遂に最後の仲間、リーファと合流できた万事屋一行とキリト達。しかし、場を去ろうとした時に近藤、土方、沖田の三人と鉢合わせしてしまい、よからぬ空気が漂い始めていた。
「って、このタイミングで会うのぉぉぉ!?」
新八のツッコミが無常に響いていく。偶然過ぎる展開にみな反応に困っていたが、銀時は一段とにらみつけて喧嘩腰で三人に声をかけた。
「おいおい。何かっこつけて出てきてんだ、てめぇら。余計な文体を増やすんじゃねぇよ」
「うるせぇ、てめぇらに言われたくねぇよ。不法侵入者共」
銀時の言葉にすかさず土方が反応する。こちらも同じく喧嘩腰である。
「不法侵入だぁ? こちとら、沖田君の流したデマで大変だったのに状況を分かって言ってんのか?」
「総悟の嘘はいつものことだろうが。だいたいこっちだって、てめぇらを待っていたというのに勝手に入ってきやがって……喧嘩でも売ってんのか?」
「売ってねぇわ! 煽るのもいい加減にしやがれ! マヨラー!」
「それは、こっちのセリフだ! 天パ!」
そして、二人の口喧嘩はより激しさを増し始めた。一触即発の状態となったので、見かねた仲間達が慌てて止めに入る。
「って、落ち着けよ! 銀さん! 土方さん!」
「トシ! もういいだろ! リーファちゃんが、無事に仲間と合流できただけでも何よりだろうが!」
キリトは銀時を、近藤は土方を抑えて事態の収束を図った。この光景を見た仲間達はそれぞれ違う反応を示している。
「はぁ……銀ちゃんもマヨラーも懲りないアルナ……」
「喧嘩するほど仲が良いって言うけど、あの二人だけは絶対違うわね……」
神楽やアスナは、変わらぬ二人の仲の悪さを見てため息を吐く。一方でリーファを除くキリトの仲間達は、初めて土方ら三人の真選組を見て驚きを口にしている。
「土方さん……!? もしかして、あの人が土方歳三さんなんですか!?」
「えっ、嘘でしょ!? あのⅤ字前髪の男の人が!?」
シリカやリズベットに続きシノンやクラインも声に出した。
「じゃ、あの二人も真選組の有名な人なのかしら?」
「えっと、誰かいたか……まったく思いだせねぇ!」
困惑する四人に対して、新八やユイが説明を加える。
「まぁ、簡単に説明すると、あの人は土方十四郎さんで真選組の副長を務めている人なんですよね」
「十四郎!? ……って、ことはアタシ達の知っている土方歳三とは別人ってことよね?」
「その通りですよ! さらに、髪の毛が立っている方が近藤勲さん。中性的な顔をしているのが沖田総悟さんですよ!」
「みんな! 沖田さんだけには気を付けて! 何を考えているかわからない男だから!」
「何で俺にだけ警戒しているんでい」
途中でリーファが沖田への警告を挟み、本人からツッコミを入れられた。しかし、これでシリカら四人も近藤ら三人を覚えたのである。一方、近藤達も初めて見るリーファの仲間達を気にかけていた。
「おい、トシ! もしかして、あの四人もリーファちゃんと同じ妖精ゲーマーって奴等か!?」
「もしかしなくてもそうだよ。てっきり天人と間違えそうな外見だよな」
「優しくすれば簡単に落ちそうな女ばかりですねぇ」
「総悟……それだけはやるなよ。別作品のキャラだからな……」
近藤は動揺していたが、土方や沖田は至って冷静を保ったままである。沖田だけはリーファの言う通り良からぬことを考えていたが……と互いの事情が分かったところで、再び銀時が声を上げた。
「ところでよ、特にないならこのまま帰らせてもらうぜ! 俺達も暇じゃねぇんだよ!」
「おい、ちょっと待てよ。用だったあるぜ。真選組として伝えるべきことがな」
「はぁ? なんだよそれ?」
土方の真面目な雰囲気を察して場は急に静まり返る。そして、彼は落ち着いた口調でキリト達にあることを伝えていく。
「廃刀令についてだ。てめぇらの武器についてどう対処しようか悩んだが、天人と同じ扱いにすることで決めたから、取り上げたりはしねぇよ」
それは廃刀令についてだった。一部の人間しか武器を持つことを許されないこの法律に対して、真選組はキリト達SAOキャラクターが持つ武器を例外として見なし、所持を公に認めたのである。
「つまり土方さん達は、俺達が別の世界から来たことを正式に認めたってことか?」
これにはキリトが興味深く反応した。
「まぁ、そういうことになるな。だが、別世界から来たとはいえ、この世界のルールや法律にはちゃんと従ってもらう。破るなら俺達が対処するが、それで文句はねぇよな」
「――もちろんだよ。俺達は犯罪なんか起こすことはない。それだけは絶対に言える……!」
土方へきっぱりと言い切ったキリト。仲間達に悪人などいない。その瞳は、仲間を信じ切っているまっすぐな目だった。一方、その言葉と共に銀時やアスナはなぜかクラインの方へ顔を向けている。
「えっ、どうしたんだ? 俺の顔に何かついているのか?」
「いや、だって今のお前はアレだし……」
「一番捕まりそうな人よね……」
「って、二人共!? 何言ってんだよ! 今の俺は誇り高き攘夷――」
「だから、口に出すんじゃねぇよ!」
「捕まりたいの、アンタ!?」
攘夷志士と言いかけたので、銀時とアスナが急いで彼の口を塞ぐ。今のクラインは良く言えば本物の侍。しかし、悪く言えばテロリストなので、真選組の前で正体がバレるのは危険なのだ。だが土方には運良く聞こえていないので、構わずに話を続ける。
「まぁ、全員を見てる限りしっかりしてそうだし大丈夫だと思うけどな」
と言った時、リーファが急に彼へ声をかけた。
「あ、あの……土方さん。一つ聞いていい?」
「ん? なんだよ?」
「……廃刀令って何?」
「って、知らなかったかよ……説明不足だったな」
そう。実は廃刀令はキリト、アスナ、ユイの三人以外にはまったく知らされていない。つまり、さっきまでの話を理解していないのである。
「アレ? みんな、知らなかったアルか?」
「そうよ。でも名前から武器に関係することよね?」
そうシノンが言うと、次に近藤が前に出てみんなへ説明をした。
「その通りだよ。この世界では、一部の人間しか武器を持つことを認められていないんだ。でも、君達は例外と認めるから武器の所持は可能になったってことなんだよ」
「そうだったんですか……やっと意味がわかりました」
回りくどくなったが、一応廃刀令の意味はシリカ達にも伝わる。だが、それを知ったクラインがまた余計なことを口走った。
「つまり刀を持ってはいけないってことか……あっ! だから桂さんは真選組と敵対――」
「おい! いい加減思ったことを言うんじゃねぇよ!」
「少しは学習しなさいってば!」
再び言い放った爆弾発言。銀時とアスナがすかさずクラインを取り押さえる。しかし、また幸運にも土方ら三人には全て聞かれていない。
「まぁ、分かればいいよ。真選組から言えることはそれだけだな」
土方がそう言い切ると、今度は近藤が話かけてきた。
「それじゃ次は俺達個人としての番だな。改めて紹介しよう。俺達は真選組だ! 恐らく君達の世界で言う警察のようなもんだ。もし、俺達に出来ることがあればなんだって協力してやるぜ! まぁ、俺は局長だけど気軽に話しかけてくれよ!」
彼は自らの口で、挨拶を始める。元気よく初見の人にも良い印象を持たせようと笑顔で接してきたが、
「でも、局長って言っているけどああ見えて全裸になって素振りする変態の男だからね」
「ええ、そうなの!?」
「そうそう。土方さんはご飯にマヨネーズかけて食べるし、沖田さんはいじめるのが大好きだし、気を付けておいたほうがいいよ」
「って、リーファちゃん!? イメージ悪くなること言わないでくれる!? アレはたまたまだから! 毎日ってわけじゃないからね!!」
リーファに近藤達の所業が全て暴露されてしまった。良い印象どころか逆に悪い印象が与えられる。近藤は焦って表情も落ち着かなくなるが、土方や沖田は顔色を変えずむしろ開き直っていた。
「まぁ、こうなるだろうと思っていたよ」
「近藤さん。妖精たちにいい顔しようともアンタがゴリラであることには変わらないから、焼け石に水ですよ」
「ちょっとやめて、二人共! せめて努力しようよ! 別世界の住人にはいい顔くらいしようって!」
「初登場した時にストーカーって言ったヤツなんかに言われたかねぇよ」
「アレはストーカーではなく愛を求める――」
三人の間でグダグダな揉め事が展開された時である。
「じゃあな、ゴリラ! バイバイアル!」
「せめて、妖精共に手当くらい支給しとけよ。税金ドロボー」
「あっ! 待って、みんな!!」
空気に連いてこられなくなった一行は、そのまま無視してその場を立ち去ってしまう。結局、真選組は良いイメージを与えられずに会話が終了したのだった。
「まぁ、あのバカ共は置いといて。どうだった、てめぇら? 真選組の印象は」
「思っていた人達とだいぶ違いました……」
「なんだか疲れる人達ね……でも別人で安心したわ」
銀時の問いにシリカやシノンが答える。他の仲間達も同じ気持ちであり、みな疲れた表情をしていた。特にリーファは、真選組に対して強く否定する。
「そうだよ! あんなのが沖田総司だなんて、私は絶対認めないんだからね!!」
「おお! リッフーもあいつのことが嫌いになったアルナ!」
「でも、ここまで否定するのは、沖田さんに何かされたからなのか?」
「そ、それは……」
キリトが聞くと急に口を閉ざしてしまう。すると彼女は、ポケットにしまっていたボイスレコーダーを確認した。これは今日の朝、寝ている時に沖田に寝言を録音されたモノである。
(さすがに撮られたとは言いづらいし……後で壊した時に言おうかな)
と彼女が心の中で呟き安心しきっていた時だった。
「そろそろですかい?」
沖田が不敵な笑みを浮かべて、手に黒い筒状の物体を持つ。そして、中央のスイッチを押すと聞こえてきたのは――
「お兄ちゃんと二人っきり~!!」
「……えっ!?」
なんと彼女の寝言だった。場に腑抜けた言葉が響き渡る。仲間達はそれを聞き、みな困惑してしまう。
「えっ? 今の声って……」
「リーファさんでしたよね?」
注目が彼女へと集まっていく。しかし、リーファは今起きている状況がまったく理解できずに動揺していた。
「嘘……なんで!?」
焦った彼女は、ポケットに入れていたボイスレコーダーを取り出す。だが、ボタンを押しても音声は聞こえてこない。これを知り、彼女は徐々に状況を理解し始める。
「ま、まさかこれって……」
そう、考えられる犯人はただ一人。リーファが振り向くと、その男は嘲笑いながらこちらへ向けていた。
「おや? ようやく気付いたんですかい? これが偽物だってことに」
犯人はやはり沖田総悟である。彼が安々とボイスレコーダーを渡すはずがない。数時間前にリーファに渡したのは、何も録音されていないモノだったのだ。こんな簡単な仕掛けに最後まで気づけなかった彼女は、悔しい気持ちで胸が一杯になる。一方、
「お兄ちゃん!! 大大大だーいすーき!!」
種明かしをした後でも沖田は音声を流し続け彼女を煽ってゆく。そして、遂にリーファの堪忍袋の緒が切れた。
「沖田さん……もう……いい加減にしなさいぃぃぃぃ!!」
激高したリーファは、顔を怖くさせると緑色の羽を広げ飛行しながら沖田へと突進する。
「おおっと。これはまずいですねぇ」
しかし、沖田は怯むことなく逃げてさらに彼女を煽ってくる。
「ほら~捕まえるもんなら捕まえてくだせえよー」
「待て!! このドS男!! アンタだけは……絶対許さない!!」
二人の追いかけっこは収まる気配がなかった。さらに、火に油を注ぐ事態が起こる。
「おい、ドS!! リッフーをいじめるのもいい加減にするアル!! 私がこの手で制裁を加えてヤルネ!!」
「って、神楽ちゃん!? ちょっとぉぉ!? 追いかけるの!?」
何と神楽までもが追いかけっこに参加を始めたのだ。沖田への憎しみが、衝動的に彼女を動かしたらしい。そんな、カオスな光景に仲間達も違った反応をする。
「はぁ……総悟も懲りない奴だな」
「年が近いから気が合うと思っていたが、ここまで悪くなるとは」
近藤や土方は沖田の性格に難色を示し、
「えっと……つまりあの声は一体何だったのでしょうか?」
「まぁ、リーファがあれほど怒っているなら、沖田さんに何かされたってことじゃないのかしら?」
「なんだか、リーファちゃんが可哀そうになってきたわ……」
ユイやシノン、アスナを始め仲間達は彼女の不運さを見て哀れに思い始めていた。
「沖田さんはとんでもないドSだったんですね……」
「リーファも悪い友と出会ったってわけね」
「友じゃないと思いますけど……」
シリカやリズベットの言葉に新八が軽くツッコミを入れる。一方、銀時やキリトは至って冷静だった。
「まぁ、お前の妹も運が悪かったってことだろうな。後でしっかりフォローいれとけよ」
「分かっているよ、銀さん。それにしてもあの声は、沖田さんが勝手に作った声なのか?」
「お前は意外にも純粋だな……」
そっと銀時がツッコミを入れる。だが、クラインだけは反応が異なっていた。
「なるほど……イケメンだったら何をしても許されるということか……」
「お前はどこにショックを受けてんだよ」
またも銀時がツッコミを加える。こうして、最後の仲間であるリーファと合流できた万事屋一行であったが、沖田の仕組んだ策によってグダグダな締めくくりを迎えるのだった。
「もう!! なんで私ばっかりこんな目に合うのよぉぉぉぉ!!」
彼女の悲痛な叫びが屯所中に響き渡る。その一方で、足止めをしている定春とピナは、
「ワフ―?」
「ナー?」
動けなくなった山崎をさすって遊び始めていた。どうやら、見張りに飽きて山崎をおもちゃとして扱い始めたようである。
「アレ……俺、これで出番終わり? 蛇足じゃない?」
自問自答を問う山崎だった。
結局綺麗に終われないのが銀魂です。やっぱり沖田は容赦ねぇな……さぁ、次回へと話を戻して、いよいよ銀魂並びにSAOのレギュラーメンバーが恒道館へと集結します!第四訓でちらっと出たあのキャラクターも登場します!次回は明日か明後日には投稿できますので、ご期待ください!あっ、ちなみに次回は真選組の出番はないです。