志村さ――」

 その時である。九兵衛に投げ飛ばされたクラインがちょうど向かってくるのがわかった。突然のことで回避することもできずに二人は、

「「「グハァァァ!!」」」

クラインの体当たりをもろに受けて床へと倒れ込んでしまった。同時に彼もぶつかった衝撃で倒れてしまう。結局、三人はとばっちりで再び気絶してしまったのだ。

「ク……クライン殿ォォォォ!?」

「って、ちょっとぉぉぉぉ!? 何をやっているの!? 三人共気絶してしまいましたよ!?」

 桂や新八は絶叫しながらツッコミを入れて、

「こんなミラクル起きるのかよ!?」

「それもギャグ漫画じゃ基本アル! 気にすることないアルよ! 銀ちゃん!」

銀時や神楽はいつものノリで思ったことを言い、

「って、呑気なこと言っている場合じゃないですよ!」

「早く起こさないと!」

「みんな! しっかりしろ!!」

キリトら三人は焦ってすぐにみんなの元へ駆け寄った。反応はそれぞれ違うが、収集不可能な場が展開されている。一方、そんな思わぬ奇跡を起こした九兵衛は複雑な気持ちになってしまう。

「……アレ?」

「こんな奇跡も起こるのね……」

 故意ではなかったものの彼女は罪悪感に苛まれてしまった。妙はそんな彼女をそっと励ますのである。こうして最初の再会は一応だが果たせた。

 

 数分後。シリカら三人はようやく気絶状態から立ち直った。九兵衛の淹れたお茶を飲み一息ついて、自分達の無事を確認する。

「はぁ……ようやく立ち直れました……」

「ナー……」

 シリカとピナは同時にため息をついて安心する。一同が落ち着いたところで、九兵衛は彼女達に謝りを入れた。

「すまなかったな。僕のせいで再び気絶させてしまって」

「九兵衛さん、そんなに謝らなくていいよ。私達は気にしていないから。どうせ、このナンパ男が何かやらかしたんでしょ?」

「そ、それは……はい、その通りです。すいませんでした……」

 しかし、リズベットらは気にしてはおらず、全てクラインが原因だと思っている。当の本人も頭を下げて二人へ謝っていた。これで九兵衛の件は帳消しとなり、妙自身も納得している。

「まぁ、アゴヒゲも反省していることだし一件落着ね!」

「「落着……?」」

 この言葉にシリカとリズベットは強く反応した。クラインにも非があるが、第一に妙にも卵焼きの件で責任があると思っていたである。彼女達は真っ向から反論した。

「って、そもそもは、志村さんの卵焼きのせいで私達、丸一日気絶したまま過ごしたんですよ! それを忘れないでくださいよね!」

「あっ、ごめんね。さすがに妖精達のお口には合わなかったのね。これからはちゃんと味を調節して見直すわ!」

「見直してどうにかなるような料理なの? アレは……」

 しかし、全く自覚がないようで二人は呆れてしまった。これには、温厚なピナさえも渋い表情となって呆れている。

 騒動も一段落したところで、状況を整理する。現在、彼らがいるのは恒道館にある居間。テーブルを囲み、妙や九兵衛、シリカとリズベットの四人が廊下側で正座しており、ピナはテーブルの上に座っている。窓側には万事屋の六人と桂一派の三人が分かれて正座し、総勢十三人で話しあいが行われている。だがまずは、シリカ達にとってキリトらとの再会が嬉しくて仕方なかった。

「それにしても、二人共無事で良かったよ」

「お妙さんにツッコミを入れる元気があるなら大丈夫そうね」

 一安心し、彼女達へ声をかけたキリトとアスナ。久しぶりに聞いた二人の声にシリカとリズベットは密かに感動している。

「アンタ達……こっちも三人共無事で良かったわ」

「そうですよ! まさか、別の世界にいるなんて思いもしませんでしたよ!」

「無事で何よりです! シリカさん、リズさん!」

 ユイも優しい言葉で返し、再会を喜び合った。そんな五人の姿を見て万事屋や妙らも同じく安心している。

「キリにアッスーも笑顔ネ! よっぽど仲間のことが心配だったアルナ!」

「まぁ、良かったんじゃねぇの? 聞けば妙の毒物食ったみたいだからどうなっているかと思っていたけど、あれくらい元気なら大丈夫そうだしな」

「何か言った? ……銀さん?」

「いえ、なんでもなんです。勘弁してください」

「つーか、アンタ謝るの早ぇよ」

 新八の辛辣なツッコミが決まる。妙も銀時の毒物という言葉に反応して軽く脅し、即座に謝らせたのであった。一方、キリトらの話はいつの間にか時間がテーマになっている。

「そういえば、みなさんはこの世界へ来てから何日経っていますか?」

 シリカの問いにアスナが答えた。

「えっと、今日で四日くらいかしら?」

「四日……!?」

 この言葉を聞いたリズベットは表情を急変させ、追及を続ける。

「そんなに経っているの!? アタシ達が来たのは、昨日よ! それに元の世界では二時間も経っていないわよ!?」

 そう二つの世界の時間の進み方が異なっていたのだ。新しい事実を知らされたが、ユイやキリトはしっくりきていない。

「そうなんですか!? 意外と時が進むのが遅いのでしょうか?」

「もしくは浦島太郎みたいに時間の進み方が異なっているのかもな……いずれにしても早く真実を突きとめないといけないな……」

 時間の流れ方の違いに考え込むキリト。だが、それよりもシリカ達が今一番聞きたいのは現在の彼らの状況だった。

「それはそうと、四日間もアンタ達は何していたのよ?」

 今度はリズベットが聞き、ユイがそれに答える。

「あっ! それはですね、私達は万事屋というなんでも屋に入って挨拶回りや仕事の手伝いをしていたんですよ!」

 万事屋という聞いたことない店と仕事内容にシリカがさらに問う。

「万事屋? 挨拶回り? つまり、みなさんはなんでも屋の一員になったってことですか!?」

「そうだな。この世界では、銀さん達の所でお世話になっているんだよ」

「銀さん達? あの銀髪の男のこと?」

「そうです! あの目の細いぶっきらぼうな男性のことですよ!」

「って、ユイ!! 目の細いは余計だろうがぁ!」

 ユイの天然発言に思わずツッコミを入れる銀時。どうやら、キリトらの横にいる三人が万事屋の一員らしい。銀髪天然パーマの成人男性と眼鏡がトレードマークの若い男子とチャイナ服を着た赤い髪の少女。見た目からもわかる個性の強さに二人が戸惑う中、神楽から急に自己紹介が始まった。

「まぁまぁ、銀ちゃん! そこは落ち着くネ! あっ! 私は神楽って言うアル! シッリーにリズ、よろしくアルナ!」

「シ、シッリー!? 随分独特なアダ名ですね……」

 独特な呼び方を聞きさらに戸惑うシリカだが、アスナは何一つ疑問に思っていない。

「それが神楽ちゃんの特徴よ! 私だってアッスーって呼ばれているもの。ねぇ、神楽ちゃん!」

「もちろんアルよ! アッスー!」

 さらに二人は互いの顔を見て、笑顔でコンタクトをとった。いつの間にか築かれた二人の仲の良さに、シリカ達は言葉を失う。

「って、アスナ? もう神楽と仲良くなっているの!?」

「さすがです……まるで姉妹みたいですね……」

 言葉に出ないがそれと同時に、神楽への興味は少なからず沸いている。と次に新八が挨拶を交わす。

「まぁ、あの二人は初めて会った時からあんな感じですよ。それと僕は志村新八です! あのお妙さんの弟です。シリカさんにリズさん! よろしくお願いしますね!」

「よ、よろしく……って、志村さんの弟なんですか!?」

 驚くシリカに妙が補足を入れた。

「そうよ。新ちゃんは私の弟なんだから!」

「すごいわ……驚くほどまったく似てないわね……」

 リズベットも同じく驚きを隠しきれていない。新八と妙を幾ら照らし合わせても全然似ていないからだ。と最後に銀時が挨拶を交わす……はずが、新八が勝手に紹介し始める。

「そこは気にしないでくださいよ。それと、この死んだ魚の目をした男が銀さんこと坂田銀時さんですよ!」

「余計なこと言うんじゃねぇよ! ユイの時よりひどいじゃねぇか!」

 普段とは違いボケとツッコミの立場が逆転する銀時と新八。だが、それを聞いたシリカとリズベットは、

「死んだ魚の目……」

「銀時さんが……」

「「フフ!! ハハハハ!!」」

なぜか笑いのツボにはまり大笑いをしてしまった。しかもお腹を抱えるほど笑っている。予想外の状況に銀時のツッコミが止まらない。

「って、おいぃぃ!! 何をてめぇら笑っているんだ!! そんなにおかしいことかよ!?」

「だって、どっかで見たことあると思ったら、死んだ魚の目とそっくりなんだもの!!」

「おかしすぎますよ!! 銀時さん!! 最高です!!」

「大受けしすぎじゃねぇか!? 煽り以外の何物でもねぇぞ! お前ら!!」

 二人の笑いが収まる気配がない。彼女達の記憶に大きく残ったのは銀時だったが、当の本人は全く納得していなかった。そんな彼へキリトとユイが声をかける。

「まぁ、銀時さん! これも結果オーライという意味ですよ!」

「そうだよ。シリカやリズとも仲良くできそうで俺も嬉しいよ」

「どこがだ!? 完全にバカにされているだけじゃねぇか! てめぇらまでノリに乗ってくるんじゃねぇよ!」

 銀時は結局二人にもツッコミをしてしまうだけだった。万事屋の自己紹介も終わり、二人には色濃く印象が残り、それと共に安心感が生まれる。

(万事屋の皆さん……とても面白い人達ですね!!)

(ツッコミもうまいし、この人達ならキリト達も安心して任せられるかも……!!)

 笑いながら心の中でそっと信頼を寄せた。それから、笑いも収まったところで次は桂が自己紹介を始める。

「さて、笑いも収まったな。次はこの俺の番といこう」

「えっ? あなたも万事屋の一員じゃないんですか?」

「いいや、違う。クラインを受け入れた侍と言っておこう」

「えっ!? 侍……てことはアンタと相性が良いんじゃないの?」

「そうだぜ! 俺と桂さんは、昨日に杯を交わした仲なんだぜ!」

 クラインが桂の肩を組み仲の良さを見せた。桂も動じずに微笑み自己紹介を始める。

「その通りだ! 俺の名は桂小太郎。この世界で侍として活躍している。よろしくな、二人共」

「よ、よろしくお願いします……」

 控えめにシリカが返した。真面目で堅物な印象が残り、なおかつクラインとの仲の良さからこちらも打ち解けあっていると勘付いている。しかし、二人にとっては桂よりもその横にいる謎の生物が気になってしょうがなかった。

「……ていうか、アンタ達の左にいる白い物体は何なの?」

 苦い表情でリズベットが聞くと、桂が顔色を変えずに答える。

「ああ、こいつか? これはエリザベスという俺のペットだ」

「「ペ、ペット!?」」

 やっぱり驚いて、理解に苦しむシリカとリズベット。今日一番の衝撃で、言葉に詰まってしまうが周りにいる人間は全く動じていない。

「なんだよ、お前ら。知らなかったのかよ?」

 平然と受け入れているクラインへリズベットが疑問をぶつける。

「そうでしょ!? だって、初見の人がわかるわけないでしょ!? ゆるキャラとかマスコットとかじゃないの!?」

 そう言われると、エリザベスは急にプラカードを掲げた。

〔いいや。俺はマスコットではない。桂さんの忠実なるペットだ〕

「って、プラカードで会話するんですか!?」

 エリザベスの会話能力に驚きを見せるシリカ。そんな時だった。ずっと休んでいたピナが彼の存在を見て興味を持ち始めた。

「ピナ? どうしたんですか?」

「ナー!」

 ピナは翼を広げて空中浮遊するとエリザベスの目の前に近づいた。

「ナー? (君も僕と同じペットなのかい?)」

〔その通りだ。お前も同じペットなら仲良くできそうだな〕

「ナー! (そうだね! よろしく!)」

〔よろしく。俺以外にもペットキャラはまだいる。今度紹介してやるぞ〕

「って、会話が成り立っているんですか!?」

「未知の生物と仲良くなるとは……さすがは俺の相棒だ」

「アンタの生物がよっぽど未知すぎるわよ!!」

 ピナの鳴き声はエリザベスに伝わり、会話が成立したところで簡単に打ち解けた。もはやなんでもありである。これで挨拶も一通り終わったが、最後にとんでもない勘違いが起きていることに一同は気付いてしまう。

「これで万事屋や桂達の紹介は以上だな。二人共とりあえず合流出来てよかったな」

 九兵衛からの締めのセリフにシリカ達も返答した。

「そうですね! でも、他の仲間達は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ! みなさんと連絡は取れたので後は再会するだけです!」

 ユイが自信満々に伝えて二人を安心させた。

「良かった……ひとまずホッとしたわ! この世界もアタシ達の世界と、何ら変わっていないみたいだし結果オーライね!」

「そうね――って、えっ!?」

 アスナはリズベットの言葉に思わず驚いてしまう。そう、実は二人は気絶していてこの世界の現状について全く知らされていないのだ。この発言によって和やかな場の空気は一気に凍り付く。新八は静かに訳を妙へ聞いた。

「ま、まさか姉上……シリカさん達にこの世界について教えていないんですか?」

「あっ! そうだったわね!」

「それマジかよ!?」

 妙のあっさりとした態度に驚く銀時。一方、シリカやリズベットは意味を理解しておらず首を傾げている

「みなさん、何を驚いているんですか?」

「この世界のこと? 何か違うの?」

「これは重傷だな……」

 キリトも頭を抱えて事の重大さを思い知る。こうして、シリカとリズベットは場にいた一同の説明でようやく多くの情報を知ることになった。

「「ええ!? 宇宙に開国した江戸時代!?」」

 やはり驚いてしまう二人。これで、この世界が自分のいた世界とだいぶ異なることが証明された。長く時間がかかったがキリトもやれやれと思い説明をまとめる。

「そうなんだよ。江戸の風景なのに生活水準は、俺達の世界と何ら変わらないからな」

「それじゃ、さっき言っていた侍は本当のことだったんですか!?」

「その通りだ。俺とクライン殿は攘夷志士と呼ばれる侍として、本格的な道を歩むことになったのだ」

「ふざけてやっていたわけじゃなかったのね……」

 生活風景や政治風景、さらにクラインが本物の侍の一派として入ったことに驚きが止まらなかったが、何より一番衝撃的だったのは神楽が宇宙人だということだった。

「それに神楽さんが宇宙人だったなんて信じられません!! 見た目は地球人っぽいのに!」

「まぁ、仕方ないアル。でも、生まれた星は違っても関係ないアルよ! ねぇ、アッスー!」

「もちろんよ、神楽ちゃん!」

「ていうか、こう並んで見るとアスナがよっぽど宇宙人っぽいわね。耳もとんがっているし……」

 再び笑顔で返す神楽とアスナ。そんな二人が並ぶと、耳がとんがっているアスナの方がよっぽど宇宙人っぽく見える逆転現象が起こった。とここで銀時が補足に加わる。

「まぁ、耳がとんがっている宇宙人は星の数ほどいるよ。これからこの世界で過ごすなら、てめぇらは絶対宇宙人に間違われるよ」

「そうなんですか? それじゃ、猫耳が生えた宇宙人もいるってことですよね?」

「ああ、いるぜ。でもてめぇの方がよっぽど萌えってことをわかっているよ。アレは絶対認めたくない女だからな……」

 シリカは銀時の言った言葉の意味が気になっていた。それは置いといて、これで二人と一匹はこの世界のことについてだいたい理解した。話もまとまったところで一行は次の現場へ向かう準備を始める。

「さて、これでシリカちゃんやリズちゃんと合流できたわけだけど、みんなは次にどこへ行くの?」

 妙の質問にユイが答えた。

「次は……吉原にいるシノンさんのところに行きますか?」

「そうだな。昨日は大変なことになっていたからな」

 キリトらは昨日の電話の内容からシノンの大変な状況を理解していたが、飲み会に参加していた銀時は全くわかっていない。

「大変なこと? なんだ、そりゃ?」

「まぁ、会ってからの方が早いと思うよ」

 キリトが控えめに返答する。そんな一行が次に向かうのはシノンのいる吉原に決まった。すると、神楽は早くもシリカ達に誘いをかけてくる。

「あっ! それなら、シッリーやリズも加わるアルか?」

「えっ? いいんですか?」

「もちろんです! 仲間は多い方が頼もしいですからね!」

「そんなの最初から決まっていたわよ。私達も行くわよ!」

「そうですね、リズさん!」

 神楽だけではなく新八にも促されて二人は即答で賛成した。だが、銀時だけはなぜか浮かない顔をしている。

「はぁ? これ以上増えるのかよ。漫画やアニメだと大丈夫だけどこれは小説だぞ。ただでさえ作者がセリフの付け方とかに悩んでいるのに、てめぇらまで増えたら余計に混乱――」

「って銀さん!? これ以上言わないでくださいよ!! 触れちゃいけない部分をネタにしちゃダメだから!」

 新八のツッコミが再び決まる。銀時はキャラクターの多さを不安視してメタ発言を連発したのだ。当然この意味を理解しているのは銀魂世界の住人だけで、キリトらSAO世界の人間は全く理解していない。

「漫画やアニメ? それに作者って一体どういうことなの?」

「アッスー……そこは知らない方が幸せアルよ」

 神楽は言葉をぼかして知らされないようにする。それは置いとき、結局シリカら加わることに問題は無かった。銀時を押さえたところで新八は、次に妙へある相談を交わす。

「あっ、そうだ。姉上、一つ相談していいですか?」

「ええ、何かしら?」

「今日の夕方、この道場を使っていいですか? キリトさん達と今後のことについて話したいんですよ」

「そうね……大丈夫よ。みんなと話し合ってこれからについて決めていきましょう」

「はい!」

 新八は要望を受け入れてもらい一安心する。キリトら別の世界の人間達が今後この世界でどうするのか、整理しておくために恒道館の道場を使うという。なるべく銀時達の知り合いを集めて話し合うようだ。すると、桂が反応してきた。

「そうか……ではできるだけ多くの浪士を集めてこようか? 真選組の奴等は絶対に呼ぶんじゃないぞ」

「いや、攘夷志士はアンタらだけで十分だよ。絶対に呼ばないでくださいね!」

 桂の要望を新八は真っ向からへし折った。こうして、これからの予定も埋まった一行は外へと出て再び出発準備へと入る。

 

「ひとまずこれで合流出来て良かったわね、二人共!」

「はい! 志村さ――えっと、お妙さんの方が言いやすいですよね」

「そうね。私も堅苦しいのは苦手だから、そっちで十分よ!」

 妙への呼び方を変更するシリカ。そしてリズベットも含めた二人は、出発前に九兵衛らにお礼の挨拶を交わした。

「では、言い直して……お妙さんや九兵衛さんが助けてくれたおかげで、キリトさん達と合流出来ました!」

「それに色々と教えてくれてありがとうね!」

「いいえ。私達は大したことはしていないわよ」

「当然のことをしただけだ。でも、その言葉は有り難く受け取るよ。 それじゃ、気をつけて行ってくれ!」

「わかってるわよ! それじゃ、また夕方ね!」

 互いに微笑み返して四人の仲は深まっていることがわかった。そして、いよいよ出発の時間である。シリカやリズベットもこの世界で初めて羽を広げて空中浮遊。ピナも翼を広げて同じく空中に浮いた。恒道館前の外で、全員の準備が完了する。

「よし! なら、再び出発だ!」

 そして銀時の掛け声と共に一行は、次の目的地である吉原へと向かい始めた。妙らは見送りながら、最後にある言葉で締める。

「巻き込まれているのは確かなのにどこか明るかったわね、あの子達」

「そうだな。でもこれで僕らも安心したし一件落着だよ」

「まだ巻き込まれそうだけどね」

「そうだな」

 そう呟き二人は見えなくなるまで見送りを続けるのであった。次の行き先はシノンのいる吉原。果たして彼女はマタタビの酔いから解放されているのか? 今後の展開に注目である。そんな時、銀時はクラインへ声をかけた。

「あっ! そうだ、クライン。お前気づいていないから言うわ」

「ん!? なんだよ、銀さん?」

「九兵衛は女の子だよ」

 唐突な沈黙。そして、彼はようやく意味を理解する。

「……はぁ!? そうなのか!?」

「ていうか、気付いていなかったんですか!?」

「これだから鈍い男は困るのよね……」

 シリカやリズベットはとっくのとうに気付いており、彼へ呆れさを表した。このタイミングで九兵衛が女の子だと理解したクラインだったが、

「ということは……お妙さんは百合ってことか!?」

「いや、ちげぇよ!!」

思わぬ誤解が最後に生まれてしまう。全員が心の中で彼へツッコミを入れたのであった。吉原までの道のりはまだ遠い。

 




 中々展開が進まなくてすいません……キャラが多いから予定していた内容よりも多くなってしまうんです……普通の小説よりも人数が多いからしょうがないですけど。なるべくわかりやすく書いていきます。それでは次回はシノンとの再会をお送りします!お楽しみに! 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。