「えっ、ユイ? 今なんて言ったんだ……?」
「だから、おつかいに行きたいんですよ! 昨日のあの子達みたいに、パパとママの役に立ちたいんです! だから、いいですよね?」
「そ、それは……」
朝食時の万事屋で、ユイは思わぬ願いを打ち明けていた。おかげでキリトとアスナは、答えに詰まり表情も戸惑っている。彼女が強くおつかいを希望する理由は、昨日見たテレビ番組が関係していた。
「ん? もしかしてユイって、「初めてのおつかい」に影響されておつかいがしたいアルか?」
「もちろんです! 子ども達の頑張る姿を見て、私も強く影響を受けたんですよ!」
神楽からの問いにユイは自信満々に答える。実は昨日、彼女は「初めてのおつかい」というドキュメンタリー番組を見て、おつかいに興味が湧いていた。まだ年端もいかない少女達が、知恵と勇気だけで買い物をする姿に心を打たれたのである。きっかけは分かったものの、未だに二人は対応に困っていた。一方で万事屋らの反応はみな良好である。
「へぇー、いいじゃないですか! きっとユイちゃんなら出来ますよ!」
「立派アル! 自分から言い出すなんて、さすがユイネ!」
「まぁ、いいと思うぜ。元の世界に戻る前に、色々と経験しといた方がいいだろ。なぁ、お前ら? って、アレ……?」
と銀時がキリトらの方を向くと、彼らは未だに戸惑っていた。そして苦い表情をしたまま、彼女へ返答する。
「ユ、ユイにはまだ早いんじゃないのかな……?」
「えっ!? そうなんですか?」
「そうそう。それにかぶき町って危ないところもあるし、一人で出歩くのはマズいと思うのよね……」
複雑な気持ちを表しながら、ユイの願いを取り下げてしまう。これには彼女だけではなく、銀時らも納得していなかった。
「おいおい。こんなところで、親バカを発動すんのか? おめぇらはユイに対して過保護になりすぎなんだよ。おつかいくらい許してやれって」
「そうアル! 昨日の番組だって、ユイより小さい子達が大活躍していたネ。憧れや興味を持つのは当たり前の反応アルヨ」
「そ、そうですよ! 銀時さんや神楽さんの言う通りです!」
ユイも銀時側について再び説得へと移る。彼女の真剣な気持ちはキリトらにも伝わっているのだが、それでも答えが変わることはなかった。その理由は二人が抱える心配性が関係している。
「それでも心配だよ。ユイがもし攘夷志士にでもさらわれたら、心も痛むし……」
「こないだの私達みたいに、極道っぽい人にでも絡まれたら……心配で息苦しくなっちゃうよ~!」
思い当たった危機的な状況を例に上げて、不安な気持ちを打ち明け始めた。ユイ一人をかぶき町へと繰り出すのは、二人にとって大きい抵抗心を持ち合わせている。複雑に考え込む親心には銀時達も口出しできず、説得を諦めてしまった。
「……そう言われると仕方ねぇかもな。かぶき町なんて、人間の吹き溜まりみたいなところだし」
「そんな……それでは、一人でおつかいに行けないということですか?」
「そうなるよね。キリトさんやアスナさんも心配して言っているから、しょうがないよ」
「まったく……こういうところでアッスー達は、無駄に心配するネ。守りに入りすぎアル!」
落ち込んでしまいユイは、苦い表情を浮かべていた。しかし、否定されても諦めきれない。本心ではどうしてもおつかいがしたかった。そこで彼女は、ある妥協策を考え付く。
「……なら、二人だったらおつかいを許してくれるんですよね?」
「えっ? それはいいけど、ユイちゃんは本当にいいの?」
「はい! パパやママに成長を見てもらえるなら、私はそれでも十分です!」
保護者同伴と提案したユイであったが、あくまでキリトとアスナには頼らないと決めていた。そして彼女の本心は、思わぬ展開へと行きつく。
「えっと、つまりユイはキリやアッスーじゃなくて、私達と一緒におつかいへ行こうとしているアルか?」
「もちろんです! 私は……新八さんと一緒に行こうと思っているんですよ!」
「へぇー。僕と一緒に行くんだ――って、えっ!? それどういうことなの、ユイちゃん!? まったく聞かされていないよ!?」
突拍子もなく出たユイの一言によって、場にいた全員が衝撃を受けてしまう。特に新八は不意打ちのような出来事だったので、かなり動揺を隠せずにいた。するとユイは、早速その理由を話し始める。
「だって、今決めたんですから! 新八さんならきっと事情を理解してくれると思って選んだんですよ!」
「いや、それはありがたいけど……本当に僕でいいんですか!?」
「大丈夫です! 自分に自信を持ってください!」
「そう言う事じゃなくて――」
彼女の持つ高らかな自信の良さに、新八はただツッコミを入れるしかない。彼への信頼を強めているユイならではの答えであった。この決断に仲間達の反応は千差万別である。
「でも新八とだったら、一緒についていっても問題なさそうだよな」
「三人の中だったら、新八君の方が一番いいのかもしれないわね」
キリトとアスナは若干不安を覚えつつも、新八との同伴には前向きに考えていた。一方で銀時と神楽の反応は、
「おい、新八。お前はいつから幼女に好かれるようになったんだよ?」
「ユイのこと、まさか狙っているんじゃないアルよな?」
冗談を交えつつ新八を軽く脅し始める。二人らしい返しに、彼はため息を吐きながらツッコミを入れた。
「アンタらはなんでいつも文句やネタから始まるんだよ……」
いつも通りの反応に、新八は安心と共に呆れも感じ始めている。そんな時だった。
〈コン、コン〉
「すいませんー。ユイ様はいますか? 少しお話したいことがあるのですが」
ノック音とたまの声が玄関越しに聞こえてくる。どうやらユイに用があって、万事屋を訪ねて来たようだ。
「たまか……ユイに何か用があるみたいだぞ」
「何でしょうか? ちょっと見てきますね」
気になったユイは、食卓を離れて単身玄関へと駆ける。彼女が戸を閉めて、たまと会話している時であった。メンバーは一斉に新八の方へ顔を向け始める。
「えっと、みなさん? 何の用ですか……?」
嫌な予感がしていることは、否が応でも分かっていた。仲間達の表情が、真剣さを極めていたからである。すると、最初にアスナが声をかけてきた。
「新八君……君の手にユイちゃんが懸かっているのよ……だから絶対に守ってね!!」
「あの、アスナさん? おつかいに行くだけなので、そこまで真剣にならなくてもいいのでは……?」
「でも、新八が頼りだからな。ユイの事……しっかりと託したぞ!!」
「アンタら、どこまで親バカなんだよ!? 心配性にも限度があるでしょうがぁぁ!?」
キリトまでも加わり、新八へ自らの思いを伝えた。真剣に接する二人であるが、新八からしてみればただの子煩悩なボケキャラにしか見えない。おかげで彼のツッコミも止まる気配が無かった。さらにそこへ、銀時や神楽も会話へ乱入する。
「まぁ、親の愛は強しってことだろ? たくさんプレッシャーをかけて、新八を苦労させてやれよ。てめぇら」
「って、アンタも余計なこと言うんじゃねぇよ」
「でもどうするネ? さすがに新八だけじゃ、心細いアル。ユイに気付かれないように尾行するのは、どうアルか?」
「神楽ちゃんまで何言ってんの!? そんな本格的にやらなくていい――」
「尾行か。それはいいアイデアかもな!」
「ユイちゃんの危機にも対応できるから、大賛成よ!」
「人の話を聞けぇぇぇ!! 頼むから僕のツッコミを増やさないでくださいよぉぉ!!」
すんなりと賛成した神楽からの提案に、新八はより激しいツッコミを入れた。彼の意志とは関係なく、勝手に四人の間で保険用の対策が立てられる。とちょうどその時、
「ただいま戻りましたー! って、アレ? みなさんどうしたんですか?」
「いいや、ユイが来るまで待っていただけだよ」
「そうですか。わざわざありがとうございます!」
ユイが戻ってきたのでやむを得ずに中断した。その後も彼女の目を盗んでは気付かれないように、着々と作戦が立てられていく。
「それにしても、服はどうするアルか?」
「目立ちすぎるといけないから、配色を抑えたものにしましょう」
「眼鏡やサングラスを必須だぞ。よく覚えておけよ」
「さすが銀さんだ。色々と知識が多くて助かるよ」
「あっ、ダメだ……もう僕がどうこう言っても引き返せないや……」
話に熱中する銀時ら四人の姿を見て、新八は頭を抱えて現状を嘆いた。この勢いは彼にも止められないのである。朝から波乱の連続だった新八は、ため息を吐いて早くも疲れ始めていた。一方でユイは、作戦などまったく知らずにおつかいが出来る日を楽しみにしている。
「早くおつかいをしてみたいです……!」
それから約一週間が経った頃。ユイが心待ちにしていたおつかいが、ついに当日を迎える。万事屋を出発して早数分。買い物先へと足を進めていき、その道中でも二人は仲良く話を弾ませていた。
「念願のおつかい……新八さんと一緒でも、叶えられたなら私は満足ですよ!」
「そうなの? 本当に僕で良かったのかな?」
「はい! でも、私自身で切り開きたいので、新八さんは極力助けないでくださいね!」
「分かっているよ。保護者として心構えは出来ているから、ユイちゃんだけでおつかいを成功させるようにサポートするよ」
「よろしくお願いしますね!」
お互いに笑顔で返して、気持ちを高める。ユイが懸命におつかいを果たそうとする心構えを見て、新八は素直に応援しようと考えていた。希望に満ち溢れた表情のユイに比べて、新八の表情は落ち着きがないように見える。その理由はもちろん銀時達の立てた作戦が関係していた。ユイを守るための保険として、もうすでに作戦が実行へと移されているのである。
「……というか、本当に良かったんですか? みなさんで連いてきて……」
袴に潜めてあったピンマイクを使って、新八は銀時達と連絡を交わした。すると彼は真っ先に後ろを振り向く。そこにいたのは――
「おい、新八。振り向くんじゃねぇよ、バレるだろ?」
「バレバレなんだよ。こっちも大声でツッコミが出来ないんですから、蛇足なことしないでくださいよ」
変装した銀時ら四人が電柱へ隠れていたのである。お互いにピンマイクを介して会話をしており、周囲の人には聞こえていない。仲間達は作戦通り変装を施しており、地道な監察を行っていた。銀時はサラリーマン風のスーツを着こなし、キリトら三人は学生服と眼鏡を使って変装している。分かりやすい作戦に、新八の呆れはとっくに越えていた。
「そもそも尾行する考え自体が間違っているんですよ。僕だけじゃ心配なんですか?」
「そうじゃないけど、やっぱりユイちゃんが頑張る姿をこの目で見てみたいじゃん。保護者として当然の行動よ!」
「昼間っからセーラー服を着て、レイピアを腰に装備している人に言われたくないですよ」
反論するアスナであったが、新八から変装を指摘されると何も言い返せない。ちなみに銀時ら四人はみな武器を装備しており、いつユイが襲われても対応できるように準備をしている。変装と重なってかなり目立っており、早くも通行人から好奇の目線を晒されていた。
「もしもし、新八。なんか私達の方が、目立ち始めているネ。どうすれば、いいアルか?」
「……って、自分で考えてくださいよ!! ユイちゃんの見守りで僕は精一杯なんだよ!! これ以上仕事を増やさないで!!」
能天気な質問を出した神楽に対して、新八はついに我慢が出来ず大声でツッコミを繰り出す。しかし、これがきっかけでユイは彼の異変に気付いてしまった。
「新八さん? 急にツッコミを入れて、一体どうしたんですか?」
「あっ、これは……」
冷静になった新八は、ひとまず状況を把握する。ここで作戦が見つかれば、全て水の泡だ。言い訳を考えつつ、まずはユイを自然と前を向かせる。そして、
「あ……新しいツッコミが浮かんだから、つい声に出して面白いか確かめていたんだよ」
「そうなんですか! 周りが見えなくなるほど、ツッコミに情熱を注ぐなんて……さすが新八さんです!」
「アレ? これは、褒められているのか……?」
ツッコミへの練習だと誤魔化して信じこませた。どうにか銀時達の存在には気付かなかったみたいだが、新八の心には複雑な気持ちが生まれている。ユイへの見張り並びに、キリトらの機嫌を伺いながら苦悩はさらに続いていく。板挟みされている彼とは違い、ユイは晴々とした気持ちで目的地へと向かう。同時に銀時達も、見つからないように追跡を続けていく。
それから数十分後。ようやく二人は目的地である大型スーパー、トンキーホーテへとその姿を見せていた。
「ここだね。おつかい先であるトンキーホーテは」
「ここなんですか……トンキーというと、私達の世界にいた邪心型モンスターを思い出します」
「えっ? そうなの?」
「はい! リーファさんと仲良くなったモンスターなんですよ!」
名前に既視感があったユイは、第一印象としてALOにいたモンスターを思い出す。元の世界で付けた名前が、別の世界では違った意味で存在していることに、彼女は奇妙な偶然を感じていた。新八もトンキーへのイメージが浮かびにくいが、同じ気持ちを持っている。
「へぇー意外な偶然もあるんですね。でも、そのトンキーってどんな形をしているの?」
「えっと、象とクラゲが合体したような大型モンスターなんですよ。分かりやすく言うと、あんな感じです!」
「えっ? どういうこと?」
説明中にユイは、たまたま目にしたある物体に指を差し向けた。新八もつられて振り向くと、そこに立っていたのは――
「さぁ、いらっしゃい-。みんな大好きなドライヤーが、今ならこの価格だよー。よってらっしゃいー」
白い象にクラゲのような細いガムテープを付けた謎の着ぐるみである。店の売り余った在庫商品を処分したいばっかりに、自虐気味に紹介をしていた。
「温度調節が強すぎて、情熱を燃やしたい方にオススメー。あの松岡〇造も多分愛用しているよー」
しまいには、某有名テニスプレーヤーの名を勝手に利用する始末である。しかし、その声は万事屋でも馴染みのある渋い男性の声だった。テーブルに置かれているサングラスから、その正体を二人はすでに見破っている。
「まるでトンキーさんみたいです! 長谷川さんもすごく頑張っているんですね!」
「あっ、ユイちゃんも気づいたんだ。さすが……」
そう。ユイの言う通り、着ぐるみの正体は長谷川泰三だった。バイトなのか再就職なのかは不明だが、懸命に仕事をこなす姿を見てユイは純粋にも感動している。
「長谷川さんもようやく仕事が見つかったんですね……安心しました!」
「ユイちゃん……やっぱり君は、優しすぎるよ」
彼女の透明な優しさに触れた新八は、静かに返答するしかなかった。すると、今度は銀時や神楽がピンマイク越しに話しかけてくる。
「おい、新八。さっさと店の中へ入るネ。マダオにどれだけ尺を与えているアルか?」
「仕方ないでしょ。ユイちゃんが感動しているから、中々声をかけづらいんですよ」
「じゃ、しばらくしてからでいいよ。ちゃんと見張ってないと、ユイが余計なお世話をかけるかもしれないからな」
「何言っているんですか? そんなことをするわけが――」
と新八がユイの方へ振り返ってみると彼女は、
「長谷川さん! お仕事頑張ってください! 応援していますからね!」
長谷川に近づき堂々と話しかけている。予想外の行動に、新八の驚きも止まらなかった。
「って、ユイちゃん!? いつの間に話しかけてんの!?」
「ほら、言ってるそばから。新八、後は任したぞ」
「って、ちょっと待って!? もう……間に合ってくれぇぇ!!」
叫び声を上げつつ、彼は急いで二人の元へ走り出す。ユイの優しさを考えれば、困っている長谷川を助けたいと思い、在庫品を買わされる可能性があったからだ。予想外の危機を止めるためにも、新八も躍起になっている。一方で長谷川も、ユイの声を聞いてようやく気付き始めていた。
「ん? この声は確か――」
視界が悪いので、マスクをはずそうとした時である。
「ああぁぁと! 手が滑ったぁぁぁ!!」
「ブハァァ!!」
新八がわざと転んで、長谷川に対して体当たりを繰り出す。吹き飛ばされた彼は、勢いよく柱まで叩きつけられてしまった。
「って、新八さん!? 長谷川さんも大丈夫ですか!?」
「大丈夫! とりあえず、ユイちゃん! 店に入ろう!」
戸惑うユイの隙を突き、新八はすぐに彼女の手を取って一目散に走りだす。
「えっ? 長谷川さんはどうするんですか!?」
「あの人なら無事だから! 絶対に生きているから!」
「そうなんですか!? すごい生命力ですね……!」
感心するユイは置いといて、間一髪で気付かれずに済んだ。二人は店へと入り、その間にキリトら四人もこっそり尾行して入っていく。そして長谷川の方は、まったく状況を把握していなかった。
「痛ぁ……。何だったんだ!? どっかのガキのいたずらかよ!?」
やっぱり新八らだとは気付いていない。思わぬとばっちりを受けただけであった。
トンキーホーテ店内へと入っていき、ようやくユイのおつかいが始まる。まずは神楽が希望したふりかけを探すため、一階の食品売り場へと二人はやって来た。
「えっと、ここみたいですね」
「確か神楽ちゃんからは、酢昆布味のふりかけが欲しいって書いてあったよね?」
「それならこの売り場に絶対ありますよ!」
元気よくユイが返事すると、早速辺りを見渡す。上に掲げられた看板を頼りに探していると、すぐにふりかけや調味料が積まれているエリアへと到着した。そこからさらに凝視していき、慎重に捜索を続けていると――
「あっ! ありました!」
「えっ? 本当なの?」
「はい! でも……高いところにあるんですよ」
ようやくふりかけを発見する。ところがよりにもよって、高い棚に置かれておりユイの身長では届かなかった。早くも危機を迎えている。
「これは……ユイちゃんでも大丈夫なの?」
「平気です! ジャンプをすればきっと取れるはずです! だから新八さんは、何も手を出せないでくださいよ!」
「わ、分かっているから。大丈夫だよ」
新八は不安を感じていたが、空気を読んでひとまずはユイの動向を見守った。物理的に不可能ではないが、後数センチほど高さが足りない。もどかしい彼女の行動に、新八のピンマイクからは仲間達の声が薄っすらと聞こえてくる。
「頑張ってーユイちゃんー!」
「きっと出来る! 負けるな!」
「もっと声の大きさ調整してください。キリトさん、アスナさん」
熱中する二人とは違い、新八は冷静な指摘を加えた。そんな中、ついに状況が動き出す。
「あっ、取れました!」
「えっ? 本当に、ユイちゃん?」
「はい! それに隣のレーンで、知り合いとも目を合わせましたよ」
「知り合い?」
ようやくふりかけを手に入れたが、同時にユイはジャンプしている時に知り合いを見かけたらしい。気になった新八が辺りを見渡すと、そこにいたのは――
「おう、やっぱりお前らだったか。ここで何やってんだよ?」
「ひ、土方さん!?」
真選組副長の土方十四郎である。またも起きた偶然の出会いに、二人は驚きを隠せない。
「長谷川さんに続いて土方さんまで……あなたも買い物に来ていたんですか?」
「まぁな。というか、てめえらも来ていたのか? にしては、いつもの野郎もいないし少なくねぇか?」
「それはユイちゃんのためですよ! 初めておつかいを任されて、僕が保護者として来ているんです!」
「そうか……なら野郎はついてこない方が正解だったな。あいつは女のガキだろうと、下ネタをためらいなく言いそうだからな」
「そ、そうですね……」
事情を知った土方は、途中から銀時への悪口を交えながら話していた。おかげでピンマイクの奥からは、妙な唸り声が聞こえてくる。恐らく土方への怒りを燃やす銀時であろう。新八は空気を読みつつ、今は耐えるしかない。一方でユイは、土方が持っているかごに注目を寄せている。
「あの土方さん? もしかしてこれって、全部マヨネーズなんですか?」
「ああ、そうだな。メーカーの違うマヨネーズを買って、食べ比べようと思ってんだよ」
「あっ、そういうことか……」
見た通り、やはり全てマヨネーズでかごが一杯になっていた。嬉しそうな土方とは異なり、新八は控えめな笑顔で返すしかない。しかしユイだけは、口を開いたまま未だに驚いていた。今までとは違った反応である。
「ユイちゃんとかは、あんまりマヨネーズはかけないよね……アレ? ユイちゃん!?」
新八がユイに話しかけようとした時、彼女の姿は目を離した隙にいなくなっていた。どこにいるかと思い前を向いてみると、ユイはちょうど土方に近づき話しかけている。
「す、すごいです!! マヨネーズの種類がこんなにあるなんて、知りませんでした! 土方さんはマヨラーの中のマヨラーなんですね!」
「えっ?」
まさかの興味を示す反応であった。ユイはマヨネーズの種類に好奇心を沸かして、目をキラキラと輝かせている。知らない情報を知って、興味深く土方へ聞いてきた。子供らしい彼女の姿を見て、土方の反応も珍しく食い付きが良い。
「ああ。まさかお前は、マヨラーに興味があるのか?」
「はい! 私の知らないことがあるなら、ぜひ教えて欲しいです!」
「そうか! なら一から教えてやろう! マヨネーズの全てを!」
話は新八が止められないほど盛り上がっていた。土方自身もマヨラー仲間が出来るかもしれないと思い、テンションも上がっている。しかしこの状況は、新八にとってはかなり気まずいものだ。監視している銀時らからの通信に、恐怖を感じているからである。すると、彼の予測通りピンマイクから声が聞こえてきた。今度はアスナが怖がらせた声のまま、話しかけてくる。
「……ねぇ、新八君? 私が言いたい事、もちろん分かっているわよね?」
「な、何でしょうか?」
「ユイちゃんを今すぐこの場から早く離れさせて!! マヨラーになって激太りしちゃったら、どう責任を取ってくれるのよぉぉぉ!!」
「は、はい!!」
怒りと気合のこもったアスナからの命令に、新八はすぐ行動へと移す。ユイをこの場から
離れさせなければ、彼女からの制裁が待ち構えている。一瞬でユイを抱きかかえて、風のように場を去っていった。
「土方さん! 時間がないので、今日はここでサヨナラー!」
「えっ、新八さん!? マヨラーのコツを学ばなくていいんですか?」
「後でアスナさんとかに聞いて! 答えはすぐに出るから!」
「わ、わかりました!?」
ユイは手にしたふりかけを握りしめて、軽く動揺している。新八は取り急ぎで、次の売り場まで向かった。一方で取り残された土方は、
「アレ? なんでもう行ったんだ?」
突然の行動を読み込めていない。いずれにしても、アスナが危惧した状況は見事解消された。
「はぁ……これでユイちゃんも、マヨラーにならずに済むかな?」
「と言うかお前……そんな心配していたのか?」
滅多には見せないアスナの怒りに、銀時と神楽はただ驚いている。キリトだけは腕を組み、少し気持ちを理解していたが。こうしてまた銀時達も二人を追跡していく。
「よし! ママの好きなシャンプーとリンスもゲットしました!」
「あっ! もう見つけたんだ! やるじゃないですか!」
アスナが希望していたシャンプー類を手に入れて、喜びを浮かべるユイ。現在二人がいるのは、美容グッズを取り扱うエリアだった。彼女にとっては馴染みがなく、初めて見かける商品も多々ある。
「それにしても、美容品もこんなにあるんですね。ママが悩む理由も良く分かります!」
「ここは女の子にとっての武器庫みたいなところだからね」
「……武器庫? 一体どういう意味ですか?」
「いや、分からなかったら大丈夫だよ……」
折角思いついた例えも、ユイにはまったく意味が伝わっていなかった。新八は思わず言った例えを後悔してしまう。ピンマイク越しでは、神楽らに笑われていたからだ。
「滑ったアル。新八が滑ったネ!」
「新八君。私は結構さっきの例え、面白いと思ったからそんな落ち込まないで!」
「すいません、アスナさん。むしろ傷つくんですけど……」
アスナからも情けをかけられる始末である。そんなやり取りをひとまず置いといて、新八は再びユイに話しかけた。
「そ、それじゃユイちゃん。別のエリアに移動しようか?」
「あっ、ちょっと待ってください。このエリアで、一つだけ見てみたいものがあるんですよ」
「見たいものですか?」
「はい! 獣耳専用のコンディショナーを一度目にしたいんです!」
次の売り場へ行く前に、ユイは興味を持っているコンディショナーを見てみたいという。この情報は仲間であるシリカとシノンから聞かされたものだった。
「実はですね、そのコンディショナーはシリカさんとシノンさんが愛用しているんです。他のシャンプーを使うと、耳への刺激が強かったり、尻尾の毛並みが悪くなるみたいなので、二人にとってはぴったりの美容品なんですよ!」
「へぇー、そうなんだ。それを見てみたいんだね?」
「はい! 少し興味があるので」
ユイの言う通りその商品は特殊な効果を持っている。一般的なコンディショナーと何が違うのか、ユイは一目見てみたいのだ。周りを見ながら探していると、数分も経たないうちに見つかる。
「あっ、ありましたよ! 新八さん!」
「アレか……って、あの人は」
しかもちょうど売り場には、とある客がコンディショナーを手にしていた。その正体は、
「ハァ……コラボシテカラ早二十話。出番ハマタ夢ノマタ夢……。唯一ノアイデンティティダッタ猫耳モ今ジャ、小娘二人ニ枠ヲ取ラレテ見ル影スラ無イ。ドウスレバ、イインデショウネ……」
悲壮感に苛まれるキャサリンである。自身の持つ猫耳とおばさんのようながめつさで活躍していた彼女だが、最近では危機感を抱いていた。別世界から来た猫耳キャラの女子二人の方が、出番が多い事に気付いてしまったのである。実は彼女もこのコンディショナーを愛用しているが、言ったところでもう遅い。そこで切ない表情をしたまま、意地でも出番を増やそうとしていた。キャサリンを見たユイは何かしら接するのかと思いきや、
「新八さん。こういう時は、そっとしておくのが一番なのですよね」
「余計なお世話をかけるかもしれないからね」
「ッテ、待チヤガレ! 尺ヲ気ニシテ節約シテイルンジャネェヨ! 話カケロヤ!」
空気を読んであえて通りすがってしまう。先回りした答えに、彼女のツッコミも止まらない。同じく銀時ら四人もさりげなく通りすがっていき、無言のまま進むのであった。
「オイ、コラ! テメェラマデ無視スルナ! 覚エテロヨ! イツカメイン回デ倍返シニシテヤルカラナ!」
答えの返ってこないツッコミに、キャサリンは悔しい気持ちを見せる。場は何事も無かったかのように、静けさを取り戻すのだった。
その後もユイは次々と買い物をこなしていく。新八は見守るだけであって、ほとんど彼女の力だけで困難も切り開いていた。そして、いよいよ最後のエリアへと到着する。
「よし! 後はパパと銀時さんの欲しがっている本を買えば、コンプリートです!」
「ということは、後は本だけってこと?」
「はい! その通りです!」
新八からの問いに、ユイは元気に答えた。二人が現在いるのは、雑誌を売っているエリア。ここで銀時用のジャンプとキリト用のゲーム専門雑誌を買えば、ようやくおつかいが完了する。
「そっか、もうここまで来たのか。でも後少しだし、何も起らないと思いますけどね」
「そうだと信じたいですね!」
安心する二人であったが、新八のピンマイクからは銀時達の会話が静かに聞こえてきた。
「おいおい、フラグが立っちゃっているよ」
「アレは間違いなく死亡の方ね」
「悲しいアル。新八ともお別れなんて……」
「アンタら、いい加減にしろよ。ピンマイクの存在をバラしますよ」
フラグが立ったと勝手に話をまとめられ、新八の我慢も限界寸前である。それでもユイの前では平然を装って、必死にこらえるしかないのだ。
「新八さん? どうしたんですか?」
「いいや、なんでもないよ。さぁ、本を探しましょうか」
「そうですね!」
ユイのおつかいを成功させるためにも、この状況は絶対に見つかりたくない。新八も意地を見せつつ、ようやくおつかいも佳境を迎えようとしている。
「この本と……あっ、見つけました! これですね!」
ユイは最初に、キリトが愛読しているゲーム専門雑誌「フェル通」の最新号を手に取った。そして、ジャンプにも手を伸ばそうとした時である。
「えっ?」
「あっ?」
彼女と時を同じくして、男性の手がジャンプへと重なった。ふと横を見てみると、そこにいたのは青く忍者のような服を着た男性である。
「あ、あなたは一体?」
「お前こそ……てか、眼鏡? お前もなんでこんなところにいるんだ?」
「ぜ、全蔵さん!?」
「えっ? 新八さんのお知り合いなんですか?」
男性の正体は万事屋の知り合いでもある服部全蔵だった。元々幕府に仕えるお庭番衆として活躍していたが、数年前に解散。現在は元忍者としての技術を生かして、職を転々としている。そんな彼がユイらSAOキャラと出会ったのは今回が初めてだった。
「そうだけど……というか全蔵さんもユイちゃんを見るのは初めてですよね?」
「まぁ、噂で新メンバーが入ったとは聞いていたが……まさかこんな幼い子だったとは。もしかして、お前はロリコンだったのか?」
「違いますよ! ユイちゃんとは友達なんですから、そういったことは一斉考えていませんからね!」
からかい気味に接する全蔵に、新八もムキになって言葉を返す。さらにユイも続く。
「そうですよ! 新八さんは、私にとってのお兄ちゃんなんですから! とっても頼りにしている、最高のお兄ちゃんだと思っているんですよ!」
「あのユイちゃん? ここでその言葉を連発すると、あえて誤解を与えかねないからやめてもらえるかな……?」
勢い余って余計な誤解を与えかねない言葉に、新八は冷静な指摘を加えた。それは置いといて、全蔵はようやく本題へと戻す。
「とりあえず、まぁいいや。兄貴だろうとなかろうと、そこまで興味はない。それよりもどうする? このジャンプは一冊しかないが、どっちが手にするかここで決めるか?」
「えっ、嘘!? またこの流れ!?」
彼が気にしていたのは、ジャンプの行方だった。この雑誌コーナーではもう一冊しか置いておらず、近くには目星のつく書店もない。故にどちらかが購入を諦めなくてはいけないのである。これには遠くで見ていた銀時も、激を飛ばしていた。
「おい、ふざけんな! 俺が楽しみにしていたジャンプを取りつもりか!」
「取り乱さないでください、銀さん……」
新八はピンマイクを押さえながら、静かにするよう呼びかける。一方で彼女は、今日で一番の窮地へと追い込まれていた。
「そんな……一冊しかないなんて」
「まぁよくあることだ。それに今回は発売から数日経っているから、かぶき町で見つけるのは難しいだろ。今回はアイツもいないから、穏やかに解決できそうだな。さぁ、どう決めるか? お嬢ちゃん?」
口喧嘩でしぶとい銀時とは違い、一見純粋そうなユイを見て全蔵は勝利を確信する。彼女もどうすればいいか必死に考えていたが、何も答えが出てこない。
(どうしよう……本でここまで悩むなんて、私にとって初めてです……どう解決すればいいのでしょうか)
悩みに悩みを重ねたが、最善の方法が見つからない。時間を消費して困惑する中で、彼女は思考を変えて自分を落ち着かせていた。
(正直、ここで諦めたくはない……今日が私にとって初めてのおつかいになるなら、ここで頑張らないと! 大丈夫……今の私なら、きっと出来る!)
思いを振り切らせてようやく覚悟を決めると、全蔵に対して自らの思いを赤裸々に語り始める。
「あの全蔵さん……申し訳ないんですが、私もそのジャンプを購入したので、どうしても譲れないんです」
「ということは、俺が引き下がった方が良いってことか?」
「はい。今日は私にとって、初めてのおつかいの日なんです。パパやママ、銀時さんや神楽さんが楽しみにして待っているんですよ。だから今日だけは……今日だけは私のワガママを聞いてもらいませんか! この恩はいずれ絶対に返しますから、だからお願いします……ジャンプを私に譲ってください!」
「ユイちゃん……」
ユイが導き出した答えは、誠心誠意を込めて全蔵に気持ちを伝えることだった。素直になって話せばきっと分かってくれると思い、涙ながらに言い伝える。勇気ある言葉を聞いた全蔵の反応はと言うと、
「……ったく。分かったよ。今回ばかりは諦めてやるか。ほら、受け取れ」
「ありがとうございます……」
理解してジャンプをユイへと譲った。彼女の気持ちを読み解き、今回は自分が手を引いたようである。すると新八も声をかけてきた。
「あの全蔵さん……」
「いいんだよ。純粋な子供に俺は弱いんだ。まぁ、せいぜいおつかいが達者になってから、恩は返してもらうぜ。それくらい覚えてりゃ、十分だよ」
そう言って全蔵はその場を去っていく。大人らしく誠意を持って態度を返す。一方でユイは、強い罪悪感に苛まれていた。
「新八さん……これで本当に良かったのでしょうか……?」
「……ユイちゃんが思うほど、そんな重たい事じゃないよ。銀さんが読み終わったら、全蔵さんに渡せばいい話だから。ほら、そんなに自分を攻めなくてもいいんだよ」
考え込んでしまったせいで、彼女は思わず涙を流してしまう。普段はあまり哀しい感情を出さないので、新八は空気を読みつつユイを懸命に励ましている。
(ユイちゃんは優しいから、責任感もその分強く思っちゃうんだ……でも、それは絶対悪い事じゃないと思うよ)
心の中でそう呟き、彼女の努力を褒めたたえた。残すはレジ会計のみで、ユイを落ち着かせた後に向かおうとしたその時である。
「ユイちゃん! そんなに悲しまなくてもいいんだよ!」
「ん? 今の声はママ?」
「えっ? まさか……」
ここまで来てトラブルが発生してしまう。新八の付けていたピンマイクから、アスナの声が漏れてきたのである。ユイにその声を聞かれてしまい、状況は急展開を迎えていた。
「どういうことですか、新八さん? 今のママの声が聞こえて……」
「いや、気のせいだと思うよ! 空耳じゃないのかな?」
必死に誤魔化しを利かせる新八であったが、時すでに遅い。焦っている表情から、ユイは裏があると思い始めていた。
「怪しいです……ちょっと見せてください!」
「あっ、それは……」
偶然目に入ったピンマイクを見つけて、ユイはそれを耳元へ近づかせる。そこから聞こえてきたのは――
「おい、バカ! ユイに聞かれたらどうすんだよ! 監察がバレるだろうが!」
「銀さん。アスナもワザとやった訳じゃないから、大目に見てやってよ」
「キリはアッスーに甘いネ! こういう時は厳しく追及するのが筋アル」
「神楽ちゃんまで、銀さんの味方をするの!?」
キリトら四人が言い争っている場面だった。この証拠によって、ユイは状況を飲み込み始めている。そして不満な表情で、ピンマイク越しに叫びだした。
「みなさん、こそこそ何をしているんですか!!」
「「「「えっ?」」」」
さっきまでの涙は引っ込み、ユイは怒りの気持ちを仲間達へとぶつける。こうして作戦は、意外な形であっさりと崩れ去ったのだ。
「あーあ。僕はもう何もフォローもしませんけどね」
頭を抱えた新八も吹っ切れた気持ちのまま、大きくため息を吐くのである。
「もう! すっかり気分が台無しですよ! これじゃ、初めておつかいをしたことにはならないんですよ! みなさんしっかり反省してくださいね!」
「「「「はい……」」」」
万事屋への帰宅途中、ユイは顔を膨らませながら銀時らを叱りつけている。何も言わないまま監視されていたのが、彼女の怒りに触れてしまったようだ。
「本当に反省しているんですか? もう二度とこんなこと起こさないですよね?」
「起こさないネ! 酢昆布に誓ってしないアル!」
「神楽ちゃん、今のユイちゃんにボケは通用しないよ」
神楽からのボケにも新八は冷たいツッコミで対応する。しかしユイ自体もそこまで怒ってはいない。たった一つ新しい約束を守れれば、それで良かったのだ。
「もう……。これからはちゃんと内緒にしないでくださいよ! それにおつかいだって、何も起きなかったんですから、もう一回挑戦させてくださいよ。もちろん、一人で!」
「わ、分かったわ、ユイちゃん。本当にごめんね……」
アスナに続いてキリトや神楽も反省を込めて頭を下げる。銀時は新八に促されて、渋々謝りを加えた。十分に反省していると感じたユイは、急に表情を柔らかくする。
「それなら大丈夫です! さぁ、万事屋に戻りましょう!」
機嫌の直ったユイの姿を見て、仲間達はひとまず安心していた。同時に万事屋としての生活を通じて成長した彼女に、若干驚きを見せている。
「ユイちゃんの機嫌の直って良かったわね」
「そうだな。俺達が知らない間に、随分と成長していたんだな」
「まぁ、万事屋として長くいるし、成長するのも当たり前だろうな」
「キリとは違った男とも仲良くなっているからナ」
「ああ、新八の事か……」
銀時ら四人の手前を歩いているユイの横には、なぜか新八が一緒に歩いていた。今日の出来事を通じて、二人の仲はより一層深まったのである。そんな二人は、小声である会話を交わしていた。
「新八さん。実は言うほど、私は怒っていないんですよ」
「えっ、そうなの?」
「はい。アレくらい強く言わないと、パパやママは懲りないと思ってつい強めに叱ったんですよ」
「そうだったんだ……やっぱりユイちゃんは、優しいね」
「ありがとうございます」
秘密の会話を交わしつつ、二人は思わず笑顔で返す。こうして、ユイにとって初めてのおつかいは幕を閉じたのだ。
トンキー(SAO版)
キャリバー編に登場した大型モンスターの一種。象とクラゲの要素を併せ持った外見をしている。ゲルショッカ〇怪人ではない。
トンキー(銀魂版)
全国展開する大型スーパーとして名を馳せている。要するに「ドンキー〇―テ」の名前違い。本家とはまったく関係はない。
この名前の一致は、果たして偶然で片付けられるのか……? (多分偶然です)
そして、銀魂の新作アニメが決まりましたね! 未定のままですが……
次回予告
シリカ「最近、ピナの様子が変なんです!」
妙 「そうなの? それはきっと……恋じゃないのかしら?」
シリカ「こ、恋!? 一体誰に恋をしたんですか!?」
妙 「それは……ゴリラとか?」
シリカ「って、思いつかないからって適当なことを言わないでくださいよ!!」
妙 「次回! ペットの変化には早く気付こう!」