さて、小説の方に戻って今回から会議がスタート!果たしてどこまで真相に辿り着くのか?さらに、あのグループも思わぬ復活を果たします。大人数での会議前半戦をぜひ、ご覧ください!
会議が始まる三十分前の出来事。恒道館にある道場の裏側では、四人の女性が集まって事前に話し合いを行っていた。場には妙や九兵衛、気絶から立ち直ったあやめに泥酔状態から酔いを覚ました月詠がいる。四人はある議題に対して、考えをまとめていたのだ。
「それじゃ私達で、シリカちゃん、リズちゃん、リーファちゃん、シノンちゃんの四人を手助けするってことでいいわよね?」
「もちろんじゃ。今日には日輪とも下宿について話してみるかのう。大方、賛成だと思うが」
「異論はない。四人くらいなら柳生家の財力でも養うことができるからな」
妙の言葉に月詠と九兵衛が反応する。あやめもうなずいて妙の考えに賛成した。どうやら四人は、現在行く当てのないSAO女子達を、サポートしようと話し合いの前に色々と決めていたようである。すると、あやめが妙に話しかけてきた。
「私達で四人の女子達を支えるというわけね? アンタにしては珍しく手際のいいことするじゃないの」
「もちろんよ。これなら、SAOで人気投票があった時、私達も組織票として参加できるでしょ?」
「そんな野望があったの……?」
妙はさらっと本音を言い、あやめの気を引かせてしまう。以前あった人気投票篇と同じく、地位に執着する心を仲間へと見せつける。だが、妙の本心は決してふざけていたわけではなく、ちゃんとシリカ達のことを思ってこの答えへと至っていた。
「でも本当はね、あの子達が心配で仕方がないのよ。自分が知らない世界に来たら、誰だって戸惑うし不安も消えないわよね。だからこそ、私達大人がしっかりと支えて、あの子達を安心させてあげないと」
「お妙ちゃん……」
先ほどまでの気楽さとは異なり、しんみりとした表情を妙は浮かべている。別の世界の住人であるシリカ達を預かることに、重い責任を感じているからだ。それは九兵衛らも同じく受け止めている。
「そうじゃな。シノンやみんなには安心してこの世界で暮らしてほしいからのう……」
「同じサブヒロイン同士、仲良くしていきたいものよね」
月詠やあやめも冷静に呟き、改めて責任を確認した。話しているうちに、そろそろ会議が始まる時間となる。
「ん? もうこんな時間か? そろそろ道場に戻らなければ」
「そうだったわね。それじゃ、空気を見計らってシリカちゃん達を私達の組織へ誘い込みましょう!」
「もちろんよ! ちゃんと空気を読んで誘い込むのよ!」
「わかっておる。では、行くかのう」
これからの会議に妙ら四人は、気持ちを静かに高めていく。こうしてひっそりと道場へ戻っていくのだった。
時間は過ぎていき、ちょうど十七時となる。恒道館にある道場には、銀時やキリトらが呼びかけた仲間や知り合いが集まっていた。左から順に、万事屋、スナックお登勢、攘夷党、未所属の女子メンバーと所属先ごとに縦で整列して座っている。万事屋に所属するキリト、新八、アスナ、神楽、ユイ、定春の五人と一匹。スナックお登勢に所属するお登勢、キャサリン、たま、エギルの四人。攘夷党に所属する桂、クライン、エリザベスの三人。そして、女子メンバーの妙、シリカ、九兵衛、リズベット、あやめ、リーファ、月詠、シノンの八人。さらにピナや長谷川を含めた合計二十二人と二匹が、この話し合いのため集まっている。すると移動式のホワイトボードを二台分持って、銀時が一行の前へと現れた。配置を終えると、マイクを片手に口を開く。
「あ、あ、あ。え~みんなが集まるまで色々と長く時間がかかってしまったが、ようやくこの会議を始めようと思っている。では、いくぞ。これより、第一回他世界対策交流会議を開始するー!」
やる気の通っていない掛け声と少量の拍手により、いよいよ会議が幕を開けた。だがまず気になったのは、会議の名前である。
「た……他世界対策交流会議?」
「名前長くない、銀さん?」
細かいことを気にするキリトやアスナに、銀時は自分らしい言葉で返す。
「そこは気にするな。適当につけた名前だから、そんなに深い意味はないよ」
「って、適当につけたのかよ!?」
彼曰くそこまで深い意味はない。これには、キリトも新八並みのツッコミ力を見せる。それはさておき、銀時は再び話し出した。
「みんなも分かっていると思うが、今俺達の世界には別の世界から来たゲーマー達が、なんと九人も来ている。しかもアバターのまま来ているみたいだから、このように天人のような容姿をしているみたいだ。まずはそれを踏まえて自己紹介……と言いたいところだが、いちいちやってもめんどいから、さっき用意したホワイトボードに俺が代わりに書いておいたから、分からねぇ奴は後で適当に見ておくようにー」
すると銀時は左側に置いたホワイトボードを裏へ回転させて、事前に書いておいた紹介文を一同へ見せつける。これで自己紹介を簡単に済ませようとしていた。
「いつの間にこんなもの作ったのよ……」
銀時の意外な行動力に脱帽するシノン。一方、紹介文にはこの場にいる全員分の名前や現在の所属先などが事細かに書かれていたのだが、
「って、待てよ! なんで俺だけ所属先、ダンボールなんだよ! せめてホームレスじゃないのかよ!」
なぜか長谷川の部分のみ所属先がダンボールと書かれていた。指摘を受ける銀時だが、彼にはいちいちツッコミを入れる余裕は無い。
「長谷川さん、そこは黙っていてくれよ。ただでさえこっちは、二十人以上を相手にしなきゃいけないのに、お前のツッコミで時間はとりたくないんだよ」
「って、ツッコムようなことを書いたお前が原因だろうが!」
長谷川の指摘は軽くあしらわれてしまう。一方で、銀時は構わずに話を続ける。
「紹介文に文句がある奴は後で、クレームを言うように。さて、それじゃ本題といくか。まずは、お前達をこの世界へ送った元凶……サイコギルドについて話し合おうじゃないか」
最初に話題に上がったのは、キリト達を銀魂世界へと送った全ての元凶であるサイコギルドについてだ。この言葉により、場の空気は一気に緊張感へと包まれていく。
「サイコギルド……俺達をこの世界へ送った組織……」
「そうだな。お前らの方が分かっていると思うから説明を頼めるか?」
「はい、わかりました。銀時さん」
すると説明役としてユイが立ち上がった。彼女がキリト達を代表して、自分達の身に何が起こったのかを大まかに説明する。
「サイコギルドは私達をこの世界へ送った組織です。時間停止やブラックホールを作り出す能力を持っていて、私達はその組織の作り出したブラックホールに吸い込まれて、この世界へ来てしまったんです……」
「それは恐ろしい力ね……」
「ブラックホールを作るなんて物騒な奴等アルナ……」
想像を超える能力を持つサイコギルドにあやめや神楽も心が動揺する。銀魂世界の住人にもサイコギルドの恐ろしさが伝わった。さらに、被害を受けた仲間も次々とブラックホールの中で起こった出来事を語りだす。
「そうね……ブラックホールに吸い込まれた時の感覚は今でも忘れられないわ。真っ暗な闇の中、体の自由が効かなくて、頭も激しい痛みで苦しめられたもの……」
「アスナもなの? アタシ達も同じように苦しめられたのよ!」
アスナの体験した内容に、リズベットも同じくうなずく。どうやらキリトら別世界から来た住人は、ブラックホールを通り抜ける際にみな頭への痛みを感じたという。
「正直、思い出したくないです……」
「なんだか気色悪かったからな」
シリカやクラインも口を揃えて共感する。不安げな表情から、相当な恐怖を感じているようにも見えた。と彼女達が語った体験談を、銀時は右側に置いてあるホワイトボードへ書き込んでいく。
「なるほど……触手プレイに巻き込まれたってことか」
「って、全く違うこと書いているんだけど!!」
「ちょっと、銀さん! 真面目な会議なんだから、ふざけないでくださいよ!!」
予想もしていなかった銀時のボケに、リーファと新八がツッコミを入れる。場が少しだけ和んだところで、銀時は真剣な空気を戻していく。
「わかっているよ。要するにこうだろ? まず大型のブラックホールによって、キリト、アスナ、ユイがこの世界へとやってくる。遅れて二日後くらいに、小型のブラックホールで仲間達も時間差で来てしまったと」
そう言いながら彼はわかりやすく経緯を書き込んだ。すると、今度はキリトが反応して説明を続ける。
「そうだな。後、見てわかる通りサイコギルドは複数犯だと思うんだ」
「複数犯? 一人の仕業ではないということだな?」
「ああ。俺達が会ったのはローブを被った女子だったが、エギル達が会ったのは銀色の怪人みたいなんだ」
「つまり、二人以上いると考えた方がいいわけね?」
「その通りだよ」
九兵衛や妙の問いにキリトは自信良く言葉を返す。ここで現在分かっているサイコギルドの情報をまとめると、時間停止やブラックホールの生成と人間離れした能力を持っていること。ローブを被った謎の少女と銀色の怪人が所属していること。思いつく限りのことを銀時はホワイトボードへ書き詰めていく。そんな中、キリトは引っかかることを彼へ聞いてくる。
「なぁ、銀さん。この世界には本当にサイコギルドはいないんだよな?」
「俺がわかる範囲では、聞いた覚えはねぇよ。恐らくここにいる奴等も同じだと思うぜ」
それはサイコギルドの存在についてだ。人間離れした能力を持つことから、キリトは自分のいた世界とは違う世界から来た存在と考えていたが、残念ながら銀時らもサイコギルドについては初耳である。
「そうですね。私の中に入っているデータにも該当するものがございません」
「同ジク。ソンナノ宇宙デモ聞イタコトガナイデスヨ」
たまやキャサリンら他のメンバーも銀時と同じく、サイコギルドについてまったく知らなかった。すると、今度は月詠がユイへ質問する。
「なぁ、ユイ。そもそも、主らのいた世界にもサイコギルドという名前は聞いたことがなかったのか?」
「それは、私達でも聞いたことがありません。そもそも、私達の世界の技術で異世界に送るほどのブラックホールが作れるのは不可能なので、その考えはないと思っています」
「そうか……教えてくれてありがとうな」
ユイの詳しい説明に納得する月詠。彼女の言う通り、仮想世界の技術が発達したSAOの世界でも別の宇宙まで飛ばす技術があるとは考えにくい。銀魂の世界でも、SAOの世界でも存在が確認されていないサイコギルド。一同が話し合いで行き詰まる中、突如桂がゆっくりと手を挙げた。
「ん? ヅラ? どうしたんだ、トイレか?」
「いや、違うぞ! 銀時! サイコギルドについて一つ思ったことがあるのだ!」
「それ、どういうことだよ?」
銀時に促され、桂は静かに自らの考えを一同へ打ち明かす。
「ここまで話してきたが、サイコギルドという存在はキリト君達がいた世界にも俺達のいる世界にもいない……ということはつまり、二つの世界ではなくそれとはまた別の世界から来たのではないか?」
「それはまさか、第三の世界が介入しているってことだよな?」
「そういうことになるな」
エギルからの問いに、ゆっくりうなずく桂。彼はパラレルワールドに基づき、サイコギルドの存在を二つの世界以外から来たのではないかと予測した。この考え方に、一同も共感している。
「パラレルワールドか……確かに桂さんの言っている考えが合っているのかも知れないな。俺達のいた世界と銀さん達のいる世界があれば、理論上他の世界があってもおかしくないと思うし」
「だな。現にお前らが、この世界にやって来たからな」
キリトや銀時は、桂の立てた仮説を有力視していた。想像を超える展開だがこの銀魂世界の自由さを思うと、すぐに一同は受け入れる。これで一つのヤマを越えることができた――はずだが、またも一つの疑問が浮かんでしまう。
「でも、ちょっと待って。仮に第三の世界からサイコギルドが来たとして、なんで別の世界にいる私達をこの世界へ送ったのよ?」
アスナが言い放った疑問に、再び一同は頭を悩ませてしまった。別世界の組織がなぜ、キリト達を狙い別世界へ送ったのか? その理由がまったく浮かばない。残された謎に対して、一同は推測を立てていく。
「偶然とは信じたいけど、正直それだと出来すぎている気がしますね」
〔だとすれば、クライン達全員に共通する何かが関係しているのではないか?〕
新八の発言に続き、エリザベスもプラカードを掲げて考えを伝える。彼はキリト達九人に共通していることから、解決の糸口を見つけ出そうとしていた。
「共通していることか……この中だとSAOに閉じ込められていたメンバーか? でも、リーファやシノンは無関係だしな」
「ALOにログインしていたといっても、私達以外にも大勢いるしきっと違うわよね……」
キリトやアスナが知恵を絞って見つけ出そうとするも、やはり難航してしまう。他のメンバーも思いつくことを上げていくが、やはり有効的な結果にはたどり着かなかった。しかし、銀時だけはある一つの共通点に気付き始めている。
「……これなのか? いや、でもそうなれば……」
「ん? どうしたのですか、銀時さん?」
「いや、なんでもねぇ。思いつかなくて行き詰まっていただけだよ」
「そうですか」
ユイが聞くと彼はすぐに誤魔化してしまう。銀時の考えた仮説は、キリト達にとっては信じられないメタ要素のある話なので、ためらって言葉にできなかったのである。一方、キリト達の方も結局共通点を見つけられずにみな諦めてしまった。
「うーん……ダメか……」
「簡単なのはちらほらと浮かんでくるんだけど、深く考えるとどれも有力的じゃないのよね……」
頭を抱えてため息を吐くクラインとアスナ。他のメンバーも考えすぎたせいで頭が疲れてしまっている。
「やっぱりアタシ達がブラックホールに吸い込まれたのは、偶然だったのでしょうか?」
「わからないけど、今はそう考えるしかないわね。でもサイコギルドの目的を知らない以上は、真相を突き止めるのはとても難しそうね」
シリカの呟きをシノンが返す。一行は考えがまとまらなかったことに、悔しそうな表情を浮かべていた。そんな中、キリトも心の中で悔しさを抑えている。
(サイコギルド……一体奴等は何者なんだ? 何が目的で俺達をこの世界へ送りこんだんだ? 陰謀が絡んでいるのか? それとも、俺達の予想を上回る事態が知らない間に起こっているというのか……?)
有力な情報も見つからず、不安な気持ちへと苛まれるキリトらSAOメンバー。銀時達も空気を読み進行が行き詰まった時である。ふとお登勢が立ち上がり、急に口を開いた。
「アンタら。悩むのもいいが、情報が無い以上は考えても無駄じゃないのかい? 元の世界へ帰れず不安な気持ちはわかるけど、そこで冷静さを失っちゃダメだよ。焦らずゆっくり進みな。必ず元の世界へ戻れるはずだから。まずは先のことよりも、明日のことを考えた方がアタシは利口だと思うけどね……」
そう言うとお登勢は、大人らしく落ち着いた笑みを浮かべる。彼女なりの冷たくも優しい言葉が、一同の心へと刺さった。この状況の中、自分達のやるべきことは限られている。それでも焦らずゆっくりと生きていれば大丈夫だとお登勢は伝えたかったのだ。さらに、銀時が言葉を続ける。
「ありがとよ、お登勢。伝えたい事を言ってくれて」
「別に構わないよ。アタシは正直なことを言いたかっただけさ」
「はいはい。まぁ、そういうこった。そんなすぐに帰れないことは、薄々わかっていたはずだ。だから、この世界で生きていく他はない。でも、俺達に出来ることはなんだってやろうと思っている。今日はそれも兼ねて、お前たちの明日や居場所を決めていこうとみんな集まったんだよ。なぁ、てめぇら」
銀時の言葉に続き新八や神楽、桂と言ったこの世界の住人が元気よく返事をした。全てはキリト達を手助けするため、万事屋やその知り合いが今日ここに集まってくれている。こんなにも信じて協力してくれる人間がいることに、キリト達は改めて心から感謝していた。
「銀さん……それにみんなも……励ましてくれてありがとうな」
「いいんだよ、別に。俺達が伝えたかったのは、そう焦るなってことだけだ。協力ならなんだってするからよ」
「そうか……なら!」
するとキリトは急に立ち上がり、仲間達へ向けて自らの思いを伝え始める。
「みんな! おそらくこれからは、この世界で長く滞在することになるけど、きっと元の世界へ戻ろう! ……大丈夫! 俺達には銀さんやこの世界で出会った頼もしい人達がいるから、この困難もきっと乗り越えられるよ! 絶対に……!」
そう言うと彼は思わず屈託のない笑顔を浮かべた。自分らしく言った励ましの言葉は、仲間達の心にもよく響いている。
「まったく……キリトも銀さんもポジティブになりすぎだって! でも、おかげで元気が出たわ。ありがとう!」
「そうだよね。焦ったって仕方ないし、今は明日のことをしっかりと考えないよね! お兄ちゃん!」
リズベットやリーファも彼の言葉を受けて、笑顔で返す。前向きに生きていくことが、今の自分達にとって大切なのだと一行は感じたのだ。そんな中、
「そうだぜ! 折角この侍の世界に来たんだ! 元の世界へ戻れるまで、俺は真の侍になってやるぜ! なぁ、桂さん!」
「おう! よくぞ言った、クライン殿! それでこそ立派な攘夷志士だ!!」
「「ハッ! ハッ! ハッ!」」
クラインだけは頭のネジが外れたように振り切っており、桂と共に大笑いしている。前向きすぎる二人の姿に、仲間達は少しだけ気が引けてしまう。
「……ク、クラインさんは元の世界に戻る前に、捕まらないでくださいね……」
ユイが苦笑いで皮肉を呟くが、熱中している二人には残念ながら届いていなかった。場の空気も緊張感が消えていき穏やかになったところで、再び銀時が口を開く。
「さて、サイコギルドについて話し合うのはここまでにしよう。次はこの世界での生活について本格的に話していこうじゃないか」
次に銀時が話題に上げたのは、この世界での生活についてである。お登勢の言っていた通り、キリトらの明日や居場所をこれから本格的に決めていくのだが――
「それじゃまずは下宿先を決めていこうと思うが……もうだいたい決まっているようなもんだよな?」
泊まる場所に関してはSAOメンバーの内、半数が既に決まっていた。
「まぁ、そうアルナ。キリもユイもアッスーもみんな今じゃ、万事屋の立派な一員だし」
「やるべきことも決まっているから、特に相談するようなことはないわよ」
神楽やアスナが万事屋の実情を口にする。キリトら三人は他のメンバーと異なり二日分この世界におり、既に万事屋としても働いているので相談や悩みはもう無かった。さらに、たまやエリザベスも続く。
「エギル様は私達スナックお登勢で住み込みとして働くので、下宿先については大丈夫ですよ」
〔クラインについても大丈夫だ。我が一派がしっかりとめんどうを見てやる〕
クラインとエギルの二人に関しても、攘夷党やスナックお登勢等といった所属先が決まり、仕事や目的も見つかっている。これでSAOメンバーの中で九人中五人が下宿先について決まり、残るはシリカ、リズベット、リーファ、シノンといった四人だけとなった。
「ということは、まだ決まっていないのはこの四人ということか……」
銀時がそう言うと今度はリズベットが言い返す。
「アタシ達だけね……色々とトラブルに巻き込まれたりしたから、決めようにも決められていないのよね」
「確かに四人共、悠長に決めてる状況じゃなかったよな……」
ため息交じりに言ったリズベットに、キリトはつい共感する。思えばリーファを除く三人に至っては気絶なり泥酔状態で一夜を過ごしたため、この先のことについてまったく考えていなかった。
「うーん……どうすればいいのでしょうか?」
「急に言われても答えに困るわね……」
再び頭を悩ませるシリカとシノン。女子らが今後について考え込もうとした時、突如リーファが前触れもなく声を上げてきた。
「ねぇ、みんな! 私から提案があるんだけど、言っていいかな?」
「えっ? リーファさんからですか!?」
「提案って一体何を考えたのよ?」
彼女の言葉に食いつくリズベットら三人。そしてリーファは、落ち着いた表情で自分の考えを伝える。
「下宿のことだけど、私達四人で一緒に住んでみるっていうのはどうかな?」
「四人で住む? シェアハウスみたいな感じ?」
「そう! そんな感じ! これからどうなるのかはわからないけど、みんなで一緒に生活した方が安心するし、何より楽しいと思って提案したんだけど……どうかな、みんな?」
仲間の顔色を伺いながらリーファが提案したのは、下宿生活を四人一緒に行う考えだった。これには場の空気も一瞬どよめくが、シリカら女子達の反応はみな好意的に受け止めている。
「いいんじゃない? アタシはそれでいいと思うよ!」
「えっ!? 本当なの!?」
「そうですよ! なんだか楽しそうですからね!」
「私も賛成よ。学生寮みたいに過ごすのは良いと思うし、みんなで寝泊まりするのもまんざらでもないからね!」
リズベット、シリカ、シノンと三人共に、リーファの意見を受け入れてくれた。さらにピナも、笑顔を見せてリーファの意見に賛同している。これには、彼女も心から一安心した。
「みんな……もう! 否定されるかと思って、ひやひやしたよ!」
「そんなことないわよ。むしろアタシ達も同じこと考えていたから!」
「こんなにも簡単に決まるなんて予想もしていなかったけどね」
「でも話がスムーズに済んで良かったです! アタシ達四人で、一緒に楽しく過ごしましょうね!」
結果、リーファら女子四人は同じ場所で下宿することで話がまとまる。全員、これからへの期待を膨らませて希望に満ちた笑顔をしていたが……その本心は至って穏やかなものではなかった。
(よし……! みんな乗っかってくれた! これで、お兄ちゃんのところには抜け駆けさせないんだから!)
(まさかリーファからこんな考えが出るなんて……油断も隙もないわね!)
心の中で仲間へ聞かれないように、本心を呟くリーファとリズベット。さらにシリカやシノンも同じである。
(やりますね、リーファさん……キリトさんと一緒に住めないから、アタシ達まで道連れにするなんて……)
(互いに抑制して抜け駆けをなくしたわけね……まぁ、私が言わなくてもいずれこうなっていたわよね……)
((((でも、まだ諦めていないからね……))))
笑顔の裏に隠した女の本音。それは、四人同時に住み込むことでキリトと一緒にいる時間を作らせない作戦でもあった。四人は建前を作りながら静かに執念を燃やしつつある。この不穏な事態に銀時ら大人は薄々気付いていたが、子供のユイや鈍感なキリトは知る由もない。
「やっぱりみなさん、団結力が強いんですね!」
「そうだな。みんなで下宿生活か……それはそれで楽しそうかもな!」
「いやアンタら、少しは気づけよ」
呑気なことを言う二人に新八は静かにツッコミを入れた。事態が進んだところで再び銀時が話しかける。
「まぁ、細かいことは置いといて、お前ら一緒に住むってことで話がまとまったんだな?」
「はい! 後は泊まる場所を見つければいいんですけどね……」
とシリカが言った時だった。待ちかねていたあの女性達がついに動き出す。
「それだったら私達に任せて頂戴! みんな!」
「って、お妙さん!?」
急に声を上げたのは、彼女達の横にいた志村妙だった。突然の行動に、シリカらは驚いてしまう。さらに、妙に続き九兵衛、あやめ、月詠も同じく声をかけてくる。
「九兵衛さん? それにみなさんも……?」
リズベットが引き気味に聞くと、九兵衛らも次々と答えてきた。
「ああ。君達が困っていると思っていてな、事前に僕等の間で話をまとめておいたんだ」
「全ては主らのためじゃ。困っているならわっち達が手を貸そう」
「これはもう決めるしかないでしょ。アンタ達女子と私達で新しい組織を作るのよ!」
「そ、組織!? 一体それって……?」
「何をする気なの?」
次々と起こる急展開に、シノンやリーファらも困惑が止まらない。そして、彼女達はある宣言をこの場を借りて行った。
「みんな!! 私達はここに宣言するわ! 今日から、シリカちゃん、リズちゃん、リーファちゃん、シノンちゃんの四人は――超(ダイヤモンド)パフュームの一員になるのよ!!」
自信良く言い放った妙は、誇らしげな表情を浮かべる。彼女達が隠していたのは、超パフュームの復活だった。しかし唐突すぎる宣言はシリカ達のみならず、その場にいた一同をも困惑させる事態に発展させてしまう。
「って、四人が姉上達の組織に吸収されたぁぁぁぁ!? なんでSAOのサブヒロイン達が、銀魂女子と手を組まされているの!? 人数が同じとはいえ、無理やり過ぎませんか!?」
急展開に耐え切れず新八が大声でツッコミを繰り出す。一方、キリトは銀時へ詳しく情報を聞いている。
「ぎ、銀さん? ダイヤモンドパフュームって、一体何なんだ……?」
「ああ、あいつらのことか? お妙とか九兵衛とか、女子四人が勝手に作った組織のことだよ。まさかこの場であいつらも、新メンバーを入れるとは思っていなかったぜ」
「なんか強制的に入らされたようにも見えるんだけど……」
銀時なりの解釈に、キリトは苦笑いで返す。超パフュームについての詳細は分かったが、それでも急に加入させられたシリカ達を思うと、仲間達は一抹の不安を感じてしまう。
「大丈夫なのかしらね、四人共……」
「大丈夫ネ! 姉御達がきっと何とかしてくれるから、ここは見守るアルよ!」
「うまくいくといいんですけどね……」
アスナやユイがまだ不安を口にする中、神楽だけは楽観的に考えていた。とこの場は妙やシリカら八人に任せることにして、他のメンバーは様子を見ることにする。そして、超パフューム内でも話し合いが行われようとしていた。
「ダ、ダイヤモンドパフューム?」
「いや、違うわよ。超と書いて、超パフュームよ!」
「って、細かい事はいいですから! 一体どういうことか詳しく説明してくださいよ!!」
シリカからの指摘を受けると、今まで説明していた妙に代わり九兵衛が前に出る。彼女は冷静な口調で話し出した。
「ああ、わかっているよ。簡単に説明すると超パフュームは、僕ら女子のみで作った組織のことだよ」
「それにアタシ達も入るってことなの?」
「その通り。目的は君達が元の世界へ帰れるまで、僕らがこの世界でのサポートをすること。つまり、僕らが保護者になると言った方が分かりやすいかな?」
「なるほど、そういうことね……」
超パフュームの概要を聞き、深く理解するリズベットやシノン。九兵衛の説明が分かりやすかったのか、四人はすぐに事態を読み取っていた。
「どうじゃ? 意味は伝わったかのう?」
「だいたいね。月詠さん達が協力して手助けするなんて、予想の斜め上をいく事だわ」
「でも、こんなにも頼もしい人達が助けてくれるなら、心強いよね!」
月詠からの問いに、シノンとリーファは好意的に返す。どうやら四人共、超パフュームの加入については前向きに考えているようだ。
「話を聞いている感じ、アタシ達もそれで大丈夫だと思うわよ」
「そうですね。ならみんなで入りましょうか! 超パフォームに!」
「パフュームね、シリカちゃん」
名前を間違ったシリカに妙がそっと訂正を加える。だが、予想よりも早くシリカ達は超パフュームへの加入を認めてくれた。そして、あやめが四人へ三度確認を入れる。
「それじゃみんな、加入ってことでいいのよね?」
「もちろん! これからよろしくお願いします! みなさん!」
そう言ってリーファは、深くお辞儀をした。さらに仲間達も感謝を込めて、同じくお辞儀をする。これで、正式に超パフュームに新メンバーが加わったのだ。
「うまくいって良かったな、妙ちゃん」
「そうね。これなら安心して二期生を受け入れられるわね!」
九兵衛が聞くと、妙は満面の笑みで彼女へ返答する。この穏やかな空気に場にいた八人も思わず笑顔になっていたが、妙の本心はやはりあの事に執着していた。
(これで、超パフュームも間接的にSAO女子と絡むから人気投票は貰ったわね……フフフ……アハハハ!!)
数分前に言っていた人気投票に対しての執着心を、静かに心の中へしまうのである。その姿を見た新八は、すぐに妙の本心を察した。
「絶対姉上良からぬこと考えているよ……女ってやっぱり怖いよ」
彼女に聞かれないように新八は小声で呟くしかない。こうして、他世界対策交流会議と並行して超パフュームも話し合いを始めるのであった。
いつも投稿が遅くなる要因は、普通の小説ではあまりない大人数がいる場面を書いているので、加筆や手直しを入れるとどうしても予定よりも遅れてしまうんです。展開が遅くて不満に思っている方もいるかもしれませんが、私の体調や都合にもよるので、どうか気長に待っていただけたら幸いです。
では、次回予告です。会議も後半戦に突入!再三言っていますが、第四訓に出てきたあのキャラもようやく登場します!そして、終わる終わる詐欺のように先延ばしてきましたが、第一章が終わるのも近いです。それでは、また次回!