剣魂    作:トライアル

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 お待たせいたしました! ようやく第一章が終了!! 元の世界へ戻れなくなったキリト達が、この銀魂の世界でどうするべきか……最後までその決意を見届けてください!


第十七訓 異世界で暮らす時は、目的を見失うな! 

 時は過ぎていき、会議から約二週間が経過した。相変わらず夏らしい暑い日が続く中、キリト達はこの銀魂の世界で新しい生活を送っている。まだ慣れないことはあるものの、今は自分に出来ることをみな懸命に励んでいた。そして、今日もまたそれぞれの日常が朝から始まっていく。

「銀ちゃん! キリ! まだ準備出来ていないアルか!?」

「うるせぇ! 急かすんじゃねぇよ! ちょっと待ってろ!」

「なるべく早くしてくださいね!」

 準備が遅れている銀時やキリトに対して、玄関先で待っていた新八や神楽が催促を促す。この日の万事屋は朝から仕事が入っており、早めに準備をしていたのだが銀時とキリトの二人が寝坊してしまい、今は彼らの準備が整うまで出発待ちとなっている。

「はぁ……キリト君も銀さんに似てきたのかしらね……」

「でも、しょうがないですよ。昨日のお仕事だって、パパも銀時さんもすごく頑張っていましたから!」

 ため息をついたアスナに対して、ユイは元気よくフォローを入れた。自分の彼氏が万事屋の社長と行動が重なっていることに、彼女は不安しか感じていない。すると、新八や神楽も会話に参加してくる。

「あの二人はマイペースですからね。性格は違うけど、そういうところで気が合ったのかもしれませんよ」

「なるほど! つまりキリも銀ちゃんと同じく、いつかはロクデナシの大人になるってことアルか?」

「そういう意味じゃないよ、神楽ちゃん……」

 勘違いをした神楽に新八がそっと指摘を加えた。いつの間にか和んでいる場に、四人はつい笑い合っている。一方で戸を挟んだ向こう側には、銀時とキリトが急いで身だしなみを整えていた。こちらもお互いに会話を交わしている。

「まったく……呑気に笑いやがってよ、あいつら……」

「まぁまぁ、銀さんってば。寝坊したのは俺達なんだし、急かすのもしょうがないことだよ」

「おめぇは心が広いな。どこまで温厚なんだよ……」

 寛大に接するキリトに、銀時は皮肉交じりにツッコミを入れた。そんな中、急に銀時は顔色や態度を変えて再びキリトへと話しかける。

「なぁ、キリト……お前らが万事屋に来てから数日経つけど、楽しくやっているか?」

「えっ? まぁ、そうだな。アスナやユイもこの生活に満足しているみたいだし……それがどうかしたの?」

「……いいや、別に。聞いてみただけだよ」

「なんだよ、銀さん。急に改まって」

「深い意味はねぇよ。だから、気にするな」

「気にするよ。そんな銀さんらしくないこと言われたら」

「らしくないってなんだよ。俺にどんなイメージを持っているんだよ」

 たわいない会話を交わして、二人はついおかしく思い笑いあってしまう。キリトが万事屋としての日常に解け込んでいることに、銀時は一安心していた。

 そんな万事屋は、キリト達三人が来てから大きく変わり始めている。人数が増えたことや仕事の効率性が評判を呼び、以前よりも依頼数が多くなっていた。故に連続して仕事が入る日も珍しくなくなっている。万事屋としては、良い進歩であった。

「って、パパー! 銀時さん! もう着替えは終わりましたかー?」

「はーい! 終わったから、今すぐそっちへ行くよ!」

 ユイからも催促が来たところで、二人の準備はようやく整う。

「よし……それじゃ、行くか! キリト!」

「もちろん! 今日も頑張ろうな! 銀さん!」

 すると二人は、お互いの腕を合わせて気持ちを合わせた。その表情は共に、やる気に満ち溢れている。そして、そのまま仲間達が待っている玄関先へと向かうのであった。

「悪ィ! 遅れた!」

「みんな、ごめん! 準備に戸惑って!」

「もう……銀ちゃんもキリもたるんでいるアルよ!」

「万事屋に入って二週間も経つのに……相変わらず二人共マイペースね」

 文句を言い続ける神楽やアスナ。さらに、続いて新八も声をかけてくる。

「って、そういえば銀さん。早く出発しなくて大丈夫なんですか?」

「えっと……もうこんな時間か! ならさっさと行くぞ、てめぇら!」

「銀さん!? あんまり急がないでくれって!」

 やはり予定よりも出発時間を大きく過ぎていた。焦って玄関を出る銀時へ続き、キリト達五人も彼の後へと続いていく。

「ワフ~!」

 留守番をする定春に見送られながら、万事屋は今日の仕事先へと向かっていた。

 

 一方で、万事屋の下の階にあるスナックお登勢では、夕方の営業のために下準備が進められている。

「こんなもんかい? お登勢さん?」

「おー、やるじゃないかい。アンタも随分と、仕事の覚えが早いんだねぇ」

「これでもお登勢さんと同じ飲食系の仕事をしてたから、だいたいのことはわかるんだよ」

 エギルの手際の良さに、改めて感心していたお登勢。彼が住み込みで働いてから、早数日。スナックもより賑やかなものになっており、客足も徐々に伸びていた。エギル自身もこの仕事には満足しており、新しい生活にもだいぶ慣れている。お登勢だけではなく、キャサリンやたまとも彼は仲良くなっていた。

「ヨシ! エギルハ下ゴシラエガ終ワッタラ、サッサト私ノ為ニ煙草ヲ買イニ行ッテコイヨ!」

「エギル様。キャサリン様の言う事は――」

「わかってる。あしらっておけばいいんだろ?」

「ッテ、私ノ攻略法ヲ見ツケヤガッテ!」

 キャサリンからの脅しにも彼はまったく屈さない。すでに接し方を攻略済みである。そんな、騒がしくも楽しい日々を彼はこの世界で送っていたのだ。

「フッ……やっぱり、騒がしい方が性に合っているのかもな」

 そう呟き、エギルは静かに微笑みを浮かべる。

 

 同じ頃。クラインが入った桂一派では、仲間達が数十人ほど集まり作戦会議を行っていた。隠れ家であるアジトで、静かに計画を練っている。

「時は来た! 再び我ら攘夷志士が、幕府の犬共に天誅を下す! 明日の明け方、真選組屯所に奇襲を仕掛け、再びトイレットペーパーを逆の奥にくるように設置してくるのだ! あの時のリベンジを今! ここで果たしてくるのだ!」

「「「おー!!」」」

 桂が提案した奇襲作戦の復活に、その場にいた仲間達も驚きと興奮に満ちていた。もちろんクラインも、迷うことなく意見に賛成する。

「よっ! 待っていたぜ! 桂さん!」

「クラさんも加わった我らに、もはや敵などいない!」

「今度こそ、真選組の奴等へ目に物を見せてやるのだ!」

 しかもいつの間にか、彼は桂一派の仲間とも親しく接していた。同じ侍を志す者同士、惹かれ合って多くの友を築いていたのである。

 アジトを転々とし幕府から逃げ回る日々を続けるクラインであったが、彼の心に後悔なんて存在していない。自分らしく侍を貫き、本物の侍の元で自分自身を磨いている。それだけで十分なのだ。その証拠に、元の世界よりも生き生きとした表情を彼は浮かべていた。

「クライン殿……貴様も段々と攘夷志士として、成長しているな」

「もちろんだよ! 桂さん!」

 楽しくも真剣に接するクラインの姿勢に、桂も心の底から安心する。そして、会議はこの言葉と共に締め括られた。

「よし! ならば、皆の者いくぞ! 我らが今目指すべきことはただ一つ……」

「「「S! A! O!」」」

 攘夷浪士内で流行っている略語。〈S真選組Aあの世にO送るぞ〉を一斉に叫び、攘夷党はより強く結束を高める。この光景にエリザベスはというと……

〔ヤレヤレ。クラインも桂色に染まったか……。類は友を呼ぶとは、まさにこのことだな〕

やっぱり辛辣なプラカードを掲げていた。こうして、クラインも新しい目標のために充実した日々を送るのである。

 

 そして、女子メンバーもそれぞれの仕事場所で新しい生活を送っていた。

「よし! それじゃ、一旦休憩にしようか? リズ」

「はい! 鉄子さん!」

 リズベットは元気よく鉄子へ返事する。刀鍛冶屋に彼女が加わって早数日。二人はすっかり意気投合し、良好な関係を築き始めていた。鍛冶作業も佳境を迎えたところで、二人は畳に座ってお茶を飲みながら一段落している。すると、鉄子から話が交わされた。

「ふぅ……どうだい? この世界の鍛冶は? リズが元の世界にあった仮想世界の鍛冶屋と比べてみて」

「まぁ、あっちはゲームらしくなっているから、鉄子さんみたいに本職で仕事している人がそもそもいないのよね」

「そうか……じゃ、独学で技術を身に着けたということだね?」

「そ、そうかな」

「なるほど」

 会話は落ち着いた雰囲気のまま続いている。リズベットの鍛冶事情を改めて知った鉄子は、この場を借りてある思いを彼女へ伝えてきた。

「でも、リズは頑張っているよ。まだ会ってから数日しか経っていないけど、見てる感じ武器を鍛える姿から手慣れているみたいだし、素質は十分にあると思うよ」

「えっ!? それ、本当なの!?」

「ああ。君が鉄を打っていたり、武器を作っている時には楽しそうに見えるからね。手伝ってくれて、とても助かっているよ!」

「鉄子さん……ありがとうございます!」

 鉄子からの思わぬ励ましの言葉に、リズベットも感極まってお礼を返す。自分の考えを理解してくれる大人と出会い、彼女はより憧れを高めている。一方で鉄子も、熱意のある後輩が出来て大変嬉しく思っていた。

「どういたしまして。それじゃ、そろそろ仕事を再開しようか」

「もちろん! さぁ、昼までには直さないとね!」

 お互いに信頼しあいながら、二人の鍛冶職人は今日も武器を鍛え続けている。

 

 一方で、柳生一門ではリーファが手伝いを行っていた。広い屋敷の掃除や手入れを担当するほか、直々に九兵衛から剣術を教えてもらうなど、こちらも充実した日々を送っている。

「セイ! セイ! セイ!」

「うん。少し肩に力が入りすぎているよ。軽く抑えめに持ちつつ、しなやかに振ることはできないか?」

「やってみます! セイ!」

 空いている道場にて、九兵衛と共にリーファは素振りの練習をしていた。元々剣術に対して才能を開花していた彼女は、九兵衛の流派である柳生一門にも興味を持ち合わせている。故に時間が余っている時は九兵衛自らリーファへ教えることもあり、門下生のように真剣に接していたのだ。そんな二人の元に、雰囲気を壊す男が近づいてくる。

「若―! リーファ殿! その調子ですぞー!」

 それは、過保護に九兵衛を守っている東城歩だった。リーファが柳生家に来てからも彼はまったく変わることなく、今日も彼女をストーカーのようにいつも見守っているのである。もちろん九兵衛は、彼の行為をいつも鬱陶しく思っていた。

「東城……また大砲の餌食にでもなりたいのか?」

「な、何を言っているのですか! 若! 私はただアナタをずっと見守っているだけなのですぞ! リーファ殿に教える姿を、応援しているだけではないですか!」

「そうか……でも、本心はどうなんだ?」

「本心? それは若もリーファ殿のようなスタイルを少しは見習って――」

 と東城が言いかけた時である。九兵衛は勢いよく床のタイルを押すと、彼の目の前にある床から前触れもなく大砲を出現させた。どうやら事前に床下へと隠し、仕込んでいたようである。そして、

「見習えるか! ボケェ!!」

「ボフォォ!!」

躊躇いもなく大砲を東城に向けて砲撃を食らわせた。幸いにも威力は少なめだったが、彼は再び大きなダメージを負ってしまう。

「……また九兵衛さん、大砲で攻撃したんですか?」

「すまない……でも奴を黙らせるには、これが一番有力なんだ。申し訳ないな」

「いえ、もう慣れたんで大丈夫ですよ」

 一連の九兵衛の行動に、リーファは思わず苦笑いで返す。この異常とも言える日常に、彼女もついには慣れてしまった。そして、何事もなかったかのように稽古を再開するのである。

 

 さらに、地下都市吉原でも二人の女子が活躍していた。自警団である百華の練習場では、シリカが新たに取得した技を披露している。

「ハー! トウ!」

 百華から学んだ戦術を使い、的であった竹を綺麗に切り裂く。成長した彼女のダガー裁きに、見守っていたピナや百華の女性は拍手で祝福する。

「ナー!」

「って、ピナ! じゃれつきすぎですよ! くすぐったいです~!」

 シリカのかっこいい一面を見て、ピナは思わず興奮して飛びついてしまった。そこへ、百華の二人も続けて声をかけてくる。

「シリカさん! 成長しましたね!」

「これなら十分、アタイら百華の中でも十分に通用できますよ!」

「本当ですか? ありがとうございます!」

 今までの努力を認められて、シリカはつい笑顔で返した。彼女とシノンを含めた二人は、百華の元で吉原の仕事を手伝っている。といっても大人向けの仕事ではなく、あくまで未成年が出来る範囲の仕事が中心ではあるが。そしてこちらも、空いた時間に百華直伝の技を教えてもらっている。数日も経たないうちに初歩の技を成功させて、順調なステップをシリカは歩んでいた。

「百華に入ってからシリカさん、調子がいいんじゃないんですか?」

「そうですね。なんだか体も軽くなった気分ですよ! ほら!」

 褒められてテンションの上がったシリカは、次に自分の小柄な体格を生かし、練習中の回転技を披露する。ジャンプ力を使った体術に集中していた彼女だったが、その影響で注意力が散漫になってしまう。そして、運悪く悲劇は起こってしまった。

「アラ? シリカちゃんはもう練習中なの? 差し入れを持ってきたのよ。新作のベーコン入り卵焼き。食べてみない?」

 突然彼女達の元を訪ねてきたのは、差し入れを手にした妙である。もちろんその中身は、毒物ともいえる黒焦げの卵焼きがぎっしりと詰まっていた。そんなことは知らず、シリカは目の前にいた妙に気付くことなく、

「キャ!!」

「うわぁ!」

タックルするように衝突してしまう。同時に卵焼きは宙を舞っていき、落下と同時に運悪くシリカの口の中に入ってしまった。

「えっ? まさか、これって……」

 数日前に起きたトラウマが、脳裏へと蘇っていく。すると、そのまま彼女は卵焼きを口にしてしまい――数秒も経たないうちに白目を向いたまま静かに倒れ込むのであった。

「って、シリカちゃん!? 大丈夫!?」

「しっかりしてください!?」

「一体何があったの!?」

 突然の状況に、慌てふためく妙や百華の女性達。ピナも心配そうに彼女を見つめる中、本人は消えゆく意識の中で自分の不幸を哀れんだ。

「なんでアタシばっかり……こんな目に?」

 そう言い残し再び気絶してしまったのである。シリカも他メンバーと負けず劣らずに、濃い日常を送っていたのだった。

 

 一方でシノンはというと、現在は日輪の店である茶屋の手伝いをしていた。四人の下宿先でもあるひのやは、茶屋としても営業している。少しでも力になりたいと思い、四人は役割や時間を決めてローテーションで店を手伝っていたのだ。

「こちら、抹茶とお団子になります。ごゆっくりどうぞ」

 やや緊張気味に接客をするシノン。経験があまりないのか、少しつたない喋り方になってしまった。そんな彼女に、見守っていた月詠が声をかける。

「大丈夫か、シノン?」

「ええ、大丈夫よ。まだ慣れていないだけだから、心配しなくてもすぐに覚えるわ」

「そうか……じゃが、伝えるべきことはしっかりと言うべきじゃ。最後までな」

「うん。わかったわ」

 月詠はシノンの持っている問題点を指摘した。仕事があまり慣れない彼女にも、優しく事細かに教えている。そんな時だった。一人のお客が、シノンらにちょっかいをかけてくる。

「本当、だいじょうぶなのかしらね~!」

 嫌味たっぷりに声を上げたその正体は、あやめであった。暇がある時には店に遊びに来る彼女は、時折面白がってシノンらをからかうことも少なくない。その影響もあってか、あやめを見た瞬間にシノンは思わず呆れを口にしたのだ。

「って、またあやめさんなの……」

「またって何よ! お客さんに向かって、失礼なことを言わないでちょうだい!」

「おい、猿飛。その辺にしときなんし。シノンもどう対応していいのか困っておるぞ」

「いいじゃないのー! これくらい応対しておかないと、一人前になんてなれないわよ!」

「何を言うとるんじゃ……お客もいるから落ち着いて静かにしなんし」

「はぁ!? そんなことを言われても聞かな――」

 とあやめが月詠に口喧嘩を売ろうとした時である。

〈ヒュー! トン!〉

「えっ?」

 彼女の額に何かが飛んで、引っ付いてきた。よく見るとそれは、吸盤のついたおもちゃの弓矢である。飛んできた方向へ目線を向けてみると、そこには満面の笑みで怒りを露わにするシノンの姿があった。そう。彼女が弓矢を放った張本人である。

「お客様……当店では他のお客様の迷惑にならないように、静粛な心掛けをお願いしています……わかりましたか?」

「は、はい……」

 あまり見たことのないシノンの怒りに恐怖を感じ、あやめはあっさりとおとなしくなった。店は静かな雰囲気を取り戻したのである。

「ありがとうな、シノン。おかげで大事にならずに済んだ」

「どういたしまして、月姉さん。私はただ、伝えるべきことを言っただけよ」

「フフ。主らしいのう」

 しっかりしたシノンの対応に、月詠もつい微笑みで彼女へ返した。こうして、ひのやでの穏やかな日々は流れていくのである。

 

 仲間達がそれぞれの日常を送る中、万事屋一行は急ぎ仕事先へとひたすら走っていた。

「ったく、新八ィ! 後何分で現場に着くんだよ!?」

「えっ!? 走って十分くらいじゃないですか!?」

「そんなにかかるのかよ!? おい、てめぇら! 絶対に止まるんじゃねぇよ!」

「OKアル! フリージ〇が流れないように、気を付けるネ! 希望の花~!」

「って、神楽ちゃん!? 思いっきり歌っちゃっているでしょうが!? つーか、ボケている暇があるなら走りに集中してくださいよ!!」

 その道中、銀時と神楽がふざけてボケを言い放つ。そんな二人に対して、新八のツッコミも激しく決まった。移動中でも変わらない万事屋らしい自由な雰囲気に、キリトらも釣られて笑ってしまう。

「フフ……やっぱり、万事屋は賑やかでないとな」

「一緒にいて楽しいもんね。言っている意味は分からないけど、つい雰囲気で笑っちゃうもの」

「メリハリがあるところが、万事屋らしさだと思いますよ!」

 三人は改めて万事屋への信頼を寄せるのである。そんな中、江戸の町へと入ると偶然にも長谷川とすれ違う。

「アレ? 銀さんじゃねぇか? そんな急いでどこへ行くんだよ?」

「仕事だよ! 急いでいるから、また今度な!」

「ごめんなさいです! 長谷川さん!」

 彼からの声掛けを無視して、万事屋一行は走りを止めなかった。変化した万事屋の一面に、長谷川も寂しさを覚える。

「ヤレヤレ……前よりも忙しくなっているじゃねぇか。でもまぁ、あいつらを養えているなら、それもしょうがねぇのかもな」

 そうふと呟いたのだ。ちなみに長谷川もエギルなど知り合いは増えたのだが――まったくと言っていいほどホームレス生活は変わっていない。

「へックション!! 誰か俺の噂でもしているのか……?」

 嫌なくしゃみをしつつ、悲痛な日々は今日も続いている。

 一方で万事屋は、また知り合いとすれ違っていた。

「おっ! 万事屋じゃねぇか! 一体何をそんな急いでいるんだよ?」

 それは真選組である近藤、土方、沖田の三人である。揃って江戸をパトロールしており、その道中で万事屋と鉢合わせしたのだが――

「仕事へ行くんだよ! てめぇらにかまっている暇は、ねぇからなぁ!」

「急いでいるんで、また今度!」

こちらも長谷川の時と同じく、軽く言葉を返してそのまま通り過ぎて行った。いつもの素っ気ない対応に、近藤はショックを受けるどころか、むしろ安心している。

「ヤレヤレ……まったくあいつらは、新メンバーを入れても変わらねぇな……」

 さらに、横にいた沖田や土方も声を上げていく。

「聞くところによると、仕事も順調らしいでっせ。他の妖精ゲーマーも元気にやっているそうですよ」

「なら何よりだよ。やっぱり違ぇな。しっかりしている奴等は、別の世界に来てもちゃんと出来るってことか」

 そう言った二人の表情は、屈託のない微笑みを浮かべる。真選組も別世界から来たキリト達のことを密かに気にかけてはいたのだが、元気に過ごしている姿を見ると思わず安心していたのだ。

「そうだな……リーファ君も柳生家の手伝いに来ているみたいだし、まずは一件落着だな」

「ですねぇ……まぁ、暇さえあればあの女とも遊んであげますよ。あの時のようにね……」

「総悟。少しは手加減しろよ。あくまで別世界の住人だからな……」

 不敵な笑みを浮かべる沖田に、土方が冷静にツッコミを入れる。彼はリーファのいじめられている反応を、大変気に入っていたようだった。そんな中土方は、心の中で敵である桂一派の動向を気にしている。

(血迷ったことをしなければいいんだが……って、そういえば攘夷党に新しい浪士が加わったと噂で聞いていたな。まさか、キリトの仲間ってわけじゃ――って、考えすぎか。まさか、桂についていくバカなんてどこにもいないだろ……)

 そう言い切った土方であるが、残念ながら図星であった。真選組がクラインに目を付けるのも、そう遠くはないのかもしれない。そんな思いを抱えつつ、真選組一行はパトロールを再開したのである。

 

 別世界という前も後ろも分からないこの世界で、キリト達は懸命に生きている。個性が強く、どこか大人らしくないが、それでも心強くて頼もしく見えるこの世界の住人達と。そんな彼らを信じて、今日も忙しい日常を送っていく。今自分が出来ることのために。いつか、自分達のいた元の世界へ帰るために。どんな運命が待っていようとも、この人達となら乗り越えられる。そう信じているのだ――そして、万事屋もようやく今回の仕事場所へと到着。制服に着替えて、早速働き始めている。

「あっ! いらっしゃいませ!」

「ようこそ! ゲームセンターカブキへ!」

 来店したお客に対して深く礼や挨拶を交わす六人。今日の仕事は、ゲームセンターの手伝いだ。




あとがき

 キリト達が無事に銀魂の世界で暮らせているところで、第一章は終了です。改めてこの小説をご覧いただきましてありがとうございます。二次小説を当サイトで投稿しているトライアルと申します。銀魂とソードアート・オンラインのコラボ作品である「剣魂」はいかがだったでしょうか? 数ある二次小説の中でも、マルチバースを重視して原作の世界観をそのまま取り入れた話は中々お目にかからないと思います。
 私自身も二つの作品に関しては大好きで、世界観の異なる作品をコラボしてみたらどうなるのかと思い、日夜色んな話を創作しています。

 今更なんですけれども、途中から投稿頻度が下がってしまいすいませんでした。私自身の環境の変化もありまして、中々作る時間が無くここまで先延ばしになってしまいました。これからも時間だけは確保していきたいのですが、二週間という間隔は守るのでよろしくお願いします。おかげでこの作品の季節はまだ七月上旬なんですけどね……現実と真逆になりました。

 剣魂という作品が今後どうなっていくのかなんですけど、基本は銀魂ベースで話が進んでいきます。故に次回からは、一話完結のギャグ短篇が主流となります。銀魂らしいぶっ飛んだ非日常に、SAOキャラクターが良い意味でも悪い意味でも巻き込まれていく話だと思っていてください。

 また、今作オリジナルの要素としてサイコギルドが物語の敵として現れます。なぜキリト達を銀魂の世界へ送ったのか? なぜ彼らをピンポイントで狙ったのか? そこに注目してご覧ください。サイコギルドはおもにバトルが主流のシリアス長篇に出てくる予定ですが、十六訓の場面であったようにブラックホールを使い別の世界から敵を呼び寄せるようです。もしかすると、皆さんの知っているような敵が銀時やキリト達を倒すための刺客として、呼び寄せられるのかも知れません。乞うご期待です。

 さて、前に言っていたALOアバターについてなんですけど、この妖精らしい姿で銀魂とコラボさせたのはちゃんと理由があります。一つは銀魂には天人がいるので、この姿のまま存在しても違和感がないこと。服装や外見を見ても、町民からはそこまで怪しまれないと思ったからです。もう一つは、移動手段について。ALOアバターにはみな透き通った羽で飛行ができるので、移動手段としては効率の良い要素となります。万事屋で例えると、スクーターに銀時と新八が乗り、定春には神楽とユイ、その上をキリトとアスナが飛んでいるというのが基本の移動手段です。見栄えもよく、本家銀魂のアニメのOPでもよくある演出みたいで、個人的にはしっくりときています。他にも銀魂の日常回で、色んな話のネタとして使いやすいことが上げられます。まぁ、現にシノンはマタタビで酔ったけどね……

 長くなりましたが、最後に今後の展開についてお伝えします。前述のようにギャグや日常回がおもな主軸となり、時々ストーリーが進む長篇を書いていきます。銀魂の世界観なので、もしかするとSAOに出てきたキャラのそっくりさんが出てくる考えもちらほらと浮かんでいます。むしろ長篇の方でSAOらしさを出して行こうとは考えています。この作品を一言で例えるなら、アナザー銀魂とアナザーSAOですかね……完全に特撮ネタです、はい。いずれにしても結構長く続きそうなので、なるべく投稿頻度を上げて行こうと頑張っていきます。現在はSAOの新作が放送中ですが、時系列が全く違うので、あまり意識せずに見ていただければ幸いです。同人活動についてはまだ不慣れな部分もありますが、この作品の魅力が広まるように活動の幅を広げようと思っています。実はイベントにも参加する予定です。コミケではないですが……

 次回はひのやでの初めての下宿生活と大まかなキャラ紹介を上げていきます。これまで上げた話の不自然な文体も随時直して行くので、よろしくお願いいたします。ではまた次回、お会いしましょう! 後、下には今回の章に出てきたキャラクターの出番表を作りました。よければご覧ください。

剣魂 第一章登場キャラクター

・万事屋銀ちゃん
坂田銀時(第一訓~第十七訓)
キリト(第一訓~第十七訓)
志村新八(第一訓~第十七訓)
アスナ(第一訓~第十七訓)
神楽(第一訓~第十七訓)
ユイ(第一訓~第十七訓)
定春(第一訓~第十七訓)

・真選組
近藤勲(第三・四・八・十三・十七訓)
土方十四郎(第三・八・十三・十七訓)
沖田総悟(第三・八・十三・十七訓)
山崎退(第八・十・十三訓)
原田右ノ助(第八・十三訓)

・攘夷党
桂小太郎(第五・六・十~十二・十四~十七訓)
クライン(第三・五・六・十~十七訓)
エリザベス(第五・六・十~十二・十四~十七訓)

・スナックお登勢
お登勢(第二・五・九・十・十四~十七訓)
キャサリン(第二・九・十・十四~十七訓)
たま(第二・三・五・九・十・十四~十七訓)
エギル(第三・五・八~十・十四~十七訓)

・超パフューム
志村妙(第四・六・十・十一・十四~十七訓)
シリカ(第三・五・六・十一~十七訓)
ピナ(第三・五・六・十一~十七訓)
柳生九兵衛(第四・六・十一・十四~十七訓)
リズベット(第三・五・六・十一~十七訓)
猿飛あやめ(第四・七・十・十二・十四~十七訓)
リーファ(第三・五・八・十・十三~十七訓)
月詠(第四・五・七・十・十二・十四~十七訓)
シノン(第三・五・七・十・十二~十七訓)

・ダンボール
長谷川泰三(第五・九・十・十四~十七訓)

・超パフューム関係者
日輪(第四・五・七・十二・十六訓)
晴太(第五・七・十六訓)
村田鉄子(第四・十六・十七訓)
東城歩(第四・十七訓)

・サブキャラクター
平賀源外(第一訓後篇)
結野アナ(第三訓)
幾松(第六訓)

・ゲストキャラクター
ナメクジ型の天人(第一訓前篇)
タツヤ〈依頼者1〉(第七・八訓)
母親〈依頼者2〉(第八・九訓)
子供達十五人(第八・九訓)

・サイコギルド
アンカー〈槍を持つ少女〉(第一・十六訓)
シャドー……?〈銀色の怪人〉(第五・十六訓)

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