テレビで特集されていたとある遺跡が気になり、現地までやって来た万事屋やキリトら一行。サイコギルドの手がかりも踏まえて期待を寄せていたが……残念ながら有力な情報は見つけられなかった。
半ば心残りを感じる矢先に出会ったのは、ALO星の天人であるフィリアと言う名の少女。彼女によると噂される次元遺跡は存在しているという。ある怪しげな組織も関係しており、キリトら一行は善意からフィリアへ協力することにした。
いざ遺跡へ向かおうとした時、山の入り口付近から大きな衝撃音が響き渡る。現在は皆が、音の聞こえた方向へ下山していた。降りた先に待ち受ける者は果たして……?
「もうすぐ出口アルよ!」
「やっぱり電話ボックス付近で起きたんでしょうか!?」
「ナー!」
団体で行動しつつ、速足で来た道を戻る一行。出口へ近づく度に人の気配を察して、増々衝撃音との関連性を強めている。
いよいよ山道から歩道へ差し掛かると、そこではとある修羅場が展開されていた。
「皆さん! 見てください!」
「アレって……真選組だよね」
「それと……あの人達は誰なの?」
ユイが真っ先に声をかけると、リズベットやリーファも察して声を上げる。仲間達も次々と気付いて、すぐに目線を向けていく。
そう彼らの近くでは、先ほど出会った真選組の三人が謎の男女と戦いを繰り広げていた。近藤ら三人共に、刀を強く握りしめて態勢を整えている。戦況は芳しくなく、深刻そうな表情から苦戦しているように見えていた。
「チッ……こいつら中々の手練れか?」
「少なくとも、並みの人間よりは強いでしょうねぇ……」
「こんなところでまさか衝突するとはな……」
土方、沖田、近藤と各々が思ったことを発していく。対峙している相手の強さを見切って、攻略法を画策していた。
彼らは遺跡へ向かう道中に、怪しげな二人組を発見。追いかけたところで戦闘に発展して、現在までに至る。
一方で真選組に戦いを挑んだ二人も、戦闘自体にはあまり余裕は無い。
「やっぱりしぶといな。地球の侍さんはよぉ……」
「根性だけは一丁前ね。わざわざ手を煩わせてくれるんだから……」
こちらも苦い表情を浮かべて、戦況展開を物静かに考えている。
そんな彼らの容姿は、男女共に黒くてぼろいマントを羽織っていた。中には灰色の中華服とズボンを着用しており、足元は黒ブーツを履いている。また日よけ対策として、紫色の日傘もさしていた。この日傘を用いて、真選組と交戦している。
いずれにしろ、近藤らと互角に張り合える強敵に間違いはない。そう冷静に判断しつつも、銀時ら一行も黙って見ている訳にはいかなかった。
「ったく、しゃあねぇな。貸しを作るのは勘弁だが、アイツらを助けてやるか」
「えっ!? このまま行っちゃうの?」
「もちろんよ。一応土方さん達とは、知り合いだからね」
「僕等も加勢すれば、きっと大丈夫ですよ! フィリアさんも行きましょう!」
「う、うん……分かった」
全員の考えが一致していると思いきや、フィリアだけは戸惑った反応を示している。その行動は、どこか恐縮しているようにも見えなくない。結局はシノンや新八の説得によって、無理も承知で受け入れていた。一緒に行動しつつ、一行は真選組の元へと駆け寄ってきた。
「真選組の皆さん! 大丈夫ですかー!!」
「ん? この声はまさか、やっぱりお前等か!?」
ユイの声を聞き入れて、すぐに万事屋一行に気付いた近藤ら。何も言い返せず、目の前へ集結していた。
「おいおい、どうした副長さんよ。こんな奴等に手こずるとは、鬼の副長が聞いて呆れるじゃねぇか。アレだろ、マヨネーズだろ? どうせマヨネーズのせいだろ?」
「やかましいわ! テメェに言われる筋合いはねぇよ! つーか、どこまでマヨネーズのせいにしてぇんだ!?」
顔を合わせるや否や、真っ先に口論を始める銀時と土方。前者が周到に煽りを飛ばすと、後者はムキになって反論していた。
もちろん沖田と神楽も、同じような応酬を繰り広げている。
「ブハハハ! お前が苦戦しているだけで、良い様アル! 飴玉の報いを受けるがいいネ」
「お前はどっちの味方だよ」
小馬鹿にしたような表情で煽り、彼は冷めたツッコミで返す。数分前の悪戯を根に持っており、彼の苦戦した表情が滑稽でたまらないそうだ。
相変わらずの仲の悪さには、仲間達の反応もバラバラである。
「って、銀さんに神楽も相変わらずね……」
「火に油を注いでる場合じゃないですよ!!」
シノンのように慣れている者もいれば、シリカのように焦って注意を加える者までいた。どっちにしても、今は戦いへ集中する方が身のためではある。
一方で謎の男女は、彼らの特異な雰囲気に若干戸惑っていた。
「な、なんだこいつらは?」
「真選組の仲間なんじゃないの? でもどいつも、ALO星の天人っぽいけどね」
特にキリトやアスナらの特徴的な服装から、思わず天人だと予見している。当然別世界の人間だとは、気付いてすらいない。
そう考えを巡らせていた時、二人はキリト達に紛れ込むフィリアの存在を発見していた。
「ん? おい見てみろ! あの女もいるぞ!」
「……本当だわ。やっぱりこの地球に流れ着いていたのね!」
探していた相手が見つかり、怪しげな笑みを浮かべていく。すると二人は自信満々に、当の本人へと話しかけてきた。
「久しいな! 次元遺跡に忍び込んだ盗人め!」
「えっ、私!? って……まさかアナタ達は!」
「そう……ずっと追いかけていたのよ。会いたかったわ……泥棒妖精ちゃん」
男女の声を聞いた瞬間に、フィリアはつい体を震え上がらせている。それもそのはずだ。彼女が次元遺跡で耳にした声の正体が、あの二人だからだ。連鎖するようにフィリアは、仲間だとされるコウモリや黒龍も思い出して、恐怖心から顔色を悪くしてしまう。
「こ、こんなところにまで来るなんて……」
「フィ、フィリアさん!?」
「ちょっと、大丈夫!?」
胸に手を当てて動悸を抑え込む彼女に、心配したシリカやリズベットが声をかけてきた。周りにいた女子達で、しっかりと気を落ち着かせていく。
真選組からすれば、何が起きているのかさっぱり分からないが。
「って、一体何が起きているんだ!? あのフィリアって子は?」
「説明は後だ! ていうかお前等も、今までに起きたこと手短に説明しろや!」
「そうは言っても旦那。俺達は不審者を追いかけたついでに、戦いを挑まれたんですよ。詳しいことは分かっていないんでい」
「えっ、そうだったの?」
真選組からも情報を聞き入れようとしたが、彼らも二人への情報は乏しかった。沖田からの返答に、アスナも驚いた表情を見せている。
場にいた誰もがその正体を気にしていた時。当の本人達は空気を察して、真っ先に声を上げてきた。
「フフ。どうやら僕らの自己紹介が必要みたいだね」
「そんなに私達のことを知りたいのね」
「いや、そうでもないですけど」
「どうせ今回の悪役ネ。別に紹介しなくても、支障は無いアルよ」
共に乗り気だったものの、新八と神楽の冷めた指摘により、折角の雰囲気が崩れてしまう。それでもなお、二人が引き返すことは無かった。
「うっさいわね! とりあえず聞きなさいよ! ……コホン。私達はアルンの反王国組織マッドネバーの一人、亜由伽(あゆか)よ。見ての通り、夜兎の血を引き継いでいるの」
「夜兎? ってことは、神楽と同じ種族なのか?」
「その通りアルナ。まぁでも、傘と服装で全て察していたアルよ」
取り乱しつつも、女性から自己紹介が上がる。彼女の名は亜由伽で、見た目通りの夜兎族であった。神楽は雰囲気から、すでに正体を察していたという。
続けて男性からの紹介が上がる。
「そしてこの僕が野卦(のけ)だ。亜由伽と同じ夜兎でマッドネバーの一員だよ。さて、余興は終わりだ。僕達の目的はただ一つ。今すぐにそこの妖精女を渡してもらおうか?」
手短に話すと同時に、彼はフィリアのいる方角へ指を指していた。二人の探していた相手は彼女であり、次元遺跡からわざわざ地球まで追いかけている。その執念深さは、一級品と言って良いだろう。
フィリア本人からすれば、恐れおののく事案だが。
「やっぱり、私が狙いなの……?」
「そりゃそうよ。次元遺跡の行き方を知っているもの。ただで返すわけには行かないでしょ。折角匂いを追って、この地球までやって来たのに」
「ここで取り逃すわけには行かないんだよ……さぁ、そいつを渡せ! 早くしろ!!」
次第に隠された本性を露わにしていく夜兎達。秘密を知ったフィリアを葬るべく、目つきや態度も横柄になっていく。静かなる怒りを見せながら、一行へ脅しをかけていた。
恐怖心から気持ちが萎縮するフィリアに対して、周りにいた女子達は強気にも夜兎達に反抗している。
「渡せと言われて渡すヤツがどこにいるのよ!」
「どう見ても嫌がっているじゃない! 素直にこの子を渡すわけには行かないわ!」
「ふ、二人共……」
特に気が強いリズベットやシノンは難なく歯向かっていた。もちろんフィリアのことを守る為である。フィリア本人も気持ちを救われていた。
万事屋や真選組、キリトらと、増々夜兎達への敵対心を強めていく。
「しっかたねぇ……ここはまた俺達が」
「いいや、お前等は休んでいろ。ここは俺達だけで十分だよ」
三度土方らが立ち上がろうとしたその時、銀時が彼らに代わって前線に立ち始める。彼に引き続いて、神楽、キリト、アスナの三人も同じように駆けつけた。
「よ、万事屋!? しかし君達だけでは……」
「心配するな、ゴリラ! これでも私達の強さは十二分アルよ! キリやアッスーもいるし!」
「こいつらの相手なら、俺達だけでも大丈夫さ」
一時は心配していた近藤だが、神楽やキリトの自信あり気な返答から言いくるめられてしまう。体力を消耗していない四人に任せた方が合理的だと、真選組一行は徐々に悟り始めていた。
とここで、シリカやリーファら仲間達も声をかけてくる。
「アスナさん! アタシ達も加わりますか?」
「いいえ、いいわよ。みんなはフィリアちゃんやユイちゃんを守ってくれるかしら?」
「わ、分かった!」
自ら加勢を志願したが、ひとまずはフィリアの保護に回された。女子達はそれを素直に引き受けている。
「じゃ新八は、自分の眼鏡でも守っておけ。それで結構だよ」
「いや、僕だけ指示雑すぎませんか!? 要するに出るなってことですよね!」
一方の新八だが、銀時からあまりにも適当な指示を言われていた。もちろん激しいツッコミで返している。
紆余曲折はあったが、この場は銀時ら万事屋四人へ任せることにした。
「チッ、仕方ねぇ。ここはお前等に任せやすか……」
「おうネ! その代わり、後でケーキおごれアルよ! 五段くらい重なってるヤツで!」
「何さり気なく取り決めてんだ!? 誰がそんな誘いに乗るかよ!?」
とは言っても、綺麗に終わらないがオチである。神楽の無茶苦茶な要求には、近藤がツッコミで返していた。
真選組や女子達が一時場を離れたところで、キリトらは各々の武器を手に持ち、戦闘態勢を整えていく。
「ってことだ。フィリアに手を出そうものなら、俺達が止めてやるよ」
「お前達の望み通りにはさせるかよ!」
「かかってくるネ! 納豆ネバネバ!!」
「マッドネバーよ、神楽ちゃん。もうボケはいいからね」
意気込みや小ネタを挟みつつ、気持ちを真剣に改める四人。フィリアを守ることで、目的を一致させている。
一方の夜兎達であるが、対戦する相手が変わろうと心境に変わりはない。むしろ新しい相手に心を躍らせている。
「ハハ。こいつら、僕らの恐ろしさをまだ知らないみたいだね」
「だったら、味合わせてあげましょう。この漆黒の力で! さぁ来なさい、キバットバットⅡ世!!」
そう彼らも、隠していたある力を披露しようとしていた。亜由伽が右手を勢いよく上げて大声を発すると、彼女の元にどこからともなく黒いコウモリ――キバットバットⅡ世が羽を羽ばたかせて姿を現す。
「了解した!」
「な、なんだ!?」
「コウモリ!?」
過ぎ去るキバットバットⅡ世に、理解が追い付かない仲間達。その行方を追うと、彼は亜由伽の手元に止まっていた。
「お前等よ、有り難く想え! 絶滅タイムだ! ガブリ!」
そう発すると同時に、彼女は左手をキバットバットⅡ世に噛ませていく。すると彼女の腰には黒いベルトが出現。不穏なBGMと共に、顔にはステンドガラス状の紋章が出現した。
「そして僕は……これさ!」
同じくして野卦も、ポケットに入れていた黒いカードデッキを、左手に持ち正面へかざす。デッキが発光すると、腰にはバックルが出現していた。
「「変身!!」」
そして同じタイミングで二人は、「変身」と意気込んで発声する。
「な、何!?」
「変身って……」
何が起きているのか分からずに困惑する一行。様子をしばらく見ていると、二人の姿はみるみるうちに変化していた。
亜由伽はキバットバットⅡ世をベルトへと収めて、緑色のオーラを全身より放っていく。すると体は黒い鎧を装備していき、全身を丸ごと変化させていた。オーラを振り切った彼女の容姿は、数分前と面影も無く変わっている。亜由伽は文字通り、仮面ライダーダークキバへと変貌を遂げたのだ。
一方の野卦は、カードデッキをバックルにセット。彼の周りでは黒き影が残像のように現れており、次第に体へと重なり合わさる。邪悪な笑みを浮かべたと同時に、彼の姿は変化していた。野卦が変身した姿は……ダークライダーの一人、仮面ライダーリュウガである。
一瞬にして変わり果てた二人の姿。漆黒とも言うべき変身後には、場にいた全員が驚きを隠しきれていなかった。
「ほ、本当に変身しちゃった!?」
「漆黒の力……奴らの本気ってところですかい?」
言い知れぬ力のオーラを感じて、思わず目を丸くするリーファら女子達。一方の真選組は、未知の強敵の出現に勝算があるか見極めていく。
「だ、大丈夫なんでしょうか……」
「きっと大丈夫だよ! 銀さんやキリトさん達なら!」
ユイも思わず心配をかけているが、即座に新八がフォローを加えていた。いずれにしてもダークライダーの出現は予想外で、皆が言葉を失っている。
その様子を亜由伽達は、仮面の中から愉悦感に浸りながら眺めていた。
「ハハ。どうだ驚いたか? これがマッドネバーの作り出したダークライダーシステムだよ!」
「ダークライダー……!?」
「かつて別世界で暗躍していた戦士のことよ。その欠片や力を一部だけ手に入れて、こんな風に再現できるのよ。さぁアナタ達は……どこまで戦えるかしらね!!」
自信あり気に声を上げると、両者共に勢いよく銀時らへと向かっていく。
彼らの普及するダークライダーシステムに理解が追い付かず、困惑してしまう四人。それでも今は、全力で立ち向かう他は無い。未知なる敵に警戒しながらも、気を強く持って応戦していく。
「銀ちゃん! コウモリっぽいヤツは私達で!」
「おう! キリト、アスナ! もう一方を頼むぞ!」
「分かっているわ!」
「こっちも任せたよ!」
この場は役割を分担して、二対一で勝負を進めていく。銀時、神楽は亜由伽が変身したダークキバを。キリト、アスナは野卦が変身したリュウガと対峙していく。
マッドネバーとの戦いが、今幕を開いた……。
「ハァァ!」
「ハァ!」
「フッ、トワァ!」
自慢のコンビネーションを武器に、リュウガと張り合うキリトとアスナ。攻撃や防御を使い分けて、リュウガの実力を見極めて交戦していた。
苦悶の表情を浮かべる二人には、僅かながらに恐れを察している。自分達の経験上から、初めて一線を交える戦闘民族。一瞬にして繰り出される攻撃には、常に注意を払って戦いに挑んでいた。
一方のリュウガであるが、終始素手のまま戦闘を繰り広げていく。
「ハァァ……トウ!」
「えっ!? キャァァ!!」
「アスナ!?」
相手の隙を伺った瞬間、上半身へ蹴りを入れられたアスナ。吹き飛ばされた彼女は、森の茂みへと消えてしまう。
「まぁまぁだな。思ったよりも歯ごたえがあると言っておこうか」
「お前……ハァァァ!!」
「クッ!」
自身の強さを自負していたリュウガだが、その隙にキリトが真っ先に攻め込む。エクスキャリバーを含めた二本の長剣の連撃に、彼は押され気味となる。
「くらえぇぇぇ!!」
「ヘヘ、面白くなってきたじゃないか! だが僕には及ばないよ!」
と戦いを楽しむような一言を呟いた直後であった。
「ハァ!」
「何!? 消えた……?」
さらなる一撃を与えた瞬間、リュウガがその場から姿を消してしまう。気配が跡形も無く消えて、不穏さを感じているキリト。警戒心を高めつつ周りを注視していると、
「そこだ!」
「グワァ!?」
足元にあった水たまりから、リュウガがはいよるように現れていた。不意打ちを食らって、キリトは体勢を崩してしまう。
そうリュウガは、鏡の世界であるミラーワールドへ行き来する能力を持っている。先ほどの消失は、水たまりの反射を利用して逃亡しただけであった。この時のキリトは、その真実にまだ気が付かないが……。
「僕に勝とうなんて、君達には無理だよ」
煽るように小言を発する彼の元に、忘れかけていたあの子が近づいていく。
「それはどうかしらね!!」
青い羽を広げて襲い掛かるのは、森へと飛ばされたアスナ。体勢を立て直して、必死そうな表情でリュウガへと再び立ち向かう。
彼女の気配へ気が付きつつ、リュウガは動じずにベルトから一枚のカードを取り出して、腕の召喚機へと差し込んでいた。
〈sword bent!〉
鈍い電子音が響くと、リュウガの手元には龍の尾を模した剣が出現する。これを使い彼は、アスナのレイピアと真っ向から対抗していた。
〈カキーン!〉
レイピアとドラグセイバーが、勢いよくぶつかり合う。
「ハハハ! やるね、君も!」
「何……!?」
次々と繰り出される剣撃に、アスナは防御へ徹することで精一杯となる。剣術に関しても互角だが、一つ一つの攻撃が強くて追いつくことが出来ない。一進一退の攻防が続くと、
「そこだ!」
「キャッ!」
またも隙を見透かされてしまい、強力な一撃を受けてしまった。アスナは態勢を崩されて、地へと倒されていく。
「アスナ! 大丈夫か!?」
「な、なんとかね……とてもじゃないけど、防御へ回すことで手一杯だったわ……」
「隙を見て攻撃権を奪うしかないのか……」
「そうね……」
キリトも駆け寄って、彼女の無事を確認している。戦況はあまりよろしくなく、攻略法も今のところは連続攻撃しか無い。夜兎の力も相まって、間違いなくボス攻略並みの難易度の高さである。さらなる不穏な表情へと二人は陥っていた。
僅かな攻撃を受けても、リュウガの優位が翻ることは無い。
「ハハハ! これからは僕が最強さ!」
そう発すると彼は再びベルトからカードを取り出し、召喚機へと差し込む。
〈strike bent!〉
濁った電子音と共に、今度は左手に龍の顔を模したグローブが装着される。これを一旦後ろに引いて、彼はグローブ内に溜まった黒い炎をキリトらへ解き放っていく。
「ハァァ!」
「くっ……こんなもんで!」
「負けたりはしないわよ!!」
二人は長剣やレイピアを用いて、炎を振り切りながら抵抗する。そして炎を退けると同時に、がむしゃらに走り出していた。
「「ハァァァァ!!」」
「ハハハ、良いよ! 面白くなってきたね!!」
しぶとい根性を見せる二人の姿に、リュウガも高笑いが止まらない。
予想を遥かに上回る実力の戦士。夜兎とダークライダーの合わさった力の差には、中々勝負を有利に進められない。
一方の銀時と神楽の二人は、ダークキバと激闘を繰り広げている。
「おりゃぁぁ!!」
「いっけぇぇアル!!」
活気づいた掛け声から、ひたすらに攻撃を繰り出す二人。銀時は木刀を使った確実な一撃を、神楽は日傘から繰り出す射撃と格闘戦でダークキバに応戦していた。
しかし肝心の彼女は、その大半の攻撃を回避する術を取っている。一貫して自分からは、攻撃を一斉仕掛けてこなかった。
「どうした!? さっさと戦え」
じらす姿勢にビリビリしながらも、銀時がまたも一振りした直後である。
「な、何!?」
「甘いぞ。こんなものでは!」
なんと彼の木刀が、ダークキバのベルトに装着されたキバットバットⅡ世の口に阻まれてしまっていた。こちらも隙が出来た瞬間に、
「その通りよ。ほらね!」
「くっ……たぁ!?」
「銀ちゃん!?」
木刀と共に蹴り飛ばされてしまう。戦況がひっくり返されて、神楽もつい攻撃の手を止めてしまっていた。
この油断を彼女が見逃したりはしていない。
「あらあら、小娘一人になってしまったわね。しかも見たところ、アナタも夜兎じゃないの……そんじゃ、私の恐ろしさをとくと味わうといいわ!」
そう言い放った直後である。ダークキバは自身の体格ほどある紋章型の結界を作り出すと、神楽へ向けてそれを差し向けていた。
「グワァ!? ギャァァァ!!」
何も抵抗できずに紋章へ囚われてしまうと、体中に激しい痺れが襲い掛かってくる。逃げ出そうとしても逃げられない、拘束技に引っかかっていた。
「フフフ、有り難く想いなさい。絶滅タイムよ!」
優勢した状況を嘲笑うように、ダークキバはさらなる攻撃を仕掛けていく。
「ハァ!」
「ブフォ!?」
紋章を器用に操りながら、神楽を前後に操作していき、腹部へ向けて強烈な蹴りを与え続けていた。吹き飛ばされると彼女はまた結界に囚われてしまい、そこからさらに操られて蹴りを与えられている。相手の攻撃を完封する連続技に、神楽のダメージは徐々に蓄積されてしまう。
「アハハハ! どうかしら? 同族に蹂躙される気持ちは? とってもみじめでしょ!」
依然としてダークキバは優位に立ち、高飛車の如く威圧的な言葉を発していく。数秒の間この攻撃を楽しんでいると……
「神楽ぁぁぁ!!」
彼女の背後からは猛スピードで銀時が駆け寄ってきた。木刀を握りしめながら、彼は大きく飛び上がって、それを背後から振り下ろしていく。
「フッ。どうかしらね!」
しかし状況を把握しているダークキバは、後ろへ振り返りつつ冷静に木刀を両手で受け止めている。策を封じてまたも愉悦感に浸っていた時だった。
「はぁぁぁ!!」
「何!?」
銀時は諦めずに右手を強く握りしめて、空元気の如くストレートなパンチを繰り出す。
「クッ……プファ!」
予想外な動きを読めなかった彼女は、今度こそ体のバランスを崩してしまい、怯みに陥ってしまった。集中力が途切れたことで、神楽を束縛していた結界も効力が途切れていく。
「おい、神楽! 大丈夫か!?」
必死こいた表情で銀時は、神楽の無事を確認している。幸いにも彼女に深い傷はないが、とある精神的なダメージを与えられていた。
「ぎ、銀ちゃん……まずいネ。お腹を蹴られまくって、今朝のオムライスが出産するネ……」
「おい、やめろよ! やり方間違えると、小説でも注意書きを設けることになるぞ! とりあえず抑え込め!」
腹部を集中的に攻撃されたせいで、体の調子を悪くさせられている。口で手を抑え込みながら、顔色も次第に悪くなっていた。銀時には二つの意味で心配をかけることになるが。
一方のダークキバは優勢を崩されてしまい、態度を一変させている。
「お前ら……私の勝ち試合を! 絶対に許すか!!」
人が変わったように感情を高ぶらせており、冷静さをとうに失っていた。怒りのままに彼女は、ベルトの右側に付属された黒色のウェイクアップフエッスルを取り出す。それをキバットバットⅡ世の口元に、咥えさせていた。
「ウェイクアップ! ツー!!」
フエッスルを二度吹かせると、ダークキバは必殺技の構えに入っている。全身に満ちた魔皇力を足に集中させて、両手を胸元に交差させていく。勢いよく飛び上がって、キック技のキングスバーストエンドを繰り出してきた。
「滅べぇぇぇぇ!!」
勢いに乗っかり二人を吹き飛ばそうとした時である。
「あっ、もう無理……ブホォォォォ!!」
「ハァ!? ギャァ!?」
なんとタイミングが悪く、神楽は我慢できずに嘔吐してしまった。放出された嘔吐物は、ちょうど必殺技を放つダークキバの全身に浴びせられている。おかげで彼女の必殺技は失敗に終わり、地面へと叩きつけられていた。
「お、おい……神楽?」
「あぁ、やっちゃったネ……これじゃ注意書きは不可避アルナ」
「いや……それよりももっと言うことあるだろ? ていうか、この事態気付いているか?」
「はい?」
嘔吐物を出し切った神楽は、現在の状況を分かっていない。故にダークキバへ確かな一撃を与えたことにも、気付いていなかった。
銀時が恐る恐るダークキバの方へ視線を向けると、そこには予想通りの光景が広がっている。
「お前ら……よくも私をゲロまみれにしてくれたな!!」
「いや、違うから!! つーかこいつ、キャラ変わりすぎだろ! 怒ると豹変する女かよ!」
「まるで姐御アルナ」
「そんな呑気なこと言ってる場合か! これじゃまともに戦えねぇぞ!」
さらに怒りを高めたダークキバが、嘔吐物を被りつつも銀時や神楽を周到に追いかけていく。その迫力に押されながら、銀時は神楽と近くにあった傘を抱えて、逃げ出してしまう。神楽の思わぬ妨害によって、勝負を台無しとなってしまった。
次々と情勢が変化するダークライダーとの戦い。それでも両者の間では、明らかな温度差が広がっていたが……。
「おぃぃぃ! アンタら、何をやってんだよ!! 余計に相手を怒らして、どうするんですか!!」
「吐くだけで相手を混乱状態にさせるとは……アイツ等にしか出来ねぇ芸当だな」
「大丈夫なのかな……神楽ちゃん?」
反応も多様であり、新八の素直なツッコミや、土方やリーファのような戦況を憂う声も上がっている。どちらかと言うと、神楽の容体についても心配していたが。
「まぁ、アイツなら大丈夫でしょうね。ところで黒剣さん達はどうなんですかい?」
「ちょっと押され気味じゃないでしょうか……」
「あの野卦とか言うヤツ、強すぎない!? キリトやアスナでも押されるなんて……」
「よっぽどの強敵じゃないかしら……」
続けてリズベットら女子達が不安視しているのは、キリトらの状況である。リュウガの圧倒的な戦力差に苦戦しており、事態は困難を極めていた。皆が不安な表情のまま、勝負の行く末を見守っている。
「このままではパパやママ達が……」
苦戦する姿を見ていられず、思わず目を覆ってしまうユイ。
次第に雲行きが怪しくなる一方で、遂には近藤が我慢できずに立ち上がっていた。
「ならば! この俺達も加勢して、援護しようじゃ――」
「いや、待って!」
「アレ?」
「フ、フィリアさん?」
「ナー?」
だがしかし、同じタイミングでフィリアも声を上げている。仲間達は近藤よりも彼女の方へ注目を寄せていた。自信に満ちた真剣な表情で、彼女は思いついた策を皆に伝えていく。
「あいつらを退ける前に、次元遺跡へ逃げ込もう! そうすれば断然安心だって!」
「遺跡へ逃げ込むってことか……」
「あっ、そっか! ドアさえ締めれば、次の時間帯まで来れない仕組みだっけ?」
ダークライダー達を退けるよりも、次元遺跡へ逃げ込む判断を促している。この助言に、沖田やリーファらも改めて感心していた。
上手くことが運べば、相手方には大きなタイムラグを与えることができる。戦いから逃亡することにもなるが、ここで負けるよりは遥かに安全な道筋であった。
「ならもう、そうするしかないですよ!」
「態勢を立て直すには、打ってつけかもしれねぇな」
シリカや土方ら場にいた全員が、フィリアの考えを徐々に賛同していく。言葉を被せてしまった近藤も、さり気なく彼女の意見へ乗っかっている。
大方考えがまとまりつつあるが、一つ気がかりなのは現在の時刻であった。
「ていうか、今何時なの?」
「えっと俺の携帯だと……十四時十二分五十五秒を示しているな」
「って、もう近いじゃない!」
近藤の持っていた携帯電話から確認すると、対象の時刻まで後少しと迫っている。遺跡へ逃げ込むにはゾロ目の時間帯が必須な為、一行の早めの判断に今後が懸かっていた。
「なりふり構わずに行きましょう! パパやママ達にも伝えて!」
「そうですね。とりあえずまずは……」
ユイや新八が真っ先に声を上げて、早速行動へと移していく。二人をきっかけに、フィリアら女子達も同じように電話ボックスへと向かっていた。
「よ、よし! 俺達もついていくぞ!!」
「あいつ等だけじゃ不安だしな」
「了解でっせ」
もちろん真選組の三人も同じである。軽口を言いつつも、結局は放っておけないのが本音であった。把握していない部分も多いが、彼らもフィリアの味方へ付いているのが事実ではある。
計十人と一匹が一直線に進んでいき、妨害を覚悟して電話ボックスまで向かっていた。
「って、新八? みんな!?」
「あいつ等……まさか」
ダークライダーを相手にする銀時やキリトも、仲間達の行動を目にしており、察しが付いている。適宜様子を伺いながら、戦いを続けていた。
一方のフィリアサイドは、電話ボックスにあったドアノブに手をかけると、早口で呪文を唱え始めている。
「もう行こう! クウアギリュファブレヒヒカブデンキバディ、ダブオーフォウィガイドラゴーエグビルジオ!」
時間を確認しながら呪文を唱え終えて、ちょうどよいタイミングで扉を開く。現在の時刻は14時14分14秒。条件通りのゾロ目の時間帯であり、これが次元遺跡とのアクセスを可能にしていた。
扉は前回と同じく眩い光を放ち、遺跡までの通路を繋げている。この危機を打破する為の道筋が、たった今開かれていた。
「開いた! さぁ、早く!」
道が繋がったことを確認して、仲間達は一斉に銀時やキリト達へ撤退を呼び掛けていく。
「銀さん! キリトさん! 一旦逃げましょう!」
「早くこっちへ来てください!」
新八やユイが懸命に撤退を伝えていき、同じくして仲間達がぞろぞろと遺跡内部へと入っている。
この光景を即座に察したキリトらは、一旦対戦相手との距離を縮めていた。
「やっぱりか……アスナ!」
「もちろん行きましょう。仕方ないけど……」
勝敗には心残りはあるが、身の安全を考えてキリトやアスナは、速やかに戦線から遠ざかっている。目指すは仲間達の待つ、電話ボックスの扉だ。
「おい、神楽! こっちも戻るぞ!」
「分かっているネ、銀ちゃん……」
「安静にしてろ! 絶対に吐くなよ!」
引き続き銀時や神楽も、同じように戦況から離れている。神楽は未だに体調が戻っておらずに、傘共々銀時に抱えられているが。いずれにしても、逃亡への道が最優先ではある。
四人は一斉に仲間達の元まで走り出すが、ダークライダー達がみすみすと、彼らを見逃すはずがない。
「待て、コノヤロー! この私が正してやる!!」
嘔吐物をかけられて怒りの収まらないダークキバは、無我夢中で拘束技である紋章を作り出そうとしている。しかし集中力が鈍っているせいか、中々上手く作り出すことは出来ていない。
「あぁ、もう! 早くしろ!!」
「落ち着け、亜由伽。そうかんしゃくを立てるな。ここは僕に任せておけ」
ほぼ冷静さを失っているダークキバに対して、代わりにリュウガが対処していた。彼は再びカードを取り出して、召喚機へと入れていく。
〈advent!〉
濁った音声と共に、光に反射した水たまりから黒い龍が姿を現していた。
「グラァァ!」
勢いよく雄たけびを上げたその正体は、召喚獣であるドラグブラッカーである。フィリアを襲った個体と同一のミラーモンスターだ。
「ド、ドラゴンですか!?」
「ナー!?」
不意に現れた黒龍に、思わず驚きを隠しきれない仲間達。特にピナは、ドラグブラッカーのあまりの威圧さに体を震わせていた。
襲われた経緯があるフィリアも同じである。
「アイツまで来るなんて……」
「このままじゃ、銀さん達が……」
妨害を仕掛けてくるだろうドラグブラッカーに、警戒心をより高めていく一行。どうにか回避して銀時らも救いたいと、策を巡らせていたが――ここでシノンがある打開策を閃いている。
「――そうだわ、ねぇ、銀さん! 神楽の日傘、貸してもらえるかしら!?」
遠目の距離にいる銀時へ声をかけて、彼が抱えていた日傘を求めていた。
「あぁ、これか? ほらよ!」
要望を聞き入れた銀時は、速やかにそれをシノンへ投げていく。
「ありがとうね! 後は……」
日傘を手にしたシノンは、目つきを変えてドラグブラッカーへ狙いを定めている。彼女の目的は、日傘を用いた威嚇射撃だった。先端から発車する弾丸で、時間を稼ぐ算段である。
「ラァグゥゥ!!」
「ハァ!!」
「何!?」
標準を定めると同時に、次々と弾丸を乱射。ドラグブラッカーやダークライダーをけん制していく。初めて使用する異形の銃だが、違和感なく使いこなして、銀時やキリト達に起点をもたらしていた。彼らが電話ボックスに着くまで、後もう少しである。
「今よ、みんな! こっちへ!」
シノンが強く呼びかけると同時に、仲間達も次々に声を上げてきた。
「キリトさん! 早く!」
「アスナさんも!」
心配そうな表情を浮かべるシリカやリーファ。
「早く来てくだせぇ」
「いいから駆け込め!!」
最後まで彼らを信じている沖田や近藤。この時だけは、皆の想いが一つとなっている。
「おう、待ってろ!」
「後少し……!」
ダークライダー達の妨害を乗り越えて、いよいよ四人は――
「よし!!」
仲間達の元まで戻って来ていた。
駆け込むように扉を潜り抜けていき、全員が入り切ったところで……扉を勢いよく閉めている。ダークライダー達が入らないように、物理的な圧力を遺跡先の扉にかけていく。
「待て!! ――チッ、逃げられたか」
「クラワァァ……」
閉められた後も執念深く扉を開けようとしたリュウガだったが、思うように行かずに諦めてしまう。再び戸を開けてみるが、そこにあるのは何の変哲もない固定電話である。
フィリアの作戦通り、二人には一時間一分のタイムラグが発生してしまった。ドラグブラッカーも、残念そうに鳴き声を上げていく。
だが一方で、未だに怒りが収まらないのはダークキバこと亜由伽であった。
「あの野郎共……私をこんな姿に変えやがって……!!」
「ていうか、まずは洗い直せ。ちょっと臭いんだよ」
「仕方ねぇだろ! 文句ならあの赤い小僧に言えや!!」」
「はいはい、分かったから」
神楽によって嘔吐物まみれにされて、まんじりとも怒りが収まらない。かんしゃくを立てながら、より強い怒りを生み出していた。リュウガからは冷静になるよう促されているが……そう簡単に変わらないのがオチであろう。
ダークライダーとの戦いは、万事屋や真選組、キリト達にも大きな影響を与えていた……。
「……もういいかな?」
「多分ね。来る気配とかも無いし」
「フワァ~。やっと落ち着けるんですね」
「ひとまずは安心できるな」
次元遺跡へと逃げ込んだ一行は、扉の具合を確かめつつ、ようやく心を落ち着かせている。リズベット、シリカら女子達は安堵の表情を浮かべており、土方ら真選組もほっと一安心していた。銀時やキリトら万事屋も同じ気持ちではある。
一方で銀時は、逃げ道を確保してくれたシノンに礼を伝えていた。
「とりまあんがとよ。時間を稼いでくれてよ」
「大したこと無いわよ。アレくらい私には朝飯前よ」
「朝飯アルか……ウッ!? また吐き気が……」
「って、大丈夫なの? 神楽?」
「しばらく食関係は言わないで欲しいアル」
「どんだけデリケートになってんだよ」
朝飯前と聞くや否や、神楽は再び吐き気を催してしまう。顔色の悪くなる彼女に、銀時やシノンは急いで抑え込んでいた。
一見落ち着いた雰囲気ではあるが、ダークライダー達と戦った衝撃は今も尚残っている。
「いやしかし……あの夜兎達の強さは只者では無かったな」
「強いだけじゃなく、変身までしやすからねぇ」
「全てを見ない限り、勝算は難しいか……」
元々変身前と戦っていた近藤、沖田、土方も勝算の見極めには苦言を呈していた。
一方のユイは、戦っていたキリトやアスナへ心配気味に声をかけている。
「大丈夫でしたか。パパ? ママ?」
「なんとかね。大した怪我はないわ」
「こっちもだよ。それよりも……精神的なダメージの方が大きいかな……?」
彼らにとっても、リュウガとの戦いは悔いが残ってしまう。一時撤退はしたものの、あのまま戦えば負ける確率が高かったであろう。改めて考え直すと、その行く末を恐ろしく感じている。
「確かにあの強さは、桁違いだったね」
「変身までしているから、仕方ないと思いますが……」
「それでも、もっと戦えた気がするけどな……」
この話を聞き、リーファやシリカも素直に励ましていた。キリトらの苦戦する姿を見ると、ダークライダーの実力がおのずと分かっていくだろう。仲間達もその恐ろしさに、つい共感している。
「と、とりあえず気を取り直しましょうよ!」
「そうだって! 次元遺跡にも来たんだし、色々と探索しようよ! マッドネバーが 狙っている力も、見つかるかもしれないし!」
気持ちが浮き沈む雰囲気の中で、健気にもユイやフィリアが切り返しを図っていく。時間差がある今この、遺跡を探索できる余裕もあり、それを改めて誇示させていた。
仲間達もひとまずは、ゆっくりと気持ちを切り返していく。
「あっ。それはそうと、君は一体何者なんだ?」
「ノリでついてきたが、俺達はこれから何を手伝えばいいんだよ?」
「その話は歩きながら説明してやるよ。そう焦るんじゃねぇよ。V字」
「だれがV字だ! つーか俺以外にも、V字キャラ結構いるからな!」
ノリのままについてきていた真選組にとっては、未だに分からないことだらけではあったが。とりあえずは、探索がてらに色々と知らされる様子だ。
こうして一行は、未知なる次元遺跡へと足を踏み入れていた。
フィリアは遺跡内にあるとされる、英雄の力を探すため。
万事屋やキリトら一行は、マッドネバーからフィリアを守るため。または次元遺跡にて、手がかりを見つけるため。
真選組は、フィリアやキリトらを守るため。ほぼ思い付きであるが。
各々と目的は異なる十四人と一匹は、遺跡の奥部へと突き進む……
その先に待つものとは果たして?
夜兎が変身したダークライダーはいかがだったでしょうか? 圧倒的な強さに、銀時やキリト達も苦戦した姿が印象的だったと思います。今回の敵は中々の強豪です。果たしてどう攻略するのでしょうか……
個人的な意見ではありますが、別作品の敵と戦う描写がクロスオーバーの強みだと思っています! 前回の夢幻解放篇と同様に、今回も様々な刺客が登場致します。是非お楽しみにしていてください!
余談ですが、リュウガとダークキバは変身者の異なる別人設定にしました。それでも決め台詞や戦い方は原作に寄せているので、そこはご了承ください。
ちなみに僕のお気に入りのシーンは、神楽の日傘を使ったシノンの援護射撃です。レアなシーンだと思います。
そして次回は! また新たなダークライダーが登場します!
そろそろ皆さんも予告の小ネタには気が付いたでしょうか? 法則性が分かる人には、きっと解けるはずです! ではまた次回!
次回予告
Open you Eyes For The Next Sword Soul
フィリア「私はちょっと、戦う勇気が無いんだよね……」
沖田「遺跡には何があるのか分からないから、気を付けてくだせぇよ」
神楽「おい、テメェ! 何する気するか!?」
銀時「いやいや、こんな仕掛けなのかよ」
新八「お、お前は……!?」
??「命乞いはするな。時間の無駄だ!」
??「アタシはねぇ……アンタ達みたいな妖精が大っ嫌いなのよ!!」
キリト「お前らまで変身するのか……!?」
次元遺跡篇四 遺跡の謎