剣魂    作:トライアル

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 遅れてすいません!やっと出来ましたが、後半で加筆部分が見つかったのでまずは前半部分です!予告で言っていた四話のキャラクターは後半に出てくるので、そこはご了承ください!それでは、どうぞ!


第十四訓 集合時間はちゃんと確認しておこう

 時刻が十四時を過ぎた昼下がりのかぶき町。キリトの仲間達と合流した万事屋一行は、最後の目的地である恒道館へと足を進めていた。全員がゆっくりと歩く中、銀時はスクーターを手で押しながら、神楽とユイは定春に乗りながら向かっている。すると、銀時がキリトへ話しかけてきた。

「さて、これでお前らの仲間は全員集まったんだろうな?」

「うん。お登勢さんのところにいるエギルを除けばこれで全員だよ」

 今一度、全員が揃っていることを確認する。新八、アスナ、神楽、ユイ、定春と自分達を含めた万事屋の六人と一匹に加え、シリカ、リズベット、リーファ、シノン、クライン、ピナといったキリトの仲間達が五人と一匹。総勢十一人と二匹で住宅街を移動していたのだが――未だに不機嫌なメンバーが一人いた。

「はぁ……なんで私ばっかりこんな目に合うのよ……」

「しっかりするネ、リッフー! ドS野郎にいじめられてもくじけちゃダメアルよ!」

 落ち込むリーファを神楽が励ます。彼女は、数時間前に沖田のいたずらで酷い目に合わされており、仲間達に自分の恥ずかしい寝言を晒されたのだ。怒り狂ったリーファが沖田を追いかけまわし、神楽までも加わったこの騒動の結末は、近藤や土方が止めに入ったことで収束する。沖田の代わりに近藤ら二人が謝り、彼自身もいたずらで寝言を録音したことだけは認めたが、リーファへの謝りは一斉無かった。仲間への誤解は解けたものの、まだ彼女は心から納得していない。

「でも……あんな寝言をみんなの前で晒されて、これから私はどう生きていけばいいのよ……」

 やはりショックが大きかったのかズルズルと引きずるリーファ。顔色も悪く落ち込んだままである。そんな彼女に対して、仲間達は次々と励ましの言葉をかけた。

「そんなこと思わないでくださいよ、リーファさん! アタシ達だって、大変な目に合っていたんですから!」

「えっ? それって、どういうこと?」

「まぁ、この世界へ来てからお妙さんって言う女の人に助けられたんだけど、あの人の作った卵焼きを食べてアタシやシリカ、ピナは一日中気絶していたのよ」

「ええ!? 卵焼きで気絶するの?」

「しますよ。お妙さんの作った卵焼きだったら……」

 まずはシリカとリズベットが、自ら犠牲になった体験談をリーファへ話す。彼女達にとって妙の作る卵焼きはトラウマに等しかったが、明るい表情から共に気にしていないように見えた。すると、流れに乗ってシノンも失敗談を話し始める。

「それに私は、またたびを浴びて半日酔っていたのよ。しかも、キリト達にも見られていたからリーファと同じく恥をかいたのよね」

「シノンさんが酔った……!?」

「そうよ。身に覚えはないけど、ずっと月詠さんに甘えていたらしいわ」

 冷静に自分が酔って迷惑をかけたことを打ち明けたシノン。無自覚とはいえ彼女もリーファと同じく仲間に、恥ずかしい姿を晒してしまった。だが、微笑んだ表情を見ると彼女も大して気にしていないように見える。さらに、アスナやユイも続く。

「私達だって大変だったのよ。この世界へ来たら変な宇宙人に捕まって食べられそうになったんだから」

「でも、神楽さんが助けてくれたおかげで、私達は万事屋と会うことができたんです!」

「その通りネ! 不幸中の幸いってヤツアル!」

 二人は初めて神楽と出会った時の危機的状況を話す。大変な目にあったにも関わらず、やはり三人も明るく笑い話で済ましていた。これらの話を聞き、リーファはあることに気付く。不幸なのは、自分だけじゃないということを。

「そうだったんだ……みんなも大変だったのね」

「まぁ、不幸だったのは自分だけじゃないってことだよ。悪いことがあれば、その分良い事もあるからよ。現に、仲間や兄貴と合流出来たじゃねぇか」

 銀時がそう励ますと、次にキリトが彼女へ声をかけた。

「寝言くらいで、俺達は気にしていないよ。だから、そう深く考えるなって。スグ」

 義兄の優しくも温かい言葉がリーファの胸に刺さる。すると、気持ちが楽になり彼女は徐々に元気を取り戻していった。

「お兄ちゃん……励ましてくれてありがとうね!!」

 そして、振り切った笑顔をキリトへ返す。ようやく彼女も平常心を戻していった。仲間達も一安心する中、銀時が音量を下げて皮肉を口にする。

「そうそう。そこまで気にするなってことだ。だいたい妄想がバレたって言うけど、お前らの仲間も同じような事一つや二つ思っているから安心しとけって」

「同じ? とはどういうことでしょうか?」

「いいや、なんでもねぇぜ! ユイにはわからねぇ大人の事情だからな!」

 ユイが不思議そうに聞くと銀時は慌ててごまかしを入れた。奇遇にも小さい声だったのでシリカ達には聞こえていなかったが、雰囲気から銀時が良からぬことを言ったことは察している。

「なんか銀時さん、怪しくないですか?」

「確実にアタシ達のこと言っていたわよね」

「今度聞こえたらどうなるか覚えておきなさい……」

 疑いを強めるシリカ、リズベット、シノンの三人。共にしかめっ面の表情となり、銀時の方へにらみつけていた。キリトと違い銀時への対応は甘くない。その一方、

「って、アレ? おい! 俺の桂さんとの出会いをまだ話していないじゃねぇか!」

「完全にタイミングを逃しましたね。まぁ、それは僕もなんだけど……」

新八とクラインは言葉をかけるタイミングを失い、ここでの出番を失ってしまう。チャンスを逃し、共にため息を吐いてしまう。そんな会話を交わしながら、仲間達は恒道館へと道を進んでいく。

 

 しばらく歩いていると、一行はとある門の前に止まった。そう、ようやく恒道館へとたどり着いたのである。

「よし、戻ってきたぞ。恒道館に」

 着くなり銀時が声を上げた。万事屋らが恒道館に戻ったのは実に数時間ぶりだが、リーファとシノンにとっては初めて訪れる場所でもある。

「ここが恒道館……確か新八君の家で道場なのよね?」

「そうですよ。ビームサーベ流を教える立派な道場ですから!」

「ビ、ビームサーベル!?」

「随分変わった流派を教えているのね……」

 予想もしなかったダジャレのような流派にシノンら二人は反応に困ってしまった。もちろん、他のメンバーも同じである。

「ビームサーベルってどっかで聞いたことある名前だよな」

「そこは気にしないでください! 色々訳があるんですから!」

 またもクラインが余計なことを言いだしそうなので、新八がすぐに説得させて沈静化させた。道場について軽く触れたところで、銀時とキリトが手を叩き一同へ向けて話しかける。

「はい、注目―。これより、俺達から大事な話があるのでちゃんと聞くようにー」

「って、なんで銀時さんはやる気のない声で言うんですか!?」

「なんか引率の先生みたいね……」

 銀時が腑抜けた声で伝えてきたので、シリカやリズベットからツッコミを入れられた。と一行の注目が二人に集まったところで、今度はキリトが口を開く。

「まぁ、銀さんは置いといて、まずはこれからの予定をみんなへ話しておくよ」

「これから……確か月詠さん達と一緒に話し合いをするのよね?」

「その通り。銀さん達の知り合いがここに集まって意見交流をするんだよ。もちろん、この先のこともしっかり話し合うよ」

 シノンからの質問にキリトはすぐに返した。彼の言う通りこれからこの道場には、多くの大人達が集まる。自分達が置かれている状況、並びに今後立てるべき目標を今一度整理させる。まさに、今後の彼らを左右させる重要な分岐点でもあるのだ。

「そうでしたね……アタシ達の知らない間に大きく事態が動いていたんですよね」

 シリカを始め仲間達はこの事態に感慨している。多くの大人達が自分達のために、協力してくれることに感謝しかないのだ。すると、銀時が再び話しかける。

「まぁ、結果オーライってところだろ。お前達が出会った大人達は、バカで人として欠けている部分もあるが、それでも厚い情を持っている。そんな奴等と出会ったことで、この世界でもお前らは再会できたんだ。俺は事態がうまくいっている方だと思うぜ」

 彼は自分らしい言葉を使ってキリト達を励ました。前も後ろもわからないこの異世界で、銀時ら万事屋やその個性的な仲間達と出会い、今こうしてみんなと合流できたのは奇跡に等しい。その重みをキリト達は深く受け止めている。

「銀さん……励ましてくれてありがとうね」

「別にいいよ。俺達は当たり前だと思って、行動しているだけだからよ」

「なんだかいつもよりも大人ですね、銀時さん!」

 アスナからのお礼に銀時はそっと微笑んで返す。その光景に、ユイは思わず彼を見直していた。普段はあまり見せない優しさが、銀時への信頼を高めていく。それはキリトだって同じである。

(やっぱり銀さんらしいな。普段はふざけたり情けない部分もあるけど、こんな大人らしいことも言えるなんて……この人と出会えて本当に良かったよ)

 そう思うとついクスッと表情が緩んでしまった。照れ臭く口には出せない言葉だが、キリトは心の底から銀時への信頼を強めていく。仲間達も銀時を見直す中、突如恒道館の門が開き始める。

「あっ! 銀ちゃん! 門が開いたアルよ!」

「おっ! ってことは、お妙と九兵衛か? 開けてくれて、ありがと……」

 と銀時が礼を言った時だった。門を開けると見えてきたのは――

「誰がバカで人として欠けているじゃ!! ボケェェ!!」

「ブホォォォ!!」

強烈な飛び蹴りを交わす妙の姿である。突然の出来事に銀時は避けることができず、彼女の飛び蹴りを腹に食らってしまい、そのまま隣の壁まで吹き飛ばされてしまった。

「ぎ、銀さん!? ちょっとぉぉ!? 何が起こったの!?」

 衝撃の展開に新八のツッコミは止まらない。他のメンバーも最初はこの状況をまったく読み込めずにいる。一方妙はというと、

「ふぅ……って、アラ? ごめんなさいね! これでも通常の五割しか力を出していないから安心してね!」

「いや、何のフォローにもなっていないよ! むしろ恐ろしさを与えているだけだよ!」

周りの状況に気付き表情を柔らかくして誤魔化した。しかし、幾ら言い訳を言おうとも既に逆効果である。さらに、そこへ遅れて九兵衛もやってきた。

「妙ちゃん!! そこにいたのか!!」

「あっ、九ちゃん! ごめんね、急に飛び出して。銀さんが悪口を言っていたから、つい壁に飛び蹴りしたら本人に当たっちゃったのよ! 偶然って意外にも近くで起こるものなのね~」

「って、偶然だったんですか!?」

「相変わらず勢いのある人ね……お妙さんって」

 妙の呑気な言葉に、シリカとリズベットもツッコミを入れる。どうやら彼女は、故意で銀時へ攻撃を仕掛けたらしい。これには一行の動揺も止まらなかった。

「すごい……凛としているだけじゃなくて度胸があるなんて……まるで男みたいだ……!」

「おい! 今なんて言った、ゴラァ?」

「いや、なんでもないです!!」

 本音をこぼしたクラインに、妙はにらみを効かせて脅す。男みたいと言われるのが、彼女にとって最大の侮辱にあたるのだ。

「お妙さんだけはどうしても敵に回したくないわね……」

「もう素手でラスボスのモンスターと張り合えそうだよな……」

「キリトさん、アスナさん。そこは僕も否定しません。むしろ、肯定します!」

「って、新ちゃんまで何てこと言ってんのよ!」

 キリトやアスナも苦笑いをしたまま言った例えに、新八はツッコミをするどころか共感してしまう。それくらい、妙には恐怖を感じていた。一方で、妙らを初めて見たリーファとシノンは状況を理解していない。

「えっと……お妙さんと九ちゃんって言うの?」

「どうやら私達が会っていない、キリト達の知り合いみたいね……」

 戸惑う二人に対してユイが近づき本人に代わって説明をした。

「その通りですよ! 先ほど銀時さんを吹き飛ばした女性は、志村妙さん。新八さんのお姉さんなんです!」

「お姉さん……って、新八君、弟だったの!?」

「それと眼帯をつけた女性が柳生九兵衛さん。外見から分かりづらいですが、男性ではなく女性ですよ!」

「九兵衛……新撰組に続いてまた偉人と似た名前の人ね」

 印象が強かったせいか、早くも名前を覚えた二人。妙に対しては男勝りな女性だと認識し、九兵衛に対しては偉人の人物と似た印象を持ち合わせる。さらに神楽も説明に加わった。

「そうネ! 姉御達は強いからジャンジャン頼るといいアル! 同性に対しては優しいし、みんなの心強い味方にあるアルよ!」

「えっ? そうなの、神楽?」

「うん! 姉御はあまり異性とかを気にしていないみたいだからナ」

「……じゃ、つまりお妙さんはまさか――」

「「百合?」」

「いや違いますよ!! 神楽ちゃん、勘違いするようなこと言わないで!」

 神楽の言葉が足りなかったからか、勝手に同性愛者と勘違いする二人。すかさず新八が修正し、大事には至らなかった。すると、妙達もようやくリーファやシノンの存在に気付き始める。

「おや? みんないると思っていたら見慣れない子もいるわね。もしかしてこの子達も、アスナちゃん達の仲間なの?」

 妙が質問すると、二人に代わって神楽が紹介した。

「そうアルよ! 金髪で胸が大きいのがリッフーで、猫耳で足が細いのがシノアル! 以後よろしくネ!」

「って、神楽!? 紹介雑じゃないの!?」

「正確にはリーファとシノンなのに……」

 大雑把な紹介に、ツッコミを入れる二人。一方妙は一斉気にしておらず、リーファとシノンの外見に興味を示していた。

「へぇー随分可愛らしい子じゃないの。上半身が立派なリーファちゃんと、下半身が美しいシノンちゃんね。しっかりと覚えたわ……」

「って、お妙さんまで変な覚え方しないでくださいよ!」

 妙は不気味な笑顔をしたまま、密かに嫉妬を燃やし始める。今回は大きめの胸を持つリーファのみならず、細くて美しい脚をしているシノンも妙に目を付けられてしまった。と彼女の乱入で取り乱した場に、あの男が戻ってくる。

「おい、お妙!! さっきの攻撃はなんだよ! 完全に俺が被害者じゃねーか!」

 それは怒号を上げた銀時だった。壁と衝突したものの命に別状はなく、体も無事のようである。しかし、蹴りを入れられたことに納得がいかず怒りを露わにしていたが――

「偶然当たったことは謝るわ。でも、銀さんも私のことをバカにしていたんだから、蹴りはチャラってことでいいわよね?」

「またかよ! 俺これで今日二度目だぞ! どんだけ女共からサンドバックにされなきゃいけないんだよ!」

妙からはお互い様と言われてしまう。銀時の怒りが収まらない中、キリトと新八が説得のために彼の元へ駆け寄った。

「まぁまぁ、銀さん。今は落ち着こう」

「そうですよ。これから話し合いだってあるんですから。今は穏便に済ましましょう!」

「……チッ! わかったよ! 一旦、手は引いてやるよ! チキショー!」

 話を進めるために銀時は、一旦怒りを抑える。これにて喧嘩が収まった一方で、九兵衛は妙の様子を見るために話しかけていた。

「妙ちゃん、大丈夫か?」

「ええ、色々あったけど今は落ち着いているわ」

「そうか……ん? そういえば、彼女達にまだ挨拶していなかったな」

 すると九兵衛は、リーファら二人に挨拶していないことに気付く。二人へ近づき、挨拶を交わすことにした。

「初めまして、二人共。もう紹介が入っているかもしれないが、僕の名は柳生九兵衛だ。万事屋や妙ちゃんとも仲良くしてもらっている。リーファ君やシノン君も大変な目に合っていたかもしれないが、僕等がいればもう大丈夫だ。安心してくれ!」

「あ、ありがとうございます!」

 力強く頼りになる言葉が、二人の心に響く。九兵衛の雰囲気は今まで会ったこの世界の住人の中でも、真面目でしっかりした印象にも見えた。

「良かった……この世界にも常識が通じる人がいて……」

「月詠さんと同じくらいしっかりしているわね。真面目な人で安心したわ……」

 妙とは違い毒のなさそうな九兵衛の雰囲気に二人は安堵の表情を浮かべる。そう安心していた時、突如銀時が声をかけてきた。

「真面目ね……こう見えても九兵衛も意外な一面があるぞ」

「えっ? それって、どういうことなの?」

「こういうことだよ。それ!」

 すると銀時は近くにいたクラインの背中に近づき、思いっきり後ろから強く押していく。

「えっ!? ちょっと、銀さん!? うわぁぁ!!」

 バランスを崩したクラインは体勢を安定するために、がむしゃらにも目の前にいた人の肩を掴む。

「ふぅ……危なかったぜ。助けてくれてありが――」

 だが上を向いた瞬間、クラインの脳裏には今朝の事件が蘇る。なぜなら、

「きゅ、九兵衛さん……?」

肩を掴んだ人物は柳生九兵衛だったからだ。彼女は男性に触られると、つい投げ飛ばしてしまう癖を持つ。故に今日も、突然握手してきたクラインに背負い投げを食らわせた。つまり今回も、

「ぼ……僕に……僕に触るなぁぁぁぁ!!」

「やっぱりこうなるのぉぉぉ!!」

恥ずかしがる九兵衛によって体を掴まれて、クラインは思いっきり投げられてしまう。突然の展開に、一行は唖然としてしまった。

「って、何が起こったのよ!?」

「九兵衛さんがクラインさんを投げ飛ばした!?」

 特にこの光景を初めて見たリーファとシノンは、一段と驚いてしまっている。そんな彼女達に、銀時がわかりやすく説明を加えた。

「そうなんだよ。九兵衛は男に触れられると、反射的に投げ飛ばしてしまう体質なんだよ。どうだ? 意外な一面だろ?」

「って、呑気に解説している場合じゃないでしょ!!」

「早く追いかけましょうよ!!」

 九兵衛の一面が分かったのはいいが、今は投げ飛ばされたクラインの行方が気になって仕方ない。一行が急ぎ足で、彼を追いかけていく。一方、投げ飛ばされてしまったクラインだが、残念なことに不幸はこれで終わらない。彼が投げ飛ばされた先の地面の中では、

「もうそろそろかしら! ここで出るわよ! さっちゃん!」

銀時を待ち伏せしていたあやめがいる。彼女は既に恒道館へと着いていたのだ。クラインの叫び声を聞き銀時と勘違いした彼女は、頃合いと確心して勢いよく地上へと飛び出す。

「さぁ、銀さん! 約束通り、サプライズを仕掛けたわ! 私と一緒に濃厚なキスを――」

 満面の笑みでジャンプしたあやめだったが、彼女の目の前にいたのは、

「って、えっ!? ブホォォォ!!」

投げ飛ばされたクラインである。二人は避けることもできず、そのまま正面衝突した。クラインは地上へと落下し、あやめは気を失い空へと飛ばされる。しかも彼女が向かう先には、

「ハッ! ハッ! ハッ! 銀時! クライン殿! ようやくこの俺、桂小太郎が帰ってきたぞ! 久しぶりに活躍させてもらおうじゃないか!!」

塀を昇っていた桂とエリザベスの姿があった。ようやく回ってきた出番を大袈裟にアピールして、にやけながら高笑いを続けている。なんとも悪いタイミングで、出てきてしまった。

「よし、まずは話し合いの前にリーファ君に攘夷の素晴らしさを手取り足取り教え……って、グハァァ!!」

 桂は途中であやめが向かってくることに気付くが、時すでに遅い。彼女と衝突してしまいエリザベス共々、道場の敷地内へと落下。三人同時に倒れ込んでしまった。さらにエリザベスの持っていたセリフ用のプラカードも、落ちた衝撃で空中を舞う。その先には、

「アレ? まだみんな来てないのか? 折角うまい酒をたまさんから借りてきたのにな」

お気に入りの酒瓶を持ち浮かれている長谷川がいる。裏口から入った彼は酒を飲むため、早めに到着していた。

「おーい! 銀さん! まだ来てないのか……って、ギャャャ!!」

 呑気に声をかけていた長谷川にも不幸が訪れる。後ろの首筋にプラカードが直撃したのだ。彼の首に激痛が走りそのまま倒れ込むと、持っていた酒瓶の蓋がはずれて中身のお酒が吹き出してしまう。その先には、

「なんじゃ、この騒ぎは? 折角早く来たというのに……何が起こっているんじゃ?」

騒ぎを聞きつけた月詠がタイミングよく戸を開けた。彼女は既に恒道館へと到着し万事屋一行が来るのを待っていたのである。

「ん? アレはなん……」

 月詠も気づいた時には遅かった。ちょうどよく――「バッシャャ!」とお酒が降りかかってしまう。体中に浴びたお酒のせいで、月詠の態度は一変。冷静さを失い、破天荒な性格の酒乱と化したのだ。

「……ヒック! おい……いい加減静かにしろよ、ゴラァ!! ゆっくり酒も飲めねぇじゃねぇかぁ!!」

 真っ赤な顔で一人怒号を上げる月詠。一昨日に続いて、またも被害を受けてしまう。とそこに、ようやく万事屋一行が駆けつける。

「クライン!! 大丈夫か――って、えっ!?」

 キリトが声をかけようとした瞬間、衝撃的な光景を見てつい絶句した。仲間達もキリトと同じく、次々と衝撃を受けている。そこには、クライン、あやめ、桂、エリザベス、長谷川の五人が倒れ込む様子と、

「早く酒を持ってこいよ!! ハッ!」

ただ一人叫びながら暴走する月詠が目に映っていた。投げ飛ばされたクラインをきっかけに負の連鎖が続き、まるで地獄絵図のような光景を作り出したのである。これには全員が引いてしまった。

「……な、何がどうしてこうなったぁぁぁぁぁ!?」

 新八のツッコミが敷地内にこだまする。メンバーとの再会や合流は、トラブルのせいでグダグダなものになってしまった。一方で遅れてお登勢、キャサリン、たま、エギルの四人も恒道館へと訪れていたのだが、ドミノのように起こった負の連鎖を見て心配するどころか呆れてしまっている。

「ヤレヤレ……全くあいつらときたら、こうも綺麗に集まれないものなのかね?」

「ハッ、ハッ! それもそうだな! でも、俺は賑やかな方が楽しいと思うし、何よりあいつらが元気そうなのが一番だと思っているけどな」

「そうかい……」

 お登勢の皮肉にエギルは笑いながら返した。彼自身どんなことであれ、笑いあえる方が楽しいと感じている。それから数分後、気絶していたクラインらや酔っていた月詠も気を戻す。結局この騒動もお互い様ということで、誰のせいにもされず収束した。こうして、騒動はあったもののようやく恒道館に、万事屋やその知り合い、並びにSAOのレギュラーメンバーが集結した。いよいよ、話し合いが幕を開ける。

 




 前回に続いてグダグダで終わる展開でした!では、次回は明日投稿します!長い事かかりましたが、ようやく第一章が完結!最後までコラボたっぷりで、ご覧ください!
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