剣魂    作:トライアル

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 今回のお話は以前にノートで前書きしたものを脚色したのですが、何故このタイトルを付けたのか自分でも思い出せません。ただ妙に気に入ったので、そのまま採用しました。改めて書き直すとストーリー性よりも、ネタ要素を楽しんでいただけると幸いです。



第五十六訓 地方営業のコンビニは、意外と全国展開している

「「「ト、ト、トトン! トンキー! トンキーホーテ!!」」」

 館内に流れる専用BGMを口ずさみ、スキップを続けるのは神楽、ユイ、リーファの女子三人組。仲良く手を繋いで、浮かれた気持ちで出口へと進んでいく。

 九月のこの日、万事屋一行はリーファと共に夕食の買い出しに付き合っていた。向かった店は、以前にユイらも訪れたことのあるトンキーホーテ。多くの商品が並ぶ有名な販売店である。

 その帰り際に女子三人が元気に振る舞う一方、銀時、キリト、新八、アスナの四人は後ろから彼女達を見守りつつもついてきていた。アスナを除いて、男子達は荷物持ちと化していたが。

「ったく、すぐに調子に乗るな。あのトンキー娘共は」

「まぁまぁ、銀さん。そう言わずに見守ってあげようよ」

「そうよ。リーファちゃんなんて、トンキーって聞いてからずっとテンションが上がっているのよ」

 文句を呟いた銀時に対して、横にいたキリトやアスナがそっと宥めていく。彼ら曰く今日の買い物では、特にリーファが気持ちを上げているようだ。

「はいはい。つーか、トンキーって一体何だっけ?」

「トンキーは確か、キリトさん達の世界にいたモンスターの一種ですよね」

「そうね。名前自体はリーファちゃんが名付けたけど」

「結構大きくて、移動するときも助かったよな」

 四人の間では、すぐにトンキーが話に挙がってくる。キリトらにとっても思い出深い存在であり、共に懐かしく思い始めていた。

 しかし銀時にはイメージが掴めず、二人の話を聞いてもさっぱり分からない。そこで思い付きから、勝手な予測を立て始めていた。

「そんなに大きいのかよ? あのペンギンマスコット、あっちの世界では巨大化していたのか? ダイマック〇じゃねぇんだからよ」

「あの、銀さん。多分勘違いしていますよ」

「トンキーはクラゲや象と似たモンスターよ……」

「色々とごっちゃになっているよ。というか、〇イマックスって何?」

 有名なトンキーホーテのマスコットと照らし合わせており、次々と仲間達からは指摘を受ける始末である。名前が同じ故に、その捉え方にも相違が起きていた。

 トンキーの話題が続く一方で、先を歩いていたリーファらにも変化が起こっている。

「なんでも揃う買い物天――ん? アレって……」

「どうしたアルか、リッフー? 急に足を止めて」

「何か見つけたのですか?」

 不意にもリーファは足を止めて、自動ドア近くに貼られていた一枚のポスターに注目を寄せていた。ユイや神楽も気になって一緒に見てみると……そこに書かれていたのは、店側の募集広告である。

「トンキーホーテWEBキャラ募集のお知らせ……これって、遂に来たかも!!」

「うわぁ! びっくりしたネ!」

「来たって……どういうことでしょうか?」

 概要を読み進めていき、咄嗟にリーファは大声を上げていく。さらにテンションを高めた彼女は、内心にてある計画を思いついていた。

「そのまんまの意味よ! みんなにも協力してもらえるかしら?」

「「……はい?」」

 戸惑っている神楽やユイにも気にせず、勢いのままに協力を持ち掛ける。ふとした宣伝をきっかけにして、彼女には大いなる目標が立てられていた……。

 

 

 

 

 

 日付は変わって、次の日の正午頃。万事屋銀ちゃんには昨日に続いてリーファが来ており、居間にて思いついた計画を仲間達に向けて説明していた。

「トンキーマスコット化計画? って、なんだよ?」

「そのままの意味だって! トンキーホーテで募集しているみたいだし、私も応募しようと思っているのよ!」

 熱意を持って伝える姿勢には、一行も本気だと捉えている。彼女によるとWEB用の宣伝も兼ねて、トンキーホーテ側が一般からのアイデアを求めているらしい。この公募に共鳴を感じたのか、リーファは思い入れのあるトンキーをマスコットにしようと、強く願っていた。

「つまり俺達も、そのマスコットの設定に考えて欲しいのか?」

「そういうこと! 察しがいいわね、お兄ちゃん! みんなにも手伝ってもらいたいけど、大丈夫かな?」

 その為にも万事屋に、アイデアを含めた協力を持ち掛けている。平たく言えばリーファの依頼であるが、万事屋一行は皆好意的な反応を示していた。

「別に問題ないアルよ、リッフー!」

「力になれるならなんでもするわ!」

「私もママや神楽さんと同意見です!」

 特に女子達は乗り気で、次々と賛成の声を上げる。

「いいですね。僕も協力しますよ」

「もちろん俺もだよ」

「しゃあねぇな。やるからには本気でやるぞ」

 一方の男子陣も、軽口は言いつつも素直に受け入れた。これはリーファにとっても、頼もしい後押しではある。

「みんな、ありがとう! それじゃ……」

 そしてすぐにでも取りかかろうとしたが――その時、思わぬ賛同者が声を上げてきた。

「ちょっとお待ちなさい!!」

「ん? この声って……」

 突如として聞き覚えのある女性の声が響いてくる。皆が気配に気が付くと、その声の主は天井を突き破って姿を見せた。

「とう!!」

「あ、あなたは……」

「あやめさん!?」

 華麗な着地を披露した彼女の正体は、銀時のストーカーとしてお馴染みの猿飛あやめである。自信あり気な表情のまま、彼らの会話にズカズカと乱入していく。

「お久しぶりね、みんな! そしてリーファちゃんも!」

「ひ、久しぶりです……ていうか、あやめさん? 一体何をしに来たの?」

 彼女は話し出した途端に、リーファとの距離を近づかせている。おかげで本人は苦い表情を浮かべてしまう。あやめとの久しぶりの対面に、緊張感を覚えていた。

 一方の万事屋だが、皆そこまで驚いてはいない。あやめの侵入はキリトら加入後も続けられており、故に全員が慣れた様子である。

「またあやめさんが来たのか……」

「今月は初めてでしたっけ?」

「忘れた時にいっつも来るのよね……」

 もちろんキリトら三人も同じ気持ちだった。控えめに理解する彼らとは異なり、銀時らの方は冷めた視線をあやめに向けている。

「どうせまたストーカーだろ。冷やかしだったら必要ないからな」

「そうアルよ! こっちは真剣な話し合いをしているネ!」

「フッ……それもそうだけどね、今日の要件はちょっと違うのよ」

「ストーカーのことは否定しないんですね」

 銀時や神楽から文句を飛ばされても、彼女の堂々とした姿勢は続く。どうやら彼女なりに、別の目的があるそうだが?

「じゃ、何アルか?」

「フフ。簡単な話よ! アナタ達の計画しているキャラ作りに、私も手伝わせてもらえるかしら?」

「えっ!? あやめさんも参加するの!?」

 その目的はあっさりと明かされていた。彼女としては意外にも、自分から進んで協力を申し出ている。予想外の行動には、リーファのみならず全員が驚きの声を上げていく。

「あやめさんがリーファさんの手伝いを?」

「信じられないアル……!」

「あら、何か不服かしら?」

「いや、珍しいと思って……あやめさんにそんなイメージないから」

「失礼ね! 私をどんな人間だと思っているのよ!」

「ただのストーカーだろうが」

 やはり善意ではないと全員が察しており、何か裏の考えがあると勘付いている。アスナの指摘では、あやめもむきになって反論をしていたが。

 とここで銀時が、彼女の真意を探っていく。

「つーかお前、一体何が目的だ? さっさと吐けよ、ゴラァ」

「目的……? そんなのあるわけないでしょ」

 否定はしたものの、顔は僅かながら震えている。怪しいのはもう明白であった。

「怪しいアルナ。なんでリッフーを見つめているアルか?」

「そ、そんなことないわよ! 私はね、あの男殺しの服が欲しいだけ……ハッ!?」

「えっ?」

 とことん突き止めた途端に、呆気なく本音を漏らしている。この一言により、服装の憧れが明るみになっていた。

「そ、そうだったのか」

「あやめさんもファンタジー系の衣装に憧れているの?」

 これにキリトやアスナも、次々に思ったことを発している。ささやかな願望を口にしたあやめは……もう隠すことなく、むしろ気持ちを開き直らせていた。

「ハハハ! バレちゃ仕方無いわね!」

 悪役のような不気味な笑いと、弾けた笑顔を浮かばせていく。そしてリーファに向かって堂々と、約束を宣言してきた。

「リーファちゃん! 私もこのアイデア会議に参加するから、代わりに入賞したら一週間だけ服装を交換しましょう!」

「えっ、一週間も!?」

「いや、驚くとこそこかよ!?」

 限定的な服装の交換を持ち掛けて、より場を騒然とさせている。当の本人は期間ばかりに注目していたが、あやめは口を止めずに理由を語り出していく。

「この服を着れば、銀さんも誘惑すること間違いないわ! 私のボディを強調させて、必ずやメロメロ状態にするんだから!! これが起死回生の一手なのよ!」

「その一手を俺の前で堂々と言うのかよ」

 結局は銀時絡み故の興味だったが、肝心な思惑を本人の前で明かす始末である。身も蓋もないことを彼から言われても、あやめの硬い意志は変わらない。

「……とにかく、良いでしょ! 日ごろからお世話になっているから、そのお礼として!」

「あやめさんから教えてもらうことって、これまでにあったっけ?」

「と、とりあえず、話し合いは多い方が良いでしょ! だからお願い! 交換してよ!」

「で、でも……」

 強引にも服装交換を嘆願して、遂には頭まで下げていた。滅多にはないあやめのお願いに、リーファも対応に困り果ててしまう。そこで仲間達から、意見を聞いてみることにした。

「ど、どうしよう。お兄ちゃん?」

「そこはスグの判断でいいんじゃないのかな? でも交換自体は良いとは思うけどな。忍者姿も結構似合いそうだし」

「決めた! あやめさんとの約束を引き受けるわ!」

「って、あっさり迷いを捨てたよ! キリトさんの影響、どんだけでかいんですか!?」

 さり気なく言ったキリトの助言により、あっという間に正解が決まる。手にひらを返した変わり様に、新八もツッコミを反射的に繰り出していく。

「それでも、いやらしいことには使わないでよ!」

「分かっているから。約束はしっかりと守るわよ!」

 最低限の注意を付け加えて、あやめとの約束を簡単に施していた。彼女は笑顔で受け入れたが……その内心ではふと屁理屈を呟いている。

(行為の時には脱いでいるから、適応外よね……フフ)

 気を早めるように、甘い妄想を次々に浮かべていく。服装交換をきっかけにして、銀時との距離を縮めようとしていた。本人にそんな気は全くないのだが。

 この展開に万事屋一行では、キリト側と銀時側でかなり反応が異なっている。

「やっぱり、あやめさんって不思議な人ね……」

「でもリーファさんも、なんで急に引き受けたんでしょうか?」

「きっと忍者服に実は興味を持っていたからじゃないかな?」

 前者ではあやめの独特な考え方や、リーファの方向転換に驚きを感じていた。きっかけとなったキリトも、自分が原因だとは微塵も思ってはいない。

 そして後者はと言うと、

(やっぱり、ブラコンなのか。あいつは……)

(一瞬で考えを変えましたからね)

(キリが賛成だったら、なんでもいいアルか)

共に内心でありのままの本音を吐いている。特にリーファの分かりやすい行動には、ブラコンだとも揶揄していた。容赦のない毒舌である。

 何はともあれあやめも加わり、計八人による話し合いがこれより始まっていた。

 

 

 

 

 

 そして時間は過ぎていき、およそ一時間が経過した頃。話し合いは着々と進み、現在はトンキーの元のデザインをリーファが説明している。

「これが皆さんの言っていたトンキーなんですか?」

「そうよ! とっても可愛いでしょ!」

 自信満々にノートへ書き記したその風貌は、可愛さとは程遠い白い象のようなモンスターであった。クラゲの触手も加わり、異形さがより滲み出ている。

「あっ、そうだな」

「目以外は可愛いアル」

「なんでそんな微妙な反応なのよ!?」

 全てを察したように、銀時や神楽も反応に困っていた。リーファが強く推している可愛さの要素が、いまいち分からないからである。

 この邪心系モンスターを、如何に馴染みやすくするのかが会議の難点だった。

「それでここから、どうマスコットらしくするのかよね……」

「何か連想を増やして、イメージを決めるのはどうですか?」

 アスナや新八も思いついたことを呟いている。形へと入る前に、特徴を挙げるべきだと発していた。するとあやめは、とある考えを閃いている。

「だったらもう、連想ゲームで言葉を上げて行きましょうか」

「連想ゲーム?」

「つまり、マジカルバナナみたいにやれば良いのよ!」

 自信良く勧めてきたのは、連想ゲームの一つマジカルバナナだった。お題に近い言葉をリズム良く人に回していく、何とも懐かしいゲームである。

 この提案なのだが、実はSAOキャラには違和感を覚えていた。

「マジカルバナナ?」

「聞いたことないアルか?」

「マジカルレモンなら聞いたことがあるけど」

「レ、レモン!?」

「確か昔に流行ったバラエティ番組だよな」

 ユイを除いたリーファら三人は、マジカルレモンの方に共感を寄せている。どうやら世界によって、番組名が微妙に異なるようだ。

「まさか、フルーツの名前が変わるのか?」

「きっと米津玄〇の影響アルよ!」

「いや、多分違うと思いますよ」

 万事屋一行も多少は驚いていたが。それはさておき、さらに話を掘り進めると、バナナでもレモンでもルールに目立った違いはない。互いに確認をすると、このまま連想ゲームでテーマを決めていくようだ。

「じゃ題して、マジカルトンキーにして言葉を挙げていきましょう!」

「言葉を次の人に繋げばいいんだな」

「その通り! なるべく多く挙げましょう!」

 ゲーム名を改めたところで、一行は準備に取り掛かる。公平なじゃんけんの結果、順番はリーファ、あやめ、キリト、銀時、アスナ、ユイ、神楽、新八となった。こうして計画の一端であるマジカルトンキーが始まっていく。

銀時「それじゃ、いくぞ。せーの!」

全員〈〈マジカルトンキー!!〉〉

リーファ「トンキーと言ったら象!」

あやめ「象と言ったら大きい!」

キリト「大きいと言ったらボス!」

銀時「ボスと言ったらフリー〇」

アスナ「フ〇-ザと言ったら氷?」

ユイ「氷と言えばかき氷!」

神楽「かき氷と言ったら鼻が~! 鼻が~!」

新八「鼻……ちょっと待ってください!」

 ところが早くも、新八によりゲームが中断される。銀時と神楽の返答が、明らかにボケを含んでいたからだ。

「あやめさんやリーファさん達はまだ良いですよ。銀さんと神楽ちゃんは、自重をしてくださいよ! 絶対にキリトさん達、元ネタを分かっていませんよ!!」

 そう指摘されると同時に、アスナも引っかかっていたことを口にする。

「結局フリーザって何なの? 冷蔵庫の種類とか?」

「いいや、お前らが知らない超人気敵キャラのことだよ。53万の戦闘力とか聞いたことは無いのか?」

「……特には」

 キリトらの冷ややかな反応を見ると、やはり何一つ伝わっていなかった。

「それと神楽さんの連想は何だったんですか?」

「決まっているアル! かき氷を食べた時の反応ネ! 某文明の末裔っぽくやるアルよ」

「ただのモノマネじゃねぇか! しかも鼻じゃなくて目ですよ!」

「……はい?」

 思いっきりネタを披露する神楽だが、こちらもユイの反応はいまいちである。初っ端からこのゲームは、ネタ要素を交えてよりスムーズさに欠けていた。

「段々とそれているわね……」

「ここは気を取り直しましょう。もう一度行うわよ」

 リーファやあやめが声掛けしつつ、場の空気を整えていく。一通り落ち着いたところで、二回戦目が始まる。

全員〈〈マジカルトンキー!!〉〉

リーファ「トンキーと言ったらクラゲ!」

あやめ「クラゲと言ったら――」

 とあやめが答えようとした時であった。

「触手で目つぶし!」

「えっ?」

 またも聞き覚えのある女性の声が聞こえる。ふと玄関近くの戸を見てみると、そこに立っていたのは、

「偶然来たけど、何だか面白そうなことをやっているわね」

「あ、姉上!」

「お妙さん!?」

満面の笑顔を見せる志村妙であった。突然の彼女の登場により、万事屋一行やリーファらはさらなる驚きに包まれている。

「なんであなたがここに来ているのよ!?」

「さっきも言ったでしょ。偶然通りかかっただけよ。マスコット制作をしているなら、私に任せてちょうだいよ」

「お妙さんも手伝ってくれるの?」

 妙はすぐに状況を理解したようで、こちらも協力的に接していた。すると彼女は、あやめのいる方へ視線を向けていく。挑発的な佇まいを見せており、あやめもまたそれに乗り始めていた。

「ここで出会うなんて光栄ね、お妙さん! まさかアナタも、リーファちゃんの服を目当てに来たのかしら? 絶対ブカブカになるわよ!」

「アラ? 久しぶりに会ったくせして、相変わらず好戦的ね。別に狙ってなんかいないわよ」

「ご愁傷様ね。アナタにはシリカちゃんの服装が似合っているわよ。身長で合わないとは思うけど!」

「遠回しにディスらないでくれるかしら? 何ならもっと似合う服装があるはずよ。血盟騎士団しかり、整合騎士しかり。どれも私みたいな隠れ巨乳にぴったりの服装じゃない」

「隠れ巨乳? そんな話初耳ね。アナタにはあったのかしらね……?」

 互いに意地を張り続けており、大人げない罵り合いを続けていく。共に笑顔を崩さずに接していたが、内心では密かに相手を見下している。再燃する仲の悪さが、キリトらにも露呈していた。

「この喧嘩って、いつまで続くの?」

「あやめさんとお妙さんって、結構バチバチな関係なんだ……」

「意外な発見です……」

 キリトら三人も、次々に思ったことを呟いている。

「ていうか、二人共! 服装如きで争わないでって!!」

 そして見かねていたリーファが、思わず止めに入っていく。一方で銀時ら三人は、冷静に妙達の喧嘩を見定めていた。

「姉御の意地っ張りは健在アルナ」

「また面倒くさい奴が増えたな……」

「これ以上揉め事を起こさないでくださいよ……」

 と速やかに収まれば良いのだが……さらなる火種が万事屋に訪れてくる。

「おっ! 見つけましたよ、お妙さん!!」

「あっ、ゴリラ!」

「って、近藤さん!?」

 何とも悪いタイミングで来たのは、妙のストーカーである近藤勲だった。有無を言わさずに彼は、早速彼女を標的にしている。

「久しぶりの再会! ここは是非、俺のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を受け入れて――!」

 ハイテンションのまま両手を広げて、妙に飛び掛かろうとしたのだが、

「フンス!」

「グハァ!!」

呆気なく返り討ちに合ってしまう。妙の容赦のない拳が近藤の腹部に当たっていた。吹き飛ばされると同時に、彼の仲間も駆けつけてくる。

「おい、ここにいたのか! 近藤さん!」

「土方さんまで……!?」

「お前まで来るのかよ」

 続けざまに土方もこの場に姿を見せてきた。さらなる真選組の登場に、ユイや銀時らの反応も疲れ切っている。場の収集にも不安を覚えていた。

「アラ。ゴリラに続いて、マヨラーも来たのね」

「いや、本名で読めよ!」

 妙だけは相も変わらずに挑発を続けていたが。いずれにしても、より賑やかになったことは間違いない。

「お妙さんや真選組は、聞いてないわよ……」

 予想外の来客者達に、リーファの表情も思わず苦く染まっている。ほのかに浮かぶ嫌な予感を察していく……。

 

 そして時間の経過と共に、まずは来客者達を一行が落ち着かせていた。

「いや~失礼した。お妙さんを見つけたら、つい追いかけてしまってな!」

「ついって、レベルじゃねぇよ」

 あっさりと態度を変えた近藤に対して、土方は小言を呟いている。共にソファー近くに立ち続けながら、どさくさ紛れに会話へと割り込んでいく。

「それでついでに聞くが、一体何をしていたんだよ?」

「何も関係ねぇよ。トンキーについてだよ」

「「トンキー?」」

「つまりですね――こういうことなんです」

 ここで親切なユイが、ここまでの経緯を分かりやすく二人に説明している。マスコットにする為に、連想ゲームを行っていると伝えていた。

「なるほど! それで連想ゲームを行っていたのか!」

「そういうことだから、オメェらはさっさと帰ってくれ。面倒だからよ」

 面倒に感じて銀時が追い払おうとするが……近藤はお節介にも興味を示してしまう。

「いいや。折角だし、俺達も加えてもらおうじゃないか」

「おい、近藤さん。俺達もやるのか?」

「そうだぜ、トシ。リーファちゃんには迷惑をかけたことだし、せめてもの罪滅ぼしで協力しようぜ」

「ほとんどアンタが原因だけどな」

 リーファへの汚名返上も兼ねてゲームにやる気を見せていたが、土方からは手痛い指摘が返ってくる。彼だけはあまり乗り気では無かったのだが。

 妙に続いて真選組の加入は、仲間内でも微妙な反応が見受けられていた。

「どうします、リーファさん?」

「わ、私? まぁ、特に構わないけど……変なアイデアが浮かびそう」

「それは間違いねぇよ」

 主催者でもあるリーファ本人は、可もなく不可もなくである。しかし折角の機会でもあり、わざわざ返さずに残そうと自然に決まっていた。

「それじゃ真選組も参加ってことで良いわね?」

「おうよ! よろしく頼むぜ!」

「一回限りだがな」

 こうして真選組も加わり、また新しくマジカルトンキーが始まっている。

「もう! こうなったらなるべく長く続けましょう! 出来る限り多くのアイデアを浮かばせて!」

「おうネ!」

「任せてちょうだい!」

 あやめも大声で仕切りつつ、ゲームを再開させていく。順番を一新させると、リーファ、あやめ、妙、土方、近藤、キリト、銀時、アスナ、ユイ、神楽、新八と決まっていた。

妙「では始めましょう! せーの……!」

全員〈〈マジカルトンキー!〉〉

リーファ「トンキーと言ったら白!」

あやめ「白と言ったら銀さん!」

妙「銀さんと言ったらクズ人間!」

土方「クズ人間と言えばストーカー」

近藤「ストーカーと言えば俺!」

キリト「俺と言えば一人称!」

銀時「一人称と言えば個性」

アスナ「個性と言えば万事屋!」

ユイ「万事屋と言えばポジティブ!」

神楽「ポジティブと言えばリア充!」

新八「リア充と言えば憧れ!」

リーファ「憧れと言えば芸能人!」

あやめ「芸能人と言えば歌手!」

妙「歌手と言えばBZ!」

土方「BZと言えばバンド」

近藤「バンドと言えばチャゲアス〇!」

キリト「チャゲ〇スと言えばコンビ?」

銀時「コンビと言えば芸人」

アスナ「芸人と言えば高収入!」

ユイ「高収入と言えば難関クエスト!」

神楽「難関クエストと言えばカブト狩りじゃゃゃ!!」

新八「カブト狩りと言えばロクでもない思い出……」

リーファ「ロクでもない思い出と言えばお兄ちゃんのからかい!」

あやめ「お兄ちゃんのからかいと言えば惚気!」

妙「惚気と言えば火種の元!」

土方「火種の元と言えば不祥事」

近藤「不祥事と言えばチャゲ〇スカ!」

キリト「チャ〇アスカと言えば……コン……えっと」

新八「って、ストップ!!」

 ついに我慢できなくなった新八が、半場強制的に止めに入っている。最長記録を達成したのだが、彼にはツッコミたい気持ちで一杯だった。

「アンタら! 逐一ネタを挟まないと気が済まないのか!!」

「何を言ってんだ! 俺はしっかりと答えていたぞ」

「んなわけないだろ! ほぼア〇カじゃねぇか! ミュージシャンの方の!」

 何よりもまずは、狙ったように某歌手の名を挙げる近藤である。カオスな雰囲気をさらに強調させていた。

「そもそもチャゲアス〇って誰なの?」

「アスナさん! そこにピー音入れたら、アナタの名前みたいに聞こえますよ!」

 ピー音が上手く当てはまり、アスナにまで被害が及ぶ始末である。

「アッスー! チ〇ゲアスカっていうのは、この世界のバンドネ! でも今は、すったもんだあって見れないアルよ!」

「ストレートに言うな!!」

「そんなアナタには、BZを推すわよ! リーファちゃん達は知らないけれど、この世界で最高最善の音楽家なのよ!」

「そ、そうなのか? 知らなかったな」

「姉上も! 嘘を吹き込まないでくださいよ!!」

 さらには対抗するように妙まで乱入にして、場の収集をより遠ざけてしまう。各々の主張が飛び交う、混沌とした雰囲気に成り立っていた。

 冷静に見ているのは、銀時、土方、ユイくらいである。

「てか、本当にこんなんで思いつくのか?」

「知るかよ。後はリーファ次第だから、俺達が言えることは何も無ぇよ」

「随分と無責任な……お前はそれで大丈夫なのか?」

「リーファさんの助けにはなったのでしょうか?」

 心配からつい彼女に目線を向けると、そこには意外な光景が映っていた。

「おぉ、来た! とっておきの形が閃いたかも!」

「えっ?」

 あるきっかけから刺激を受けたようで、リーファはノートに向かってマスコットのアイデアを綴っている。表情も生き生きとしており、楽しそうな印象が見受けられていた。

「おぉー。流石よ、リーファちゃん!」

「この調子ね! 入賞させて約束通り、服交換よ!!」

 周りにはおだてるようにして、妙やあやめがよいしょをかけている。結果的には前進した連想ゲーム企画に、仲間達も各々の反応を見せている。

「なんか急にやる気が上がっているんだが!?」

「良かったじゃねぇか。俺達が役に立った証拠だぜ!」

「近藤さんはア〇カしか言ってねぇけどな……」

 一段と喜んでいる近藤には、土方が改めてツッコミを入れていた。

「でも、良かったな。アイデアも浮かんで」

「そうね。どんな仕上がりになるのか楽しみね」

「ところで何がきっかけだったアルかな?」

「ま、まさかな……」

 万事屋一行も一安心をしていたが、彼女を突き動かしたきっかけに少し気がかりである。銀時や新八は嫌な予感を察していたのだが……こうして話し合いは一旦ヤマを越えていた。

 

 

 

 

 

 そして時は一週間が過ぎた頃。万事屋の六人が何気なく休みを過ごしていると、突然にもリーファが訪れてきている。玄関先にいた彼女は、あの格好を早くも用いていた。

「こんにちは! みんな!」

「ス、スグ? その姿って……」

 そうあやめと約束した彼女の忍者服を着こなしている。マフラーやブーツ類もあやめと順当なものに変えて、髪型も自然なロングに変えていた。見違えるようなイメチェンには、皆が目を丸くして驚嘆としている。

「どう、似合っている?」

「結構、目新しい印象だな……髪まで下ろすなんて」

「って、それよりも! 衣装交換ってことは、入賞したアルか!?」

「ううん。落選よ。でも協力してくれたお礼に、交換したのよ」

「そうだったの……」

 一瞬入選したかに思えたが、結局は落選止まりだったらしい。それでも協力してくれた礼として、服装交換を引き受けたようだ。

 そこで気になるのが、トンキーの完成品なのだが?

「それで一体、どんなマスコットにしたんだよ?」

「原案ってもしかして持っていますか?」

「もちろん! これを見てちょうだい!」

 彼女は快く応募した原案を万事屋一行に見せていく。手渡されて見てみると、そこに描かれていたのは……

「えっ!? これって……」

「トンキーとロック系を足したパンクロックキャラ! 名付けてチャアンキーよ!」

実に刺激的なマスコットである。トンキーの要素を加えながら、歌手のようなキャラクターに仕上げていた。一見可愛らしく見えるが、やはりどこか違和感を覚える仕上がりである。あのチャゲ〇スの絡みが、リーファに良くも悪くも影響を与えていた。

「いや~みんなのおかげで助かったわよ! トンキーに足りなかったのは、やっぱり激しさだったね!」

 本人は満足気な表情を浮かべるが、万事屋の反応では……

(どこで間違ったんだ……!?)

全員がツッコミたい気持ちを隠している。彼女には悪いが、落選した方が良かったのかもしれない。そう思わざるも得なかった。

 するとここで、新八があることに気が付いている。

「アレ? てことは今、さっちゃんさんがリーファさんの服を着ているんですよね?」

「その通りよ!!」

 彼の読み通りに、今度は上空からあやめが颯爽と現れていた。こちらも衣装チェンジによって、だいぶ印象が異なっている。眼鏡を除けば髪型も踏まえて、リーファとほぼ容姿を寄せていた。

「またこの流れアルか!?」

「って、イメチェンが意外に似合ってる!?」

「さて! 折角のイメチェンだから……銀さ~ん!! 私を妹に認めてぇぇぇ!!」

 万事屋からも高く評されると、調子に乗った彼女は勢いよく銀時へと抱きつこうとする。興奮状態で突進した彼女であったが、

「バーストストリームゥゥゥ!!」

「ギャャャ!!」

銀時お得意の奇襲技モモバーンで容易く吹き飛ばされていた。玄関を飛び越えて、地上にまで叩き落されてしまう。

「って、さっちゃんさん!?」

「吹き飛ばされてしまいました!?」

「てか、バーストストリームってそんな技じゃないぞ!!」

「って、あやめさん!! 私の服でいやらしいことしないって、約束したわよね!!」

 こうして場はまたも、グダグダとした雰囲気に繋がっている。衝撃や指摘、怒りと激しい感情が散りばめられていた。その一方で、

「衣装チェンジか……」

「ん? どうしたネ、アッスー?」

「いや、何でもないわよ」

アスナにはある考えが思いついている。神楽にははぐらかしたが、一体何を思いついたのだろうか?

 その話はまた別の機会にて。




 トンキーも今とならば懐かしいですね。当時は銀魂にも似た名前があって、かなりテンションが上がっていたのを思い出します(笑)
 なお今回は稀ですが、ゲーム場面のみ台本形式にしました。流石にキャラ名を付けないと、分からないですね……







※第五十七訓は事前に掲示された題名や内容を変更しました。ご了承ください。

次回予告
銀時「なんでプレゼントに花束って送るんだろうな?」
アスナ「それは感謝の気持ちからよ。結構花束を贈る人は多いと思うわよ」
キリト「どうやらリズも探しているみたいだからな」
銀時「マジかよ。じゃあの店に行かないことを勧めるぜ」
キリアス「「あの店?」」
銀時「次回! プレゼント選びは慎重に」
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